あと今更ですが先生のセリフはすべて""で、その他のセリフは基本全て「」で統一しております!
~先生side~
「……ん……あの……、…大丈夫?」
"……ず…み…"
「あ、生きてた。こんなところで倒れてたから死んでるのかと」
"…み……み…ず"
「?ミミズがどうかしたの?」
"み…水を…"
「ん、…ちょっと待って」ガサゴソ
「はい、これ。エナジードリンク、ライディング用だからちょうどいいはず」
上半身を起こした先生の目の前にスポーツボトルが差し出される
「えっと…コッp『ゴクッゴクッゴクッ』!?」
躊躇はなかった、というより砂漠の真ん中で死にかけていた先生にとって『考える』のは無理な話だった。
先生は受け取ったボトルのキャップを目にもとまらぬ速さで外すと、相手が何かを言おうとするのにも気づかずドリンクを飲み始めた。
「ッ!そ、それは……」
"ゴクッゴクッーーーぷはっ!生き返ったぁ!"
先生は久々の水分…(といっても数時間の話だが、このアビドス砂漠では十分過酷である)を飲み、ようやく目の前の少女を認識する。彼女は何か言いたそうに口をモゴモゴさせていたので、首を傾げると、彼女はこう言った
「…ううん、何でもない、気にしないで」
少し不思議に思った先生だが、とりあえずお礼をする
“ありがとう、本当に助かったよ”
「まあ、ん…気にしないで……それより何でこんなところに倒れてたの?…ホームレス?」
微妙な間がやっぱり気になりつつも先生は答える
“いやいや流石にホームレスではないよ?ある学校に行かなくちゃ行けないんだ、でもその途中で迷っちゃって…”
『ある学校』という単語と、ホームレス改め遭難者の男…先生が付けている腕章の「連邦生徒会」のマークに彼女が気づいたのはほぼ同時だった
「こっちの方には私たちの高校、アビドス高校しかないけど…もしかしてアビドスに行くの?」
“あぁ、うん、そうだよ、アビドス高校に向かってたんだ”
「そっか、なら久しぶりのお客さんだ」
“改めて自己紹介をさせてもらうね、私は連邦捜査部シャーレの先生だよ”
「ん、私はアビドス高校の二年生、砂狼シロコよろしく」
“こちらこそよろしく、シロコ”
先生の目的地がアビドスだったこと、そして自己紹介を済ませたことによってシロコの雰囲気は幾らか和らいだ、(恐らく)悪意を持たないであろうちゃんとした「お客様」は本当に久しぶりだったのだ
「ん、案内してあげる、ついてきて」
“ごめん…一ついいかな”
「ん?」
“足が…もう動きそうに無くて…”
先生は子鹿のソレを超える動き、かなりの『プルプル』を発揮しながらとても申し訳なさそうにシロコにそう告げた
「ん……、えっと………」
シロコは猛烈に困った表情をした、流石にこの状態の人間に歩かせることはできない、しかし近いといっても校舎まではあと数kmはあるのだ
シロコはこの子鹿勝りの先生を運べそうなものはないかと周りを見渡してみるが残念ながら何もない、文字通り砂だけだ
「どうしよう、ここら辺はタクシーとかもめったに通らないし…」
"ほんとに申し訳ないんだけど、その自転車の後ろに乗せてくれないかな…?"
「えっ、……ん、残念だけどこの自転車は一人用」
"なら背負ってくれないかな"
シロコは明らかに「えっ…」という表情を浮かべたのち、数秒思案するしぐさを見せ、まあ危ない二人乗りよりはいいか、と判断し頷いた
「ん、仕方ない、危ない二人乗りよりは良い」
"ほんとにごめんね…"
先生はよたよたとした足取りでシロコの背中に向かっていく、そして先生が今まさに背中に乗らんとしたとき、シロコから声がかかる
「あ、待って」
しゃがんでいたシロコがふいに立ち上がり、先生の頭にはてなマークが浮かぶ
「えっと、さっきまでロードバイクに乗ってたから…そこまで汗だくってわけでもないけど…えっと…」
"私は気にしないよ?"
シロコが振り向く
"むしろいい匂いがするんじゃないかな"
先生は真剣な表情でそう言い切った、とても真剣な、冗談を言ってるとは思えないような目でだ
それを聞いたシロコは少し頬を赤く染めながら
「…うーん、ちょ、ちょっと良く分からないけれど……気にならないなら、まぁ良いか」
シロコがもう一度しゃがみなおす
「ん、どうぞ」
"ごめんね、ありがとう"
先生が今度こそシロコの背中に体を預ける
「しっかりつかまっててね」
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~アビドス高校~
「ただいま」
「あ。おかえりシロコせん…ぱい!?ちょっと!?そのおんぶしてるの誰!?」
「わあ、シロコちゃんが大人を拉致してきました!」
「拉致!?もしかして死体!?ついにシロコ先輩が犯罪に手を…」
「い、いやその人は…「と、とにかくその死体を隠す場所を探すわよ!体育倉庫にシャベルとツルハシがあるからそれを…」
「ん、これは死体じゃない、生きてる大人、うちの学校に用があるんだって」
「えっ、死体じゃなかったんですか…」
「拉致じゃなくてお客さん?ちょっとアンタ!何か知ってるんじゃないの?」
「いやだからその人は…」
"ト、トウジ!?なんでここにいるの!?"
「わぁ、死体が動きました☆」
「ん、だから死体じゃない」
「なんでって…そりゃ先生が『トウジも来るかい?』っていうから…」
アビドス高校の一室、先生を背負ったままそこに入ったシロコは同級生、後輩から『大人を殺して死体を持ってきた』呼ばわりされて、何とも言えぬ表情をしていた
先生はというと、見渡した部屋にここにまだいるはずのない生徒…禪院トウジの姿を見つけ困惑していた
(シャーレを出たのすら私より後だよね…、そのあと自分の家にも寄っただろうし…、バイクでも持ってるのかな?)
すこし考えながらも自己紹介を始める…前に
"あの、シロコさん、そろそろ降ろしていただけると…"
「ん、」
シロコの背中から少々雑に降ろされる、何か気に障ることでもしてしまっただろうか…
"ん˝ん˝ッ!改めましてシロコもこんにちは、私は連邦捜査部、シャーレの先生だよ、此処からの手紙をもらって来たよ、よろしくね"
先生は今日いまだに発揮されていない大人の威厳をうんと使い、自らの立場の証明である連邦生徒会のIDカードを取り出し、腕章をアピールした
「…えぇっ!まさか、本当に!」
「連邦捜査部シャーレの先生!?」
「わぁ、支援要請がほんとに受理されてたのですね! よかったですね、アヤネちゃん!」
「はい! これで……弾薬や補給品の援助が受けられます!」
「ほら言っただろ、シャーレの先生がもうすぐ来る~って」
「アンタみたいな胡散臭いやつ、急にきて信じられるわけないでしょ!」
「ちょっと、セリカちゃん!本当に来てくれたんだからそんないい方しなくても…」
『胡散臭い』よばわり(というか実際少し胡散臭いのだが)されたトウジは苦笑いを浮かべながらこう言った
「それじゃあ俺も改めて、連邦捜査部シャーレ部員の三年生、禪院トウジだ、よろしく頼む」
地味に初めて2000文字いったかもしれません