ジオン軍の制式戦闘機ドップが5機ずつ3個編隊、合計15機の部隊でホワイトベースを攻撃していた。また海中からは不格好な水陸両用
ちなみにその
エグザベはプロトガンダムに搭乗し、その左手にハイパーバズーカ、右手にビームライフルを持たせ、ホワイトベースの左舷
「くそ、カイ! そっちにドップが!」
『うわぁ! くそ、営倉から出てリハビリのシミュレーターやろうとしてたら、これかよ!』
右舷
『海の奴は、なかなか当たんねえよ! 見えづれえ!』
「キャノン砲の
『こちらシイコ、了解よ。……ぶっちらばったる』
『シイコ少尉、ちょっと怖いですよ、ははは。アムロ、交代します』
「……っと、その前に海中の奴、1機撃墜した! これでバズーカもビームも弾切れだ、交代たのむよ!」
アムロと交代したエグザベは、プロトガンダムを
エグザベは機体から降りる事すらせずに、整備兵の1人に、パイロットスーツやノーマルスーツに取りつける排便用のポリ袋……『中身』が入った奴を渡して新しいポリ袋を装着する。そしてパイロットスーツの手袋をエタノールスプレーで消毒すると、ヘルメットのシールドを開けて、臭気が残っているコクピットの中でハンバーガーに噛り付いた。
「流石に風呂、入りたいよね。下半身を綺麗にしたい」
「とりあえず、この局面切り抜けるまで待ってください」
「うん、わかってる」
そしてエグザベは、ドリンクのストローに吸い付いた。
*
戦闘終了後、デブリーフィングを終えて
本来デブリーフィングなどに使われる
だからこそ、
そんな中、アムロが大きく溜息を吐いた。今回戦闘に参加していたエグザベ、シイコ少尉、カイは怪訝な顔をする。なおハヤト、リュウ、ジョブは戦闘参加していなかったので、自室に行っていた。
「どうしたんでえ、アムロ」
「ああ、カイさん。この戦闘の直前、父さんから聞いたんですが、僕の母さんの事なんです。その事情を呑み込む直前で敵襲があったんで、戦闘中は一生懸命だったんで動揺しなかったんですがね……」
「おふくろさん、どうかしたのかよ」
ちなみにこの場にいる面々は、アムロが地球出身であることを知っている。カイなどは当初、アムロがアースノイドのエリート家系だった事が面白くなかった様だったが。だが数度の戦闘を共に繰り返してしまえば、生きのびるためにはそんな事は小さな事だった様だ。
「父さんと母さん、離婚するつもりらしいんです。少なくとも、父さんの方は。謝られましたよ。僕のためだと自分を誤魔化し、母さんが間男作って浮気してたのを目を瞑ってた、って」
「「「ぶっ!」」」
「吹き出さなくても、いいでしょうに」
アムロは失笑する。他の3人は、アムロに何と言っていいのか困った模様。だがアムロは更に笑って言った。
「いや、戦闘挟んだの、悪くなかったかもです。なんか、生き残るためには気にしちゃいられないって」
「まあ、わかるが」
「お、おう。ま、気にならねえんなら」
「まあ、でも気持ちの上で決着はつきそうかしら?」
「はい」
そしてアムロは笑顔で言った。
「まあ、地球の居住権を手放さないためだけに父さんとの離婚を望まなかった人ですからね。僕は父さんについて宇宙に上がった口ですから、宇宙暮らしについて悪く思ってないんですが。でも宇宙暮らしを嫌がったあの人が無理矢理にでも宇宙に行かされるとなると、ね。たぶん間男ともお別れでしょうし」
「あ、アムロ。なんか黒いぞ、その笑い」
「アムロ君、それ陰のある笑顔じゃないからね」
「アムロ、実は怒ってるだろう」
「ええ」
そこで風呂の準備が出来た連絡が来たので、レディーファーストでシイコ少尉を真っ先に送り出した。シイコ少尉はちょっとアムロの事が心配そうな顔をしていたりする。まあアムロは心の決着はついている様だが、直接会った場合などどうなるかはまだ分からないところだ。
*
そしてホワイトベースは、未だ海の上だ。そしてこの艦は、再度ジオンの部隊に絡まれていた。地面の上が近いのか、あまり航続距離が高くないサブフライトシステムのドダイYSに載って、ザクⅡJ型6機が攻撃を仕掛けて来たのである。
「ちぃっ! 邪魔だ!」
『シイコ少尉! ソレは僕が! 3、2、1……そこだ!』
アムロのガンダムが、左舷
そして別のドダイ付きザクⅡが、シイコ機の眼前をフライパスしつつ120mmマシンガンを叩き込んで来た。シイコ少尉は子供が夜中に思い出して泣くであろう迫力でそのザクを睨みつけると、ビームライフルを撃った。ドダイYSは爆散。ザクⅡは、はるか下の海へと落ちて行った。
(わ、わあああぁぁぁ!? 落ちる! 沈む!? た、助け……)
「わ、わざとじゃないわよ? そっちが仕掛けて来るから」
『シイコ少尉、前です!』
「見えてるわ!」
シイコ少尉は更にキャノン砲を撃ち、ザクⅡJ型とドダイYSを双方撃破する。いつの間にか1機にまで数を減らしていた敵は、一目散に逃げていく。だが少しでも敵を減らすため、逃がしてやるようなシイコでは無い。
狙撃用ビームライフルの一撃が、超遠距離射程を斬り裂く。ザクⅡJ型は爆発を起こし、それに巻き込まれたドダイYSも炎の球と化した。まあ高速のドップ戦闘機と違い、元から遅めのドダイYS、更にその上に重しであるザクⅡJ型が乗る。楽に撃ちごろであるのは間違いが無い。
『……海に落ちたザク、見えなくなりましたね』
「気にしない方がいいわ。手柄欲しさに、足場のないこんな所まで来た馬鹿だもの」
『です、ね』
まだ浮いていたら、南極条約もあるしゴムボートでも投げ落としてやらねばならない所ではあった。何となく、後味の悪い結果ではあったが、彼女たちは嫌な気持ちを黙殺。ホワイトベースはマドラス基地へ向かい、速度を上げた。
*
ホワイトベースはマドラス基地のドックに入港した。と言っても、マドラス基地のドックはジャブロー基地ほど規模も設備も整ってはいない。しかしながら、ペガサス級ネームシップである強襲揚陸艦ペガサスの就航が遅れ、1番艦がホワイトベースに差し替えになったその原因である、熱核ハイブリッドエンジンの不具合。それを補修整備し、万全に近い状態にする事はどうにか可能であった。
「父さん、ホワイトベースのエンジンはこれで全力が出せる様に?」
「いや、正直まだ不安点はある。というか、基礎的な構造の時点で設計ミスがある様なんだ。まあわたしは
「うわぁ」
「だがそれでも、これまでとは全く違うレベルでブン回せるらしい」
アムロとテム技術大尉は、柔らかい表情で会話をしていた。テム技術大尉は、この基地でホワイトベースを降りる。そして某将官のビッグトレーに相乗りして、厳重な護衛と共にジャブローかベルファストかの、辿り着き易い方へ向かうとの事だ。その事からホワイトベースのトップ集団は、ホワイトベースがシャアとコンスコンを撃退、撃破したことによりジオン軍の目を惹いている事、そしてそれが故に連邦軍がホワイトベースを
V作戦RX計画の要であるテム・レイ技術大尉はどうにかジャブローか他の大規模な基地で回収したい。しかしジオンの注意を惹いているホワイトベースはあまりジャブローに近寄らせたくない。その折衷案的な結果が、マドラス基地でテムをホワイトベースから降ろす、という事だったのだろう。
アムロとテム技術大尉はしばし無言になる。やがてテム技術大尉が口を開いた。
「やれやれ、
「だからご機嫌取りに、
「ガンタンクは、な。その設計思想からして、ホワイトベースでガンダム、ガンキャノンと一緒くたに使うには、少しなあ。ガンタンクは、ホワイトベースから発進させるよりも別の輸送手段でホワイトベースのはるか後方に降ろし、そこから長距離支援させるなら使いようがあるんだが。ホワイトベースから発進するなら中距離支援だ、ガンキャノンの方が圧倒的に良いさ」
マドラス基地には、ホワイトベースへの支援として2機の支援メカニックと、2機の
「ええと、
「アムロ……。死なんでくれよ」
「……うん。石に噛り付いても、生きのびてみせるさ。父さんもたぶんジャブロー、だよね? まさかまたコロニー落とされるとは思わないけど、落ちて来そうだったら急いで逃げてくれよ」
「ああ。そしてお前たちを護るため、できるだけ最新鋭の技術を開発してみせる。おお、そういえばアムロ。モスク・ハン博士という人が居てな……」
そうして親子は、しばしの別れを惜しんだのである。
アムロ、テム・レイとの関係大幅改善されてます。親父にも殴られた事があったのが良かったのかも知れません。そして母親と会う気は、ごっそり失せた模様。
マドラスに、本来ならマチルダさんあたり運んで来てくれてたはずのメカ群が到着してました。