アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~   作:非常勤務艦隊本部

8 / 18
シーズン3:ユニオン決戦、対鉄血戦開幕!
△:EP3-1 クリスマス島攻略


 

 

アズールレーンの要素含めた後世世界…………。

 

重桜から独立した【大洋州同盟】は独自の第三勢力を設立して、平成11年12月8日、ユニオンの太平洋戦略の要【ハワイ諸島】オアフ島の海軍基地真珠湾を奇襲攻撃して、これを陥落。

 

占領と同時に独立させる。

 

 

勢いに乗る大洋州同盟は、太平洋の覇権を確固たるものにするため【パナマ運河】を爆撃。

ユニオンの太平洋への軍需物資輸送路を遮断せしめた。

 

 

翌、平成12年に入り、ユニオンは『戦略爆撃機B-30』を用いて【重桜帝都空襲】を企てるが、これを予期していた大洋州同盟は、異界からの転移者である『ウィッチ』たちと新型局地迎撃機『蒼莱』によってこれを撃破。

 

 

だが、巨人ユニオンの工業力恐るべし………

 

壊滅させたはずのユニオン太平洋艦隊が、アリューシャン列島ウラナスカ島【ダッチハーバー】にて蘇っていた。

 

同盟海軍軍令部は、新型電算機『信玄』によって作成された天弦作戦を実行。

新編成された【ユニオン機動艦隊】を敗れ去ったのである。

 

 

一方、「アイシャルリターン」の名台詞を残し、フィリピンのコレヒドール島から同盟国『豪州』へ脱出した『ルイス・マッカーサー』は彼の地より反攻を企てるが、九鬼中将率いる『海軍特殊師団』によって【サモア】を電撃的に占領され、作戦を大幅に変更せざるおえなかった。

 

 

大洋州同盟は時を置かず【豪州封鎖作戦】を敢行。

 

第23水雷戦隊によるソロモン諸島における【ユニオン輸送船団の撃破】、珊瑚海における【フレッチャー艦隊の撃滅】と進み……明る、平成13年初頭。

 

 

太平洋におけるユニオン最後の基幹艦隊、モルガン提督率いる『第七艦隊』を撃滅、タスマン海の魚礁としたのであった。

 

 

 

これら大洋州同盟の快勝の陰に、人知れず海中にその身を潜ませる【紺碧艦隊】と呼ばれる潜水艦隊を知るものは大高弥三郎、高野五十六などほんの一握りの人たちしかいなかった…………

 

 

 

 

2001年(平成13年)2月11日

 

南太平洋上

 

 

 

モルガン艦隊誘き出しのためハワイを出撃した高杉艦隊であったが、紺碧艦隊がニューカレドニアにてこれを殲滅した事で誘き出しの任を終えたかに見えたが、太平洋における制海空権をより堅固なものにするため、更なる作戦を実施すべくその航跡を刻んていた…………。

 

 

 

第1航空機動艦隊旗艦 高速戦艦【比叡】

 

同 会議室

 

 

 

第1航空機動艦隊司令長官:高杉英作中将「諸君、すでに敵には戦艦も空母もいない。本海域どころか、この太平洋にもいない…………」

 

 

 

そう言って、高杉は汗を拭う。

 

次なる作戦を実施すべく艦隊針路を北東に向けて北上していたが、それでも赤道に近く2月になると4月まで最高気温が30℃までいくため、空調なしでは厳しい暑さであった。

 

 

 

航空参謀「申し訳ありません。生憎………空調が故障していまして…………」

 

 

高杉英作「気にしなくてもいい。今や、制海権は我が手中にある。したがって、今回の作戦は総仕上げと心得てもらいたい!空母はいないが、【クリスマス島からの航空隊の迎撃】には十分警戒しなくてはならない。各参謀に告げる!」

 

 

「「はっ!」」

 

 

高杉英作「直掩機による上空待機と電探、および艦橋見張り員の数を増やして、厳重なる対空監視網を敷くように。無論、海中も然りだ。以上のことを各艦に伝え!以上だ!」

 

 

 

するとそこへ、通信手が電文を持ってくる。

 

 

 

比叡通信手「失礼します!」

 

 

航空参謀「何事か!」

 

 

比叡通信手「長官。本国軍令部より入電です!」

 

 

高杉英作「うむ。」

 

 

 

高杉に手渡された電文には、先のFN作戦時にその存在が確認されたユニオンの巨人機に関連するものだった。

 

 

 

高杉英作(……80機以上の戦略爆撃機だと……?!)

 

 

通信参謀「長官。何か悪い知らせでも?」

 

 

高杉英作「…………いや、大したものではない。」

 

 

 

軍令部よりもたらされた情報に対する高杉の判断が、その後の物語を大きく回す。

 

 

 

高杉英作「………………どうもここは暑すぎる。少し、風に当たってこよう。」

 

 

主席参謀:フレデリカ・グリーンヒル大尉「お供します。」

 

 

 

暑さに耐えかねて、高杉はグリーンヒル大尉を連れて、比叡の防空指揮所へと向かう。

 

 

 

同 防空指揮所

 

 

 

高杉英作「いい風だな。」

 

 

グリーンヒル「一気に汗がひきます。」

 

 

高杉英作「……このクリスマス島攻撃が成功すれば、ハワイ・ライン・サモアを結ぶ戦略ラインが完成して、絶対国防圏をさらに東へと押し上げることができる。これはユニオンにとっては致命的だ。」

 

 

高杉は、今作戦に秘められた狙いを説いて、その後の戦局を予想する。

 

 

高杉英作「東にあっての鉄血の絶対有利に合わせて、ユニオン・ロイヤルの孤立化はより一層深まるばかりだ。大高首相はそこを狙って、同盟国を通じて再度講和の申し込みをする腹のようだ。」

 

 

グリーンヒル「その為にも、この作戦の意義は重大ですね。」

 

 

高杉英作「だがな…………なんといっても問題なのは、ユニオンが開発中という【原子爆弾】だ。こいつが完成したら、戦争はそれで終わる!…………ひょっとすると我々は、酷く虚しい戦をしているかも知れないな…………」

 

 

 

感傷とも取れる名将の感慨とは裏腹に、艦隊に危機は迫っていた。

 

 

ここで事態を明瞭にする為に、時系列をやや遡る……。

 

 

ユニオン本土からタヒチを経由、豪州内陸部の秘密航空基地から飛び立ったB-32フライングデビル90機は、ニューカレドニアにて一旦給油・弾薬搭載を行い……………

 

途中、二手に分かれた。

 

 

 

B-32 コックピット

 

 

ユニオン空軍所属:マジソン大佐「悪魔どもめ……舌なめずりしてとで行きおった。…………よぉうし、我々も行くか!花見好きのジャップどもがお待ちかねだ!」

 

 

《let's go!》

 

 

 

本隊のマジソン率いるルシファー隊は一路、大洋州同盟軍太平洋艦隊根拠地【パールハーバー】を目指し、別働隊のデビル隊15機は密命を帯びて、クリスマス島へと向かった。

 

これを、偶然にもタヒチ島近海に潜入哨戒中であったアイリス所属の砲撃潜水艦フルスクが目撃した。

 

 

情報は近くの島に潜む、情報謀略機関【木霊部隊】を経由して本土の軍令部にもたらされた。

 

高野は、この情報を留意して…………

 

 

 

大洋州同盟 首都札幌

 

海軍省 執務室

 

 

高野五十六「敵は、我々の【潜水艦決戦思想】に対して【戦略空軍決戦思想】と言う新基軸を、より一層鮮明に打ち出してきました!」

 

 

大高弥三郎《その様ですな…………我々が最も警戒していた戦略です。》

 

 

 

札幌市中央区

 

国会議事堂(旧北海道議会議事堂) 執務室

 

 

大高弥三郎「まるで平面で戦う盤上が、突然三次元になった様なものです。敵が工業力を背景に、何千機もの超超重爆を一気に投入してきたら、防ぎようがありません!…………して、その機の推定航続距離は?」

 

 

高野五十六《タヒチから豪州東部間を一気に飛ぶとすれば…………最低6,000キロ以上でしょう。》

 

 

 

海軍省 執務室

 

 

高野五十六「ヨーク半島から重桜帝都まで届く距離です。」

 

 

大高弥三郎《【富士計画】が一歩、遅れてしまいましたな…………》

 

 

高野五十六「いえ、仮に間に合ったとしてもこちらは''手作り''、向こうは''大量生産''です。この戦は、とどのつまりは【消耗戦】ですから勝てません。」

 

 

 

国会議事堂 執務室

 

 

大高弥三郎「高野さん…………塔作戦は中止すべきではないでしょうか。あえて火中の栗を拾う必要はないと思いますが…………」

 

 

海軍省 執務室

 

 

高野五十六「総理。高高度を飛ぶ戦略爆撃機では、高速で移動する艦艇に爆撃をしても、効果はありません。」

 

 

大高弥三郎《無論それは分かっているつもりです。》

 

 

 

国会議事堂 執務室

 

 

大高弥三郎「しかし、どうも嫌な予感がするのです。」

 

 

海軍省 執務室

 

 

高野五十六「…………わかりました。直ぐに高杉艦隊に連絡を取り、独自に判断する様に伝えます。」

 

 

 

 

 

時系列は、再びクリスマス島を目指す高杉艦隊へ移る。

 

 

高速戦艦 比叡

 

同 防空指揮所

 

 

 

高杉英作「先の見通しもなく戦争を始めてしまった前世であったが…………この後世では、講和が最終目的であると、大高首相は言っておられる。その為ならば、三部七部の負けでも良いとな。」

 

 

グリーンヒル「つまり…………勝ち過ぎず負け過ぎずに…その中間を得る………という事ですか?」

 

 

高杉英作「その通りだ。」

 

 

グリーンヒル「ですが……原子爆弾を使ってまで、この戦争に勝とうとしているユニオンが、果たして和平に応じてくれますでしょうか?」

 

 

高杉英作「だが、なんとしても果たさねば……………………その為に我々は、この後世に転生して再び軍人という罪深き仕事に就いているのではないかと、俺は思う。…………そう思わんかね?」

 

 

グリーンヒル「はい。」

 

 

 

高杉英作「しかしだな、『平和』というものは黙って待っていればやって来るものではない。『血を流して、恒久平和という門を一つ一つこじ開けていく』……その方法しかないのだよ。………そんな心境だよ、今の私はな。」

 

 

グリーンヒル「そういえば、北欧神話にも『オーディン』という守護神がいましたわ。」

 

 

高杉英作「『不動明王』という仏もいるぞ?……この仏は大日如来の慈明者として、現世界におり悪と戦ったと聞くが…………仏の世界といえど、平和の神だけでは成り立たない。」

 

 

グリーンヒル「戦う神仏もまた、必要という事ですか。」

 

 

高杉英作「そういう事だ……。」

 

 

 

その時、敵の接近を告げる警報がけたたましく鳴り響いた!

 

 

 

全艦無線《総員戦闘配備!!敵機多数接近中!!右舷前方、距離35,000!!》

 

 

 

戦闘配備が発令されて、比叡の機銃・高角砲が直ちに射撃体制に入る!

 

 

全艦無線《上空直掩機、迎撃!!敵機の頭をとれぇ!!》

 

 

敵編隊接近に呼応して、艦隊上空を守っていた直掩機数機が迎撃のため急行する!

 

この敵影発見の報は電探によるものであり、また艦底にはソナーを装備。

初歩的ではあるが、比叡は【電子作戦艦】としての機能を搭載していたのだ。

 

 

同 戦闘艦橋

 

 

グリーンヒル「長官、ユニオンも優秀なレーダーを開発したとの情報が入っています!ここは、先に仕掛けるべきかと思います!」

 

 

高杉英作「そうだな……。航空参謀!各空母に伝え!作戦を早める!」

 

 

航空参謀「は!」

 

 

 

旗艦比叡の鐘楼に戦闘旗が上がり、各空母からクリスマス島攻撃隊が発進された。

 

 

[瑞鶴]・[翔鶴]からなる第五航空戦隊からは、天弦作戦時に輝かしい活躍を誇った【艦上戦闘機『電征』】の二型が発艦して、[蒼龍]・[飛龍]からなる第二航空戦隊からは、【新艦上攻撃機『海山』】が発艦した。

 

海山は、前世でいうところの【艦上攻撃機『天山』】の生まれ変わりであり、その性能は【天山12型甲】に匹敵する。

 

 

13:30。

 

ハワイ・ライン・サモアを結ぶ戦略ラインの構築を目的とした【作戦『塔』】が開始された!

かねてからの作戦通りに高速戦艦『霧島』は駆逐艦8隻を伴い、[蒼龍]・[飛龍]・[瑞鶴]・[翔鶴]の4空母と共に北方へ離脱した。

 

この判断が、後の命運を分けたと言えよう……。

 

 

クリスマス島攻撃艦隊には、高速戦艦『比叡』、艦隊護衛空母『加賀』、空母『エンタープライズ』・『ホーネット』、重巡『鳥海』・『利根』・『筑摩』・『ウィチタ』・『ノーザンプトン』・『シカゴ』、軽巡『セントルイス』・『ヘレナ』・『クリーブランド』・『コロンビア』・『モントピリア』・『デンバー』、対空巡洋艦『アトランタ』・『ジュノー』・『サンディエゴ』、対空駆逐艦『秋月』・『照月』・『涼月』・『初月』、護衛駆逐艦『ベンソン』・『ラフィー』・『フレッチャー』・『スペンス』の計27隻が残った。

 

 

高杉は以上を以てしてクリスマス島へ進出、徹底した敵施設の破壊を目指した!

 

 

さて、先に出撃した攻撃隊はどうしていたであろうか。

 

 

先導の星電が敵編隊の反応を探知するや、護衛の電征数十機が攻撃隊から離れて迎撃に向かう。

 

厚い雲層を抜けるとそこには、約20機前後のB-17を発見してこれを迎撃しようとする。

 

 

が、どこからの攻撃によって、電征が1機撃墜されてしまったのだ!

 

 

太陽を背に現れたのは、ユニオン陸軍の新鋭機【P-51ムスタング】の群れであった!

 

敵護衛機の襲来によって、電征隊は空中戦に持ち込まれるが、絶対出力の差でなんとか互角に戦える性能を見せた。

 

 

13:45

 

 

電征隊からの敵編隊発見の報は、直ちにクリスマス島攻撃艦隊へともたらされる!

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

航空参謀「こっちに向かってるのか!?」

 

 

比叡通信手「は!」

 

 

航空参謀「B-17…………攻撃機か雷撃機なら分かるが、重爆とは…………」

 

 

グリーンヒル「敵の狙いが読めませんね…………」

 

 

航空参謀「むぅ…………取り敢えず対空戦闘に備えて、上空警戒を厳にしましょう!」

 

 

 

高杉英作「………航空参謀!加賀に下命!全機発進、迎撃の用意をさせろ!」

 

 

航空参謀「は!直ちに!」

 

 

 

高杉の判断が飛び、空母加賀から電征が全機発艦していく。

 

 

 

高杉英作「なお、加賀は発進完了次第、後方へ退避!我々はこのままクリスマス島へ進出する。全艦最大戦速!」

 

 

空母加賀から艦載機隊が発進して、艦隊はさらに前進を続ける!

 

 

 

13:50

 

 

艦隊から先発した戦爆連合は、クリスマス島に対する攻撃を開始していた。

 

 

地上からの対空砲火をものともせずに、攻撃隊は猛禽の群れの如く、クリスマス島防御陣地と飛行場に襲いかかり、滑走路と地上施設を爆撃して、離陸しようとする敵陸上機は電征隊によって尽く地上で撃破された。

 

そして時系列は、水平に飛ぶ!

 

 

 

14:00

 

 

敵機に警戒しつつクリスマス島へと歩みを続ける攻撃艦隊。

 

緊張が漂う中、ついに電探が敵編隊を捉えた!

 

 

 

サンディエゴ「敵編隊発見〜!!」

 

 

エンタープライズ『対空戦闘用意!!』

 

 

ホーネット「艦載機隊を出す?」

 

 

アトランタ「いいえ、艦隊の対空砲火でなら重爆といえど…………」

 

 

ノーザンプトン「駆逐艦たちは空母の直掩に就いて!」

 

 

 

艦隊の対空戦闘が整い、加賀の電征隊が両眼見開いて敵機を探す。

 

そして…………

 

 

 

スペンス「う、右舷前方……敵編隊を確認!か、数は、約15です!」

 

 

敵編隊を見つけて加賀の電征隊が迎撃に向かい、B-17を護衛していたP-51の編隊が電征隊に襲いかかって激しい空中戦が繰り広げられるが、それを尻目にB-17は攻撃艦隊の前方を通り抜けようとしていた。

 

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

グリーンヒル「電征が立ち向かっているとはいえ、敵も容易には近づいてきません。やはり、新三八弾を用心しての事でしょうか…………」

 

 

高杉英作「だろうな。新三八弾が抑止力として効果を発揮している証拠だろうが………………この期に及んで、なぜB-17なんかを引っ張り出したんだ?」

 

 

グリーンヒル「敵の真意がわかりませんが…………」

 

 

 

艦隊攻撃になぜ重爆なんかを出してきたのかに、高杉は疑問を抱くが…………

 

 

 

高杉英作「…………んっ?」

 

 

B-17から、パラシュートをつけた黒い球が無数に投下される光景を見て、グリーンヒル大尉は嫌な予感を示す。

 

 

グリーンヒル「長官、あれはまさか!」

 

 

その黒い球は艦隊の進路上に着水して浮いた事で、機雷の可能性が高まった!

 

 

グリーンヒル「……機雷です!!回避を!!」

 

 

 

比叡艦長:村田拓哉中将「変針取舵!!減速20!!とりかーじいっぱーい!!」

 

 

エンタープライズ《全艦遅れるなー!!比叡に続けー!!》

 

 

14:20

 

 

艦が軋みながら左に傾き、機雷原を回避するため艦隊は左へと進路を変える!

 

だが、減速したこの絶妙の隙を突いて両翼に爆弾を積んだP-51ムスタングが2機、比叡に目掛けて爆撃を敢行してきた!

 

比叡の対空火器がこれに反応して、直ちに弾幕を張る!

 

この頃の艦艇には、天弦作戦時に活躍した【電探連動砲】は標準装備になっている他、高角砲などはトランジスタを使用した初期連動砲のため、砲の仰角を取る手間が省かれていた。

 

その甲斐あってかムスタングを1機撃墜するものの、もう1機が既の所で450キロ爆弾を投弾。

 

その機も高角砲によって撃ち落とされるも、投弾された450キロ爆弾2発は、比叡の後部4番主砲に吸い込まれるように直撃した!

 

 

 

比叡応急員2「4番砲塔に直撃!!」

 

 

比叡応急員1「消化急げ!!」

 

 

比叡応急員3「隔壁閉鎖!!誘爆を防げ!!」

 

 

 

本来避けられたこの攻撃であったが、回避のために減速を余儀なくされたために、開戦以来損傷らしい損傷を見せた比叡であったが…………

 

 

 

グリーンヒル「敵も子供騙しを考えたようですね…………」

 

 

村田拓哉「左舷後方、新たに十数機!!」

 

 

高杉英作「なにぃ?!」

 

 

アトランタ《反応、極めて大!!》

 

 

 

一難去ってまた一難とは、まさにこの事であった。

 

新たな敵機の接近に、艦隊は今まで以上に緊張と警戒の渦に飲まれていく。

左の海域に立ち込めるスコールの中に、何かが近づいてくる気配が…………

 

 

 

ジュノー「な……………なんなの?!この反応は!?!?グリットがでかい!!」

 

 

対空専門のジュノーでさえも、対空電探が捉えた敵影の大きさに、今まで感じたことのない危機感が出始めていた。

 

そして、スコールの中からその機影が姿を現した。

 

 

 

航空参謀「見えた…………」

 

 

グリーンヒル「爆撃機…………いや、あれは…………」

 

 

 

その機影は、今までのものとは比較にならない大きさであった。

 

 

 

高杉英作「………っ!!」

 

 

グリーンヒル「でかい………!!」

 

 

 

6発の発動機に、無塗装の銀箔の胴体、そして……その規格外の大きさを誇る機体こそ、ユニオンが開発した戦略爆撃機…………

 

 

 

【B-32フライングデビル】であった!

 

 

 

同時に高杉の脳裏にも、高野からの電文が電撃的に蘇った!

 

これこそが、問題の超重爆撃機に違いない!

 

百戦錬磨の名将の心臓に、巨大な危機感が鷲掴みにされる………

 

 

B-32の爆弾倉が開き、高杉の指示が飛ぶ!

 

 

 

高杉英作「………新三八弾、斉射始めぇ!!」

 

 

だが…………

 

 

村田拓哉「………4番砲塔被弾。3番砲塔、最大仰角のまま操作不能…………照準が合いません!」

 

 

 

先ほどの攻撃が4番砲塔の天蓋装甲を突き破り砲室を破壊られて、使用不能にされただけでなく、3番砲塔も爆発の衝撃によって砲身の操作が受け付けず、最大仰角のまま固まってしまい照準が合わせられなくなっていたのだ!

 

 

問題のB-32は、低空で艦隊に迫りつつある!

 

頼みの新三八弾も、比叡後部砲塔の壊滅により指向不能の上、アトランタ級も射程外のため攻撃が不可能であった。

 

 

ホーネット「ちょ…………これやばくない?!」

 

 

ウィチタ「どうするんだ!回避か!?」

 

 

エンタープライズ「どうする…………どうしたいいんだ……!!」

 

 

ラフィー「絶体絶命…………」

 

 

スペンス「はわわわ…………ど、どうしましょう!!」

 

 

 

艦隊はすでに混乱寸前に陥りつつある中、迫り来るB-32に対して、高杉の咄嗟の判断が艦隊に飛ぶ!!

 

 

 

高杉英作『取舵一杯!!最大戦速!!』

 

 

 

村田拓哉「取舵いっぱーい!!最大戦速!!」

 

 

比叡操舵手「ヨーソロー!!」

 

 

エンタープライズ《比叡だ!!全艦、生き残りたかったら比叡に続けぇーー!!》

 

 

14:35

 

 

あろうことか高杉は、艦隊を右へ進路を変えたのだ!

エンタープライズたちも、死物狂いで比叡の後に続く!

 

 

 

高杉英作「3番砲塔は、右舷直角へ旋回!待機!!」

 

 

砲の仰角が戻せなくなった3番砲塔を、右舷90度へ旋回させる命令が飛び…………

 

 

高杉英作「1・2番砲塔は、右舷へ直角旋回!!」

 

 

高杉の命令が飛び、各砲塔が所定の方角に旋回して砲撃体制を取る!

 

高杉は咄嗟の判断で比叡を右へ180度旋回させてT字有利を作り、指向不能であった前部砲塔の射線を確保したのだ!

 

 

 

ユニオンパイロット「ターゲット視認!あのグラマーを狙え!!」

 

 

 

対するB-32も、比叡にその狙いを定めて距離を詰めていた。

 

その爆弾倉にあったのは、爆弾ではなく【多連装ロケット砲】であった!

 

 

本隊から分かれたデビル隊の密命こそ、この多連装ロケット砲を用いてでの【艦隊掃射】であったのだ!!

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

村田拓哉「長官!司令塔の中へ!!」

 

 

高杉英作「いい!構うな!!窓から離れていろ!!」

 

 

 

打てる手は全て打った高杉は、自らも艦橋に残り最後まで指揮を取る。

 

 

 

ユニオンパイロット「レディ……FIRE!!!」

 

 

 

艦隊をその射程にとらえたB-32デビル隊から、無数のロケット弾が雨霰のように高杉艦隊を襲った!

 

旗艦比叡にも数十発が被弾して、至近弾の爆発により艦橋の窓ガラスが全て砕け散る!

他の艦艇にもロケット弾が降り注ぎ、数隻が被弾して黒煙が上がる中、比叡の頭上をB-32が通過したところを、高杉は見逃さなかった!

 

 

 

高杉英作『3番、撃てぇぇ!!』

 

 

 

頭上を通過したフライングデビルに向けて、3番砲塔が火を吹き…………

 

 

 

高杉英作『1・2番、撃てぇぇぇ!!』

 

 

 

迫り来るフライングデビルの群れに向かって、前部砲塔が一斉に火を吹いた!!

 

 

放たれた新三八弾は、一方を爆風で押し潰して、もう一方を凄まじい熱風と高音の嵐に飲まれていき、空中で爆散して、艦隊を襲ったB-32を全て新三八弾によって辛くも撃破することに成功した。

 

 

14:40

 

 

危機一髪とは、まさにこのことである。

 

名将の一瞬の決断が艦を救い、敵を倒した。

だがそれも、類稀な比叡の船速あってのこと。

 

 

 

グリーンヒル「…………危ないところでしたね……。」

 

 

高杉英作「あぁ…………。」

 

 

 

だが、このささやかな勝利とは裏腹に、受けた代償は大きかった…………

 

 

 

 

 

比叡通信手「報告します。重巡筑摩、被弾し大破…………艦長倉田大佐以下艦橋に居たもの、全員戦死……。」

 

 

高杉英作「なにっ?!」

 

 

 

B-32からのロケット弾掃射をモロに受けた筑摩は、直撃弾の殆どを艦橋を含む中央構造物に受けて大破炎上する被害を出し…………

 

 

 

村田拓哉「同じく利根、被弾!機雷に接触して浸水!操艦不能!!鳥海は健在にて、両艦の救助に当たっております!」

 

 

 

利根も左舷後部に直撃を喰らい慌てて左へ転舵したところ、誤って機雷原に突入してしまい右舷に触雷。

舵と機関室をやられてしまい破孔からの浸水により傾斜、利根の艦長「築島藤十郎大佐」は復旧作業を断念して総員離艦を発令する事態に。

 

 

運良く攻撃を免れた重巡鳥海は生き残り、乗組員の救助に奔走していたが…………

 

 

 

エンタープライズ「……くっ!全艦、被害状況を!!」

 

 

ホーネット「対空砲をやられたけど被害微小!!飛行甲板も無傷!」

 

 

モントピリア「こちらモントピリア…………船体に直撃をもらって復旧不能……本体と接続を切って脱出する!」

 

 

デンバー「なんて無茶苦茶な攻撃なの?!後ろのマストが吹き飛んたんだけど!!」

 

 

ウィチタ「こちらウィチタ!ノーザンプトン、シカゴともに健在!なんとか避け切ったが、利根の筑摩が……!」

 

 

ヘレナ「セントルイスが回避運動中に機雷と接触!大破して炎上中!救援を!!」

 

 

ベンソン「こちらベンソン!機関室をやられた!!航行不能!!」

 

 

 

開戦以来、大洋州同盟の損傷らしい損傷と言えた。

しかし被害は、利根と筑摩、モントピリアの3隻に留まらなかった。

 

 

14:50

 

 

艦隊後方

 

 

別働のB-32フライングデビル3機が艦隊後方に退避していた空母加賀を襲われて大破、直後のアトランタ級と秋月型からの正確無比の統制対空射撃によって、3機全てを撃墜せしめた。

 

 

空母加賀大破の報は、直ちに高杉の下へもたらされる。

 

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

航空参謀「長官!加賀がやられました!」

 

 

高杉英作「なんだと?!相次ぎか!」

 

 

航空参謀「はい、まだ沈んではおりませんが……艦内で大火災発生により、手がつけられない様であります!」

 

 

 

艦隊後方

 

 

サンディエゴ「あわわわ!加賀が燃え盛ってるよ?!」

 

 

ジュノー「早く消化作業を!!延焼を食い止めて!!」

 

 

スペンス「ダメですぅ!!火の勢いが激しすぎます!!」

 

 

フレッチャー「こりゃあ……下手に消化するより、乗員を退艦させた方がいいかも!!」

 

 

アトランタ「こちらアトランタ!岡田艦長、早く総員退艦を!!このままでは危険です!!」

 

 

 

アトランタの判断で空母加賀から総員退艦が発せられ、高杉艦隊は重巡筑摩と軽巡モントピリア、空母加賀の計3隻を失う結果となった。

 

 

 

14:53

 

 

ノーザンプトン「上空に加賀の飛行隊が……」

 

 

エンタープライズ「ホーネット、加賀の飛行隊を至急収容してくれ!入りきれなかったら機体は投棄でいい!パイロットを優先に頼む!」

 

 

ホーネット「わかった!」

 

 

 

攻撃直前に空母加賀の艦載機を全て発艦させていたのが功を奏して、迎撃を終えた加賀の飛行隊はホーネットに収容されるのだった。

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

グリーンヒル「加賀の艦載機を全て発艦させたのが、不幸中の幸いですわね…………。」

 

 

高杉英作「あぁ…………」

 

 

そこへ急報が届く!

 

 

航空参謀「長官!ホノルルから至急電!真珠湾が空襲を受けた様であります!」

 

 

高杉英作「なにぃ!?」

 

 

 

数時間前

 

 

ここで時系列は、数時間遡る。

 

マジソン大佐指揮するB-32フライングデビル70機からなるルシファー隊は、ハワイ諸島オアフ島真珠湾海軍基地上空、12,000mにあった。

 

 

フライングデビルの爆弾倉が開き、攻撃の準備が整う。

 

 

マジソン大佐「レーダー照準爆撃、準備いいか!」

 

 

ユニオンパイロット「イエッサー!」

 

 

ユニオン爆撃手「投下10秒前……………………5秒前…………3………2……1………投下!」

 

 

 

合図と共に爆弾が投下され、真珠湾に降り注ぐ。

 

地上では、投下された爆弾が海軍基地に降り注ぎ、辺り一帯は混乱状態に陥っていた。

 

 

マジソン大佐《よぉうし!全部ぶちまけろ!!1発も残すな!!》

 

 

爆弾は次々と投下されていき、真珠湾を火の海にするかの様に攻撃は続けられた。

 

 

マジソン大佐《(ふふふふ…………こんな楽な作戦もない。迎撃気も対空砲火も届かず、レーダー照準で天候にも左右されない……これで帰ったら''英雄''なのだから堪えられん……!)景気良くやれぇ!ふははははは!!》

 

 

だが、この爆撃が海軍基地のみならずホノルル市内にも降り注いで、非戦闘員を含めて多数の死傷者を出す結果になろうとは、マジソン大佐は知らなかった。

 

 

14:56

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

グリーンヒル「敵はまだ空母を?!」

 

 

航空参謀「いえ、敵は先ほどの超重爆撃機と思われ………12,000mの高高度から爆撃、その後南に進路をとった模様であります!」

 

 

高杉英作「……被害は!」

 

 

航空参謀「は。軽微とは言えませんが、軍港機能には支障なしとのことです!」

 

 

グリーンヒル「その超重爆、一体どこへ向かったのでしょう…………」

 

 

専務参謀「タヒチ……いや、距離がありすぎますな。南に向かったと言ったな?」

 

 

航空参謀「は!」

 

 

専務参謀「となると、クリスマス島か…………」

 

 

敵爆撃隊の進路がおおかた見当がつくと、高杉はクリスマス島攻撃隊の確認を取る。

 

 

高杉英作「グリーンヒル大尉!攻撃隊のクリスマス島攻撃は終了したか?」

 

 

グリーンヒル「はい。既に会合点に向かい、飛行中です。」

 

 

そのことを踏まえて高杉は、敵は今頃破壊された滑走路の修復に躍起になっている事を見抜いた上で…………

 

 

 

高杉英作『ここは鳥海と護衛艦艇に任せて、我々はクリスマス島を急襲する!!』

 

 

「「はっ!!」」

 

 

 

村田拓哉『回頭!!クリスマス島へ最大戦速!!』

 

 

高杉英作「僚艦に伝え!戦闘可能の艦は艦種問わず、我に続けと!」

 

 

専務参謀「はっ!」

 

 

15:00。

 

高杉は大胆不敵にも、戦闘可能の艦艇を引き連れてクリスマス島攻撃を決意する!

 

 

 

グリーンヒル「敵の裏の裏を掻くのですね?」

 

 

高杉英作「目には目、歯には歯だ。……………………第一これでは、俺の腹の虫が治らん!!」

 

 

グリーンヒル「はっ!」

 

 

 

高杉の指揮下には、旗艦[比叡]の他、空母[エンタープライズ]、重巡[ウィチタ]・[ノーザンプトン]・[シカゴ]、軽巡[クリーブランド]・[コロンビア]・[デンバー]の計8隻が加わり、一路クリスマス島へ向かった。

 

 

そして、乗員救助のため残った艦隊の下に、一隻の潜水艦が姿を現した。

 

 

 

ヘレナ「艦隊左舷に気泡!潜水艦?!」

 

 

ヘレナの予想はある意味で当たっていた。

 

浮上してきた潜水艦は、通常よりも船体が大型であり何より、その広い甲板上に先の戦闘で撃墜したB-32フライングデビルを鹵獲していたのだ。

 

 

 

スペンス「あれって、さっき撃墜した巨人機じゃ………」

 

 

ベンソン「どうやって固定したんだ?」

 

 

重巡高雄 防空指揮所

 

 

見張り員「あの潜水艦は友軍です!救助作業の協力を申し出ていますが。」

 

 

高雄副長「あれはもしや、噂の''秘匿艦隊''では…………艦長。」

 

 

高雄艦長:朝倉富次大佐「返信!''心遣イヲ謝スルモ必要ナシ、貴官ノ任務ヲ遂行サレタシ''!」

 

 

 

鹵獲したB-32フライングデビルと共に潜水補給艦【伊1002潜】は、海中にその姿を没した。

 

 

 

 

15:15

 

クリスマス島 飛行場

 

 

一方クリスマス島では、高杉の睨んだ通りユニオン守備隊は帰投するルシファー隊のために、そのタフな機械力に物を言わせて、破壊された滑走路の修復に躍起になっていた。

 

 

ユニオン工兵隊長「急げー!!時間がないぞ!真珠湾をぶっ潰した英雄たちを待たせんなよー!!」

 

 

攻撃を免れたブルドーザーやリフトウォーク、果てはジープを総動員させて、鋼板やらを駆使して滑走路の修復に全力を傾けていた。

 

 

 

16:30

 

 

夕暮れ、真珠湾海軍基地を空襲したルシファー隊は、クリスマス島に向けて飛行を続けていた。

 

 

隊長機 コックピット内

 

 

隊長であるマジソン大佐は、終始上機嫌であった。

 

 

マジソン大佐「♪〜♪」

 

 

副操縦士「大佐、ご機嫌ですね?」

 

 

マジソン大佐「今日はラッキーデーだ。デビル隊も連中の空母1隻と巡洋艦3隻を血祭りに上げている。戦争は今日からイージーに行けるぜ……ふははははははwww!!」

 

 

 

飛行続けること約2時間。

 

ルシファー隊はクリスマス島へと無事辿り着いた。

 

 

 

17:55

 

 

クリスマス島 飛行場

 

 

守備兵が木によじ登り、ルシファー隊の機影を確認する。

 

滑走路脇の焚き火に火をつけて、誘導灯をつけて、着陸体制を整える。

 

 

ユニオン工兵隊長《ようこそ、ルシファーズヒーロー!滑走路はクリア!少し揺れるが、我慢してくれ?》

 

 

マジソン大佐《ソフトに降りてやるさ!だが今夜のビールは、ハードに決めるぜ!!》

 

 

任務を終えたB-32は、その巨体をクリスマス島に降ろした。

 

かつてない大戦果にユニオン兵たちは歓声と共に迎え入れて、工兵隊長もB-32の頼もしさに祖国の偉大さに感服した。

 

そしてマジソン大佐はと言うと…………

 

 

 

マジソン大佐(あと1年、原爆さえ完成すれば……………この俺が重桜本土攻撃の大任を負うことになるだろう。そしてその時こそ、真の英雄として凱旋する時だ……………そうなれば、上院議員の椅子どころか、本当にプレジデントの夢だって見れない訳じゃない。………ふふふふふふ……………ふははははははは!!)

 

 

正に人間の野望、ここに極まれりであった。

 

だがその野望も、数分後に完膚なきまで打ち砕かれようとしていた。

 

 

隊長機が着陸したその数分後、謎の飛翔音と共に進行方向から爆発が発生して、その衝撃で隊長機の機首部分のガラスが全て砕け散り、頭上で何かが散布された瞬間、滑走路と共に機体が随所で削り取られて、バランスを崩した機はそのまま滑走路脇のヤシ林に激突して停止した。

 

だが、攻撃はこれだけでは治らず、空中で砲弾らしきものが分散した瞬間に、次々と滑走路を地面ごと抉り取っていく爆発があちこちで発生して、その巻き添えを受けて着陸しようとしたB-32数機が被弾。

 

不時着するも直後に爆発してしまう。

 

 

 

ユニオン工兵隊長「…………っ!!か、艦砲射撃か!?!?」

 

 

そして滑走路が次々と破壊されていき、行き場失った残りのルシファー隊が上空へと退避していく様子を確認したマジソン大佐も……

 

 

 

マジソン大佐「か、滑走路が…………奴らの攻撃か……!?!?」

 

 

 

18:00 クリスマス島近海

 

 

 

彼らの予想は当たっていた。

 

クリスマス島飛行場に攻撃を加えていたのは、高速戦艦『比叡』と空母『エンタープライズ』、重巡3隻と軽巡3隻からなる高杉艦隊であったからだ。

 

高杉艦隊は闇夜に乗じてクリスマス島近海まで進出。

 

主砲・副砲・高角砲を使い敵地上施設へと攻撃を加えて、エンタープライズから発艦した艦攻『海山』でさらに追い打ちをかけていた!

 

 

比叡砲術長「1番着弾!500上げ!2番、200着弾!下げ!撃てぇ!!」

 

 

ウィチタ「遠慮なんていらねぇ!!副砲・高角砲も撃ちまくれ!!クリスマス島を砲弾で平らげろ!!」

 

 

 

比叡 戦闘艦橋

 

 

航空参謀「時雨弾が、着実に命中しています!」

 

 

グリーンヒル「憎い敵とは言え、些か可哀想ではあります。」

 

 

高杉英作「連中は燃料を切らして、海上に不時着するしか他あるまい。」

 

 

 

艦隊から撃ち出される『時雨弾』とは…………

 

 

正式名称【対地攻撃特殊弾・時雨弾】。

 

砲弾の中に多数の小爆弾を内蔵されており、空中で分散。

 

四方にばら撒かれた砲弾は着弾と共に、ノイマン効果による熱流を噴出し標的物を焼き切ったあと、後部弾帯が地中深く貫入・爆発して、標的物を破壊する。

 

 

この砲弾は、現代で言うところの『HEAT』……いわゆる【成形炸薬弾】である。

 

 

 

マジソン大佐「ルシファー隊が…………俺の夢が…………」

 

 

高杉たちの容赦ない艦砲射撃により、マジソン大佐は夢を夢のままに爆炎の中へと消えていった。

 

 

 

18:20

 

クリスマス島近海

 

 

約20分に渡って行われた艦砲射撃はクリスマス島の飛行場のみならず、ユニオンの地上施設すらも跡形もなく粉砕した。

 

 

村田拓哉「撃ち方やめぇー!!」

 

 

航空参謀「敵機影なし!電探にも反応なし!最終確認は右舷後方、5000!」

 

 

クリーブランド「クック島から黒煙を確認!」

 

 

 

隣のクック島に視線を向けると、黒煙が上がっていた。

 

 

 

ノーザンプトン「あそこにも何機か不時着したようね……」

 

 

エンタープライズ「どうする?トドメを打ち込むか?」

 

 

 

高杉英作「そうだな。再び飛べるとは思えんが………………念の為だ!」

 

 

 

高杉の判断により、クック島に攻撃が加えられた!

 

艦隊から打ち出される砲弾は次々と不時着したB-32を葬っていき、クック島の地形を少し変わるまで攻撃は続けられた。

 

 

 

2月11日、18:50。

 

塔作戦は、味方艦4隻の損失を出しながらも辛くも成功を収めた。

 

艦砲射撃を加えられたクリスマス島は翌日の朝まで、燃え続けたのだった…………

 

 

 

 

 

平成13年3月 札幌

 

首相官邸 応接室

 

 

 

作戦塔が終了して、数週間後…………

 

 

大高弥三郎「塔作戦は、天佑と言うべきでしたな。」

 

 

高野五十六「空母加賀を始めとして、高杉艦隊に若干の損害が発生しましたが…………しかしその中に、敵の重爆撃機B-32を鹵獲出来たのは不幸中の幸いでした。」

 

 

大高弥三郎「東野さん。そのB-32ですが…………」

 

 

泰山航空工業:東野源一郎「はい。目下、極秘裏に調査しておりますが……脅威というしか、言う言葉がありません…………」

 

 

 

室蘭市

 

泰山航空工業 室蘭工場

 

同 秘密格納庫

 

 

 

ここ、室蘭工場の秘密格納庫で鹵獲したB-32の調査を進めていたが…………

 

 

 

ストライカーユニット技師:都藤一郎「これは………………凄まじいものだな。」

 

 

大洋州同盟技術顧問:真田志郎大佐「昨年の春に重桜帝都を襲おうとしたB-30を超えるために作られた超重爆撃機だが………………短期間でよく90機もの数を量産できたものだ………。」

 

 

大洋州同盟情報長:新見薫大尉「これほどの機体を短期間で開発して、それを大量量産ラインに乗せるには【基礎科学・基礎技術・基礎工業】があってこそです。この機体を調査するだけで、ユニオンの工業力の底知れなさを実感できます…………。」

 

 

大洋州同盟特殊技術顧問:大山敏朗(又の名をトチロー)「全く……ユニオンの連中も恐ろしいもんを作ったものだな。」

 

 

大洋州同盟海軍ウィッチ隊総監:北郷章香少佐「戦略重爆を対艦掃射に使うとは……………戦略兵器の使い道を間違えるほど、ユニオンは追い詰められていると言うことだ。」

 

 

 

調査が進められるB-32を尻目に、調査に立ち会った者たちはユニオンの底知れなさを実感するのだった。

 

 

 

函館市 函館海軍航空基地

 

同 執務室

 

 

ここ501基地にも、今朝の朝刊の見出しに注目が集まっていた。

 

 

坂本美緒「【同盟海軍、開戦初となる損害!ユニオンの反撃迫る?】か……。」

 

 

バルクホルン「ユニオンめ………またB-30を使ってきたのか?」

 

 

ミーナ「それが……B-30を上回る性能を持った新型機を90機も使ってきたらしいのよ。その一部が対艦掃射に改造されていて、クリスマス島攻略へ進発した高杉艦隊に襲いかかったそうなの。」

 

 

坂本美緒「……高杉艦隊の被害は?」

 

 

ミーナ「………………モントピリアが本体を失って、重巡筑摩が撃沈。利根が大破・自沈処分されて、空母加賀がやられたそうよ。それに、パールハーバーも空爆されて、軍施設と市街地に被害が出たようなの。」

 

 

バルクホルン「新型機90機と引き換えに、空母加賀と巡洋艦3隻を失ったのか………!?」

 

 

坂本美緒「………早く次の一手を打たないと…………削り負けてしまうか……。」

 

 

ミーナ「シャーリーさんが言うには、「その気になったら、噂の新型機を千機は作れる筈だ」と言っていたわ。」

 

 

バルクホルン「待て!幾ら蒼莱が高性能でも、その新型機が大挙して押し寄せてきたら、私たちでは防ぎ切れないぞ!!」

 

 

 

 

札幌 首相官邸

 

応接室

 

 

 

大高弥三郎「東野さん。ジュリオ・ドゥーエの【l爆撃機傭兵理論《ドゥーエ理論》】というのを、ご存知ですか?」

 

 

東野源一郎「………なんでしょう?」

 

 

高野五十六「戦略爆撃に関する理論ですな?」

 

 

大高弥三郎「左様。サディアのドゥーエ将軍の戦争論の中の理論なのですが、攻撃側はいつ何処へ攻撃するかという点で、常に主導権を握っているだけに、防御側は甚だ不利な立場に立たされざるを得ないのです。」

 

 

つまるところ、万が一ユニオンがB-32千機を使って重桜帝都を攻撃すれば、幾ら蒼莱といえども【完全防御】は不可能ということになる。

 

 

 

大高弥三郎「ましてや………………ユニオンが"例の超爆弾''を完成させたとすれば………!」

 

 

 

東野源一郎(原子………!)

 

 

高野五十六(爆弾………!)

 

 

 

 

たった1発で国が燃え尽き、破壊され、更に強烈な放射能に侵された民族がのたうち、絶滅していく………。

 

3人の脳裏に、その地獄絵が、まざまざとよぎった……………………。

 

 

 

EP3-2に続く・・・・

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。