シャーレの先生がポケモントレーナーである場合にありがちなこと 作:子々(ネネ)
今回からクロスオーバー二次創作描いていきます。
初めての試みなので矛盾を感じたり原作設定を間違えている場合は遠慮なくご指摘をお願いします。
今回はプロローグ的なものです。
ポケモンを知った早瀬ユウカの反応にありがちなこと
学園都市キヴォトス。
様々な学園が管理する自治区が合わさって出来た巨大な都市。
その全ての行政の管理を任されていた連邦生徒会の会長が失踪したのと引き換えに外部から大人がやって来た。
連邦捜査部「シャーレ」担当顧問。
通称「シャーレの先生」である。
これはシャーレ発足から数日後のお話。
シャーレオフィスを擁するサンクトゥムタワーの確保の為に戦闘を行い、その際に消費した物資の請求についてシャーレに赴く事になった
しかし、あと数分でシャーレに到着する旨の連絡をモモトークで行ったのだが……。
「既読がつかないわ……」
チャット欄に自分の呟きに対して既読マークがつかない事に違和感を覚えるユウカ。
シャーレがあるD.U.シラトリ区からユウカが在籍するミレニアムサイエンススクールまでは少々距離があるものの、電車を利用すればものの十数分で到着する。
1時間以内の出来事なのに、大人がモモトークの通知もマトモに確認できないものだろうか、と訝しんでいるうちにシャーレオフィスに着いてしまった。
「待っていたって仕方ないし……」
ここまで来た以上、返信を待つより直接伺ったほうが効率的。
故にユウカはノックをし、返事がないことを確認してから中へと入る。
「先生、いらっしゃらないんですか?」
ユウカは辺りを見渡して、直ぐに目が留まる。
泥のようにソファーにもたれかかって眠っている先生。
デスクに目を向けると、処理されたであろう書類の山が1、2、3、と主張する。
発足されて間もない組織だ、色々と手が回っていないのだろう。
返信が来ないことに納得したユウカは、せめて体勢を横にして休眠しやすいように寝相を変えるべく近づくと、
「…………エッ?」
「――……え?」
人(?)の声が聞こえ、ユウカは思わずそちらに目を向ける。
そこには、毛布を胸に抱えてこちらを見つめている女性――
「――じゃない!?」
およそ「それ」は人には見えなかった。
白と紺の体毛で覆われた女性的な丸みのある体形。
頭の角――触覚にも見える――はゲヘナ生徒のそれとも若干違う。
1メートル程度の背丈の「それ」は、ユウカを視認してから数秒後、ワタワタと視線が泳ぎ出した。
「サン〜……」
「……困ってるのかしら」
ユウカから見たそれははっきり言って得体のしれない存在だが、まったく敵意を感じないし、見た目の愛嬌もあって問答無用で発砲する程のものではなかった。
「…………んん」
そして、ここでようやく先生が目を覚ます。
先生は目を空けて、眼前にユウカがいることを認識し、気怠げな声で挨拶する。
「ああ、こんにちはユウカ。ごめん、寝ちゃってたみたい」
「え、ええ、こんにちは先生……」
ユウカもユウカで視線が泳いでしまっていた。
その様子に訝しんだ先生は、ユウカが何度も向けている視線を追うと、
「……げっ!? イエッサン!」
「エ、エッサン……」
イエッサンと呼ばれた「それ」はおずおずと先生にお辞儀をする。
慌てた先生は腰から何かを取り出そうとして、諦めたように止める。
「……えっと、み、見なかったことには」
「できるわけないでしょう……」
ですよね、と先生は項垂れるのであった。
「ポケットモンスター、ですか?」
「そう、縮めてポケモン」
イエッサンをソファーに座らせた先生は、その存在について教えてくれた。
ポケモン――それは先生の世界ではありふれた存在。
草原に、水辺に、森の中に、雲より上の空に、遥か深海に、町中に、果ては宇宙にも居る、まさしくどこにでもいる存在なのだ。
しかし、
「キヴォトスにポケモンはいない」
「ええ、少なくとも私は見たことも聞いたこともありません」
「それは知ってるよ。
「ああ、連邦生徒会長からですか」
今は行方不明である連邦生徒会長を思い出す。
彼女が招いたとされる外部の大人。
指揮能力が極めて高い事は先日での戦闘で理解出来たが、どうやらポケモンが関わっているらしい。
「ポケモン同士で戦わせるポケモンバトル……」
「キヴォトスで言うところの銃撃戦だね。何かあったらポケモンバトルで白黒つける、っていうのもよくある話だよ」
ポケモンバトルで頂点を目指す大会もあり、先生は子供の頃幾つもの大会に参加したこともあるらしい。
……どこぞのメイドリーダーが聞いたら目を輝かせそうだ、ギラギラと。
「……でも、さっきユウカ自身が言ったように、キヴォトスの住民はポケモンを知らない。当然外に出せば騒ぎになる」
「なるほど、先日はポケモンを外に出していなかったのはそういうことでしたか」
「だから、しばらくは秘密にしておきたかったんだけど……、こうも早くバレるとは……。完全に気を抜きすぎたな」
猛省するように先生は頭に手を置く。
ポケモンはモンスターボールという、カプセル状のボールの中に入ることが出来る。
しかし、見せてもらったのは手のひらサイズのボール。こんな小さな質量に、体長1メートルの生物がどうやって入るのか、ユウカは信じられないと首を振った。
ポケモンは肉眼で見えないくらいに身体を小さくする事ができ、その習性を利用してモンスターボールが開発されたらしい。
実際にイエッサンがそのボールの中に入っていくところを実演で見せられたユウカは信じるしかなかった。
ポケモンはヘイローを持つ生徒たちに匹敵するパワーや身体能力、頑強さを持っており、常に外に出していれば先生の護衛役になれるだろうが……。
「……良いですよ」
「えっ」
「ポケモンがキヴォトスの住民に受け入れられるようになるまで、黙っていてあげます」
「ありがたいけど、良いのかい? ユウカって確か……」
ユウカはミレニアムサイエンススクールの生徒会【セミナー】に所属する会計担当――つまり役員だ。
このキヴォトスにおいて生徒会に所属する生徒はかなり上の立場の人間であり、相応の権力も持ち合わせている。役員であれば尚の事。
であれば、ポケモンという得体のしれない存在など到底黙認できない立場であろうに……。
「セミナーの役員として、今後とも先生とはよい関係でいたいと思っていますので、これくらいは目を瞑ってあげます。それに……」
「それに?」
「こんなに可愛い娘が酷い目に遭うのは見たくありませんので」
「エッサン〜」
ニコニコとユウカはイエッサンの頭を撫でる。
イエッサンは嬉しそうに、ユウカの手を受け入れていた。
請求についての手続きを終えて、ユウカが帰ったあと、先生は改めてイエッサンに向き直る。
「可愛い娘、だってさイエッサン」
「フィ〜ン♪」
照れているイエッサンの鳴き声は上擦っている。
素直に褒められて嬉しいイエッサンは、デスクのマグカップをサイコパワーで持ち上げ、飲み物を入れ直すべくキッチンに戻っていった。
「しかし……」
可愛い娘という、外見だけでイエッサンを判断したユウカに、先生は複雑な心境を抱く。
ユウカはキヴォトスの住民がポケモンを受け入れられるようにと言っていたが、そんな日はいつ訪れるだろうか、と考える。
先生の世界では、ポケモンについての研究が始まったのはおよそ数百年前だ。
当時は人とポケモンの距離も遠く、野生ポケモンもずっと凶暴だったと数々の文献に載っていた。
そんな中、ポケモン図鑑の開祖と呼ばれるラベン博士は後世にこんな言葉を遺していた――
―――――「ポケモンは怖い生き物です」、と。
大体3行で分かる! 登場人物紹介
シャーレの先生
・カントー地方マサラタウン出身
・生徒に対するスタンスは原作先生と大体同じだが、駄目なところはストレートに駄目と言うタイプ
・ポケモン赤緑で例えるなら「主人公のライバル」ポジション
早瀬ユウカ
・ミレニアムサイエンススクール2年生、【セミナー】の会計
・モモイ「冷酷な算術使い」
・オカン属性で先生がどうしてもほっとけない
イエッサン(メスのすがた)
・先生がガラル地方でゲットしたポケモン、大きさはL
・シャーレオフィスで実質使用人みたいな事してる
・特性がサイコメイカーで、トリックルームといやしのはどうを使える。
初めましての方は初めまして。
誰か分かった方は大変お久しぶりです。
原作はどちらも今が旬ですね。
かたや5周年、こなた30周年。
ちなみにアニポケ要素ありと書いてますが、リコロイ編は全くと言っていいほど知りません。
サトシ主人公編もほぼにわかです。
ブルアカも細々とやっているレベルです。
こんな程度の原作愛ですが、じっくり付き合っていただけるととても幸せです。