研究室の光景のイメージは開発中のXとかZEROとかのアレ
「さて……では
「ッと、危ない。ネットワークから完全に分離した端末で無ければ、迂闊に覗けんからな……。」
「私も一度バックアップしておくか。
「……よし、では始めよう。」
・・・
(表層は一見すると変わっていないが、やはりところどころ手が加えられているな。このプログラムの癖は私の物ではない。)
(姉上が自覚していないだけであちこち書き換わっている。あるいは自覚できないように仕組まれているか。)
(戦闘システムの項目が嫌に充実している……まるで戦闘型ではないか。ここまでの物を入れた記憶はないぞ。)
(……ストークで話を聞いた時から疑問だったのだ。例え鎧殻のサポートがあったとしても、それだけで元霧に勝利するなどあり得ん話。)
(姉上の戦闘センスの問題もあるが、あの頃の私が組んだモノでそこまでの事が出来るとは思えん。)
(機械根を使い、あまつさえ
(……やはりな、以前種子を解析した時に見た構成と同じだ。ニンフと違い嗅覚に頼らせない、聴覚・視覚情報での反応に特化したもの。)
(シェオルは種子関連の情報に接触して自我を持っていかれた。姉上はホドのシステムに『修正』を受け、戦闘プログラムを仕込まれた。)
(やはり向こうは、ネットワークにアップロードされた情報だけでなく、アクセスした端末にも干渉できる。)
(本来であれば
(だが現実にはこうやって自由に活動出来ているし、機械根すら好きに使わせている。何か意図があって見逃されているはず……。)
(何か手掛かりがつかめればいいが。)
・・・
(結局システムファイルからは痕跡以上の物は出なかったな。流石にそこで尻尾を掴ませるほど杜撰ではないか。)
(となると記憶領域を見るしかないが……。流石に未確認ファイルが大量にあるわけもない。話を聞くに、目覚めてからまだ一日も経っていないからな。)
(……は? なんだこれは、私が干渉できない使用領域が増えているだと?)
(あり得ん、
(だが疑惑は確信に変わった。姉上の記憶には《ブラックボックス》が存在する。これこそが干渉された証拠となる。)
(ならこれさえ開くことができれば、ホドに何が起きているのかだけでなく、奴が何を企んでいるかも分かる筈だ。何とかして思い出させる方法はないものか……。)
(……いや待てよ? なにもこちらから開けてやる必要はないではないか。)
(そもそも本当に隠しておきたいのならば、こんなブラックボックスなどという形で証拠を残さずに消去してしまえばいいのだ。なぜそれをしない?)
(まさかとは思うが、ネットワークで奴と接触しているのではないだろうな? そうだとすれば此方に残しておいているのも納得だ。機械根を使う度にバックアップを捻じ込むよりは、違和感を減らせるだろうしな。)
(案外思い出させるのが目的なのかもしれん。あえて見逃されているとするのならば、そのうち姉上が望んで開示される可能性もある。少なくとも此方で強引に開けるよりリスクは低く済む。)
(……ふむ、ならば思考を誘導する為にいくつかプログラムを追加しておくか。誘導の強度はあまり高くない方が良いだろう、あまり露骨だと記憶を削除されてしまうかもしれんからな。)
(念のためログ転写プログラムにも一つ仕込んでおくか。)
(炭素生物がスリープ中にたびたび見たという『夢』。それに近い形で断片的にでも覚えさせておけば、いずれ情報を引き出せるようになるだろう。)
(よし、これであとは機を待つのみだ。次は……。)
・・・
(ん? 封印した記憶にアクセスした形跡がある……?)
(外部からではない。姉上自身が思い出そうとした?)
(いや、それはあり得ん。どちらかというと、外部からの刺激で思い出しかけたといった方が正しいか。)
(奴の残骸を見たからか? 炭素生物は記憶喪失になっても、何かのきっかけで全て思い出すことがままあったらしいからな。)
(んん? 封印が一部解けているだと?)
(どの部分を思い出したか聞き出したいが……連鎖して要らん事まで思い出させてしまうかもしれん。)
(封印措置も姉上の身を案じてのものだったが……今の姉上に影響が無さそうなら、敢えて思い出せるようにしておくのもいいかもしれんな。)
(ならば再封印はしないでおこう……あとは姉上の判断に任せる。情報収集は捗らんが、これ以上のリスクは抱えるべきでない。)
(……あれから数百年。当時の影は無くなったが、心の傷が癒えたかどうかは本人でも分からんしな。)
(さて、この判断が吉と出るか凶と出るか……。)
・・・
(最後に記録映像を見てみるか。何か有用な情報あればいいが。)
(たった一日分なら、目覚めてからの全てを見ても余裕はある。)
・・・
──中央大空洞──
(ここは、種子のプラントか? 崩壊が進んでいるが無事なものも多いな。)
(いきなり収穫だな。これなら十分な数の種子を採取できるかもしれん。)
(あれはギプロベルデの生き残りか。あ、おい! なに売り払ってるんだ! 一応機密装備なんだぞ!? ……落ち着け、今は手元に戻ってきているではないか。ふぅ……。)
(は? バルムングを二本同時に使うだと!? 弾かれて自分に当たったらどうするんだ! ええいなぜ正面から向かっていく!)
(
(……こんな早く身分をバラすとは、穏健な思考の持ち主で命拾いしたな姉上……はぁ。)
(何、偽装壁だと? 下の研究室以外にもアレを展開しているエリアがあったのか。あっおい早く逃げっ……何をやっているのだ……。)
(そんな抜け道が。なるほど、これは上層も一斉点検させた方が良いな。)
・・・
──聖智廟──
(ミラに見に行かせた時よりも荒廃しているな。)
(こうなると偵察兵についでで行かせるのは難しい。防疫チームも編成する必要があるか。)
(あっ、墜落しかけているではないか! まったく、拾い物を使う時は十分点検してからにしろと言っておいたのに……!)
(あぁあぁ、そんな乱雑に部品を置いたら……やっぱり一か所ネジ止めし忘れてるじゃないか! よくそれでここまで戻って来れたものだ!)
(ギプロベルデの生き残り……ベルと言ったか。やれやれ、借りが出来てしまったな。姉上が下に向かう時は何か持たせてやるか。)
『来た』「ッ!?」
(何だ今の声は? う、襲撃!? これがあのナズの罠か。なるほど、物欲に目が眩んだ者を背後からというわけだな。)
(なんとか逃げおおせたか。あれはナガラの生き残り……ああ、ミラが接触したという見境無しか。)
(……一応現地の者であれば話は通じるのだな。だが、かなり思考汚染が進んでいる。異形のせいというよりは、鎧殻の意志が強まっているせいか。)
(墓荒らしと間違われてもつまらん。回収チームを向かわせる時は別のルートで行かせる方が良さそうだな。)
・・・
──禁域──
(此方も酷い有様だな。ッと、なんという砲撃だ。巡礼達の報告にもあったが、あの巨大な砲弾をこの精度で放てるとは……まるでギプロベルデ鎧化兵のようだな。)
(成程、上から攻めるのか。確かに下を進むよりは安全かつ確実だろう。)
(む、あれはCelpek。なるほど、あの時通信で落としたと言っていたのはここだったか。)
(降積地帯のゲート……これもナズの罠が敷き詰められている。よく気付けたものだ。)
(囮に夢中になっている隙に視界外を進み真上から奇襲か。アレの射角は上にはあまり取られていないのか?)
(なんと、あの蟲以外は残るのか。しかもしばらくすれば再配備だと? ……ふむ、厄介だな。)
・・・
──vsナズ──
(決着を付けるつもりか。リコンを飛ばして地形調査……はさせてくれんようだな。流石に目が良い。)
(なんだその飛行は、まさか自分を囮にしてるんじゃないだろうな……。む、Celpekで全方位射撃か。タイミング合わせまで……変なところで器用だな姉上は。)
(そして全てブラフと。流石に向こうもソレだけで決まるとは思っていないだろうしな。『違う』 まただ、なんだこの声……下から狙撃?)
(何故そのような安い挑発に乗るのだ姉上『アイツだ』……やはり聞こえる。姉上の声ではない。)
(この声、聞き覚えがあるような……? な、アレに対して正面から仕掛けるとは何を考えているのだ! ああもう返り討ちではないか!)
(しかも寄生体が集まってきていることに気付いていない……! これではど真ん中に突っ込むぞ! ……まさか、鎧殻の影響を受けているのか!?)
『痛い』『まだ』『殺せ』
(ッ思い出した! この声は先月巡礼に向かったコルダか! 姉上が身に着けていたFols-MBは奴の物だったか……!)
『動け』『武器が使えルなラ』『アイツヲ仕留メロ!』
(何、更に突撃だと!? 何を考えて『ギィッ!!』う、なんだ!? ……足を縫い付けた!?)
『奪え』『殺せ』『やり返せ』
(これは間違いない、鎧殻の精神汚染だ! コルダの鎧殻が姉上を乗っ取って……!)
(いかん、これ以上は私も引っ張られるかもしれん……!)
『殺せ』『奪い返せ』
(ええい、たかが映像記録でもこれだけの負担か! 姉上はどうやって戻ってきたのだ!?)
『殺す!』『バラしてやる!』
「ク、ぬぅ……!」
『トドメだぁああ!!』
(なんて強い遺志だ、こっちまで影響されそうになる……!)
───無理しちゃダメだよ
「!?」
(なんだ、頭が軽くなった!? それに、今の声は姉上の!?)
(だが少し、少しだけ声色が違う……まるで
───こっちはいいの?
(あ……いかん、映像の確認をしなければ……。)
(決着は……もう着いたか。流石の姉上も、鎧殻の影響を受けて少し動揺しているな。)
(無理もない、熟練兵でもあの現象には難儀するのだ。)
・・・
──中央大空洞──
(……またここか。ん? ヤシカとムシカ? 何故あの者らがプラントに?)
(呼ばれた? あの襤褸屑にか?)
(そういえば機械根を弄ろうとした後から様子がおかしかったな。あの時既に干渉されていたか。)
(これから産む種子に支援させるつもりで呼んだのか?)
(次があるとは思えんが……念の為に、機械根へ不用意に触れるなと通達を出しておく必要があるな。)
(さっきの
(権限付与……この車両も奴の差し金か。ふむ、此処で姉上は機械根のアクセス権限を得たのだな。)
(そういえば、ブラックボックスの一つはこの時間帯のものだったな。となると……。)
(やはりな。訓練シミュレータは戦闘用プログラムが無ければ使用できんから、このタイミングで弄られたのだ。)
(…………懐かしいな、あの時から変わっていない……。む? 奴は全く活動していないではないか。てっきり片目くらいは取り戻していると思っていたが、どういう事だ?)
(残骸にアクセスしたことで姉上は何かを思い出しかけたか。流石にアレを目にすれば引っ掛かりを覚えるだろうが、出来過ぎているな。)
(鎧殻の修理か。……ヤシカが螺子が無いことに気付いたな。まったく、苦笑いされているではないか……。)
(秕を取り出した? あの双子、そんなことも出来たのか。)
(これで試験飛行に行くという訳だな。……オイ、何か転送先多くないか? 以前の姉上はそんなに各地へ飛び回っていたのか?)
(あっ、そこは中層だぞ!)
・・・
(ここはガーディナの中枢ではないか……。流石に突っ込むのも疲れてきたぞ。)
(凄まじい防御陣地だな。ギプロベルデから接収した物をひたすら並べている感じにも見えるが。)
(は!? 足を滑らせてッ……、何をやっているのだ姉上……。)
(このガーディナ兵、随分気弱な性格をしている。連中は全て好戦的なものばかりと思っていたが、この個体が特別
『……貴様、その銃を向けているのが一体何者なのか、分かっているのか?』
(ん?)
『……お前達ニンフに、鎧殻という力を与えたモノだ。』
(ッッ!!?)
『っっっでぇええええああああ!!! 超痛い!!!! 早く治りきって!!!!』
(……ただの偶然か……? いや、そうであってほしい。)
(あのニンフの怯えようを見るに、気弱だったからというだけではないだろう。姉上の脅しが十分すぎるほど効いた結果だ。)
(問題は何故それが効いたのかだ。まさか本当は全て思い出しているのでは……いややはりそれはない。)
(……どういうことなのだ……?)
・・・
『動くな。』
(この声、
『ならば特徴を話してみろ。』
『えーと、ギプロベルデの鎧殻と素体使ってて…………
(……待て、これまでの記録映像にそんな特徴を聞いたシーンはなかったぞ。)
(これは思ったより状況が複雑そうだな。恐らくさっきの証言は自分の記憶ではない。ホドが収集したデータが姉上の記憶に補填された可能性がある。)
(となると、
(もはやコソコソする必要もないな。あとで姉上のTriusに私の仮人格を仕込んでおこう。転送でネットワークに繋がった時に奴が接触してくるはずだ。)
(私を消すつもりならもう実行されているはずだ。私が気付くように痕跡を残したという事は、誘っていると見ていい。)
(ならば乗ってやろうじゃないか。貴様の腹の内を探ってやるぞ、NEMA。シェオルの事も聞き出せれば尚良い。)
(……ふむ、これでストークへ転送されたという事か。この部分は見る必要はないな。)
・・・
(これは直近のものか。確かギプロベルデの情報があるんだったな。)
(ここか。…………ほぉう。)
(ギプロベルデ崩壊に前後して禁域に現れたという超大型砲台。そして陥落したあの日、前線の遥か後方でミラの記録映像に一瞬だけ映った謎の巨大な物体。)
(まさかこれが同一のものだったとはな。)
(結局アレ以降はどのシーンでも確認できず仕舞いで、ただのノイズだと結論付けていたが、早計だったか。)
(禁域に落ちて虫に乗っ取られていたなら下層産の異形と思われてもおかしくはない。)
(なるほど、巡礼が禁域に行きたがらないわけだ。)
(ギプロベルデ産の兵器となれば絶大な物理火力と精密な狙撃がセットのはず。Folsでは良い的だろう。)
(やれやれ……知ってしまった以上は、何かしら公布しなければならんな。あとで文書をまとめておくか。)
(しかし、あの技術……詳細は分からんが、自動機械とは違いそうだ。まさかシャーレと
(これは是非とも
(そうと決まれば準備を済ませてしまおう。)
・主人公
絶賛爆睡中 記録映像視聴中に響いた声に自覚はない
謎が減ったかと思いきや増えた
勘の良い人は正体に気付いたかもしれないけど、本編で明かされるのはまだ先
・イーデン
姉に色々仕込むマッドサイエンティスト
なお同じノリでシェオルやレーム、ヴィシクらにも改造を施してきた
ちなみにこの三人はモルモット扱いでそうしたのではなく、ちゃんとした理由と背景がある
・Folsの秕
記憶にまでこびりつく怨嗟の声
主人公が
なお今もヤシカムシカの手の中で元気に騒いでいる(ナズが近くに居るので)
・NEMA
転送の度にシーディが会っているネマ様っぽいひと
少なくとも敵対者ではない
綴りから見て分かるように、刺さってる方とは別人格(あっちは「Nehma」)だが、イーデンはその辺りの区別が曖昧な様子