変わり者のホド旅   作:benitubaki

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開幕土下座する主人公


32話 下層境界隔壁-密林

知らずとはいえ、レキさんに多大な負担を強いてしまった事をお詫びします!

 

申し訳ありませんでしたッッ!! \ガスン/

 

「……ア、あア。うむ……?」

 

「という訳で、どうする? レキ。」

 

「ドウすル、と言わレてもナ……。」

 

私の身を以て償わせて下さい!

 

「……ふム。顔を挙げよ、シーディ。」

 

は、はいっ!

 

「そこまで言うのならば、私の弟子になってみる気はないか?」

 

……えっ?

 

「あら。」

 

・・・

 

「先日のナズとの対決、地上に降りてからのお前の気迫と剣筋を見ていて思ったのだ。ナガラの流儀を継がせるに足るのではないかとな。」

 

ええ!? 私はナガラの戦士じゃないのに……そ、そんな恐れ多いこと……!

 

「構わぬ。もはやナガラ戦士は私しか居らんだろうし、老い先も短い。」

 

「……。」

 

「ならば、見込みのある者に『ナガラが在った証』を継いでもらいたいと思うのは当然だろう?」

 

そんなお役目が、私に務まりますか……?

 

「分からなくてもやってみればいいじゃない。それに、例の場所に突入するなら貴女個人も強くなっておいた方がいいでしょう?」

 

それはそうなんですが……。

 

「ほう、鉄火場に赴くのか。ならばますますお前に稽古を付けてやらねばならないな?」

 

ひ、ひえええ……お手柔らかにお願いしますぅ……!

 

「あの時の剣は持っているな。」

 

は、はい! シュン

 

「少し貸せ。」

 

どうぞ。

 

「ふむ……。」チャキ スッ ツゥーッ

 

ギュゥ……ブンッ

 

ブォン、ブンブンッ ギュィィッ、ヒュン!! バシューッ!

 

「うむ。あれだけの使い方をして歪みも機能の欠落も無い。コレは当たりのようだな。」

 

凄い……片手であんなに軽々と、しかも鋭い太刀筋で……。

 

「こんなものか。まずは今のように振り回せる所までお前を鍛える。」スッ

 

へぇっ!? その動きを真似するんですか!? ハシッ

 

「最初から飛ばし過ぎじゃない?」

 

「いや、シーディならばできる。あの時は既に似たようなことが出来ていただろう? しかもナズの脚の上という、不安定極まる状況でな。」

 

でもあれは秕のアシストがあって……。

 

「秕はあくまで動きの補助だ。やったのはお前自身なのだから自信を持て。心配するな、二、三日あれば出来るようになる。」

 

「それにずぶの素人という訳でも無いようだしな? 僅かにだが、ナガラの動きもあった。」

 

えっと……多分それは、昔に稽古の風景を見ていたから……見様見真似でしたけど。

 

「見様見真似で一部なりとも再現できるのであれば、十分素質はある。」

 

「……どれ、一先ずはお前の力量を見てやろう。向こうに行くぞ。」

 

はい!

 

「うふふ……。楽しそうね、レキ。」

 

「燻ぶっていたモノに火が点いただけだ。」

 

・・・

 

この辺で良いですかー?

 

「ああ。」

 

「まずはお前の本気の剣をもう一度見てみたい。」

 

「あの時の事を思い出し、私を討ち取る気概で掛かってくるがいい。」

 

え!? レキさんをですか!? む、むりむり~……っ!

 

「出来なくて当然だ。それが出来るようになるために稽古を付けてやるのだからな。」

 

「さあ、私も剣のみで相手してやる。」ガシュ ガタン チャキ

 

う、うぅ~……わかりました……!

 

「頑張ってね、ふふっ。」

 

◇

 

…………。

 

ジリ、ジリ……

 

「(……ほう。戸惑っていた割にはやる気を感じられる動きだな。)」

 

「……どうした、来ないのならばこちらから仕掛けさせてもらうぞ!」スッ

 

ッ! やぁああーーッ!! バシュッ!

 

「(袈裟。)」

 

ブォンッ!! ガギリィィ……!! ッギィン!!

 

ハァッ!!

 

「(返しの横薙ぎ。)」

 

ブンッ!! ギュギィン!! ギキャッ!!

 

せいっ!! バヒュッ! ギュンッ!!!

 

「(突き、んッ!?)」

 

ッビュンッ!! ギン! ギギギィッ……ッキィン!

 

◇

 

(弾かれた!? 可能な限り最速で出したのに! いけない、追撃を!)

 

ふっ!! ブゥン!!

 

「甘いな。」ギュギィ!! ッギン!

 

くぅ、わぁあああーーーッッ!!

 

ブンブンブンブンッ!!

 

「ふっ、はっ、そら。」

 

ヒョイ、ギュキ、ギリィ、ッキィン!!

 

あっ!?

 

ヒュンヒュン、ガラァン!

 

ビシッ

 

う……! ま、参りました……。

 

「うむ。初めの連撃は良かったが、そのあとは全く駄目だな。」

 

あう……。

 

「凡その力量は把握した。まずは基礎から教えてやる必要があるか。」

 

◇

 

「まあそんなにしょげるな。見所はあった。」

 

ほ、本当ですか?

 

「ああ。動きの大半からは殺気を感じられなかったが、一瞬だけあの時と同じ感覚がした。」

 

「最初の連撃、その三段目の突き……あれだけは本気だったろう?」

 

バレてましたか……はい、そうです。

 

「それに初めの二撃にはなかった速い身体の捻りと、それに連動した加速肢の短時間噴射による不意の踏み込み。あれは一朝一夕にできるものじゃない。」

 

「シーディ、これをどこで覚えた?」

 

えっと……どこで、というのはちょっと、わからないです。

 

本気でやったら、自然とそういう動きになったとしか……。

 

も、もしかしたらナガラを観察してた時に見てたのかな~?なんて……。

 

「……ほう。」

 

「ふぅむ。ならば斬と突、この二つを重点的に鍛えてやるとしよう。」

 

「斬は近接兵装の基本、突はお前の強みとしてな。」

 

わかりました! 師(・)匠(・)!

 

「師匠、か。……ふ、悪くない響きだ。」

 

ヒョイ「はい、どうぞ。」

 

あ、ありがとうございますラファさん。

 

「レキがこんなに楽しそうにしてるのは久しぶりなの。」

 

え? そうなんですか?

 

「だから、貴女もしっかり付き合ってあげてね。」

 

わかりました……!

 

「よし、準備は良いか?」

 

はい!

 

・・・

 

「シーディ、頭環を私とリンクさせろ。」

 

? わかりました。……どうぞ。

 

「……うむ。では私の動きを真似てみろ。」

 

真似……あ、そういう事か。トレースモード、オン。

 

「基礎的な動きはこれからやるものを全て覚えるのだ。一覧は見えているな?」

 

コレ全部ですか!?

 

「そうだ。剣を扱うのに必要とされる基本的な所作が詰まっている。」

 

「一つとて疎かにはできんぞ。全ての動作が絡み合い一つの剣術となるのだ。」

 

わ、わかりました……!

 

「うふふ、頑張りなさいシーディ♪」

 

「とはいえ、基本中の基本だ。そこまで難しくはない。これがきちんとできるようになれば、そこからの応用もすぐ理解できるだろう。」

 

「余り固くなるなよ。」ポン

 

了解ですぅ……!

 

・

 

・

 

・

 

「……よし、以上の動作を反復して覚えておくように。」

 

ひゃ、ひゃいぃ……。ヘロヘロ

 

「大丈夫? 水飲む?」

 

ありがとうございますぅ……。ゴクゴク

 

「なに、ニンフの身体は便利だ。もう数回もこなせば、意識的にならば問題なく体が動くようになるだろう。」

 

わかりましらぁ……。

 

「今日の鍛錬はこのくらいで良いか。あまり詰め込んでも身にならんからな。」

 

はぁい……。ありがとうございました~……。

 

「さて仕上げだ。最後にお前の動きを見てやろう。」

 

え゙ぇ!? 今からですか!?

 

「喋って動けるうちは大丈夫だ。それに戦いとは万全の状態でばかり行うものではないぞ?」

 

「心配しなくともよい。今回の成果を見せて貰うだけだからな。基礎を知ったお前なら、初めより良い動きが出来るはずだ。」

 

「本気で打ち込んで来れば直ぐに終わらせてやる。さあ構えろ。」ジャキ

 

は、はいっ!! チャキ

 

◇

 

ジリジリ……

 

「(さて、どう変わったか、)」ちぇぇいッ!!「ッ!」

 

ビュゥン!! ガギギィッ!! ッガァン!!

 

「……!!」

 

「(ほぉう……慣れたからか、踏み込みに迷いは無くなった。)」

 

……!

 

ジリ、ジリ……

 

「(慌てて取り繕うこともしない。この短時間でここまで変わるか。)」

 

ッ!! ドヒュッッ!

 

ブォン!! ギュギィン!! ギリリ……ガッキィン!

 

「……良い動きになった。さあ、もう一押しだぞ。渾身の一撃見せてみるがいい……!」

 

……ふっ!! ギュン!

 

「(横薙ぎ。)」ギィン!

 

「(回転切り。)」ギキィッ!

 

ギュルッ!

 

「(また回る、最後も回転切りか?)」

 

ハァッ!! ドヒュッ!!

 

「(推進で回転に加速ッ、懐に、逆手ッ!?)ヌゥッ!!」ドヒャアッ!!

 

わぁっ!? スカッ

 

グラァ……ガシッ、ヒョイ プラプラ ストッ

 

わっ、すみません!

 

「いや、いい。」

 

「ふふふ……まさかな。推進機動を使わせられるとは思っていなかったぞ?」

 

あ、ありがとうございます……?

 

「それは受け流しが間に合わなかったという事?」

 

「ああ。あれほど懐に入り込まれていては受けるにも無理が出る。」

 

「シーディ、お前も覚えておけ。さっきの様な密着状態では、いっそ思い切って前進した方が良い場合もあるとな。」

 

成程……勉強になります。

 

「こういったことは感覚や直感で正解の行動を取れる奴もいるが、実戦は甘くない。感覚頼みではいずれ無理が出る。」

 

「さっき教えた物もそうだ。理屈として知っておけば、いざという時に取れる選択肢が増えてそれだけ戦闘が有利になる。」

 

「これらの応用は今後の打ち合いでおいおい教えていくとしよう。今日はここまでだ。」

 

ありがとうございました……!

 

◇

 

「……どうだった? あの子は。」

 

「正直思っていた以上だな。呑み込みも早いし、筋力や体幹も十分にある。」

 

「随分褒めるのね。初めての弟子だからかしら?」

 

「それもあるだろう。だが……。」

 

「何か気になることが?」

 

「……うむ。シーディが得意とする突き、アレの型に見覚えがある。最後の逆手持ちもだ。」

 

「それこそ、ナガラを見てたから自然と身に付いたものじゃなくて?」

 

「それだけでは済まされん技だ。ところどころに我が師の癖が見て取れた。」

 

「レキのお師匠さんの? でもその人って、弑逆に参加して以降は消息不明じゃなかった?」

 

「ああ。そもそも、師は表で型を披露することをしなかったお方。奴め、どこでそれを……?」

 

「ふぅん……そう聞くと確かに変ね。」

 

「間合いの取り方の癖も、あの剣に合ったものではない。予備動作が間合いに対して早過ぎる。」

 

「Balmungだから誤魔化せているだけで、もっと刀身が短(Kanehiga)い得物だったならば掠りもしなかっただろうな。」

 

「ナズとやりあった時は焦りで当てられていなかったものかと思っていたが……ふむ、そもそも覚えている間合いが違ったとなれば納得できる。」

 

「足に載った後も妙に手こずっていたが、剣による近接戦闘の経験値不足に依るものだったのかもしれん。」

 

「本来の得物は恐らく、MitsuhaやKanzashiと言ったところだろう。」

 

「そうなの? 素人目にはわからなかったけど……。」

 

「打ち合ってみなければわからなかった事だ。無理もない。」

 

「……もしかしたら師の事を知っているかもしれんな。今度はそこもつついてみるか。」

 

◇

 

うおお……今までやったことない動きしたからか、関節という関節がギシギシ言ってる……!

 

これはもう、今日の探索は止めた方がいいかな……。

 

どこか休むのにちょうどいい所は~、あ、あそこが入りやすそう。

 

ちょっと寄って行こう。

 

・・・

 

キィィ……パシュッ、ガタ

 

ふぃ~。

 

ここはなんか、妙に小綺麗と言うか……整頓されてる?

 

誰かが使ってたりしたのかな……ま、いいや。

 

初めての近接戦闘訓練だったけど、思ったより昂るものだねぇ。

 

疲れちゃったし、少し早いけどここで休んじゃおう。

 

流石に自動機械も寄り付かないだろうしね。

 

ガチャガチャ、シュゥゥ…… ゴロン

 

・・・

 

・・

 

・

 

・・

 

・・・

 

ふわぁぁ……。

 

「あ、おはようございま~す。」

 

ぴゅいっ!? あ、ああ、ショコラちゃんか……おはよう。

 

「まったく、ああは言いましたがホントに爆睡するとは思ってませんでしたよ。」

 

しょ、しょうがないでしょ。レキさんに剣の指南受けてたんだから……。

 

「あ~なるほど……じゃあ仕方ないかもしれないですねえ。」

 

「ま、私はそのおかげで無防備な寝顔をたっぷり堪能(撮影)させていただきましたし。良しとしましょうか。」

 

うぅ、やっぱり何かされてる……!

 

「人聞きが悪いですねえ。ちょっと早起きして記念撮影しただけじゃないですか。それ以外は何もしてないですよ。」

 

不同意でそれは良くないよ!?

 

「ヒトの寝床勝手に使ったんです。使用料くらいは戴かないと♪」

 

ぐぬぬ……言い返せない……。

 

もう、さっさと支度して探索に出なくちゃ。ゴソゴソ

 

「……あれ?」

 

なに、どうしたの?

 

「下に着てる奴、どんな格好なんです?」

 

え゙。

 

「ちょっと見せて貰ってもいいですか?」

 

うう……忘れかけてたのにぃ……。

 

ガバッ パサ

 

これでいい……?

 

「……間違いない。通商代表部制服の原型だ。」

 

えっ?

 

「シーディさん、これを一体どうやって手に入れたんです?」

 

どうやってって言われると……説明が難しいかな……。

 

「ふぅむ……言えないと。」

 

言えないってか、特殊な経緯でこうなったって言うか……。

 

「ふむふむ。……間違いない、縫い方の癖も同じだ。」

 

「シーディさん、ミントって名前に聞き覚えありませんか?」

 

ミント? んん~……ないなぁ……。

 

「そうですか……。」

 

どうかしたの?

 

「その昔、うちに服作りが得意な通常型が居たんです。」

 

ふむ?

 

「今ある制服の原型を何着も作って、周辺コロニーやアルカンドにも人気だったんですけど……。」

 

アルカンドにも? もしかして巡礼の(D型)服?

 

「ええそうです。それでですね、ある時を境に行方知れずになっちゃったんですよ。」

 

そんなことが……。

 

「あの頃は中層がギ・ガ戦争真っ只中でかなり忙しくて、とても戦闘型だけじゃ手が回らなくなっていたんですよ。」

 

「そこで仕方なく非常時態勢で通常型も動員して、上層で安全そうなルートを手伝って貰ってたんです。」

 

へぇ……?

 

「その時アルカンド行きの配達でライチセンパイが負傷して、急遽代役に選ばれたのがミントだったんですけど……。」

 

「配達完了の報告の後に全く連絡が取れなくなってしまって……。」

 

「うちの服飾開発部門のトップだったんで、今でも捜索指令が取り消されずに残ってるんです。」

 

その、行方不明になった子の癖がこの衣装にはあると?

 

「そうなんです。慣れた子でも手縫いじゃ不可能に近い、この独特な縫い目は見間違えようがないですよ。」

 

ふぅん……。

 

「もしミントの情報を得られたら、私にご一報ください。内容如何によってはお礼も考えときます。」

 

わかったよ。……そんなに大事な子だったんだね?

 

「ええ。ヘロスを大コロニー相手でも立ち回れるようにした功労者の一人ですからね。」




・主人公
[サブクエスト]残り香を追って(NEW!) やることリストを無暗に増やすな
近接戦闘スキルが向上した 突きモーションはPS2ACの様なブーストで踏み込む挙動に近い
例のバニースーツの出どころがヘロスと判明したが、知っていそうなスケテは喋ることが出来ない

・レキ
初めて弟子を持った 師が槍使いなのでレキも槍使いになった経緯がある
最後の踏み込みは流石に冷や汗が出る一撃だった
油断が全く無かったといえば嘘になるが、そもそも初心者がいきなり熟練者の様な挙動で詰めてくることを想定しろという方が酷だろう

・ラファ
今回はほぼ見守りだけだったので書くこと無し

・ショコラ
シーディのバニースーツに見覚えがある……というか、オリジナルのバニースーツ(コスプレ用モデル)が記念品としてヘロスに残っている
休んでいる間に何があったのかの詳細はいずれ他所で

・ミント
ヘロスの各種制服やアルカンドの一部制服も手掛けたマイスター
彼女の技術は裁縫というよりは縫製に近く、自作の道具も相まってミシンの様な縫い目となる
彼女が遺した作品がヘロスの外交方針を決めたと言っても過言ではない、ヘロス史に於いてターニングポイントとなる重要人物だった
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