落ちてきた地球外高度知的生命体とヒーローやることになった件について   作:緑茶山

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第六章 幕間
断章-1「白と冬」


 

 話は少し遡り、ユーリたちがシベリアからワカンダへと連れて来られてすぐのこと。バッキー・バーンズが凍結される少し前のことである。

 たまたまスティーブとユーリが席を外し、シロとバッキーと言う妙な組み合わせがワカンダの一室に残されていた。

 もちろんワカンダの研究者や警備の人間もいるため、全くの二人(一人と一匹)きりという訳ではないのだが。

 お互いに、いわゆる〝友人の友人〟同士。二人の間に、妙な沈黙が流れた。が、それを破ったのはバッキーの方だった。

「礼を言うよ」

 そう口火を切ったバッキーに、シロは彼を見上げた。助けたことへの感謝ならば、今更改まって言うようなことではない。シロは首を傾げる。

 シロの訝しむ空気に気付いたのであろうバッキーが、微かに苦笑のようなものを浮かべた。

「シベリアの基地へ向かう時……きみが言っただろう。〝なんか〟なんて言うなって……救われた気がする」

 シロはバッキーの言葉で、その時のことを思い出し――小さく息を吐いた。

「そのことなら、礼はマスターに言うべきだ」

 バッキーは軽く首を傾げる。

「マスターというと、あの子か? ユーリって子」

 シロは「ああ」と頷いた。

「俺が、そのように考えられるようになったのは、彼女のお陰だ」

 バッキーはその言葉に興味をそそられた様子で、「何があったか聞いても?」と尋ねた。

 バッキーの問いに、シロは小さく笑った。

「なんてことない。マスターは二度、俺を助けるために命を掛けてくれた。それだけのことだ」

 一度目は地球で、ミルファン星の者に襲撃を受けた時。二度目はラシューカ星でレザンに拐われた時。

 どちらも彼女は魔法の力を失っており、シロを助けに来たところで思い通り助けられるかは分からない状況だった。

「俺も、お前と同じように思ったことはある。俺〝なんか〟のために、とな。俺なんぞのために、命懸けでやって来て、彼女はなんて言ったと思う?」

 シロはそこで一度言葉を切って、バッキーを見上げる。バッキーの顔は、シロへと向けられていた。

「〝きみと友達でいたいから、ここへ来たんだ〟と」

 シロクマの表情なんて分からないバッキーにも読み取れるほど分かりやすい、困ったような笑みを、シロは浮かべた。しょうがないやつ、とでも言うような顔を。バッキーもきっと、スティーブ()へ向けたことのある表情を。

「俺はその時、俺〝なんか〟ではなく、彼女の〝友〟となったのだ」

 ユーリはシロに――被検体番号しか持たなかったただの魔法核に、名前を与え、〝相棒〟とは違う立場を与えた。

 最初こそ戸惑ったが、今はそれが嬉しく、心地が良く、誇らしい。ただの呼称でしかなかった〝相棒〟は、名実ともにユーリとシロの関係を表す言葉となったのだと、シロは胸を張って言える。

「バーンズ、お前のこともそれと同じだ。出会ったばかりで友と呼ぶには気が早いかもしれないが、キャプテン()の友であることは変わりない。お前を助ける理由は、それだけで充分だった」

 それもこれも、マスターが教えてくれたことだ、とシロは続ける。

「だから、礼はマスターへ言うといい。俺のお前への言葉はすべて、彼女が俺に教えてくれたことだ」

 バッキーはシロをじっと見つめて、その言葉を聞いていた。そして頷く。

「ああ。そうする。けどやっぱり、きみにも言わせてくれ、シロ。俺はきみの言葉に助けられた。それは事実だから」

「……そうか」

 シロはバッキーの真っ直ぐな言葉に、言葉少なに頷いた。その様子は、シベリア基地へ向かうクインジェットの中で見せたユーリの照れた姿によく似ていて、バッキーは思わず口角を上げる。

 姿形は似ても似つかないが、彷彿させる雰囲気を持っているのは〝相棒〟だからなのだろうとバッキーは思う。

「……あの二人が戻ってくるまで、シロとユーリ、きみたちの話を聞いてもいいか?」

 バッキーは首を傾げた。

「ああ、いいぞ。どこから話そうか」

 シロは頷いて、相棒との思い出を頭に巡らせた。

 

 

 








あらためてこの話を確認して、2000字もなくてびっくりしました。(小並感)



 
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