アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~ 作:非常勤務艦隊本部
昭和18年4月18日。
ブーゲンビル島上空で戦死した聯合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として、生まれ変わることとなる。
高野は、アズールレーンとレッドアクシズとの泥夢魔な戦争を防ぐために、密かに精鋭集団【紺碧会】を結成して、陸軍中将『大高弥三郎』と共に緩衝地帯【北北海道】にてクーデターを決行、新国家『大洋州同盟』を樹立して、第三勢力【大洋州同盟】を創設した。
だが、戦争へと転がり始めた歴史の流れを止めることはできず、平成11年12月8日。
大洋州同盟は、ユニオンの太平洋地域戦略の要であるハワイ諸島パールハーバーを奇襲攻撃し、これを占領した。
勢いに乗る大洋州同盟軍は、パナマ運河を破壊。
ユニオンの太平洋への軍需物資輸送手段を遮断せしめて、それからの主要な戦いに勝利を収めていき、太平洋の制海・制空両権をほぼ手中に収めたのである。
一方、鉄血総統に就任した【ハインリッリ・フォン・ヒトラー】は、世界制覇を目論み、着実に実行に移しつつあった。
重桜はこれに対して亡命ユダヤ人を受け入れて、平成14年………南樺太に【東方エルサレム共和国】を建国。
同年8月、大洋州同盟は鉄血に対し宣戦を布告した。
時を置かず、大洋州同盟は奇想天外『天極作戦』を発動。
重桜の誇る超大艇富士を以て鉄血の原爆研究所を爆撃、悪魔の計画を頓挫させた!
この成功をきっかけに、ロイヤルの同盟加盟が締結されて、鉄血によるインド太平洋地域進出を阻止すべく、共同歩調を取ることとなった。
そして……翌、平成15年8月16日。
超戦艦日本武尊を旗艦とする【旭日艦隊】が、ロイヤル本土援護のため重桜を出撃。
鉄血のアフリカ侵攻を停滞させるべく、ジブラルタル海峡要塞に夜襲をかけてこれを壊滅させて、量産型装甲空母グラーフ・ツェッペリンを撃沈。
そして遂に、鉄血の誇る【旗艦級量産型高速戦艦『ビスマルクⅡ世』】を引き摺り出すことに成功した!
ここに、重桜と鉄血の間で、初となる戦艦同士の戦いが、始まらんとしていた!
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超戦艦日本武尊追撃のためジブラルタル要塞から出撃してきたビスマルクⅡ世とシャルンホルストは、北アフリカのロイヤル空軍基地から飛来してきた【デ・バビラント モスキート】の偵察便と遭遇して、濃密な対空弾幕を展開していた。
対する偵察便のモスキートは鉄血艦隊を発見するや、ロイヤル情報局を経由して日本武尊へともたらされる。
平成15年 10月某日
大西洋 北アフリカ沖
旭日艦隊旗艦 超戦艦日本武尊
同 戦闘艦橋
旭日艦隊参謀総長:原元芳中将(24)「長官、ロイヤルの哨戒機からの報告です。」
重桜KAN-SEN:日本武尊「やはり敵の編成は、量産型の旗艦級高速戦艦『ビスマルクⅡ世』と、同じ量産型の巡洋戦艦『シャルンホルスト』のみだ。」
ストライクウィッチーズ所属:宮藤芳佳大尉「あれ?護衛の駆逐艦が4隻いたんじゃ…………」
元鉄血所属:ティルピッツ「U-552とU-110が、おやつ代わりと言って沈めたそうよ。」
宮藤芳佳「凄く…………暇だったんですね…………」
旭日艦隊司令長官:大石蔵良元帥(25)「うむ………………典型的な通商破壊戦を考えているな?単独艦にて高速を利して戦う…………………だが日本武尊は輸送船と違うぞ。」
日本武尊「指揮官、私に妙案があるぞ?」
大石蔵良「聞かせてもらおうか。」
日本武尊が考えた作戦は、潜水分遣隊を呼び戻して旗艦を囮とし、側面から雷撃を行うというのだ。
大石蔵良「…………『戦術的』には、満点な回答だ。しかしそれだと、日本武尊''単艦''で来た意味がない。『戦略的』には駄目だ。予定では、もう直ぐゲストをお迎えする。それまでに、もう一度考えておくんだ。」
日本武尊「あ、あぁ………」
ここで、警報がけたたましく鳴り響いた!
前衛のビスマルクのソナーが、敵の潜水艦3隻の接近を捉えたとの事だった。
旭日艦隊による前夜のジブラルタル急襲は、鉄血海軍に深刻な打撃を与えたが、U-556の欺瞞情報により『日本武尊大破』と思い込んだ海軍長官リッペは、戦艦2隻による猛追とUボート戦隊による予想進路への展開を命じた。
この時ヒトラーは、新型兵器の試射に立ち会うためエッセンにある【グルッフ重工業】に向かうところであった。
ヒトラーは、試射への期待とリッペの報告に満足しつつ、車中の人となる。
一方、Uボート群の旭日艦隊接敵の報は、ビスマルクⅡ世にも伝わっていた!
追撃艦隊司令官「ヨハネス・ゲーデ少将」は手出し無用として、Uボート群に攻撃は控えるよう指示を出す。
旗艦級量産型高速戦艦『ビスマルクⅡ世』
同 戦闘艦橋
ヨハネス・ゲーデ「敵は超大型戦艦と聞く。このビスマルクⅡ世の相手にとって不足はないだろう。Uボートの魚雷で沈めるより、この艦で海の底に送り込んでやるのが、海の戦いと言うものだ。」
しかし、ここで接敵したはずのUボート戦隊からの連絡が突如途絶したのだ。
状況報告も一切なかったことから、ゲーデは警戒をより一層強化して大洋州同盟侮りがたしと考えた。
だが、日本武尊は如何にして、Uボート群を葬り去ったのだろう?
時系列は、両艦隊接敵まで遡る。
夕暮れ時 大西洋北アフリカ沖
Uボート群は、【
潜望鏡からは、船体は右に傾き深く沈み込んで大破炎上しながら航行する、''見事なまで''の満身創痍な状態の日本武尊の姿が見えていた。
その見事なまでの光景を見たUボート群はトドメを刺すべく、浮上を開始するのだった。
それ自体が''罠''だと知らずに…………
超戦艦日本武尊 戦闘艦橋
宮藤芳佳「聴音から連絡!敵潜水艦隊が、浮上を開始しました!」
原元芳「見事、こちらの欺瞞に引っかかったようですね。」
日本武尊艦長:冨山正因大佐(58)「司令、防空指揮所から射撃許可を求めてきております。」
同 防空指揮所
日本武尊「指揮官!ここは一つ、''Z弾''で葬るのはどうだ?この状態で雷撃を喰らったらひとたまりもないからな。」
同 戦闘艦橋
原元芳「Z弾?!しかしあれは、秘匿兵器ですが…………」
大石蔵良「日本武尊…………いいだろう。使用を許可する。」
同 防空指揮所
日本武尊「承知した!第一砲塔に、水中用Z弾を装填!」
弾薬庫からZ弾が揚弾されて、砲身内部へ押し込まれて装填。
次いで、砲弾を撃ち出す装薬を装填する。
この世界の艦艇の半分は【KAN-SEN】と呼ばれる『本体』が、『分身』である【艦艇】の操作を殆どするが、新造艦や大規模改造艦となるとKAN-SENだけでは操作しきれない。
その為、砲の射角計算と発射・カタパルトと昇降機の操作・機関制御はKAN-SENが行い、砲の装填・操艦・ダメージコントロール・各種索敵・艦隊指揮は『人間』が行うという、さながら【二人三脚】の様に運用されている。
日本武尊「第一砲塔、左90度に旋回!砲身仰角45度!各砲身射角、0.5ずつ変更!散布面積を広げる!」
KAN-SEN特有の綿密な計算で、方位射角をを調整していく。
日本武尊「射撃用意良し!警報鳴らせ!」
射撃用意が整い、警報が鳴り響く!
同 戦闘艦橋
大石蔵良「一撃で仕留めてくれ。」
冨山正因「はっ!撃てぇ!!」
同 防空指揮所
日本武尊『撃てぇーーー!!』
日本武尊の合図が飛び、本艦最大の武器…………【45口径51サンチ三連装砲】が、凄まじい砲煙と眩い発砲炎を上げてその雄叫びをあげて、水面に衝撃波が走る!
艦内も主砲発射の衝撃で揺れる中、着弾までのカウントダウンが始まり、日本武尊から撃ち出された砲弾は目標の頭上まで飛翔する。
日本武尊「近接信管作動!今!!」
目標の頭上で近接信管が作動して砲弾は炸裂して、散布された小爆弾が海面に着弾して無数の水柱と水中爆発音を轟かす!
この攻撃で、浮上してきたUボート群は文字通り全滅したのだ。
そのZ弾とは何か…………それはのちに明かされることだろう…………。
ビスマルクは戦闘艦橋の一角から、名の知らぬUボート群の乗員の霊に敬礼で見送っていた。
そこへ大石が歩み寄ってくる。
元鉄血総統:ビスマルク「アドミラル大石。」
大石蔵良「ビスマルク総統。我々は貴官らのご協力に、深く感謝と敬意を表したい。ですが、今は謝罪の言葉が見つかりません。」
ビスマルク「…………指導者とは辛いものね。私の命令一つで名の知らぬ兵士たちを戦場に送り込んで、戦いを強要させる…………。」
ビスマルクは夕日の海を見ながら、指導者としての苦悩を吐露する。
ビスマルク「アドミラル大石。戦況は予定通りよ、もう欺瞞情報を流す必要はないと思うわ。」
大石蔵良「はい。しかし………私はあなたに、提案させていただきたいことがあります。」
ビスマルク「…………?その提案とは?」
大石蔵良「【亡命鉄血海軍】を設立して、我々と共に世界共通の敵……ヒトラーと戦っていただけませんか?」
ビスマルク「………………っ?!」
その提案を聞いて、ビスマルクは驚きの表情を示した。
同 応接室
宮藤芳佳「私たちはこれからも、ヒトラー率いる鉄血と戦っていきます。でも……ビスマルクさん達のような心優しい人たちとは、戦いたくないんです!」
日本武尊「これから先、我々が拿捕した艦艇と人員を、貴官らに預けたいと思っている。」
ビスマルク「…………貴方達は、私たちが''裏切る’''と、思っていないのかしら?」
大石蔵良「………………………''ひとたび
この言葉に静かな感銘を受けたビスマルクは、仲間達と話し合った上で決断すると大石に伝えた。
その直後、ロイヤルの戦艦フッドが合流したとの連絡を受けた。
日本武尊後方 1.7浬
ロイヤル所属 戦艦フッド
同 前部甲板にて
彼らは、ロイヤル領シェラレオネから大石の招待によりやって来た、ジャーナリスト達であった。
ロイヤル系記者「お、おい!日本武尊が火を吹いてるぞ!」
南米系記者「ナチスにやられたのか、まさか!?」
アフリカ系記者「それに………もう火災を起こしてる………………あぁっ?!」
記者達が満身創痍の日本武尊を見て落胆の声を上げるが、そこへ発光信号が送られてくるのを双眼鏡で確認した記者達は、それを解読して読み上げる。
『キシャショクン・コレヨリワレ、イチダイカイセンショーヲゴランニイレル・オオイシシレイチョウカン』
その余裕満々なメッセージに記者達は驚きの声をあげて、日本武尊の満身創痍の姿そのものが"偽装''であることを理解した。
ユニオン系記者「なんだ?!あの余裕は?!」
東煌系記者「なんてこった!!それじゃあ………あれは偽装なのか?!」
ロイヤル系記者「信じられない……!!」
日本武尊の船体から張り出した船腹は、一種の『バラストタンク』である。
この内部の空間に注排水をすることで喫水の変化を起こして、浸水によるダメージコントロールや姿勢制御などを行う。
また、煙突や甲板上には『煙幕発生装置』があり、『赤色ライト』と『ガスバーナー』による炎で欺瞞を行うことができる。
日本武尊 戦闘艦橋
宮藤芳佳「フッドから返信です!『ワレライチドウ・カタズヲノミツツ、キカンノフンセンヲカンセンス・キシャダンイチドウ』!」
原元芳「長官、少しやりすぎでは…………」
大石蔵良「かも知れないが、大事な観客だ。主催者としては、挨拶ぐらいはしないとな。」
冨山正因「ニュース映画も来てました。来週には、世界中で注目されることでしょう!」
大石蔵良「ヒトラーがそれを見たら、いったいどんな顔をするのやら………」
時系列は、再びやや遡る。
鉄血最大の兵器事業『グルッフ社』では、ヒトラー自らが発案した新型超距離砲の引き金を引くことに、興奮していた。
とある試験場にて
ヒトラーが壇上に上がり岩壁を掘り抜いたトンネルから、巨大な大砲を搭載した巨大列車がその姿を表した。
『ゲルマン砲』…………それが、この新型兵器の名前であった。
ヒトラー自身が発案した基本コンセプトを、グルッフ社の技術陣が実用化したこの列車砲は、口径28センチ、30メートルの砲身を持つ。
そこから撃ち出される225キロの砲弾は、200キロの射程を誇る。
ヒトラー「素晴らしい…………!ロイヤルは、我が鉄血の力を思い知るだろう。夜昼ぶっ通しでドーバーを超えて、頭上から巨弾に見舞われるのだ。」
この列車砲の恐ろしい所は、アズールレーン最大の禁忌とされている【セイレーンの技術】を使用している点である。
ヒトラーが欧州を制覇する目的の一つに、【セイレーンの関連技術の独占】があったからだ。
今や欧州の殆どが鉄血の手に落ちている現在、各地のセイレーンの工場設備は稼働していて、この超距離列車砲の生産に力を入れていた。
更には、セイレーンの実験施設にもヒトラーは徹底的に調査するよう命じて、実用性があればそれすらも実践に投入するという、末恐ろしい計画を立てていた。
列車砲の試射の準備が終わり、ゴーグルをつけたヒトラーは将兵達に、この列車砲が実践投入された暁には、ロイヤル本土への侵攻が可能になる事を高らかに宣言して、喝采が飛ぶ!
ヒトラー「これより試射を行う!」
警報が鳴り響き、全ての準備が整う!
ヒトラー『ゲルマン砲、発射!!』
引き金を押した瞬間、これまでにない閃光と爆音が轟き、とてつもない衝撃波が襲いヒトラーは壇上から転げ落ちる。
凄まじい砲煙と共に撃ち出された砲弾は、遠く離れた標的艦に命中したのだった。
それを聞いたヒトラーは、世界制覇を確信した!
だが、その確信を打ち破るべく日本武尊は今、戦闘に入ろうとしていた!
この日深夜、量産型巡洋戦艦シャルンホルストが、日本武尊に接近しつつあった!
深夜 大西洋北アフリカ沖
超戦艦日本武尊 戦闘艦橋
双眼鏡で敵艦の姿を確認した大石は、号令を発するのだった。
大石蔵良『総員、戦闘配置!!』
警報が艦全体に鳴り響き、乗員達がそれぞれの部署について戦闘態勢をとる!
日本武尊戦闘班長:古代進中佐『対空砲、銃座準備よし!』
日本武尊機関長:徳川彦左衛門少佐『機関、総員配置よし!』
日本武尊工作長:東田舜少佐『被害対策班準備よし!』
日本武尊生活班長:森雪中佐『医療班準備よし!』
同 防空指揮所
日本武尊『主砲・副砲、射撃準備よし!』
全員が戦闘配置について、敵を待ち構える!
大石は艦内放送を入れて、乗員達を鼓舞する!
一方、量産型巡洋戦艦シャルンホルストは日本武尊を射程圏内に入れていた。
シャルンホルスト艦長「エーリッヒ・ホス大佐」は、立ち上る黒煙を双眼鏡で確認して、満身創痍の日本武尊を見つける。
新兵器の搭載を危惧してホス大佐は片舷に砲撃を集中させて一気に決着をつける事を決める。
艦を右に旋回させて、全門発射態勢をとる!
日本武尊 防空指揮所
日本武尊見張り員2「敵、右へ回頭を始めました!」
同 戦闘艦橋
大石蔵良『よし!!半潜及び偽装炎やめ!!機関出力最大!!』
冨山正因『排水始め!バラスト放出!!』
徳川彦左衛門《タンクブロー!!》
日本武尊《両舷、最大戦速!!》
機関員たちがバラストタンクの操作を始めて、注水した海水を一気に放出!
偽装炎が収まり煙が晴れると、凄まじい波の音と水飛沫と共にその巨大な船体が海中から姿を表した!!
日本武尊副機関長:山崎奨大尉《バウスラスター、右舷全開!》
日本武尊操舵長:島大介大佐『面舵!ヨーソロー!』
右艦首のバルバス・バウから【バウ・スラスター】が展開して作動すると、艦が軋みながら傾き、さながら急旋回の様に進路を変更した!
その様子を双眼鏡で確認したホス大佐は驚愕して、慌てて砲撃を指示!
原元芳「敵弾、来ます!」
大石蔵良『水流噴進を使う!ダッシュ!!』
冨山正因『水噴射!!』
それを確認した大石は水流噴進で急加速させて、一気に射程外へと艦を移動させた!
日本武尊が装備している【噴射水流推進】は、艦内に溜め込んだ海水を一気に放出して、一時的に急加速をさせるものである。
ともあれ、ダッシュした日本武尊はその俊足を披露して、シャルンホルストからの主砲一斉射を躱してみせた。
それを戦艦フッドから観戦していた記者達は、超大型戦艦とはあり得ない加速に目を見張った。
大石蔵良『日本武尊、一撃で仕留めろ!タイミングは任せる!』
日本武尊《よし!任された!》
日本武尊 防空指揮所
日本武尊見張り員5「距離27,000!」
日本武尊砲術長:南部康雄大尉「第一・第二砲塔、零式弾と水中弾を交互装填!」
主砲に弾が装填されていき、尾栓が閉鎖される。
日本武尊「修正値、右4.5!各砲身合致いそげ!」
照準の微調整が終わり、シャルンホルストをその射程に入れて射撃準備が整った!
警報が鳴り、甲板要員が遮蔽物へ退避するを確認する!
日本武尊『いくぞ!!主砲一斉射!!撃てぇーーー!!』
日本武尊の主砲がその唸りを上げる!!
撃ち出された砲弾は確実にシャルンホルストに届き、水中弾を含めて4発命中!
この初弾命中に、記者達は驚きの声をあげた!
4発の直撃を受けたシャルンホルストは耐えられるわけもなく瞬く間に大破炎上、主砲弾薬庫が誘爆して艦体は二つに裂けて艦内は浸水。
かくして、量産型巡洋戦艦シャルンホルストは大西洋北アフリカ沖に轟沈したのだった。
その後方から遅れてきたビスマルクⅡ世では、たった主砲一斉射でシャルンホルストが撃沈された光景を見て唖然としていたが、ゲーデは乗員達に落ち着く様指示を出し、艦内放送で鉄血海軍の伝統と栄光を背負うビスマルクⅡ世が負けるわけにいかない事を説き、戦闘に入る!
日本武尊 戦闘艦橋
冨山正因「ビスマルクⅡ世、直進してきます!間も無く射程距離に!」
大石蔵良「流石に快速だ!相手にとって不足はない!」
宮藤芳佳「いよいよ戦艦同士と一騎打ちですね!」
大石蔵良「ふっ、絵になるじゃないか?」
原元芳「記者諸君らが喜ぶでしょう!」
大石蔵良『こちらも最大戦速だ!正面からいくぞっ!!』
対する日本武尊も、真正面からビスマルクⅡ世と対決をとる!
両者が射程距離に到達したとき、先に砲撃したのはビスマルクⅡ世であった!
前部4門の砲撃で、日本武尊に攻撃を加えようとした!
それを確認した大石はすぐさま水噴射を指示!
急加速でビスマルクⅡ世からの砲撃を躱した!
ビスマルクⅡ世はこれに迅速に対応して艦を右に旋回させて、一斉射をかける様指示を出す!
日本武尊「敵艦、右へ回頭!!かなり速い!!」
古代進「追尾よし!距離2万!」
冨山正因『撃てぇ!!』
対する日本武尊はビスマルクⅡ世の高速性能に少し翻弄されるも、正確に追尾して第一砲塔を発砲!
こちらは初弾でビスマルクⅡ世に夾叉を与えるという、性格ムヒな射撃性能を見せつけた!
ビスマルクⅡ世は至近弾で艦橋の窓ガラスが全て割れるも被害は軽微であった。
ゲーデは慌てず射撃を指示して、前部と後部の交互射撃で反撃を試みる!
ビスマルクⅡ世から放たれた第二斉射は日本武尊の資金に着弾するという、侮り難い射撃性能を見せつける。
そのうちの2発が日本武尊に飛翔していくが………………
日本武尊 防空指揮所
宮藤芳佳『絶対にやらせない!!』
急いで防空指揮所に上がってきた宮藤が自身の魔法力を発動!
ウィッチーズの中でも随一の防御力を誇る巨大なシールドを展開させて、防空指揮所に当たる筈だった砲弾1発を受け止めたが、残り1発もシールドで防いだが至近で炸裂したため後部甲板に被害が出た!
同 戦闘艦橋
大石蔵良「っ!!」
原元芳「報告せよ!」
冨山正因「後部甲板に至近弾!」
日本武尊《宮藤殿のお陰で直撃は免れた!被害微小!》
大石蔵良「流石8門の斉射だ………。(よくやった、宮藤。礼を言うぞ。)」
お返しと言わんばかりに、今度は日本武尊が第一・第二砲塔を交互で射撃!
直後に取り舵をとって、回避運動に入る!
日本武尊からの砲撃は、初撃は外れるもの修正射で遂に直撃をもらい、後部4番砲塔と前部兵員室が大破する!
ゲーデはビスマルクⅡ世の水防対策を信頼していて絶対に沈まぬと乗員達を叱咤激励して砲撃続行を指示!
残りの主砲で応戦を続けるが、既に回避行動を取られてしまい外れてしまう。
対する日本武尊は各砲に自由射撃を命じ、水中弾を用いてビスマルクⅡ世にダメージを与えていく!
この時点でビスマルクⅡ世は多数の直撃弾を受けて艦は傾斜、前部1番砲塔も破壊されて機関室も複数箇所で浸水が発生するが、流石はビスマルクⅡ世、その驚異的とも言える耐久性により傾斜を復元させる。
ゲーデはまだやれると確信するが、数分後にそれが覆ることとなる。
日本武尊 戦闘艦橋
冨山正因「沈みませんな。」
ティルピッツ「ビスマルクⅡ世は水防対策が二重に施されているわ。いくら直撃を与えても無駄よ。」
大石蔵良『ならば敵の戦意を削ぐ!』
日本武尊《了解!Z弾、発射用意!!》
日本武尊の主砲にZ弾が装填されて、号令と共にビスマルクⅡ世に向けて撃ち出された!
日本武尊最大の秘匿兵器である【Z弾】。
弾帯に仕込まれた小型爆弾が、散布界の敵を破壊し尽くす『クラスター弾』である。
ビスマルクⅡ世の頭上で炸裂したZ弾6発から小型爆弾が雨霰の様に降り注ぎ、ビスマルクⅡ世の武装や甲板を容赦なく粉砕していき、一瞬で何が起きたのかすらわからなかったゲーデにもたらされたのは、全砲塔大破に左右副砲・全対空砲の全滅、機関出力の低下などの悲鳴にも似た報告であった。
戦闘能力を喪失した事で敗北を受け入れたゲーデは総員退艦を発するも、日本武尊からの発光信号がビスマルクⅡ世に送られる。
『ユウカンナルキカンノフンセンニ、ケイイヲササゲル・カイセンハオワッタ、ブジナルキトウヲイノル・キョクジツカンタイシレイチョウカン、オオイシゲンスイ』
重桜の武士道精神に感銘を受けたゲーデは彼らの厚意に甘えてジブラルタル要塞への帰路につき、ゲーデもまた、旭日艦隊との再戦を胸に秘めたのだった。
戦艦フッドから観戦していた記者達は日本武尊に歓喜の声を送り、戦闘を終えた日本武尊は戦闘配置を解除して、Uボートの襲撃に警戒しながらシェラレオネへの帰路に着く。
大石の下に、防空指揮所から降りてきた日本武尊と宮藤が合流する。
日本武尊 戦闘艦橋
日本武尊「指揮官。今更だが、宿題の答えがわかった気がする。」
大石蔵良「うん?…………そう言えば、そんなものもあったな。」
日本武尊「敢えて正面から鉄血海軍を打ち破る事で、まだヒトラーに対抗する力があると、彼らに知ってもらわねばならない。彼らの表情を見てようやくわかったよ………………''希望''が必要だったのだな?」
大石蔵良「………まぁ、今度は合格だ。褒美に珈琲を淹れてやろう。」
日本武尊「それはなによりの賞品だな。」
冨山正因「私どもも、ご相伴に預かりたいものです。」
大石蔵良「あぁ、構わんよ?俺の奢りだ。」
緊張が張り詰めていた艦橋の空気が一気に緩んだ。
そして、元鉄血総統ビスマルクが亡命鉄血海軍の設立を決意したのも、あるいはこの瞬間であったかもしれない。
これ以降ビスマルクは変わらぬ大洋州同盟との友情を貫き、後に【民主鉄血】の国会議長を妹の『ティルピッツ』が務め、ビスマルクは彼ら旭日艦隊と行動を共にするのであった。
一方、鉄血では……………
ビスマルクⅡ世惨敗の報が、直ちにヒトラーの下へ知らされた。
リッペは、自身の去就に関して哀れなほどに怯え切っていたが…………意外にも、その件に関してヒトラーの沙汰はなかった。
新たな敵……………………旭日艦隊に対する怒りのみが、彼の脳裏を占めていたからである。
鉄血 ヒトラー私邸にて
ヒトラー「全ては世の計画通りに進んでいる…………………なのに何故、アズールレーンの寄せ集めどもと極東の島国が世に逆らうのだ!」
そう言って、ヒトラーは拳銃を壁に立てかけていた世界地図に向けて発砲する!
その銃弾は全て、日本列島の位置に当たっていた。
ヒトラー「我が念願の………………''千一夜計画''も年内に片がつく。その時余が、世界の王となる…………………誰にも邪魔はさせん!!」
そして再び拳銃を発砲するのだった。
北大西洋における海戦の結果は、遠く離れた重桜にも………………
某日
重桜帝都 東京
首相官邸 談話室
重桜首相兼重桜陸軍大臣:大高弥三郎「先ずは、満足すべき戦果ですな。」
重桜海軍軍令部総長:高野五十六「はい。その模様も、ロイヤルとアフリカの記者達に見届けてもらったそうです。」
大高弥三郎「流石、大石元帥は旭日艦隊の任務をよく理解しています。」
高野五十六「紺碧艦隊を''陰''とすれば、旭日艦隊は''陽''…………と言う事ですな?」
帝都城 執務室
初代政威大将軍:煌武院悠陽「即ち陰軍と陽軍です。旭日艦隊はその持てる打撃力を世界に見せつける事で、抑止力になってもらわねばなれません。」
近衛隊長:月詠真耶中尉「しかし………………強力な打撃力は、より強大な敵をも呼び寄せるかと…………。」
煌武院悠陽「…………ここからが、本当の戦いです。……………………よろしく頼みます……大石元帥、旭日艦隊……!」
両雄の願いを伴い、超戦艦日本武尊は朝焼けの大西洋を南下していた!
夜明け
大西洋 北アフリカ沖
超戦艦日本武尊 戦闘艦橋
大石蔵良『我々は目的を果たした。だがそれは、敵艦撃沈ではない。海戦に勝つ……その事は、目標ではないからだ。本作戦の目標は、彼らアフリカ民族の決起を促す事にあった!やれば出来る!ヒトラー言うところの、第四階級がやってみせたその意義は大きい!不動明王の姿は卑属だが、こちらには大きさを有している。人間もまた然り!如何なる民族・国民とも言えど、その価値は……内なる魂の高貴さにあると。この事を肝に銘じておいてほしい。』
大石の演説に、全員が真剣な顔で耳を傾ける。
大石蔵良『……………今後我々は、多くの国々の人たちと接するであろう。その際は、いつも旗艦にはためく、''旭日旗''と……''不動明王旗''を、思い出してほしい!』
彼ら旭日艦隊の使命は大きい。
だが、大洋州同盟の目的が達成されるその時まで、名将「大石蔵良」は、その秘策を以て敵を打ち破り、勝利するであろう………
大西洋に登る太陽は、超戦艦日本武尊をあまねく照らし………………蒼く澄んだ海原の先を征く。
彼らの次なる戦いは、迫りつつあった!
EP4-1へ続く・・・・
次回、シーズン4へ突入!