アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~ 作:非常勤務艦隊本部
平成15年8月
南アフリカ 喜望峰沖 海中
静寂に満ちた海中を、ひたすら東に向かって突き進む1隻の潜水艦があった。
その潜水艦の名は『U-556』。
ヒトラーの台頭により独裁政権と化した鉄血から半ば拘禁された鉄血所属のKAN-SEN達を、未だ謎多き行動をとる「フリードリヒ・デア・グローセ」に助けられて、彼女の助言に従って極東に位置する【重桜】に亡命するべく、元鉄血KAN-SEN達と共に本国を脱出。
南大西洋を突破するまでの間、Uボート群の哨戒網を潜り抜けてきたが、喜望峰沖に差し掛かったところで、ロイヤル領ケープタウンから出撃した重桜の艦隊を襲撃すべく展開していたUボート群に見つかり、狩猟の様に追い回されていた。
U-556 発令所
元鉄血所属:U-556「また後ろから撃ってきた!!」
元鉄血総統兼総旗艦:ビスマルク「取舵4度!ダウントリム20!」
ビスマルクは必死になって回避を指示するが、爆発の衝撃で艦体が激しく揺れてメーターのガラスが割れて漏水が発生する!
元鉄血所属:アドミラル・ヒッパー「攻撃が激しくなってきた………!!」
元鉄血所属:シャルンホルスト「国家の裏切り者には万死をか…………ヒトラーめ!!」
守るべき国に裏切られて、ヒトラーの思惑でもある【アズールレーン殲滅構想】の生贄にされそうになりつつある彼女たち。
果たして、この地で果てる運命であるのか?
答えは………断じて『否』であった!
頭上にて響いた爆発音を皮切りに、Uボート群からの攻撃は止んで、後ろからは爆雷の炸裂音が連続して響き、たちまち金属が断裂する音が鳴り響いたのだ!
元鉄血所属:ティルピッツ「攻撃が止んだ…………?」
元鉄血所属:U-73「海上から、2軸のタービン音が響いてきてる。多分、重桜の駆逐艦。」
元鉄血所属:ウルリッヒ・フォン・フッテン「まさか…………ケープタウンに重桜が駐留しているとでも言うのか…………?」
U-556「ビスマルク!もうバッテリーがもたないよ!」
ビスマルク「周りを警戒しながら急速浮上。海上へ出るわよ。」
そう指示して、U-556は喜望峰沖の海上へと浮上。
KAN-SENたちが艦外へ出るときには、その重桜の駆逐艦は、自分達のはるか後方へと遠ざかっていたのだった…………。
それから、一夜が明け………………
翌日 早朝
喜望峰に朝焼けが登る中、ビスマルクたちは海霧の彼方から来る何かに警戒していた。
元鉄血所属:グラーフ・ツェッペリン「何か来る…………」
元鉄血所属:グナイゼナウ「船…………いや、戦艦……」
巨大な主砲に複数の副砲に多数の対空砲を積んだ巨大戦艦が、凪いだ海原を掻き分けて近づいてくる。
元鉄血所属:Z1「戦艦にしては…………やけにデカすぎねえか?」
元鉄血所属:Z23「そもそも……あの戦艦は何処の………」
そして霧が晴れて、その全体像を鮮明に見た彼女らは衝撃のあまり言葉がなく、その心情をビスマルクが表した。
ビスマルク『Mein Gott……………ッ!!』
それが、彼女らと勇敢なる大洋州同盟艦隊との邂逅であった!
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昭和18年4月18日。
ブーゲンビル島上空で戦死した聯合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として、生まれ変わることとなる。
高野は、アズールレーンとレッドアクシズとの泥沼な戦争を防ぐために、密かに精鋭集団【紺碧会】を結成して、陸軍中将『大高弥三郎』と共に緩衝地帯【北北海道】にてクーデターを決行、新国家『大洋州同盟』を樹立して、第三勢力【大洋州同盟】を創設した。
だが、戦争へと転がり始めた歴史の流れを止めることはできず、平成11年12月8日。
大洋州同盟は、ユニオンの太平洋地域戦略の要であるハワイ諸島パールハーバーを奇襲攻撃し、これを占領した。
勢いに乗る大洋州同盟軍は、パナマ運河を破壊。
ユニオンの太平洋への軍需物資輸送手段を遮断せしめて、それからの主要な戦いに勝利を収めていき、太平洋の制海・制空両権をほぼ手中に収めたのである。
一方、鉄血総統に就任した【ハインリッリ・フォン・ヒトラー】は、世界制覇を目論み、着実にそれを実行に移しつつあった。
重桜はこれに対して亡命ユダヤ人を受け入れて、平成14年………南樺太に【東方エルサレム共和国】を建国。
同年8月、大洋州同盟は鉄血に対し宣戦を布告した。
時を置かず、大洋州同盟は奇想天外『天極作戦』を発動。
重桜の誇る超大艇富士を以て鉄血の原爆研究所を爆撃、悪魔の計画を頓挫させた!
この成功をきっかけに、ロイヤルの同盟加盟が締結されて、鉄血によるインド太平洋地域への進出を阻止すべく、共同歩調を取ることとなった。
そしてここ、アフリカは喜望峰沖にて、遂に鉄血との初海戦が行われたのである。
【旭日艦隊】
それは、煌武院悠陽殿下の想いが込められた艦隊である。
『世界ノ邪ヲ光持チ、払ス』
大洋州同盟の大義を受け持った大艦隊である。
そして、旭日艦隊旗艦『日本武尊』!
古代重桜神話の英雄の名を持つこの超戦艦こそ、この後世世界が生み出した【最強の戦闘艦】である。
その優れた奇想性能と新思考兵器は、いずれ語られる事であろう…………
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喜望峰沖にて旭日艦隊に助けられたビスマルクたちは、この日本武尊に救出、収容されていた。
士官寝室の扉が開き、応接室へと案内される。
旭日艦隊旗艦 超戦艦日本武尊
艦内通路にて
ビスマルク「かなり巨大な戦艦ね。何トンぐらいあるのかしら?」
ストライクウィッチーズ所属:宮藤芳佳大尉「すみません。それは軍機になっていて……」
士官に連れられ応接室へと通されたビスマルクは、そこでこの艦の責任者と対面した。
ビスマルク「元鉄血総統のビスマルクです。今回は救助の手を差し伸べてくれて、感謝の念に絶えないわ。」
超戦艦日本武尊艦長:冨山正因少佐(58)「本艦の艦長を務めています冨山と申します。ま、おかけになってください。」
椅子に腰掛けたビスマルクは、そこである青年から珈琲を差し出された。
???「珈琲でもどうぞ。」
ビスマルクはその珈琲を貰うと、瞬時に襟の階級章を確認して、内心驚きを示した。
ビスマルク「………………まさか、''艦隊司令官''自ら珈琲を淹れてくださるとは………驚きました。」
???「…………見破られたか。流石の観察眼ですね。」
そういうと、その青年は帽子を外して冨山の隣に座る。
旭日艦隊司令長官:大石蔵良元帥(25)「申し遅れました。当艦隊の指揮を受け持っています、大石と申します。」
ビスマルク「それで、祖国から逃げ出したこの私に何か御用でもおありですか?」
大石蔵良「…………貴官は今の鉄血に関して、憂いる点がおありの様ですな?」
ビスマルク「大洋州同盟のご厚意には深く感謝しているわ。……しかし閣下、祖国を逃げ出したとはいえ一国の代表です。それを裏切ることは…………」
大石蔵良「無論、我々はあなた方から軍事機密を得ようとは考えていません。しかしどうでしょう………………ヒトラーに関しての個人的感想を、お聞かせ願えないでしょうか?」
ビスマルク「……………わかったわ。」
しばしの沈黙の後、それを了承したビスマルクはヒトラーに関しての個人的感想を述べた。
ビスマルク「あの男は、鉄血のみならず全世界にとって''あまりにも危険な存在''である事だと考えているわ。鉄血国民はヒトラーを支持して、彼を総統へと担ぎ上げた…………それが鉄血が犯した''罪''でしょうね。私は彼の…………前世の記憶があるからこそ、議会で彼の潜在的な危険性を唱えたわ。けれど、その時には全て手遅れだった。国民はもとより、議員たちもヒトラーを狂信的に支持してしまっていたわ。そんな彼らの口から出てくるのは、全て私たちKAN-SENに対しての『批判』の声だけだった。」
全世界が鉤十字の旗に覆い尽くされる。
そんなことは、ビスマルクといえど考えたくないことであった。
大石蔵良「ビスマルク''総統''。我が国の首相大高は一国民・一民族というより、【世界の幸福】を望んでいます。無論、鉄血国民のことも然りです。ヒトラーを倒し、新秩序を作るために…………【戦争を乗り越えて、セイレーンに対して一丸となって立ち向かう新たな歴史】のためにも、共に戦っていただけませんか………!」
その申し出に対してビスマルクは戸惑いというより、自身の祖国に対して敵対することに対して若干の躊躇いを持っていたが、いざとなればそれをやれる覚悟はあると言い…………
ビスマルク「そんな我々でよければ……閣下にご協力させて頂きます。…………世界人民の一人として!」
大石蔵良「………………御英断に感謝します!」
こうして二人は厚い握手を交わした。
喜望峰沖での戦闘で旭日艦隊は、13隻のUボートを撃沈した。
無論、損害は皆無。
この事は、ヒトラーの耳に入るところとなる。
鉄血首都 ベルリン
総統官邸 執務室
この報告を受けるや、海軍長官リッペ元帥を召喚して、今回の戦闘の結果に大激怒。
喜望峰に展開させたUボートを13隻沈められただけでなく、ビスマルクたちの抹殺すらも失敗したからである。
対するリッペ元帥は、海軍の戦力が他国と比べて一歩遅れている事を承知している上で、今後の世界征服の為にも海軍の戦力増強をヒトラーに打診。
ヒトラーはそれを了承するが、二度と失敗するなと釘を刺すのだった。
平成15年9月初旬
重桜から出撃した旭日艦隊はシンガポール・インド・ケープタウンを経て、ここト島へ到着。
ロイヤルが大洋州同盟に加盟した事でこの島は、アフリカ制覇を目論む鉄血に対する、絶好な前線基地であった。
ロイヤル領トリスタン・ダ・クーナ島
ロイヤル大西洋方面司令部にて
ここロイヤルの大西洋方面司令部では、今後の作戦行動を話し合っていた。
この時点で鉄血は、アイリス・ヴィシア・サディア本土を蹂躙して地中海を制覇。
強力な装甲軍団を北アフリカ各方面に展開させて、アフリカ制覇に乗り出していた。
旭日艦隊参謀総長:原元芳中将(24)「やはり鉄血の喉元を抑えるためにも…………地中海の出入り口を叩く必要があります。」
ロイヤル大西洋方面軍艦隊指揮官:プリンス・オブ・ウェールズ「ジブラルタルだな?」
原元芳「はい。」
ロイヤルKAN-SEN:フッド「しかし、彼の地には鉄血が建造した堅固な要塞があり…………付近には大規模な空軍基地があります!」
ビスマルク「それに海上戦力も、ジブラルタル港には量産型装甲空母『グラーフ・ツェッペリン』に、対岸のセウタ港にはヒトラーが建造させた量産型高速戦艦『ビスマルクⅡ世』と巡洋戦艦『シャルンホルスト』がいるわ。」
ロイヤル艦隊総旗艦:クイーン・エリザベス「陸海空………共にかなり堅固な要所よ?」
大石蔵良「陛下の仰る通りです。しかし………………''我に秘策あり''………です。」
耳たぶを触りながら、不敵な笑みを浮かべてそう断言する大石に、ロイヤル・元鉄血の面々は言い知れぬ恐怖を感じ取った。
司令部にて打ち合わせを終えた大石の後を、宮藤が追いかける。
宮藤芳佳「蔵良さーん!何か思いついたんですか?」
大石蔵良「…………まぁな。しかし上手くいくかどうかは、これからの訓練次第だ。」
重桜新KAN-SEN:日本武尊「ではやはり、ジブラルタルを奇襲するのだな!」
大石蔵良「奇襲…………と言うよりかは夜襲になる。それに…………厄介な敵を引っ張り出す為にもな。………さて、忙しくなるぞ?」
宮藤芳佳「はい!」
日本武尊「望むところだ!」
そして作戦発動までの間、旭日艦隊各隊は演習を繰り返した!
正に【月月火水木金金】の毎日であった。
そして時は過ぎ…………
超戦艦日本武尊
戦闘艦橋
エレベーターで艦橋へと上がった大石は自身の席に座り、艦隊の準備を確認する。
大石蔵良「諸君!」
原元芳「全艦、出撃準備完了!」
富森正因「無限直で配備完了!対空・対潜要員を配置しました!」
宮藤芳佳「ロイヤルと元鉄血艦隊の皆さんも、準備完了です!」
大石蔵良『旭日艦隊、全艦出撃!!』
大石が意を決して号令を発して、鐘楼に旭日旗が高々と掲げられる!
富森正因「半速前進!」
日本武尊操舵長:島大介大佐「半速前進!ヨーソロー!」
平成14年10月。
旭日艦隊は、ジブラルタル攻略を目指してト島を出撃した!
この新鋭艦隊の陣容を、遅まきながらここで紹介しよう。
旭日艦隊は、40数隻の艦艇が【五輪形陣】を成して行動する。
先陣の海中には、新鋭の『ア号潜水艦』5隻からなる【潜水遊撃艦隊】。
艦隊前衛 海中
ア01潜 発令所
重桜新KAN-SEN:ア01「ようやく出撃………けど眠い。」
重桜新KAN-SEN:ア02《姉さん、起きてください!》
重桜新KAN-SEN:ア03《寝ている暇はないよ?もう作戦は始まってるんだからさ〜。》
重桜新KAN-SEN:ア04《そうだぜ?いよいよあたしらの力を見せつけてやる機会が来たからな!》
重桜新KAN-SEN:ア05《私たちア号姉妹の力…………見せてあげる。》
続く【前衛遊撃艦隊】には、単独遊撃も可能な『虎狼型航空巡洋戦艦』が3隻!
航空巡洋戦艦虎狼
戦闘艦橋
重桜新KAN-SEN:虎狼「いよいよ初陣ですね!中村中将!」
前衛遊撃艦隊司令官:中村勘助中将(29)「そうだな。だが、先走るなよ?」
重桜新KAN-SEN:海虎《大丈夫だよ、勘助のおやっさん!》
重桜新KAN-SEN:海狼《いつも通りにやれば出来るって!》
海中からの脅威には『神風型対潜駆逐艦』が10隻、対空戦には11隻の『秋月型対空駆逐艦』と6隻の『利根型対空巡洋艦』が随伴する!
中央に布陣する【第一遊撃打撃艦隊】には、『信玄型航空戦艦』2隻と『装甲空母信長』が、旭日艦隊の航空戦力の要である!
装甲空母信長
防空指揮所
重桜新KAN-SEN:信長「遂に時来たれり………か。」
重桜新KAN-SEN:信玄《さぁて………この戦、果たして上手くいくかな?》
重桜新KAN-SEN:謙信《お手並み拝見といくさ。大石司令長官の実力とやらをね。》
そして、【司令直掩艦隊】には『超戦艦日本武尊』!
艦隊直掩の『防空軽空母尊氏』は、インド方面で展開される【マダガスカル島奪回作戦】の支援のため、少数の護衛を伴い艦隊から離れている。
そして…………その後を追うかのように随伴する、もう一つの艦隊の姿が…………
クイーン・エリザベスとビスマルクが指揮する、【ロイヤル・鉄血連合艦隊】である。
戦艦クイーン・エリザベス
艦上
クイーン・エリザベス「さて、重桜の実力を見せてもらおうかしら?アドミラル大石。」
戦艦ビスマルク
艦上
ビスマルク「我が鉄血本土を易々と横断した重桜の……いえ、大洋州同盟の腕前、見極めさせてもらうわよ?フェル大石。」
ト島を出撃した旭日艦隊は南米のウルグアイ、サントスを渡り、再び大西洋を横断。
ロイヤル領シェラレオネに寄港して、各国のジャーナリストを相手に会見を開き、鉄血を牽制し始めたのだ。
この模様は全世界に報道されて、勿論ヒトラーの知るところとなった!
鉄血首都 ベルリン
総統官邸 自室
鉄血総統:ハインリッリ・フォン・ヒトラー「海軍長官!敵の攻撃目標は判明しているのか!?」
鉄血海軍司令部
中央作戦室
鉄血海軍長官:ヴィルヘルム・フォン・リッペ元帥「は、はっ!それは…………『ジブラルタル』です!はい、位置は…………」
海軍本部は活気に包まれていた。
旭日艦隊と接敵した【U-556】から、逐一位置報告が入っていたのだ。
これを受けた海軍長官リッペはジブラルタル要塞に連絡を取り、旭日艦隊撃滅のため航空隊を出撃させたのだった!
しかし、要塞司令官「ルドルフ・シュトール中将」の下に届いたのは、いずれも【敵艦隊見えず】であった。
位置情報が来るたびに出撃は繰り返されて………………その都度、元鉄血所属の潜水艦『U-556』の【欺瞞情報】に踊らされていき…………
虚しく、1日が終わっていった………………。
平成14年10月5日 23:55
ジブラルタル要塞 北飛行場
鉄血兵3「また空振りか……」
鉄血兵2「今日はこれで終わりにしてほしいぜ…………」
またしても出撃は空振りに終わり、航空隊が全機帰還したジブラルタル要塞に、超低空から接近する機があった!
鉄血兵1「ん?もう全機戻ったと思ったが…………ぬおわ!?」
超低空から一気に上昇して夜襲を敢行したのは、防空軽空母尊氏搭載の【夜間攻撃機『海神』】であった!
帰投する敵機に対して送り狼となり、超低空で侵入!
滑走路破壊爆弾を投下していき、瞬く間に北飛行場を機能不全に陥らせて疾風の如く去っていった!
今作戦の為に、尊氏から装甲空母信長に移設させていたのだ。
同時刻、ジブラルタル海峡西側でも…………
ア01『全艦!62式、一斉発射!!』
飛行場夜襲に呼応するかのように、前衛潜水艦隊が鉄血海軍の【G37級大型水雷艇】数隻を撃沈せしめた!
重桜新KAN-SEN:怒風『今だ!!ジブラルタル港へ突入!最大全速!!』
哨戒網が手薄になった隙をついて、司令直掩艦隊所属の【第70駆逐隊】がジブラルタル港へ突入を開始!
沿岸砲からの砲撃に晒されるものの、巧みな操艦で弾幕を掻い潜っていき………………
重桜新KAN-SEN:雷風「敵の攻撃はまばらよ!」
重桜新KAN-SEN:響風「これなら行ける!」
重桜新KAN-SEN:旋風「全艦一斉回頭!然るのちに置き土産を発射!!」
敵前で回頭して、4隻が海底に置き土産を残していったことに、気づいた者はいなかった。
ここに至ってリッペは【艦隊による追撃】を決意したが、大洋州同盟が秘匿する噂の"X艦隊"の待ち伏せという不安があり、ヒトラーの判断を仰いだ。
ヒトラーは【X艦隊はインド洋にいる】と判断して、リッペに艦隊の出撃を指示。
リッペの判断は即座にジブラルタル要塞に届き、ジブラルタル港から【量産型装甲空母グラーフ・ツェッペリン】が駆逐艦3隻を率いて出撃した。
だが………………
突如として、駆逐艦2隻が謎の雷撃を受けて撃沈したのだ。
この雷撃の正体は、先の第70駆逐隊4隻が放った【音響探知式海底魚雷】によるものであった。
雷撃は続いて取り巻きの駆逐艦が3隻全て撃沈されてしまい、残った装甲空母グラーフ・ツェッペリンも、18本の魚雷の直撃を受けてしまうが、流石は装甲空母。中破にとどまった。
だが………………
元鉄血KAN-SEN:U-81『群狼戦術、開始ー!!』
元鉄血KAN-SEN:U-110『がおー。魚雷開始ー!!』
ジブラルタル港海中に辛抱強く潜んでいた元鉄血のUボート戦隊のダメ押しの雷撃が決定打となり、装甲空母グラーフ・ツェッペリンはあっという間に大破。
格納庫と弾薬に引火して、船体は3つに裂けて海の藻屑となった…………。
生存者は、ただ一人もいなかった………………。
このグラーフ・ツェッペリン轟沈の報はリッペの下にもたらされた。
鉄血海軍司令部
中央作戦室
リッペ「そんな………………馬鹿な……!…………悪夢だ……………奴らは悪魔か………!」
重苦しい空気が司令部を包んだ。
大洋州同盟の底知れない人事掌握と奇想天外な戦術の前に押しつぶされそうにあった。
だが、そこへU-556からの続報が届いた。
内容は、「ラ・パルナ沖にて敵旗艦を捕捉。雷撃を加えて甚大な被害を与えたり。現在6ノットで南下中」との事だった。
この情報も旭日艦隊が仕掛けた罠であったが、その偽情報にまんまと引っかかったリッペは、直ちに追撃隊を編成・出撃させるのだった。
リッペ「至急ジブラルタルへ連絡!敵旗艦を追撃するのだ!!」
「「はっ!」」
リッペ『セウタの【ビスマルクⅡ世】だ!!』
旗艦級量産型戦艦『ビスマルクⅡ世』。
鉄血海軍が誇る高速戦艦である。
このビスマルクⅡ世と量産型巡洋戦艦『シャルンホルスト』が、ここジブラルタル海峡を支配していると言っても過言ではなかった。
全長248m、排水量41,700トン、38センチ連装砲8門と副砲・対空砲と、強力な武装と高速性能を有していた。
深夜、ビスマルクⅡ世とシャルンホルスト、量産型駆逐艦4隻が、超戦艦日本武尊を追撃するべく大西洋へと出撃した。
この情報はロイヤル情報局を経て、旭日艦隊へともたらされた。
夜明け前 大西洋上
超戦艦日本武尊 戦闘艦橋にて
原元芳「長官、ロイヤル情報局からの通信です。」
参謀長から電文を受け取るや、初戦で上場の戦果を上げたことに満足げな表情を浮かべた。
大石蔵良「ビスマルクⅡ世を引き摺り出すことに成功したか、それも空母空軍もなしの丸裸だ。」
宮藤芳佳「凄い……本当に成功しちゃった……!」
原元芳「作戦通りであります!敵は餌に食い付きました!」
大石蔵良「手負の日本武尊なら、がっぷりと食うさ!」
航海科所属:太田健二郎中尉「会敵は、本日未明になると思われます。」
冨山正因「進路、西南へ!速度このまま!」
島大介「ヨーソロー!」
大石蔵良『酒保開けを
「「はっ!!」」
鉄血海軍の最強艦、ビスマルクⅡ世との戦いが迫りつつあった。
だが、超戦艦日本武尊は、その秘めた力を未だ発揮していない。
名将「大石蔵良」率いる旭日艦隊は、いかに敵を翻弄し倒すのであろうか?
大西洋に登る太陽は、旭日艦隊を…………あまねく、照らしていた…………。
EP3-8へ続く・・・・