どっちかというと周りの方が頑張る回
(動け……! 動けよ身体! 動力が生きてるんだからどこか他の器官も生きてるだろう……!)
(身体の感覚は依然として無い……でも無いだけだ。)
(頭脳が生きてるんなら他の感覚器も生きてる筈。ショックでオチてるだけで再起動かけられるかもしれない。)
(何とかして診断プログラムを起動しないと……。)
チッ……
(……!! この感覚は……お腹! 変換炉か、リジェネレータか!?)
(集中しろ、感覚の出どころを確認できれば……)
ジワ……ジリジリ……
(! 神経から信号、リジェネレータか! そうと分かればこっちのものだ!)
(う、この信号パターンはエラーコード……。変換炉とリジェネレータにもダメージが入ってるという事は、無理させたら最悪機能停止するかも……。)
(どこまで働かせられるかわからない。修復ポイントを絞るしかないな……。)
(まだ自己診断プログラムの応答がない。先に回路の神経網を復活させられないか?)
シュィィ……ヂッ
(来た、非常用! これで簡易的にだけど自己診断が出来る!)
(起動、緊急診断。頭部は全項目に設定、身体は重篤なエラーのみに絞って……。)
(うわ、身体中の神経が焼き切れてる……。視覚は神経溶断と受光部の焼き付き。聴覚は左が耳ごと破損してるけど、右は神経が焼けただけ。嗅覚は……感覚器がイカレてる。)
(機体に接してた顔面部分が特に酷いか。発声器もやられてる。)
(頭脳が焼けなかったのは奇跡に近いな……。身体の方は───内臓は殆どが神経部の破損か。)
(リジェネレータと変換炉、脊椎の神経束は生きてる。保護機能で耐久性を上げていてくれたおかげだね……ありがとう、イーデン。)
(しかし保護されてる筈の内臓でコレなら、生体部品の殆どは使い物にならないと思った方が良さそうだ。鏡を見たくはないね。)
(とりあえずリジェネレータと変換炉をやれるだけ直して、次は感覚器と両腕を集中的に修復。後は余力があれば内臓を直してって感じか。)
シュゥゥゥ……
(……地上はどうなっているんだろう。ハティちゃんと、多分みんなも来てるんだよね。)
チチチ……
(結果が上がった! リジェネレータは大体直ったけど変換炉は稼働率三割、内臓は直せても身体全部は無理そうだね……。)
(こんなログ見せたらイーデン卒倒させちゃうな……。)
(それじゃあ身体は右腕を直すか……実質丸ごと再構築だから、これだけでも結構ギリギリかも。)
シュゥゥゥ……
(合流してるとしたら、ハティちゃんはナズさんとは連携できてるかな、喧嘩してないと良いけど……。)
(ギプロベルデとも緊張した関係にあったはず。ベルさんは大丈夫だと思いたい。)
ヂリッ
(! 視力が回復した! 眼だけでこの速度か……じゃあ他の感覚器は後回しにして、次は腕に集中させた方がいいね。)
シュゥゥゥ……
(それにしてもここは……確か手術室と言ってたけど、もしかして記憶で見た二人を改造した場所なのかな。)
(ワンは亡骸は大量にあると言ってた。どこかに安置所みたいなのもあるんだろうね……。)
(変換炉が壊れたら最悪その子達から取らなきゃいけないのか……。)
(深刻に考えすぎるな。そもそも腕を直せば荷物から促進剤を引っ張り出せるじゃないか。)
(もどかしい……こうしてるうちにも、上で誰かがピンチになってるかもしれないのに……!)
(動けるようになったら真っ先にワンを止めないと。でも止めるったって、どうやって? 口では止まってくれないだろうし。)
(……それにしても時間かかるな。三割でも、腕だけならもうちょっと早く済むと思ったんだけど……。)
ゴソ、ゴソゴソ
(腕の感覚が戻ってきた! ……ん?)
(なんか、感覚が重複してるような……。)
グイ、スッ
(!!! 右腕が、二本!?)
(待って待って! もしかしてこれって、素体情報がバグってる!?)
(もしそうじゃなかったら、参照してるものがかなり古いってことじゃ……!)
(どっちにしてもマズい……! 昔の素体で復元されたら色々不具合が出るかも……。)
(そもそもなんでこっちの腕が復元されて……まさか、Triusは全部イカれたのか!)
(取り払った副腕の代わりとして認証されていた鎧殻が壊れた事で、元の腕を作り直してるという事だね……。)
(ということは、鎧殻は全部外さないといけなくなったな……。接続部も修復しないといけない。)
(ごめんイーデン、また壊しちゃったよ……。)
シュゥゥオァァ……
(終わった! それじゃあ接続部と下半身の生体部品を……。)
シュゥン バシュバシュッ ガチャコッ ガシャン
(よし、上手く外れてくれた。それじゃあ足を抜いて、Triusは仕舞って……。)
シュゥン シュンシュンシュン
(換装、完了。促進剤を塗布して……よし。一応お腹にも突っ込んでおこう。……立てるかな?)
パシ、グググ……
(ぐ……く。何とか歩行はできる感じか。となれば、オペレータールームを探そう。)ヨタヨタ……
(私も使ってたのなら部屋としては存在するはず。修復で時間を取られすぎた、急がなくちゃ……!)ガコン
ピーッ
(え、警告音? メインCPUがオーバーヒートって、なんで、)
ドシャッ!……
(う、ぐ、これは……バックグラウンドでフラッシュバックが続いてたのか……!)
(過負荷で過熱して、うぅ……! 止まって、今はそれどころじゃ……!)
プツン(っあ、)
◇
<<敵機、熱量上昇してるわ。>>
<<攻撃が苛烈になると同時に、機動性も上がると予想されるわ。>>
<<例の電撃も積極的に狙ってくるかも。ハティ、気を付けて!>>
「言われなくてもッ、と言いたい所だけどッ!!」バシュッ! ドキュンドキュン!!
バヂッ! ジジジジジッ!! バヒュンバヒュンバヒュン!!
「やはり回避するので精いっぱいだ! EPを回復する暇がない!」ザスッ バシュッ!
[
ボボボボボボシュ!! ボボボボボボシュ!!
「ク、多い……!」キュィィ……
ドヂュヂュヂュヂュヂュン!! ボボボンッ! ヒュンヒュン!
「いかん、迎撃しきれていない!」ギャルギャルギャル!
「ならこうしてやるまでだッ!」ガチャ、ダァン!
キュィン! ボガァッ!! モァァ……
[
ジジジジジッ!! バヒュンバヒュン!!
ガチャ
「ッ! 変形音!」ドヒャッ!
「やっべ、煙で見えねえ!」
「私なら視える! そこだッ!!」ダァン!
ガギィッ!!
[
ドガァン!!
バギィン!!
「ぐぁッ!?」
<<ハティ!!>>
「ま、まだだ……! たかが左副腕が捥げただけだ!」
「行け! ドローン!」ガチャ、ヒュヒュヒュン!
チチチッ! チチチッ!
[
キュゥイィ……バヂンッッ!!
「かかったな!!」ドヒュッ!! ガシッ!! ペタペタ
[
ギュゥン、ギュゥン! ブンブン!!
「ふっ、今更、気付いても、遅い、よ! うわぁッ!!」ブンッ! ドシャッ!
ガギン! バスン
「しまった、加速肢が……!」
[
ジジジジジジジジジッ!! バヒュンバヒュンバヒュンバヒュンバヒュンバヒュン!!
バヂッ! バヂヂッ! ボガン!
「ぐぅぅぅ!! Selysが!! 二人とも僕に構わないでアレをッ!」バッ!
「しかし、足元じゃお前まで!」
「離れろ! ハティ!!」
[
ギュゥアアッ!! ゴガァン!!
「うぅっ!? 流石に同じ手は喰わないか!」ガンガン! ゲシッ!
[
ガシィ!! ギリギリ……!
<<ハティ! 振りほどきなさい!>>
[
<<敵機に温度が急上昇している部分があるわ。>>
<<電撃の用意をしてるわよ、早く!>>
「二人とも! 構わず撃って!」
[
「しかし……!」
「お前の方が無事では済まんだろう!」
「電撃を貰う方が危険だ! 早く!」
[
ギュルン!
「クソ、盾にしやがって!」
「こちらからでは狙えん!」
「なら回り込んでやる!」
「合わせる!」
[
ボボボボボシュ!! バヒュンバヒュンバヒュン!!
「この程度のダメージが何だ!」ドガン、バガン!
[
ジジジ……!!
「(爆弾の位置は、あそこか!)ッ!!」ジャキッ!
「(肘関節を狙えば……!)……!」ジャコッ!
「「喰らえッ!!」」ダダァン!!
ガン、バギン!! ドドガァッ!! ボガン!!
[
バギンッ!! グラッ
「ぐぅああああッ!!」バッ!
ヒュ、ドシャアッ!! ゴロゴロゴロ……
<<ハティッ!!>>
「た、助かった……ありがとう、二人とも……!」
[あ゙あ゙ああッッ!! 身体が、焼ける……ッ!!] バヂヂヂィ!! ボボン!
「この、いい加減斃れろ!」ドドン! ダァン!
[ガァッ!!]バギィッ!! バヂュィン!
「ハティ! こっちだ!」
ドヒャアッ! バスン バガン!
「く……ごほごほっ……!」ヨロ……
「大丈夫かハティ!」
「ああ……腕以外は無事だよ……。ラファ、今、上がるから、準備を……ゲホっ!」
<<降りて待ってるわ、早く!>>
「喉と胸も少しやられてるな、俺の脚に乗れ!」ギャリリィッ!!
「済まない……!」ガシャ
「……奴のジェネレータ反応が消えない、まだ生きてるぞ! 早く退け!」
「マジかよ……!」ブォォォオオ!!
「だけど、あっちも深手を負ってるはずだ……!」
[あ゙あ゙あ゙あ゙ああああ!!! ぁははっはははああ!!]
ドゴァン! バババァン!! バヂヂ……!
ボシュゥボォォォ!! メラメラメラ……ギギギィ……
[よくもよくもよくもォ!! この機体にここまでの傷をォ!!!]
ガシュゥン!
[ォ゙ォ゙ォオオアア゙ア゙! 逃すものですかァ!!] ガチャン!!
<<変形音探知!>>
<<来るわよ!!>>
「二人とももっと速くリフト上げて! 急いで!」
<<これでも最大出力よ!>>
<<敵機、こっちを向いてるわ!>>
「ナズを狙うつもりか! させん!!」ギュルルッ!! ダァン!
[邪魔だ鉄塊風情が!!]キュィィ……バババババババヒュン!!
「ちっ!
[そんな豆鉄砲で私を止められると思ってッッ!!?]バガン、ゴギン!
[榴弾装填ン!! 貴様らだけは絶対にィ!!]ジャコン!!
「まずっ、遮蔽がっ!」
「お前ら俺の後ろに隠れてろ!」ギャルルッ!! ギュォン!!!
ズザッ! ガシャン!!「「ナズ!?」」
[此処で死ィねぇっっっ!!!]ドガァンッッ!!
「こんな所で死なせるかァッッッ!!!」ダァンッッ!!
バヂィンッッッ!!! ボガァッッ!!
「うわああっ!?」「きゃっ!!」「くぅぅ!!」グラグラ
[っは、砲弾を、迎撃ッ───!?]
「───よくやったナズ。」ガシャ
[はッ!?]
「此処までだ、果てろ。」
ドドガッ!!ダァン!!
バキィッ!! バヂンッ!
[うそ、嘘ですわ……私が、この機体が、負けるなんて……ありえ……!]
グラァ……ガシャァン……!!
[ああ……あああ……!!]
[申し訳ありません……私は、貴女様の信頼に背きました……!!]
ボヂヂッ、バヂンッ! ギュゥウン……ドドドォン!! ボォォ……パチパチ、パァン!
<<今の言葉は……一体……。>>
<<『貴女様』……?>>
「……敵機沈黙、確認。どうやら仕留められたようだな。」
<<……ええ。こちらでもジェネレータ反応の消失を観測したわ。>>
<<早くハティの手術をしましょう。>>
「すまない……頼むよ……。」
「よく頑張ったわね。すぐに治してあげるわ。」
「……根性見せて貰ったぜ。やるじゃねえか、ハティ。」
「それはお互い様さ……君も、ベルも。」
・・・
「痛ッ……! はぁ、ぐっ……!」
「あと少しの辛抱よ……はい、終わったわ!」
「ハァ、ハァ……ありがとうラファ。」グ、パ、グ、パ
「あくまで応急処置なんだから、帰ったらちゃんと修理してもらいなさいね。」
「ああ、わかってるよ。」
「鎧殻の方も直せるだけ直しておいたわ。けれど無理はさせないでね。
「後はこれを。再生剤よ。」
「ああ、二人もありがとう……」コクコク
「ぷは、それじゃあ行かなきゃ……。」ヨロ……
「気持ちは分かるけどまだ安静にしてなさい! ちゃんと定着するまであと二分は必要よ。」
「それに主腕武装もなくしただろ。中で襲撃されたらどうするつもりだ?」
「……そうだね、急ぎ過ぎたかもしれない。どうしようか……。」
「私の
「いいのかい?」
「ええ、構わないわ。予備があるし。」
「そっか、じゃあお言葉に甘えることにするよ。」チャカ
「連射はできなくもないけど、反動が大きい銃だから傷が開くかもしれない。注意して。」
「ああ、わかったよ。」
「ベル、そっちはどうだ? なんか動きあったか?」
<<いや、何も。視れるだけ見ているが、静かなものだ。>>
「じゃあさっきのみてーな奴が出てくる心配はしなくて良さそうだな。」
<<……本当について行かなくていいのか?>>
「始めに言った通り、これは僕がやらなくちゃいけないことだからね。」
「ペイルも、コルダも、シーディ様の事も、これら全部を解決してからじゃないと上に帰れないよ。」
「僕が帰らなかった時どうするかは、みんなに任せる。」
<<ふむ……。ならばこういうのはどうだ?>>
・・・
「それじゃ、行ってくるよ。」
「ええ、気を付けてね。」
「ベルも気を付けて行けよ。」
「ああ。」
「じゃあ降りるよ。」
「うむ。」
ガシャン グォォン……
「……済まない、ベル。付き合わせてしまって。」
「気にすることはない。どのみちここを確保しておく必要があったのだからな。」
「それに電子戦機の私が居れば不意打ちにも対応できるかもしれんし、外からロックを解除できる可能性もある。」
「……シーディの事が心配なのは私も同じなんだ。少しくらいは付き合わせて貰わなければな。」
「ああ。万が一の時は頼むよ。」
ゥゥゥンン……ゴゴン
「着いたな。この先の通路がそうか?」
「うん。エレベータはロックされないらしいから、ここで待機していてくれ。コルダはここにいたから逃げられたんだ。」
「ふむ……。」
「それじゃあ、行ってくるよ。」
「気を付けろよ。」
・主人公
身体はズタボロ 生きてるのが不思議なくらいの損傷度
余りにボロボロすぎて、顔は槍ネマ様みたいになっている
・ワン
激戦の末倒れたが、撃破されたのはあくまで端末なのでまだ生きている
最初から全機能を100%使っていれば勝ちの目はあっただろうが、システムの判断で段階的に引き上げる仕様なので叶わなかった
・ハティ
ワンとの戦いでSelysを失い副腕は片方が捥げ落ち、両腕も骨が露出するほどの損傷を負った
しかしラファの手術と双子の修理によって、何とか見た目上は(袖以外は)万全となっている
・下層組
即席のチームだったが、役割分担をしっかりしていたことで上手く連携できた
ナズは地上警戒の為に残り、ベルは少し無理を言ってハティに同行した