アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~   作:非常勤務艦隊本部

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シーズン1突入!


シーズン1:運命の開戦
△:EP1-1 ハワイ奇襲作戦


 

 

大航海時代。

 

海に憧れた男たちが、新しい世界を求めて大海原へと乗り出した。

 

そして新大陸の支配が進むにつれ、その海原で戦いが繰り返し行われた。

 

 

だが、異界からの侵略者[セイレーン]が突如として出現。

 

 

セイレーンの持つ超技術と物量により、世界各国の海軍戦力は消滅。

更にはセイレーンの上位個体により、北海・地中海・大西洋・インド洋・アラビア海・太平洋・ベーリング海などの主要海域の制海権を抑えられてしまい、海上輸送網と貿易網も瓦解してしまった。

 

 

しかし、人類は諦めずに対抗策を模索し続けた。

 

 

そして1つの対抗策を見出した。

 

 

歴代の[艦船]の性能と記憶を受け継いだ少女達『KAN-SEN』の台頭により戦局は一変して、瞬く間に世界各地の制海権を奪回していった。

 

そして人類は、主要4カ国の海上戦力を結集。軍事組織【アズールレーン】を結成して、セイレーンの漸減作戦を展開していった。

 

 

しかし、人類は再び同じ過ちを犯すこととなる。

 

 

これまで人類を勝利を導いていたアズールレーンは、その主戦力を担っていた4つの国家があった。

 

 

強大な民主主義と軍事力を持つ世界随一の超大国「ユニオン」。

 

嘗て世界の海洋国家と謳われた西欧の王立海軍国家「ロイヤル」。

 

東欧の大陸と海洋国家で、日夜技術開発を続ける軍事国家「鉄血」。

 

極東の島国を治め、アジアに一台海洋覇権を手に入れた日の出る君主国家「重桜」。

 

 

しかしセイレーンの出現により、その技術を利用して世界に進出することを目論む「鉄血」と「重桜」がアズールレーンを脱退して、新陣営【レッドアクシズ】を創設。

 

 

こうして人類は、同じ人類同士と戦わなくてはならなくなった。

 

 

しかし、この戦いをより良い負けへと導くため、ユニオンとの緩衝地帯に建国された[北北海道]が蜂起、【大洋州同盟】として、この戦いに乗り出そうとしていた。

 

 

 

 

 

1999年12月7日 太平洋ミッドウェー島沖

 

第一航空機動艦隊旗艦 高速戦艦『比叡』

 

長官室

 

 

第1航空機動艦隊司令官:高杉英作司令長官(25歳)「遂に、レッドアクシズが動くか…………。」

 

 

第1航空機動艦隊司令長官高杉英作が読んでいた新聞の見出しにはこう書かれていた。

 

「血の同盟レッドアクシズ、今夕1200アズールレーンに対し宣戦を布告。」

 

これは正しく、重桜と鉄血がアズールレーンとの間に戦端を開く事を決意したことを意味していた。

 

 

しかし、この戦いを阻止すべく一部の海軍将校と艦隊がアズールレーンとレッドアクシズから離脱、第三勢力【大洋州同盟】を結成。

 

レッドアクシズがアズールレーンと戦端を開き、行く宛のない泥沼の戦いになる事を避けるため、積極的自衛権を行使。

 

 

重桜との中立条約で譲り受けた択捉島から、高杉英作司令長官率いる【第1航空機動艦隊】がアズールレーンの共同基地を奇襲する為出撃。

 

艦隊旗艦である高速戦艦「比叡」を始めとする全艦艇の機関を最新型の『ガスタービン機関』を採用していた為、連日ながら高い航続距離と加速性能を持っていた。

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

高杉英作「村田艦長。アズールレーン共同基地沖合に着くのはあとどれくらいだ?」

 

 

比叡艦長:村田拓哉大佐「はい。この艦隊速度で、夜明け前には目標地点の中間地点まで到達する見込みです。」

 

 

高杉英作「わかった。例の暗号通信受信までできる限り近づけないと、全てが無駄になる。」

 

 

 

太平洋ウェーク島沖

 

重桜艦隊旗艦 空母赤城

 

同 飛行甲板上

 

 

重桜所属:加賀「アズールレーンの基地まで後18時間。」

 

 

重桜所属:赤城「彼等の命運も後18時間ね……………私の愛を理解しない者どもは真珠湾の魚礁に変えてあげるわ。」

 

 

空母蒼龍 飛行甲板上

 

 

重桜所属:飛龍「蒼龍姉様、どうしたのですか?」

 

 

重桜所属:蒼龍「……………何か、嫌な予感がする…………。」

 

 

その嫌な予感は、まさに当たっていた。

 

 

重桜艦隊の動向は、大洋州同盟軍の新鋭電子偵察機『星電』が高度10,000mから逐一、第一航空機動艦隊に通報されていた。

 

また、星電が搭載している電探・ジャイロコンパスはステルス性能が高く、通信機と受信機・送信機から発せられる通信波はレッドアクシズとアズールレーンとも言えど、傍受は出来ても解析は不可能であった。

 

 

かくして、高杉司令官は重桜艦隊の動向を監視しつつ、先を急いでいた。

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

航空参謀「長官!赤城の星電が重桜の空母艦隊を発見!これを高度10000mにて追尾中とのことです!!」

 

 

専務参謀「やっと見つけたか!!」

 

 

高杉英作「重桜艦隊の位置は?」

 

 

航空参謀「は!星電からの位置報告では、ウェーク島沖合を西北西に向かい18ノットで航行中との事です!!」

 

 

村田拓哉「司令。ここは潜水艦隊による嫌がらせをさせてはどうでしょう?連中があのままの速度で進行を続けたら、先を越されます。」

 

 

高杉英作「わかった。付近の味方潜水艦に攻撃を下令!但し、2回攻撃したら直ちに位置情報をこちらに知らせて、離脱するようにと伝えろ!!」

 

 

専務参謀「は!」

 

 

比叡から発せられた攻撃命令は、瞬時にウェーク島を哨戒していた第4潜水隊に届き、直ちに攻撃が開始された。

 

 

 

太平洋ウェーク島沖 重桜艦隊

 

 

重桜から発進した機動部隊の陣容は、空母6、戦艦4、護衛の巡洋艦・駆逐艦多数で構成されていたが、突如前衛の駆逐艦数隻が魚雷攻撃を受ける。

 

 

赤城「何事?!」

 

 

重桜所属:古鷹「雷撃です!!」

 

 

加賀「なんだと?!」

 

 

前方を見ると、4隻の量産型睦月型駆逐艦が艦体を両断されて撃沈されていた。

 

 

加賀「くっ!!一体何処から…………!!」

 

 

またしても激しい爆音が鳴り響いた!

 

音がした方向を向くと、艦隊右舷を固めていた量産型球磨型軽巡洋艦6隻と量産型高雄型重巡洋艦4隻が瞬く間に激しく爆発を起こして、艦体が両断されて撃沈する。

 

 

飛龍「そ、そんなバカな!!球磨型は兎も角、高雄型は舷側に堅牢な水雷防御をしていたはずなのに!!」

 

 

蒼龍「一体どれだけの炸薬を搭載しているのよ!!」

 

 

突然の魚雷攻撃により重桜艦隊は大混乱に陥り、海中への注意が薄れてしまう。

 

その瞬間を逃さず、第2波の魚雷攻撃が艦隊を襲う。

 

 

瞬く間に重巡・軽巡・駆逐艦が撃沈または爆沈していき、新鋭量産型戦艦「大和」でさえも、一気に魚雷10発以上の直撃を受けてあえなくウェーク島沖に沈んだ。

 

 

飛龍「や、大和が…………!!」

 

 

蒼龍「一瞬に20発の魚雷を受けて……………………!」

 

 

加賀「これは…………夢なのか……………………?」

 

 

赤城「このままでは…………!!全艦、進路を北へ!!」

 

 

艦隊が北へ変針しようとしたが次の瞬間、蒼龍・瑞鶴・翔鶴に3本の魚雷が当たり、火災が発生する。

 

 

蒼龍「くっ!!魚雷?!一体何処から…………あああああああ!!」

 

 

飛龍「蒼龍姉様!!」

 

 

加賀「後続の艦隊も巻き添えを受けたぞ!!」

 

 

赤城「全駆逐艦は対潜攻撃を!!各護衛空母は対空警戒を厳に!!」

 

 

このウェーク島沖での遭遇戦により重桜艦隊は、量産型駆逐艦13隻、量産型軽巡洋艦16隻、量産型重巡洋艦8隻、新鋭戦艦大和が沈められ、空母蒼龍・瑞鶴・翔鶴の3空母が大破し艦隊から離脱する惨事となった。

 

この戦果は、高度10000mで艦隊を偵察していた星電が、解読が困難である暗号に組み替えられ、太平洋を南下しつつある第1航空機動艦隊へと送られる。

 

 

 

 

太平洋ミッドウェー島沖

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

専務参謀「ウェーク島沖に展開していた潜水艦隊より入電。''我、重桜艦隊に雷撃を仕掛け、護衛の駆逐艦・巡航艦37隻と新鋭戦艦大和の計38隻を撃沈。又、主力の空母蒼龍・瑞鶴・翔鶴の3隻を大破せしめる。''以上です。」

 

 

高杉英作「うん。航空参謀!重桜艦隊は今何処に?」

 

 

航空参謀「は!星電からの報告によりますと、若干北へ流されているようです!恐らく、我が潜水艦隊を振り切る構えのようです!」

 

 

高杉英作「艦艇を減らした上に、進路を強制変更できたのは奇跡だな。」

 

 

村田拓哉「司令!!戦艦霧島より発光信号!!」

 

 

高杉英作「内容は!!」

 

 

村田拓哉「''ニイタカヤマノボレ1208''であります!!」

 

 

高杉英作「よし!!専務参謀!各艦へ伝え!!」

 

 

専務参謀「は!!」

 

 

''ニイタカヤマノボレ''。

 

それは、アズールレーンとレッドアクシズに対しての攻撃準備命令であった。

一方、大洋州同盟政府は、アズールレーンとレッドアクシズに向けて宣戦布告を表明。

これにより、アズールレーンとレッドアクシズは臨戦体制に入った。

 

 

ハワイ諸島オアフ島:アズールレーン共同基地

 

 

プリンス・オブ・ウェールズ「大洋州同盟が遂に来るか……………………。」

 

 

ラングレー「重桜の艦隊が、大洋州同盟の潜水艦隊の攻撃を受けて予測進路から大きく外れ、現在北へ向かっているとのことです。」

 

 

ヘレナ「ユニオンの主力艦隊は、現在ハワイ諸島南東海域を進行中です。」

 

 

イラストリアス「フッド達ロイヤルの主力艦隊も、スカパフローを出て大西洋を渡っています。32日後にはパナマに到着することですわ。」

 

 

プリンス・オブ・ウェールズ「重桜の対策はそれで間に合うだろう。だが、問題は…………」

 

 

イラストリアス「大洋州同盟、ですわね…………。」

 

 

ヘレナ「現在位置は不明だけど、間違いなくこちらに向かっているのは確かです。」

 

 

プリンス・オブ・ウェールズ「向こうの戦力は、空母6隻に戦艦2…………この基地を無力化するには十分すぎる航空戦力だ。」

 

 

ラングレー「こちらはミッドウェーから回航中のレキシントン、太平洋艦隊と合流中のエンタープライズとホーネット、そしてロイヤルのイラストリアス。」

 

 

ヘレナ「どう足掻いても拮抗しています。」

 

 

プリンス・オブ・ウェールズ(さて、どうするか…………)

 

 

 

アズールレーンが対策を練っている間も、第1航空機動艦隊は更に南下をしていき、ハワイ諸島北部海域に接近。遂に運命の一手がかけられようとしていた。

 

 

ハワイ諸島北部海域

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

村田拓哉「司令長官、時間です。ご決断を。」

 

 

高杉英作「わかった…………今になってためらいが出てきたが…………覚悟を固めなければな。」

 

 

村田拓哉「司令…………。」

 

 

高杉英作「……………………航空参謀、各空母へ打電!第一次攻撃隊、全機発艦!」

 

 

航空参謀「は!」

 

 

旗艦比叡の鐘楼に戦闘旗が掲げられて、各空母から直ちに攻撃隊が発進していった。

 

偵察機星電を始め、零戦52型・99艦爆・96艦攻合わせて100機以上の大群が機動部隊から発進、一路ハワイ諸島オアフ島へ向かった。

 

 

高杉英作「専務参謀。例の警告文は届いたと思うか?」

 

 

専務参謀「は。此方の通信内容を垂れ流していたので、今頃奴さんは大慌てでしょうな。」

 

 

それもそのはず、今回の作戦は彼等アズールレーンに「人類同士が本気で戦いを始めた恐怖」を教える為であり、「今戦うべき相手は人間同士ではなくセイレーンであること」を叩きつけることである。

 

 

 

オアフ島 パールハーバー

 

アズールレーン共同基地

 

 

プリンス・オブ・ウェールズ「急げ!直ぐに迎撃体制を調えろ!」

 

 

ヘレナ「宿舎に退避命令を!!」

 

 

ラングレー「民間船を早く湾外へ避難させて!!」 

 

 

レナウン「!!ヨークタウンの偵察機が敵戦爆連合を発見との報告が!!」

 

 

イラストリアス「それで位置は?!」

 

 

レナウン「現在島内の全航空基地を波状攻撃中とのこと!!」

 

 

プリンス・オブ・ウェールズ「なにぃ?!」

 

 

攻撃隊第一波は、後続の攻撃隊の被害を抑えるために島内の全航空基地を集中攻撃・無力化を図ると同時に、パールハーバーのアズールレーン共同基地の港湾施設と軍関係施設への攻撃が行われた。

 

 

96艦攻機内

 

 

分隊長「やはり戦艦はおらんか。」

 

 

航空士「ペンシルベニア1隻もいませんなぁ。ここでも貧乏くじを引かされましたな。」

 

 

分隊長「全くだ!このまま手ぶらじゃいかんなぁ…………。」

 

 

航空士「…………おぉ!いました!!ロイヤルのレナウン級!!」

 

 

分隊長「ヨーソロ!!」

 

 

巡洋戦艦レナウン 戦闘艦橋

 

 

整備士5「敵雷撃機1機、こちらに突進してきます!!」

 

 

レナウン「食い止めて!!対空弾幕を!!」

 

 

96艦攻機内

 

 

航空士「コースこのまま!」

 

 

分隊長「ヨーソロ!…………そんなへなちょこな豆鉄砲が当たるものか!」

 

 

航空士「投弾よーい!」

 

 

分隊長「撃てぇ!!」

 

 

レナウン 戦闘艦橋

 

 

整備士7「て、敵が魚雷を!!」

 

 

レナウン『機関全速!!緊急回避!!』

 

 

整備士8「しかし、接舷状態で発進したら……………」

 

 

整備士4「命中します!!」

 

 

96艦攻から放たれた航空魚雷は、岸壁に停泊していたレナウンに命中して、激しく爆発する。

 

ここに、高杉艦隊は4つの航空基地とアズールレーン共同基地に甚大な損害を与え、戦艦レナウンを大破・着底させた。

 

 

間髪入れず、高杉艦隊から発進した第2次攻撃隊は、アズールレーン共同基地に殺到していた。

 

 

99艦爆機内

 

 

航空士「凄いもんですね!!奴さん大混乱ですね!!」

 

 

分隊士「いいか!!間違ってでも燃料基地をやっちゃいかんぞ?!」

 

 

航空士「は!」

 

 

[燃料基地を避ける]それは、今時作戦の最大戦略目標であった。

 

その戦略的意味は後に判明するが、第2次攻撃隊は猛禽の群れの如く、アズールレーン真珠湾基地に襲いかかった。

 

 

対空巡洋艦サンディエゴ 艦上

 

 

整備士12「撃て撃てぇ!!奴らを叩き落とせぇ!!」

 

 

ユニオン守備隊も制空権を取られながらも、よくそのヤンキー魂を発揮したが、既に戦う前に大勢は決していた。

 

 

ヘレナ「サンディエゴ、大破!!」

 

 

航空爆撃により被弾したサンディエゴは弾薬庫に誘爆し、主砲塔が派手に吹き飛び湾内に着底した。

 

 

サンディエゴ「あ''あ''あ''あ''あ''あ''あ''ーーーー!!私の船がぁーーーー!!」

 

 

その船の持ち主であったサンディエゴは、自身の分身が虚しく着底するのを泣き叫びながら見守るしかなかった。

 

第2次攻撃隊は多少の損害を受けつつも、真珠湾防御施設を完膚なきまでに叩きのめし、ここにアズールレーン共同基地の軍事施設能力は喪失し切った。

 

戦果と戦況は、逐一高杉司令長官の元に知らされた。

 

 

戦艦比叡 戦闘艦橋

 

 

艦内放送《第一次攻撃隊が間も無く帰投する。各員、着艦準備を急げ!》

 

 

村田拓哉「長官。やはり敵の主力は真珠湾にいませんでしたな。」

 

 

高杉晋作「俺の勘が当たっただけだ。」

 

 

今時大戦から創設された【情報省】により、大洋州同盟の情報能力は格段の力を秘めていのだ。

 

 

 

ハワイ諸島南西海域

 

 

一方、空母「エンタープライズ」を旗艦とするユニオン太平洋主力艦隊は開戦に備えて、大洋州同盟の南方輸送阻害作戦「レインボー5号計画」に則り、太平洋をマリアナ諸島へと向かっていた。

 

 

エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

エンタープライズ「なんだと?!ハワイが奇襲攻撃を受けただと?!」

 

 

オクラホマ「エンタープライズ!直ぐ引き返して、救援に行かないと!!」

 

 

ネバダ「艦隊決戦なら、こっちの方が有利だ!」

 

 

エンタープライズ(何故だ……………ハワイ近海の厳重な哨戒網をどうやって…………。)

 

 

艦隊旗艦エンタープライズは、迷いに迷った。

 

もしユニオン艦隊に反撃のチャンスがあったとしたら、この一瞬であった。

だが、エンタープライズは慎重すぎた。彼は、高杉艦隊の戦力を図りかねていたのだ。

 

 

カルフォルニア「どうする?エンタープライズ。敵を追うか?」

 

 

エンタープライズ「………………っ!!いや、ネルソン達と合流してからでも遅くはない!」

 

 

一方、ロイヤルの誇りを持つ猛将ネルソンは急を聞き、オアフ島の西120浬の洋上を急行中であった。

 

 

ロイヤル東洋方面第2艦隊

 

旗艦 戦艦「ネルソン」

 

戦闘艦橋

 

 

ネルソン「何を躊躇う必要があるわけ?貴方たちは直ぐに引き返して、大洋州の艦隊を叩くべきよ!!こっちも合流を急ぐけど、戦争屋の馬鹿どもに太平洋の塩水をたらふく飲ませるチャンスなのよ?!」

 

 

ハワイ諸島南西海域

 

空母エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

エンタープライズ「あぁわかった!ミッドウェーから帰投中のレキシントンと合流次第、直ぐ引き返す!」

 

 

ネルソン《まだ腰を抜かしているわけ?!敵の艦載機は出払っているはずよ!!貴方たちは直ぐに…………待って、今情報が入ったわ!》

 

 

エンタープライズ(全く…………扱いにくい戦艦なことだ…………。)

 

 

戦艦ネルソン 艦戦闘艦橋

 

 

ネルソン「今、アークロイヤルの機が敵の偵察機と接触したそうよ!」

 

 

エンタープライズ《何?!位置は?》

 

 

ネルソン「オアフ島の西、140マイルの海域よ!」

 

 

エンタープライズ《それで、落としたのか!》

 

 

ネルソン「いいえ。恐ろしく足の速い機体よ!北西に逃げたわ!」

 

 

エンタープライズ《北西?!》

 

 

ネルソン「でもこれでツケは貴方より私の方があるわね!カウアイ海峡を北上して先に仕掛けるわ!!」

 

 

空母エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

エンタープライズ「待て!!見込みで追撃する気か!!合流するまで待つんだ!!」

 

 

ネルソン《勝負はどっちが先に見つけるかよ!やってみせるわ!!》

 

 

そう言って、エンタープライズとの交信を終える。

 

 

エンタープライズ「くっ!!ホーネット!オアフ島近海に偵察機を出してくれ!!」

 

 

ホーネット「OK!」

 

 

 

見かねたエンタープライズは、ホーネットにオアフ島近海に偵察機を出すよう指示する。

 

 

が、ネルソンの万有は裏目に出る。

 

何故なら、両艦隊との長交信は大洋州同盟側の新鋭偵察機星電の探知するところであり、2機以上での三角測定により、両艦隊の位置が知れることになったのである。

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

村田拓哉「そしてこれが、ネルソン率いるロイヤル東洋方面第2艦隊です。」

 

 

高杉英作「ロイヤルは先に仕掛けてくるか。彼方さんの戦艦を止めないと、こちらは一瞬にして全滅だ。」

 

 

航空参謀「第一次攻撃隊が帰投します!」

 

 

村田艦長「おぉ帰ってきたか!」

 

 

魚雷・爆弾と燃料を使い切り、ハワイ防御陣地に甚大な被害を与えた第一次攻撃隊は、艦隊へ帰還。燃料・弾薬を積み替えた後に、休む間もなく次なる標的に向かって発進していった。

 

 

高杉英作(敵とはいえ、ネルソンには些か同情を禁じ得ないが………)

 

 

この独白は、数分後に意味をなす。

 

 

戦艦ネルソン 戦闘艦橋

 

 

ネルソン「なんですって?守備隊の間抜けどもが?構わないわ!!敵だろうと味方だろうと、私たちを攻撃するものは容赦なく全部叩くのよ!!そうよ全部よ!!」

 

 

自軍の艦載機が、混乱していたオアフ島対空陣地に撃ち落とされ、猛将ネルソンは猛り狂っていた。

 

迫り来る自分の運命にも気が付かず、ロイヤル東洋方面第2艦隊は、戦艦2、空母1、重巡3、駆逐艦9からになるが、突然、雷撃を受けるのである。

 

 

突然放たれた魚雷は、ネルソンの右舷を護衛していた、駆逐艦フォックスハウンドとクレセントに命中し、足が止まる。

 

 

ネルソン「どうしたの?!」

 

 

整備兵50「雷撃です!!」

 

 

ネルソン「なんですって?!」

 

 

整備兵36《駆逐艦フォックスハウンド、クレセント、共に航行不能!!》

 

 

艦隊が気が付かなかったのも同意。

その魚雷は、航跡をも引かず、36ノットもの速さで3キロもの彼方から忍びよっきたのだ。

 

その後も雷撃は続き、次々と護衛の駆逐艦と巡航艦、空母と戦艦を行動不能にしていった。

 

 

整備兵21「駆逐艦ビーグル、アーデント、ジュノー航行不能!!」

 

 

整備兵14《重巡ドレイク、ヨーク、エセクター共に航行不能!!》

 

 

整備兵18「戦艦ロドニー、右舷機関室に浸水発生!!速力低下!!」

 

 

整備兵47「空母アークロイヤル、機関室全面浸水!!艦の傾斜が酷く、艦載機の発着艦不能!!」

 

 

整備兵60「駆逐艦は5隻がやられました!!巡航艦は全隻、主力は壊滅状態です!!」

 

 

ネルソン「い、一瞬にして…………艦隊の8割が壊滅するなんて…………!!」

 

 

凶報はさらに続く。

 

 

整備兵54「駆逐艦コメット、アマゾン、ヴァンパイア、フォーチュン航行不能!!」

 

 

整備兵98「護衛艦隊は全滅です!!残ったのは、本艦のみです!!」

 

 

そして、遂にネルソンも右舷から忍び寄ってきた魚雷を2発喰らい、決着はついた。

 

 

「うぉぉわ!!」

 

 

ネルソン「落ち着いて!!各部被害状況を!!」

 

 

整備兵34《右舷後部!さらに前部に3発命中!!》

 

 

整備兵58《機関室及び前部砲塔に浸水!!》

 

 

ネルソン「そ、そんな……………!!」

 

 

整備兵47「舵とスクリュー軸がやられました!!航行不能です!!行き足が止まります!!」

 

 

整備兵60《艦傾斜角45度に増加!!安全確保の為、左舷区画に強制注水を開始します!!》

 

 

ネルソン「……………………シンガポールのレパルス達に救助要請を…………。」

 

 

整備兵45《了解!!》

 

 

ネルソンは、己が敗れた理由も分からぬままに、ハワイ戦線から離脱するしかなった。

その報は、直ちにエンタープライズの聞く耳となる。

 

エンタープライズは突然の出来事で、コーヒーカップを床に落としてしまう。

 

 

エンタープライズ『ネルソンが敗れただと?!』

 

 

ウェストバージニア「ネルソン共々、全艦艇が航行不能に追い込まれたようだ。」 

 

 

ペンシルベニア「エンタープライズ!!さっき、ミッドウェー東南海域でレキシントンが撤退したって!!」

 

 

テネシー「何?!」

 

 

エンタープライズ「一体どういうことだ!!」

 

 

ペンシルベニア「雷撃を受けたようだ。」

 

 

カルフォルニア「潜水艦?!」

 

 

ペンシルベニア「詳細はわからないが、随伴のセントヘルスからの報告で、無弾頭の魚雷2発を撃ち込まれて、スクリュー軸を折られてダッチハーバーに撤退したようだ。」

 

 

メリーランド「エンタープライズ!」

 

 

エンタープライズ「…………こんな事が…………一体どうやって対潜哨戒網を潜り抜けたんだ……!!」

 

 

メリーランド「敵潜の位置は、掴んだのか?!」

 

 

ペンシルベニア「全く…………何も…!」

 

 

エンタープライズが信じられないのも同意。

 

駆逐艦を輪形陣に配し、予想される敵潜水艦の攻撃に備えていたはずである。その警戒網を易々と突破、正体を悟らせない所に「紺碧艦隊」の計り知れない実力があった。

 

 

テネシー「まさか、大洋州同盟軍は新機軸の兵器を実用化したんじゃ…………」

 

 

カルフォルニア「滅多なことを言うものじゃないよテネシー。第一、本国の諜報部が見逃すわけがない。」

 

 

テネシー「…………ごめん。」

 

 

エンタープライズ(…………一体、一体何がどうなっているんだ!!)

 

 

予想を超える出来事の頻発に、エンタープライズ達は動揺していた。

 

一方、高杉艦隊は、エンタープライズ達を戦いの場に引き摺り出す為、空母「加賀」・「蒼龍」・「飛龍」・「瑞鶴」・「翔鶴」の5空母と輸送船団を、駆逐艦の護衛の下離脱させた。

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

艦内無線《ミッドウェー方面にて空母レキシントン、雷撃により航行不能。以上、星電より入電!》

 

 

士官達「おぉ!!やったやった!!」

 

 

ロイヤルの太平洋派遣艦隊の撃退に加え、空母レキシントンの戦線離脱の朗報により、士官達は歓喜を上げた。

 

 

高杉英作「遂に、紺碧艦隊が動き出したようだな。」

 

 

村田拓哉「そのようですね。奴さんだいぶ慌てていると見え、平文で交信していますよ。」

 

 

高杉英作「暗号無しにか?敵ながら間抜けだな。」

 

 

主席参謀:フレデリカ・グリーンヒル大尉「高杉長官。食事を持ってきました。」

 

 

彼女の名は「フレデリカ・グリーンヒル大尉」。

ユニオン海軍の統合作戦参謀総長「ドワイト・グリーンヒル大将」の一人娘であり、大洋州同盟の発足に伴い、ユニオンから亡命してきたのだ。

 

彼女のたっての希望で高杉艦隊の専属秘書官としての職についている。

 

 

高杉英作「あぁ、ありがとう。支援艦隊の方はどうだい?」

 

 

フレデリカ「只今ハワイ諸島沖合に突入したとの報告が入っています。」

 

 

村田拓哉「敵さん、誘いに乗りましょうか?」

 

 

高杉英作「必ず乗るさ。最も、あれ達を下げたのも艦隊決戦のとばっちりを避けるためもある。」

 

 

そう言い、離脱していく艦隊を眺める。

 

 

高杉英作「さて…………航海参謀!艦隊進路をオアフ島に取れ!!」

 

 

その時、高杉艦隊の上空を空母ホーネットの偵察機が通過していったが、運悪く、高杉艦隊の主力が離脱した後の事であった。

 

高杉艦隊発見の報は、直様エンタープライズ達に伝わる。

 

 

 

エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

ホーネット「よし!!敵艦隊を見つけたわ!!」

 

 

メリーランド「やった!」

 

 

オクラホマ「空母の数は?」

 

 

ホーネット「陣容は…………戦艦2、重巡2、駆逐艦3、空母は…………1隻?!」

 

 

高杉艦隊の空母が1隻のみと言う報告に、一同は騒然となった。

 

 

エンタープライズ「空母が1隻だけだと?!」

 

 

ペンシルベニア「他の空母はどこへいったの!!」

 

 

ホーネット「駄目!発見できない!!」

 

 

カルフォルニア「もしかしたら、直前で他の空母を離脱させたんじゃあ…………。」

 

 

エンタープライズ「そんなはずはない…………!」

 

 

しかし、テネシーの一言で戦局は大きく動く。

 

 

テネシー「こうなったら、その艦隊を撃滅するからだ!!」

 

 

オクラホマ「たった1隻の空母の艦載機なんて、どうってことないよ!」

 

 

エンタープライズ「(確かに、戦力比から見れば、砲撃戦に持ち込めば一気に…………)位置は?」

 

 

ホーネット「オアフ島の西70浬よ!」

 

 

アリゾナ「進路から見れば、パールハーバーを目指しているわ。」

 

 

エンタープライズ「パールハーバーだと?そこは既に、空襲で破壊され尽くしているんじゃ…………。」

 

 

アリゾナ「軍港だけならの話よ。燃料基地にはまだ、450万バレルの石油がたんまり残っているわ。あれを一度に喪失する事態になったら、太平洋戦域のアズールレーン全艦隊が最低6ヶ月間、作戦行動ができなくなるわ。」

 

 

エンタープライズ「まさか連中!それを狙って!!」

 

 

二つの理由が、エンタープライズを動かしたのだった。

 

 

エンタープライズ『よし!!全艦進路反転!!アズールレーンの名誉にかけて、大洋州同盟の艦隊を撃滅する!』

 

 

エンタープライズの号令により、ユニオン太平洋艦隊が反転したその時、続報が入る。

 

 

ペンシルベニア「漁船員が敵艦隊を目撃!進路はカウアイ海峡を目指している!!」

 

 

エンタープライズ「カウアイ海峡だと?!………まさか…………。」

 

 

エンタープライズの脳裏に、ロイヤルの太平洋派遣艦隊を撃退させた敵潜の存在がよぎったが、仲間の一言が強打な旗艦の心を奮い立たせた。

 

 

オクラホマ「エンタープライズ!こっちの対潜輪形陣は完璧よ!そう簡単に突破はできないよ!!」

 

 

テネシー「ロイヤルの仇を取るなら今しかない!!」

 

 

エンタープライズ『よぉし!カウアイ海峡へ直行して、敵艦隊を迎撃するぞ!!』

 

 

エンタープライズ指揮するユニオン太平洋艦隊の陣容は、旗艦エンタープライズを含む空母2隻、戦艦8隻、重巡8隻、駆逐艦29隻、小艦艇及び支援艦他40隻の87隻であり、まさに威風堂々、太平洋の王者の名に恥じぬ艦隊編成であった。

 

対する、高杉艦隊は…………

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

通信士「星電より入電!ユニオン太平洋艦隊は、カウアイ海峡へ進路をとりました!」

 

 

村田拓哉「よし!」

 

 

高杉英作「フィッシャー少将!艦隊速度はこのままでいいかな?会合のタイミングが、本作戦の要だぞ?」

 

 

航海長「少し速度を落としましょう。概ね28節でどんぴしゃりです!」

 

 

オアフ島 カーラ山監視所

 

 

ユニオン兵2「…………!敵艦だ!…………おい!そっちは見えたか?!」

 

 

ユニオン兵1「きた!大洋州同盟だ!」

 

 

この敵艦隊接近の報は、直ちにエンタープライズに届けられる。

 

 

エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

整備兵55「カーラ山監視所より入電!東北東水平線上に、敵影を発見!」

 

 

エンタープライズ「来たか!!よーし、間に合ったぞ!!」

 

 

カウアイ海峡は、オアフ島とカウアイ島に挟まれた海峡で幅はほぼ100キロあり、艦隊を展開させても支障はなかった。

 

午後13時40分過ぎ、壮烈な主力艦同士の砲撃戦の火蓋は切って落とされた。

 

 

先手を取ったのはユニオンの方であった。

 

先頭を行くウェストバージニアを始めとするオクラホマ、テネシー、ペンシルベニア、カルフォルニア、ネバダ、メリーランド、アリゾナらが次々と砲撃、高杉艦隊に砲弾の雨が降り注ぐ。

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

見張り員《敵初弾、命中無し!》

 

 

高杉英作『砲撃始めぇ!!』

 

 

次に撃ったのは高杉艦隊である。

 

高杉長官の号令の瞬間、戦艦比叡を始めとする霧島らが即座に砲撃、ユニオン艦隊を狙う。

 

ユニオン艦隊も負けじと砲撃を続ける。

 

 

エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

エンタープライズ『撃ちまくれ!!たかが戦艦2隻、恐るるに足らないぞ!!突撃しろ!!』

 

 

耳を弄する砲声と、目をくらます閃光が、エンタープライズから平常心を奪い去っていった。

高杉艦隊は次第に押されていき随伴艦を沈められていくが、一進一退を続けるのだった。

 

 

エンタープライズ「なんだ…………一体何を考えているんだ!」

 

 

圧倒的な自軍の戦力を眼前にしながら、なおエンタープライズの心に言葉にできない不吉の予感が走った。

 

しかし…………

 

 

一方で高杉艦隊は、ユニオン艦隊の後方から近づく味方艦隊を確認するや…………

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

高杉英作「グリーンヒル大将、各艦艇に伝えぃ!!射程を保ち、正確なる射撃に努め!!」

 

 

フレデリカ「は!」

 

 

追えば逃げ、引けば押してくる高杉艦隊は、何事かを待ち受けているかのようであった。

 

果たして…………

 

 

戦艦ペンシルベニア 防空指揮所

 

 

ペンシルベニア「…………っ!!敵航空機群接近!!左舷16度、高度2000、距離7000!!」

 

 

ユニオン太平洋艦隊の面々「「っ!!!!!」」

 

 

エンタープライズ「図られたか…………!」

 

 

この海峡には現れるはずの無い新たな攻撃機隊が、殺到していた。

 

ユニオン艦隊は砲撃をしつつ航空機にも対処しようと対空弾幕を張るが、攻撃機隊の殆どが雷撃機で編成されていた為、易々と突破されてしまう。

 

遂に、随伴の駆逐・軽巡の何隻かが航行不能にされてしまう。

 

 

整備兵25《駆逐艦カッシン、ダウンズ航行不能!!》

 

 

整備兵47「軽巡ニューオーリンズ、アトランタ共に航行不能!!」

 

 

テネシー《左舷16度!新たな敵艦隊接近!!》

 

 

エンタープライズ「何?!」

 

 

テネシー《戦艦5……いや6!空母3、重巡4、他多数!!駆逐艦を前衛に高速接近中!!》

 

 

ホーネット「挟み撃ち?!」

 

 

新たに出現した艦隊は、坂本良馬中将率いる大洋州同盟海軍の主力艦隊であった。

 

高杉艦隊を支援すべく、秘密裏に本海域に進出していたのだった。

 

 

坂本艦隊旗艦 高速戦艦「金剛」

 

同 戦闘艦橋

 

 

坂本良馬中将(26)「高杉さん。遅くなりましたかな?」

 

 

高杉英作《丁度いいタイミングだよ!これでほぼ同数、8対8と言う事です!》

 

 

坂本良馬「それじゃあ、いっちょビビらせてやりましょうか!!」

 

 

制空能力は皆無、空母エンタープライズとホーネットは偵察機を持っていたが、艦載機のほとんどをオアフ島空襲で基地ごと破壊されしまっており、その上で海峡前後を両艦隊に挟撃されてしまう。

 

かくて、激闘約3時間。ユニオン太平洋艦隊はことごとく大破または航行不能にされていた。

 

時ここに至って、エンタープライズもそれに気がつく。

 

 

エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

エンタープライズ「なぜだ!なぜ奴らは、主力たる戦艦を狙わなかったんだ!!」

 

 

ペンシルベニア「奴らの真意がわからない!!」

 

 

メリーランド「ただ言える事は、こっちは丸裸にされた事実だけだ!!」

 

 

エンタープライズ「わからない……………どうする、奴らの真意が読めない…………!どうする!!ユニオンの意地をみせて突っ込むか!!」

 

 

ウェストバージニア「それも一つの手だが、砲弾を使い切った戦艦は、ただの鋼鉄の城同然だ…。」

 

 

エンタープライズ「降伏しろと言うのか!!大洋州同盟に対してこの私が?!嫌だ!!私は嫌だ!!」

 

 

ウェストバージニア「落ち着け!もう直ぐ日が暮れる。闇夜に紛れて離脱するのが先決だ。」

 

 

エンタープライズ「確かに、再起を期すのも一つの手だが…………」

 

 

エンタープライズは、またもやいいしれぬ不吉な予感に支配されていた。

眼下に染まる黄金色の波の下に、何かが潜んでいる予感がした。

 

だが、あえてそれをねじ伏せ…………

 

 

エンタープライズ『アズールレーンの栄光を汚す事はできない!!全艦突撃せy…………』

 

 

まさにその瞬間、エンタープライズの右舷を航行していた戦艦アリゾナが突然雷撃を受け、激しい爆音を轟かせながら、黒煙を上げる!

 

 

エンタープライズ「……………なぁ…!!!」

 

 

そしてアリゾナの速度が徐々に落ちていき、艦隊から落伍する。

 

 

ノーザンプトン「ア、アリゾナが…………たった2発の魚雷で…………!!」

 

 

クリーブランド「まさか…………レキシントンもああして…………!!」

 

 

彼らが驚いている暇もなく、今度はホーネットの前方を航行していた戦艦オクラホマが雷撃を受けて大破、瞬く間に艦隊から落伍していく。

 

 

ホーネット 飛行甲板

 

 

モントピリア「雷撃だ!!どこからきたんだ!!」

 

 

ダウンズ「航跡なんて、見えなかったぞ!!」

 

 

ノーザンプトン「たった3発で、機関室を破壊したなんて……………………!!」

 

 

正体を見せない謎の雷撃は、一瞬の内にアリゾナ、オクラホマの各戦艦を航行不能にし、ユニオン太平洋艦隊を震撼させた。

 

それは明らかに、エンタープライズに''ある選択''を促していた。

 

 

エンタープライズ 戦闘艦橋

 

 

整備兵1「戦艦アリゾナ、オクラホマ、航行不能…………。」

 

 

エンタープライズ「降伏という事態しか、もうそれしか無いのか…………嫌だ、私は………!」

 

 

ウェストバージニア「エンタープライズ。もはや、やむを得ない選択だ。」

 

 

ペンシルベニア「他の子達の命を守るためにも、降伏しよう。」

 

 

エンタープライズ「…………だが、ここで太平洋艦隊が投降したら…!」

 

 

メリーランド「エンタープライズ!」

 

 

エンタープライズは判断に迷うが、直ぐに考えを改め…………

 

 

エンタープライズ「わかった、降伏しよう。全艦に通達、鐘楼に降伏旗を掲げよ、と。」

 

 

ペンシルベニア「わかった。」

 

 

カウアイ海峡での砲声が止んだ頃、駆逐艦の護衛の下上陸部隊は、全ハワイ諸島を占領。

 

ハワイ奇襲作戦は最終段階へと移った。

 

 

1208から始まったこの戦いは、大洋州同盟の大勝利に終わった。

 

無論、450万バレルの重油の確保は言うまでも無い。

 

 

だが、所詮この大勝利の陰に潜む、海中の潜水艦隊「紺碧艦隊」を大洋州同盟は秘匿し切ったのである。

 

 

彼らの戦いは、続く。

 

 

 

EP1-2へ続く・・・・

 

 

 




次回、運河を爆撃す!
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