アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~ 作:非常勤務艦隊本部
連合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として生まれ変わることとなる。
しかし、アズールレーンの要素を後世世界でも平成11年12月、運命の開戦を迎える。
宣戦布告と同時の奇襲攻撃でハワイを奪取した大洋州同盟は、それからの主要な戦いに尽く勝利、太平洋の制海権・制空権をほぼ手中に収めた。
一方で、ヒトラーに率いられた『鉄血』は、着々と世界制覇の野望を進めつつあった。
大洋州同盟はこれに対して、鉄血に宣戦を布告。
同時に、ロイヤルの同盟加盟により、マダガスカル島奪回作戦を展開!
大西洋では、ロイヤル本土援護のため派遣された【旭日艦隊】が行動を開始、ジブラルタル奇襲を敢行してビスマルクⅡ世を打ち破る!
これに対してヒトラーの逆襲は、重桜本土空襲………………地中海艦隊のインド洋派遣などで行われたが、紺碧艦隊は鉄血地中海艦隊を紅海にて要撃、海の藻屑と変えた。
大西洋でも、旭日艦隊が心臓作戦を展開!
前衛遊撃艦隊による『ジブラルタル夜襲』…………ロイヤル空軍との共同による『鉄血本土空襲』…………超戦艦日本武尊による『ゲルマン砲台殲滅作戦』により、困難を極めた大作戦を無事成功を収めたのだった。
そして、平成16年3月、遂にマダガスカル島陥落の朗報が入るが、その頃ユニオンはパナマ第二運河を完成させて、太平洋の覇権奪回の牙を研ぎつつあった!
そのためにも、対ユニオン諜報作戦【竜宮】を指揮していた前原だったが…………
東煌の哈爾濱にて行われる【戦局分析首脳会議】への出発を命じられるが、その途中でユニオンCIA工作員の襲撃を受ける。
しかし、間一髪……工作員「河島佳子」の助けを受けてこの危機を切り抜けたのだった。
世界が、『大洋州同盟』……『ユニオン』……『鉄血』の三極構造の上にあったが、いずれにしてもそれは………火薬庫の上の楼閣の様に、危ういものであった…………
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平成16年11月
重桜帝都 東京調布市
調布飛行場
この日、調布飛行場には木戸孝允外相らがある人物を出迎えるため集まっていた。
調布飛行場に1機のロイヤルの連絡機が降り立ち、1人の男が重桜の土を踏んだ。
ロイヤル王室「マーガレット女王陛下」の特使として『キィストン・チャーチル』が来日、木戸外相が出迎え、大高と悠陽殿下は誠意あふれる対応をした。
来日前、ワシントンでユニオン大統領トルーマンに冷たくあしらわれたチャーチル卿は、重桜での手厚いもてなしに終始上機嫌であった。
帝都城 桜田の間
晩餐会の後、チャーチル卿は大高に意外なことを話し始めた。
ロイヤル特使:キィストン・チャーチル卿「…………大高閣下には……1999年5月に、クリミアで行われた秘密会談のことはご存知かな?」
重桜内閣総理大臣兼陸軍大臣:大高弥三郎「いえ、初めて耳にします。」
チャーチル卿「やはりご存知ないか………………我々……つまり、かつてのユニオン大統領ルーズベルトと北方連合の一将軍のスターリン……そして私の3人が、クリミア半島のヤルタに集まって会議を行ったのです。」
大高弥三郎「会議ですか…………」
チャーチル卿「……………大洋州同盟は独立前、1999年4月にモスクワで中立条約を調印されましたな?」
大高弥三郎「はい、よく覚えています。」
チャーチル卿「その1ヶ月後に我々はヤルタに集まって……“重大な取り決め”を行ったのです。」
大高弥三郎「重大な取り決め…………?」
チャーチル卿「しかし6月23日、ヒトラーはバルバロッサ作戦を発動し結果…………対北方連合攻略を成功させた。その半年後には、重桜から独立した大洋州同盟が太平洋にて圧倒的勝利を得て、我々の密約は有効性を失った。」
大高弥三郎「…………その、密約とは一体?」
チャーチル卿「我々の間で決めた……『戦後世界の分割』の事です。」
大高弥三郎「なんと………!!」
チャーチル卿「私としては、スターリンがいずれ支配しようとする北方連合を危惧して、ルーズベルトに何度も進言しました。『あの男の巧言令色に乗ってはいかん』と。」
大高弥三郎「ルーズベルトは?」
チャーチル卿「全く聞き入れてはくれません。しかし強調しておきたいのは当時、ロイヤルとしては危急存亡の時であり、ユニオンの参戦なくば鉄血の侵攻を食い止めることは出来なかったのです。…………大高総理にはこの立場をよく理解していただきたい。」
大高弥三郎「よく理解できます!過去はどうあれ、貴国は今や我が同盟の一員ではありませんか!」
チャーチル卿「そのお言葉、感謝いたします。……ルーズベルトは言いました。」
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回想
1999年5月 クリミア半島ヤルタにて
(当時)ユニオン第32代大統領:ヘンリー・ルーズベルト『世界の支配など簡単だ。
(当時)ロイヤル首相:キィストン・チャーチル「…………。」
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チャーチル卿「………………無論わたしはこの乱暴な分割計画に反対しましたが、ルーズベルトは私を『理想主義者』と呼び、奴と同じ『現実主義者』のスターリンと結託して、会談をリードしたのです。」
大高弥三郎「なるほど…………よく、わかりました。」
2日後
羽田飛行場
チャーチル卿は、重桜との絆を確認して祖国への帰路についたのだった。
大高弥三郎(…………チャーチル卿が戻るロンドンが、いつまでロイヤルの首都でいられるのか…………後世の未来のことは…………誰にもわからない…………か。)
チャーチル卿の乗る連絡機を見送りながら、大高はそう曲中でつぶやいたのだった。
前世で、ドイツ第三帝国は【3B政策】と呼ばれるベルリンからイスタンブール、バグダードまで至る鉄路開通させたが、この後世ではその大幹線をバスラまで延長した【4B政策】を打ち出し、膨大な軍需品を集積してインド戦線に備えていた。
そして、【アラブの暴れん坊】の異名を持つイラクの支配者『アブドラー・カシム』を懐柔、弄せずして中東アジアの支配権を確立、石油資源を確保したのだった。
鉄血首都 ベルリン
総統官邸 執務室
インドア半島侵攻の準備が着実に進む中、ヒトラーにはある懸念点があった。
鉄血総統:ハインリッリ・フォン・ヒトラー「…………だが問題は、アラビア海だ。大洋州同盟の『紅玉艦隊』に制海権を奪われたままだ。」
鉄血兵1「それにつきましては、海軍の『新鋭Uボート襲撃艦隊』の投入で成果は上がりつつあります。現在、インド洋及びアラビア海で群狼戦術により、軽掘尼亜と筆汁芭近を大破撤退させて、空母1隻他を撃沈しています。」
ヒトラー「余の記憶が正しければ、いずれも【ボロ船】だな?…………まぁよい、引き続きインド洋の制海権を確保するようリッペ君に伝えろ。」
ヒトラーはインド太平洋の支配を確固たるものにするべく、UX-99の建造成果を基にして『最新鋭の攻撃型Uボート』を投入して、インド洋とアラビア海の制海権奪取に動いていてその牙はインド太平洋の護りに就いていた「川崎弘中将」指揮する『紅玉艦隊』に襲いかかっていたのだった…………
某日 深夜
インド洋 海中
この日深夜、最新鋭の攻撃型Uボート『U-3005』が大洋州同盟の艦隊を捕捉、ケーブルアンテナを射出して謎の怪電波を放った。
同時刻
インド洋 海上
紅玉艦隊旗艦 航空爆撃戦艦『米利蘭土』
同 戦闘艦橋
元ユニオンKAN-SEN:メリーランド「指揮官、また例の怪電波だ。」
紅玉艦隊司令長官:川崎弘中将「何しろ鉄血の考えることだ。手強い…………対潜警戒を特に厳重にするんだ。」
メリーランド「わかった。ネバダ!」
米利蘭土と根婆汰に搭載されている艦上特殊爆撃機『爆龍』は、度重なる戦闘の末その稼働機数を減らしていき、更に例の鉄血海軍による夜襲により運用艦が尽く大破撤退を余儀なくされているため、重桜海軍は既存の爆龍を急遽『水上機』に改造して対潜哨戒機『爆龍改』として実践配備していたが、これを足しても紅玉艦隊の対戦能力はたかが知れていた。
この日も、米利蘭土と根婆汰から爆龍改が2機発進していった。
川崎弘「急拵えの爆龍改の対潜能力、どこまで通用してくれるかな?」
専務参謀「磁探も聴音も、いいのを積んであります。」
川崎弘「…………いかせん数が足りない。稼働機が2機しかないんだぞ?鉄血海軍は新型Uボートをインド太平洋に派遣してきている。いくら我が艦隊といえども、いよいよ肩身が狭くなってきたよ。」
専務参謀「太平洋で暴れ回った川崎提督にしては、お気の弱いお言葉で…………」
川崎弘「ん?……ふははははww俺をこの艦同様に、少し精神年齢を取りすぎたかな?」
専務参謀「まさか!」
航空参謀「まだまだ紅玉艦隊、意気揚々であります!」
艦橋の空気が少し和むが、それでも川崎弘の胸中には一抹の不安があった。
メリーランド「……………だが、既にカルフォルニアとペンシルベニアが
その間にも、艦隊に危機は迫っていた!
既に新型のUボート『U-3333』が紅玉艦隊の後方についていたのだ!
第301水中襲撃艦隊司令官『カール・ブルークシュ准将』は攻撃準備のため追尾を開始する!
米利蘭土 戦闘艦橋
メリーランド「哨戒機から、敵潜探知の報は届いていないが…………どうも見透かされているような気がする…………」
川崎弘(…………嫌な予感がする。)
川崎司令官とメリーランドの嫌な予感は、まさに冴えていた。
海中には、既に数隻の攻撃型Uボートが包囲陣形を敷き紅玉艦隊を待ち構えていたのだ!
指揮艦からの合図とともに、展開していたUボートが一斉に【磁気信管追尾魚雷】を全門斉射、数に物を言わせて攻撃を敢行する!
米利蘭土 戦闘艦橋
メリーランド「…………くそっ、最悪だ!!待ち伏せだ!!」
見張り員6「右舷2時方向から、雷跡10以上!!」
見張り員7「左舷7時距離7000からも、雷跡4!!」
ネバダ《潜望鏡発見!1時の方向だ!》
川崎弘『全艦第三戦速へ、ジグザグ運動開始!!駆逐艦を向かわせろ!!
川崎は陣形を解いて回避運動にかかり、駆逐艦を現場に向かわせるも、勝敗を日の目を見ずとも決していたのだった…………
航空制空戦艦『ネバダ』 戦闘艦橋
元ユニオンKAN-SEN:ネバダ「両舷第三戦速!ジグザグ運動を続けるんだ!」
大洋州同盟パイロット:臼杵咲良准尉「あの!機関室から、タービン圧が上がらないって!」
ネバダ「出港前に点検は済ませたはずだぞ!」
大洋州同盟パイロット:風間祷子中尉「右舷2時方向から魚雷が2発!こちらに向かってきます!!」
大洋州同盟パイロット:伊隅みちる少佐「回避だ!!船を立てろ!!」
根婆汰操舵長「ダメです!艦の回頭、間に合いません!!」
風間祷子「ダメ!!当たる!!」
ネバダ『総員!!衝撃に備えろ!!』
回避運動に入った根婆汰だったが、突然の機関不調で速度が上がらず雷撃を避けきれずに被弾を許してしまう。
米利蘭土 戦闘艦橋
見張り員8「根婆汰に被雷!!」
見張り員9「駆逐艦春雨にも被雷!!」
通信手「爆龍改!敵潜の位置を知らせ!!」
見張り員12「雷跡、続いてきます!!」
メリーランド「対潜哨戒機は敵潜を攻撃中だが、効果は薄いようだ!!」
見張り員10「太刀風、魚雷回避しました!!」
だが、悪夢は終わらず雷撃は続いてやってくるのだ…………
狙った獲物を、確実に仕留めるかのように…………
見張り員11「航跡左舷に!!避けきれません!!」
米利蘭土に4発の魚雷が迫ってくるが、その間に割り込むかのように後世世界に転移してきた海上自衛隊所属の護衛艦『さわゆき』が、艦隊旗艦を護らんと突進してくる!
川崎弘「…………さわゆきが!盾になる気か!!」
米利蘭土に直撃するはずだった魚雷4発は、さわゆきに全弾直撃!
艦橋から『貴艦の武運を祈る』と発光信号で言い残して艦全体に爆発が及んで、遂に弾薬庫が誘爆して轟沈してしまった。
正に悪魔の所業………………
瀕死の紅玉艦隊にとどめと言わんばかりに3度目の雷撃を仕掛けるUボート群。
それを知っていても、既に紅玉艦隊には防ぐ手立ては残されていなかったのだ…………
見張り員14「駆逐艦太刀風に被雷!!」
見張り員13「さわゆき!!沈みます!!」
専務参謀「救助はどうした!!」
見張り員2「本艦に魚雷接近!!」
メリーランド「しまった!!」
油断しているところに、Uボートから放たれた魚雷が直撃して艦全体が激しく揺さぶられる!
作業員3《左舷に被雷!!》
作業員5《第三分隊!作業始め!!火災発生!!》
作業員1《被害報告、急げ!!》
直ちにダメージコントロールを始めるが被弾箇所が悪く、航空機燃料に誘爆を起こしてシャッターを突き破って大爆発を起こしてしまう!
その衝撃は凄まじく、川崎司令官とメリーランドが負傷してしまった!
専務参謀「大丈夫でありますか………!!」
川崎弘「…………っ俺は……大丈夫だ………………それよりこの事を高野総長へ早く…………っ!!」
この夜襲により大洋州同盟は改装戦艦2隻と空母紅鶴が【大破】、重巡鈴鹿・野坂【中破】、駆逐艦4隻が【撃沈】して、ここに紅玉艦隊は事実上壊滅。
コーチンとマドラスへ撤退せざるを得なくなった。
紅玉艦隊壊滅の報は直ちに大洋州同盟各国に伝わり、宗主国『重桜』は速やかに対応策を練らなければならなかった。
後日
帝都城 応接の間
煌武院悠陽「それで、川崎司令官の負傷の具合は?」
高野五十六「命に別状はなしとのことでしたが…………紅玉艦隊の戦力は半減しました。そこで、紺碧艦隊を東太平洋からインド洋へ派遣したいと思います。」
煌武院悠陽「お任せしますが、同盟の宗主国たるもの………それでは抜本的な対策にはなりません。」
高野五十六「無論です。この私に少々妙案がありますが、インド政府の了解が必要なのです。」
煌武院悠陽「インド政府の?」
側近:月詠真耶中尉「殿下、木戸外相がお見えになりました。」
煌武院悠陽「お通ししなさい。」
木戸外相は、豪州ケアンズにてマッカーサーとの秘密会談を終えて、空港から真っ直ぐ来たのであった。
煌武院悠陽『それは真ですか?!』
木戸がもたらされた内容は、驚愕すべき内容であった!
『ハリエット・アイゼンハワー』ユニオン陸軍北大西洋戦域司令官、『ルイス・マッカーサー』元元帥、『ドナルド・リーガン』北太平洋艦隊元司令官のユニオン3首脳が連携、影の政府に操られていると思われる【トルーマン政権打倒】に立ち上がったというのだ!
このことを聞いた高野は判断がつきかねていたが、悠陽殿下が信じても良いと考えた事で高野も信じる事にして、万一ユニオンの情勢が変わることがあれば大洋州同盟が目指し続けてきた【対ユニオン講和】も前進するだけでなく、三極対立構造である世界情勢が【二極対立構造】となり【第三次世界大戦の早期終結】も可能性が見えてくるのだ。
だが、ユニオンを影から支配しようとしている【影の政府】が鉄血に接近しつつあるとの事だ。
もし彼らの膨大な資金が利益効率のより欧州へ向かえば、ヒトラーが目論んでいる【世界制覇】がより盤石なものとなるのだ。
恐ろしい事に鉄血はこれからも、より強大な存在になりつつあったのだ。
その数日後、師走に入ったばかりの日に………
悠陽殿下は、インド大使の『グプタ氏』を帝都城へ招き、インド防衛のための提案を行なった。
帝都城 応接の間
煌武院悠陽「今日お越しいただいたのは他でもありません。インド戦線の問題です。」
インド大使:グプタ博士「はい。戦況は、いよいよ切迫してまいりました。」
煌武院悠陽「鉄血は強力な潜水艦隊を送り出して、インド洋で暴れ回っています。」
グプタ博士「はい。紅玉艦隊が、敵海上補給路の遮断抑止力として活躍していたのは存じております。」
煌武院悠陽「しかしながら、最近になってそれが有効ではなくなりつつあります。」
グプタ博士「…………憂慮すべき問題です。」
煌武院悠陽「インド洋の戦略的・地政学的意味合いは極めて重大であります。鉄血は既にスエズ運河を抑えていますが、これにより国際貿易は半減してしまいました。」
グプタ博士「………今また、鉄血にインド洋を抑えられたら……………」
煌武院悠陽「世界経済に深刻なインフレーションを引き起こすだけでなく、インド侵攻の補給路の完成となります。そして、無資源で貿易に頼っている国々は立ち所に干上がってしまい、最悪の結果を生みかねません!」
グプタ博士「よく、わかります。」
煌武院悠陽「ヒトラーの野望を打ち砕いて、その支配計画を阻止できなければ、インドと我が大洋州同盟は滅亡の危機に追いやられてしまいます!」
グプタ博士「決して、貴国だけの問題ではありません!」
煌武院悠陽「はい。付きましては、グプタ大使に是非ともお願いしたい事があります。」
グプタ博士「…………なんでしょう?」
その後、2人の会談は真剣さをいや増していくのだった。
後日、【煌武院=グプタ会談】の成果は海軍に伝えられた。
海軍軍令部 執務室
高野五十六「月詠中尉………はい…………」
月詠真耶《例の件ですが、グプタ氏を通じてインド政府の了解を取り付けました。》
高野五十六「ありがとうございます。」
月詠真耶《いえ、あとはお任せしますと……殿下がそう申しておられました。》
高野五十六「わかりました…………では。」
会談の成功を聞いた高野は、印度方面作戦課に出頭中の技術顧問である『真田志郎』を呼んだ。
高野五十六「これが計画書かな?」
大洋州同盟技術顧問:真田志郎「はい、ご覧ください。」
真田が持参してきたのは、紺碧艦隊の秘密基地建設の計画書であった。
高野五十六「この計画はすぐに掛かれるのかね?」
真田志郎「民間の建設事業で行われている【杭打ち施工】と【湾岸工法】を採用しているため、工作艦と専用の機材を使えばすぐに…………」
ここで、本計画について説明しておこう。
この計画は【朝日計画】と呼ばれ、アラビア海に点在する珊瑚礁島群【インド領ラカディブ諸島】にある無人島……通称『朝日島』に、派遣される紺碧艦隊の秘密基地を建設するのが本計画の大枠である。
だが、紺碧島とは違って時間的余裕はないため、基地に【偽装】を施す方法で秘匿性を保つというのだ。
真田志郎「偽装に関しては、浅草の時代劇の舞台美術を参考にして開発しました……この『偽装空中林』を使います。」
高野五十六「なるほどな………………ゴム製だな?」
真田志郎「はい。偽装としましても、空中からの偵察の目を誤魔化せる程度ですので………質素すぎましたでしょうか?」
高野五十六「いや…………よく出来ている。」
真田志郎「では…………」
高野五十六「うむ、早速実行に移してくれたまえ。」
真田志郎「ありがとうございます。…………しかし、条件があります。」
高野五十六「条件?…………して、内容は?」
真田志郎「それは…………」
重桜 神奈川県
横須賀海軍基地
かくして、インド方面作戦課で立案された『紺碧艦隊秘密基地建設』【朝日計画】は実行に移された。
大量の資材と設営隊員を乗せた重桜海軍の新型船【特一等大型輸送艦『黒潮型』】5隻は3日後の深夜、横須賀を出発、なお高野からの承諾を得て「真田志郎」・「新見薫」・「大山敏朗」の3名が設営の陣頭指揮を取るため船団に同行している。
輸送船団は沖縄島沖で、呉にて改装工事を受けていた航空護衛戦艦『亜利空奈』・『尾位保間』を主力とする紅玉第三艦隊が、増援の【尊氏型二番艦『義満』】・【改信玄型航空戦艦】一番艦『元就』と二番艦『義鎮』、【利根型対空巡洋艦】2隻と【神風型対潜駆逐艦】10隻に【秋月型対空駆逐艦】6隻を引き連れて船団と合流、各地の基地から発進する対潜哨戒機の護衛を受けて東シナ海、南シナ海を南下。
マラッカ海峡で、軍令部からの匿名を受けて待ち構えていた、【アンダマン海防衛艦隊】所属の【航空巡洋艦『東光』】を旗艦とする【第8護衛戦隊】が合流する!
マラッカ海峡を通過して、鉄血潜水艦が潮流跋扈するインド洋へと突入した。
この第8護衛戦隊の陣容は、【東光型航空巡洋艦】一番艦『東光』を旗艦として、石狩型軽巡洋艦(改大淀型)の『石狩』・『十勝』・『網走』、神風型対潜駆逐艦の『松波』・『高波』・『山波』・『初波』の8隻で構成されている。
第8護衛戦隊旗艦 航空巡洋艦『東光』
同 艦橋左ウイングデッキ
元連合艦隊司令長官:東郷平八郎元帥(45)「三笠よ。これより常時、仙狩を対潜哨戒に出せよ?」
初代連合艦隊旗艦兼初代重鎮(重桜KAN-SEN):三笠「承知している。」
二代目連合艦隊旗艦兼元重鎮側近(重桜KAN-SEN):薩摩「この輸送船団達を、一隻も沈める事なく送り届けなければなりませんね。」
東光搭載の【新型対潜哨戒機『仙狩』】は、急拵えの『爆龍改』や基地哨戒機『仙空』と違い、水陸両用機としての際立った性能を有している!
東光から発艦した仙狩は対潜警戒のため索敵を開始するが、新型のKMXを以てしてもこの頃のUボートを発見できるのは難しい。
見過ごすと責任問題になるため、仙狩の機長は低空まで降下して八の字索敵飛行を始める!
低空飛行を続ける事数分後、KMXが潜水艦の反応を捕捉する!
仙狩は発煙筒を落として直ちに着水、聴音機を展開させて艦種を特定する!
KMXに反応があった艦はUボートである事が判明するや、吸着ブイを搭載した対潜魚雷【コバンザメ】を投下。
探知されたのは紅玉艦隊を襲った第301水中襲撃艦隊所属の【攻撃型Uボート『U-3013』】で、就役したばかりの【U-3010型】の一隻であった。
コバンザメはU-3013に命中するも、反響音から乗組員は不発弾と判断。
急速潜航をかけて一度退避する選択をするが、時すでに遅く…………コバンザメに搭載された吸着ブイが、U-3013の船体についていたのだった。
吸着ブイからの信号を探知した仙狩は直ちに追跡に入る!
航空巡洋艦『東光』 戦闘艦橋
元連合艦隊第一艦隊所属(重桜KAN-SEN):朝日「三笠!仙狩1番機が鉄血潜水艦を捕捉!コバンザメを使い、追尾中との事です!」
三笠「よし、これで逃すことはないな!」
東郷平八郎「軽巡石狩と十勝を送り、仙狩の誘導にて直ちに攻撃!」
薩摩「承知しましたわ!」
2隻の軽巡洋艦が、得たりとばかりに戦列から離れて…………
航空護衛戦艦『亜利空奈』 戦闘艦橋
航空参謀「爆龍改、発艦準備良し!」
元ユニオン所属:アリゾナ「爆龍改、発艦!」
亜利空奈、尾位保間からも対潜哨戒機『爆龍改』が発進、Uボートの追跡にかかる!
一方、U-3013は接近してくる重桜の軽巡洋艦に警戒していたが、哨戒機につけられているとも知らずに遂にすれ違いざまで爆雷攻撃を受ける!
これにたまらずU-3013はジグザグで逃げ惑い、軽巡洋艦が仙狩の誘導にて追跡・攻撃を続ける!
更にそこへ、亜利空奈と尾位保間から発艦した爆龍改も加わり理想的な三角測定が完成して、これでは…………いくら海中にいる新型Uボートと言えども、逃れる術はない。
更に第8護衛戦隊に配備されている【石狩型軽巡洋艦】は対潜戦闘を想定して建造されており、艦後部に各種爆雷を装備しており、更に機関も新型のガスタービンエンジンを搭載しているため駆逐艦以上の速力を発揮できる。
U-3013はこのままでは嬲り殺しだと判断して雷撃戦を決意、敵が逃げ惑っている隙をついて戦域からの離脱を画策する。
敵潜を追撃していた艦隊も爆雷攻撃の影響で敵の位置を失探、その間にU-3013から追尾魚雷が放たれ艦隊を襲うが、亜利空奈の爆龍改がこれを発見した事で迅速に回避行動へと移った!
軽巡石狩が魚雷から回避する一方で、軽巡十勝は仙狩からの誘導により敵潜を追跡。
新装備の【対潜魚雷】にて反撃を行い、かくしてU-3013を海の藻屑と化したのだった…………
ここに、紅玉艦隊の仇と一矢報いた東郷対潜護衛戦隊であったが、インド洋の制海権を廻る攻防は………秘密基地『朝日島建設』の成否と相まって、ますますその熾烈の度を加えつつあった!
三笠「夜間直、急げ!」
薩摩「照明を落とせ!」
インド洋に、決戦の時近づく!!
EP4-7へ続く・・・・
かつて日本海で最強を誇った連合艦隊の面々が、インド洋で暴れ回りすよ?