アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~   作:非常勤務艦隊本部

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シーズン5:血戦!印度亜大陸!
△:EP5-1 電撃、ロンメル軍団出撃す!


 

 

平成16年末

 

ロイヤル スカパ・フロー泊地

 

 

ロイヤル王室からの直接の招待により、ロイヤル領スカパ・フローに身を寄せていた旭日艦隊はこの日、全艦が満艦飾に染まっていた。

 

そして日本武尊のタラップ前に車が停まり、車内から一人の女性が降りて来た。

 

 

元ストライクウィッチーズ所属:ゲルトルート・バルクホルン大佐「掲げぇ!筒!!」

 

 

旭日艦隊参謀総長:原元芳中将「ロイヤル女王!マーガレット一世陛下に対し、敬礼!!」

 

 

心臓作戦を大成功を収めたのち、日本武尊をはじめとした旭日艦隊はロイヤル女王「マーガレット一世」陛下自らの招待を受けて、スカパ・フロー泊地に身を寄せていた。

 

 

祝砲が鳴り響き、甲板に設置された壇上に女王陛下が上がって来る。

 

 

ロイヤル王室:マーガレット一世陛下「楽にしてただいて結構です。アドミラル大石。」

 

 

旭日艦隊司令長官:大石蔵良元帥「はっ、恐縮であります。」

 

 

マーガレット一世陛下「旭日艦隊の皆様のお力により、我が国民を脅かしていたゲルマン砲の攻撃が止みました。国民に……勇気と希望を与えてくれたことに対して、国民を代表して御礼を申し上げます。」

 

 

そう言って大石に対してお辞儀をするのだった。

 

 

大石蔵良「…………っ!女王陛下……御尊顔をそのようにされては……………」

 

 

マーガレット一世陛下「そして、我々の感謝の印として…………【ビクトリアクロス】を贈呈いたします。ロイヤル国民は、大洋州同盟と旭日艦隊の皆様の友情を決して忘れないでしょう。」

 

 

大石に勲章を着けて固い握手を交わしてシャッター音とフラッシュがひかり鳴り響く。

 

 

大石蔵良「陛下。我々は同盟の宗主国と固い友情の証として、万難を廃して………ロイヤル本土防衛のため微力を尽くさせてもらう所存です。」

 

 

マーガレット一世陛下「提督は…………未来を信じますか?」

 

 

大石蔵良「………………信じます!自由と正義を掲げる我々こそが、必ずや最後の勝利を収めるでしょう!」

 

 

マーガレット一世陛下「アドミラル大石。私には貴方が、かつて我が国の危機を救ったドレイク提督の様に思えます。」

 

 

その言葉に対して大石は笑みを浮かべて敬礼を送り、両国の友情がここに再認識されたのだった。

 

 

 

 

 

 

アズールレーンの要素を含めた後世世界…………

 

 

平成11年12月8日。

 

大洋州同盟とユニオンは、ハワイ真珠湾にて運命の開戦を迎えた。

初戦に勝利した大洋州同盟軍は勢いに乗り、それからの戦いを有利に進めて、太平洋における制海空権をその手中に収めた。

 

 

一方……ヨーロッパにおいては、ヒトラーに率いられた『鉄血』が、世界制覇の野望を着々と実行に移しつつあった。

 

 

大洋州同盟はこれに対し、平成14年8月に鉄血に対して宣戦を布告。

 

同年10月、【ロイヤルの同盟加盟】が締結されて、アジア地域における鉄血の侵略を阻止すべく大戦略を構築せしめる!

 

ここに世界は、『ユニオン』・『鉄血』・『大洋州同盟』の三極に分かれて、風雲は急を告げることとなる!

 

 

やがて、インド亜大陸に狙いをつけた鉄血は、アラビア海からインド洋にかけてUボートによる群狼戦術を展開。

その牙は、インド洋を護っていた【紅玉艦隊】に壊滅的打撃を与えたのだった。

 

一方、インド亜大陸北部では…………アフリカ戦線において【砂漠の狐】と謳われた鉄血切っての知将『ロンメル』の【重戦車軍団】が破竹の進撃を続け、首都デリーを目前とするところまできていた!

 

 

インド洋の制海権の重要性を十二分に認識する大洋州同盟は同海域に、紺碧艦隊の秘密基地を建設、鉄血潜水艦隊との決戦を決意する!

 

 

海に…………陸に……………熱き戦いが繰り広げられていたその最中、我が前原一征の姿は炎熱の亜大陸の中央州『ナグプール』の間村にある【精神修養センター】とも言えばよかろうか。

 

そのアシュラームにあった。

 

 

そして、前原と対するこの小柄な老人こそ誰であろう………………あの【無抵抗主義の巨神】、『スワディー・ガンジー』その人であった…………

 

 

 

 

平成17年3月

 

インド ナグプール間村『セーバーグラーム』

 

アシュラームにて

 

 

前原は、大高弥三郎の代理としてここアシュラームへと訪れ、ガンジー氏との会談を行っていた。

 

前原は大高から預かって来た新書と寄付金をガンジー氏に手渡して、大高からの招きについても話した。

 

 

紺碧艦隊司令官:前原一征少将(従軍画家:富嶽太郎)「首相はどちらかと言いますとヘビアン主義者です。クロポトキンの思想にも興味を抱いております。近代工業化と農村、あるいは主工業との共和ある国づくりを目指しております。」

 

 

スワディー・ガンジー「つまり、我々は多くの点で一致を見ていると言うわけですな?」

 

 

前原一征「はい。」

 

 

ガンジー「ミスター前原………………あなたは、インドが好きですか?」

 

 

前原一征「…………私はこの国の民衆が好きです。」

 

 

そう言うとガンジー氏は笑い、前原と握手を交わしたのだった。

 

 

ガンジー「大高閣下にお伝えください。『喜んで、お招きに預かります』と。」

 

 

前原一征「は、ありがとうございます!」

 

 

 

ガンジー「我々は多年の願いであった『ロイヤルからの独立』を勝ち得ました。願わくば、せっかく手に入れたこの民族の独立を鉄血の野望から守りたいと思っております。是非、左様…………大高閣下にお伝えください。」

 

 

こうしてガンジー氏との会談を終えた前原は、迎えの車に乗りセーバーグラーム村を後にした。

 

だが、インドを取り巻く情勢は刻一刻と鉄血の有利に傾きつつあった!

 

 

インド首都デリー

 

 

鉄血のインド攻略軍が首都デリーを無血占領、派遣軍総司令官『コンラッド・フォン・ロンメル元帥』は接収したマハラジャホテルに設置した総司令部に着任したのだ!

 

 

鉄血インド攻略軍司令部(旧マハラジャホテル)

 

とある一室

 

 

司令部の一室に入ると、無数の金銀財宝が山のように積み上げられていた。

 

 

インド攻略軍総司令官:コンラッド・フォン・ロンメル元帥「なんだねこれは。」

 

 

インド攻略軍総参謀長:ベアトリクス・ブレーメ中将「権力という名の甘い蜜に群がる蟻共からの貢ぎ物よ?」

 

 

ロンメル「マハラジャたちか。」

 

 

インド攻略軍副参謀長:リィズ・ホーエンシュタイン少将「……商人、資本家……政治家に貴族。抵抗なくロイヤルから我が鉄血に鞍替えして来ました。案外御し易い場所かもしれませんね?」

 

 

ロンメル「どうかな?………………インドはもっと古風な国だと思ったが、さすがにロイヤルが造った国だけはある。ロイヤルが長年利益を貪って来たこの国を…………総統に献上しよう。」

 

 

ベアトリクス「ヒトラー総統もさぞ喜ばれるでしょう。」

 

 

ロンメル「…………だろうな。」

 

 

 

最前線のデカン高原要塞の視察を終えた前原が、ナグプールから空路でコーチンに戻ったのが、既に平成17年8月に入った頃であった。

 

到着したその脚で前原は病院にいる川崎中将に会いに行ったが、彼の口から驚くべきことを聞くのであった。

 

 

コーチン総合病院 屋上テラスにて

 

 

前原一征「メリーランドたちと………結婚されたのですか…………?!」

 

 

紅玉艦隊司令長官:川崎弘中将「あぁ。君が前線視察に行っている間にな。軍令部からの認可は貰っている。」

 

 

元ユニオンKAN-SEN:メリーランド「指揮官と来たら、急に話があるとか言ってテラスに呼び出して来てな。」

 

 

元ユニオンKAN-SEN:カルフォルニア「テラスに会った途端、開口一番に『結婚してくれ!』だからびっくりしたよ〜…………」

 

 

川崎弘「いやぁ………すまんすまん。あの時は気が動転していてな…………」

 

 

元ユニオンKAN-SEN:ペンシルベニア「だが、指揮官の長所と短所を知っているのは私たちだけだし、みんなして指揮官のことが好きでしょうがないからな。」

 

 

元ユニオンKAN-SEN:テネシー「だからみんなで話し合って、指揮官と添い遂げる音に決めたんだ。」

 

 

元ユニオンKAN-SEN:ウェストバージニア「勿論、アリゾナとオクラホマもちゃんと了承済みさ!」

 

 

元ユニオンKAN-SEN:ネバダ「まぁ、肝心の式はこの戦いが一応の終戦を迎えてからになるけどな。」

 

 

前原一征「中将殿は相変わらず大胆なことをしますな…………とにかく、ご結婚おめでとうございます。」

 

 

川崎弘「式を挙げるときは、祝いの酒を送ってくれよ?…………という事でだ、本題に入ろう。」

 

 

前原一征「はっ。」

 

 

 

前原は、コーチンを出てからバンガロール・ハイデラバード・ナグプールに至る前線視察の詳細と、アシュラームにおけるガンジー氏との会談の成果を話した。

 

 

高杉艦隊所属:エンタープライズ「そうか…………あのガンジー氏は、噂に違わぬ人物ということか。」

 

 

前原一征「我々のガンジー氏への期待はますます大きくなります。戦況にも関わって来るものかと思います。」

 

 

メリーランド「なるほど?まぁ、こっちとしてはインドに強力な味方がつく事は喜ばしい事だな。」

 

 

ペンシルベニア「だが、インド戦線自体は劣勢に等しい………………鉄血は既にデリーを無血占領を果たしている。」

 

 

前原一征「はい。インドには『ヒンドゥー』と『イスラム』の根深い宗教対立があります。今までは【繁栄イデオロギー】一本で纏まってきましたが…………」

 

 

ウェストバージニア「恐らくヒトラーは…………その感情的対立を利用して、イスラム教徒を扇動するだろうな。向こうには既に『イラク』というイスラム同盟国がいる。」

 

 

テネシー「つまり…………海軍による通商破壊と補強線の遮断が急務になるね。」

 

 

川崎弘「その通りだ。この俺とて、病院服を着て安穏としていられんな。所で…………デカン要塞を以てすれば、ロンメルの猛攻を食い止められそうか?」

 

 

前原一征「さぁ……そこまでは私には…………ただ、熊谷インド方面軍総司令官はやる気十分と見ました。」

 

 

ネバダ「そうか!陸軍が奮起してもらわないと、こっちとしても今までの努力が無意味になるからな!」

 

 

前原一征「熊谷司令官にも同じことを言われました。『海軍に奮起してもらわんと、自分たち陸軍の戦いが無意味になると』発破をかけられて参りました。」

 

 

ペンシルベニア「陸海軍が一致団結して立体的戦略を展開する。これこそが、理想的な軍隊のあり方なのかもしれんな。」

 

 

エンタープライズ「プレジデント大高の指導力は凄まじいものがあるな…………」

 

 

川崎弘「その通りだ。【大高総理の知略】【ヒトラーの謀略】、そこに【全世界の命運】がかかってるのかも知れん。」

 

 

 

だが…………ヒトラーの世界制覇の野望は、独裁者のとしての行動をより大胆にさせるものであった。

 

 

平成17年8月15日、欧州時間00:01。

 

 

前世においては、あの運命の終戦を迎えた日であったが、この後世においては遂に大洋州同盟が危惧していた【ロイヤル本土侵攻】が幕を開けたのだ。

 

 

深夜から連続して始まった列車砲による砲撃は、ロイヤル本土海峡沿岸地区を叩きに叩いて防衛戦力を削り取り、混乱に陥っている隙に空挺降下………艦砲射撃に強襲上陸、大型輸送機による大部隊の移送が行われていき、ロイヤル陸海空軍は全部隊に渡って大混乱に陥ることとなった。

 

その混乱は、遠く離れたインド太平洋にも波及しようとしていた。

 

 

宿泊先にてチェックアウトをしている中、川崎中将からの緊急招集がかかり、前原はコーチンの重桜海軍基地に向かった。

 

 

コーチン重桜海軍印度派遣艦隊司令部

 

同 作戦司令室

 

 

川崎弘「おぉ!きたか。」

 

 

前原一征「退院されたのですか!?」

 

 

川崎弘「たった今な!おちおち入院なんぞしてられん!」

 

 

前原一征「何が起こったのですか?」

 

 

川崎弘「………………ここではなんだ、場所を変えよう。」

 

 

応接室に場所を変えた川崎中将は、ロイヤル本土に鉄血が上陸作戦を敢行してきたことを伝えたのだった。

 

 

同 応接室

 

 

前原一征「ロイヤル本土に鉄血が?!」

 

 

川崎弘「旭日艦隊からの第一報で知ってな。詳細を確かめようとロイヤル司令部に問い合わせたが、全回線にわたって音信不通。相当慌てているらしい。」

 

 

エンタープライズ「当然…………インド戦線にも影響が…………」

 

 

メリーランド「その通りだ。鉄血は現在、スターリン軍と対峙している【東部戦線】と、連合軍と対峙している【アフリカ戦線】、そしてここ【インド戦線】の3つだったんだが…………それに加えて【ロイヤル戦線】も加わるとなると…………」

 

 

ペンシルベニア「ヒトラーの狙いは【大西洋の独占】ということになる。」

 

 

前原一征「当然、ロイヤルインド駐留軍にも影響が…………」

 

 

川崎弘「懸念はある。心理的影響は計り知れんものがあるな。」

 

 

前原一征「ヒトラーはそれを狙って…………」

 

 

川崎弘「だろうな…………こうなっちまったら、ロンメル軍団の本格攻勢が始まるぞ。」

 

 

アリゾナ「なら、こちらの作戦も急がないと!」

 

 

エンタープライズ「私はこのままハワイに戻って、今の情報をアドミラル高杉に伝えて来る。」

 

 

前原一征「自分も、すぐこの脚で秘密基地へ戻ります。」

 

 

川崎弘「頼む。」

 

 

前原一征「……………申し遅れましたが、昇進おめでとうございます。」

 

 

川崎弘「ん?あぁ………………辞退していたんだが……“戦時特例“とか言うやつで無理やり元帥にされてしまっただけだがね。」

 

 

前原一征「…………失礼します!」

 

 

この後、前原は伊901潜に便乗して朝日島秘密基地へと戻った。

 

 

そして、遠く離れた重桜帝都でも…………

 

 

同日

 

重桜帝都 東京

 

帝都城 応接の間

 

 

この日、悠陽殿下は通常の予定を変更して、鎧衣左近と応接の場を設けていた。

 

 

重桜情報省所属特級諜報員:鎧衣左近「いやはや、遂に始まりましたな…………ロイヤル本土侵攻が。」

 

 

初代政威大将軍:煌武院悠陽「はい。予想はしていましたが、ヒトラーは予想より早く始めたようです。」

 

 

鎧衣左近「ヒトラーも品性がありませんなぁ…………なんと言っても今日この日は、あの運命の終戦を迎えた日でありますのに…………」

 

 

煌武院悠陽「残念でありません…………しかし、この長く続いた第三次世界大戦も、ようやく転換点を迎えようとしています。」

 

 

鎧衣左近「ヒトラーとしてはその前に、ロイヤルを下すために打って出たのでしょうな。最も…………肝心の列車砲も新造分を含めて、霞部隊と旭日艦隊が一つ残らず粉砕したようですが…………」

 

 

煌武院悠陽「陸上戦力は次々とブリテン島に上陸しつつあります。鎧衣、今の状況でも構いません。予想をお聞かせ願いませんか?」

 

 

鎧衣左近「そうですなぁ…………………現状の力の差で行けば、【ロイヤルは遠からず敗北する】でしょう。少なくともブリテン南部での攻防は1ヶ月で勝敗が決するでしょう…………その後は北部及びスコットランド要塞での決戦……………………ヒトラーからして見れば、例えスコットランド要塞を下せなくても【採算は取れる】訳です。」

 

 

煌武院悠陽「……………………ブリテン南部を抑えれば、ドーバー海峡と英仏海峡の制海権が取れて大西洋への輸送ルートが開通………………そして地中海沿岸まで海運で繋がり、その流れが本流の如くスエズから紅海を経てインド太平洋地域へと………………」

 

 

鎧衣左近「輸送ルートの確定だけではありませんよ?地中海沿岸都市の経済発展を促して、当然その地域の軍需産業界も未曾有の成長を遂げることになります。」

 

 

煌武院悠陽「………………やはり、インドでの戦いが…………これからの戦の推移を決めるのですね。」

 

 

鎧衣左近「そう言うことです、殿下。」

 

 

 

そして、ここ陸軍省でも…………

 

 

陸軍省 執務室

 

 

重桜総理大臣兼陸軍大臣:大高弥三郎「でかいな、桂総長。」

 

 

陸軍参謀総長:桂虎五郎元帥(24)「確かに、大きな戦場であります。東西ほぼ3000キロ、南北もほぼ同じです。」

 

 

大高弥三郎「北海道北端から九州南端に至る距離の約1.5倍か……………問題はこの半島が“逆三角形“である事だ。南進するたびに[兵力を密集できる]。最も、これは防御側についても言える訳だ。」

 

 

桂虎五郎「そして重要なのは【スケール感の違い】ですな。…………我々は、前世の中国戦線で尺度感覚のズレから戦略を誤りました。インドは、その中国と尺度と似ていますが…………三角戦場という地形が、中国と大きく異なる訳ですが…………総理はこれが【いずれ大きな意味になる】とお思いなのですか?」

 

 

大高弥三郎「視覚的な直感だがそんな気がするんだ。西住殿、ヒトラーならばこの三角戦場をどう捉えるだろうか。」

 

 

重桜陸軍女子戦車隊総監:西住しほ総監「…………将官がヒトラーならば、アラビア海沿岸をボンベイ……現在のムンバイに沿って南下………同時にヒンドゥースタン平原をカルカッタ、現在のコルカタに向かって東進します。…………現に、ロンメル軍がそのような兆候を見せています。」

 

 

そして西住しほは、場合によっては兵力の増強の可能性も示唆して、大高はその規模を問いただす。

 

現在のインド派遣軍の師団規模は『機甲1個師団』と『歩兵2個師団』の軍編成であるが、これに追加を考えた結果、あと【10個師団】の増援が必要と加算したが、現在の重桜陸軍の軍編成ではそれは無謀に近い内容であった。

 

だがこの増援規模は[まともに護るならば]の規模であり、まともに護らなければ状況は変わってくる。

 

だがこれは、現在のロイヤル軍の士気問題と鉄血軍の作戦能力などの不確定要素があるため断言できるものではなかった。

 

 

桂虎五郎「………………私としてはそこのところ、総理の本当の腹を伺いたいのですが。」

 

 

大高弥三郎「…………というと?」

 

 

桂虎五郎「総理は…………本当は、【鉄血に一旦インドを蹂躙させ…………

 

 

桂虎五郎が大高の腹の中をずばりと言い、大高がその先を言うなと待ったをかけた。

 

大高が考えているインド防衛戦略は、【一旦鉄血にインドを明け渡して、インド独特の宗教対立とカースト制度の崩壊に巻き込む】という、【焦土作戦】に近い戦略を立てていた。

 

つまるところ、前世にて朝鮮戦争勃発の際、北朝鮮軍の猛攻に際して米・韓を中心とする国連軍が韓国南東部の都市「釜山」にて国連軍が円陣のように防衛戦を敷き仁川逆上陸が行われるまで耐え抜いた【釜山円陣攻防戦】に近い内容であった。

 

 

 

インド デリー

 

鉄血インド司令部 作戦室

 

 

ヒトラーのロイヤル本土上陸作戦……いわゆる『トド作戦』は、ロンメルをしてその行動を急かしつつあった。

 

 

ロンメル「諸君!遥かロイヤル本土では総統閣下によるトド作戦がおこなわれた。我々もささやかな規模ではあるが…………仕事に取り掛かろう。」

 

 

ロンメルは、敵将『マウントバッテン』が本国を攻撃されて混乱している間に、ヒンドゥースタン平原へ侵攻する計画を立てたが…………

 

 

ロンメル「…………イェッケルン中佐、何か気になる事があるのかね?」

 

 

鉄血陸軍インド侵攻軍所属:グレーテル・イェッケルン中佐「は、はぁ…………」

 

 

ロンメル「発言を許す。思うところを言ってみたまえ。」

 

 

グレーテル「はっ。元帥閣下の決意に水を刺すようですが、現在インドは雨季の最中です。インド洋にはサイクロンが発生しやすく、この時期の侵攻には多くの障害がありますが。」

 

 

ロンメル「………………君は私より着任が早く、この地の地形には詳しい。確かにインドは典型的はモンスーン地帯だ。」

 

 

グレーテル「であるならば、進行は予定通り年末まで伸ばすのが順当ではないでしょうか?」

 

 

ロンメル「確かに君の言う通りだ。しかしイェッケルン、戦いは常に常識で戦っては勝てんぞ?」

 

 

確かに、インド亜大陸は逆三角形の半島という地形により、卓越風の転換によって気候の方が4期に分かれる。

 

北インドを例にとるならば、3月〜5月が【プレモンスーン期】、6月〜9月が【南西モンスーン期】、10月〜11月が【ポストモンスーン期】、12月〜2月までが【北東モンスーン期】である。

 

6月頃になると、ヒマラヤ山脈周辺を北上する【モンスーントラフ】に引き寄せられて、風向きが『東』から『北東』に転ずる。

 

これこそが、雨季をもたらす【南西モンスーン期】の発生源なのだ。

 

 

しかし、夏のモンスーンはインド亜大陸を周回するように移動するため、【デカン高原は乾燥する】ことになり、「デリー」では【6月中旬に南西モンスーンによる雨季が始まり9月上旬には終わる】が、「カルカッタ」では【6月中旬から10月中旬までが雨季】であり、デリーでは3週間も早く雨季が終わることとなり、攻勢に転ずるならば今であるということになる。

 

 

ロンメル「わかったかね?イェッケルン中佐。」

 

 

グレーテル「はっ、己の判断を恥じるところであります…………」

 

 

ロンメル「分かればよろしい。この経験を次に活かせれば済む。思い詰めるな?」

 

 

グレーテル「はっ。」

 

 

ロンメル軍団の強みはここにあった。

 

鉄血は、階級が上である方が威厳があり部下には厳しく当たる指揮官が大勢いるがロンメルは別であり、例え部下であっても厳しく当たらず諭すような言動をするため、配下の部下からは強く信頼されている。

 

 

ともあれ、タール砂漠は鉄血の支配下にあって冬季になれば全土が乾季になるが、何をおいても補給線の問題があり、バスラ〜カラチ間の海上補給路が完璧でなければならないのだ。

 

だが、インド洋を護る紅玉艦隊は壊滅寸前であり、アラビア海もUボート群により制海権は確保済みであったが、なんと言っても【アラビア海の制海権】こそがロンメル軍団最大のアキレス腱であった。

 

大洋州同盟も同じことを考えているに違いないとロンメルは言うが、一抹の不安があった。

 

 

紅海にて鉄血地中海艦隊を殲滅せしめた【X艦隊の存在】であった。

もし、X艦隊がアラビア海に潜んでいると想像したらロンメルは、言いようのない不安に駆られたが…………

 

 

鉄血陸軍インド侵攻軍所属:アネット・ホーゼンフェルト中尉「ロンメル閣下!我々にはジブチ要塞があります!」

 

 

ロンメル「…………この通りだ!ジブチは紅海の出口に築かれた要塞軍港であり、我々の補給線は確保されている!つまり、『ペルシア湾』と『紅海』の2本の補給線によって心置きなく戦える訳だ!」

 

 

ここでロンメル自身の方針を明かした。

 

【アーメダバードを陥落させてアラビア海に沿ってボンベイへ進出して、新たな補給中継点を築く】ものだった。

 

 

これに則り、ロンメル軍団は直ちに出撃!

 

インド戦線に新たな動きを見せようとしていた!

 

 

ロンメル『アーメダバードへ……進撃開始!』

 

 

 

一方で、ここ朝日島では…………

 

 

ラカディブ諸島 朝日島

 

紺碧艦隊秘密基地にて

 

 

コーチンから朝日島に戻った前原率いる紺碧艦隊が、出撃の時を待っていた。

 

そこへ、コーチン司令部からの伝聞が届いた。

 

内容は、【8月8日早朝、ロンメル軍団アーメダバードへ進撃す・我同未明出撃す・花子】であった。

 

前原は【太郎・門の外にて待つ】と返答を出して、紺碧艦隊全艦に出撃を下令。

 

 

雨が止み、朝陽がてらつき始めた頃、紺碧艦隊は全艦出撃!

 

 

ほぼ同時に、陸においてはロンメル軍団がアーメダバードを陥落せんと攻撃の度を強めていた!

 

 

そして、紺碧艦隊が朝日島を出撃したのと呼応するかのように、主力艦が全艦入渠明けした紅玉艦隊がコーチン要塞港とコロンボ港を出撃!

 

カルカット沖にて川崎元帥は艦隊を再編成。

 

第二・第三艦隊を統合して、旗艦を米利蘭土として艦隊を再編、一路カンバート湾を目指していた!

 

 

紅玉艦隊総旗艦

 

航空爆撃戦艦『米利蘭土・改』

 

同 戦闘艦橋

 

 

メリーランド「我ら紅玉艦隊はこのまま沿岸を北上して、アーメダバードを目指す!艦隊の総力を挙げて、カンバート湾への殴り込みをかける!艦隊総員、心してかかってほしい!」

 

 

航空参謀「艦隊の航空戦力を以てしての敵殲滅でありますか?」

 

 

専務参謀「艦砲射撃による敵補給路の遮断ですな?」

 

 

砲術長「そいつは腕がなる!!」

 

 

航空参謀「砲術科と航空隊に発破をかけましょう!」

 

 

紅玉艦隊総司令官:川崎弘元帥「ふはははははwww…………ま、適当にやるように。」

 

 

航空参謀「はぁ?」

 

 

砲術長「しかし!」

 

 

川崎弘「我々の今回の目的は陽動だ。つまり囮だよ。」

 

 

航空参謀「お、囮ですか?」

 

 

川崎弘『但し、対潜警戒は厳重にするように!鮫どもに先に餌に食いつかれたらたまらんからな!』

 

 

 

アラビア海の鮫退治のため、前原と川崎が立てた秘策は…………かくして実行されようとしていた!

 

秘策良く、鉄血水中襲撃艦隊の牙を打ち砕くか?

 

 

アラビア海に嵐の予感迫る・・・・!

 

 

 

EP5-2へ続く・・・・

 

 

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BETAによって、人類が滅びへ追い詰められた世界。▼2001年10月22日。▼廃墟となった自室に、ひとりの青年が現れる。▼――本来、そこに現れるのは白銀武のはずだった。▼しかし、そこにいたのは別の存在。▼神宮寺真白。▼本来この世界に存在しないはずの青年は、未来の知識と、白銀武から受け継いだ因果導体としての力を持っていた。▼戦術機に乗ったことがないはずの身体に…


総合評価:145/評価:6.1/連載:26話/更新日時:2026年06月06日(土) 19:00 小説情報

提督が退役しました。これより年金生活に入ります(作者:デモステネス)(原作:艦隊これくしょん)

 とある世界線の日本。恩給受給権発生規定年数まで生き残るや直ちに退役。憧れの年金生活に入った提督であったが。▼「あらあ~ 本当に 振り逃げ。できると思ったのかしら~」▼「勝ち逃げは許しません」▼ 退役提督、柳佐理の明日はどっちだ。▼ 7月10日着任の新人です。▼ 自分用に書き溜めていたのを人様にみせたくなってUPしました。どうぞ御笑覧ください。▼・世界線が違…


総合評価:220/評価:6.88/連載:61話/更新日時:2026年06月03日(水) 23:00 小説情報

マブラヴ世界でメカゴジラの中枢AIとか、どないせいっちゅうねん!(作者:八雲ネム)(原作:Muv-Luv)

BETAとの戦争より、2万年前。▼ゴジラを含めた当時の怪獣との戦争の最中、2つの異星文明が来訪した事によって技術が急激に発展したものの結局はゴジラ・アースによって徹底的に破壊され、歴史の表舞台からその痕跡が消された筈だった。▼しかし、当時の人類が必死になって新しい人類の文明が発達して対抗できる日に向けてゴジラから自分達の技術を隠した結果、僅かながらに残す事に…


総合評価:289/評価:7.86/連載:8話/更新日時:2026年06月09日(火) 06:00 小説情報


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