アズールレーン~紺碧の艦隊と蒼き海原~   作:非常勤務艦隊本部

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△:EP3-2 原爆阻止作戦

 

 

アズールレーンの要素含めた後世世界…………。

 

重桜から独立した【大洋州同盟】は独自の第三勢力を設立して、平成11年12月8日、ユニオンの太平洋戦略の要【ハワイ諸島】オアフ島の海軍基地真珠湾を奇襲攻撃して、これを陥落させて占領した。

 

 

勢いに乗る大洋州同盟は、太平洋の覇権を確固たるものにするため【パナマ運河】を爆撃。

ユニオンの太平洋への軍需物資輸送路を遮断せしめて、それからの太平洋における戦いで、各地で連戦連勝を重ねていった。

 

 

一方、欧州では突然の政変により「ハインリッヒ・ヒトラー」が総統の座についた【鉄血】が独裁政権と化して、欧州の各戦線にてその猛威を振るっていた。

 

アイリス・ヴィシア・サディアは本土を蹂躙され、大高弥三郎を首班とする【大洋州同盟】の計らいによって、シンガポール・インドシナ・香港に亡命国家を樹立して難を逃れたが、欧州雄一の海洋国家【ロイヤル】は孤立。

 

北方連合も、鉄血の電撃戦により北よりレニングラード・キエフ・オデッサの結ぶラインにまで押し込まれ、冬将軍の支援を待つ有様であった…………

 

更に北大西洋では、鉄血のUボート戦隊がその猛威を振い、ユニオンとロイヤルの量産型艦隊を瞬く間に蹂躙、世界権を我が物にしようとしていた。

 

 

この事態に危機感を募らせたルーズベルトは、悪魔の計画【マンハッタン計画】を急がせていた…………。

 

 

 

 

2001年(平成13年) 3月27日

 

ユニオン首都 ワシントンD.C.

 

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

この日ルーズベルトは、ロスアラモス国立研究所の所長であり、マンハッタン計画の最高責任者である「オッペンハイマー博士」の訪問を受けていた。

 

 

 

ルーズベルト「…………オッペンハイマー博士。原子爆弾製造の目処がついたことは、この報告書でも分かった…………。だが一部の科学者からは、「原子爆弾使用の道義的責任を考慮すべきだ」と上がっている。」

 

 

マンハッタン計画最高責任者:オッペンハイマー博士「はい。科学者の中には、「まずデモンストレーション的実験を行い、重桜と大洋州同盟に降伏を迫るべきだ」の声が高まっています。」

 

 

ルーズベルト「博士!私はあなた自身の意見が聞きたい!」

 

 

オッペンハイマー「私の意見ですか?…………大統領閣下、私は''科学者''です。科学者が政治的意見に口を挟むのはどうかと……………………高度な政治的な事柄は''ワシントン''が判断し、''ワシントン''が決定することかと思いますが?」

 

 

ルーズベルト「………原爆開発の最高責任者である貴方がそう言うのであれば、他の科学者の意見は無視することにしよう。…………しかし、貴方はずるい人だ……。」

 

 

オッペンハイマー「?」

 

 

ルーズベルト「…………いや、なんでもない。」

 

 

 

クリスマス島陥落とB-32フライングデビル90機全ての損失に加えて、ユニオンの戦略そのものが瓦解しかねない事態に、ルーズベルトは日頃のストレス過多により健康状態が優れないでいた。

 

 

 

ルーズベルト「…………取り敢えず、大洋州同盟の原爆開発は偽装された物だと分かった。だが鉄血は別だ!彼らの方が、我々より早く完成するかもしれん!」

 

 

オッペンハイマー「鉄血に先を越されるとは思いません。」

 

 

ルーズベルト「無論それは分かっている、だが万が一…………」

 

 

オッペンハイマー「万が一、核攻撃の応酬があれば…………」

 

 

ルーズベルト「世界は黙示録のにある通りになるだろう。」

 

 

 

原子爆弾の誕生によって来る【万が一】という事態を想像したオッペンハイマーは、いい知れぬ不安を抱いた。

 

 

一方、大洋州同盟は、初春の季節……

 

 

平成13年4月

 

首都 札幌

 

 

4月に入っても、北海道は雪解けの一方で未だ桜の季節を迎えてはいなかったが、春の訪れを告げていた。

 

 

首相官邸 応接室

 

 

今日この日、大高の下に先のクリスマス島攻撃作戦で辛勝を収めた、第一航空機動艦隊司令長官「高杉英作」が訪れていた。

 

 

大高弥三郎「高杉さん。こういう物を書いてみました。」

 

 

大高から手渡された色紙には、「天有顕道」という文字が書かれていた。

 

 

高杉英作「天に顕道あり…………天が示す道には必ず深い意味があり、決して誤りのある物ではない……という事でしょうか。」

 

 

大高弥三郎「はい、今の私の心境です。」

 

 

高杉英作「天に…………………私もこの後世世界に転生して、国民のために死するも、天の命ずる道ならば……と思っております。」

 

 

大高弥三郎「…………だが高杉さん。現代の戦争は軍人だけでなく、幼い子供や赤ん坊までも巻き込みます。現在ユニオンが開発中とされる原子爆弾ですが、これは恐ろしい大量殺戮兵器です!これでは最早、戦争とは呼べません。それを阻止せねば…………いや、開発を1年でも2年でも遅らせることが出来れば、欧州の状況が変わってきます!」

 

 

高杉英作「………鉄血ですな?」

 

 

 

2001年時点での鉄血は、北方連合への侵攻作戦【ブリッツクリーク】を発動していて、ヒトラーは超重爆を用いて北方連合の工業都市を連日の如く爆撃。

 

その結果、北方連合は補給が追いつかず鉄血の侵攻をなかなか阻止できずにいた。

 

ヒトラーは、旧ロシア圏の穀倉地帯である「ウクライナ」を手中に収めて、北方連合を日干しにしようと画策していた。

 

 

 

大高弥三郎「実は、その鉄血から密電がありましてな。」

 

 

高杉英作「密電が?!」

 

 

その内容とは、「レッドアクシズと同盟を結び、陸軍戦力をシベリアに侵攻させろ」というものであった。

 

 

高杉英作「……それで、閣下はなんと?」

 

 

大高弥三郎「返事はまだしておりません。鉄血は協力してくれた戦後処理として、バイカル湖より東をわが国に割譲しても良いと言ってきておりますが、貴官はどう思われますか?」

 

 

高杉英作「悪い話ではありませんが…………我々が鉄血と手を組んだら、この戦さの大義に反するものだと思います。」

 

 

大高弥三郎「うむ。もう一つの条件として、いずれ完成する見込みのある''原子爆弾''の一つを、我が国に提供しても良いと申し入れてきたのです。」

 

 

高杉英作「原子爆弾を?!………………魅力的な条件だと思いますが…………」

 

 

大高弥三郎「もし我々が原爆を使えば、この戦に勝てるかもしれません。しかし…………」

 

 

高杉英作「それでは、我々が前世の合衆国のようになってしまいます。」

 

 

 

大高弥三郎「その通りです!いかなる理由があろうとも、日本民族……罪のない幼子の命も奪ってしまう、悪魔の片割れにはしたくないのです!それを用いることは、天道に反することだと、私は思います!」

 

 

 

この両雄の会談とは裏腹に、マンハッタン計画は刻一刻と進みつつあった…………

 

 

 

同日 深夜

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

 

その日の深夜、ルーズベルトの下に銀行家で資本家でもある「ハーマン・ペルー」が訪れていた。

 

 

 

ルーズベルト「やぁハーマン、待っていたぞ!」

 

 

ハーマン・ペルー「カルフォルニアから来ると、ワシントンは寒くて敵いませんなぁ。」

 

 

ルーズベルト「私も早く退任を果たして、暖かいカルフォルニアで余生を過ごしたいものだよ!」

 

 

ペルー「………ご冗談を。……………………大統領には次の選挙に勝っていただけなければ困ります。」

 

 

ルーズベルト「…………''君のため''にかね?」

 

 

ペルー「我々のため、いや…………ユニオンのためです。」

 

 

 

だが、銀行家とは表向きの肩書きであり、本命は【影の政府】の幹部であり、大統領への使者でもあった。

 

 

 

ペルー「………ところで、厳しい報道管制を敷いているようですが、B-32が全滅したという噂は本当ですか?」

 

 

ルーズベルト「君はそれを確かめるために、わざわざワシントンまで出向いてきたのかね?」

 

 

ペルー「資本家としては当然のことでしょう?''全アジアの権益が失うかどうかの瀬戸際''ですからなぁ。」

 

 

ルーズベルト「安心したまえ。一年後には、我々は勝利を掴んでいるよ。」

 

 

 

ペルーは信じて良いかと問うが、ルーズベルトは今まで嘘をついたことがあるか?と逆に問うが、ペルーもまた開戦前の出来事をよく覚えていると答える。

 

 

 

ペルー「しかし…………大洋州同盟は兎も角、鉄血には勝てるでしょうか?」

 

 

ルーズベルト「勝つ!!負けるわけにはいかんだろうが!?」

 

 

ペルー「………………大洋州同盟は同盟国を通じて、講和の道を探っているようですが………講和を受け入れるんですか?」

 

 

ルーズベルト「………………して欲しいのかね?」

 

 

ペルー「……とは申しませんが。」

 

 

ルーズベルト「君たち資本家が望んでいるのは、【全アジアの市場化】だろう?」

 

 

ペルー「我々資本家の繁栄は、祖国の繁栄でもあります。」

 

 

ルーズベルト「ふん、上手いこと言う。しかし、君たちにとってこのユニオンが''本当に''祖国なのかね?……君らは、このよく肥えた新世界にただ寄生しているだけではないのかね!?」

 

 

ペルー「きついことを仰いますな…………………しかし、我々にとってユニオンはなくてはならない存在ではあります。この国が強大な軍事力で守ってくれているからこそ、我々は安心して海外に出かけてゆき、メイクマネーが出来るわけです。」

 

 

ルーズベルト「なるほど、わかりやすい説明だな。」

 

 

 

ペルー「我々は国民を養わねばならない利益効率の悪い……ま、【国家システム】は必要とはしませんから。Shadow Government(影の政府)の原理は、閣下の仰られたように''強大な軍事力の国家''に寄生する…………ま、寄生して…そしてその国家と共存共栄する事で、半世紀の長きにわたって存続してきた訳です。」

 

 

ルーズベルト「君らが享受してきたのは、安全ばかりではあるまい!国家予算まで食い潰してきた!」

 

 

ペルー「ふっふっふっふっふ…………お互い様です。貴方とて我々のバックアップがなければ、大統領になれなかった訳ですからなぁ。」

 

 

ルーズベルト「勝手なことを言わんでくれ!………………おかげで私は憂鬱だ。」

 

 

 

ペルー「ほぉう?憂鬱?それはまた何故?」

 

 

ルーズベルト「何故だと?!………いずれ私は国家の最高責任者として、一民族を絶滅しかねない新型爆弾の投下を承認する書類にサインしなければならないのだぞ!?」

 

 

ルーズベルトは己の本音を言い放つが…………

 

 

ペルー「仕方ありませんなぁ…………ま、この際閣下のお気持ち等どうでも良いのです。」

 

 

ルーズベルト「わしの気持ちはどうでもいいだと……?!」

 

 

 

ペルー「…………それが【最高法院の決定事項】ですから。」

 

 

ルーズベルト「最高法院…………?!」

 

 

ペルー「閣下と言えでも、最高法院の決定には逆らえません。ふふふふふふ……………」

 

 

 

 

平成13年4月18日 深夜

 

大洋州同盟首都 札幌

 

とある料亭

 

 

紺碧第1艦隊司令長官:前原一征「ワシントンD.C.に…………直接降下するのでありますか?!」

 

 

大洋州同盟海軍総長:高野五十六「そうだ。『弦月作戦』の本質はあくまで''原爆開発の阻止''にある。……だがそのためには、ユニオン東部海岸の撹乱は是非とも必要なんだ。この作戦を…………『和』と名付けた。」

 

 

前原一征「作戦、和ですか…………これは面白い!」

 

 

高野五十六「ジャーナリズムが強い国だから、相当の効果が期待できる。」

 

 

前原一征「私も、私なりに研究して、是非とも成功させます!」

 

 

高野五十六「うむ、頼むぞ。」

 

 

前原一征「ところで閣下。肝心の【ロスアラモス原爆研究所への攻撃】は、高杉艦隊が担当するというのは…………」

 

 

 

前原が高野にそう問うと、高野は本来の作戦を話した。

 

 

弦月作戦は、ロスアラモス攻撃までの過程に複数の陽動作戦が組み込まれている。

 

まず、高杉艦隊の役割はロスアラモス攻撃ではなく、【第2次パナマ運河攻撃作戦】を担当することとなっている。

さらにそこに、紺碧艦隊が担当する【ユニオン第三艦隊殲滅作戦】もほぼ同時に発動することになる。

 

敵が混乱しているところに三つ目の陽動である【サンディエゴ攻撃作戦】を展開して、ユニオンの防御力が落ちたところを付け狙って弦月作戦の本命である【ロスアラモス攻撃作戦】が開始される手筈となっている。

 

 

このサンディエゴ攻撃作戦とロスアラモス攻撃は、開戦初頭で鹵獲したユニオン太平洋艦隊の主力戦艦群を大改造を施して編成された【紅玉艦隊】が担当することになっている。

 

 

 

高野五十六「まぁやってくれ。……………今日は''俺の命日''だ。」

 

 

前原一征「………………っ!確か………4月18日、前世での今日……ブーゲンビル島の上空でしたね。」

 

 

高野五十六「うん……………しかし、後世でこうして飲んでいるのも妙な気分だ。」

 

 

前原一征「…………正に!」

 

 

「「ははははははwww」」

 

 

 

それから、およそ6ヶ月の月日が経った。

 

 

平成13年10月。

 

弦月作戦決行の機は熟し、ユカタン半島に潜入していた諜報機関『東』の本郷少佐の下に、暗号電文【鷹】が届けられた。

 

 

本郷少佐「…………っ!来たか!」

 

 

暗号電文【鷹】は直ちに超長波通信に変換されて、大西洋にて待機中の紺碧艦隊にもたらされた。

 

 

 

平成13年10月16日

 

メキシコ ユカタン半島沖 海中

 

紺碧第1艦隊旗艦 伊601潜

 

同 発令所

 

 

 

前原一征「…………高杉艦隊は予定を変更し、11月1日より弦月作戦を開始す……か…………少し早まったな。」

 

 

入江九市「は!通信参謀!各艦に伝え!作戦『和』の決行を早める!」

 

 

通信参謀「は!」

 

 

入江九市「電文!これより3日後の04:00、ポイントTに集結!速やかに攻撃機を発進、作戦『和』を開始する!」

 

 

暗号電文【鷹】を受け取った紺碧第1艦隊は行動を開始。

 

3日後の19日未明には、ポイントTに集結。

紺碧第1艦隊はそこで全艦浮上して、艦載機隊を発進させた。

 

 

伊501・502・503潜から発進された春蘭隊はユニオンの都市「ボストン」・「ニューヨーク」・「フィラデルフィア」へ向かい、伊601潜から発進した大竹大尉指揮する雷洋隊は別途任務を携えて、ユニオンの首都「ワシントンD.C.」へと向かった。

 

 

紺碧第1艦隊は艦載機収容地点に向かうべく、その巨体を海中に没した。

 

 

一方で雷洋隊は朝焼けと同時に、超低空でユニオン本土へ侵入を果たして、ワシントンD.C.へと到達。

 

2番機はそのまま議事堂へ向かって、大竹大尉の雷洋は市内を低空で通過。

その際に、市内に友好の証である【ハナミズキ】を描いたビラをまいていった。

 

 

この大洋州同盟軍機の侵入は、直ちにルーズベルトの下へと知らされる。

 

 

 

ユニオン首都 ワシントンD.C.

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

 

ルーズベルト「何?!同盟軍機だと?!」

 

 

 

報告を聞いたルーズベルトは直ぐにベランダに上がり、ホワイトハウスに接近する雷洋をその目で確認する。

 

 

その雷洋は爆弾倉を開き、ホワイトハウスの庭に目掛けて爆弾を投下していった。

 

投下された爆弾は庭に突き刺さり、ルーズベルトは酷く狼狽するものの、時限爆弾の可能性が捨てきれないため大統領補佐官に連れられ避難をする。

 

 

爆弾投下を終えた大竹大尉の雷洋はそのまま離脱するかと思ったら、去り際に1人の日本人男性が雷洋からパラシュート降下をして行った。

 

 

一方で、ホワイトハウスはというと…………

 

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

ルーズベルト「首都にまで奴らに踏み込まれるとは、空軍は一体何をしていたのだ!!長官を呼べ!!長官を!!」

 

 

ワシントンD.C.にまで大洋州同盟に踏み込まれたことに、激しい怒りを見せていた。

 

 

大統領補佐官「閣下!先ほどの爆弾は''模擬弾''でした!」

 

 

ルーズベルト「なに?!…………えぇい、大洋州同盟め、一体何が目的だ………ゔっ!?」

 

 

 

大洋州同盟の目的が分からなく苦心していた途端、ルーズベルトの体に異変が襲い、椅子に座り込んだ。

 

 

大統領補佐官「閣下!どうなされました!?」

 

 

ルーズベルト「な……なんでもない………!か、体に触れるな………….!」

 

 

補佐官たちを落ち着かせるルーズベルトだったが、当の本人は息も絶え絶えであった。

 

 

そんな中、雷洋からパラシュート降下した日本人男性「尾崎英雄」は、ユニオンの新聞社『デイリー・ワシントン社』へ赴き、大高総理の新書を届けて、それに感激した編集長「ハリマン」は彼を快く信頼したのだった。

 

 

ラジオ放送《本日未明、ユニオン東部沿岸都市に来襲した同盟軍機の目的は、爆撃ではありませんでした!同盟軍機の目的は、友好の証である桜とハナミズキをあしらったビラをまくことにあったそうです!また、デイリー・ワシントンの報道によると、パラシュート降下をした日本人は平和の使者であり、大洋州同盟の大高首相からユニオン国民に向けた平和のメッセージを携えてきたとのことです!》

 

 

この放送はユニオン全土に届けられて、ルーズベルトの耳に入るところとなった。

 

 

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

ルーズベルト「クソ!こんな放送は直ちにやめさせろ!新聞も発行停止だ!逆らう者は全て逮捕しろ!!」

 

 

ルーズベルトはラジオを切って、己の職権を乱用してまで報道規制を敷こうとするが…………

 

 

大統領補佐官「閣下、我が国は言論の自由の国です。」

 

 

ルーズベルト「黙れ!これは大統領命令だ!」

 

 

大統領補佐官「……そんな事をすれば、ユニオン全体のジャーナリストを敵に回す事になりますぞ!」

 

 

ルーズベルト「!!………………おのれ、大高め……!!」

 

 

これ以上にない深刻な事態に、ルーズベルトは大高に対する怒りをより一層募らせた。

 

 

大統領補佐官「閣下。どうか、冷静にお願いします。」

 

 

ルーズベルト「黙れ!!いいか!これは大高の謀略だぞ!奴はユニオン政府を、国民から浮き上がらせようとしているんだ!!」

 

 

焦るルーズベルトであったが、大統領補佐官は冷静に話を続ける。

 

 

大統領補佐官「確かに巧妙ではあります。パラシュートで降下した男「尾崎」の言うには、『戦争はスポーツ精神に則り''フェアプレー''でやるべきで、''ルールに従い正々堂々と戦う''のがスポーツマンシップ。戦争も同じ事です。原子爆弾を使い、民間人の大量虐殺は最早戦争ではない。』………と。これは、我が国民にうけますな。」

 

 

ルーズベルト「補佐官!君までが敵の肩を持つのかね!?」

 

 

大統領補佐官「閣下。…………ユニオン国民には、『閣下のスピーチ』より『大高のアピール』がうけると申し上げているのです。」

 

 

ルーズベルト「き、君は…………!!」

 

 

補佐官の言葉に、ルーズベルトは怒り心頭に机を叩く。

 

 

大統領補佐官「我々はこれまで、大洋州同盟の和平交渉を無視し続けてきました。それ故に大高は我々''ユニオン政府''を相手にするのではなく、''直接国民に訴える''手段に出たのでしょう。」

 

 

ルーズベルト「だからどうしたと言うのだ!?!?」

 

 

大統領補佐官「国民が望まぬ戦争に【誰がどんな理由で引き摺り込んだのか】、【この元凶は誰なのか】……ことの真相を国民に気づかせようとしているのです。これは重大なことですぞ!対処を誤ると、反戦運動が起こりかねません。しかも尾崎は、原爆開発競争の即時中止も呼びかけています!そして模擬爆弾は、その警告だと。」

 

 

ルーズベルト「ただのブラフだ!!」

 

 

大統領補佐官「いえ、彼らは鉄血から原爆も入手できる事も仄めかしています!」

 

 

ルーズベルト「鉄血からだと?!」

 

 

大統領補佐官「恐らく大高は気づいています。全世界を【破壊と殺戮の渦に巻き込むために】、この戦争が【我々の手によって仕組まれた】事を!大高は、恐るべき政治家です!」

 

 

 

ルーズベルト「ふんっ!そ、それがどうだと言うのだ!!世界新秩序建設のためには、旧世界の破壊を必要とするのだ!それが、神の御意志ならやむを得んだろう!」

 

 

大統領補佐官「その為に、''世界が滅びようとも''ですな?」

 

 

 

ルーズベルト「っ!…………………………あぁ………その通りだ。」

 

 

 

この作戦『和』に対して、ユニオン政府からの沙汰はなかったものの、世界各国が原爆を含めた【核物質の兵器利用の禁止】の機運を漲り始めさせる起爆剤にもなった。

 

 

 

作戦『和』から数日後の夜

 

 

大洋州同盟首都 札幌市中央区

 

首相官邸 談話室

 

 

大高弥三郎「残念ながら我々の提案は、ルーズベルトには通じなかったようですな…………出来れば、ユニオン本土攻撃は避けたかったのですが。」

 

 

 

海軍省 執務室

 

 

高野五十六「総理のお気持ちはよく分かります。しかし少なくとも、原爆開発計画の''存在''は露呈できました。」

 

 

大高弥三郎《そうですな。一応の目的は達成されたわけですからな。》

 

 

高野五十六「ところで総理。重桜で政変があったと聞きましたが、本当でするか?」

 

 

 

首相官邸 談話室

 

 

大高弥三郎「確かな事ですが…………どうも''政変''と言うより、''制度が変わった''と言った方が正確かと。」

 

 

高野五十六《制度が変わった?》

 

 

 

重桜が執ってきた制度は【重鎮制】であった。

 

だが、これからも長門が国事全般を引き受けるのは困難であり、重鎮継承権限においても無視できない欠点が露呈してしまっている為、制度の改正が早急に望まれた。

 

そこで重桜の重鎮『長門』は国会において【政威大将軍制度】を提唱した。

 

この制度は、重桜のとある特殊な国内事情を逆手に取ったものである。

 

 

重桜は倒幕の時代において『元枢府』を設置して、戦国時代で大名に仕えていた『煌武院(こうぶいん)家』・『斑鳩(いかるが)家』・『斉御司(さいおんじ)家』・『九條(くじょう)家』・『崇宰(たかつか)家』の五つの武家を【五摂家】と呼ばれていた。

 

この時代でも五摂家は未だ存在していて、長門はこの五摂家に目をつけて、今や重鎮制度では来たる国難に対処しきれないと判断した上で、従来の重鎮制度を廃止して、国事全般を引き受ける制度として【政威大将軍】を両立。

 

その初代大将軍に、煌武院家第56代当主『煌武院悠陽』自らが就任して、その最初の政策として【大洋州同盟との和平交渉】を掲げたのだ。

 

 

 

首相官邸 談話室

 

 

大高弥三郎「その悠陽殿下から密電がありましてな。『我が重桜は貴国を首班とする大洋州同盟との和平の準備がある。その条件として''ユニオンの原爆開発計画の阻止''が前提である。』……と。」

 

 

高野五十六《我々に取っては願ってもないチャンスでありますが、その分''例の作戦''の意義は重大になりますな……》

 

 

大高弥三郎「はい。…………高野さん、弦月作戦の発動をお願いします!」

 

 

 

海軍省 執務室

 

 

高野五十六「は!この高野、身命を賭してでも成功させます!はい!」

 

 

 

 

平成13年11月10日 東太平洋上

 

 

11月10日正午。

 

高杉艦隊旗艦『比叡』の鐘楼に戦闘旗が上がり、【弦月作戦】は開始された!

 

 

 

ユニオンバージニア州 ペンタゴン

 

作戦室

 

 

一方ユニオン側は、大洋州同盟による西部沿岸都市への攻撃を予想して、その特定に全力を注いでいた。

 

 

 

ユニオン海軍士官1「敵機動艦隊の動きは掴めたのか?」

 

 

ユニオン海軍士官5「いえ、まだです。タカズキ艦隊がパールハーバーを出撃して南進した以降は不明です。」

 

 

ユニオン陸軍士官3「索敵はどうなっているんだ?」

 

 

ユニオン空軍士官2「各方面に展開中です!」

 

 

高杉艦隊の攻撃地点を分析する為、電算機類も総動員させる。

 

 

CIA職員5「ホノルルからのスパイ情報によれば、サンディエゴ攻撃が濃厚だと。」

 

 

OSS職員2「いや、ロサンゼルス攻撃の線も捨てきれんぞ?」

 

 

ユニオン海軍長官「西部海岸に駐留するすべての哨戒艦隊を索敵に当たらせろ!それとカリブ海に展開中の第三艦隊に太平洋への回航を下令せよ!」

 

 

ユニオン陸軍長官「西部海岸すべての陸軍航空隊にも偵察を行わせるんだ!重爆を使っても構わん!」

 

 

ユニオン空軍長官「万が一の事もある!五大湖周辺の空軍飛行場にデフコン2を発令させておくんだ!」

 

 

 

やがて総合情報から、大洋州同盟海軍の狙いが「ロサンゼルス」・「サンディエゴ」と確信して、500キロ洋上に持てるの戦力をすべて集中して、三重四重の防衛戦を敷いて待ち受けた!

 

 

そして、また数日経過した…………

 

 

11月13日 昼過ぎ

 

 

この日、サンディエゴ沖に展開していた量産型軽巡洋艦の1隻が魚雷攻撃を受けて撃沈された。

 

この攻撃を受けてペンタゴンは敵の狙いがサンディエゴ攻撃と断定するが、未だ決めかねていた。

 

 

無論、この攻撃は帝の目を逸らさせるための陽動であった。

 

 

この時、高杉艦隊はメキシコ沖のココ島沖の東269浬に迫っていた。

 

これをユニオン陸軍の重爆撃機が発見するも、待ち受けていた電征によって撃ち落とされてしまった。

 

 

 

旗艦比叡 戦闘艦橋

 

 

エンタープライズ「どうやら、敵はこちらの位置を掴んだようだな。」

 

 

高杉英作「だが、もう後の祭りよ。今頃パナマ運河には、我が方の攻撃隊が押し寄せている頃だろうさ。」

 

 

 

高杉の予想通り、撃ち落とされた哨戒機からの最後の通信により、ペンタゴンは大混乱に陥っていたのだ!

 

 

 

ペンタゴン 作戦室

 

 

ユニオン空軍参謀「敵機動艦隊が、メキシコ沖にいるだとぉ?!?!」

 

 

ユニオン海軍士官1「では奴らの狙いは、ロスでもサンディエゴでもなく、復旧したばかりの『パナマ運河』だと言うのか!?」

 

 

ユニオン陸軍長官「もし再びパナマ運河を破壊されてしまったら、豪州は完全に孤立するぞ!!!」

 

 

 

ユニオン空軍長官『本土すべての空軍基地にデフコン1を緊急発令だ!!集められるだけの航空戦力を総動員させてでも、パナマ防衛に向かわせろ!!!』

 

 

ユニオン海軍長官『太平洋へ回航中の第三艦隊をコロンに急行させろ!!何がなんでも、パナマ運河を死守するんだ!!!』

 

 

 

ペンタゴンから怒涛の指示がユニオン全軍に指示が飛び、一斉にパナマ運河防衛に向けて動き出した。

 

 

パナマ運河防衛基地 上空

 

 

だが時すでに遅く、パナマ運河上空には高杉艦隊から発進した攻撃隊が大挙して押し寄せていたのだ!

 

運河閘門を雷撃するのは、【新鋭艦上攻撃機『蒼山』】であった。

 

蒼山は、前世でいうところの【艦上攻撃機『流星』】であり、前世大戦では量産体制が取られた44年には海軍空母機動部隊は尽く壊滅してしまっていた為に、体幹攻撃には用いられずにいたが、この後世ではその秘めた性能を遺憾なく発揮した!

 

 

何はともあれ、運河攻撃隊は対空砲火を潜り抜けて、運河閘門に雷撃を敢行!

 

瞬く間に閘門を破壊して、水位を保てなくなった運河は崩壊して、多数の船舶を巻き込んでパナマ運河は破壊された。

 

 

そして、コロンに急行していたユニオン第三艦隊も…………

 

 

リモン湾 海中

 

紺碧第2艦隊旗艦 伊602潜『黒岳号』

 

発令所

 

 

 

伊602聴音手:溝口拓男「…………敵艦隊、反転する気配なし。完全に運河防衛に気を取られている模様です。」

 

 

伊602副長:山中栄治「絶好の機会………ですな!」

 

 

伊602艦長兼紺碧第2艦隊司令長官:海江田四郎「よし、全艦機関停止!魚雷全門発射!」

 

 

 

リモン湾沖に待ち受けていた、海江田率いる紺碧第2艦隊の雷撃の餌食となったのだ。

 

この報告は、直ちにルーズベルトの下にもたらされた。

 

 

 

夕刻

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

ルーズベルト「なっ…………パナマ運河が?!」

 

 

大統領補佐官1「すべて破壊させました…………。それに、第三艦隊も雷撃により全滅と……。」

 

 

ルーズベルト「くぅ………………おのれ、大高め………!!」

 

 

 

うち続く凶報に怒り心頭のルーズベルトであったが、高野五十六必殺の弦月作戦の本番はこれからであった。

 

 

そして、その実行部隊である【紅玉艦隊】主力は、作戦実行地点『PL』に到達しようとしていた。

 

 

 

 

 

11月13日 深夜

 

カルフォルニア湾 沖合

 

紅玉艦隊旗艦 航空爆撃戦艦『米利蘭土(メリーランド)

 

同 戦闘艦橋

 

 

航空参謀「風上に艦を回せ!」

 

 

米利蘭土航海長「ヨーソロー!面舵30!」

 

 

米利蘭土操舵手「面舵30!」

 

 

元ユニオン所属:メリーランド「よし、やるぞ?川崎の旦那!」

 

 

紅玉艦隊司令長官:川崎弘中将(26)「おう。」

 

 

 

攻撃隊発艦に先駆けて、翔鶴型航空母艦の3番艦『紅鶴』と4番艦『白鶴』から成る【第6航空戦隊】から、電征隊が発艦していく。

 

 

 

航空参謀「電征の発進が完了しました!」

 

 

主席参謀「よぉうし!爆龍隊、発進準備に掛かれ!!」

 

 

メリーランド「格納庫シャッター、オープン!!」

 

 

紅玉第1艦隊の中核を成す『米利蘭土(メリーランド)』・『軽掘尼亜(カルフォルニア)』・『西処女阿(ウェストバージニア)』・『手音使(テネシー)』の格納庫シャッターが開かれ、その中から専用搭載機である「艦上特殊爆撃機『爆龍』」が姿を現す。

 

 

航空要員2「射出機、結合確認!」

 

 

航空要員1「よぅし!」

 

 

航空要員3「射出機、圧力弁開けぇ!」

 

 

航空要員4「発動機始動用意!」

 

 

シャッターが開き終わると爆龍が発進位置に押し出されていき、主翼を展開する。

 

 

航空要員6「射出圧力よし!」

 

 

航空要員5「始動用意よし!」

 

 

 

爆龍 コックピット

 

 

新人兵:白銀武少尉「いいか?訓練通りにやれよ?」

 

 

新人兵:御剣冥夜少尉「わかっている。」

 

 

 

新人ながらも手順を踏んで機体を始動させて、発進準備を整えていく。

 

 

 

航空要員2「射出機、圧力一杯!!」

 

 

航空要員1「射出用意よし!!」

 

 

メリーランド《1番機、発艦せよ!!》

 

 

 

白銀武『発進!!』

 

 

 

勢いよく射出された爆龍1番機は姿勢を安定させて、水平飛行に移った。

米利蘭土は間髪入れずに2番機の射出準備にかかる。

 

 

主席参謀「僚艦の状況を知らせ!」

 

 

メリーランド「そっちはどうだ!」

 

 

ウエストバージニア《今2番機を射出した!》

 

 

カルフォルニア《こっちも今終わったよ!》

 

 

テネシー《よし、2番機発艦!!》

 

 

ほぼ同時に僚艦からも爆龍が発進していき、米利蘭土からも2番機が発艦して、編隊へと合流。

一路、攻撃目標へとその足を進めた。

 

 

メリーランド「全艦、艦載機隊の発進完了!!」

 

 

主席参謀「爆龍8機は電征に護衛されて、攻撃目標へ向かいました。」

 

 

 

川崎弘「そうか。………旧怨からまさに矢は放たれた。我が同盟の命運はお前たちの働きにかかっている。だが………………必ず全員、生きて帰ってこいよ?全艦回頭、退避行動に入れ!」

 

 

メリーランド『取舵反転!全速離脱!』

 

 

 

紅玉第1艦隊はやることを終えると一斉に回頭、PL地点から退避行動に入った!

 

 

その頃、サンディエゴ海軍基地では紅玉第2艦隊による陽動攻撃が実施されていた!

 

 

 

ユニオン西部海岸都市 サンディエゴ

 

同 海軍基地

 

 

サンディエゴ軍港に空襲警報が鳴り響き、サーチライトが夜空を照らすとそこには、艦攻『春嵐』が猛禽の群れの如く襲いかかっていたのだ!

 

この攻撃は、紅玉第2艦隊から発進した攻撃隊であり、その目的は敵の目を爆龍隊から引き離すための陽動であったが、攻撃は徹底して波状的に行われ、サンディエゴ海軍基地と付近の空軍基地に『ン式弾』が、雨霰のように降り注いだ!

 

 

この攻撃を担当したのは、航空制空戦艦『筆汁芭近(ペンシルベニア)』・『根婆汰(ネバダ)』によるものであった!

 

 

 

ペンシルベニア「よし!第2射用意!」

 

 

ネバダ「改造されても、あたしらは戦艦だからね!やる時には徹底してやる!」

 

 

ペンシルベニア「撃て!!」

 

 

 

【ン式弾】とは、鉄血の【V2号ロケット】の推進機構と似ているが、同盟各国の技術陣が開発した『噴進弾』であり、射程1500キロを誇った!

 

何はともあれ、作戦はずに当たって、ユニオンの目を爆龍隊から逸らさせることに成功した。

 

 

その頃爆龍隊は、ユニオン本土奥深くに到達していた。

 

 

 

ユニオン本土 ニューメキシコ州

 

サンタフェ市郊外 上空

 

 

 

爆龍 コックピット

 

 

御剣冥夜「電征が帰投するぞ。」

 

 

白銀武「迂回してまで護衛し抜くとはよ。ありがたいもんだな。」

 

 

 

電征は、航続距離ギリギリまで爆龍隊を護衛し抜き、帰路についた。

 

そこへ何処からか発進してきたであろう『雷洋』4機が爆龍隊と合流を果たした。

 

 

 

速瀬水月中尉「後方、紅玉第3艦隊の雷洋4機が合流しました。」

 

 

挺身隊隊長:伊隅みちる大尉「ここまで無事に来られたのも、各艦隊の陽動作戦があってこそだ。それに報いるためにも、失敗は許されないぞ!」

 

 

柏木晴子少尉《大尉、見えました!リオ・グランデ・ゴージです!》

 

 

伊隅みちる「よし!ここを抜ければ、ロスアラモスまで目と鼻の先だ。いくぞ!」

 

 

()()()()

 

 

 

爆龍隊はレーダー発見を防ぐために、峡谷内を高速飛行。

一気にロスアラモスに向かうが…………

 

 

 

玉瀬美姫《こちら8番機!右舷後方から、敵戦闘機が3機接近してきます!》

 

 

速瀬水月「大尉!」

 

 

伊隅みちる「ヴァルキリー1から各機!いよいよ正念場だ、気を引き締めろ!」

 

 

鳴海孝之少尉「来るなら来い!蜂の巣にしてやる!」

 

 

 

爆龍隊の進撃を阻止すべく、付近の空軍基地から発進したP-51マスタング3機が追撃に入った。

 

同時に、ロスアラモス原爆研究所に空襲警報が鳴り響く。

 

 

 

ロスアラモス原爆研究所

 

所長室

 

 

警備員「博士!すぐここから避難してください!」

 

 

オッペンハイマー「何事だ?」

 

 

警備員「大洋州同盟の空襲です!」

 

 

オッペンハイマー「何?!」

 

 

警備員「これは演習ではありません!急いでください!」

 

 

 

そして、この報告は大至急ホワイトハウスにももたらされる。

 

 

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

大統領補佐官2「だ、大統領閣下!!げ、原爆研究所に大洋州同盟の攻撃機が向かっていると連絡が入りました!!」

 

 

 

ルーズベルト「くぅ……………!奴らの狙いは、ロスアラモスだったのか!!」

 

 

 

 

ロスアラモス 郊外

 

峡谷内 上空

 

 

 

ロスアラモス攻撃を阻止するユニオン機であったが、その見た目から「複葉機」と見間違えてしまい相手を甘く見てしまう。

 

この爆龍こそ、弦月作戦のために泰山航空工業が心血を注いで開発した【奇襲攻撃機】であった!

 

マスタングが攻撃した瞬間、爆龍はその奇怪な運動性能で容易く避けられてしまったのだ。

自身の目を疑ったユニオンパイロットであったが、再度攻撃してもすぐに避けられた上、旋回機銃からの反撃を受けて撃墜されてしまった。

 

 

負けじと残りのマスタングも攻撃を試みるが、その俊敏な運動性能で避けられて反撃を喰らい撃退されていく。

 

 

伊隅みちる「切り離すぞ!操縦を頼む!」

 

 

速瀬水月「了解!」

 

 

操縦席で何かを操作すると、不思議なことに爆龍の機体下部から小型の無人機が切り離された!

 

その光景に驚いたユニオンパイロットは、その無人機と衝突しそうになり避けるが、その隙を突かれて旋回機銃に滅多撃ちにされて追撃隊を全て蹴散らした。

 

 

伊隅みちる「貴重な飛行弾だ、丁寧に誘導しろ?」

 

 

速瀬水月「私はそんなに乱雑じゃありませんよ!」

 

 

 

爆龍のあの奇怪な運動性能も、このためである。

 

爆龍とは、それ自体に飛行能力を持つ【1トン飛行爆弾】を腹に抱えた、新思考爆撃機である。

 

 

ロスアラモス原爆研究所から退避するオッペンハイマーたちの頭上を、爆龍隊が颯爽と通過する様を見て………

 

 

 

オッペンハイマー「信じられん……!急げ!!ソドムの市民になりたくなかったら、少しでも離れるんだ!!」

 

 

 

峡谷内を飛行して数時間。

 

戦場に日が登り始めた時、爆龍隊は攻撃目標へと辿り着いた。

 

 

 

伊隅みちる「………!あれが原爆研究所か!全機、飛行弾を切り離せ!!」

 

 

宗像美冴中尉《2号機分離完了!》

 

 

涼宮茜少尉《3号機分離完了!》

 

 

築地多恵少尉《4号機分離完了!》

 

 

白銀武《5号機分離完了!》

 

 

榊千鶴少尉《6号機分離完了!》

 

 

鎧衣美琴少尉《7号機分離完了!》

 

 

鑑純夏少尉《8号機分離完了!》

 

 

 

伊隅みちる「飛行弾を撃ち込めぇ!!」

 

 

 

爆龍隊が飛行弾を切り離して、原爆研究所に撃ち込まれる!

 

対空砲火に晒されながらも見事攻撃は成功して、研究所から爆炎が上がる!

 

飛行弾が研究所に撃ち込まれる最中、雷洋4機からもダメ押しの爆撃が行われ、施設外にある変電所と送電施設を破壊して、研究所への電力供給を遮断したのだ!

 

 

この雷洋4機は、カルフォルニア湾湾口に進出していた航空護衛戦艦『亜利空奈(アリゾナ)』・『』を基幹とする、紅玉第3艦隊の搭載機である。

 

ロスアラモス攻撃を確固たるものにすべく、紺碧第1艦隊に守られながら秘密裏に本海域に進出して、雷洋隊を発進させて爆龍隊に合流させたのだ。

 

 

 

伊隅みちる「作戦は成功のうちに完了だ!長居は無用だ、引き上げるぞ!」

 

 

 

ロスアラモス原爆研究所攻撃を終えた爆龍隊と雷洋隊は全速で離脱していった。

 

攻撃隊が研究所から離脱し終えた瞬間、電力を損失して冷却装置を破壊された研究所では炉心が融解し直後、凄まじい閃光とともに水蒸気爆発が起こった。

 

 

 

鳴海孝之「うわああ!!な、なんだ!?!?」

 

 

速瀬水月「い、伊隅大尉………!!」

 

 

 

伊隅みちる『振り返るなよ!!全機!!海上に出るまで決して振り返るんじゃないぞ!!』

 

 

 

彼らのすぐ後ろでは研究所があった辺りから凄まじい閃光と水蒸気爆発が発生していた。

 

 

そして原子爆弾が炸裂して、半径2キロが完全に消滅した……。

 

 

この事態を憂慮したオッペンハイマーは、直ぐにルーズベルトに連絡を入れるのだった。

 

 

 

 

 

ユニオン首都 ワシントンD.C.

 

ホワイトハウス 執務室

 

 

 

オッペンハイマー《大統領閣下。我々のマンハッタン計画は、重大な危機に直面しました…………。》

 

 

ルーズベルト「報告は先刻受けた。私も深刻に事態を受け止めている…………技術者を救えたのが、不幸中の幸いだった。」

 

 

オッペンハイマー《はい。したがって再会は直ちに可能であります。ですが………1・2年の遅れは、覚悟しなければなりません。》

 

 

ルーズベルト「やむを得んだろう…………。」

 

 

 

そう言い受話器を戻したルーズベルトは、勢いよく机を叩き…………

 

 

 

ルーズベルト『大高め!!!今に…………今に見ておるがいい!!!』

 

 

 

これ以上にない怒りを爆発させて、大洋州同盟に対する憤りを露わにしたその時!

 

 

 

ルーズベルト「ぅう!!あ、ぁぁぁぁぁ………………」

 

 

突然の呻き声に補佐官たちが何事かと困惑するが、ルーズベルトが力無く椅子に倒れたことでことの重大さを認識してルーズベルトに声をかける。

 

 

大統領補佐官2「閣下!!どうなされました?!」

 

 

大統領補佐官1「大統領!!しっかりしてください!!」

 

 

声をかける補佐官たちだが、ルーズベルトはぴくりとも反応しなかった。

 

 

大統領補佐官2「医者だ!!医者を呼べぇ!!」

 

 

大統領補佐官1「か、閣下!」

 

 

 

そして、ルーズベルトの手が力無く垂れ………

 

 

 

《b》『閣下ーーー!!!』《/b」

 

 

 

執務室に補佐官の叫びが虚しく響いた…………。

 

 

平成13年11月14日、ワシントンD.C.時刻午前7時25分。

 

 

その日、第32代ユニオン大統領「ヘンリー・ルーズベルト」が没した。

 

 

死因は、【脳溢血】と発表された。

 

 

そしてここに、太平洋戦線は膠着状態となった…………。

 

 

 

 

EP3-3に続く・・・・

 

 




次回、鉄血と開戦す!
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