ココ開けていいですかー?
「あ、その扉は開けるな。そこは以前から防衛型が棲みついていてな。外に出てこないように封鎖したんだ。」
へぇ~……そんなのがいるってことは、ここもアーヴドだったんですね。どおりで見覚えある景色なわけだ。でもこんな浅い所に配置してましたっけ?
「このエリアは窟帝弑逆の報を受けてすぐに取り合いになった。あれはその名残だ。」
知ってるんですか?
「私も作戦に参加していたからな。このエリアにあるとされていた重要資源の確保のために、ギプロベルデも多数の部隊を動かしていたんだ。」
はえー、そんなことがあったんですねえ。あの時は私上層の方に居たんでよく知らないんですよね。どうなったんです?
「うむ、当初は目論見通り我々が順調に制圧を進めていたんだが、アーヴドのほうが一枚上手だった。外でファブラーと小競り合いをしている間に先手を打たれてしまってな。」
「気付いた時にはもう防衛型が犇めく絶対防衛ラインが完成、回り込める道も全部落とされていて誰も手出しができなくなってしまったんだ。」
なるほど、道中やたら構造が崩壊してたのはそういう経緯があったんですね~。砲撃タイプが睨んでたら道も作れないし、アーヴドの作戦勝ちってことですかね?
「いや、あの戦いに勝者は居なかった。しばらく膠着状態が続いたある日、地の底から大量の異形が噴き出してきたんだ。」
「凄まじい物量だった……。アーヴドがアイツらに滅ぼされたというのは間違いないだろう。」
「結局防衛ラインは蟲共に飲み込まれ私たちも資源の確保どころではなくなり、奴らの軍勢から逃げ延びるので精いっぱいだった両者はそれぞれ対異形戦線を構築した、という訳だな。」
ふむ……貴重なお話ありがとうございます。ところでそのー。
「ああ、私たちが狙っていた重要資源だろう? お前にも想像がついたかもしれんが、それは墜落した部屋にあったアレだ。」
種子とその生産拠点……そんなもの、どこだって喉から手が出るほど欲しいですもんね……。まあ女神の指令が無いと生育進まないみたいなので、確保したところで意味はなかったでしょうが。
「はぁ、窟帝ももう少し融通効かせてくれればやりようはあったのにな。おかげでコロニーは減る一方だ。」
このまま戦争が続けばそのうち女王も絶えてニンフは滅び、対処能力に劣る自動機械は異形に取り込まれて、最後は奴らがホドを埋め尽くす……笑えないですよ。
……あれ? ギプロベルデもファブラーも侵入できなかった領域に、何で私が落ちてこれたんですかね?
大脊柱に私が落ちるような大穴が空いてたら気付くだろうし、激突したなら私の方がバラバラになってるはずです。
「あの部屋は吸い込むような空気の流れがあったから、お前は恐らく通気口から落ちてきたんだろう。ポロッカの大爆発で一緒に飛んできた破片が外壁を破壊し、露出したダクトにお前が突っ込んだ……そんなところじゃないか?」
「外には風化による崩壊では説明しにくい破損部分があるから、あり得ない話ではないだろう。」
もしそうだとしたらよく生きてたなって感じですね~。でも外壁壊しちゃって大丈夫なんでしょうかね?
「大脊柱の構造体周り、特に重要度の高い部位は自己修復機能が生きてるみたいでな、多少の損傷ならしばらくすれば元通りだ。」
なるほど~。そうなるとまるでホドが生きてるみたいに見えてきますね。
「今も最外縁は拡張工事が続いてるというし、案外その通りなのかもしれんぞ? さあおしゃべりはここまでだ。この先は自動機械が犇めいているからな。」
まっかせて下さいよ! 全部なぎ倒してやります!
「さっきの倍はいるからそうもいかん。私が先行して引き付けつつ高所の二脚共を片付けるから、シーディは通路の連中を始末してくれ。」
あいあいさー!
「よし行くぞ!」
・・・
なんか呆気なかったですねー?
「二人がかりならこんなモノだろう。これならお前一人に任せてよかったかもしれんな。」
おお……なんだか認めて貰えた感じがします!
「被弾もほとんどしてなかったし、実際よくやっていると思うぞ。アルカンドよりもナガラの方に適性があったんじゃないのか?」
いやーあそこはちょっと……。それにもしナガラに産まれてたとしたら開花する前に使い潰されてますよー。
「あそこそんなに技師型の扱い悪かったか? それなりに待遇は良い方だと聞いていたが。」
それは刀工として優秀な能力を示したり、忠義を誓う『刃』に出会えたらの話ですねー。そうでない技師型、特に幼精を上がった年頃の子達は他所の通常型と変わらない扱いでしたよ。
まあそれでもいきなり試し切りされないだけマシな扱いではあったでしょうけど。
「ふむ、随分と詳しいんだな。それも偵察の成果か?」
偵察というよりは私の趣味ですねー。他所のコロニーを観察するのは楽しいですから。彼女らの剣術を見ていたおかげで身体が動いてくれましたし。
「ふうむ、所謂『技を盗む』というやつか。そういえばお前の動きは昔見た近接使いとは少し違うな。誰かの剣術を模倣したのか?」
お、わかりますか。ぱっと見だと気づかないんですが彼女らの太刀筋は同じように見えて結構細かく違ってまして、特にナガラ女王の愛刀として数々の武勲を打ち立てることとなったBalmungはナガラ戦士の戦闘流儀の基本が詰まっていてたくさんの『型』と呼ばれる剣術の流派が……ややっ、アレは!?
「運搬用の自動機械だな。あれはすばしっこいぞ?」
なんの、盗んだ技術の見せ所ですよ! 我が剣術でまとめて仕留めてご覧にいれましょう! イヤーッ!!
「おお、壁際に誘導して一気に二体とも切り伏せるとは……やるじゃないか。」
取ったりー!! おっ、グレランとライフル持ってましたよこいつら!
「良かったな。これで二刀流とお別れできるぞ。」
やったあ! でもいざ止めるとなると寂しい気もしますね! 今宵の魔剣は血に飢えておる……。
「マケン?がどれほど強力かは知らんが、射撃武器が無いと外で生き残るのは厳しいぞ? 異形共の攻撃には寄生や浸食がつきものだからな。」
はい! 射撃戦闘スタイルに切り替えます!
「分かればいい。私にお前の亡骸を漁らせるなよ。」
ベルさん……。
「なんだその目は気持ち悪いな。言っておくが言葉以上の意味は無いぞ。勘違いするなよ?」
ふぇっ!? ぃいえいえそんな、そんな邪な想いは抱いてないですよ~!
「お前は少し人懐っこすぎる。そのうち誰かを勘違いさせて纏わり付かれることになるかもしれんぞ。」
そ、それは困ります! 私秘密多きニンフなので……!
「なら自分を客観視して適切な距離感を保て、でないと後ろから撃たれるぞ。私もここまで絆されるとは思ってなかったしな……。」
エっっッ!?!?!
「う、うるさい! 今のは聞かなかったことにしろ! ほら行くぞ!!」
あ、ちょちょ、待ってくださいよー!
・・・
「出口はすぐそこだ。二脚が左の足場から奇襲してくるから迎撃準備。」
? そっちは行き止まりですけど……あっちの大部屋じゃないんですか?
「大部屋? そこは壁しかないぞ?」
でも私の眼にはかなりの広さの空間が観測されてますよ?
「なんだと? ……いや、壁しか見えないな。右眼が誤作動してるんじゃないのか?」
えー? でもほら、何も無いじゃないですか。
「!? お、おい! 腕が壁の中に入ってるぞ! どうやったんだ!?」
普通に手を伸ばしただけですけど。
「本当だ……これはホログラムか。む、お前その右目、何か様子がおかしいぞ。」
? 私は特に何も感じないですけど……。
「レンズの奥が淡く光っている。もしかしてこれを見破れたのはその眼のおかげなんじゃないか?」
……『女神の権能』ってそういうことォ!?
「女神の権能? それがその眼の機能なのか?」
詳細は書かれてなかったですけどね……。なるほど、下位ニンフには知覚不能なものを認識できるようにするデバイスか。
「凄い奴だな、そのイーデンってのは。そういえばしきりにその名を呼んでいるが、姉妹なのか?」
はい! 私の自慢の妹なんですよ! 好奇心だけで整備の腕はからっきしな私に比べて、画期的な発明をしたり開発専門の集団を組織したり、なんでもできるんです!
ポロッカの爆発に巻き込まれる前の通信では、炭素生物の『コッカ』とか『シュウキョウ』という概念に興味を持ってたみたいなので、今頃新しい形の組織作ってるかもしれませんね!
「……それって、もしかしてアルカンド連邦の事か……?」
アルカンドっていまレンポウってものになってるんですか?
「ああ。女王を伐採せず、一つの教義の下に複数のコロニーがまとまって共同体を成す……弱肉強食の中層には無い考え方だ。……まて、まさかイーデンって、教会長イーデンのことか!?」
キョウカイチョウ? へぇ~、イーデン今そんな風に名乗ってるんですね!
「上層の実質的トップだからな……。アルカンドを知っていてイーデンの名を知らぬモノは居ないだろう。」
いつの間にそんな有名人に……お姉ちゃんは誇らしいです!
「お前は本当、色々気にしないタチなんだな。」
戦争よりも炭素生物の遺物を探してる方が楽しい異端ですからね~。
「お前の妙な語彙はそれ由来か……。ニンフがお前みたいなのばっかりだったら、ホドはもっと平和だったろうに。」
あはは、それはそれで種族の寿命を縮めてしまいそうですけどね! それよりも、今はこっちですよ!
「ああ、しかしこんな大部屋があったとはな……。」
レーダーで視た感じだと大空洞に近い広さです。何があるかわからないですし、ちょっと様子見てきますね。
「大丈夫か? 異状が起きたらすぐに引き返せよ?」
心配性ですね~。私の目はそうそうごまかせないので大丈夫ですよ!
「そういって散々な目に遭うのがお前だろうに……。」
まあ何とかなりますって! それじゃ行ってきまーす。
「気をつけてな。」
・・・
分かってたけどかなり広い空間だな~。一辺を一度のブーストで走り切れなさそうだ。
真ん中は見た通りっぽいし、端っこをぐるっと一周しよう。何も落ちてなさそうな雰囲気だけど、さっきの隠し通路の事もあるしね。
……コンクリブロック、コンクリ塀、コンクリブロック、コンクリ塀、ガスボンベ、コンクリブロック……ほんとに何もないな~。
見つけておいてなんだけど、なんの意味がある部屋なんだろう? 今のとこただ広いだけの空間って感じ。
「おーい、何かあったかー?」
なーんにも無さそうですー! こりゃ探すだけ無駄そうですねー!
……ん? 振動?
「いかんッ! そこを離れろッ!!」
壁の奥から何かが接近してきてる!? やばいやばいやbドガァンッッ!!ぶぎゅッ!!!
「シーディッ!!」
あーれー……なんか既視感……。
「おいっ! 生きてるか!? 返事をしろ!」
へへ……元気……イッパイだぜ……。
「冗談言ってる場合か! クソ、ここは退くぞ!」
・・・
「なんなんだアイツは、デカすぎるだろう……!」
いづづ、鼻が凄い違和感……。
「酷い顔になってるぞ、鼻がひん曲がってる。」
うわーやっぱり。仕方ない、やるしかないかー。
「まさか。」
せーの、フンッッッ!!! いっだあ~~~……。
「無茶をする……。本来なら部位交換が必要な損傷だぞ?」
はは、下層には予備部品ありませんからね。軟組織の破損程度ならいつもこんな感じですよ……よし直ってきた。
「いくら何でも早くないか? まあいい、次はアイツだ。……近寄ってこないな。」
それどころか明後日の方向見てますね。もしかして、アイツもこの壁に認識阻害されてるんじゃないですか?
「そういう事か! なら好都合だ、このまま放っておこう。」
いいんですか? もしかしたらこっちの油断を誘ってるかもしれませんよ? 突っ込んで来る前に倒してしまった方が……。
「いやに好戦的になってるなお前。いいか、目的を忘れるんじゃない。最優先は外に出ることだ。」
「こっちに向かって来ないとわかった以上、無理をしてあんなデカブツの相手をしてやる意味は無い。」
……それもそうですね! じゃあ出口に向かいましょう!
「(……。)」
・・・
掃除終わりましたぁ。やっぱり射撃武器あると楽ですね~。
「ああ、ご苦労さん。この辺だったな……そらっ!」
うわわっ、壁に手榴弾投げていったい何を?
「ああ、説明してなかったな。ここの壁の裏が抜け道になっているんだ。この部分だけ他よりも薄くなっていてな、手榴弾でも簡単に崩せる。」
あーそういう……。でもしばらくすると自己修復機能で塞がれるから、通るたび壊さなきゃいけないってことですか。
「そういうことだ。この裏は
なるほどなあ~、りょーかいです!
「っと、開いたな。このパイプ伝いにしばらく上がっていけば外だ。」
本当だ、覚えのある組成の空気が流れ込んできてる。
「足を滑らせるなよ。落ちたら助けてやれないからな。」
つかぬことをお聞きしますが、どのくらいの深さなんで……?
「投げ落とした光石の発光が視認できなくなる程度だな。」
ひえ……気をつけよ……。
・・・
「着いたぞ。外だ。」
おお~、ここはナガラの跡地ですね?
「ああ、今はこの領域全体が聖智廟と呼ばれている。」
それは女神の一部が封印されているっていう、あの?
「真偽はわからんが、この奥の部屋がそうだとは聞いたことがある。確かめたことは無い。」
……封印という割には随分オープンな感じですね?
「昔はナガラの溜まり場、今は寄生された成れの果ての巣窟、好き好んでここに来る奴なんていないだろう。」
つまり扉なんて不要と。まあわかりますが。
「さて、じゃあ私の仕事を手伝ってもらうぞ。」
りょーかいです!
・中央大空洞の進行ルートはプレイヤーと大体同じです
地形の自動修復、姉御の隠し通路、ボスエリアと偽眼部屋の欺瞞障壁は独自解釈
異形が噴き出して云々のくだりはACNXのラストがイメージ元です
・シーディ
実力は「中堅戦士以上ベテラン戦士未満」くらいで大体野良ニンフと同程度
好奇心旺盛で欲求を満たす為なら自分の身体を弄ることに躊躇いがなくなるマッドな面もあり、よくイーデンに実験台として利用されていた
・ギリーベル
助けた恩を盾にこき使ってやろ、くらいの気持ちで同行させたら逆に振り回される羽目になった苦労人
人懐っこいシーディへ無意識に誰かの姿を重ねて見ている
あの構成で下層の雑魚を相手しながらアイテム漁りするのはきつくないですか姐さん