アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~ 作:非常勤務艦隊本部
連合艦隊司令長官「山本五十六」は、アズールレーンの要素を含めた後世世界に『高野五十六』として生まれ変わることとなる。
しかし、アズールレーンの要素を後世世界でも平成11年12月、運命の開戦を迎える。
宣戦布告と同時の奇襲攻撃でハワイを奪取した大洋州同盟は、それからの主要な戦いに尽く勝利、太平洋の制海権・制空権をほぼ手中に収めた。
一方で、ヒトラーに率いられた『鉄血』は、着々と世界制覇の野望を進めつつあった。
大洋州同盟はこれに対して、鉄血に宣戦を布告。
同時に、ロイヤルの同盟加盟により、マダガスカル島奪回作戦を展開!
大西洋では、ロイヤル本土援護のため派遣された【旭日艦隊】が行動を開始、ジブラルタル奇襲を敢行してビスマルクⅡ世を打ち破る!
これに対してヒトラーの逆襲は、重桜本土空襲………………地中海艦隊のインド洋派遣などで行われたが、紺碧艦隊は鉄血地中海艦隊を紅海にて要撃、海の藻屑と変えた。
大西洋でも、旭日艦隊が心臓作戦を展開!
前衛遊撃艦隊による『ジブラルタル夜襲』…………ロイヤル空軍との共同による『鉄血本土空襲』…………超戦艦日本武尊による『ゲルマン砲台殲滅作戦』により、困難を極めた大作戦を無事成功を収めたのだった。
そして、平成16年3月、遂にマダガスカル島陥落の朗報が入るが、その頃ユニオンはパナマ第二運河を完成させて、太平洋の覇権奪回の牙を研ぎつつあった!
そのためにも、対ユニオン諜報作戦【竜宮】が実施されていた!
しかし、インド洋ではインド亜大陸侵攻を狙う鉄血との制海権の攻防が活発化!
新型Uボートからなる水中襲撃艦隊の牙は、インド洋防衛の要であった【紅玉艦隊】を壊滅に追い込み、高野に……新たに紺碧艦隊の『秘密基地建設』を決意させる!
平成16年12月。
大量の資材を乗せた輸送船団は一路、ラカディブ諸島へと目指しつつあった!
風雲急を告げるインド洋!鉄血水中襲撃艦隊との激突が、遂に始まらんとしていた!!
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平成16年12月 深夜
インド洋
かつて連合艦隊司令長官の座に就いていた『東郷平八郎元帥』を司令官と仰ぐ【第8護衛戦隊】は、5隻の輸送船と増援を含めた紅玉第三艦隊を護って、インド洋を征く。
目指す先は、アラビア海に浮かぶ【ラカディブ諸島】の中にある、とある無人島…………
大洋州同盟は、その島に秘密基地を築こうとしていた。
輸送船の資材は、その建築資材であった…………
アンダマン海防衛艦隊所属第8護衛戦隊
旗艦 航空巡洋艦『東光』
同 戦闘艦橋
元連合艦隊司令長官:東郷平八郎元帥「インド洋の運命は、実に………この秘密基地建設の成否にかかっていると言っても過言ではない。つまり…………我々の護衛任務は、それほど重い。」
元連合艦隊第一艦隊所属(重桜KAN-SEN):富士「はい!」
東郷平八郎「この海の底に、幾隻となくUボートが潜んでいるとなると…………背筋が寒くなるな。」
初代連合艦隊旗艦兼初代重鎮(重桜KAN-SEN):三笠「司令官殿、夜も大分更けた。ここは我々にお任せいただいて、そろそろお休みになられた方が…………」
東郷平八郎「…………それでは、少し横にならせてもらうとするか。」
2代目連合艦隊旗艦兼重鎮側近(重桜KAN-SEN):薩摩「眼を皿にして見張ります故、ゆっくりとお休みを。」
東郷平八郎「頼む………………あぁ、諸君。敵潜は電気魚雷を使用していると聞く。航跡が発見しにくい上に、炸薬もTNT火薬の1.5倍の破壊力と聞く。油断するな?」
元連合艦隊第一艦隊メンバー「「はっ!」」
東郷平八郎が休息に入ろうとしていた時、反対側の大西洋では…………
ロイヤル スカパ・フロー泊地 深夜
旭日艦隊旗艦 超戦艦『日本武尊』
同 応接室
名将「大石蔵良」率いる旭日艦隊は心臓作戦を大成功させた後、ロイヤル王室のマーガレット一世陛下の直接の招待を受けて、ここスカパ・フローに身を寄せていた。
元ストライクウィッチーズ所属:ゲルトルート・バルクホルン中佐「【紅玉艦隊壊滅か?インド洋の制海権失墜寸前?】…………か。」
元ストライクウィッチーズ所属:ペリーヌ・クロステルマン少佐「インドもいよいよ、危険になってきましたわね。」
元ストライクウィッチーズ所属:エイラ・イルマタル・ユーティライネン大尉「紅玉艦隊って、鹵獲したユニオンの戦艦を8隻持ってたよナ?あれ全部やられたのカ?」
重桜KAN-SEN:日本武尊「いや………メリーランド、カルフォルニア、ペンシルベニア、ネバダ、テネシーが大破してドック入り、ウェストバージニアがコーチンで近代化改修中…………紅玉第一と第二艦隊は実質壊滅状態で、動けるのは本土へ回航中のアリゾナ、オクラホマの紅玉第三艦隊だけらしい。」
元ストライクウィッチーズ所属:リネット・ビショップ中尉「そんなに…………」
重桜KAN-SEN:信玄「紅玉艦隊にもツケが回ったようだな…………」
元ストライクウィッチーズ所属:宮藤芳佳大尉「これから、インドはどうなるんですか?」
旭日艦隊司令長官:大石蔵良元帥「………………インド洋の制海権は劣勢になるだろうが一時的なものだ。今頃軍令部も対策を打っている頃だろう。だが、問題は【インド亜大陸】だ。」
現在のインド戦線はロイヤル・インド・アイリス・ヴィシアの混成軍が鉄血の大戦車軍団の相手をしていたが、全体的に劣勢と言わざるを得ず戦線は日に日に後退、ロイヤル司令部はデカン高原要塞の強化に不振させられていたのだ。
大石蔵良「鉄血陸軍の戦力は強大だ。大洋州同盟の混成軍では完全防御は不可能…………かと言って、陸軍の遣印方面軍の戦力もたかが知れている。」
重桜KAN-SEN:謙信「陸軍内でも、鉄血の重戦車に対抗できる戦車をインドに次々と送り込んでいるが、総数から言えばまともに守ろうとするなら少なすぎる。」
前衛遊撃艦隊司令官:中村勘助中将「だがまともに護らずとも、敵をインド亜大陸奥深くに誘い込んで進撃速度が最高潮に達した所を陸海空から徹底的に叩けば、少なくともインド防衛は可能になる。」
重桜KAN-SEN:信長「では…………やはり最終合戦の場は【蒙古平原】と…………」
重桜KAN-SEN:虎狼「今のペースで考えるのならば、そう考えられるわね…………」
元ストライクウィッチーズ所属:シャーロット・E・イェーガー少佐「…………だけど、これ程の戦線をカバーするとなると…………正規空母をあと10隻ほど必要になるな?」
旭日艦隊総参謀長:原元芳中将「我が軍の空母と数はたかが知れています。仮に【対ユニオン講和】が実現すれば、高杉艦隊と本土防衛の坂本艦隊をインド方面に振り向けることができます。」
大石蔵良「だが…………どちらにしても、インド洋の制海権奪回とインド防衛の作戦立案が急務となるだろう。アジア戦線は、ここからが正念場になるだろうな。」
宮藤芳佳「正に………………『暗雲インド洋波高し』……ですね。」
大石蔵良「…………そう言うことだ。(さて………………東郷教官はどう出るかな………?)」
戦場の星空は、神秘的なものであった。
しかしそれは、嵐の前の束の間の休息に過ぎなかった…………
大石元帥が予感した通り、暗雲立ち込めるインド洋の真下には魔物が潜んでいた…………
輸送船団の右舷後方 海中
鉄血海軍 第301水中襲撃艦隊
旗艦 攻撃型指揮潜水艦『U-3333』 発令所
司令塔深度まで浮上したU-3333潜は潜望鏡をあげて、周囲を確認していた。
第301水中襲撃艦隊司令官:カール・ブルークシュ准将「………………ん?なんだ?」
第301水中襲撃艦隊司令官「カール・ブルークシュ准将」が見た光点が、嵐を呼ぶこととなる。
黒潮型輸送艦 艦上
その光点の正体は…………『煙草』であった。
大洋州同盟技術顧問:真田志郎「やはりここに居たか……トチロー。」
大洋州同盟特殊技術顧問:大山敏朗「…………ん?なんだ、真田に新見か。」
大洋州同盟情報顧問:新見薫「夜間は禁煙ですよ?」
大山敏朗「へっ!こちとら日本武尊の就役から仕事詰なんだよ!煙草でも吸わねえとやってらんねえよ!」
トチローこと「大山敏朗」は、重桜国立工科大学の出身であり同期であり首席卒業の「真田志郎」と次席卒業の「新見薫」とは3番目の優秀な頭脳の持ち主であり、大洋州同盟の特殊技術顧問の代表である。
真田志郎「確か日本武尊は、元々は“潜水戦艦”として設計していたんだよな?」
大山敏朗「あぁ。だけど技術的に問題があり過ぎてな、結局【水上艦】としてもう一度作り直して、現在進行形で最新機関の考案と開発・新素材の試作に奔走中さ。」
新見薫「でも、あの頃と比べたら技術開発もやりやすくなっていますよね。」
真田志郎「…………あれからもう10年か。」
大山敏朗「あぁ…………3人で国立工科大学に入って、その後に大洋州同盟の顧問に抜擢されて、開戦から5年……早いもんだな。」
新見薫「あれから色々ありましたから…………守さんの弟も、今や日本武尊の戦闘班長ですもの。」
真田志郎「そうだな…………それよりトチロー、早く煙草をしまったらどうだ?」
大山敏朗「…………まぁ、鉄の鮫どもの餌食になるよりマシだな。」
そう言って煙草の火を始末する。
U-3333 発令所
ブルークシュ(……もう見えない、すると錯覚だったのか?……U-3013からの定時報告がなかったから、現場に急行してみたが…………)
ブルークシュが気遣うU-3013は、すでに第8護衛戦隊との戦闘の末………撃破されていた…………。
すると今度は聴音が敵艦隊のスクリュー音を捉えたのだ。
その方位は大まかではあるが、『右舷2時方向』であった。
ブルークシュは海図でその位置を確認すると、自身が見かけたあの光点と同じ方角であった。
疑問に思ったブルークシュにU-3333の艦長は『大洋州同盟はセイロン島を後方支援基地として、要塞化を図っていると聞く』と言って、ブルークシュは【コロンボに向かう輸送船団】と推理して、艦長は『U-3013はそう判断して単独で行動してしまったのでは』と推測した。
ブルークシュは【艦隊同時攻撃での船団襲撃】を決意し、ケーブルアンテナを射出して各艦に伝達するが、その通信内容を輸送船団の後方を守っていた【軽巡『網走』】が傍受した。
船団後方
軽巡洋艦『網走』 戦闘艦橋
元連合艦隊第二艦隊所属(重桜KAN-SEN):出雲「…………ん?!鉄血の暗号電と思しき正体不明の通信を傍受!!」
軽巡網走艦長:古代守大佐「急ぎ、旗艦へ通報!」
軽巡網走が傍受した暗号電文は直ちに解読班に回されたが、意味不明の言葉の羅列は解読を困難とさせた。
そこで、輸送船団に乗り合わせていた情報顧問の『新見薫』に助力を求めた。
彼女は技術・情報の他に【考古学】にも、ある程度精通していた。
鉄血の暗号電傍受の報は休息に入っていた東郷の下にもたらされ、直ちに会議に合流した。
旗艦 航巡『東光』 会議室
新見薫「この中にあるルーとかニップルは、古代メソポタミアに存在した年の名前です。それにこのイシュタールという名前は、古代メソポタミアの月の女神の名前です。」
果たして、暗号電は全てメソポタミア語による古代都市と神の名が列記してあったが、それ以上のことは分からなかった。
東郷平八郎「…………こういう時は、勘に頼るしかあるまい。…………いや、当てがあるわけではないが、例えば『都市名は“海域”を表す』のではないかな?」
元連合艦隊第一戦隊所属(重桜KAN-SEN):敷島「すると…………神の名は“艦名”でしょうか?」
元連合艦隊第一戦隊所属(重桜KAN-SEN):安芸「いや、逆かも知れないな。」
その事を聞いた新見は何かに気づいて席から立ち上がる。
新見薫「………っ!それです!先ほどの例え、当たっていると思われます!」
東郷平八郎「ほう?」
新見薫「かつてメソポタミアには、7つの都市があり、その配置は……………『楔形』のになっている事が伝わっているのです!」
三笠「なんだと?!楔形だと!」
この時、東郷の脳裏には最近の鉄血潜水艦隊と【紺碧艦隊】を彷彿とさせる飽和攻撃が浮かんでいた。
敵の陣形は【逆楔形】、紅玉艦隊が壊滅させられたのもこの陣形であったのだ!
東郷平八郎『よし!急かも知れんが、総員起こし!戦闘配備につかせろ!』
「「はっ!!」」
東郷の命は直ちに全巻に達せられ警報が鳴り響き、全乗員が寝床から飛び起きてそれぞれの部署に向かう!
各艦にも『艦隊総員戦闘配備につけ』との発光信号が行き交い、着々と戦闘配備が整っていく。
また紅玉第三艦隊も戦闘配備が発令されて、亜利空奈・尾位保間から【対潜哨戒機『爆龍改』】が発艦、直ちに予定空域へ向かい、東光からも仙狩が全機発進して予定空域へと向かう!
東郷平八郎「先ずは、敵の司令塔を潰さねばならん。輸送船団を下がらせるのは、その後だ。」
薩摩「司令…………何を考えておられるのかは分かりますが、些か危険では?」
東郷平八郎「薩摩は反対か?」
薩摩「いえ、大賛成でありますわ!」
東郷平八郎「それはよかった。…………諸君!敵の罠にかかったと見せかけて、その裏をかく。これこそ作戦の醍醐味というものだ。………わしの勘が正しければ、敵の配置は【鶴翼の陣】だ。恐らく、暗号を発信した艦が司令塔だろう。まずはそいつを倒す。愛せに気づかず直進すると見せかけて…………………我々は左から回り込む!」
東郷が不敵な笑みを浮かべて、三笠がその戦術を見抜く!
三笠「…………っ!指揮官!この戦術は…………川中島の合戦の【車懸かりの陣】ではないか!!」
東郷平八郎「ははははwwww…………見破られたか。まぁわしとしては、敵が戦国時代を研究していない事を祈るのみだよ。」
朝日「大丈夫だろうさ!…………ところで、アリゾナたちはどうする?このまま連れていくのか?」
東郷平八郎「いや、船団と一緒に下がらせるさ。彼らの戦力はインド洋防衛には必要不可欠なのだ。」
三笠「そうだな。」
時は戦国時代…………すなわち【永禄4年】。
宿敵の『武田信玄』『上杉謙信』の両軍は信州川中島において、後の世で有名な【第5戦】を行う。
この時、信玄が採った陣は『鶴翼』…………対して謙信は、極めて独創的な『車懸かり』の戦法で対抗したという。
とまれ、第8護衛戦隊は敵潜水艦群が漏瑚の口のように『逆三角形』に展開する罠の中に、自ら足を踏み入れたのである。
船団後方 海底
U-3333 発令所
聴音手「敵艦隊頭上を通過!戦艦4、空母1、巡洋艦6、輸送艦5、それに駆逐艦9以上。」
艦長「司令官、稀に見ない獲物です!」
ブルークシュ「ふふふふ…………見事こっちの思う壺にはまってくれたぞ?よし!追跡に入れ!」
ブルークシュは敵は罠にハマったと勘違いして追跡に入った!
それ自体が罠とも知らずに…………
その上空では、東光搭載の水陸両用の対潜哨戒機『仙狩』がU-3333潜を航空機搭載型の磁気探知機【KMX】にて探知!
直ちに降下して、対潜攻撃用の誘導短魚雷【エラブ】を投下!
パラシュートで降下していき、敵潜の真上に着水!
U-3333 発令所
聴音手「…………マストで、着水音!」
ブルークシュ「魚雷か!?」
聴音手「…………スクリュー音なし。いや、マグロか…トビウオかも…………」
一瞬張り詰めた緊張感も、魚雷ではないと知ると緊張が解ける。
だが彼らは知らなかった。
仙狩から投下された誘導短魚雷エラブは、自然沈降により無音で獲物に接近して、磁気・音響を探知した瞬間、駆動スイッチが入る仕組みになっている事を…………
鉄血潜水艦の音響を探知した瞬間、内蔵された駆動スイッチが入りスクリューが起動!
U-3333に向かって突進する!
聴音手がその音を探知してブルークシュが回避運動を指示した時にはすでに遅く、エラブは距離50メートルまで接近していた!
ブルークシュがなぜこちらの位置がバレたのか正確に把握する間もなく、U-3333にエラブが命中!
館内に大浸水が発生して乗員が脱出する空間もなく、U-3333は第8護衛戦隊の最初の餌食となりインド洋の海底へと沈んでいった。
戦果を確認した仙狩は水中聴音機を引き上げて東光へ打電する!
航巡『東光』 戦闘艦橋
敷島「仙狩1番機より入電。『司令官と思しき鉄血潜水艦を攻撃・圧壊沈没を確認せり』との事です。」
東郷平八郎「よし、これで奴らは要を失った。」
三笠「車懸かり作戦の発令だな!」
薩摩「司令官…………程よく日の出です。」
旭日『通信!車懸かり作戦開始!各艦に指令、全艦第一戦速!』
安芸『鐘楼にZ旗を掲揚!旧連合艦隊メンバーの底力を見せてやれ!』
航空護衛戦艦『亜利空奈』 戦闘艦橋
アリゾナ「離脱命令?!」
重桜新兵:山城上総中尉「はい、先ほど東光からの通信で『紅玉第三艦隊は輸送船団と共に艦隊から離脱・当初の任務を遂行されたし』と送られてきました。」
オクラホマ《そんな!納得できないよ!メリーランドたちの敵討ちができるのに!》
アリゾナ「ここは、東郷司令官に直談判を…………」
重桜新兵:能登和泉准尉「東光から再度通信!こ、今度は東郷司令官からの直電です!」
アリゾナ「内容は!?」
能登和泉「えっと…………『紅玉艦隊の敵は我らが討ち取る・貴艦隊は当初の任務を遂行せよ・訓令・インド洋の戦はここからである・耐え難きを耐え、忍び難きを忍び時が来るのを待たれよ』…………以上です。」
アリゾナ「…………っ!………………全艦、艦隊から離脱。」
作戦は開始された。
紅玉第三艦隊は、東郷平八郎からの訓令を受けて輸送船団と共に艦隊から離脱、敵鶴翼の左側へと回り込む!
インド洋に日が上り、車懸かり作戦は本格的に始動動き出した!
東郷平八郎の下には旗艦『東光』の他に、軽巡『石狩』『網走』、駆逐艦『松波』『高波』『初波』が残った!
第8護衛戦隊が最初に狙いをつけたのは、鶴翼の陣最左翼の鉄血潜水艦【U-3005】であった!
U-3005はこのまま敵をやり過ごすためケーブルアンテナを格納、軽巡を先頭に率いられた戦隊がその頭上を通過しようとした時、すれ違いざまに無数の爆雷を投下されて戦闘が始まった!
爆雷発射音を探知したU-3005は直ちに回避に入り、無数の爆雷攻撃を掻い潜る!
だが、昨日に遭遇したU-3013との戦闘にて回避の癖と各種データの収集を終えていた第8護衛戦隊は、仙狩からの誘導で回避運動に入った鉄血潜水艦を確実に追尾して、駆逐艦『高波』が対潜魚雷を発射!
U-3005の艦長は、なぜ自艦の位置が知られた理由を知る由もなく対潜魚雷の餌食となり、ほぼ同時に最右翼の【U-3210】にも仙狩の攻撃が加えられて、撃沈された。
これにより、鉄血潜水艦群は鶴翼両端を失い、包囲陣形は崩壊。
東郷平八郎は作戦続行を指示、戦闘はさらに度を増していった。
水雷戦隊が鉄血潜水艦群を複数隻捉えて攻撃を開始、ありったけの爆雷と対潜魚雷が発射される!
彼らの最初の餌食になったのは【U-3213】であった。
U-3213は攻撃位置を変えるため移動していたが、水雷戦隊が放った対潜魚雷の攻撃に遭い撃沈されて、立て続けに【U-3107】も爆雷と対潜魚雷の攻撃を複数喰らい撃沈された。
快進撃が続いた第8護衛戦隊であったが、仙狩各機が魚雷と爆雷を放ち尽くした頃、果敢にも反撃に転じようとする鉄血潜水艦もあった!
【U-3207】は爆雷攻撃で配電盤が損傷して動きを止めていたが、修理を終えて潜望鏡深度まで浮上して目標を確認する。
哨戒機を発見した艦長は一瞬退避を考えたが、絶好の射点に居合わせた幸運が軍人として警戒心を鈍らせた。
戦場の成否は一瞬の判断で決まるかのように、U-3207は魚雷を斉射して急速潜航、退避に入る!
航巡『東光』 戦闘艦橋
朝日「左舷10時方向、距離4,200!」
三笠『よし!主砲戦用意!』
薩摩「対潜攻撃弾、全砲塔に装填!諸元入力急げ!」
仙狩からの通報で敵潜発見の報を受けた東光は砲撃戦を決意!
新装備の【対潜攻撃弾】を装填して、仙狩から投下された発煙筒を目印に誤差を修正して発砲!
一見すれば潜水艦相手に砲撃は無謀かと思われるが、東光が発射した【対潜攻撃弾】は砲弾そのものが自立した推進器の役割を担っているため、目標直下に着弾後は砲弾が発射された時に発生する回転力を利用して敵潜まで突進、命中する仕組みになっている。
かくして、U-3207は対潜攻撃弾の全弾命中により撃沈されたが着弾前に魚雷を放っていたため、今度は対魚雷戦にかかる!
東光に搭載された新型装備【マ式豆爆雷】。
頻発する鉄血潜水艦群からの雷撃に対処するため、重桜技術陣と真田志郎が開発した【対魚雷迎撃用爆雷】である。
海中へ射出後、推進器にて魚雷へ突進!
針路上で起爆して水流の壁を構築して魚雷をかき乱して自壊させることは出来ずとも自爆させることが出来る性能を有している!
ともあれ、マ式豆爆雷により東光に迫っていた魚雷を全て迎撃に成功して、海上で激しい爆発が起こる!
一旦開かれた海戦は、相手が目視できないだけに途中でやめることが出来ない。
激戦は続いた。
大立ち回りを続けた第8護衛戦隊であったが、【U-3130】からの雷撃により、駆逐艦『松波』が被弾!
機関室と水密区画がやられてしまい自航不能に陥ってしまった!
航巡『東光』 戦闘艦橋
安芸「駆逐艦松波が被弾しました!!」
東郷平八郎「乗組員の救助を急がせろ!」
朝日「仙狩各機に索敵を要請!!まだいるぞ!!」
三笠「対潜攻撃弾、用意急げ!!」
敷島「駆逐艦高波及び初波から短艇発進を確認!見張りは周囲警戒を厳に!!」
薩摩「仙狩1番機より入電!『魚雷発射地点にて敵潜発見・距離5,600!』」
誤差修正を行い砲撃しようとしたその瞬間!
艦全体が激しく揺れ、何かと衝突した音が響き渡った!
薩摩「な、何事です!?」
朝日「艦首ラムに何かが接触!!」
安芸「艦が沈み込む!!」
三笠「何かに掴まれ!!」
再び艦が沈み込むと衝突した場所では多量の気泡と重油が放出していたのを確認すると、海面から鉄血潜水艦【U-3106】の艦首が浮かび上がる。
敷島「本艦が、偶然にも敵潜に乗り上げたようです!」
東郷平八郎「損傷報告急がせろ!対潜攻撃弾はどうか!」
三笠『修正右2度!距離そのままで砲撃用意よし!!』
《b》東郷平八郎『撃てぇい!!』《/b]
東光から放たれた対潜攻撃弾は空中を飛翔後着水、水中を疾走後最後に残ったU-3130に全弾命中して大爆発!
鉄血海軍【第301水中襲撃艦隊】はここに全滅したのだった。
だが………………
奮闘を続けた第8護衛戦隊も、尊い犠牲を払うこととなった。
のちの歴史に【モルディブ沖海戦】と呼ばれることとなるこの戦いは、駆逐艦『松波』の沈没という尊い犠牲を払い終息した。
戦いの勝ち負けで問えば、これは勝利であろう。
しかし…………………
朝日島へ向かった輸送船団…………その無事の到着の裏では………………
北インド 某所
中東から進撃してきた鉄血の誇る【重戦車軍団】の進撃の度は増していき、とうとう首都デリーを目前にまで迫っていた!
そして、このインドに一人の男が到着した。
その男の名は鉄血陸軍所属の『コンラッド・フォン・ロンメル元帥』。
北アフリカ戦線にて多数の連合軍を撃破したことから【砂漠の狐】の異名と持つこの男が、インドの土を踏んだ!
風雲急なりインド戦線!!
アジアの運命は如何に!!
EP4-8へ続く・・・・