変わり者のホド旅   作:benitubaki

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書き連ねてたらいつもの1話分になってたので分割
今回もオリジナルのエリアになります
地理的には未開拓区域(ハティ避難所)の更に光球側
※誤字修正(瑚→湖)


10話 上層 貯水湖

……ッッッぶはぁぁぁ~~ッ!! 緊張した~!

 

[おはよう、人形]

 

あ、さっきぶりですね。

 

[? 今度は覚えてたんだ。]

 

覚えてたというより、ここに来たら思い出したって感じですね!

 

[ふぅん……この領域専用の記憶領域を保持、というよりこの場の為の仮人格が作成された?]

 

[……その眼のお陰かな?]

 

?? 眼がどうかしました?

 

[いいえ、なんにも。今度は中層に行ってきたんだね。]

 

ええ。事故でしたがナズさんのお知り合いの方に会えましたし、いい土産話が出来ました。

 

あ、でもベルさんには言わない方が良いのかな……?

 

[さあ? 生きる目的を再確認させるのには丁度いい情報だろうけど。]

 

あーやっぱりそういう感じですか……。身のこなしや雰囲気が只者じゃなかったですからね~。

 

[そろそろ向こうに戻ったら? 身体、もう出来てるよ。]

 

あ、はーい。ではまた今度~!

 

[じゃあね、人形。]

 

 

-上層 貯水湖

 

-他の層へ還流される液体資源を一時的に貯蔵する、広く深い水槽が並んだ静かな湖

-それ以外の資源に乏しく大光球の直下という地理も相まって、哨戒部隊や領邦巡察士でさえも此処へ訪れる事は少ない

-槽の一部が損傷した事で巨大な滝が形成されている他、その付近には女王を持たない風変わりなニンフ達が棲みついている

 

 

……ッッッぶはぁぁぁ~~ッ!! 緊張した~!

 

しかし転んでもただでは起きないよ! そう、機械根が使えるなら直接上層に来てしまえばいい!!

 

見た感じ行けない場所あんまりないみたいだから、いっそのこと行っちゃえと思って飛んじゃった。直ぐ下に戻るけど、やっぱ生存報告くらいはした方が良いしね~。

 

急いで選んだから浄水層は探せなかったけど、リストには「上層」ってあったから近いはず……具体的にどの辺なんだろ? 水が大量にあるから浄水層エリアに近いのかな?

 

障害物の類は少ないから見晴らしはいいけど……いやマジで何もないな? てか、大光球が真上にあるってヤバいね。迂闊に上見たら目が焼けそう。

 

とりあえず浄水層と同じ高度なのは確定、けど距離は相当ありそうだな。仕切りまで行けばニンフが居そうだけど、こっちも遠いな……。

 

ていうか人っ子一人見当たらねえ! ……とりあえず折角開けた場所に来たんだし、慣らし運転しながら調査しよう。

 

・・・

 

ぶぃーんとな。

 

ぐるりと回ってみたけれど、マジで景色が変わらないね……でも向こう側から微かに水の流れる音がしたな。

 

もしかしたら何か面白いものが見れるかもしれない! 行ってみよう!

 

 

「あー暇っすねー。今日の演習(アルカンド定例哨戒との模擬戦)まだっすかね?」

 

「じきに通りがかるはずだ。ほらシャキッとしろ。」

 

「は~い……ふぁ……。

 

「全く、これで撃破判定喰らったら今日の補給は抜きだからな?」

 

「うひぃ、それは勘弁。じゃあ少しは真面目にしときますか(ピピピッ)おっ!」

 

「来たな。」

 

<<第八管制室よりスワロー隊へ、浄水層方面より管轄空域へ所属不明機の侵入を確認した。>>

 

<<こちらの呼びかけに応じないまま貴隊の方向へ直進している。ただちにスクランブル発進し対応に当たれ。>>

 

「こちらスワロー1、了解した。これより発進する。」「スワロー2、同じく了解、スワロー1へ続きます。」

 

キィィィ……ズォアアアッ!!

 

「……所属不明機だと? 今までそんな言い方はしたこと無かったはずだ。妙だな……。」

 

「向こうもアレンジ加えたくなったんじゃないんすかね? ま、会ってみりゃわかりますよ。なんなら空戦で確かめるって手もありますし~。」

 

・・・

 

ゴォォォォ……

 

「管制室、何か続報はあるか?」

 

<<ちょうど今入った。定点カメラの映像によると、所属不明機は非武装の模様。>>

 

「なんだと?」

 

<<鎧殻も普段とは違う。まるであり合わせの物ででっちあげたかのような構成だな。>>

 

<<まさか……亡命者とかそんなオチだったりしないっすか?>>

 

<<接触しない事には何とも言えんが、追手らしきモノは今のところ確認できない。まずは目視距離にてコンタクトを取れ。従わない場合は無力化しての捕縛も許可する。>>

 

「了解した。」<<了解~。>>

 

ゴォォォォ……

 

・・・

 

「……。」

 

<<隊長~、もしかして緊張してますかぁ?>>

 

なっ! そんなわけ……あるな。前例が無いというのは不安なものだ……。」

 

<<わかってるんならいいっすけどね。変にテンション上がって妙な事考えないで下さいよ~?>>

 

「言われなくとも。……見えてきたな。警告機動、縦列で最高速度を維持し横をすり抜けるぞ。

 

反応・状態・構成を確認したのちは、不明機が無線使用不能である可能性を考慮し、発光信号でコンタクトを取る。防風盾展開!

 

<<りょーかいっす!>>

 

 

キィィィィン……

 

EP消費、正常範囲内。速度89~93km/hで安定、姿勢制御に問題なし……。

 

いやー此処まで息継ぎ無しとは流石重量脚。積載が余ってるからなのかな、およそスペックの95%で飛んでくれてるね。もうちょっと落ちるかと思ってた。

 

修理のお陰で微妙なフレームの歪みも修正されてるし、直した部分に関していえば新品同様の状態なんじゃ……。

 

凄いなあ……私が修理すると大体ネジ余るんだよね。それ見るたびにイーデン凄い顔してたっけ。

 

今何してるのかなあ。近くまで来たけど会いに行けないって、なかなかもどかしい。

 

万全のTrius一式ならあそこからでも多分ひとっ飛びで壁まで行けたんだろうけど、混成だとかなり燃費が落ちるから迂闊に冒険できないんだよねー。

 

それにしても……なんも無さ過ぎるでしょ、ここ。

 

地平線?水平線?以外に地形らしいものが見えてこないんだけど!

 

まあ蟲やら砲弾やらが飛んでくるよりはよっぽどいいけどさ。

 

何回か通信ぽいノイズが走ったけど、この辺誰か飛んでるのかな? さっき気付いたけど、損傷の影響で通信の周波数合わせられないから確認出来ないんだよなあ……失敗失敗。

 

うーん、そろそろ引き返して反対方向も見ておくべきか……お?

 

正面から何かが近づいてk ギュゴッッ!! うおぉっ!? 凄い速度だ……! 今すれ違ったのは、二人か?!

 

ゴォォォォ……!!

 

うわ、もう戻ってきた。凄いな、まるでポロッカの飛行士みたいだ。

 

チカッ、チカチカッ

 

これは、発光信号? コンタクト取りたいのかな。符丁はアルカンドか、えーとどれどれ……。

 

<<……り返す。見えているか、所属不明機。こちらストーク第8防空飛行隊。見えていたら発光信号を返すか、手を振って合図しろ。>>

 

成程……発光信号は、使えないな。じゃあ、はーい! ブンブン

 

 

ブンブン

 

「<<……スワロー1、不明機の応答を確認した。>>」

 

「<<なお不明機には損傷が多数見られる為、修理及び補給を行う可能性あり。>>」

 

「不明機体、こちらの誘導に従え。従わない場合は武力で以て制圧する。」

 

ブンブン

 

「抵抗の意思無しと判断。<<管制室、8-53滑走路への着陸を要請する。>>」

 

「ガイド点灯確認。不明機体! 最寄りの滑走路まで案内する。こちらの誘導に従い飛行せよ!」

 

りょーかいっと、お、瓦礫が退いて……あれはガイドビーム? なるほど、水槽の仕切りは滑走路も兼ねてるのか。確かに丁度いいもんね。

 

「話が早くて助かる。着陸後は少し話を聞かせてもらうぞ。」

 

はーい。

 

 

キュゥゥゥ……

 

よし、着陸っと。

 

「貴官の協力感謝する。この空域の防空を担当しているスワロー隊の一番機、ライン一等空士だ。そして、」「二番機のデイル三等空士であります。」

 

「まずは貴官の所属と個体識別名を聞こうか。」

 

なんかさっきもこの流れあったな……。ええと、私はアルカンド所属のシーディです。

 

此処にコロニーがあるとは知らず、接近しすぎてしまったようですね。すみません。

 

「そこまで深刻に捉えなくていい。この辺りはまだ緩衝地帯だからな。しかし、アルカンドなのに我々を知らんのか?」

 

「まあまあ、ここは連中も滅多に近寄らない僻地でありますよ。シーディさん、でしたね。一体どんな目的でここへ?」

 

あー、実は……。

 

・・・

 

「ふむ、目覚めてからかくかくしかじかで、鎧殻のテスト飛行も兼ねて故郷に一報入れに来たと。しかも機械根の転送で。俄かには信じがたいな……。」

 

まあ、なかなか特殊な事情がありましてね。

 

「アレを使えるニンフが居たんでありますね。ていうか中層でよく無事でいられましたっすね? その血痕はその時の? 怪我は大丈夫でありますか?」

 

運よく話が通じる人に会えたんです。傷はもう塞がってるんで大丈夫ですよ。

 

「それも気になる話だが……まあいい。せっかくだし我らの拠点に寄って洗うなりしていけ。帰る前に汚れを落とさなければ、姉妹に余計な心配をさせてしまうだろう?」

 

あ~、そうですね、洗わせてもらえると助かります。でも余所者がいきなり訪問して大丈夫ですか?

 

「構わんさ。もとより暇を持て余しているようなところだからな。デイル、一報入れておけ。」

 

「りょーかいっす。<<スワロー2より管制室、客人を迎える用意っすよ。はい、アルカンドのシーディさんっす……わっ>>

 

「外部の者が来ること自体稀だから、みんな歓迎してくれるはずさ。まあ大したもてなしはできんが……。」

 

いえいえ、お構いなく。

 

「それに拠点には機械根が生えてるんだ。キミなら使えるんじゃないか?」

 

お、それは助かりますね。

 

「隊長、受け入れ許可出たっす。なんか向こう、えらく騒がしかったですけど……。」

 

「また技術屋どもが爆発させたんじゃないのか? いつものことだ、放っておけ。」

 

どこも似た感じなんですねえ。

 

「はは、恥ずかしい所を聞かれてしまったな。では出発しよう。しばらく飛ぶぞ、休憩したい時は伝えてくれ。」

 

了解です。案内お願いしますね。

 

・・・

 

キィィィィ……

 

……こっちの構成が半端ってのもあるけど、あの鎧殻の飛行能力凄いな……。

 

私の方もちゃんと90km/h出てるはずなんだけど、明らかに向こうが加減してくれてるのが伝わってくる。

 

防空が任務だって言ってたし速度第一に造られたんだろうね、直進型と飛行型の良いトコ取りみたいな形状してるし。

 

……なんだかポロッカ思い出すなあ。結局あの後、母樹やみんなはどうなったんだろう?

 

なんか知ってるかもしれないし、着いたら聞いてみようか。

 

 

ゴォォォォ……

 

(アルカンドのニンフと言ったな……。それにしては奇妙な構成だ。)

 

(連中は通常、一式ひと揃えで着用するはず。正規の部隊でなくとも、混ぜるのはせいぜい一部位くらいだ。)

 

(副腕も見たことのないタイプだし、何より匂いがアルカンドではない。)

 

(機械根を使って来た事と言い、コイツ、もしや種子じゃあるまいな……? もしそうならアルカンドに奪われる前に我らで確保したいところだが。)

 

(相談しようにも通信では傍受される可能性がある。降りてから直接長に進言する方が良いだろう……。)

 

 

ゴォォォォ……

 

(なーんてこと考えてそうでありますね、隊長。)

 

(一部には同意しますがね、いくら何でもコイツが種子はありえないと思うでありますよ。)

 

(名前を伝えた時の長の動揺っぷり、あれはコイツが種子だったという反応なんかではなく、もっと別の重要人物……。)

 

(それこそどっかの超お偉いさんという可能性の方がデカいでしょうなあ。もしそうだったら粗相した時がヤバいっす。)

 

(降りたら長に話しに行くでありましょうし、私もついてってフォロー入れときますかね。)

 

 

失礼します、教会長! 監視隊から至急の報告が……!

 

「騒々しいな、落ち着け。一体なんだというのだ。」

 

「ハ……口頭よりも見ていただいた方が早いかと。先程貯水湖方面の監視隊から上がってきた映像です。」

 

「どれ……。なに、機械根から出てきた……?」

 

「はい。不明機の出現場所は大光球に近くこれ以上の画質は望めませんが、構成は確認可能かと。」

 

「アルカンドの鎧殻の混成……いや、この副腕は……。この機体は今どこに?」

 

「少しの間機械根周辺を周回したのち、大瀑布方面へ飛び去ったとのことです。それ以上は領空侵犯の恐れがあった為追跡は断念しました。」

 

「当空域を飛行予定だった哨戒隊を待機させています。斥候として送りますか……?」

 

「いや、よい。通常態勢に戻せ。私が確認しに行く。」

 

教会長自ら!?

 

「機械根を使えるとなればそれなりの相手だ、もし戦闘になれば、哨戒隊程度では返り討ちに遭うだけろう。私なら撃破されても再構築が使える。」

 

「アレがどういう存在か私自身の目で見極めたいというのもあるが……大瀑布の止まり木にはしばらく顔を出してなかったしな。いい機会だ。」

 

「それと大断層からヴィシクを呼び戻せ、連れて行く。代わりに充てる戦力はお前が見繕っておけ。」

 

「畏まりました。」

 

・・・

 

(機械根の転送を使うとは、まさか種子か?)

 

(種子なら亡骸から剥ぎ取ってそのまま使うのが常であろうし、ごちゃ混ぜの構成も納得できる。)

 

(何よりあの副腕は姉上に贈ったTriusの試作型だ、見間違えるはずはない。もし姉上の亡骸から奪った物ならば「返して」貰わなければな。)

 

(種子だとすれば、止まり木の連中が確保に動いてるかもしれん。衝突は避けられるなら避けたいが、最悪は殺してでも奪い取ることになるか。)

 

(……いかん、頭に血が上っている……まずはアレが何者なのかを確認するのが第一だろう。)

 

(種子の目撃報告は百年前が最後だ。まだ生き残りがいたのか、それとも「襤褸屑殿」が目覚めたか。あるいはまったく別の何かか?)

 

(ここで考えていても仕方がないな。止まり木の長に話を通しておくか。)

 

「……久しいな、長よ。」

 

「何、十年ぶりに顔でも見に行こうかと思ってな……ふ、流石にこのタイミングは気付くか。」

 

「先程お前たちの所に不明機が向かったと報告があったのだ。ソレの鎧殻に見覚えがあるのでな、私自身の目で確認したい。」

 

「む、もう着くのか。ならば暫し足止めを頼む。」

 

「ああ、手土産も用意して行こう。出来るだけ引き留めておいてくれ。」

 

「ちなみにだが、ソレはなんと名乗った?」

 

……は?

 

「まて、それは聞き間違いでは、本当に……?」

 

すぐ向かおう。滑走路と網の用意を頼む。

 

 

ガヤガヤ

 

「スワロー隊、只今帰還しました!」「御客人は何処に通せばいいでありますか?」

 

「おかえりなさい二人とも。先に報告と着替えを済ませなさい。案内は私が引き継ぎます。」

 

「ハッ! ではまた後程。」「ごゆっくり~っす。」

 

「貴女がシーディさんですね? 私はこの町、ストーク(止まり木)のまとめ役をしているアイズです。以後お見知りおきを。」

 

こちらこそ、よろしくお願いします! いやあ活気がありますね……!

 

「ふふ、ありがとうございます。来訪者は珍しいので、皆一目見ようと押しかけてきたのです。」

 

ワー、アオイヒトダ、イロイロマザッテル、チェーブキナイノカ、ケガシテル?……

 

「……皆さん、そろそろ持ち場へ戻りましょうか。お客様は見世物ではないのですよ?」ズズズ……

 

ハーイ、ゾロゾロ……

 

「お見苦しい所を見せてしまって申し訳ありません。長旅であったでしょうし、長に会われる前に湯浴みの方を済ませましょうか。」

 

あっハイ。

 

・・・

 

「こちらが浴場になります。急速再生剤添加の薬湯ですよ、効果も促進剤より大きいと評判なんです。」

 

はぇ~、そんなものがあるんですねえ……。これはもしかして、さっきのスワロー隊の様な、見張りの人たちの為の?

 

「ええ、有事の際は個人用の修復槽ではすぐに溢れてしまうので……皆で話し合った結果、炭素生物の『温泉』というものを真似することにしたんです。」

 

温泉! 炭素生物が残した文献で見たことある! へぇ~これが……! ヌギヌギ

 

「お召し物をお預かりしますね。」

 

お願いします~。

 

「鎧殻はこちらでメンテナンスしておきましょうか?」

 

あ、そっちはかかりつけの方にお願いしてるのでそのままで……。

 

「畏まりました。さあさ、浸かってみてくださいな。」

 

それでは失礼、ふぉおおお……。

 

「かつて炭素生物たちは有事の際だけでなく、日ごろからこういった湯に浸かって身体の修復を行っていたそうです。」

 

日常的に使うのも分かりますねえ~、これは病みつきになりそう……。

 

「お気に召されたようで何よりです。それではごゆっくりお楽しみください。」

 

は~い……ふにゃふにゃ

 

 

「ライン一等空士、およびデイル三等空士、報告に参りました! 入室許可願います!」

 

「ん、入って良いよ。」

 

「は、失礼します!」「失礼しまーす。」

 

「んじゃ楽にして良いよ。二人ともお疲れ様。いやあ、初めての事態で緊張しただろう。」

 

「お心遣いありがとうございます。」「あざーす~。」

 

「早速本題だけど、今回の不明機……シーディさんだね。彼女の保護をしてくれてありがとう。」

 

「いえ、これも任務ですので。もしやお知り合いでしたか?」

 

「まだ直接顔を見たわけではないし、報告書にあった奇妙な匂いのこともあるから断言はできないけど……。」

 

「言動や容姿から見るにほぼ私の知るシーディさんで間違いないだろうね。もしかして、種子だと思っちゃった?」

 

「は、はい。もし種子であれば確保すべきと進言するつもりでしたが……。」

 

「やっぱそんなこと考えてたんすね~。」

 

「あははっ、まあ無理もないよ。今の時代、機械根を使える存在なんて生き残りの種子くらいしか考えられないし。」

 

「だけどキミの懸念は杞憂であると思うよ。だからそんなに気張らなくても大丈夫。」

 

「それにこれから行う身元の確認は、間違いようの無いもう一人も交えて行うからね。」

 

「は、彼女を知るモノが他にもいたのですか?」

 

「うん、イーデンが超特急でこっちに向かってる。」

 

!? アルカンドの教会長が!?

 

「なんか話デカくなってきたっすね……。」

 

「彼女とは旧知の中なんだけどね、さっきホットラインで話したら血相変えて飛び出したっぽくて、さっき滑走路に緊急着陸の対応部隊を展開させたところさ。」

 

「それでさっき慌ただしかったんすね~。」

 

「そういう事だから、後はこちらに任せてくれ給えよ。さ、君たちも湯に浸かって疲れを癒して来たまえ。以上、報告会終わり。」

 

「ハッ! 失礼します!」「お邪魔しましたぁ~。」

 

 

ほにゃぁ~……。

 

「シーディさん? あまり長風呂すると湯あたり(オーバーヒート)してしまいますよ。そろそろ上がりましょう。」

 

はぁ~い……。

 

・・・

 

いやぁ、良い体験させてもらいました。温めた水に浸かるのがあんなに心地よいとは……。

 

「ふふ、ご満足いただけたようで何よりです。先人(炭素生物)の知恵に感謝ですね。」

 

ですねぇ。服も直してもらっちゃって、ありがとうございます。いやー至れり尽くせりでなんだか悪いですね。

 

「いえいえ、この程度なんという事はないですよ。」

 

あ、私の匂いって取れました? なんか目が覚めてから行く先々で「お前変な匂いする」って言われるんですよ。

 

「匂いですか? ……う~ん、なんと申し上げたらよいのか……。」

 

あ、忌憚ない意見を聞かせて下さいね。別にそれで気分悪くするとかないので。

 

「では率直に申し上げさせていただきますと……若干ではありますが、昔会った種子を思い出す匂いがしますね。流石に先程までと比べれば弱くはなりましたが。」

 

あーやっぱり。完全には取れないかあ……。まあ薄くなったんならそれでヨシ!

 

「あ、ここがこの町の中心になります。こちらが機械根ですよ。」

 

ほんとだ。それじゃあ早速リンクしよう。

 

サァア……

 

「あら、花が咲いて……これが活性状態なのですね。」

 

うん、見た目にもわかりやすいよね。それにしてもこの状態変化はどういう原理なんだろうね~。

 

「興味深いですが……それはまた今度にしましょう。ここが長の執務室になります。」

 

お、着いた着いた。案内ありがとうねえ!

 

「いえいえ、どういたしまして。」




・主人公
またもや知らない所に飛び、そして温泉を知る
今エリアは大光球のほぼ真下なので超明るいが、時間帯で光量が変わるので夜はしっかり存在する
温泉をいたく気に入ったがすぐ逆上せてしまうので、長くても十分程度しか浸かれないのが悩み

・ライン
オリジナルニンフその1 堅物枠 実力は確かでアルカンドとの模擬戦では非撃墜数0のエース
リターンよりもリスクの方に重きを置く思考の持ち主
長髪のお陰か冷却性能が高く、存分に思索に耽るので一時間は入りっぱなしの長風呂派

・デイル
オリジナルニンフその2 不真面目枠 実力はあるが職務態度のせいで万年三等止まり
楽観的で深く考えることは少ないが、洞察力と直感力で致命的な危機は回避してきた
温泉は嫌いではないが、廃熱異常の耐性が異常に低い体質のため、水風呂の方が好き

・アイズ
オリジナルニンフその3 委員長枠で糸目キャラ 実はこっそり役得&眼福してた
通常型だがまとめ役として長年経験を積んだ結果、並の戦闘型にも劣らない圧(薄目の眼光)が使えるようになった
温泉に入るより背中を流してあげる方が好き

・長
オリジナルニンフその4 町の代表者 イーデンとは気心の知れた仲
元は戦闘型で戦場をビュンビュン駆けていたが、現在はとある事情により事実上の引退状態
温泉の発案者であるが、上記の理由で頻繁には入れないので、アイズによく拭いてもらっている

・イーデン
予定より早い出演 言わずと知れた本編の大体元凶 原作との相違点はシスコン気味であること
その為本作に於いてイーデンが成した事の大半は原作と理由が異なっている
温泉はシーディと同様にオーバーヒートしやすく、頭が鈍るのでそんなに好みではない

・ヴィシク
名前だけ先行登場、半分オリジナル
大断層の防衛力の要を担っているらしい
温泉好きだが、赴任先の大断層はそういう施設がまるでないので哀しい
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