偽書・ガンダム機動戦記   作:雑草弁士

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第9話 Reinforcement!!

 マドラス基地では、ホワイトベースの一部乗組員が、任官あるいは昇進、またはその両方の措置が取られる事になった。具体的に言えば、艦長代理のブライト・ノア士官候補生が朝方に事務局が開いたと同時に少尉任官され、夕刻の16:00に中尉昇進と共に正式にホワイトベース艦長に任命されたのである。

 その他にも、シイコ・スガイ少尉が中尉昇進。リュウ・ホセイ候補生とジョブ・ジョン候補生が双方とも少尉任官。その他、艦内で候補生であった面々は、戦時特例で少尉任官させられる事になった。

 

 一方でアムロやエグザベ、カイ、ハヤト、ミライ、セイラなど等の特務兵としてMS(モビルスーツ)操縦士(パイロット)乗組員(クルー)扱いであった者たちは、給与こそ様々な特別手当が付いて並の軍人よりも高額であったものの、正式な階級は与えられないままであった。曰く、上の方でも彼らの扱いをどうすべきか悩んでいるためだと言う事である。

 

 

「ほわぁ……」

「これが、かぁ……」

「ガンダムとか見てる俺たちからすると、ちょっとばかりアレかぁ?」

「いや、カタログスペックでは……」

 

 

 そして今、ブライト艦長と操縦士(パイロット)の面々は、マドラス基地の機材倉庫にて運び込まれて来たばかりのMS(モビルスーツ)2機と支援メカニック2機を眺めていた。本来であれば倉庫ではなく整備施設か格納庫に送られる代物ではあったのだが、モノにMS(モビルスーツ)が含まれていた事が原因で、従来型の機材とまったく違うためもあり、マドラス基地でもとりあえずホワイトベースに搬入するまでは倉庫に置く事にしたという次第である。

 

 

ガンダムの量産モデル(Gundam type Mass- production model)……。これがGM、ですか」

「その最初期モデル、その更に先行生産タイプの改造品なんだがな。元々は不具合とか多かったらしいんだが、その辺色々と手を入れて標準型のGMよりかはかなり性能も高く、能力の安定性も高いらしい。そして標準タイプはビームサーベルは1本オミットして1本だけ装備だったんだが。これはガンダムと同じく2本差しだそうだ」

「指揮官タイプ、って話でしたね」

 

 

 そして彼らは、GM指揮官機の隣に置かれているMS(モビルスーツ)に目を遣る。

 

 

「そしてこっちは、そのGMをベースにしたというか、GMとのパーツ共有化を図ったGMキャノン、その先行タイプですか」

「一昨日艦を降りて出立した親父の話だと、元来ガンキャノンの量産型だって話なんだけど。60%のパーツがGMと共有化されてるらしいよ。融合炉の出力は低いけど、ビームスプレーガンは問題なく使えるって。設計時に親父は格闘能力も持たせたかったみたいだけど、最終的にあえて支援専用って事にした機体らしい」

「なるほど、ビームサーベルは無しか」

 

 

 そして話の内容は、同時に送られて来た支援メカニックの件に移る。

 

 

「あっちにあるのが支援メカか?」

「あの深いブルーのゴツゴツした戦闘機が、Gファイター。ガンダム専用の支援機だが、単体での戦闘力も充分にあるらしい。ガンダムをドッキングさせて空輸もできる様だな。一方のあっちの白い機体……」

「なんか機首が無いみたいに見えるぜ、ブライトさん」

「あれは機首部分にコアファイターをドッキングさせて使うんだ。名称はコアブースター。機動力はGファイターよりもかなり高く、火力も充分にある。コアファイターはまだ空き機体がホワイトベースにあるから、本体部分だけ送って来たんだ」

 

 

 ブライト艦長は、そう言うと頷く。

 

 

「何にせよ、ホワイトベースへの搬入を済ませないとな」

「ブライトさん、どれに誰が乗るのかは決まってるんですか?」

「1機だけは決まっている。というか、使いこなせる近接戦闘技量を持っているのがシイコ中尉しかいない。彼女はガンキャノンからGM指揮官機に異動する。空いたガンキャノン1番機、そしてGMキャノン、Gファイター、コアブースターには、これから空き人員を割り当て検討する。

 シイコ中尉、アムロ。悪いがGM指揮官機とGMキャノン、自走させて艦へ移動してくれ。エグザベ、カイ、リュウ、ハヤトは装備品やパーツ類詰め込んだ自走コンテナを操縦して、艦に。ジョブとセイラは一足先に艦に戻って、受け入れ準備を」

「「「「「「了解!」」」」」」

 

 

 ここでセイラが呟く様に言う。

 

 

「結局わたしがここにいると言う事は、正式にパイロット要員に異動ね? 代わりの通信士は?」

「検討中だが、フラウ・ボウという娘が居ただろう。少し前から、志願して特務兵になりたいと言って来ているんだ。彼女を採用して、充てようかと思っている」

「「フラウを!?」」

 

 

 アムロとハヤトが一斉に声を上げた。その背後でエグザベが腕組みをして、考え込む。

 

 

(フラウちゃんが通信士になるという事は……。カツ、レツ、キッカの世話はニャアンが一手に引き受ける事になるのか。大変だなあ。ここの基地にいる間に、PXから大量にお菓子類とか買って、適宜差し入れとかしようかな)

 

 

 そして一同は、即座に作業に移る。ホワイトベースの戦力は増したが、整備兵などの割り振りがこれまで以上に面倒になる事は、目に見えていた。

 

 

 

*

 

 

 

 結局のところ、残った機体の割り振りは以下の様になった。まず通信士であったセイラが元シイコ機であったガンキャノン1番機に。これは単純にシミュレーターでの射撃技量の面と、セイラはその他の技量が未だ低目なので生残性を考えて耐久力が高いガンキャノンに充てたのだ。

 次にGMキャノンだが、これは順当にリュウ少尉が割り当てられる。これまでガンタンクの操縦担当をしていたリュウ少尉の方が、砲手や戦闘機操縦士(パイロット)経験しかないハヤトやジョブ少尉よりも操縦能力として適任と見られたのだ。

 そしてGファイターとコアブースターだが、これはそれぞれジョブ少尉とハヤトが乗る事になる。この人員配置により、ホワイトベースの左舷右舷のMS(モビルスーツ)デッキで、人員の異動が行われた。

 

 右舷デッキだが、パーツの共有度などからガンキャノン2機とGMキャノン、そしてコアブースターが配置される。これによりセイラ、カイ、リュウ少尉、ハヤトが右舷デッキに詰める事になった。

 左舷デッキにはガンダム、プロトガンダム、GM指揮官機、そしてGファイターが配置された。アムロ、エグザベ、シイコ中尉、ジョブ少尉が左舷デッキの住人となる。GM指揮官機はいざとなればガンダムのビームライフルも扱えるため、左舷MS(モビルスーツ)デッキに置く方が管理も整備も運用もし易いのだ。

 

 

「リュウ少尉! GMキャノンは装甲薄いです! もっと機動力を使ってください!」

『お、おおうエグザベ、わかった!』

『セイラさんよぉ! ガンキャノンは無理に(かわ)すよりは火力を叩き込んで、敵を沈黙させる事を選ぶ方がいいぜ!」

『は、はい! ……前とは見違えたわね、カイ』

『ほっとけって』

 

 

 そして今、彼らはマドラス基地演習場で、実機の完熟訓練をしている。リュウ少尉もセイラも、なかなか実機に慣れるのは難しそうだ。空ではジョブ少尉とハヤトが1on1で模擬空戦をしていた。本当ならば空戦ではコアブースターのハヤトの方が機動性能の面で圧倒できるはずなのだが、単純に戦闘機による経験ではジョブの方が上である。まあときどきコアファイターの翼をやられて被撃墜による不時着経験もあるのだが。

 なお、その日のアムロとシイコ中尉。

 

 

『シイコ中尉!』

『アムロ君!』

『……なあエグザベ、あの2人妙に楽しそうなんだが』

「1on1でガンダム相手にGM指揮官機の慣らししてるんだけどね……」

 

 

 ちなみにその日は、ジョブ少尉とアムロがガンダムとGファイターとのドッキング、そして分離、更にサブフライトシステムとしてGファイターを使う訓練を何回かやって、終了と相成った。ちなみにプロトガンダムは、プロトガンダムが初期仕様と言う事もあり、GファイターとドッキングしてGアーマーになる事はできない。だが上に載る事はできるので、エグザベもその訓練だけはちょっと行った。

 

 

 

*

 

 

 

 ホワイトベースは既に、マドラス基地を出立していた。だがその艦橋(ブリッジ)で、通信士に着任したばかりのフラウがブライト艦長に報告を上げる。

 

 

「ブライトさん、マドラス基地から通信です」

「メインスクリーンに回せ」

「はい」

 

 

 スクリーンに、マドラス基地副司令の顔が映し出された。

 

 

「副司令、何か問題でも」

『こちらの基地の通信設備で、かろうじて拾える味方からの救難信号を受信したんだ。急ぎフライマンタ戦闘爆撃機を出そうとしたんだが、整備ミスによる事故で飛べん。ホワイトベースの大気圏内速度なら、間に合う。行ってくれんか』

「……了解しました。こちらのコンピューターに、位置情報と敵味方の戦術情報を送って欲しいのですが」

『わかった。頼むぞ』

 

 

 通信は切れる。

 

 

「やれやれ、便利に使ってくれる」

「味方の危機なら、仕方ないわ」

「わかっている。戦闘要員各員に通達! これより我々は、味方部隊の救援に向かう! 各員スタンバっておけ!」

 

 

 ホワイトベースはその進路を、東に向けた。

 

 

 

*

 

 

 

 ガンダムの操縦席(コクピット)に、ブライト艦長からの通信が入る。本来は通信士であるフラウの役割なのだが、彼女はまだ不慣れであり、細かい情報を伝えさせるにも軍事関連の勉強がまだ進んでいないが故の措置であった。

 

 

『シイコ中尉、リュウ、ジョブ、アムロ、エグザベ、カイ、セイラ、ハヤト。状況を伝える。救難信号を発して来たのは、地球連邦軍極東方面軍第1機械化混成大隊、通称コジマ大隊の第02MS小隊だ。彼らは長距離遠征の小隊単独での偵察に出て、ジオン軍の部隊と遭遇してしまったらしい。コジマ大隊側には対地攻撃用の航空機がほぼ無く、他のMS小隊を救援に出したが、とうてい間に合いそうに無い。

 救難信号を受信したマドラス基地でも攻撃機……フライマンタ戦闘爆撃機を出そうとしたんだが、折悪しく整備ミスで、飛べない状況だったんだ。整備ミスの遠因の1つに、マンパワーをホワイトベースのエンジン改修に取られていたという事情があっては、な』

「『『『『『あー……』』』』』」

『更にその後、情報を精査してみたのだが。どうも第02MS小隊が引っ掛かったのは、どうやら我々ホワイトベースを追撃すべく編制された部隊の様なんだ。まあ断る選択肢は最初から無いのだが、ますます断れん』

『ブライト君、ならば可能な限り急ぎましょ』

『了解だ。最大戦速を出させる』

 

 

 そしてホワイトベースのエンジンが更なる轟音を立てる。白亜の強襲揚陸艦は、速度を上げて一直線に飛翔した。




さて、ホワイトベースですが人員不足です(笑)。パイロットは交代要員いないし(笑)。整備班は今までテム・レイ込みでガンダム、プロトガンダム、ガンキャノン2機、ガンタンク、コアファイターを受け持っていたのが、テム・レイ無しでガンタンクと差し換えでGM指揮官機とGMキャノン(どちらも最初期型)それにコアブとGファイター追加という(笑)。
はっきり言って、整備はてんてこ舞いです。ぶっちゃけパイロット陣も、今まで以上にヒマ無くなります。自分でできるところは、自分で自機の整備しないといけなくなります。

と言うところで、第02MS小隊が長距離遠征してたら、ホワイトベースを狩る命令を受けてた『某部隊』に引っ掛かりました。うん、『某部隊』です。どんな部隊か、は次回のおたのしみDeath、ははは(乾笑)。
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