ブライト艦長が各
「ジョブ少尉! ハヤト! 目標に接触まであと1分!」
『ザッわかったアムロ! 今光ったな!? ザザザ』
『あれは発砲した火線の光だな!? ハヤト、そっちの方が速いから、先に行って敵に一発頼む! こっちは上空をフライパスしながらガンダムを切り離す!』
「『了解!』」
ハヤトのコアブースターが更に先行して、Gアーマーを追い抜いて行く。そして数秒後、Gアーマーのメガ粒子砲が火を吹いた。
『ザザ奴ら、
「わかったハヤト! 今行く! ジョブ少尉!」
『分離するぞ!』
Gパーツが前後に分離し、ガンダムがその雄姿を現す。アムロは敵機にシールドを1枚投げつけると、地上に着陸寸前でブーストし、高速ダッシュ。元から無い連携を更に乱され、
「1つ! 2つ! 3つ!」
アムロが数えるごとに、1機のザクⅡやグフが
だが
となれば、味方殺しさえ平然とやる奴らだと
『アムロ、大丈夫ザザザ』
『ザッ見えた! そこだ!』
『ミデアはもう離脱したな!?』
「ええ、離脱し……。そうか、ミデアを襲ったのはホワイトベースをおびき寄せるためだったのか!? だから僕らが来たら、ミデアには目もくれなくなって……」
エグザベ、シイコ中尉、カイ、リュウ少尉、セイラたちが到着した以上、もはや
*
「なるほど、生半可な事ではあの木馬……。エルランからの情報によれば、ホワイトベース、だったか? その
「は! コアブースター、それにGメカと」
「うん、いい子だクローディア。それで?」
「は、そ、それでと言いますと……」
「僕を馬鹿にしてるのかい? 今後どうすべきか、お前はどう考えているか聞いているに決まってるじゃないか」
「も、申し訳……ひ!」
男は優し気に微笑む。
「悲しいなあお兄ちゃんは。この優しい兄が教えてあげよう。まず今のままの戦力ではどうしようもない事は、今見ての通りだ。だから早急に、近場の味方部隊から
「は、はい、お兄ちゃ」
ばぎぃっ!
「がぁっ!?」
「だめだろう? 可愛いクローディア。隊長、もしくは階級で大尉殿、と呼べよ。ああ?」
「も、もうしわけありません隊長」
蹴りを入れられた少女、クローディアは必死で平身低頭する。だがそこへもう一度、蹴りが飛んだ。
「ぐぁ!」
「隊長『殿』だ。愚か者」
「も、もうしわけありません、隊長殿……」
「ははは、そんなに怯えないでくれよ。僕たちは
周囲の兵員たちは、静かに見守っている。だがその表情はほくそ笑んでおり、少女が暴行を加えられるのを喜んでいる様に見えた。だが隊長の視線がそちらに向くと、すぐに顔を下ろし、知らん顔をする。
「さて、ここは……」
ビヒュウウウゥゥゥン!! ゴガアアアァァァン!!
長距離ビームに爆散するザクⅡJ型。見遣るとガンキャノン2機の狙撃用ビームライフルでの支援の元、黒と銀のガンダムタイプ、プロトガンダムがこれもビームライフルを撃ちながら駆けて来る。そしてまた1機、兵員が乗っていないグフが爆発した。
「な!? 馬鹿なこの距離で発見されただと!? 総員撤収!」
*
カイ、そしてセイラが機体の足を止めさせる。
『追い付けないわね』
『エグザベが明後日の方角にザザッビーム撃ったときにゃ、何かと思ったが』
「うん、なんか嫌な感じがしたんで、そっち見たら『
『俺もどうにかグフはザザザッ撃破したけどよぉ』
エグザベもプロトガンダムを停止させた。
「新型
『足は速いみたザザザでしたね。遠目で観察した感じ、ホバーでしょうか?』
『わからんが、撮影した映像を、ホワイトベースで分析してもらおザザザザッ』
上空に、ホワイトベースが降下して来るのが見える。一同は、帰艦の準備に入った。
*
マチルダ中尉は、ブライト艦長に補給物資の目録を手渡していた。
「ありがとうございます、感謝しますマチルダ中尉」
「いえ、これも任務ですので。火器の弾薬、そして万が一のための歩兵用の白兵戦用銃火器と分隊支援火器。それと艦と
「それと?」
「GM指揮官機用のオプションなのですが、コルベットブースターを2機、持ってきました。お役立てください」
コルベットブースターとは、ジオン軍のドダイYSに相当するというか匹敵するというか、GM指揮官機用のサブフライトシステムだ。ただしこれは搭乗員がおらず、ドッキングしたGM指揮官機からの操縦で動かす事になる。
「これは、助かります。しかし何故2機?」
「コルベットブースターは個別のパイロットが居ませんので。戦場で放棄する事も考慮しての事です。それとサブフライトシステムの有効性のデータを取っていただければとの下心もあります」
「了解です」
ちなみにコルベットブースターは、ジオンのドダイYSが
そしてマチルダ中尉は話しを変える。
「ブライト艦長。ジオンは、と言いますかオデッサ基地の総司令官マ・クベ大佐の上役であるキシリア・ザビは、エースパイロットである黒い三連星をザンジバル機動巡洋艦でこの地に送り込んで来ました」
「!! あ、あのレビル将軍をルウム戦役で捕虜にした、黒い三連星ですか」
「はい。各地のジオン軍、そして
「……敵も味方も、防諜は穴だらけ、ですか」
苦々し気に言うブライト艦長に、マチルダ中尉は笑う。
「それでも、今レビル将軍は連邦軍側のザルの穴を塞ぐべく、動いております。我々のミデアの輸送ルートを知る人間は、そうは居りません」
「作戦前に分るといいのですが」
それでもブライト艦長の、眉間のシワは取れる事は無かった。
*
チューブ入りのドリンクや戦闘糧食のバーガーを、
ちょこちょこと歩き回るレツを、フラウが注意している。如才ないカツが、ドリンクやバーガーの大箱を並べて、ニャアンが取り出しやすい様にしている。キッカがニャアンを真似て、ドリンクをブライト艦長に手渡し、引き攣った笑顔でお礼を言われている。
そんな様子に、ほんの少しだけニャアンの頬が
(……!!)
その瞬間、彼女の背筋に怖気が走る。彼女はブライト艦長に駆け寄って小声で言った。
「ぶ、ブライト艦長」
「? どうしたん……いや、まさか『来た』のか!?」
「は、はい。今までとは段違いの、強い『嫌な臭い』です。数まで、はっきりわかります。3つ、です」
「3……。まさか、黒い三連星、か!?」
ちなみにおそらく、単純な強さで言えばヴィッシュ・ドナヒューも黒い三連星に勝るとも劣らなかったはずだ。だがヴィッシュには兵士として、軍人として、そして戦士として、武人としての使命感や責任感はあっても、悪意は無かった。それ故に、彼の部下はともかく彼自身はニャアンの『嗅覚』にそれほど強くは感じ取れなかった。
しかし黒い三連星は違う。強い、強い敵愾心と悪意、それをホワイトベースに叩きつけようとしている。更に言うならば、ネコ科の肉食獣が狩の獲物をもてあそぶ様な残虐さ。いや、どちらかと言えばネコ科よりも野犬かハイエナであろうか。
ブライト艦長は一瞬で決断する。
「総員第二種戦闘態勢! センサーで感知でき次第、第一種に移行するぞ! オスカ、マーカー! センサーを、アクティブ、パッシブ双方とも最大感度で開け! 敵を感知できなくとも、ミノフスキー粒子の影響が濃い場合は、それをもって敵襲と判断し、第一種戦闘態勢に移る!」
「「りょ、了解!」」
そしてブライト艦長は、ニャアンに目礼をする。
「助かる、ニャアン」
「いえ……」
「いや、お前、いや君のこの行動が、皆を救う。エグザベを救う。よく、やってくれた」
「……はいっ!」
いつも暗さを宿していたニャアンの表情が、わずかに明るくなった。
いや、キシリアの部下って互いの連携、個々の戦闘員の間でも、部隊間でも、司令官各々の間でも、まったく無い気がします。気のせいでしょうか。
そしてキシリアの台詞に「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられてもジオンが勝利すればよろしい。その上であなたの面子も立ててあげましょう」というのがありますが、男子の面子も、軍の権威も、本来戦争という異常な状況で兵士、士官将官、軍人らをまっとうに戦わせるための必要不可欠な道具だと思うのです。男子の面子とか軍の権威とか戦場の浪漫とか。そういう『欺瞞』が無くなったら、戦場に、戦争に、人間だから耐えられんと思うのですだよ。
だからそういうのを無視して、軍人とか兵員とかを単純に数値としてしか見ていない様に思えるキシリアは、軍司令官としてどうかなーと。そういうのを大事にしないと、軍人たちは数字として役に立たなくなっちゃうのですよ。1として計上していたものが、0になっちゃうのですよ。そして0はいくつ集めても0なのですだよ。