変わり者のホド旅   作:benitubaki

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日々の日課に朝稽古を追加
これによりただでさえ高い近接適正が更にじわじわ伸びる事でしょう
※2026/09/24 一部訂正 (六つ脚→八つ脚)


33話 密林 遭遇

ふっ、ふっ……。

 

「あ、その動きって。」

 

ふ、……っと、うん。レキさんに教わった奴だよ。

 

「それしんどくないですか?」

 

多少はね。でも一回通しでやったから、昨日ほどはしんどく感じないね。せっかくだから習慣付けていこうかなって。

 

「へぇ~……。」

 

うん、とりあえずこのくらいでいいかな。さて出発出発~。

 

「何処に向かわれるんです?」

 

ペイルちゃんが行方不明になった地点。ナズさんの証言も貰ったし、今度こそ見つけてやるぞ~。

 

「ペイルさんですか? え、彼女今行方不明なんです?」

 

うん。だから早いとこ見つけてあげなくちゃと思ってね。コルダちゃんとの約束もあるし。

 

「ほぉう。頑張ってくださいね~。」

 

うん、ありがと。じゃあねぇ~。

 

・・・

 

さてさてぇ、ナズさんが言ってた爆破跡は……あっここかぁ。

 

完全に塞がっちゃってるな……上からなら入れそうだけど。

 

バシュッ!! ゴォォォ…… ガタンッ

 

ここは、昨日ハティちゃんと接触した所か。こんな近くだったんだ……。

 

え~っと、たしかコルダちゃんの道標と合わせると……お?

 

もしかして、あのビル? 小屋のすぐ隣じゃん。

 

でも道は無いしここら一帯は堆積物で埋もれてる。こっから見た感じ入り口っぽいものも無さそうだけど……。

 

秘匿施設ってことだったし、いろいろ偽装されてるのかな。ちょっと近くで見てみるか。

 

・・・

 

ザシザシ

 

んん~……一周しても入り口っぽいのは見当たらない……。

 

目玉鍵近づけてみても反応なし……やっぱりこれは中で使うものだったのかな?

 

あ、二人が中に入れてるんだから関係ないか。じゃあ仕舞っとこ。ゴソゴソ

 

ふむ……じゃあ普通に見て分かる感じになってるんだろうなあ。あ、天辺はどうだろう?

 

パシュッ ガタッ

 

ふんふん、一見なんもないけど……見つけた。

 

サ、ジャッジャッ、ポンポン

 

砂被ってるけど、間違いない。これパネルの蓋だね。

 

それじゃあ…… キィィィン ん?

 

パシュッ、ガタ

 

「おはようございます。シーディ様。」

 

うん、おはよう。ハティちゃん。

 

「……ふむ、ここが例の施設の入り口ですか?」

 

恐らくね。一見ただの屋上だけど、パネルがあるし間違いないだろうね。

 

「普通のビルに偽装してたんですね。じゃあこの下にペイルが……。」

 

まだ早いよ、とりあえずみんなを呼んでこないと。

 

あ、とりあえず先にこれ渡しておくね。

 

「これは……生体部(目玉)品ですか?」

 

そう見えるけどね、ここを開いて端子を繋げると……ほら。

 

「わ、展開した!? これは鍵……ですか?」

 

うん。中に入ったら必要になると思うから、貴女も持っておいてね。

 

それじゃあエレベータ呼び出───ゴゥン

 

ん? 「え?」

 

ピッ、ピッ、ピッ……

 

エレベータが上昇中……? 私達操作してないよね?

 

「ええ、触ってもないですし……シーディ様、ここは一旦離れた方がいいかと、」

 

……ゥゥゥウウン、ゴゴン! グォォン……

 

わっ! 床がそのまま屋根になるタイプか。エレベータが籠になってるな、これ。

 

「分析してる場合ですか! 早く離れて!」

 

う、うん!

 

[動体反応:中型2]

 

[・・・][未確認機体への警告射撃を実施します]

 

ガシャン! ヒュゥンッ!

 

あれは! この機体はコルダちゃんをやったのと同じ!

 

「っ!!」

 

[機体情報 照合完了]

 

[対応変更 過去侵入者と関連の疑いあり]

 

[排除 執行]

 

ボボボボボシュッ!! バヒュン! バヒュン!

 

「うわぁっ!?」ボン、ボン! バヂィッ!

 

ハティちゃん!

 

「こいつ、僕を狙い撃ちに!? やむを得ないか!」ヒュィィ……パンッ!!

 

カァン!

 

「効かない!?」

 

[排除目標の戦闘能力査定中]

 

[・・・][脅威度レベルをCへ引き上げます]

 

[未確認機体を敵性機体と認定]

 

[全武装システムをアンロック] ブワァッ!

 

ジジジッ! ボボボボシュ!! バヒュン! バヒュン!

 

攻撃が激しくなった! ハティちゃん逃げて!

 

「逃げようにも、こうも攻撃が激しいと回避するのでいっぱいいっぱいですよ!」

 

「それに、動きが読まれてるような……! うぐっ!」バヂィッ!

 

く、コルダちゃんと同じ構成だから戦闘機動も学習済みだってことか!? こうなったら……!

 

バスッバスッバスッ!!

 

チュン、チュイン!

 

[!]

 

こっちにもいるぞ! かかってこい! バスッバスッ!!

 

[……?]

 

[・・・][敵性機体の排除を優先] チュン、ヒュン

 

な、なんでこっちに来ないの!? バスッバスッ!!

 

ジッジッジッ ガチャン、ドゴォン!!

 

「ッ!! 回避が間に合わな……!」

 

バヂヂッ! ドガァッ!! パラパラ……

 

「ケホケホッ! 盛り上がった地面のお陰で直撃せずに済んだか……!」

 

「攻撃が止んだ……砂煙が煙幕に? 今なら!」ドヒャッ! ドヒャッ!

 

[索敵子機射出]

 

[・・・][目標捕捉]

 

ガチャン、ドゴォン!

 

ヒュン!「うわぁ!!」ズザッゴロゴロ!

 

止まらないでそのまま逃げてッ!

 

「は、はい!」

 

距離は稼げてる……なら! バヒュッ!!

 

そのまま離脱して!

 

「貴女はどうするんです!?」

 

攻撃されないなら、いくらでもやりようはある! うおおおーっ!!

 

バヒュッ! ガシィッ!

 

[!?]

 

「組み付いた!? だめだ! それじゃ貴女が!」

 

視覚を塞げば少なくとも予測射撃はできなくなる!

 

[・・・][当機は戦闘行動中です]

 

[敵性機体未だ健在]

 

[当機から離れて下さい]

 

君が攻撃を止めるまで離れない! ハティちゃん早く離脱を! ラファさんに事態を伝えて!

 

「は、はい!」キュィィィ、ゴォォォォ!

 

[敵性機体 領域離脱を開始]

 

[追撃に移ります]

 

駄目だよ! 行っちゃ駄目!

 

[・・・][妨害継続 鎮圧行動に移ります]

 

[危険 危険 離脱推奨]

 

え? え?

 

[電圧 規定値に到達]

 

[放電開始]

 

バヂヂヂヂヂ!!

 

あ゙ッ!? ぁ……。ガク

 

(身体が、動かない……! 拙い、ハティちゃんが!)

 

[鎮圧完了]

 

[・・・][敵性機体領域離脱を確認]

 

[システム、通常モードへ移行します]

 

(に、逃げきってくれたか……。て、人の心配してる場合じゃないって!)

 

[……マスター] ソッ

 

(え? ……そっか、私が主だから、こっちへ攻撃は避けてたのか。)

 

[管理者個体の保護を優先] ガシ

 

[分析の必要有りと判断] ヒョイ

 

[回収します]

 

(え、ちょっと待ってよ、せめて私は置いて行って!?)

 

ヒュゥン ガシャ ジャコッ

 

(まさかこのまま施設に!? うわーっ!!)

 

ギュゥゥゥン……

 

◇

 

ピピピッ ピピピッ

 

「ラファ、応答してくれ! どこにいるんだ……!」

 

ピッ

 

<<ハティ、どうしたの? 通信なんて珍しい───>>

 

「ラファ! 緊急事態だ! シーディ様が未確認兵器に連れて行かれた!」

 

<<何ですって!? 場所は!?>>

 

「今座標を送る! 協力者をすぐに集めてくれ!」

 

<<ここは向こうの小屋のすぐ隣じゃない!? こんな近くに……!>>

 

<<分かったわ。貴女はどうするの?>>

 

「彼女から貰ったデータと合わせて交戦記録を分析する! みんなが集まったら共有するから!」

 

<<了解よ。落ち合う所は……そうね、機械根の奥の休憩所にしましょう。灯りを焚いておいてちょうだい。>>

 

「わかった、今から向かうよ!」

 

ピッ

 

「焦るな……。焦るなよ、ハティ……!」

 

キィィィン……

 

・・・

 

「ひぃふぅみぃ……六人か。」

 

「これで全員かしら?」

 

「ええ。」

「……貴方とは初めましてかしら?」

 

「そうだね。まずは自己紹介から始めよう。僕はアルカンドのハティ、見ての通り巡礼だ。」

 

「ギリーベルだ。亡骸漁りをしている。」

 

「ヤシカよ。こっちがムシカ。」

「ムシカよ。こっちがヤシカ。」

 

「うん、よろしく。」

 

「私は今更要らないわよね。」

 

「……俺は元ガーディナのナズだ。」

 

「キミが……。……非常事態だ。キミの力を頼りにさせて貰うよ、ナズ。」スッ

 

「……良いのか? お前の同胞を何人も狩った相手だぞ?」

 

「そんなこと言ったら、僕はガーディナ全体を恨まなくてはいけなくなってしまうよ。」

 

「それは教えに背くことになるし、僕個人としても憎しみに囚われるつもりはない。それよりも今は、目的を同じにする者同士手を取り合いたいんだ。」

 

「…………そうか。よろしく頼む。」スッ ギュ

 

「ああ。こちらこそ、よろしく。」

 

・・・

 

「早速だけど、状況の説明と現在分かっている敵性機体の事について共有しておきたい。」

 

「ヤシカ、ムシカ。」

 

「ええ、準備できてるわ。」

「壁に投影するわよ。」

 

ヴゥン

 

タン「先程シーディ様がロストした地点はここ、反対側の小屋の裏にある廃ビルだ。」

 

「巡回ルートのすぐ傍だな……。」

 

ピッ「敵性機体が出てきたエレベーターはこれ。巧妙に偽装されていて、遠目から見ても分からないように構造と一体化していた。」

 

「それを彼女が見つけて僕が合流。その直後に例の敵性機体がエレベーターで上がってきて交戦状態に入った。」

 

スーッ、トン「この事から、この周辺は常に監視されていると思っていいかもしれない。」

 

「ふぅむ……誘き出せれば一応出待ちはできなくもないか……?」

 

「エレベータを壊してしまったら元も子もないわ。大人しく正面切って戦うしか無いんじゃない?」

 

「敵性機体の構成は分かってるのか?」

 

「ああ。画質は良くないけど、シーディさまが残したものと合わせてみたよ。」ピピピ

 

タン「敵性機体の装甲は厚く、少なくとも五種類の武装を使い分けてくる。」

 

「重装の鎧化兵と同程度か。」

 

ピ「うん。中距離でFemtの通常射撃を弾いたことから、実弾装甲はギプロベルデ並と言っても良さそうだ。」

 

「それでいて機動力は飛行脚型並にある。加速肢等のジェット噴射に依らない独自の方法で、空中を自在に動き回れるようなんだ。」

 

「厄介ね。武装の方は?」

 

タン「一つ目は多連装ミサイル。さっきの交戦では数発程度だったけど、コルダの接敵時の映像では十二発も連射している様子が見えた。」

 

「これに狙われた場合、二人(ベルとナズ)の鎧殻だと避け切るのは不可能に近いだろう。だから僕がデコイとして前衛に立つよ。」

 

「大丈夫なのか?」

 

「避けられないならこれ(D Selys)で迎撃するまでさ。二人にはミサイルの迎撃よりも、奴へ火力を叩き込むことに集中して貰いたいからね。」

 

タフ、スッ「二つ目と三つ目は両腕の熱塵銃と電波銃。これらの使用頻度はかなり高い。奴の主武装と言って差し支えないだろう。」

 

「注意してほしいのは、この二つは常時使用可能であるらしいという事だ。交戦記録でも自分の状態を問わず撃っているように見えた。」

 

「威力の方はコルダが逃げ切れたことから察するに、Folsなら問題なく受け止められる程度だろう。」

 

「成程、そういう意味でもお前に前衛を任せた方が良いか。」

 

「うん。そして四つ目は大口径の榴弾砲だ。これは発射の前後に変形を挟むから、フリーの人が攻撃を叩き込むチャンスでもあるはずだ。」

 

「こっちで予兆を察知出来たら合図を送る。聞き逃さないでくれ。」

 

「了解。」

 

「そして五つ目なんだけれど、コレが一番の問題でね……。」

 

「どうしたの?」

「ふぅん……近接武装かしら?」

 

ピッ「うん。御名答だムシカ。奴に接近しすぎた場合、放電攻撃でこちらを行動不能にしてくる可能性が非常に高い。」

 

「シーディ様は僕を逃がす為に奴に組み付いたんだけど、直後にこの放電を受けて行動不能になってる。」

 

「二人が喰らったら致命的な追撃を貰ってしまうかもしれない。奴の接近を許さないでくれ。」

 

「わかった。それにしても厄介だな……。」

 

「大橋の八つ脚の原型機が近寄ると放電してくる奴だと聞いたことあるが、ああいうのって自分にもダメージ入らないもんなのかね?。」

 

「相応に対策してると見た方がいいわね。」

「自滅は望めないでしょう。その前にこっちが全滅するわ。」

 

「ま、手の内が分かってるだけマシね。それじゃあ向かいましょうか。」

 

「何処から上がる? あそこに上がるルートは瓦礫で塞がってるぞ?」

 

「ラファ、ハティ、私達を上に運んでくれないかしら。」

「即席のクレーン程度なら直ぐに設置できるわよ。」

 

「そうだね。そうして貰おうか。」

 

「設置する場所はどうするの?」

 

「あの近くに高い双子のビルがあるだろう? あれなら構造もしっかりしてるし、設置するのには申し分ないと思う。」

 

「決まりだな。じゃあ向かおうぜ。」

 

「ああ。……待っていろシーディ、直ぐ助けてやるからな。」

 

「あ、ごめん。もう一つだけいいかな?」

 

「どうした?」

 

「奴が片付いたら、内部に突入するのは僕に任せて欲しい。」

 

「……一人で大丈夫なのか?」

 

「施設内に隠し玉が無いとも言い切れないからね。全員で行って一網打尽、なんてことになるのは避けたい。」

 

「それにあんなのが何体もいるとは考えにくいし、施設内は二人の鎧殻の強みを生かせない可能性が高い。」

 

「? 屋内こそ俺達の重装甲が活きるんじゃねえのか?」

 

「実は、内部にもミサイルタイプの防衛設備があるみたいなんだ。音声でしか記録が無かったけど、出口を塞がれた状態で多数の爆発音に揉まれ通信が途絶した様子が確認できた。」

 

「うげ、マジか。」

 

「無尽蔵に撃ってくるのであれば、私達では良い的になってしまうな……。」

 

「でもそれが危険なのは貴女も同じじゃないの?」

 

「襲撃される前に、シーディ様から施設の物らしい鍵を譲り受けたんだ。コレが有効なら、閉じ込められる心配はしなくてもいいかもしれない。」

 

「ふむ。ならば小回りが利くお前の方が良いな。」

 

「うん。だからシーディ様の捜索・救出は任せてくれ。これは彼女を奴の手中に落としてしまった僕の責任でもある。」

 

「そういう事なら分かったわ。でも無理はしないで、わかったわね?」

 

「ああ、ここで死ぬつもりは毛頭ないさ。」

 

「それじゃあ準備しましょう。」

「二人ともお願いね。」

 

◇

 

「あー、うー、んん~……。」ペタペタ

 

「…………。」ジッ……

 

「あ、あはは……。」ダラダラ

 

「ぁう……ん! れき、レキ!」キャッキャ

 

「……ウム。もウイいだロう? 降リルがイい。」

 

「あう!」ストッ

 

「はぁー……。」フキフキ

 

「何故お前ガ緊張すル必要がアる。私トテ無垢な幼精ヲ理由なク斬ったリハせんゾ?」

 

「それでもぉ……貴女が発してる圧は私には刺激が強くてですねぇ……。」

 

「ふ……久シブりに幼精ト触れ合ッタからカ、柄にモナく緊張してシマったよウダナ。済まヌ。」

 

「ぃぃぃいえいえ!? そんな謝られるほどの事じゃないですよぉ~! それにしても……。」

 

「すぅ……すぅ……。」

 

「寝ちゃいましたねぇ。」

 

「寝てイタ所を起コして連レテこらレタのだカラな。」

 

「こノまま寝かセテおいテやロウ。」

 

「はい。」

 

「(……。)」

 

「(似ている……あの子に……。)」

 

「(この子は一体……)」




・主人公
ラピュタの要塞でロボット兵にしがみつくシータみたいになっていた(尚普通に鎮圧された模様)
意識はあるが指一本動かせない状態となり、そのまま施設へ連れ込まれてしまった

・下層メンバー
シーディが囚われの身になったことで急遽招集
スケテはレキの所に預け、ショコラも呼びつけて子守をさせている

・ハティ
鈍重な鎧殻を扱っているだけあって回避技能は優秀
ナズの遍歴に思うところが無い訳ではないが、罠地図の件等で信用に足る相手と判断した

・レキ
ラファから留守番と子守を任された
下手に身動ぎすれば怪我をさせてしまうのではと気を張っていたが、その緊張が自然と圧になって発されていた模様

・ショコラ
シーディと別れた後にラファと商談していたらハティの通報が入った
商談の途中だったので暫く待っていたら、ラファから呼び出されレキと共にスケテの子守をする羽目になった
ナガラ崩壊後、各地へ散った生き残りによる襲撃を幾度となく受けた為、レキの前ではどうしても緊張してしまう
ミントと瓜二つな容姿を持つスケテという存在に、なにか引っ掛かりを覚えたようだ
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