第13独立戦隊旗艦……と言っても、現状1隻しか無いのだが、ホワイトベースはサイド6宙域に達していた。
『パイロット各位、周辺警戒ご苦労だった。これより我々ホワイトベースは、サイド6リーアのリボー・コロニーに立ち寄る事になる』
「あのー、ブライトさん、ちーっといいっすか?」
『なんだカイ』
「いっちゃん外側で立ち寄りやすいパルダ・コロニーや、政庁のあるイズマ・コロニーじゃねえ理由は何っすか?」
カイの疑念に、少々悩んだブライト艦長はやがて答える。
『済まないが、その件に関してはまだ公開する許可が出ていない。ただ、当該コロニーにある連邦軍施設から、『ある物件』を受領する、とだけ言っておこう』
「……了解っす。とりあえず、はっきりとした理由がちゃんとあるって事さえわかれば」
『そうか』
納得したカイに、ブライト艦長は安堵の様相を見せる。
『あちらに到着したら、とりあえず
「ブライト艦長、もしや襲撃の恐れが?」
『可能性はある、とだけ言っておこう』
エグザベの問いに、画面のブライト艦長は頷く。一同の表情が引き締まった。
*
リボー・コロニーでは、ホワイトベースや
そして今、エグザベはハヤト、ジョブ少尉、セイラと組んでリボー・コロニーの街へ繰り出して来ていた。ちなみにニャアンも、いっしょに付いて来ている。彼らの他にも、整備兵やら機関部員やらも、半舷休息で交代で街に出てはいるが、この場に一緒にいるのは彼らだけだ。
街はまだまだクリスマスには遠いが、それでも気が早い店はそろそろ飾り付けを始めている。とは言っても、本当に気が早い店だけであり、ほとんどは日常風景のままだ。
「ニャアン、せっかくだから、何でも食べていいぞ」
「エグザベ兄さん。食べ物だけで釣れるって思わないでください」
「わ、悪かった」
「ふふ、冗談です。あのお店、お肉を柱にして焼いて、削って出すやつ。なんて言うんですか?」
「ああ、あれはトルコ料理で、たしかドネルケバブ、だったはずだよ。食べるかい?」
「はい」
ハヤト、ジョブ少尉、セイラは義兄妹の様子を見て、ほっこりしている。まあ正式な戸籍に入れた義兄妹ではないのだが。
「エグザベさんって、なんであんな色々知ってるんだろうなあ」
「知らない事もあるよ。先日補給品に入って来た、水ジェットの歯磨き機器、使い方分からんどころか機械を見た事なくて硬直してた。普通の歯ブラシの種類だったら、ブタの毛のとかナイロンのだとか硬め柔らかめだとか、異様に知ってたけど」
どうやら『嫌な臭い』も感じ取れていない様子。一同は一安心していた。
*
一方、艦内では
『アムロ、ちょっとぶりだな』
「父さん!」
『ちょっと公私混同だがな。頼み込んで通信時間を10分ばかり貰った』
「どうしたの!? 北極に行くって話だったろ!?」
『北極の研究施設から直接打ち上げてもらって、ここの施設にモノを運んで来たんだ。ソレはもともとホワイトベースに行く予定だった物でな。内容は、まだ明かすわけにはいかんが……。もう別に構わんとは思うが、まあ規則だ。仕方がない』
画面の中のテム技術大尉は、そして顔をしかめる。
『アムロ、気を付けろ。北極圏の研究施設がある基地だが。わたしとモノが打ち上げられた直後に、奇襲攻撃を受けた。おそらくはこのモノを狙っての事だろう。だから、引き続きこのモノを狙って来る可能性が無きにしもあらず、だ』
「……!! わ、わかった父さん。ならこの後、半舷休息で街に降りるつもりだったけど、避けた方いいかな」
『む。……いや、張り詰めすぎるのも良くはないだろう。少しは緩めんと、な。弦が切れてしまっては、元も子もない。よければ街で会わんか?』
「……わかったよ父さん。皆にも伝えて置くよ」
その後アムロは、テム技術大尉と会話を楽しんだ。その様子を、周囲の人間は微笑ましく見ていたものであった。
*
通信を終えたテム技術大尉は、独り言ちる。
(おそらくは、アレの基礎設計を行ったわたしが調整に参加した結果、完成までの時間が短縮されてリボー・コロニーへの移送が早まったのが影響したのだろう。もしわたしが参画していなければ、アレが地上に在ったうちに特殊部隊の攻撃を受けていたに違いない。
……ここに、来るか? いや、アレは必ずアムロたちに渡してみせるぞ。アムロたちが生きて終戦を迎えられるために。アムロが生きて、戦後を迎えられるために。そのために必要な鎧であり、そのために必要な剣なんだ)
そしてテム技術大尉は踵を返す。その行く先には、『NT-1』とペイントされたコンテナから運び出される、巨大なパーツ群……。
*
乗組員の半舷上陸を終え、第13独立戦隊旗艦ホワイトベースは、万が一の襲撃に備えて戦闘態勢までは行かないが、第二種警戒態勢を取っていた。
「何事もなければいいわね」
「そうだな、ミライ。……そう言えば、君に通信が入っていたな。カムラン監査官、だったか?」
「え、ええ……。気にしないで」
「あ、うむ」
ブライト艦長とミライの間に、微妙な雰囲気が流れた。直後、ニャアンが顔色を青くしてブライト艦長を見遣った。ブライト艦長が『ソレ』を理解した直後、通信士のフラウが叫び声を上げる。
「ブライト艦長! リーア軍、そして連邦軍基地から、迎撃要請です! 街中を、街はずれのスクラップ工場から出現した青いジオン製と思われる
「馬鹿な、コロニー内で! い、いや想定内にはあった! ガンダム2機、GM指揮官機2機とガンキャノン隊は武装マシンガンにしてあるな! コロニー内戦闘、緊急発進だ! ビーム兵器は不許可だぞ!」
「ブライト! ホワイトベースは!?」
「火力が高すぎる! コロニー内に進入しても意味が無い!
そしてハッチを全開にした
*
MS-18Eケンプファーの
……違った。コロニーの中で、こちらは街中を地面ぎりぎりで飛翔し、相手は中空。相手からは街にダメージを与えそうで攻撃は
……白と黒のガンダムは、その手に持ったマシンガン、量産型ガンキャノン用を急遽転用した90mmマシンガンで、シュトゥルム・ファウストの砲弾を狙撃。その爆炎に紛れて、突撃して来たのだ。化け物じみた射撃技量。ミーシャは続けて紅白のGMに向けてショットガンを撃ち放つ。あっさりと
ケンプファーの装甲は薄い。必死に
「ち、くしょう!」
つるしていた紐から外れ、足元に口の開いたウィスキー缶が転がる。芳醇な香りが、
「!!」
一瞬の判断で、ショットガンを捨ててビームサーベルを抜き放つ。正解だった。ミーシャのケンプファーは、ぎりぎりで黒いガンダムのビームサーベルを受け止める。だが……。
「ま、まだ来やがるか!!」
通りの向こうから、これまた別の赤白のGMを先頭にして、4機のキャノンタイプが現れる。ここら一帯は、『河』沿いだ。街じゃない。街を『人質』にはできない。キャノンタイプ4機が一斉に、両肩のキャノンを撃ち放った。黒いガンダムが飛び退る。
「うおおおぉぉぉっ!?」
一斉の、至近弾。装甲が薄いケンプファーは、耐えきれない。煙が流れ去った後には、両脚を失った愛機の姿。
上空に居た紅白のGMが、降下して来る。スピーカーから、女の声が響く。
『降伏を勧告するわ。武器を捨てて、
「……はぁ」
ミーシャは大きく酒臭い息を吐くと、相手の言うとおりにした。隊長たちの安否も気にかかる。しかしもうどうしようもない。
(甘かった……。もう
しばらくして、連邦軍施設からやって来た兵隊たちが、荒っぽくミーシャを取り押さえる。彼らの制服にも血の跡があり、彼ら自身傷を負っている事から、おそらくは隊長たちがかなり暴れたのだろう。そうでなければ、無傷の兵士を送り出して来るはずだ。
この調子では、隊長たちも無事ではいられんだろう。そう思うと、ミーシャは胸が重かった。
*
ホワイトベースの左舷
「父さん!?」
「おう、アムロか。ああ、クリス君。ここを任せてもいいかな?」
「了解です!」
テム技術大尉はちょっと一風変わったパイロットスーツに身を包んだ女性士官に声を掛けると、微笑んでアムロに向き直る。
「無事で良かった、父さん。連邦軍の施設がテロリストっていうか、ジオンの特殊部隊に襲われたって……」
「ああ、ちょうどコイツらの最終調整をしてたからな。あわてて
機材の一部に被害は出たが、それでも各
「コレ?」
アムロは
「RX-78-NT1アレックスが2機、そしてRX-78-NT2アレックス2。本当ならアレックスは1機だけのはずだったんだがな。わたしが伝手を使ってねじ込んで、パーツを新造させて急ぎ組み上げた。お前とエグザベ君の双方が使える様に、とな。
それとアレックス2だが。アレックスの
「何か、見るだけで凄そうってのは分かるんだけれど」
「細かい話は、搬入が済んでからな。とりあえず、わたしとクリス君はルナ2まで一緒に行かせてもらう。それ以後はまだ話は聞いておらんが……」
『テム技術大尉! アムロもいるのか!』
唐突に、壁面のインターホンから会話に割り込んで来たのは、ブライト艦長だ。何事かと驚いたテム技術大尉とアムロだったが、話の内容に更に驚く事になる。
『連邦軍施設を襲って、連邦メディカルセンターを吹っ飛ばしてコロニーに穴を開けた奴らの隊長が、意識を取り戻して吐いたんだ! ガンダムNT-1を狙って、ジオンが核攻撃を敢行する!』
「「ええっ!」なんだと!?」
『テム技術大尉、搬入完了まであとどれほど掛かりますか!』
「クリス君、聞こえたかね!?」
「は、はい! もう物資自体のコンテナは全部運び入れました! あとは場所移動だけなんですが」
「聞こえたか、ブライト君!」
『ええ! アムロ、
「了解!」
そして通信は切れる。テムはクリスとかいう女性士官と共に資材の整理に掛かり、アムロは
シュタイナー:銃撃戦で重体→タイーホ→意識取り戻し自白
アンディ:被撃墜で死亡
ミーシャ:タイーホ
ガルシア:60mmの破片を受け、直後自爆で死亡
バーニィ:銃撃戦で重傷だが生存→タイーホ
というわけで、テムさん頑張ったので(実際戦闘も、コクピットから60mmバルカン操作しただけだけど頑張った)、おかげでNT-1が2機とNT-2はホワイトベースに渡りました。
アルはバーニィが腹から血ぃ流してるのを見てショック受けて今病院です。子供にゃあキッツい。
タイーホ組だと、ミーシャが一番軽傷ですね。でもテロリストか