アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~   作:非常勤務艦隊本部

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□:EP4-3 鉄血本土空襲

 

 

平成16年2月6日 18:30

 

北海 シェトランド諸島沖

 

 

旭日艦隊旗艦 超戦艦日本武尊

 

同 戦闘艦橋

 

 

元ストライクウィッチーズ所属:サーニャ・V・リトヴャク大尉「先ほど暗号通信が届いて、ジブラルタル奇襲とシンドバット作戦が成功したとの事でした。」

 

 

旭日艦隊司令長官:大石蔵良元帥「出だしは上々だな。艦長、ロイヤル艦隊は?」

 

 

日本武尊艦長:冨山正因大佐「現在、本艦の南300キロを南下中。1時間ほど前に、鉄血潜水艦隊と接敵との事です。」

 

 

大石蔵良「遊撃艦隊は?」

 

 

重桜KAN-SEN:日本武尊「荒天下、英仏海峡の西方200キロに進出しているぞ。」

 

 

大石蔵良「天運我にあり……!マイクを全艦に。」

 

 

マイクを手に取り、訓令を始める。

 

 

大石蔵良『総員に告ぐ!心臓作戦の第一段階は成功を収めた!これは、旭日艦隊編成当初より予定されていたものだ。だが鉄血による逆襲があるやもしれん。各員、練成を重ねた技量を発揮してもらいたい。』

 

 

大石は一呼吸おき……………

 

 

 

大石蔵良『これより我が艦隊は、敵中深く突入!鉄血の中枢……その心臓部を叩く!!』

 

 

 

 

昭和18年4月18日。

 

ブーゲンビル島上空で戦死した聯合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として、生まれ変わることとなる。

 

 

高野は、アズールレーンとレッドアクシズとの泥沼な戦争を防ぐために、密かに精鋭集団【紺碧会】を結成して、陸軍中将『大高弥三郎』と共に緩衝地帯【北北海道】にてクーデターを決行、新国家『大洋州同盟』を樹立して、第三勢力【大洋州同盟】を創設した。

 

 

だが、戦争へと転がり始めた歴史の流れを止めることはできず、平成11年12月8日。

 

大洋州同盟は、ユニオンの太平洋地域戦略の要であるハワイ諸島パールハーバーを奇襲攻撃し、これを占領した。

 

 

勢いに乗る大洋州同盟軍は、パナマ運河を破壊。

ユニオンの太平洋への軍需物資輸送手段を遮断せしめて、それからの主要な戦いに勝利を収めていき、太平洋の制海・制空両権をほぼ手中に収めたのである。

 

 

一方、鉄血総統に就任した【ハインリッリ・フォン・ヒトラー】は、世界制覇を目論み、着実に実行に移しつつあった。

 

重桜はこれに対して亡命ユダヤ人を受け入れて、平成14年………南樺太に【東方エルサレム共和国】を建国。

同年8月、大洋州同盟は鉄血に対し宣戦を布告した。

 

 

時を置かず、大洋州同盟は奇想天外『天極作戦』を発動。

重桜の誇る超大艇富士を以て鉄血の原爆研究所を爆撃、悪魔の計画を頓挫させた!

 

 

この成功をきっかけに、ロイヤルの同盟加盟が締結されて、鉄血によるインド太平洋地域進出を阻止すべく、共同歩調を取ることとなった。

 

 

そして……翌、平成15年8月16日。

 

超戦艦日本武尊を旗艦とする【旭日艦隊】が、ロイヤル本土援護のため重桜を出撃。

 

そして同年10月。

 

 

大洋州同盟軍による、鉄血のインド太平洋進出の拠点『マダガスカル島』奪回に向けて大作戦を展開。

マ島各鉄血基地を強襲、敵前上陸を成功させた!

 

 

そして大西洋では、名将「大石蔵良」率いる旭日艦隊が、鉄血のアフリカ侵攻を停滞させるべく作戦を展開。

 

夜陰に乗じて鉄血本土の要所【ジブラルタル海峡】を急襲、空軍飛行場を壊滅、量産型装甲空母グラーフ・ツェッペリンを撃沈せしめて、セウタ港から鉄血海軍が誇る旗艦級量産型高速戦艦『ビスマルクⅡ世』を大西洋へと引き摺り出して、打ち勝つ事に成功した!

 

 

だが、鉄血空軍の超重爆『ヨルムンガンド』が重桜本土を奇襲、帝都東京を目指していた!

 

これに対し高野は、本土防空の切り札として配備された【噴式局戦『桜花』】と、更に【特大型要撃機『嵐龍』】を迎撃に向かわせて、本土空襲の野望を打ち砕いたのだった!

 

 

そして、平成16年2月。

 

鉄血によるロイヤル本土上陸を阻止すべく、旭日艦隊は『心臓作戦』を発動。

前衛遊撃艦隊に別行動を取らせてジブラルタル要塞を再度奇襲、これを壊滅せしめて…………

 

心臓作戦に連動するかのように、紺碧艦隊も鉄血地中海艦隊を殲滅するべく『シンドバット作戦』を発動。

紅海にて鉄血地中海艦隊に雷撃を仕掛けて、これを殲滅せしめた。

 

 

そして我が旭日艦隊は、鉄血中枢に直接打撃を加えるべく、寒風厳しい北海を南下しつつあった!

 

 

 

 

 

 

大石はここで現在の戦況を確認していた。

 

 

大石蔵良「鉄血潜水艦隊と交戦中のロイヤル艦隊は?」

 

 

元ストライクウィッチーズ所属:ゲルトルート・バルクホルン中佐「今も戦闘中だ。量産艦2隻をやられたが、Uボートを3隻返り討ちにしている。旧式の老朽艦ばかりで良く奮戦している。」

 

 

大石蔵良「彼らにとっては、祖国を守る戦いだからな。…………問題は、バルト海にいる鉄血艦隊が出てくるかどうかだが……」

 

 

旭日艦隊参謀総長:原元芳少将「必ず囮に食いつくはずです!その時は、スカゲラック海峡出口に待ち構えている前衛潜水艦隊と亡命鉄血Uボート群が仕留めます!」

 

 

大石蔵良「出てこなければこちらの仕事がやりやすくなる、今は無理に沈める必要はない。ヒトラーはいずれ攻撃すら留まらず、上陸作戦に出るはずだ。心臓作戦は、それを見越してでの''先制攻撃''だ!こちらこそ、必ず成功させねばならんぞ!」

 

 

「「はっ!」」

 

 

 

心臓作戦が進む中、ベルリンの総統官邸では…………

 

 

鉄血首都 ベルリン

 

総統官邸 執務室

 

 

ロイヤル艦隊を速やかに殲滅できないことにヒトラーは不機嫌さを隠しきれないでいた。

 

海軍長官リッペも尽力を尽くしてはいるものの、肝心のロイヤル艦隊が接近・離脱を繰り返している上に、悪天候が災いして補足が困難であったからだ。

 

リッペは天候の回復を待ってからSボートとUボートによる共同攻撃を具申するが、肝心のヒトラーは待てないとしてバルト海艦隊の出撃を下令したが、地中海艦隊が全滅した今となってはバルト海艦隊は鉄血海軍の『本国艦隊』であり慎重な判断をとリッペは問うものの、最高司令官がヒトラーであったために彼の逆鱗に触れ、語気を荒げてバルト海艦隊を出撃させよと再度命令をしてぶっきらぼうに電話を切る。

 

 

「リッペ長官殿にも困ったものですな。」

 

 

鉄血総統:ハインリッリ・フォン・ヒトラー「''ゲッペルス君''。」

 

 

 

鉄血宣伝省大臣「ヨアヒム・ペーター・ゲッペルス」。

 

ヒトラー政権の中枢の1人であり天才心理学者で、その巧みな話術を以てしてビスマルクから総統の座を奪った張本人である。

 

彼はヒトラーの心理を把握してその時々、ヒトラーの聞きたい追従を持って自らの保身を図るとともに、ヒトラーの心理を安定させる役をも担っていた。

 

だが、彼の発言がヒトラーの独裁政治に一層拍車をかけていると言っても良かった。

 

 

その時、ヒトラーはある光天を見た。

 

その光天はロイヤル艦隊でもなく、自身の世界征服を邪魔する最大の敵…………重桜の超戦艦であった。

 

 

日本武尊の存在を察したゲッペルスは、【最新鋭の全天候長距離機】の投入してはどうかと申し出る。

ゲッペルスの狙いは、それを使って大々的なプロパガンダを作り、国民の関心を紅海の一件から逸らさせることができるからだ。

 

ヒトラーもその案に乗り空軍大臣ゲーリングに、その機体の出撃を命令したのだった。

 

 

 

鉄血南部

 

バイエルン地方 山岳地帯

 

 

その秘密基地は、岩塩坑を広げた地下50メートルにあった。

 

そこに配備されていた機体こそ、鉄血の超秘匿兵器である【全天候型戦闘攻撃機『ホルス16』】であった!

 

ターボジェットエンジンを搭載して空力の洗練を極めた、斬新な設計思想による''デルタ無尾翼機''である。

 

前世では設計段階で遂に実戦投入はされなかったが、この後世では前世より上回る性能を有して試作量産に入っていた。

 

 

この日深夜、バイエルン地方の山岳地帯から鉄血の秘匿兵器が2機、旭日艦隊を追い求めて晴天の夜空へと舞い上がった!

 

 

北海にて

 

ロイヤル量産型駆逐艦 戦闘艦橋

 

 

駆逐艦艦長「なに?超高速機だと?」

 

 

ロイヤル兵2「はっ、正体不明の超高速機2機が、量産駆逐艦サウザンプトンの頭上を通過と。」

 

 

駆逐艦艦長「うん…………鉄血の新兵器かもしれん。旭日艦隊に至急通報!急げ!!」

 

 

 

この刺客の接近を、旭日艦隊は幸運にもロイヤル艦隊からの通報で知ることができた。

 

 

旭日艦隊旗艦 超戦艦日本武尊

 

長官室

 

 

大石蔵良「極めて異常な飛行体?」

 

 

原元芳《はっ。戦闘機らしき飛行体が、推定毎時1,200キロの高速でロイヤル艦隊の頭上を通過と…………》

 

 

大石蔵良「わかった。すぐに行く。(こちらの存在が知られたか………)」

 

 

大石はすぐに着替えて艦橋へ赴く。

 

 

日本武尊 食堂

 

 

エイラ・イルタマル・ユーティライネン大尉「うーん…………」

 

 

なかなか寝付けないストライクウィッチーズの面々は、食堂にてタロット占いをしていたが…………

 

 

エーリカ・ハルトマン少佐「あれ?どうしたの?」

 

 

バルクホルン「何か出たのか?」

 

 

エイラ「出たはいいケド…………」

 

 

そう言って引いたカードをみんなに見せる。

 

エイラが引いたタロットカードは【逆位置の運命の輪】。

そのカードは、【予期せぬ不意打ち、予想だにしない不意打ち】を意味していた。

 

 

エイラ「逆位置の運命の輪か…………不吉だなぁ…………ちょっと艦長さんに話してくる。」

 

 

そう言って、エイラは食堂を後にして戦闘艦橋へと赴いた。

 

 

シャーロット・E・イェーガー少佐「うーん…………エイラの占いはよく当たるからな………」

 

 

フランチェスカ・ルッキーニ中尉「なんか来るんじゃない?敵とか。」

 

 

ペリーヌ・クロステルマン少佐「まさか、もう夜更けですのよ?夜間飛行はリスクが…………」

 

 

そこへ、制服に着替えた宮藤が呼びに来る。

 

 

宮藤芳佳「皆さん!すぐに着替えてください!」

 

 

リネット・ビショップ中尉「どうしたの?」

 

 

ハルトマン「なんか起きたの?」

 

 

宮藤芳佳「それが、戦闘機らしき飛行体が1,200キロの速度でこちらに向かってきてる様なんです!」

 

 

サーニャ・V・リトヴャク大尉「まさか、敵襲?」

 

 

宮藤芳佳「今のところはまだ…………とにかく、皆さんも早く戦闘艦橋に来てください!」

 

 

バルクホルン「わかった、すぐに行く!」

 

 

良くも悪くも、エイラのタロット占いは予期せぬ形で的を射抜いた。

 

バルクホルンたちが着替えている間、宮藤は大石と共に戦闘艦橋へと上がる。

 

 

 

 

日本武尊 戦闘艦橋

 

 

宮藤芳佳「でも、信じられません。こっちに向かっていますけど、偶然じゃ…………」

 

 

大石蔵良「この晴天も偶然かな?」

 

 

宮藤芳佳「でも、1,200キロの飛行体なんて…………」

 

 

大石蔵良「事実なら認めるべきだ。敵も前世と同じではないということだ。」

 

 

戦闘艦橋へと上がった大石たちであったが、そこには既に原参謀総長と冨山艦長がエイラと話し込んでいた。

 

 

大石蔵良「どうした?」

 

 

原元芳「はっ、実はエイラさんが妙なタロットを引いた様で…………」

 

 

大石蔵良「妙なタロットを?何を引いたんだ?」

 

 

エイラ「逆位置の運命の輪だけどナ…………状況を聞いたらなんか気味悪くテ……。」

 

 

大石は少し考えて、この状況とタロット占いの結果を加味して【やはり偶然としては出来すぎている】と結論づけ、作戦を早めることを決意する。

 

 

大石蔵良「…………計画を早める!全艦戦闘配備!遊撃打撃艦隊は、直ちに発艦準備!」

 

 

冨山正因「了解!戦闘配備につけ!」

 

 

航空参謀「発艦準備!!」

 

 

 

日本武尊前方 第一遊撃打撃艦隊

 

装甲空母信長 防空指揮所

 

 

重桜KAN-SEN:信玄《日本武尊から発艦指示が出た!》

 

 

重桜KAN-SEN:謙信《計画が早まったか!だが好都合だ、信長!》

 

 

重桜KAN-SEN:信長『心得た!!第一次攻撃隊、発艦!!』

 

 

 

日本武尊からの命令が伝わり、装甲空母信長から艦攻型の【噴式零戦『嶺花』】と、空中警戒機『飛鴎』の改良型である【警戒管制機『電神』】からなる第一次攻撃隊が発艦!

 

一路、攻撃目標へと飛翔していく。

 

 

 

超戦艦日本武尊 戦闘艦橋

 

 

原元芳「攻撃機隊、発進完了!」

 

 

大石蔵良「よし!『ロ号暗号』にて、ロイヤル空軍宛に発信。」

 

 

宮藤芳佳「ロ号………ですか!?でもあれは、解読されているかもって…………」

 

 

大石蔵良「構わん。内容は、『ワレバルト海ニムケテ、攻撃機隊ヲ発艦セシメタ』だ。」

 

 

原元芳「っは!………………''欺瞞情報''ということですか。」

 

 

大石蔵良「序でに付け加えておくか。『敵雷撃ヲ受け損傷アレド、攻撃機支援ノタメバルト海へ突入ス。』」

 

 

原元芳「了解しました!通信兵!至急電発信!」

 

 

 

日本武尊からロイヤル空軍宛に通信が発せられる中、電探室から例の飛行物体の接近を告げた。

 

 

 

艦内無線3《南東より飛行体接近!極めて…………極めて高速と思われます!》

 

 

サーニャ「機数2つ、高度は約5,000!」

 

 

 

報告を聞いた大石は、日本武尊のみ艦隊から離して南東へ進路をとり、大石は自ら防空指揮所に赴き指揮をとり、直ちに半潜航行を始める。

 

両舷に備え付けられているバラストタンクに、海水が注水されていき船体が沈んでいく。

 

 

 

日本武尊 防空指揮所

 

 

ハルトマン「うひゃ〜!本当に沈んでるよ!」

 

 

バルクホルン「まるで潜水戦艦だな…………!」

 

 

 

日本武尊本来の姿を知らない彼らは、戦艦とは思えない設備に舌を巻きつつ敵機の来襲に備えていた。

 

 

日本武尊通信長:相原義一大尉「ロイヤル空軍から返信あり!『バルト海攻撃に参加するべく、爆撃機を出撃す!』以上!」

 

 

大石蔵良「早いな…………流石だ。」

 

 

原元芳「事前のミーティングをみっちりやりました。各地の飛行場から発進した部隊は最初はバルト海を目指す様に飛び、後に''真の目標''へと向かう予定です。」

 

 

大石蔵良「うん。電探に確認!飛行物体は?」

 

 

ペリーヌ「以前、接近中ですわ。会敵まであと10分と言ったところでしょう。」

 

 

大石は対空戦闘を発令。

 

敵機の速度を考慮して牽制射撃にとどめてつつ主砲で撃墜する方法で打って出る!

同時に日本武尊に対して、主砲に【対空ロ号弾】を装填する様に指示を出す!

 

 

日本武尊戦闘班長:古代進中佐「各対空砲座及び副砲群は、指定空域に濃密な対空弾幕を張れ!」

 

 

日本武尊砲術長:南部康雄大尉「第一砲塔、対空ロ号弾を装填!」

 

 

大石蔵良「艦長!俺はここで対空戦闘の指揮を取る。操艦は任せるぞ。」

 

 

冨山正因《了解!土手っ腹を向けて誘ってやります!》

 

 

 

敵機が降下を始めたところで偽装炎を開始、艦後部から大量の煙と炎が展開される!

 

そこから取り舵をとって舷側を向ける。

 

 

日本武尊 電探室

 

 

日本武尊電探手:岬百合亜少尉「敵機、左舷へ!」

 

 

日本武尊《左砲戦、準備!》

 

 

各砲塔が左舷に指向して敵を待ち構えるが…………

 

 

日本武尊電探手:西条未来中尉「高度3,000で、水平飛行に入りました!」

 

 

日本武尊電探手4「距離8,000!」

 

 

岬百合亜「敵速………………そんな、1,200キロ………?!」

 

 

西条未来「計算違いでは…………!!」

 

 

バルクホルン《軍人たるもの、報告は正確にだ!》

 

 

岬百合亜「は、はい!!敵速、1,150キロから1,200キロです!!」

 

 

 

日本武尊 防空指揮所

 

 

大石蔵良「一度頭上を通過する気だな?撃ち方待て!!」

 

 

バルクホルン「恐らく偵察…………こっちの正体を探る気だな。」

 

 

大石蔵良「構わんさ……見たけりゃ見せてやる………!」

 

 

 

北海に到達したホルス飛行隊は夜陰の海を【派手に燃えながら進む】重桜艦を発見。

 

この報は直ちにゲーリングの下にもたらされて撃沈を司令するのであったが、ゲーリングは『日本武尊の同型艦』と誤認してしまっていた。

 

ここでも、『日本武尊』と『八咫烏』という虚実交えたカラクリに気づいていなかったのだ。

 

 

 

原元芳「右舷から再度接近してきます!!」

 

 

西条未来《高度下げました!1,000です!!》

 

 

大石蔵良「次は来るぞ!」

 

 

日本武尊「全砲、右舷へ旋回!!」

 

 

敵の動きに合わせて、全砲塔がホルス飛行隊の来襲方向へ照準を合わせて射撃態勢を整える!

 

ホルス16の機体底部には【磁気信管魚雷】が2発、半埋め込み式で吊り下げていた。

 

 

日本武尊「各砲、射角合わせろ!!」

 

 

古代進「射撃用意!!」

 

 

 

大石蔵良『牽制射撃、撃てぇ!!』

 

 

大石の号令が発せられ、副砲・対空砲が牽制射撃を開始!

濃密な対空弾幕を形成する!

 

対するホルス飛行隊はその高速性能を遺憾なく発揮して、対空砲火を容易に潜り抜けていき、弾幕の切れ目に潜り込む!

 

 

日本武尊「速度が段違いだ!間に合わなくなるぞ!!」

 

 

南部康雄《方位・射角修正急げ!!》

 

 

古代進「対空戦闘そのまま!!主砲発射の時間を作れ!!」

 

 

 

これまで遭遇したことのない敵機のため砲の照準が遅れるが、なんとか間に合わせようと試行錯誤を施す。

 

ホルス16が魚雷を放ったその瞬間を大石は見逃さなかった!

 

 

 

大石蔵良『主砲用意…………撃てぇ!!!』

 

 

 

大石の号令が轟き、既のところで照準に間に合った51センチ三連装砲が唸りを上げる!!

 

放たれた砲弾は近接信管が作動して巨大な火の玉ができて、回避軌道に入っていたホルス16は避けきれずに2機とも撃墜される!

 

 

バルクホルン「や、やったのか……!?」

 

 

ハルトマン「ま、眩しくて目を開けてられないよ……!!」

 

 

リーネ「な、なに!?」

 

 

ペリーヌ「なんて恐ろしい兵器をお作りに………!」

 

 

シャーリー「な、なんだぁ?!」

 

 

ルッキーニ「わわわ!!飛ばされるー!!」

 

 

 

対空ロ号弾の威力を初めて目の当たりにしたウィッチたちは凄まじい閃光にたじろぎ、ルッキーニに至ってはメインマストによじ登っていたため爆風に飛ばされない様にしがみつく!

 

やがて視界は晴れて、敵機の反応は消えて残骸だけが海面に落ちていく。

 

だが…………

 

 

 

岬百合亜《高速推進機音!!魚雷です!!》

 

 

ホルス16が秒差で放った魚雷が日本武尊に向かって突進していた!

 

 

ルッキーニ『右から4本来てるー!!』

 

 

大石蔵良『対魚雷防御、始め!!』

 

 

 

大石は直ちに迎撃を指示!

 

右艦尾のハッチが開き爆雷が数発投射されて、魚雷の進路上で炸裂して迎撃に成功したかに見えたが、最後の1発を迎撃し損ねてしまい、被弾を許してしまう!

 

右舷バラストタンクに魚雷が命中して、巻き上がった海水が日本武尊を襲う!

 

 

宮藤芳佳「わわっ!海水がこんなに!!」

 

 

大石蔵良『艦長!緊急排水、半潜戻せぇ!!』

 

 

 

宮藤が慌てて魔法力を発動して巨大なシールドを出して防いで、大石は直ちにダメージコントロールの指示を出す!

 

日本武尊の巨大な船体が浮き上がると、大きな破孔が姿を現した。

 

 

島大介「喫水、戻りました!!」

 

 

薮助治「排水ポンプ作動!」

 

 

日本武尊「各部、損害報告!!」

 

 

 

排水が終わり、被弾痕では被害対策班が集結して作業を始めていた。

 

 

超戦艦日本武尊 右舷バラストタンク区画

 

 

桐生美影「被害対策班です!予想通り、磁気信管魚雷の爆発でした!!はい!バラストタンクの隔壁は後回しにして、船体外板の応急修理を大至急終わらせます!」

 

 

東田舜「バラストの隔壁は後回し!船体外板を先に片付けろ!大至急だ!!」

 

 

 

超戦艦日本武尊 戦闘艦橋

 

 

冨山正因「応急修理、急げ!」

 

 

日本武尊「破孔確認!直径約3メートル!工作班、右舷へ!」

 

 

強固なバルジとバラストで魚雷の威力を吸収して、水面上にて応急修理を行う。

これぞ、日本武尊の不沈艦たる由縁である。

 

 

日本武尊 防空指揮所

 

 

冨山正因《排水完了しました!損害微小、戦闘及び全速航行に支障なし!》

 

 

大石蔵良「ご苦労!では最後の締めと行くか!」

 

 

原元芳「いよいよであります!」

 

 

 

この情報は『日本武尊撃沈』という形でヒトラーの下に届けられた。

 

ヒトラーはゲーリングからの報告に満足したが、直後にゲーリングが「撃墜されたホルス16」という単語を聞いて、ヒトラーはホルス16の行方を問い詰める。

 

ゲーリングもホルス16の撃墜は未確認であり、目下のところ捜索中であった為まだ望みはあった。

 

 

だが、ホルス16は日本武尊の放った対空ロ号弾の餌食なった事を知る由もなかった。

 

 

しかし、ヒトラーもホルス16の行方を知るよりも、ロイヤル本土から出撃した敵爆撃機隊の情報であった。

 

ゲーリングも直ちに防空隊を出撃させて殲滅する事を誓い、ヒトラーはこれ以上失望をさせるなと念を押すのだった。

 

 

ゲーリングのプライドと保身が掛かった命令は各地の空軍基地に飛び、鉄血空軍の本土防空隊の大半はバルト海へと向かった。

 

 

鉄血首都 ベルリン

 

鉄血空軍司令部 地下作戦室

 

 

鉄血兵70「ロイヤル機、デンマーク沖140キロ!」

 

 

鉄血兵54「第15航空団、間も無く接敵!」

 

 

だが、バルト海に向かっていたロイヤル爆撃隊は進路を変更。

 

囮役の一部を残して、主力は多方面から鉄血本土の工業地帯【ハンブルク】へと向かっていた。

 

 

鉄血本土 沿岸部沖上空

 

 

これに先行するのは、先に旭日艦隊の装甲空母『信長』から発艦した【攻撃機型『嶺花』】の編隊で、その頭上の雲上には、空中管制機『飛鴎』の改良型である【警戒管制機『電神』】が支援を行っていた。

 

第一次攻撃隊が大陸を見ると無線封止を解除、編隊を解除して攻撃目標へと直走る!

 

迎撃機に邪魔されずに、嶺花隊は攻撃目標である【地対空レーダー基地】を視認、対空砲火を掻い潜って攻撃を加える!

 

 

鉄血空軍司令部 地下作戦室

 

 

ゲーリング「レーダー基地が?!」

 

 

レーダー基地の稼働を示すランプが次々と消えていき、ゲーリングはここに至りロイヤルと大洋州同盟の狙いがバルト海ではなかった事を確信するが、彼の下に更なる悪報が届いた。

 

 

鉄血兵51「ゲーリング元帥…………ハンブルクに空襲警報が発令されました!」

 

 

ゲーリング『ハ、ハンブルクだとぉ!?』

 

 

ロイヤル空軍の爆撃隊がハンブルクに到達して爆撃を敢行。

 

本土防空隊の大半をバルト海に向けていた為に、警戒が手薄になったところを突かれてしまった形となった。

 

ロイヤルにとっては、負け続けての状況だったため一矢報いるべく爆撃を続けていきハンブルクを紅蓮の炎に染める。

 

 

第一次攻撃成功の報は、直ちに旭日艦隊主力へと伝えられる。

 

 

北海にて

 

旭日艦隊旗艦 日本武尊

 

戦闘艦橋

 

 

航空参謀「第一次攻撃隊、奇襲成功!順次、ロイヤルバーミンガム基地へ帰投中!」

 

 

バルクホルン「ロイヤル爆撃隊もハンブルクに到達。苛烈な対空砲火の中、損失を出しつつも爆撃中だ。」

 

 

大石蔵良「…………彼らも必死なのだ、祖国を踏み躙られるかどうかの瀬戸際なんだ。我々も、この攻撃を成功させねばならん!」

 

 

リーネ「信玄から発光信号!『第二次攻撃隊、発艦ハマダカ』」

 

 

ここにきて、信玄たち第一遊撃打撃艦隊の我慢が切れ始めてきて、攻撃再開の催促を求めていた。

 

 

日本武尊「信玄たちめ、痺れを切らしてきたな?」

 

 

大石蔵良「うむ…………そろそろ頃合いかな?………本来ならば、明け方まで待ちたいところだが…………」

 

 

航空参謀「我が艦攻隊を信頼してやって下さい!夜間発艦も低空攻撃も、練度は十分であります!」

 

 

大石は少し考え意を決して、訓令を出す。

 

 

大石蔵良「諸君、聞いてもらいたい!鉄血に対して、大洋を舞台にした艦隊決戦は想定されていないことは知っているだろう。本質的には、''海洋国家ではない鉄血''に対し、我が艦隊は航空機の長い脚を使い、沿岸攻撃や海上封鎖を行う航空艦隊と言えよう。だが…………大陸相手に我が艦隊が立ち向かうには、どうしてもロイヤルという後ろ盾が必要となり、また鉄血が世界の海に乗り出さんとする時の障害となる、ロイヤル本土と北海は……守り切らねばならん!」

 

 

「「はっ!」」

 

 

宮藤芳佳『攻撃機隊の発艦終了と同時に、鉄血本土沿岸まで接近して、電波妨害を行います!!』

 

 

 

大石の訓令の後に攻撃再開の命令が発せられ、各空母から第二次攻撃隊が発艦する!

 

 

航空戦艦信玄 飛行甲板上

 

 

信玄『第二次攻撃隊、全機発艦!!武運を祈る!!』

 

 

艦長『戦闘旗掲揚!』

 

 

信玄・謙信の鐘楼にそれぞれの戦闘旗【孫子四如の旗】と【刀八毘沙門天の旗】が掲げられて、【ターボプロップ装甲攻撃機『雷隼』】が発艦!

 

 

装甲空母信長の艦載機用昇降機から、ステルス性を追求した双発機が姿を見せた。

 

信長搭載の【艦上特殊攻撃機『閃燕』】である。

 

機体そのものは【木製】であり、レーダー波を吸収する『特殊塗料』を塗布しているため、奇襲攻撃が可能である。

 

 

装甲空母信長 飛行甲板上

 

艦上特殊攻撃機『閃燕』 コックピット

 

 

ユニオン亡命兵:ユウヤ・ブリッジス少尉「赤外線暗視装置、点検終了!異常なし!」

 

 

スウェーデン空軍所属:ステラ・ブレーメル少尉《こちらアルゴス4。2、3共に異常なし。発艦用意完了。》

 

 

北方連合空軍所属:クリスカ・ビャーチェノア少尉《こちらイーダル。小隊各機、発艦準備良し。》

 

 

ユウヤ「了解!こちらアルゴス1!全機発艦準備完了!」

 

 

 

同 戦闘艦橋

 

 

信長『閃燕隊、発艦せよ!!健闘を祈る!!』

 

 

艦長『戦闘旗掲揚!!』

 

 

信長の鐘楼に戦闘旗【永楽通宝】が掲げられて、閃燕が北海の夜空へと飛び上がり、第二次攻撃隊が旭日艦隊から発進する!

 

 

日本武尊 戦闘艦橋

 

 

大石蔵良「さぁて…………鬼が出るか蛇が出るかだ……」

 

 

 

 

ユトランド半島

 

鉄血 シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州

 

 

Nord-Ostsee-Kanal(ノルト・オストゼー・カナール)】と現地語で呼ばれるこの『キール運河』は、バルト海から北海に至る海上通路であった。

 

大石が警戒していたのは、この運河を通過して出撃してくるであろう【鉄血海軍本国艦隊】に側面を突かれる事であった。

 

そのため、困難を承知の上でこの【キール運河封鎖作戦】を実行に移したのだ。

 

 

信玄及び謙信から発艦した雷隼隊はキール運河に到達するや急降下!

 

小型艇からの対空砲火をターボプロップ機としての高速性能と堅牢な装甲圧で押し切り、多数の無誘導ロケット弾を橋とゲートに向けて発射、攻撃を加える!

 

 

大石の目論みでは、あわよくば運河を航行中の鉄血艦にも打撃をと期待していたが…………艦隊はバルト海から移動してはいなかった。

 

 

 

キール運河 バルト海側

 

鉄血海軍本国艦隊旗艦 旗艦級量産型高速戦艦『ティルピッツⅡ世』

 

同 戦闘艦橋

 

 

鉄血兵3「運河管理班との通信途絶えました!」

 

 

鉄血兵2「先発した哨戒艇より報告!」

 

 

鉄血新兵「輸送船2隻、小型艇3隻沈没!橋とゲートが数箇所を破壊されて、現在ノルト=オストゼーは通行不能とのことです!」

 

 

副官:アルトライン・フォン・ウェディング少将(24)「…………危ないところでしたわ。サボタージュで閘門が故障していなければ、我が艦隊が魔女の大火の中でした。」

 

 

本国艦隊司令官:グスタフ・フォン・ルプレヒト大将「旭日艦隊のアドミラル大石は中々の切れ者だと聞く…………こちらも、''知恵''を絞らんとな。」

 

 

ウェディング「知恵?司令、まさか………………閘門でのサボタージュは……!」

 

 

ルプレヒト「おっと、滅多なことは言わんでくれ?ウェディング君。」

 

 

ウェディング「あっ……はい。しかし司令、そうなっては………北上してスカゲラック海峡に進出するしか…………」

 

 

ルプレヒト「どうかな?ロイヤル艦隊の不可解な行動と連続した空襲を考えると…………''何か罠がある''やもしれんな。」

 

 

ウェディング「ですが、総司令部からの命令は…………」

 

 

ルプレヒト「迎撃すれば良いのなら『北海へ進出しなくてもいいだろう』。」

 

 

ウェディング「……!!」

 

 

ルプレヒト「ロイヤル艦隊が来るのを待つ。…………オスロ沖での待ち伏せ作戦にしよう。ウェディング君、全艦に発令したまえ。」

 

 

ウェディング「…………っ!はっ!」

 

 

 

ルプレヒト大将は開戦以来、鉄血海軍本国艦隊の指揮を受け持っている。

 

その老練な判断と知将とも言える読みで、ロイヤル艦隊の不可解な行動と連続した空襲を考えて【海峡付近に敵の待ち伏せがいる】と判断して、ノルウェーのオスロ沖に艦隊を移動させてロイヤル艦隊を待ち伏せる作戦を立てた。

 

 

この判断は功を奏しており、スカゲラック海峡出口には『ア号潜水艦』からなる【前衛潜水艦隊】が海中にその身を潜ませていた。

 

かくして、鉄血本国艦隊はバルト海に封じ込められる形となった。

 

 

鉄血首都郊外 上空

 

 

一方で閃燕隊は鉄血本土上空に到達、それぞれの目標を目指していた。

 

 

ネパール陸軍所属:タリサ・マナンダル少尉《……おい。今、レーダーが機体を撫でていったぞ…………》

 

 

サディア空軍所属:ヴァレリオ・ジアコーザ少尉《大丈夫だ、見つかっちゃいない。》

 

 

北方連合空軍所属:マーティカ・ビャーチェノア准尉《流石、大洋州同盟の高分子科学技術だ。》

 

 

篁唯依《間も無く首都上空だ。各機散開、目標へ迎え!》

 

 

()()()

 

 

 

心臓作戦は、ついにその書を最後の掟へとコマを進めた!

 

果たして、作戦の成否は如何に!

 

 

EP4-4へ続く・・・・

 

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