・「何この子めっちゃ早口で喋るじゃん」
・ありそうな制度や文化を妄想するのって楽しいよね
・ついにあの二人がこの世に生を受けます
の三本でお送りします
「到着! ようこそ我が研究室へ! ここが資源開発研究局湖底支部です!」
おお~、大部屋を丸ごと改装してるんだ。
「はい! 一定間隔でこのくらいの空間が配置されてますので、それを利用しています!」
「じゃあこれに事由と発生原因、以後の発生予防を軽くで良いので纏めて書いておいて下さい! 最後に署名も忘れずに!」
は、はいぃ……。カタカタ……
「じゃあ私は搬入と積み込みしてきますので!」
はぁい……。
・・・
「作業終わり! 進捗どうですか!!」
できましたぁ……。
「……うん、OKです!」
この発生状況の画像って欄は?
「到着時にキャレッジ04号が撮影していたのでそれに注釈を加えた物を使います!なので問題ありません!」
そうなんだ。
そういえば資源開発研究って言ってたけど、具体的には何をどうしてるの?
「主な内容は貯水湖で大量発生する浮遊型異形の生態解明と、ソレの資源利用や繁殖方法の確立ですね!」
あー、上でイーデンが言ってたやつか。何か面白い事が分かったりしてるの?
「そうですねえ……。あ、クラゲのルーツ知りたくないですか!?」
ルーツ? そんなことが分かってるんだ?
「ええ! これを理解する為にはまずは我々の話から始めなければいけませんがいいですよね!?我々ニンフは自動機械とは異なり元々女神がホドから産みだしたものが始まりという事はご存じのとおり!」
「まあいくら女神と言えど無から生み出せるわけも無し!本当のところはホドが自動機械とは別口に工場で産み出したものが原型と思っていいでしょう!ここまではいいですか!?」
う、うん。
「時たま見つかる前世代型ニンフの残骸と我々を比較するとですね!旧時代のそれらをベースに様々な改良・変化が加わり徐々に現生ニンフになっていったと推察できるわけで、す、が!」
「此処で大事になってくるのは『ニンフをニンフたらしめるもの』の存在です!要するに生体部品ですね!前世代型はこれの割合が我々よりかなり少ないんです!」
「下層の異形共がそうであるように機械の中に機械ではない物……えーと画像は、あったこれだ。この何とも言えない細かいモサモサした物が原型機に取り付きそこから変化もとい進化が始まったと私は睨んでいるのです!」
「根拠は脊椎!前世代型だと他の部位は量が少なかったりそもそも無かったりするんですがこの部位だけは我々と遜色ない上に推定される質量もそれほど変わらないんですよ!つまりこれがニンフの根幹たる部分だと考えているわけです!丁度体の中心ですしね!」
「中身は流石に知ってますよね!?あの灰色のモサモサなんですがこれは我々の背骨・臓器・眼球・筋組織に至るまでつまり全身に張り巡らされています!しかし存在するのは生体部品だけで骨格には存在しないのです!」
「もともと一体で造られたのならばそんなことはないはずなんです!どこかに痕跡や通る経路がある筈なんですよ!ですが骨格にはこのカラフルな金属配線があるのみで灰色のモサモサは一辺たりともありません!」
「しかもですね!どうやら私たちは『ただ動くだけなら骨だけでもいい』らしいというのが分かってきてまして!実際骨だけで動いてたらびっくりですがあり得ない事ではないらしいんです!」
「話が逸れました!このモサモサの性質は配線とかと似てるんですけどこれ自体が本能のような機能も持っているらしくてですね!」
「心臓部から末端に至るまで刺激に対してラグなく反射反応できるのはこれがあるからだと判明してるんです!」
「ここから分かるように!これがニンフの異次元の反応速度を実現する伝達系の役割を担い自動機械とは一線画す動作を可能としているのです!」
「そしてこのモサモサなんですが……成分分析したらクラゲの脊椎部分とほぼ同じと分かりまして!」
「更に更にクラゲの伝達系もバラしたら若干ですがこのモサモサが含まれていて!その発生には天井の瓦礫に含まれていた
「ここまで聞いたらもう察しは付いたかと思いますが!我々の発生って外の世界が深く関与しているという事になるんですよ!いや~面白いですね!」
「クラゲはホド内の生態系とは一線を画す特性・形状・生態をしてますが!これは外由来のモノだからという説明ができるんです!」
「そしてクラゲの生態と言えば自爆!せっかく生まれたのに少しの刺激やニンフの接近に反応して電磁攪乱を伴う爆発を起こし消滅しますが!」
「似たような機能を持ったものに心当たり無いですか!?そう!迸る小虫ですね!形は少し違いますが特性はかなり近いと言えます!」
「小虫は電子異常の治癒に使えるけどあっちは単なる攻撃だろ?と言いたい気持ちは分かります!ですがアレを喰らったことがある人ならだれもが覚える感覚がありますよね!?」
「そう!頭がくらくらするアレです!以前自爆を受ける様子をモニターしたことがあったんですがなんと機能や原理は小虫と全く同じだという事が判明したのです!」
「つまり威力が桁違いに高いというだけでアレもリセット自爆という事になるんですね!私達ではリセットの前に身体が消し飛んでしまいますが!」
「体組織や制御系を分析すると小虫と我々は全く似ていませんが、小虫とクラゲはモサモサを除いた部分がよく似てまして!小虫にモサモサが取り付き進化した姿がクラゲなんじゃないかと言われ始めております!」
「同時にモサモサが外界からもたらされたものであることを鑑みると、クラゲも我々もそのルーツは外!ポロッカ女王がぶっ飛んでいったというお外に共通祖先があるということになるんですね~!!」
「それとここの縦穴は依然は結構荒れていたんですが今はそこまで壊れているという風には見えませんよね!?」
「自動修復が効いただけだろうって?いやいやそれだけじゃないんですよ!他所のホドの修復スピードを基準にするとまだ荒れ果てていないとおかしいんです!」
「何故修復が予想より早く進んだのか?ここまでピースが揃ったのならもう分かる筈です!これはホドの修復を促すのにちょうどいい威力の爆発だったという事なんです!」
「今はもう風化して無くなっちゃいましたが!以前はこのように菌糸上の瘡蓋の様なものがあちこち……特に破損個所に大量にこびりついてたんです!」
「それらも観察していたんですけどなんとそこからクラゲの笠部分に似た組織が生えて来まして!採取したらクラゲの笠部分と同じ組成だったんです!」
「そしてそれを更に更に観察していたら破損個所に溶け込むように吸収されて行ってですね!構造物の一部へと変わっていきました!」
「んでこの瘡蓋なんですがね!どうもクラゲの自爆した跡に出来るようでして!つまり貯水湖から発生したクラゲがここに吸い込まれてきて構造物に衝突・自爆し、構造の修復を促しているという事が判明したのです!」
「ここまで話せばもうお分かりですね!?つまりクラゲは構造物に自爆を当てることでシステムを強制的に起動し修復を促す、いわばホド用の迸る小虫だったという訳なんですよ!」
「飛散した体組織が元になり瘡蓋を形成し構造物を直接直す機能を見ると再生促進剤にも見えなくはないですが、主たる機能はやはり自爆の方だと言えます!」
「以上我々とクラゲのルーツでした!どうでしたか!?」
( ᐛ) ば な な
「……あやや、流石に詰め込み過ぎましたかね……!?」
うおお……頭の中で整理が追い付かなくて……。三行でお願いします教授!
「ニンフの原型機は工場で産まれモサモサが生えてニンフになったかも!」
「クラゲも同じようなモサモサが小虫に同化して進化したものかも!」
「このモサモサは外由来の物質!つまり両者のルーツは外にあると言えるかも!」
ありがとうございます!
「それでですね!」
わーっ! わーっ!
「わわ!? どうしましたか!?」
『……室長。お客様はお疲れの様です。そこまでにしておいた方がよろしいかと。』
「あ、そうだったんですか!? 気づかなくて済みません!」
あ、あはは……ごめんね……。ありがとうキャリッジ君、助かったよ……。
・・・
ところで、さっき向こうから走ってきた彼女……スイキちゃんだっけ? 彼女はここで何をしてるの?
「彼女はですね! 反対側にある湖底水密ゲートのある基地で、沈殿物の採取をしてくれているんですよ!」
そんなところあるんだ。
「はい! 普段は水中に居ますので、今会いに行っても留守にしてると思いますよ?」
なるほどねぇ、わかったよ。後でお詫びしに行くから、その時はアポ取りよろしくね。
「了解です! 前日までであれば伝えられますので!」
OK了解。
「一つ質問いいですか? 貴女は何故この縦穴に来たのです?」
んー、一つは興味が湧いたから、かな。
「好奇心でここに突入してくるなんてもの好きですねー!」
あはは、まあそうだろうね。あとは下層に用事があるからとか、ハティちゃんの後を追ってるからとか、そんなところだよ。
「ほぅ、下層ですか。んぇ、ハティ? ハティって、巡礼のハティですか?」
多分あってると思う。知り合い?
「ええ! ハティと私は同郷で歳も近いので! ここを通る時よく寄って土産話してくれたりするんですよ!」
へぇ、そうなんだ?
「あ、彼女に会いに行くなら……コレ、着けてってください!」
これは……
「はい! これはどの女王から生まれたかを示す識別票みたいなもので、ハティも同じものを付けてるんです! ちなみに亡命者とかはシンプルなピアリングで統一されてますよ!」
そんな文化が出来てたんだ……興味深いね。
「私たちの産まれは好奇心や探究心が強いニンフが多くて、そのせいで教会の不都合なことを知ってしまうことがよくあるんです!」
そ、それここで話して大丈夫なの……?
「私はイーデン様とサシで面談して私の価値をご納得していただいたので大丈夫です! 別に教会の教えを否定する風説を流布する気もないですしね!」
セーフなんだ……。
「んで、最近身内で未帰還が立て続けに出てその捜索にハティが頻繁に出るようになってるんです!まあ十中八九知りすぎて消されたんでしょうがね!」
「一人目の時点でイーデン様にストップかけたんですけど高僧の方が予定をブッキングしちゃったようで、二人続いたら流石に不審がっちゃってですね!」
「そういう訳で彼女、今結構気が立ってるみたいなんですよ! 追い詰められているというか信仰が揺さぶられているというか!」
「だから、なんの接点もない教会の恰好したヒト、しかもイーデン様のと同じ外観の鎧殻を纏った人が話しかけたら変な勘違いしちゃうんじゃないかって思って!」
「でもこれを見せれば私と知り合いだってわかってくれると思うので、会った時はまずこれを見せてあげて下さい!」
わかった。気をつけるね!
「あ、用事が済んだら返してくださいね!」
うん、大事なモノなんでしょ? 大丈夫だよ忘れないから!
「それじゃお気をつけて!」
またね!
・・・
ふむ、ハティちゃんは同胞の不審な未帰還でピリついてるか……。無理もないね。
でもそのうち一人は死因がはっきりしてるわけだし、落ち着かせる意味でも会っておく必要があるなあ。
……そういえば昔読んだ文献でも宗教が異分子を排除しようとして逆にやられちゃう、みたいなものもあったね。タイトル何だったっけ。
まあいいや。入れ違いにならないように早いとこ降りちゃおう。ここからはどう渡ろうかな……。
◇
-中層 街路樹
「急に呼び出して済まないな、カルラド。」
「いぃい、いえいえ! そんなことはないですよ、大姉様! むしろ暇してたくらいですっ!」
「お前のスケジュールは把握している。無理に取り繕わなくても良い。」
「昨日の侵入者の対処と追加の輸送任務はご苦労だった。対象のイレギュラー要素とお前の日頃の働きぶりを鑑み、司令部には我から一言入れておいた。これからは人遣いの荒さも多少はマシになるだろう。」
「そそ、そんなこと!? 僕がしっかりできていれば侵入者を逃すこともなかったんですから! いやアイツらからの無茶振りが減るのは嬉しいですけど……!」
「理不尽な命令ばかりでは嫌気も差すというものだろう。お前のように真面目に働いてくれる者は貴重だ。下らないことで失いたくはない。」
「本題に入るぞ。昨日気絶していたお前の足元に置かれていた白珠だが……アレは検査の結果罠や毒は仕込まれていないと判明し、昨晩のうちに女王へ献上された。双子が産まれるそうだ。」
「そうなんですか!? 珍しい……。」
「そのことについて女王も喜ばれてな、特例としてお前に取り上げさせてやるとの事だ。予定は……あと数時間といったところだな。」
「ええ!? そんな大事なお役目を……という事は名付けも僕がって言う事ですか!?」
「ああ、そうだ。あまり深くは考えんでもいいが、かといって適当過ぎる名前では妹達が可哀想だろう。今から考えておけ。」
「受け留めは初めてだったな? 実作業では私が付いていてやるから心配はしなくていい。ただ女王の間は足元が悪い。鎧殻はDAMDを借りておけ。」
「りょ、了解しました! 双子……双子かぁ……!」
・・・
「やっぱりDAMDは重量バランスがしっくりこないな……けど体勢を崩して妹を受け留め損ねたら大変だ。慣れるしかないか。」
「ここが女王の間……見るのは産まれて以来だな。どこをどう行けば受け留めポイントに繋がるんだ……?」
「おい、そこの! ここで何をしている!」
「ひぇっ!?」
「ん? お前はもしかして。」
「ぼk、あ、わ、私は内地輜重部隊所属のカルラドです! 女王陛下より受け留めの任を賜り馳せ参じました!」
「ふむ、貴様が……。」
「じき出産予定時刻だ。大姉様は先に予定地点へ向かわれた。場所は向こうだ、急げよ。」
「はい! ありがとうございます!」
・・・
「……来たか。」
「すみません、少し道に迷いまして!」
「間に合ったのならいい。」
「して、双子は何処ですか?」
「上を見ろ。あそこだ。」
「上……
「大きい声を出すな。女王が目を覚ましてしまう。」
「す、すみません……。でもあんな高い所に生ってるなんて思ってなくて……。」
「下の枝は前回の大出産で総動員したからな……。日が経っておらぬしまだ休ませているのだろう。」
「そういえば前回は二十人くらい産まれたんでしたっけ? 一度にそんなに産んで大丈夫なんですかね?」
「さぁな。産む感覚など本人にしかわからんが、これでも対ギ戦争の頃よりは少ないのだぞ。」
「あの……昔はどれだけ産んでたんです……?」
「きちんと数えた事はなかったが……そうだな。上の枝まで余さず生らせていたから、百は下らなかったであろうな。」
「ひぇぇ……それでこの足場ですよね? 取りこぼしとかは……。」
「勿論あった。先に他の妹を受け留めている間に、隣で一人二人と落ちていく様を何度も見たからな。」
「じゃあこの下は……。」ブルルッ
「いや、落下で死ぬ奴は滅多に居なかった。古い枝に引っ掛かったり、水が浅い所の根に落ちたりして怪我をすることはあったがな。」
「手遅れになったのは、
「そ、そうなんですね。きちんと受け止めてあげなくちゃ……。」
「ああ。幸い高度があるおかげで受け留めやすくはあるだろう。だが一つ気をつけなければならんことがある。」
「何ですか? あ、双子ならではの事故要因があるんですね?」
「そうだ。双子は落ちる際にお互い縺れ合いながら落ちてくることが殆どだ。稀に片方が殻に残されてもう片方だけが振り落とされる場合もある。」
「さっき言った『落ち方が悪くて死んだ』ケースの殆どが双子の受け留めミスだ。ぶら下がった場合でも、手を滑らせたり力尽きたりで片割れが明後日の方向へ振り落とされることが多い。」
「だからそうなった場合は、先に落ちてきた方を我が拾う。お前は残った方に合図を送って受け留めてやれ。」
「了解です……! 同時に落ちてきた場合はどうすれば?」
「その時は近い方を受け留めろ。フォローはしてやる。」
「わかりました。無事に産まれて来てくれよ~、ヨヨ、ヨド……!」
「それは二人の名か?」
「あっ、はい! ちょっと気が早かったですかね?」
「ふ……いや、いい心がけだ。ならば先に落ちてきた方をヨヨとするか?」
「はい!」
ピシッ
「……あっ!?」
「始まった。構えろ!」
ビシビシッ!
バリンッ! バシャァッ ブラブラ……
「掴まってる!?」
「ぶら下がっている方をヨヨとする! ヨヨは我が受け留める!」
「ッ了解!」
ズルッ パッ
「落ちた!」
「ふッ!!」ドヒャッ! パシッ!
「上手い……! ヨドは!?」
ズル……ズル……
「緒にしがみついてる!? ヨド! 僕の所においで!」
「ア……ッ!」ズルッ
「!! とりゃあっ!」ドヒュッ! ボスッ
「あぅっ。」
パスパスッ ガタン
「ヒュゥ、何とかなるもんだ。」
「ぁ、ぅ。」フルフル
「よしよし、もう大丈夫だよ、ヨド。片割れも大姉様が受け留めてる。」
「よ、ど。わたしの、なまえ?」
「うん。気に入ってくれた?」
「よ、ど、ヨド。はい、だいじにします。えっと……。」
「僕? 僕の名はカルラドだよ。」
「か、る、ら、ど。覚えました。カルラド姉さま。」
「産まれてきてくれてありがとう。ヨド。」
「ふふ、姉さまなんて久しぶりに呼ばれたなあ……。」
バシュッ ガタン
「無事に受け留められたようだな。よくやった、カルラド。」
「大姉様もお見事でした! ヨヨは……。」
「問題ない。ほら、お前の片割れだぞヨヨ。」
「ヨヨ……。」スッ
「ヨド、ちゃん……?」ニギ
フィン……チチチ
「大姉様、これは……?」
「覚醒直後に双子がやるデータ送受信らしい。これで双子専用の秘匿回線が出来るんだそうだ。」
「はぁ~……。」
チチチ……ヂッ!
「きゃっ。」
「あぅ!?」
「!? どうしたヨヨ、ヨド!?」
「大姉様、これは一体!?」
「分からん、これは……おい衛兵! 救護班を呼べ!」
「は、ハッ!」
「ヨヨ、ヨヨ……?」
「あ、あれ……? ヨヨ、お姉さま……!? 見えない、何も見えないです……!」
「! まさか。」
「目が見えないって、なんで!?」
「……まだ判断できん。まずは救護班に診せる。」
「わ、わかりました……。」
・・・
「はぁ……。」
「何だカルラド、辛気臭ぇツラしてため息なんか吐いて。」
「そりゃ溜息も出るさ……まさか二人揃って盲目だなんて……。」
「今朝の双子の話か? 盲目?」
「あ゙、この話口止めされてるんだった!」
「誰にも告げ口なんてしねーよ。あたしとお前の仲だろ? 何があった?」
「ホントに漏らさないでよね……。昨日の白珠で今朝双子が生まれたんだ。僕と大姉様で受け留めに当たったんだけどさ……。」
「ああ、あれの双子か! 受け留めまでさせて貰えたなんざ、女王も相当気を良くしたんだな。んでんで?」
「双子の送受信の最中にヨヨの方でスパークが起きて、その後目が見えないって言い始めたんだ。」
「ほう……?」
「診察したら二人ともあちこちプログラムに歯抜けがあったり、物理的にも機能不備があったりで……今処遇をどうするのか大姉様と育房班で協議中だって。」
「……そりゃ大事だな。」
「救護班が言うにはヨヨの盲目はヨドとの送受信が原因らしくて、元々はヨドが盲目で更に片割れのベースだから、そっちに引っ張られた可能性があるって。」
「けれども、そもそものスパークの原因はヨヨ側にあって……とにかくいろんな不幸が折り重なって盲目の双子が出来ちゃったってワケ。」
「そりゃあ……ご愁傷様なこったな。」
「グス……こんなのってないよ……下手したら二人とも分解槽行きになっちゃう……!」
「……でも大姉様が協議してるんだろ? 悪いようにはならないんじゃないか?」
「そう思いたいけどさ、やっぱり心配だよ……。」
ピピピッ
「あ、大姉様からだ!」
「アタシも傍受しよっと。」カチャ スコ
「い゙っ!? おいルズ! ったく。」
<<……カルラド、あの双子の処遇が決まった。>>
「どうなるんですか……?」
<<当面の間は判断を保留する。とりあえずは他の幼精と共に育房で面倒を見る。>>
「よ、よかったぁぁ~~……!!」
<<さしあたってはお前を輜重任務から外す。育房班は先日産まれた幼精達の面倒を見るので手一杯でな。我と共同で双子の面倒をみろとのことだ。>>
<<まぁ……流石に我一人で盲目の双子の面倒を見るのは無理があるしな。>>
「大姉様と一緒に!? こ、光栄です!」
<<それとこれからは過度に畏まるな。我らの態度をあの二人は学ぶのだぞ。もう少し砕けても構わん、とにかく過剰な反応をするなよ。>>
「ぜ、善処します……!」
<<期待している。それとだな……ルズ。>>
「<<びゃっ!?>>」
<<やはり聞いていたか。>>
「<<え、へへ、すみませんつい!>>」
<<構わん。どうせカルラドが口を滑らせたのだろう?>>
「ごめんなさい!」
<<もう気にしなくて良い。協議終了を以て双子の件についての箝口令は解除された。だがあまり言いふらすことでもない。そこは覚えておけ。>>
「「<<了解です!>>」」
<<よろしい。ではカルラド、育房に顔を出せ。これからの業務の説明をする。>>
「わかりました! すぐ向かいます!」
<<ルズはしばらくの間カルラドの穴を埋めておけ。物運びは他の者を回すが、見回りはお前の担当になるからな。>>
「<<は、承知しました!>>」
<<通達は以上だ。>>
「……バレてたね。」
「傍受がバレるはずはない。カマをかけただけだと思うけど、まんまと引っかかってしまったな……。大姉様には敵わんね。」
「あんまりそういうことしてると上からあらぬ嫌疑掛けられちゃうよ? もうやめときなって。」
「いやいや、こんなにスリリングなこと止めらんねえよ! 大姉様相手にはもうやらねえけど。」
「まったく……。じゃあ行くか。しばらくの間任せたよ。」
「ああ、任された。せいぜい分解槽行きにならんようにしっかり教育するんだぞ~。」
「言われなくたって!」
・主人公
今回はほとんど活躍らしい活躍は無かった
書類仕事が苦手なタイプ
ここでフラグを建ててないとハティ初遭遇時に余計な戦闘イベントが発生します
・クルザジオ
専門分野で語り出すと句読点すらなくなる勢いで喋りまくる
耳飾りのくだりは書いてて沸いた設定
ちなみに一息で喋り倒した量は7KB強
・キャリッジ04号
外部のニンフに語りまくるクルザジオのストッパー
あの後シーディを縦穴まで乗せて行った
・ヴォーグ
久しぶりの登場だが、劇中ではまだ一日も経ってない
彼女の口調は作者には難しすぎたので、ところどころ普通になっている
幾多もの姉妹誕生の瞬間を見届けてきた長姉
・カルラド
ある意味ヨヨ&ヨドの親の様なポジションになった
ちなみに今回使用したDAMDは作業用に割り当てられている旧ザクポジションという設定で、各所に黄色と黒の危険色塗装が施されている
・ルズ
盗み聞きが趣味の霧隊員
なお内偵や諜報も業務のうちなので、趣味で仕事やってるような状態だったりする
・ヨヨ&ヨド
産まれ方はほぼ漫画版の通りでこちらでは受け留めて貰えた
ウィルス感染などではないが、システムに致命的なバグが発生し盲目になってしまった
〇ニンフとクラゲのルーツ
ニンフというよりは、生体部品のルーツと言ってよい
外部から持ち込まれた極小生物がホド内で適応し、独自の進化を遂げたのが始まり
瘡蓋や生えた笠の成分はシーディの体内促進剤と似ている
〇アルカンドの個人証明
一般的にはどの女王から産まれたかを識別するためのもので個人を特定するものではない
決められた意匠のピアスを身に着けておかなければならないが位置までは決められておらず、どこに付けるかによってそのニンフの大まかなスタンスが分かる
個人の識別は軍属の戦闘型のみで行われるが、その運用は作戦に従事するニンフの配置や戦死の確認・鎧殻の使用者の照合などのドッグタグ的なものが主で、ニンフ個人のことはあまり重視されていない
〇双子
独自設定の塊
双子間の秘匿回線は傍受も出来ない為、霧や軍では非常に重宝される能力
概ねフロスト兄弟のアレ
しかしやり取りの最中にエラーで中断してしまった為、ヨヨとヨドの間には秘匿回線は繋がらなかった
本来は遺伝子のようにお互いの欠けたプログラムを補完しあう筈だったのだが、ヨヨ側の機能不備でデメリットだけ抱えてしまった
〇出産
これも独自設定の塊 ニンフは一日で生る
産む枝はある程度指向できるが、同じ枝を酷使すると過負荷で萎れてしまう為、ある程度分散する必要がある
なお受け留め時はかなり騒いだのだが、女王は産み疲れで意識が無かったため起きなかった