シャーレの先生がポケモントレーナーである場合にありがちなこと 作:子々(ネネ)
やる気のないBGMシリーズの再現率が高すぎる。
レッドウィンター連邦学園。
キヴォトスの北方に位置する学園で、常冬の自治区である。
過酷な環境であるために、生徒一人一人が1日を必死で生きており、その考えが普段の素行にも強く表れている。
…………良い意味でも、悪い意味でも。
先生がレッドウィンター連邦学園に招待されて、数日経った頃。
【227号特別クラス】からの依頼を受け、現在先生は
なお、現在のレッドウィンター自治区の天気は大雪である。
「……流石にこの寒さは堪えるな」
「目に見えて震えてないだけ大したものだと思うけどね」
手袋を身に付けた手を何度も擦り合わせながら、先生はポツリと呟く。
(吹雪いてる時のポーラエリアより寒いとは……)
先生がまだブルーベリー学園で教鞭を執っていた頃、時間がある時は学園のテラリウムドームでポケモンと共に鍛錬していた。
テラリウムドームではテラスタルエネルギーを利用して、ドーム内で天候の変化を引き起こすという、生徒達にとってのアクシデントも発生することもあり、ポーラエリアでは時々吹雪が起きることもあった。
先生はそのポーラエリアで、カキツバタと共にトレーニングを行っていたが、寒さに慣れない頃はかなり堪えていた。
しかし、このレッドウィンター自治区の気温はその時よりも格段に下回る。
「寒いならカンポット飲む? 糖分を摂れば体温上がると思うよ。……まあ、発酵してるかもだけど」
「飲むわけないでしょ」
悪戯っ子のような笑みで懐からスキットルを取り出すシグレ。
先生はそれをピシャリと拒否した。
「……あのね、シグレ。偉そうなこと言いたくないけれど、そういうところが原因でこんな辺鄙で過酷な環境へ追い出されたんじゃないのかな?」
「だからって厳しすぎると思わない? 別にお金に替えてるわけでもないし、ただジュースを作っただけなのにさ」
「
つまり、この過酷な環境において大敵とも言えるバイ菌対策を怠っているとはおよそありえない。
必然的に、そのカンポットは違法な物だと【レッドウィンター事務局】は判断したということだ。
【227号特別クラス】。
自治区の僻地にあるこの教室は、レッドウィンターの生徒会である【レッドウィンター事務局】から停学処分を受けた生徒達が送られる場所の一つだ。
先生の目の前にいるこの少女は、学園内でカンポットにお酒を混ぜたり、カンポットやアルコール飲料の密造の疑いを受け、停学処分となり校舎から追い出されてしまった。
キヴォトスにおいて、殺人と同等レベルの重罪の一つが、未成年飲酒である。
「あと、密造は相場を狂わせる可能性があるし、たとえ売る気がなくてもアウトだからね。それに素人が作ったら有害物質が混ざったりして危険だし――」
「あ〜わかったわかった、わかりました! ……んもぅ、先生ってちょっと細かすぎ。そんなんじゃモテないよ?」
シグレは口を尖らせて、スキットルを懐に仕舞う。
……あまり反省しているようには見えない。
(チェリノちゃんはちゃんと仕事してるみたいだな……。いや、秘書のトモエがいろいろアドバイスしてるのか?)
シグレが停学処分となった理由にひどく納得した先生は、髭を着けて胸を張る
そこでふと、先生は悩みのタネの一つである張本人が近くにいないことに気付く。
「そう言えばノドカは? この大雪だし、あまり遠くへ行ってないといいけど」
「……ん、確かにそうだね。ちょっと連絡してみる」
シグレはスマホを取り出して、モモトークで連絡を試みる。
しかし、ピロン、とシグレのスマホから通知音が鳴り、怪訝な顔をするシグレは、
「……、…………!?」
その表情が焦燥に強張った。
「シグレ?」
「……ヤバいかも」
ポツリとシグレは呟く。
その声はとても震えていた。
「今、事務局の広報アカウントから通知があって――」
――続くその言葉に、先生も顔を強張らせたのだった。
シグレとは幼馴染であり、同様に【227号特別クラス】に送られた少女。
薪集めを早々に終わらせた彼女は今、
「うぇへへ……、やっぱり先生の横顔カッコいい……♡ つり目でキリッとしてる……♡」
背負っていた望遠鏡で遠くから先生を観察していた。
ノドカの罪状は盗撮。
正確にはレッドウィンター自治区にやって来た先生を遠くから観察していたのだが、視線に敏感な先生は早々にノドカに気づいた。
望遠鏡を介して彼と目が合ったノドカは運命を感じたが、その運命はあわやあっさりと絶たれるところだった。
――【227号特別クラス】送りにされることによって。
「あのチビガキが余計な事さえしなければ、もっと近くで見られてたのに……!!」
先のクーデターで自分達のことを忘れかけていたチェリノの顔を思い出し、ノドカは歯を食いしばって拳に力を込めた。
現在ノドカはできる限り先生に気づかれない距離を探りながら先生を盗撮している。
「少なくとも1キロ離れてたら先生は気づかないみたい……」
それが分かったからこそ、ノドカは特別クラスから離れた場所で薪集めを行い、心置きなく先生を観察しているのである。
「できればこっち向いてほしいな〜……。でもこっちに顔向けたら万が一気づかれるかもしれないし……」
ガタガタと風で揺れる望遠鏡を押さえながら、ノドカは角度を変え、立ち位置を変えて先生を盗撮し続ける。
……ドスドス、という地響きに大して気にかけないまま。
「もう、誰? こんな僻地で暴れてる奴……」
またレッドウィンター【工務部】がデモ活動でもしてるのだろうか。
地響きをそう解釈したノドカは振り返ることなく望遠鏡を覗き込んでいる。
そしてふと、自身に影が差していることを察し、振り向いた。
黒い何かだった。
それがノドカの目の前にあり、ノドカはゆっくりと視線を上げる。
「――グゥオオオオオオオッ!!」
「ひ――」
“それ”は雄叫びを上げながら腕を振り上げ、叩きつける。
飛び退いたノドカは、真っ二つに折れた望遠鏡を見て、
「いっ、いやあああぁッ!!?!?」
悲鳴を上げながら、彼女はサブマシンガンを乱射する。
近距離からの銃撃は、しかしその巨体に沈み込むだけで大したダメージを与えていない。
「グルル……!!」
かえって怒らせてしまい、ノドカは悲鳴を上げながら背を向けて走り出す。
背負っていたカバンからスマホの通知音が響くことに気づかずに。
「なにあれ、なにあれ、なにあれ……!?」
パニックになりながら、そんな事を何度も呟く。
目測でおよそ3メートル。
近距離からのサブマシンガンの銃撃も大して通らないほどの筋肉量。
かなり肥えていた熊であるのは間違いない。
「なんであんなのがいきなり……!?」
あんな巨大な熊がいるのであればレッドウィンター事務局から周知されているはず。
そこまで考えが回っても、カバンからスマホを取り出す心的余裕は今のノドカには持ち得なかった。
だからこそ、
「……あぐっ!?」
道から外れたことにも気づかずに、足を踏み外して坂になっている雪を転がり落ちてしまった。
「ぅぅ、いたい……」
「――グォウウ…………!!」
「……ひっ」
足を止めたノドカに追いついた熊は獲物を追いつめたとばかりに、蹲るノドカに覆いかぶさる。
「いやっ、やだっ、やめてっ――!?」
ノドカは必死で抵抗する。
両腕両脚を使い、破れかぶれに振り回し、熊の顔やお腹に攻撃する。
「グルル、ウヴオオオォォッ!!」
だが、その度に熊の怒りのボルテージが上がっていく。
「ぎゃぁ……、い、いたっ……」
両側から掴まれて、そのまま持ち上げられる。
ギュゥ、と強く締め付けられて、ノドカは悲鳴を上げることも出来なくなっていく。
熊が大口を開けてノドカへとその顔を近づける。
ノドカは恐怖に塗れた顔で次の瞬間を夢想した。
(いや、いや……! 助けて、先生、シグレちゃん……!?)
目をきゅっと閉じて顔を背け、顔を青くし震えることしかできない。
ノドカは万事休す、そう諦めかけた時、
「リッキィィィィィッ!!!」
ドスドスドス、と豪快な足音を響かせながら、熊の横顔にストレートパンチを撃ち抜いた何かが現れた。
「ぁぅっ」
「ギャインッ!?」
拘束が解かれ、ノドカはそのまま地面に投げ出されるかと思ったが、その何かに掴み上げられる。
「……っ?」
ゆっくりと地面に寝かせられたノドカは、朦朧とした意識の中、その薄目で助けてくれた主を見やる。
「……ぅ、ぁ……」
――それは腕4本の、上半身裸の男だった。
「リキィ……」
腕4本のマッチョマン――カイリキーは気絶したノドカに命の別状が無いことを安堵しつつ、今しがた殴り飛ばした熊の前に立ち塞がる。
「グ、グルル……」
よろよろと立ち上がりながら、カイリキーに威嚇する熊。
「カイッ??」
何かに気づいたカイリキーは、突進してくる熊に反応が遅れ、そのまま真正面から受け止める形となった。
カイリキーはそれを前側の両腕で熊の両腕を掴み、後ろ側の両腕で熊をポイッと投げ返した。
「グルルゥアアアッ!!」
怒りが収まらない熊はまたしても突進してきて、またカイリキーに投げ返される。
それが何度も何度も繰り返され、
「ガアァーーーーーッ!!」
「ギャインッ!?!??」
明後日の方向から、黒く禍々しい波動が放たれ、熊に命中した。
吹き飛ばされた熊はそのまま、森の奥へと逃げ去っていった。
「ガァァァ……!!」
「リッキィ……」
バサバサと羽音を立てて、木の枝に大きなカラスが留まる。
老婆のようなしゃがれた声音は、カイリキーを咎めるような刺々しい物を感じた。
何をやっているんだ、と言わんばかりに。
「リキ、カイリッキ……」
「……カァ〜……」
カイリキーは気まずそうに顔を背けて言い訳をする。
大きなカラスは帽子のようなトサカに翼を当てて、呆れたようにため息を吐いた。
フルフルと首を振ったカラス――ドンカラスは木の枝から飛び立つ。
「ガア、ガア〜〜ッ!」
最後にカイリキーへ指示を出して、ドンカラスは飛び去った。
カイリキーは頷いて、倒れたノドカを抱えて足早に先生の元へと戻っていく。
「――……ぅ、ぅう……?」
目を覚ましたノドカは辺りを見渡す。
そこは老朽化の目立つ教室――【227号特別クラス】の中だった。
「私、どうやって……?」
「ノドカ、目が覚めたのっ?」
「シグレちゃん?」
近くで休んでいたシグレは、ノドカが目覚めたのに気づくとすぐにノドカへと駆け寄ってきた。
「大丈夫、ノドカ? 何処かまだ体が痛むところはない?」
「だ、大丈夫だよ〜っ。今日のシグレちゃん、ちょっと心配性……、…………?」
そこでふと、ノドカは体の異変に気付く。
「うそ、ホントに体が痛くない……」
なんで、と彼女は疑問に思う。
あれだけ熊に強く組み付かれたのに、体の節々は全く痛みを訴えていない。
ノドカは腕をまくり上げて、熊に掴まれていた部分を見る。
そこには痣や傷が一切ない、ノドカの白い肌。
「怪我は先生が治してくれたよ」
「そうなのっ? ……ってそうだ、先生は何処!? 先生に今すぐ報告しないといけないことが――」
「――ノドカ! 目が覚めたの?」
教室に入ってきた先生は、起き上がっているノドカを見て大声を上げる。
その両手にはお盆が掴まれている。
「せ、先生っ?」
「何処か身体に異常は? 外傷は治療したけど、気分が悪いとかはない?」
「い、いえ、大丈夫ですっ! 大丈夫ですから〜」
先生はノドカに近寄り、異常が無いかを確認する。
その時、先生の顔がノドカへと近くなり、
(ふあっ、近い、先生の顔が近すぎるよ〜〜〜〜!!)
「……ノドカ? 顔が赤いけど……?」
「もう、先生。ノドカは病み上がりなんだから、程々にしてよね」
「えっ? あ、ああ、ごめんね……」
顔を真っ赤にしたノドカと距離を離すように、シグレが腕で制止する。
先生はコホン、と戒めるように咳をして、お盆に載せたおかゆを手に取る。
「今はこのおかゆを食べて安静にしてて。あと、念のため
「は、はい。何から何までありがとうございます……」
ノドカはそう言って、渡されたおかゆを食していく。
……食べ終わったノドカは、改めて先生に報告したいことがあると言って、自分の身に何が起こったかを話し出した。
「……そう。一応、事前にシグレからも聞いていたから、こちらから【レッドウィンター事務局】には報告してあるよ。後は彼女達が対処してくれるだろう」
「えっ? 先生は何もしないんですか?」
「いや、後でこっちから出向くつもりだから、改めて情報のすり合わせはするけれど、多分熊の駆除は専門の方に任せた方が良いかもね」
危険すぎるため、その手のプロに任せた方が良いと先生は判断した。
「そうですか……。どっちにしろ、あのチビには借りを作る羽目になるんですね」
若干不服そうに、ノドカは口を尖らせた。
「……って、そうだ! 他にも情報回ってませんか?」
「他の情報?」
「そうです、熊以外にも明らかに危険なのがいたんです!!」
「ええ? そんな通知来てないけど……」
シグレは自身のスマホから、モモトークの通知を確認するが、特に何も情報が入ってきていない事から首をかしげる。
「とんでもないヤバいのがいたの、シグレちゃん! あんなの、レッドウィンターで一度も見たことないよ!!」
「あんなのって?」
「たしか、そう! 肌は灰色、ブーメランパンツ一丁、筋肉モリモリ腕4本の変態だった!!」
「ブフォッ!」
「え、ええ…………??」
シグレは吹き出して、腹を抱えて蹲った。
先生は顔が引きつって気まずそうにしている。
「……? シグレちゃん、何笑ってるの? 笑い事じゃないって、あんな変態がレッドウィンターにいるなんて熊以上の大事件だよ!!」
「ちょ、や、やめて、ノドカ……! これ以上笑わせないで……っ、ふ、ふふ……ッ!!」
「………………………」
余計に笑い出すシグレと、頭を抱えて項垂れる先生。
あまりにも不憫に思ったため、先生はノドカにも話しておくことにした。
「あのね、ノドカ。それなんだけど――」
………………………。
………………。
…………。
「はえ〜、ポケモンさんですか」
ノドカは感心したように呟いた。
現在先生の腕には大きなカラスのポケモン――ドンカラスが留まっている。
ドンカラスはノドカとシグレの視線に意にも介さず、プイッと顔を背けている。
「何度見ても、ありえないくらい大きなカラスだね」
「ホントだね。レッドウィンターでもこんなに大きいのはいないのに……」
二人してジロジロとドンカラスを見つめるが、ノドカはシグレの発言に引っかかり、すぐに隣に視線を向けた。
「……シグレちゃん、ポケモンさんのこと知ってるの?」
「ノドカを探しに行く前に紹介されてね。このカラスが空からノドカを探してくれてたんだよ」
「そうだったんだ……」
合点がいったように、ノドカは頷く。
そして、ふと思い出したように先生に尋ねる。
「…………もしかして、あの変態もポケモンさんだったり?」
「えっと、まあ、うん……。でも、“変態”はやめてあげてね。あいつ、女性に変態とか言われると傷つくから……」
「あぅ、ごめんなさい……っ」
シュンとなって、ノドカは頭を下げる。
その反応を見て、先生はカイリキーの紹介は次の機会に回すことにした。
(怖い目に遭ったばかりだし、何より新しい噂のタネにされかねん……)
事務局へ連絡した際、ノドカが逃げている姿を目撃して事務局の方へ通報した生徒がいたらしい。
ならば、カイリキーの姿も見られた可能性も百パーセント否定できないので、ほとぼりが冷めるまでレッドウィンターでカイリキーを出すのは控えることに決めた。
(すまん、カイリキー……。必ずフォローはするから、今は辛抱してくれ……)
「カァ〜ッカッカッカ……♪」
そんな先生の胸中を察したか否か、ドンカラスは愉快そうに笑った。
「……おい、ドンカラス。そこで笑うのは流石に酷いぞ」
「ガァッ」
知ったことではない。
そんなふうにドンカラスはプイッとそっぽを向いた。
やれやれ、と先生はため息をつくと、
――パシャッ。
「――ん?」
「あっ、しまった……」
シャッター音が聞こえ、先生は音の方向を見ると、ノドカがスマホのカメラレンズを向けて気まずそうにしていた。
「…………、ノドカ?」
「ああ、いや、これは、その、先生が珍しい態度してるな〜って、思ったら、つい……」
「だからって躊躇いなさすぎでしょ……」
冷静にシグレがツッコミを入れた。
「…………そう言えば、話は変わるけど、ノドカが襲われた場所に真っ二つに折れた望遠鏡があったんだよね」
「あっあっあっ」
「その場所ってこの教室からも大分離れた場所なんだよね」
「あわわわ、それは〜その……」
「質問良いかな? そこで何してたの?」
先生はニッコリとした笑顔を浮かべている。
しかし、ノドカを捉えるその目は全く笑っていなかった。
ノドカはダラダラと冷や汗を流し、モゴモゴと口を開閉させる。
先生が完全に怒っている。
それは、誰の目から見ても明らかであった。
「ごっ、ごめんなしゃい……」
「…………ふぅ」
ノドカの口から謝罪が出てきたので、ノドカを威圧するのをやめた先生。
大きなため息が出て、フルフルと首を降ると続けて口を開いた。
「恐らくだけど、君にはお説教よりも少しきつめの罰を与えたほうがいい薬になるのかもしれないね」
「ばっ、罰ですかっ?」
――ガラガラ。
先生がそういった途端にドアが開き、
「ヤァド……」
「ひえっ」
「うわ出た、巻貝頭」
不気味なものを見るような目で、ノドカとシグレは教室に入ってきたガラルヤドキングを見やる。
ガラルヤドキングの手にはグラスが握られており、
「ヤァン……」
「出来たみたいだな」
「出来たって何が?」
「薬だよ」
「「えっ」」
先生はガラルヤドキングが突き出したそのグラスを受け取り、そのままノドカへと渡す。
「あ、あの先生?」
「何かな?」
「これ、ホントに薬なんですかっ? なんか、毒々しい……」
「薬だよ。内服用の予防薬」
「……ちょ、これ、臭いキツイんだけど。何入ってるのこれ?」
「きのみとか、薬草とか、あとヤドキングの毒素とか――」
「ちょっと待ってください、今毒素とか言いましたっ!?」
「大丈夫大丈夫、飲んだら痺れるだけで効果覿面だから。私で実証済みだから心配要らないよ」
「何も安心できないんですけどっ!?!??」
ドン引きしたノドカは受け取ったグラスを突き返そうとして、先生に手首を掴まれる。
「えっ、あの先生」
「後で必ず飲んでって言って、了承したよね?」
「………………………、あっ」
「飲みなさい。そして学習しなさい。あんな事したら、こういう目に遭うって」
「……ぅぅ…………?」
涙目になりながらも、ノドカは救いの手を求めるようにシグレに視線を向ける。
シグレは薬とノドカの顔を交互に見て、
「……ドンマイ♪」
「―――――――――ッ!?」
肩をポンと叩かれる。
ノドカは絶句した。
その後、【227号特別クラス】にはえづく様なうめき声と、その後何度も涙声で謝罪する音が響き渡った。
後日。
先生の仕事姿を遠くのビルから観察しているノドカの姿を確認したと
あれだけの目に遭っても結局やることは変わらないノドカに、先生は説教すればいいのか、逞しさを評価すればいいのか分からなかった。
「『先生』って滅茶苦茶難しい…………」
ポツリと呟いて先生は肩を落とす。
そんな先生の肩を、イエッサンが優しくポンポンと叩くのだった。
大体3行で分かる! 登場人物紹介
シャーレの先生
・チェリノ、ココナ、アリスみたいな幼い娘には「〇〇ちゃん」と呼ぶ
・ブルーベリー学園では実質カキツバタ係だった
・酒とタバコが嫌いなので嗜まない
天見ノドカ
・レッドウィンター連邦学園2年、【227号特別クラス】送りにされた生徒の一人
・先生のストーカーその1
・チェリノ「エロガキ」
間宵シグレ
・レッドウィンター連邦学園2年、【227号特別クラス】送りにされた生徒の一人
・カンポットの密造をよくやってる、偶にお酒も混ぜる
・ノドカの傷を治す際に、ガラルヤドキングの紹介も受けた
カイリキー(♂)
・先生がジョウト地方でゲットしたゴーリキーが進化したポケモン、大きさはL
・リアル“とうそうしん”を常時発動してるため、女性には全力で戦わない
・得意戦法は前側と後ろ側の両腕を交互に使い分けて繰り出す連続“ばくれつパンチ”
ドンカラス(♀)
・先生がジョウト地方でゲットしたヤミカラスが進化したポケモン、大きさはL
・ドンカラスに進化してからはかなりプライドが高い性格になったが、先生の言うことを聞くのはヤミカラス時代からの長い付き合いであるため
・自分に逆らえないのをいいことに、カイリキーにあれこれ好き放題な態度を取っている
ヤドキング(ガラルのすがた)(♂)
・先生に頼まれて薬を作ってた
・今回のレシピはラムのみ、ばんのうごな、ふっかつそう、ガラルヤドキングの毒素
・ノドカの体の傷を“いやしのはどう”で治療した
うすほそ、うすほそ、と話題になってますが、個人的にはヒフミはうすほそとは思ってません。
細くはあっても薄くはないでしょ(開戦の火種)
それはともかく、大変お待たせいたしました。
名前は既に出てましたが、かくとうタイプはカイリキー、そしてあくタイプはドンカラスでした。
この一ヶ月でブルアカも何やら新しい方向に舵を切ったようで、私もどうしようかと悩んでおります。
まあストーリーがとても面白いので、それだけでも続ける余地は一向にあるのですが。
しかも、来年1月と言うことは、早かったら風波とタイミングが被るかもしれないんですよね。
ポケモンの新作は過去にレジェアルで1月発売もありましたし。
このクロスオーバーを続けろという運命の思し召しなのでしょうか。