落ちてきた地球外高度知的生命体とヒーローやることになった件について   作:緑茶山

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断章-2「ある男とその仲間と」

 

 レザンがキルン刑務所を脱獄して、〝ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー〟の仲間として行動するようになり、おおよそ四年の月日が経っていた。

 ガーディアンズのメンバーはそのほとんどが元お尋ね者だ。マンティス以外はレザンと同じくキルン刑務所に囚われていた脱獄仲間なのだから、当たり前である。

 脱獄後、ひょんなことから銀河の危機を救った元悪党の彼らは、良いことと悪いこと、半分ぐらいずつやりながら、宇宙を股にかけて旅を続けていた。

 今日もまた〝良いこと〟をするために、拾った救難信号の発信源へとやってきたのだが、そこにあったのは宇宙船の残骸と、すでに動かなくなった乗組員たちだった。唯一の生き残りであった大男を船内に運び入れたのが、つい先程のことである。

 マンティスによって目覚めさせられた大男は、食事を取りながら自身の乗っていた船に何が起こったのかを語った。サノス軍の襲撃を受けたことやら、なんやらと。そして思い出したようにハンマーを求め始めた。

 脱出ポッドを頂くと言って機械を弄り始め、更に冷蔵庫から食料を取り出す。それらを止めるクイルの――なぜか声を低くして言っている言葉もお構いなしだ。

 やがて話が進まないことに苛立ったガモーラが声を上げる。サノスを止めるため、サノスの足取りを追うべきだ、と。

「ノーウェアだ」

 男は言う。

 ノーウェアとは、惑星のことだ。天界人の頭部に作られた街。

 無法地帯となっているが、コレクターと言う変人が博物館を作っており、かつてガーディアンズもそこへ訪れたことがある。

「どうして、ノーウェアだと思うの?」

 ガモーラが尋ねた。

「ここ何年か、コレクターという男がリアリティ・ストーンをそこで安全に保管しているからだ」

「安全なもんか。コレクターに預けるなんて、大馬鹿のすることだ」

 男の返答に、クイルが返す。

 ガーディアンズがパワー・ストーンを持ち込んだとき、コレクターはなかなかひどい目に遭っていたと思うが、あれで懲りていなかったのかとレザンはある意味で感心した。

「でも、他の石を狙う可能性だってあるじゃない」

「石は全部で六つ。サノスはすでにザンダー星を滅ぼしてパワー・ストーンを奪った。俺からもスペース・ストーンを奪い、船を破壊し民の半分を殺した。タイム・ストーンとマインド・ストーンはアベンジャーズが守ってる」

 レザンは男の言葉を黙って聞いていたが、最後に出てきた単語にピクリと眉を上げた。

 アベンジャーズ。聞き覚えのある名だった。かつてレザンの馬鹿な計画を止めた少女も、同じ名を名乗っていた。

「アベンジャーズ?」

「地球のスーパーヒーローだ」

 クイルが聞き返すと、男が答えた。

「ではユーリ・タカムラは、君の知り合いか?」

 口を開いたレザンに、男がぱっとレザンを向いた。片方しかない瞳に、ちらりと光が瞬く。

「ああ、友人だ。お前は……そうか。お前がユーリの話していたラシューカの民か」

「ユーリ・タカムラが私について、悪い噂を話していないようで安心したよ」

「俺が聞いたのは、お前が宇宙を征服しようとしていたのを、ユーリたちが止めたという話だけだ」

 そう言いながらも、男はレザンに敵意を向けようとする様子がなかった。きっと彼女の伝え方が良かったのと、彼女に対する信頼の証なのだろう。

 レザンの過去を知っているガーディアンズの面々は、それを聞いて少々呆れたような顔をしつつも、驚くことはない。

「ソウル・ストーンの場所は、誰も知らない」

 男は石についての話に戻った。六つの石の場所全てはサノスも分かっていない。だからまずは他の五つすべてを集めるだろう、と語る。

「急いでノーウェアに行きましょう」

「いや、ニダベリアへ行くべきだ」

 ガモーラが言い、男が反論する。その星の名前はレザンにとって、噂程度に聞いたことのある名前だった。

「そこ、ほんとに存在するのか? マジかよ。伝説の場所だろ?」

 ロケットがテーブルの上に飛び乗って、聞き返す。

「確か、武器を作っているのだったか」

「それも、この宇宙をメッタメタに出来る、最強の武器をな」

 レザンが言えば、ロケットが補足した。

「行けるもんならぜひとも行ってみたいね」

 ロケットは挑発するように言う。

「このウサギ、お前らの中では一番賢いな。シロを思い出す」

「ウサギ? てかシロって誰だよ」

 訝しげにするロケットのことを気にせず、男は話を続けた。

「ドワーフのエイトリに武器を作ってもらう」

 そして男はちらりとロケットへ視線を向ける。

「あんたが船長か?」

「お前鋭いな」

「リーダーの風格がある。俺と一緒に行ってくれるか?」

「船長に聞いてみないと。待てよ、船長は俺じゃん! よっしゃ行こ」

「ありがたい」

 勝手に盛り上がる一人と一匹に、クイルが「船長は俺だけどね」と口を挟む。

「これは俺の船だ! 勝手に行こうとするな!」

 と、クイルはロケットたちを追いかける。

「そもそも、武器作るって、どんな武器だよ?」

「〝サノスを殺す武器〟だ」

 クイルの問いに、男は間髪入れずきっぱりと答えた。その雰囲気に、クイルは少し気圧されたような様子を見せる。

「……俺たちも、そんな武器を持つべき?」

「いや、お前らには荷が重い。体は砕け、心は錯乱する」

「そう言われると、持ちたくなる俺って変?」

「それはちょっと変かも」

 ロケットの軽口に、男は砕けた口調で返す。

 話を聞いていたガモーラが、真面目な声音で口を開いた。

「ノーウェアへ行くべきよ。サノスを止めなきゃ」

「そのためには武器が要る」

 ガモーラの言葉に対し、男は言い返す。ノーウェアか、ニダベリアか。二人の話は平行線だ。

 そこに、ロケットが口を挟む。

「こうすりゃ良いんじゃね? 船は二隻ある。それにアホタレもいっぱいいる。俺とグルートはこの海賊天使と行く。残りのアホどもはノーウェアへ行ってサノスを止める。どう? 決まり?」

「決まりだ」

 話がまとまり、ロケットとグルート、男が脱出用のポッドへと乗り込む。

 そしてレザンを含む残りのガーディアンズは、宇宙船の行き先をノーウェアに定めた。

 

 

 

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