アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~   作:非常勤務艦隊本部

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注意:今回は話の中でやばいセリフがありますが、あくまで【フィクション】ですので、真に受けないでください。


シーズン4:疾風怒濤の大西洋と暗雲立ち籠めし印度洋!
△:EP4-1 鉄血超重爆撃機要撃作戦


 

 

 

昭和18年4月18日。

 

ブーゲンビル島上空で戦死した聯合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として、生まれ変わることとなる。

 

 

高野は、アズールレーンとレッドアクシズとの泥沼な戦争を防ぐために、密かに精鋭集団【紺碧会】を結成して、陸軍中将『大高弥三郎』と共に緩衝地帯【北北海道】にてクーデターを決行、新国家『大洋州同盟』を樹立して、第三勢力【大洋州同盟】を創設した。

 

 

だが、戦争へと転がり始めた歴史の流れを止めることはできず、平成11年12月8日。

 

大洋州同盟は、ユニオンの太平洋地域戦略の要であるハワイ諸島パールハーバーを奇襲攻撃し、これを占領した。

 

 

勢いに乗る大洋州同盟軍は、パナマ運河を破壊。

ユニオンの太平洋への軍需物資輸送手段を遮断せしめて、それからの主要な戦いに勝利を収めていき、太平洋の制海・制空両権をほぼ手中に収めたのである。

 

 

一方、鉄血総統に就任した【ハインリッリ・フォン・ヒトラー】は、世界制覇を目論み、着実に実行に移しつつあった。

 

重桜はこれに対して亡命ユダヤ人を受け入れて、平成14年………南樺太に【東方エルサレム共和国】を建国。

同年8月、大洋州同盟は鉄血に対し宣戦を布告した。

 

 

時を置かず、大洋州同盟は奇想天外『天極作戦』を発動。

重桜の誇る超大艇富士を以て鉄血の原爆研究所を爆撃、悪魔の計画を頓挫させた!

 

 

この成功をきっかけに、ロイヤルの同盟加盟が締結されて、鉄血によるインド太平洋地域進出を阻止すべく、共同歩調を取ることとなった。

 

 

そして……翌、平成15年8月16日。

 

超戦艦日本武尊を旗艦とする【旭日艦隊】が、ロイヤル本土援護のため重桜を出撃。

 

そして同年10月。

 

 

大洋州同盟軍による、鉄血のインド太平洋進出の拠点『マダガスカル島』奪回に向けて大作戦を展開。

マ島各鉄血基地を強襲、敵前上陸を成功させた!

 

 

そして大西洋では、名将「大石蔵良」率いる旭日艦隊が、鉄血のアフリカ侵攻を停滞させるべく作戦を展開。

 

夜陰に乗じて鉄血本土の要所【ジブラルタル海峡】を急襲、空軍飛行場を壊滅、量産型装甲空母グラーフ・ツェッペリンを撃沈せしめて、セウタ港から鉄血海軍が誇る旗艦級量産型高速戦艦『ビスマルクⅡ世』を大西洋へと引き摺り出して、打ち勝つ事に成功した!

 

 

大洋州同盟・ユニオン・鉄血の三極構造により、後世世界はますます混迷の度合いを深めていった…………

 

 

 

 

平成15年 秋初頭

 

重桜茨城県 土浦海軍航空基地

 

同 試験場にて

 

 

ここ土浦海軍航空基地にて、後世世界初となる『ジェットストライカー』である【桜花】の飛行実験が行われた。

 

 

重桜ウィッチ:国崎橙子大尉《点検終了。ユニット・エンジン・ライフルに異常なし。》

 

 

実験責任者:ウルスラ・ハルトマン大尉「実験開始1分前、観測班は機器のチェックを。」

 

 

この試験でこの新型局戦の実用性が示されるため、万全の体制で臨む。

 

風速と風向きも問題なしとして、射出機の点火用意に入る。

 

試験場に警報が鳴り引き、数秒後に射出機は点火されてウィッチが勢いよく打ち出される!

 

 

国崎橙子「エーテルロケットモーター点火!」

 

 

新しく開発された加速用の【エーテルロケットモーター】が点火して、凄まじい速度で高度を上げていく!

 

 

ウルスラ・ハルトマン「モーターを切り離してください。」

 

 

ウルスラの指示が無線越しに届きモーターが切り離される。

 

そして…………

 

 

国崎橙子『魔導噴進発動機、点火!』

 

 

新型の魔導エンジンが轟音と共に始動して、その驚異的とも言える加速性能を見せつける!

 

この加速でもユニットには何ら不具合はなく、後世世界の技術力の高さが伺い知れる。

 

機体はどんどん上昇していき、8,000………9,000と……止まるところを知らない。

 

 

遂に高度が10,000を超えた事でウルスラたち技術者は実験は成功したと判断。

 

この日桜花は、実用上昇高度15,000を叩き出して、量産への正式な承認を得た。

 

 

 

帝都 東京

 

海軍省 執務室

 

 

 

高野五十六は、桜花の飛行実験成功の報を聞いて満足げな声を上げた。

 

 

重桜KAN-SEN:高雄「ユニオンは、B-32を大量生産しているとの情報が入っている。桜花の量産の目算が立った事で、空の守りは新しい時代へと移ったわけだ。」

 

 

この頃には既に、後世世界最高の機体【蒼莱】も全て噴進発動機に換装されていて実践配備されているものの、数の面で言えばやはり少ないのである。

 

 

重桜ウィッチ隊総監:北郷章香大将「501部隊の解散に伴い、7つの戦闘航空団では本土の守りは困難であったが、重桜陸海軍でウィッチ隊の教育と養成が上手くいってからは順調と言っていい。」

 

 

この時点でウィッチーズ隊の中でも最古参である【第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』】は、最高戦力でもある「宮藤芳佳」の旭日艦隊への派遣、戦闘隊長であり隊の教育係でもある「坂本美緒」の魔法力の減衰による除隊と教導隊への転属、そして何より……隊全体の平均年齢の上昇もあり、大洋州同盟はストライクウィッチーズの解散を正式に決定。

 

所属していたウィッチ達は、他の隊の応援又は予備役入りになる者もいた。

 

なお、ストライクウィッチーズ隊長の「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐」は高い指揮能力を買われて、大洋州同盟のウィッチ達総司令官の人を拝命して『元帥』に特進、現在はシンガポールの司令部にて【統合戦闘航空団の新編成】の人事に忙殺されていた。

 

 

海軍軍令部総長:高野五十六「うん。現在の状況で、本土防空に回せるウィッチはどのくらいだ?」

 

 

北郷章香「現時点では第1期生の総数が48名で、内20数名を600番台の統合戦闘航空団に回すとして…………残り20名余りだ。」

 

 

高野五十六「今はそれで十分だ。引き続き、ウィッチ候補生の練成と機体の量産に力を入れてくれ。」

 

 

 

そして時は過ぎ…………

 

 

大洋州同盟とロイヤル・インド連合軍によるマダガスカル島奪回は、鉄血守備軍の猛烈な抵抗に阻まれて、遅々として進まなかった。

 

 

 

南大西洋 トリスタン・ダ・クーナ島

 

旭日艦隊旗艦 超戦艦日本武尊

 

同 応接室

 

 

 

旭日艦隊司令長官:大石蔵良元帥「予想はしていたが、マ島の戦況がそこまでとは…………」

 

 

旭日艦隊参謀総長:原元芳中将「ロイヤル情報局からの最新の戦況によると、マ島の守備軍は弾薬尽きてもなお抵抗を続けており、ロイヤル・インド混成軍は中々進撃できないとの事です。」

 

 

重桜KAN-SEN:日本武尊「だが問題なのは、鉄血の主力が中東アジアへ進出している事だ。」

 

 

この時ヒトラーは、石油が豊富の中東アジアへその版図を広げつつあり、その脅威はインド亜大陸にも波及しようとしていた。

 

そこに、宮藤がある疑問を口にする。

 

 

元ストライクウィッチーズ所属:宮藤芳佳大尉「でも…………中東に進撃しても、補給とかはどうするんですか?欧州大陸からは大きく離れてますけど…………」

 

 

宮藤の懸念は最もであった。

 

一見してみれば、ヒトラーは無謀な出兵をしている様に見える筈だが、ある方法で補給路を確保しようとしていた。

 

 

大石蔵良「恐らくは…………''鉄道''だな。」

 

 

宮藤芳佳「れ、列車で…………ですか?」

 

 

大石蔵良「前世ドイツはベルリン・イスタンブール・バグダードを鉄道で結んで、アジア進出を目指していた。それを『3B政策』と言うが……………………ヒトラーは恐らく、その3B政策をさらに拡大させた方法で、鉄路による補給路を確立しているかもしれない。」

 

 

重桜KAN-SEN:尊氏「大洋州同盟の主力の殆どがマ島に釘付けにされている以上、鉄血にとっては邪魔が入らずに版図を広げられる絶好の機会…………と、言うわけですね?」

 

 

重桜KAN-SEN:信玄「おまけにスターリン率いる北方連合の大部隊はウラル要塞に立て籠っていて、迂闊に出てこれない状態…………」

 

 

重桜KAN-SEN:謙信「中東・インドを制圧して、北方連合を西と南から挟撃できる体制を築くつもりかもな。」

 

 

アジアから遠く離れた彼らにとっても、アジア戦線には敏感でなければならない。

 

しかし、旭日艦隊としてもやらなければならないことがあった。

 

 

日本武尊艦長:冨山正因大佐「しかし長官。来年の1月末には【心臓作戦】が発動されます。我が陣形も現在は主に【太平洋】と【大西洋】の二つの戦線を抱えています。」

 

 

重桜KAN-SEN:信長「そこへ新たに【インド洋】も抱え込むとなると…………こちら必然的にジリ貧な戦いを強いられるとこになるな…………」

 

 

重桜KAN-SEN:虎狼「それに心臓作戦は、紺碧艦隊との連携作戦です。かなり厄介になりますが…………」

 

 

幕僚達が口々に不安を吐露する。

 

それもそうだ。

 

旭日艦隊はインド洋を護る紅玉艦隊と連動して鉄血に対して陽動をかけるのが任務となっているが、その紅玉艦隊が近頃、鉄血のUボート艦隊の襲撃で戦力が減少しつつあると言うのだ。

 

現在の紅玉艦隊の戦力は改造戦艦8隻と空母2隻であるが、航空護衛戦艦『亜利空奈』と『尾位保間』の2隻が予想以上の老朽化により重桜本土にて改装工事を受けており、6隻の改造戦艦でインド洋を守らなければならないと言う酷ともいえる状況であった。

 

 

大石蔵良「まぁ、皆が不安になるのもわかる。だが先の事を考えても仕方のない事だ。紺碧艦隊主導の作戦もまだ草案段階だからな。心臓作戦の詳細は本国軍令部から追って伝達される。それまで我々は、輸送路の防衛と敵通商破壊の阻止に努めてもらいたい!」

 

 

「「はっ!」」

 

 

その日もまた、鉄血の小規模艦隊がジブラルタル海峡から出てきた報を受けて旭日艦隊は出撃していった。

 

 

 

それから数日の後、大高はアイリスとヴィシアの和解のため借款に応じでいる中、煌武院悠陽の姿は意外な所にあった。

 

 

帝都 東京 銀座

 

とあるレストランにて

 

 

 

重桜初代政威大将軍:煌武院悠陽「冬の会食も良いものですね。」

 

 

紺碧艦隊司令官:前原一征少将(富嶽太郎)「それにしても………殿下の変装も大したものですなぁ……」

 

 

煌武院悠陽「い…いえ、貴殿に習ってやってみたのですが…………変でしたか………?」

 

 

前原一征「ははははwwwよくお似合いです。」

 

 

 

この日、煌武院悠陽は本土に帰参してきた前原と海江田に会うため、極少数の護衛とともに都内の高級レストランに訪れていた。

 

 

 

煌武院悠陽「インドはどうでしたか?」

 

 

前原一征「一言にいって騒然としていました。既に一部の資産家たちは南への避難を始めています。殿下は、鉄血による“インド支配“はあるとお思いですか?」

 

 

煌武院悠陽「中東から迫りつつある鉄血に対して、インド国内でも緊張が高まりつつあり……………“ある“…と、確信しております。」

 

 

紺碧艦隊第二戦隊司令官:海江田四郎少将(松平仁志)「………………煌武院殿下のお考えはどうなのですか?」

 

 

 

煌武院悠陽「“秘中の秘“です。知っているのは、大高総理と高野総長だけです。」

 

 

海江田四郎「…………自分らにも、お聞かせいただいても?」

 

 

煌武院悠陽「無論です。」

 

 

 

ここで、悠陽は今後の対鉄血戦略を明かした。

 

単刀直入に悠陽は【北部インドは“一時的に“鉄血に明け渡す】事を打ち明けた。

このことに前原と海江田は驚愕するが、悠陽は続けてその狙いは【ウラル永久要塞に立て籠っている“スターリン“】だと言って、海江田は軍人では稀の“政治的知見“で【敵の力を利用して、その間に問題を根本的に解決する】事を見抜いた。

 

 

煌武院悠陽「戦火はウラルのスターリン軍だけでなく、インドと東煌もついています。必ず乗る筈です!」

 

 

前原一征「一石三鳥ですか………………それなら私でも食いつきます。」

 

 

煌武院悠陽「そこなのです。美味しい餌でも、食べ過ぎれば腹痛を起こします。食べようとすれば逆に飲み込まれる…………………北方連合にはその様なところがあります。インドはそれ以上で、東煌はそれすらをも超えるものがあります。」

 

 

海江田四郎「人口を以てしても鉄血は“数千万“で、インド・東煌は“数億“………………一時的に抑えられても、最終的には“飲み込まれる“……………前世日本軍と同じ結果となるわけですな?」

 

 

煌武院悠陽「はい。しかし、制海権だけは“絶対“に渡すわけにはいきません!………………ここまで話せば、お分かりですか?」

 

 

前原一征「いえ…………」

 

 

海江田四郎「分かりやすく言えば………“大西洋“は旭日艦隊が抑えていて、“ケープタウン“には強力なロイヤルの量産型主力艦隊がいる。貴官がヒトラーなら、どう判断する?」

 

 

 

前原一征「一つしかありません。地中海にいる鉄血艦隊は、スエズ運河から紅海・インド洋を経て……っ!“スエズ運河の封鎖“?!」

 

 

煌武院悠陽「いいえ。ユニオンとは違って、安定した戦後のためにスエズ運河の封鎖はなりませんし……やるとするならば、火力は一点に集中させるべきです。」

 

 

前原一征「すると………“紅海“!」

 

 

煌武院悠陽「アラビア半島とアフリカ大陸に挟まれた小さな海です。袋の鼠にできるでしょう。」

 

 

海江田四郎「敵を狭い海に誘い出して一気に叩く……………上手くいけば、旭日艦隊との理想的な連携ができる。」

 

 

煌武院悠陽「作戦立案はお任せします。このことは、高野総長も了解済みです。」

 

 

前原一征「はい。」

 

 

 

それから前原と海江田は軍令部で、幾度かの作戦立案を行い、計画を練り上げていった。

 

 

そして、時は過ぎ……………

 

 

 

平成15年12月6日

 

北海道中川郡本別町 郊外

 

 

第502統合戦闘航空団基地(旧本別百十五防空飛行分遣隊基地)

 

 

12月になりかつての大洋州同盟の本土『北海道』にも雪の季節がやってきて、十勝平野は銀世界になっていた。

 

 

ブレイブウィッチーズ所属:ジョーゼット・ルマール中尉「冬の重桜は寒いね………。」

 

 

ブレイブウィッチーズ所属:菅野直枝大尉「へっ、北海道の冬なんざへでもねえな。」

 

 

ブレイブウィッチーズ所属:下原定子中尉「ペテルブルクと比べれば、それ程きつくはないですね。」

 

 

ブレイブウィッチーズ隊長:グンドュラ・ラル中佐「その通りだ。そして今日も飛行訓練を行う。」

 

 

ブレイブウィッチーズ戦闘隊長:アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン少佐「今回は重装甲ライフルの空中射撃訓練も行います。先行量産された武器ですので取り扱いには注意してください。特に、そこの三人は。」

 

 

クルピンスキー・ニパ・菅野「うっ…………」

 

 

ブレイブウィッチーズ教官:エディータ・ロスマン中尉「では皆さん、発進準備にかかりなさい!」

 

 

 

重桜の北の空を護る大任を負う【第502統合戦闘航空団『ブレイズウィッチーズ』】は、新しく配備された【噴式局地戦闘迎撃脚『桜花』】を乗りこなす為、連日の如く飛行訓練に明け暮れていた。

 

正式採用された【対加速重力服一型乙】に着替えたウィッチたちは、それぞれの射出機に向かいユニットを装着して武器を持つ。

 

ユニットを装着したのを確認して、射出機を70度の角度まで上げる。

 

 

全射出機の展開が終えると、警報が鳴り響きユニットにあらかじめ装着されている【エーテルロケットモーター】を点火、その3秒後に全機発進!

 

 

凄まじい白煙を巻き上げて、ウィッチたちは雪雲の空へと舞い上がる!

 

 

ロスマン「5……4……3……2……1……モーター切り離し!噴進発動機、点火!」

 

 

短時間で加速した後にロケットモーターを切り離し、新型の噴進発動機を点火しさらに高度をあげる!

 

厚い雲層を抜けて、冬の大空へと飛び出した502部隊は高度15,000で編隊を組んで飛行を続けていたが、そこへ急報が入った!

 

 

置戸町郊外 上空

 

 

軍用無線《こちら、重桜海軍美幌第二航空基地。ブレイズウィッチーズ、応答せよ!》

 

 

ラル「こちら、第502部隊のラル中佐だ。」

 

 

軍用無線《枝幸電探基地より、オホーツク海上空に国籍不明機が多数侵入の通報あり!ブレイズウィッチーズは直ちに訓練を中止しオホーツク85空域へ急行せよ!これは訓練にあらず!》

 

 

ラル「了解した。全機、聞いての通りだ!続け!」

 

 

『了解!』

 

 

 

オホーツク85空域

 

 

厚い雲層を抜けて姿を現したのは、大洋州同盟の新型機【警戒管制機『飛鴎(ひよう)』】である。

 

オホーツク海において国籍不明機多数侵入の報を聞き、旭川航空基地から迎撃隊誘導のため急行してきたのだ。

 

 

 

重桜パイロット《こちら警戒管制機''隼''1号機!貴様の所属を答えよ。》

 

 

ラル「第502符牒''ブレイブウィッチーズ''、誘導願う。」

 

 

重桜パイロット《…………確認!そこより南南東に、高度11,000にて樺太55空域へ迎え!侵入機の数は5~10!》

 

 

ラル「了解した。」

 

 

警戒管制機飛鴎の誘導により索敵の手間は省かれて、飛行時間が短い桜花を最大限に生かすことができた!

 

では、この桜花の性能の一旦を、遅ればせながら説明しておこう。

 

 

主機は【『ネ-530』超エーテル式軸流ターボジェット】、最大速は推定820キロで、加速用ブースター使用時には920キロ。

 

実用上昇限度は10,000メートル以上と公表されていないが、上昇時間は9,000までに3〜4分。

 

専用武装は、荒川重工が開発した60ミリ口径の【99式重装甲ライフル】を1丁。

 

 

 

樺太55空域

 

 

ラル「こちらブレイズウィッチーズ。樺太55空域に到達。高度12,300にて待機する。」

 

 

重桜パイロット《了解!》

 

 

 

ブレイズウィッチーズが樺太上空に入り、ライフルの試射を行う。

 

銃弾を装填後、安全装置を外して引き金を引く。

 

するとこれまでに無い反動とともに高初速弾が撃ち放たれた!

 

 

この99式重装甲ライフルは、ストライクウィッチーズの【ボーイズMk.1対装甲ライフル】を基に、荒川重工業が独自規格で改良・強化を施した武装である。

 

全長2,050ミリで重量30.3キロ、60ミリ口径の全長160ミリの徹甲弾を使用する。

弾倉付きで装弾数は30発。

 

命中精度を高めるために、光学兵器や照準器などの製造を手掛ける『遠田技術』が元鉄血のKAN-SEN達からの技術提供を受けて製造された【零式液晶照準投影器】と専用の【光学照準器】を開発。

 

試作段階ではあるが、実用性の余地有りとして試験的に採用させている。

 

 

そして、ライフルの試射を終えたウィッチ隊は周囲を警戒して、侵入機の捜索にかかる!

 

 

するとブレイズウィッチーズの雁淵ひかりが何かを見た!

 

その機影をもう一度見ると、明らかに暗い塗装に大型の機体が冬の大空を飛んでいた。

 

 

 

雁淵ひかり少尉「いた!侵入機を見つけました!」

 

 

菅野直枝「なに!」

 

 

サーシャ「ひかりさん、位置は!?」

 

 

雁淵ひかり「11時下方で、機数は…………7……8……9…………10機です!」

 

 

 

彼女自身も最初はユニオンの超重爆撃機『B-32』だと思っていたが、主翼の黒い十字のマークを見てそれがユニオンのものでは無いと確信した。

 

 

 

雁淵ひかり「……………って、ユニオンの機体じゃありません!!主翼に黒い十字のマークが見えます!!」

 

 

ニパ「黒い十字?!」

 

 

下原定子「こちらでも確認しました!!国籍マークが黒い十字に6発の大型機です!」

 

 

ラル「まさか、あれが坂本艦隊を襲ったという…………''ヨルムンガンド''か………!!」

 

 

 

重桜本土に侵入したのは、ユニオンのB-32ではなく………………鉄血空軍の誇る【大陸間渡洋爆撃機】である『ヨルムンガンド』であった!

 

 

雁淵ひかり「ラル隊長!私に先陣を切らせてください!」

 

 

ラル「ひかりか、いいだろう!先頭の奴に喰らいつけ!陣形が乱れた所を我々がやる!」

 

 

雁淵ひかり『了解!!雁淵ひかり!吶喊します!!』

 

 

 

ひかりが1番槍にして502部隊が突入を開始!

 

鉄血爆撃隊は完全に不意を突かれてしまい、ウィッチを視認した途端に慌てて迎撃するも時すでに遅く、眼前に捉えられていた!

 

 

ひかりは敵機に目一杯接近して、照準投影器に全体を捉えて…………

 

 

雁淵ひかり『いっけぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

重装甲ライフルから打ち出された60ミリ口径の徹甲弾はヨルムンガンドの厚い装甲を食い破り、片欲のエンジンを破壊、撃墜に成功する!

 

間髪入れずに他の機も突入を開始して、ヨルムンガンドを1機撃墜!

 

先行したひかりはヨルムンガンドからの迎撃を素早く交わして急上昇、急降下しながら攻撃を加えて2機目を撃墜する!

 

 

雁淵ひかり「もう一撃………いけるはず……!」

 

 

ロスマン「ひかりさんはそのまま真下を突っ切って態勢を立て直して!」

 

 

菅野直枝「お前熱で2日寝込んで機体に慣れてねえんだ!残りはあたしらでやってやる!」

 

 

機体の損失率が高くても、流石はブレイズウィッチーズ。

 

数分のうちにヨルムンガンドを瞬く間に7機撃墜して、その数を減らしていく!

 

数的不利になったヨルムンガンドの編隊は、ロケットブースターを使って離脱を図るが…………

 

 

 

クルピンスキー「どうやら逃げに入ったようだね………!」

 

 

ラル「逃すつもりはない!追撃しろ!」

 

 

ひかり「了解!………第2第3モーター点火!!」

 

 

ひかりがポケットからリモコンを取り出して二つのスイッチを押した瞬間、ユニットに搭載された【加速用ワルターブースター】が点火して、ヨルムンガンドを猛追する!

 

 

 

雁淵ひかり「くっ!うぅぅ…………!!す…‥すごい、加速重力…………!!だけどぉ!!」

 

 

自身が初めて経験する加速に驚くも持ち前の根性で耐えた上、逃走を図ったヨルムンガンド3機を撃墜に成功する!

 

 

 

ラル「よし、燃料が心配だ。稚内基地へ帰投するぞ。」

 

 

ロスマン「了解。」

 

 

 

この戦闘で桜花の実用性は確立されて、雁淵ひかり少尉もヨルムンガンド5機撃墜という新記録を叩き出して、大尉への昇進が決まるのだった。

 

だが、本土侵入を図ったヨルムンガンドの編隊は、オホーツクの10機に留まらなかった。

 

 

同日

 

日本海 佐渡島上空

 

 

日本海を超え、北陸方面から侵入を図ろうとしたヨルムンガンドの編隊は、佐渡島にて新編成された【第600統合戦闘航空団】の『墳式蒼莱』が全機撃滅した!

 

 

帝都東京 帝都城

 

同 執務室

 

 

煌武院悠陽「やはり、侵入機は鉄血のヨルムンガンドでしたか。」

 

 

月詠真耶「はい、神代!」

 

 

一般武家:神代巽少尉「は!本土上空に侵入したのは、北海道オホーツク方面から10機、新潟県佐渡島方面から10機の計20機ですが、いずれも各防空飛行隊が迎撃、殲滅に成功しています。」

 

 

しかしそこへ、急報がもたらされる。

 

 

諸代武家:篁唯依中尉「殿下!緊急事態です!」

 

 

月詠真耶「何事だ!」

 

 

篁唯依「ヨルムンガンドの編隊が、帝都上空に侵入されました!」

 

 

月詠真耶「くっ!第三波か!!」

 

 

煌武院悠陽『私の名で陸軍航空隊に命令を発しなさい!!八王子防空隊を出動させよと!!』

 

 

月詠真耶「はっ!直ちに!」

 

 

 

重桜本土 三浦半島上空

 

 

警戒警報発令と同時に、海軍横須賀航空隊にも上空待機が命じられた。

 

 

重桜ウィッチ「いたわ!1時の方向、続け!」

 

 

重桜海軍の【第十四独立飛行隊】が敵影を発見して、迎撃に向かう!

 

 

重桜ウィッチ「敵は4発大型!海軍じゃないわね!」

 

 

すぐさま機関銃の安全装置を外して、引き金を押そうとした瞬間、通信が入る!

 

 

《待て海軍!我友軍!こちらは''陸軍航空隊''!》

 

 

重桜ウィッチ「…………なんですって…………陸軍が防空任務に……?!」

 

 

 

横空のウィッチ隊が敵と見間違えた4発機こそ、八王子の【第八十九飛行師団第三独立要撃隊】の【特大型要撃機『嵐龍』】であった!

 

 

嵐龍 機体

 

 

重桜陸軍兵3「1時の方向、距離50に敵機!」

 

 

第三独立要撃中隊戦隊長:駒木咲代子大尉「敵味方の識別を急げ!」

 

 

重桜陸軍兵3「…………応答なし、敵と識別します!」

 

 

駒木咲代子「数は?」

 

 

重桜陸軍兵3「不明。戦隊長、海軍にも協力を!」

 

 

重桜陸軍兵2「戦隊長、海軍の飛鴎より通信!''敵は超重爆ヨルムンガンド10機、帝都に向かい南下中''!」

 

 

駒木咲代子「感謝すると返信!よし、このまま行くぞ!」

 

 

 

嵐龍は、【過給機付レシプロ1,800馬力エンジン】を4基に、【3銃身回転式20ミリ機関砲】を上下に二列の計16門の斜め銃を装備している。

 

各砲は『毎分8万発』の発射速度を誇る!

 

この嵐龍が本土の守護神になるかならぬかは、程なく証明されよう。

 

 

飛行を続けること数分、嵐龍隊は鉄血のヨルムンガンドの編隊と会敵、後方に回り込んで射撃位置につける!

 

一方ヨルムンガンドの方は、自分たちの常識とは外れた機体が迎撃に上がってきたのに疑問を抱きつつも、帝都に向かい飛行を続ける。

 

 

射撃位置についた嵐龍隊は二手に分かれて、【ミシン縫い】と呼ばれる戦術の用意を始める。

 

ヨルムンガンドの編隊も、重桜の不可解な行動に疑問を抱き、その間にもミシン縫いの用意は進む。

 

いいしれぬ恐怖に耐えかねたヨルムンガンドは各機ごとに迎撃を始めるが後の祭り、機銃手がリモコンのスイッチを押した瞬間、ガ式機関砲が一斉に射撃を開始したのだ!

 

 

上下から繰り出される機関砲弾は、ヨルムンガンドの編隊を最後尾から穴だらけにされていき爆散!

 

他の機も次々と砲弾の豪雨にさらされていき撃墜されていく!

 

 

正に【ミシン縫い】と名付けたり。

 

嵐龍隊から放たれる機関砲弾は毎分8万発であり、これを無傷で潜り抜けることは皆無である!

 

 

正に……豪雨の如き砲弾、正に……死の罠、恐るべし………必殺の分隊殲滅攻撃…………!

 

 

この攻撃を逃れて帰還できたのは………わずか1機のみであった……………

 

 

 

鉄血首都 ベルリン

 

空軍司令部

 

 

この報告を受けたゲーリングは、ルフトヴァッフェが誇るヨルムンガンドが大洋州同盟に負けるはずがないとして現実逃避をするが、直後に総統官邸からの呼び出しを受ける。

 

 

 

総統官邸 執務室

 

 

ヒトラーに呼び出されたゲーリングは今まで威勢はどこへやら、終始怯えたように情報部に責任を転嫁しようとするも…………………

 

 

鉄血総統:ハインリッリ・フォン・ヒトラー「私は、参謀本部の異論を押し切ってでの作戦強行だと聞いておるが?これは、君を絞首刑に吊るすべき失態だ!違うかね?」

 

 

この時点でヒトラーは、今回の重桜本土空襲はゲーリングの独断専行であることを見抜いていて、内心処刑すらも考えたが………………

 

 

ヒトラー「………………………だが、我が鉄血に''敗北は無い''!そうだろう、ゲーリング。」

 

 

鉄血空軍大臣:エアハルト・ゲーリング元帥「…………っは!」

 

 

ヒトラー「逃げ帰ってきたヨルムンガンドの搭乗員は、SS(親衛隊)''始末''した。」

 

 

ゲーリング「…………っ!!」

 

 

 

ヒトラーは、鉄血は完全無欠でなければならないとして【重桜本土爆撃は成功した】という事実とは真逆の結果をつち出した。

そしてこれをゲーリングにも信じるように念を押すのであった。

 

 

そして後日発行された鉄血の新聞には、真実とは真逆の成果がデカデカと映されて、国民たちは歓喜の声を上げた…………それが嘘とも知らずに。

 

 

 

ヒトラー『政治の本質は【フィクション】だ。政治は【演劇】と同じ、国家が行う【ショー】なのだ!''小さな嘘''はすぐバレるが、''大きな嘘''は【真実】となる!【虚偽な想像をする巨大なメカニズム】それが国家だ!大衆達に賛美な夢を見させてやるのが我々の務め…………【国家はその為の''造夢装置(ドリームマシン)''なのだ!』《b》

 

 

 

そしてヒトラーは壇上に立ち、演説を始める。

 

 

 

《b》ヒトラー『国民諸君!我々と共に、千年王国の夢を見ようではないか!!我が鉄血の征く手を阻むものはアズールレーン諸共、駆逐しようではないか!!』

 

 

 

自らの幻想に、自らが酔い………………【独裁者の妄想】は、世界をも巻き込んで………破滅へと突き進もうとしていた…………………!

 

 

だが……その危険な野望を阻止すべく、大洋州同盟の新たな大作戦が…………行われようとしていた!

 

 

 

EP4-2に続く・・・・

 

 




※本作の作中設定・セリフ等は全てフィクションであり、現実との関係はありません。

(運対で消されないか若干不安…………)
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