変わり者のホド旅   作:benitubaki

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オリキャラ二人に設定が盛られましたが、全公開にはまだ早いのでチラ見せ程度


19話 貯水湖

「……とまあ、世間話はこれくらいにしておいてだ。キミにちょっと会わせたい子が居てね。」

 

あ、それがイーデンが言ってたサプライズって奴?

 

「うーん、サプライズって言えばサプライズになるのかな……?」

 

「というのも、これはあの子達が言い出した事だからさ。」

 

え? 私に会いたい子が居たの?

 

「それが居たのさ。私も予想外だったからびっくりしちゃってね。」

 

「さ、もう出てきていいよ、二人とも。」

 

二人?

 

「許可確認。失礼します。」シャッ

「同じく失礼します。」

 

おお? おおおお??

 

(ふぉぉっ、赤黒のぴっちりスーツにところどころ装甲部分と、手足のあれは鎧殻装着用の分割か……!?)

 

(チラ見えする素肌が文献で見たガーターストッキングとか長手袋を連想させてすごくふぇちぃ……!)

 

「紹介しよう、うちの防空飛行隊の一つで後方防空担当『ネスト』の二人だ。赤髪が『ナイン』、白髪の方が『エイト』だよ。」

 

「……よろしくお願いします。マスター。」

「よろしく。」

 

ナインちゃんに、エイトちゃんだね。私はシーディだよ、よろしくね!

 

……って、『マスター』?

 

「うん、そうなんだよ。昨日の流れ星で君がナインに特別票入れた事を話してから、ずっと『マスターに会わせろ』の一点張りでね。」

 

「マスターって何って聞いても答えてくれなくてさ……。」

 

そ、そうなの!? ええと、ごめんなさい。なにか接点ありましたっけ……。

 

どうやら覚えてないようですよ、ナインさん。

……。」シュン

 

わわわ、そんなに落ち込まないで、ねっ? ねっ? ほら頭撫でてあげるから元気出して! よしよし。ナデナデ

 

「……いえ、お気遣いは無用です。」グイ

 

あう。拗ねちゃった……。

 

「済みません、少々取り乱しました。それでは本題へ移ります。」

 

「うん、そうしてくれ。」

 

「まずは先日の投票ありがとうございました。お陰さまでこうして御目通りが叶いました。」

 

うん、昨日の飛行は見事だったよ!

 

「マスターはナインさんの光波ブレードに興味がおありなんですね?」

 

そうそう! 勿論君たちにも興味が湧いたところなんだけど……あの武装、他のコロニーでは見かけない代物だったからね!

 

「それもそのはず、この武器は形からして普通の近接装備じゃないんだ。ナインのコレは、腕を丸ごと挿げ替える方式の特殊な武器でね……やって見せてごらん。」

 

「はい。」

 

パチンパチン パシュン ガチャ

 

シュゥン……カチン キュイキュイ

 

「今ご覧いただいたように、装着するには機動外肢と似たハードポイントを上腕に設ける必要があるのです。」

 

はえ~~腕が丸ごと……。さしずめ武器腕ってとこかぁ。

 

「こんな構造見たことないよね。私たちは腕にハードポイントなんてないし。」

 

ナガラやヘイデンとも違う技術系統なのかな?

 

「ヘイデンは四肢を武器化はしないし、ナガラは肩から丸ごとだから、どちらとも癖が違うんだよね。そもそもアレらは脱着式じゃないし。」

 

となると、下層か中層の滅亡したコロニーの技術なのかなぁ。興味深い……これ発振器は手の甲と指先どっちも? 近接ってことはやっぱりナガラに関係が…………

 

「(……これ教えた方が良いんじゃないですか?)」ヒソヒソ

「(忘却の理由にもよる。忘れたくて忘れたのならリスクは無視できん。)」ヒソヒソ

 

「(だがそれよりも……。)」ヒソヒソ

「(はい……。)」ヒソヒソ

 

「……ん? どうしたの、二人でコソコソ話して。」

 

なんか気になることあった?

 

「……いいえ。ただ、忘れていても根本は変わらないものだな、と。」

「これ、貴女の作品なんですよ? これだけじゃない、私達自身も貴女の手によって造り出されたものなんです。……本当に覚えてないんですか?」

 

え゛!?

 

「……驚いた、でも言われてみれば確かにブレードのデザインはシーディの癖が見て取れるね……。」

 

ちょちょちょ、その話もっと詳しく!!

 

……これ以上の情報開示を拒否します。

 

な、なんでぇ!?

 

「私達の事が蔑ろにされていると感じたからです。私達の事を思い出していただけるまでは、これの開発経緯はお話しできません。」プイ

「あーあ、残念でしたねマスター。」

 

あうぅ……ごめんねぇ……!

 

「正直言って、私もガッカリしてます。投票してくれたと聞いた時は、顔くらいは覚えててくれてるものだと思ってましたしね。」ムスッ

 

「完璧に忘れてるどころか呑気にアイズをナンパしてるなんて、破廉恥にもほどがありますよ。」ジトォ

 

ごめんなさい……本当にごめんなさい……。

 

「こらこら、アイズの件は私も同意だけど記憶がないことをあんまり責めちゃ可哀そうだよ。それに私もシーディとは長い付き合いだけどね、これまで君たちの話は聞いたことが無かったよ?」

 

「……。」

「……。」

 

「そもそも君たちはいつシーディに関わったんだい? そのくらいのヒントはあってもいいだろう?」

 

「……そうですね。手探りで思い出せというのも酷でしょうから、出血大サービス特大のヒントを差し上げましょう、ええ、誠に不本意でありますが。」

 

そ、そんなに……でもありがとう~!

 

約5,300,000時間。

 

ゑっ?

 

「約530万時間。これが、この身体で活動開始してから刻んだ経過時間です。」

「私の方はそれに少しプラスしますね。実は私の方がお姉さんなんですよ。」

 

え? え? それって、貴女達を造ったタイミングともいえる感じ……?

 

「そのように捉えていただいても構いません。」

「いや改めて言葉にすると実感が湧いてきますね。それで忘れてたとか酷くないですか?」グサグサ

 

ひぃん……ごめんよぉ……。

 

でも、えー、ひぃふぅみぃよーいつむー……ろく!? ろっぴゃくぅ!?!?

 

「600年って、ホド歴よりも遡るというの!? 下手したらアーヴドも成立していない時期じゃないか! 大丈夫!? 桁間違ってない!?」

 

「稼働時間を間違えるほど耄碌はしていません。これが真実です。」

「その大半を、与えられた使命を果たすために費やしてきたんですよ?」

 

使命……!?

 

「もうヒントは出しません。ご自分で思い出してください。何万時間かかるかは知りませんが。」

「まー、私からあえて出すとするならば……『ここ最近(直近100年位)は使命関係なく生きてます』って感じですがね。」

「エイト。」

「良いじゃないですか、あのままだと絶対答えに辿り着かないですよ。」

 

600年前……100年前……??

 

「お喋りはここまでです。面会時間も終わる頃ですし。」

「全く肩透かしも良い所でした。……でも元気そうで安心しましたよ。あの時の貴女は酷い有様でしたからね。」

 

「シーディが、そんなことに……?」

 

「正直に言うと……あの頃の貴女を知っている身としては、私達の事を思い出して欲しい気持ちと、思い出さずに居て欲しい気持ちの両方があるのです。」

「どっちを選ぶかはマスター次第ですけどね。もし思い出したんなら一番に私たちの所へ来て下さい。」

 

「使命に生き使命を果たし続けた我々に、一言でいい、心からの労いの言葉が欲しいのです。」

「それさえ約束してくれれば、後は何も言いませんよ。」

 

……うん、頑張って思い出すよ……!

 

「期待せずに待っています。それでは。」

「レーベン1、レーベン2、これより哨戒に戻ります。」

 

「う、うん、お願い。」

 

シュン ザッザッ シュン

 

……あれ? 面会時間まだ余裕あるけど、もういいのかな。

 

なんだか、起きてからずっと驚いてばっかりだよ……。

 

「本当にね。しかし、あの二人にそんな過去が……。そして君にも。」

 

「女王でもないのにニンフを造った? 意味が分からないな。」

 

まずったなあ……。

 

「どうかしたの?」

 

いやね、600年前って記憶が曖昧で、今思い出せることも含めて果たして本当にそうだったのか、未だに確証が持てない部分なんだよ……。

 

アーヴドに合流して以降ははっきりするんだけど……それ以前がどうやって生きてたのかすら……。

 

「産まれた瞬間の事も分からない感じ?」

 

その辺になるとほぼ記憶に残ってないんだよね……。

 

「やれやれ、君が私よりは年上だと知ってたけど……まさかアーヴドの女王と同年代かもしれないのか? 一体君はいつの時代のニンフなんだい……?」

 

「イーデンはこのことに関して何か知らないの? 姉妹なんでしょ?」

 

うーん、前に聞いたことあるんだけど、その辺りの話になるとぼかされたりはぐらかされたりで、教えてくれなかったんだよね……。

 

「知らないとしらばっくれるんじゃなく、はぐらかすか。イーデンにとっても判断に困る部分ってことなんだね。」

 

直接聞きに行ってもまたはぐらかされるだろうし、こっちで証拠探しと記憶の復元を試みるしかないかー。

 

ねえライエ、あの二人ってどこから来たか知ってる?

 

「何処から来たかねえ……イーデンが一戦交えてからこっちに連れて来たってのは聞いたけど……。」

 

「ああ、そうだ。彼女ら『下から順番に周って来た』って言ってたな。という事は下層の出身……もとい、下層で君に造られたってことなんじゃない?」

 

やっぱりそうだよね……それに使命ってのも気になるな。口ぶりから察するに結構な大仕事、それこそホド全域を周るようなこと……。

 

ああもう、なんでそんな大事そうなこと忘れちゃうかな私ィー!

 

「ふむ……しかしそう考えると相当の手練れだね、あの二人。ナガラやギプロベルデとも戦ったことありそうだ。」

 

そうだ、戦い方の癖とかは知ってる?

 

「いや、残念だけど分からないな。此処に来てからは武装の特性の違いもあって演習には参加してないし、流れ星の時の様な「全部の装備を同時に使いこなす」くらいしか知らないんだ。」

 

そっか……じゃあ手の内を見せてないともいえるわけだね。

 

「ふぅむ、そういう見方も出来るか……。」

 

……ん~~~、此処で考えてても仕方ないか! 下に降りて色々見て回った方が良さそうだね。

 

「そう思う。ただまあ、どこまで痕跡が残されてるかにもよるけど……。」

 

なにかしら残ってはいるでしょ。大丈夫大丈夫。

 

「相変わらず楽観的だね。そうならいいけんだど……。」

 

「あ、そうだったすっかり忘れてた。私からシーディに、ちょっとしたプレゼントだよ。」

 

お、なになに?

 

「じゃーん、私が愛用してた武器セット! ちょっと年季が入ってるけど、君なら使いこなせると思うよ。」

 

わわ、この子たちって大切なんじゃないの? ホントに貰っちゃって良いの?

 

「此処に来てからはめっきり飛ばなくなっちゃったし、これも埃被ってたからね。」

 

「ポロッカ時代の異形対策で産み出されたものもあるから、下層巡りするなら持って行った方が良いよ。」

 

そっか、一番異形対策が進んでたのポロッカだったもんね。

 

じゃあ遠慮なく貰っていくよ。大切に使わせてもらうね!

 

「ふふ、遠慮なく使い倒してくれていいさ。」

 

よし、じゃあそろそろ行くよ。大瀑布はあっちだったっけ?

 

「うん、でもそっちに機械根はないけど……まさか還流水路を降りていく気!?

 

定期的な暴風が昨日だったんなら、今が一番凪いでるってことでしょ?

 

もしかしたら残ってる浮遊型異形(クラゲ)が道標になってくれるかもしれないし、昔は宣教師?が使ってたんだもん、物理的に塞がってなきゃいけるって。

 

「だとしても危ないよ……。」

 

大丈夫、ちゃんとスキャンしながら降りるからさ。あ、イーデンに聞かれたら機械根使ったって言っといて。

 

うわ共犯にするつもりだな? そうはさせないぞ。

 

いやいや、させないって言ったって……ハッ!!

 

「んふ、もう遅いっ。」<<どうしたライエ、姉上に何かあったか。>>

 

あーっ! それはズルじゃん!

 

<<なんだ、そこにいるのか姉上。……ふむ、わざわざこっちにつないだという事は。>>

 

「おはようイーデン、不躾ですまないね。実は、」

 

<<大体察した。大瀑布から降りようとしているのだろう?>>

 

「流石だね。その通りだよ。」

 

<<全く……。姉上。>>

 

ひゃいっ!

 

<<頭環を着けろ。古いものだが、マップデータを送ってやる。>>

 

……行くのはいいの? スチャ

 

<<止めた所でいつかは向かうのが姉上だろう。>>

 

わかってるじゃ~ん。

 

<<褒めてないぞ。……届いたか?>>

 

うん、確認したよ。流石に深いね~。

 

<<もののついでだ、地形情報を取得して来てくれれば、範囲に応じて報酬を出そう。>>

 

おっけい! 偵察兵の本領発揮だぜ!

 

んじゃあ軽く準備してから行くかぁ~。

 

「中央の広場に巡礼者向けの取引所があるから、そこで補充してくと良いよ。」

 

わかった!

 

「あ、大瀑布に行くならナインたちにも挨拶していきなよ。あそこの担当だから。」

 

え゛、そうなの?

 

「なんだい、会いづらいのかい? 憎まれ口叩いてたけど、ナイン達結構落ち込んでたから少しはフォローしていきなよ。」

 

だよね……。

 

<<うん? あの二人に会わせたのか。>>

 

「あ、事後報告になってごめんね。あの二人がどうしても会いたいって言うからさ。」

 

<<そうか、いや構わん。そちらに出入りしている時点で接触は避けられなかっただろうしな。>>

 

<<……姉上、あの二人に関して私から言えることはあまりない。私もある日突然施設を襲撃されたというだけなのだからな。>>

 

そ、そうなの……? イーデンは大丈夫だった!?

 

<<あの時はエイトがナインを止めていたからそこまで大事にはならなかった。どうやら誤判定で攻撃されたらしい。>>

 

<<……あの時のエイトの発言を纏めれば、二人が探して回っていたのは『糸付き』。>>

 

<<どういう使命を帯びているのかは知らんが、それらを壊し尽くすまで終わらんと言っていた。>>

 

<<糸付きの範囲には種子も含まれるとのことだ。折角収集したサンプルを壊されてはかなわんからな。再び暴れんようそちらに預けていたのだ。>>

 

糸付き……? 種子……。ということは、女神の眷属を狙ってるという事?

 

<<だろうな。どうした、なにか気になる事でも?>>

 

うん、どうやらあの二人は私が造ったみたいなんだ。それも600年前に。

 

<<……! そう、か。>>

 

あの頃の記憶って、イーデンもはぐらかす部分だよね? 私に何があったの?

 

<<それは私から教えることはできん。どうしても知りたいのなら、下層にでも行くといい。>>

 

<<ガーディナや敗残兵共が荒らしていなければ、痕跡くらいは見つかるはずだ。>>

 

そっか、そうだよね……。じゃあ当面の目的は記憶探しになるかな。

 

<<余り無茶をするなよ。>>

 

うん、大丈夫! 気を付けるよ。

 

じゃ、また!

 

<<ああ。>>

 

「今度は早めに顔出してね。」

 

は~い! シュン タッタッタッ……

 

「やれやれ……本当に教えられないのかい? どうにも君は全てを知っている風に見えるけど。」

 

<<全ては知らん、見聞きした範囲だけだ。だがたったそれだけでも、私から伝える度胸はない……。>>

 

「難儀なものだね、君たち姉妹は。」

 

<<なんとでも言うがいい。もう切るぞ。>>

 

「うん、またね。」

 

<<ああ、またな。>>ブツ

 

・・・

 

やっほー、アイズちゃん。

 

「あ……シーディ様。」

 

さっきは恥ずかしい思いさせちゃってごめんね。ライエに釘刺されちゃった、あはは。

 

「いえ、こちらこそ気が動転してしまって……。」

 

でも目が綺麗だってのはホントだからね!

 

そっそれはもういいですからっ! もう、思い出してしまったじゃありませんか……///」プシュー

 

あー、申し訳ない……。

 

「……それで、何か御用があったのでは?」

 

そうそう、中央広場に巡礼御用達の取引所があるって聞いたからさ、そこで準備しておきたくて。

 

「なるほど、では案内いたしますね。」

 

お願いね。

 

・・・

 

それにしても……。

 

「何か気になることがございましたか?」

 

うん。この辺ってビルとかの構造物はあんまりないの?

 

見たところブロック状の個室……?みたいなものが目立つけど……。

 

「ああ、そのことですか。女王が天井を突き破っていったという話はご存じですか?」

 

うん、ライエから聞いたよ。

 

「あの時に降り注いだ瓦礫が地上の建物を軒並み破壊してしまったようで……。」

 

「残ったものも倒壊の危険性が高く、ならばいっそのこと解体して、自分たちで建ててしまおうという事になったんです。」

 

ふむふむ。

 

「ただこの辺りは資源に乏しく、ただ崩すだけではもったいないだろうという声が上がりまして。」

 

「それならばと、ビルの部屋を箱状に切り出して積み上げる工法が採用されたのです。」

 

「切り出す際に出た廃材は湖底の埋め立てや土地の造成に使えますし。」

 

それがこの景観の理由か~。興味深い……。

 

にしても大変だったでしょ? 自動機械もいないし。

 

「はい。一部屋移すだけでも一日がかりになるので……。今の形に固まるまで丸一年かかりました。」

 

うひゃぁ~、途方もない大事業だ。

 

「そのおかげで得たものもあったのですよ。水上運搬技術やニンフ用の推進補助システム、携行出来て重量物の運搬にも耐える小型軽量の超張力ワイヤーの開発等々、この環境でなければ研究もされなかっただろうものが沢山。」

 

「一部はアルカンド向けに輸出してますし、今となっては新たな技術開発がストークの生命線なんです。」

 

ほうほう、イーデンが好きそうな話だね。

 

「実際、新技術のお披露目ではよく視察に来られてましたからね。最近はなにやらお忙しい様子で、今回が久しぶりの訪問になりましたが……。」

 

「あ、着きましたよ。ここが万屋ライチです。店主、お客様ですよ。」

 

「スカー……んぁ、巡礼が来たって話は聞いてないが……。」

 

初めまして、アルカンドのシーディです。よろしくお願いします。

 

「あぁ……噂の御客人か。ウチはライチ。ここで物資の売買とヘロスの注文窓口を受け持ってる。」

 

「して、アルカンドのお偉いさんが何用で?」

 

大瀑布から降りるので必要物資の調達をと思いまして。

 

「成程ね、あそこからかい。いや懐かしいルートを行くもんだねぇ。」

 

何かお勧めのものありますか?

 

「そうさなあ、あそこを降りるんなら……ほれ、これは外せん。」

 

……銛と射出器?

 

「おう、名前はそのままワイヤーアンカーだ。行けば分かるが、あそこは足場が足場として機能しないことが多い。」

 

「水で濡れた鉄骨で滑落、突き出た足場が崩落、そも足場を見つけられずにオーバーヒートして落下……。」

 

「あらゆる事故パターンが想定される。逆さ森なんかメじゃねえ。」

 

「そこで活躍するのがこのアンカーってわけよ。常連(巡礼)のお墨付きだぜ?」

 

ほほ~。アンカーということはやっぱり突き刺すんですよね、もしかして壁面に?

 

「勘が良いねぇ、まさにその通り。突き出たものはみんな劣化してたりで信用ならねえからな。」

 

「ホドの自動修復が効いてる壁面が一番信頼できる構造物って話なワケよ。」

 

「刺したら後はエネルギーが回復するのを待っても良いし、上に乗って一休みしてもいい。」

 

なるほどなるほど。

 

「これは巡礼が着るような重量鎧殻(Fols)も問題なく支えられる。なんたってビルの一室丸ごと引っ張れるんだからな。」

 

あ、それってさっきの話に出た超張力ワイヤー?

 

「ええ。今ではこちらの方が有名な使い方になりました。」

 

「そう、だから性能と信頼性はピカイチよ。」

 

これはいろんなことに使えそうだ……いくらです?

 

「ん、一つ200,000CELLだ。」

 

流石に安くはないか。でも命を預ける道具ならけちけちしてられないね。

 

「分かってるじゃねえか。金払いの良い客は好きだぜ? それとこれがアンカーの替えだ。今回は特別にタダにしとくよ。」

 

替え?

 

「壁面は流石に硬ぇからな、如何にN4組成鋼と言えど片道で大体ボロボロになっちまう。だから往復分でこれらをセット買いするのが基本だぜ。」

 

なるほどねぇ~。ありがとうございます。

 

「それと使用上の注意だが、壁面に突き刺すなら10m、天井なら3m以内で打ち込むのが鉄則だ。」

 

それ以上離れてると深く刺さらずすっぽ抜けるという訳ですね。

 

「話が早くて助かるぜ。それと巻き上げ機構は付いてるが、流石に鎧化兵を引き上げる出力は無い。あくまでアンカー回収の為の機能だ。」

 

成程……上がるなら自分でという事か。

 

「そうなるな。他に何か入り用なものは?」

 

じゃああれとこれと───

 

「いいねえ───」

 

・・・

 

「だいぶ買い込みましたね。」

 

あの商売上手め~、イチイチ褒めてくるから財布がすっからかんになっちゃったよトホホ……。

 

「ふふ、ライチはヘロス上がりですからね。」

 

そういうことか……。でもこれで準備はバッチリ! んで大瀑布は~。

 

「わかりづらいですが、ここを降りて道なりにまっすぐ行けば着きますよ。」

 

お、確かによく見たら道が……。

 

「足元にお気を付けくださいね。それでは良い旅を。」

 

ん、案内ありがとう! また瞳見せてね! タッタッタッ

 

「あっ、人前ではもう見せませんからねっ!」




・主人公
活動時期が更に遡った。(アーヴド成立期?)
なにやら特殊な二人と特別な関係にあった様子だが、肝心の本人は何も覚えていない。
しかし作成者として少し引っかかるものはあった様子。

・イーデン
シーディに伏せている情報は多々あれど、特定時期の記憶に関しては本人への影響が未知数の為特に開示を渋っている。
ナインの襲撃で種子のサンプル保管所が半分焼け落ちた為、以後は研究室周辺の警備を厚くした。
ナインとエイトの使命には心当たりがあるものの、その背景含め本人にそれを伝える勇気はない。

・ライエ
シーディの交友関係の中でもトップクラスに古い友人であるが、流石にポロッカ成立以前の経歴は知らない。
ちなみにシーディへ譲った武装はBacrar・Graf・Srtrit・Palkの四つ。
頭シュナイダーであった彼女が足を止める必要があるBacrarをどう扱ったのか?
答えは加速しきってからの殴打である。

・ナイン&エイト
彼女らが何者なのかは、現状ホドのみぞ知る
本当はシーディに対してこれほど強く当たるつもりはなかったが、とある要因からつっけんどんで意地悪な対応をしてしまった。
それはそれとしてガチで覚えてなかったことにはショックを受けている

・ライチ
アイテム屋枠。アンカー部分は彼女の手作り。
元ヘロスの配達員で、事故により鎧殻を喪失した上に腰部の接続口に致命的な損傷を受け除隊。
以後は身一つで上層を歩き回って旅商人を続け、巡礼の口添えを貰いアルカンドに拾われ、ヘロス窓口としてストークに預けられることとなった。
新規の居住者は広場の外周に部屋を用意されるのが習わしだが、その業態から特別に広場に面した一室を与えられている。

〇ホド歴
大繁殖時代に共通時間の必要性を訴えたアーヴドの高位神官が、炭素生物の遺した西暦を参考に設定した物。現在は492年
中層まで拡散した段階でようやく公的基準時間として発布された為、アーヴド成立は紀元前の出来事となっている。
アルカンドの教典における暦も概ねこれに則るが、こちらは紀元前部分を神代紀として解釈し大部分をぼかして記述している。

〇ストークの居住区画・文化
主にポロッカ女王から振り落とされてしまったニンフたちで構成されるストーク。
ここでは住民が増える度に、貯水湖に点在するビルから部屋を切り出し移設する習わしがある。
これは一種の公共事業やお祭りの様な行事として住民から歓迎され、居住者が増えるたび「待ってました」と言わんばかりにこぞって作業し始めるのでかなりの賑わいを見せる。
空室がある場合はそちらを割り当てるべしという取り決めが“一応”あるが、お祭り騒ぎに飢えている住民が勝手に作業を始めてしまうので早々に形骸化した。
現在空き室:1

〇ストーク住民
女王の統制を欠いたためか、各々自分の好きなことに熱中するようになったフリーダムニンフ達。
あるモノは心ゆくまで空を飛び、あるモノは技術開発に心血を注ぎ、あるモノは湖底の探査に熱を上げている。
独自の技術を持っていることが多く、バウカーンに次いでイーデンのお気に入りとなっている。

〇ワイヤーアンカー
某進撃の雷槍と立体起動装置を組み合わせたような代物。主腕部近接装備カテゴリ。
自動機械相手にもそこそこの威力が見込めるが、戦闘用ではない為一発の被弾で故障する。
射出方式は電磁加速で、内蔵したバッテリーの電力を使用する。クールタイムは充電の為の時間。
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