カタカタヘルメット団との戦闘が終わり、ようやく落ち着いたところで先ほどまで寝ていたホシノを交えたアビドス側の自己紹介が行われることとなった
「少し遅くなりましたが改めて挨拶させていただきます、私たちはアビドス対策委員会です」
「私は一年の奥空アヤネです、そしてこちらは同じく一年の黒見セリカ」
「どうも」
「二年の十六夜ノノミ先輩、砂狼シロコ先輩」
「よろしくおねがいします~、先生」
「ん、最初に先生にあったのが私……あ、別にマウントをとってるわけじゃない」
「そして三年でこの委員会の委員長、小鳥遊ホシノ先輩です」
「やぁ~、よろしくね~先生」
"うん、これからよろしくね、みんな!"
「トウジさんもありがとうございます。わざわざ危険な前線に出ていただいて…」
「気にするな、俺が好きでやってることだ」
「ん、トウジさん強かった、また戦ってみたい」
「それに随分変わった武器を使うんだねぇ~、おじさんそんなの初めて見たよ~」
ホシノの目が一瞬、細められる
「ん?あぁ、
普段は刀袋に入れて背負っている無銘の日本刀、だが流石は黒服印、切れ味は抜群である
一方拳銃だが銃全般、俺には才能がなかったらしい、当たらないことはないのだが結局刀で殴ったほうが速いのでそうしている、おそらくだがこの齢の甚爾はまだ拳銃を扱っていなかったのだろう、なので残念ながら『身体が覚えている』こともないのだ、格闘や剣術に関してもどうも身体の性能に俺の技術が追いついておらず、実際の『100%』の力を出せるのはまだまだ先だろう
「どうも銃は上手くなくてな、
「お二人のおかげで、火急の用であるヘルメット団の一件も片づけられたました。ようやく一息つけそうですね~」
「ん、これで一番重要な問題に集中できる」
「うん!ありがとう、先生たちのおかげよ!これで借金返済に注力できるわ!」
"私の力じゃない、みんなとトウジのおかげだよ"
そういわれたみんなも少し誇らしげに見える、…まあ俺も悪い気はしない
"ところで…借金返済ってのは?"
「あっ!わわっ」
セリカはとっさに自身の口をふさぐが時すでに遅し、どうも口を滑らしてしまったらしい
もちろん、トウジはアビドスの事情について全て識っている、なんなら
「セリカちゃん、いいんじゃない?隠すようなことでもないでしょ?」
「だ、だからと言ってわざわざ言うようなことでもないでしょ!」
「セリカちゃん、でもね~」
ふいにホシノがこちらを見る
「あそこの彼は既に何か知ってそうだよ~」
「なっ…!」
流石はホシノである、やはり『キヴォトス最高の神秘』は伊達じゃない
「まぁ噂程度でな、でも俺から話すことはないし、先生にもまだ話してない」
「ふーん、そっか、、みんなどう思う?」
一番にシロコが声を上げる
「私は話すのに賛成、先生とトウジさんは私たちを助けてくれた、信用していいと思う」
「そ、それはそうだけど!先生たちも結局は部外者だし!」
「そりゃあ確かにシャーレがパパっと解決、できるような問題じゃないと思うよ、でもこの問題を聞いてくれる大人なんて先生くらいしかいないじゃ~ん」
「でもこれまではずっと私たちだけでここを守ってきたじゃん!今まで大人たちがこの学校がどうなるかなんて気にしたことなんてあった!?」
"……"
「……」
「それなのに急に大人が…部外者が首を突っ込んでくるなんて……私は認めない!!」バタンッ
「せ、セリカちゃん!?」
「私、様子を見てきます」
部屋を出て行ったセリカをノノミが追いかける、
「…………簡単に言うとね、この学校、借金があるんだ、それもとても大きな額の」
とホシノが言う
「9億6235万円…これがアビドス、いえ『対策委員会』が返済しなければならない額です、もし返済できなければこの学校は…廃校となります」
とアヤネが言う
「それでみんな…ほかの生徒は諦めてほかの学校とか町に行ってしまって、私たちだけが残った」
とシロコが言う
「先生が見てこられたであろう街並み、あのゴーストタウンの原因もこの借金が原因です」
"もしよければその借金の理由、それも教えてくれないかな"
「借金の理由ですか?それは…数十年前に起きた『砂嵐』です、それも想像を絶する規模の」
数十年前のアビドス高校はキヴォトスでも有数のマンモス校であった、がそのマンモス校ですら資金の大半を砂嵐の対処に向けなくてはいけなくなった、しかしそのレベルの砂嵐が頻発、ついにアビドスの資金は底をつく、しかし砂嵐への対処をやめるわけにもいかない、その結果…
「結局、当時のアビドス生徒会がお金を借りたのは悪徳金融業者だった」
「最初はすぐに返せる算段だったんでしょう、しかし砂嵐は一回や二回、挙句の果てには十年単位で終わらなかったのです、結果何度も借金を重ねることになりました…当然、当時の生徒会も努力をしました、しかし砂嵐はどんどん増え、アビドス自治区はどんどん砂に埋もれ、そのたびに借金も増えていく…」
"それが続いて今の金額までになったんだね…"
「はい、私たちの力では毎月の利息を支払うだけで精一杯でして…弾薬などの物資も底をつきかけていました」
「セリカがあそこまでになっていたのは、今まで大人がまともに取り合ってくれなかったから、此処まで真面目に話を聞いてくれた大人は先生が初めて」
"……"
「まあでも悪い話だけじゃないよ~、先生のおかげでヘルメット団も撃退できたし、物資の補給も受けられる。あ、もし先生が私たちを手助けしてくれるつもりでも、借金のことは気にしないでいいからね~」
「ん、先生には十分助けてもらった、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない」
"ーーごめんね、それはできない"
ホシノ、シロコ、アヤネの三人がバッと先生のほうを向く
"私は『大人』として、そして君たちの『先生』として、君たちを見捨てることはできないよ、もちろん私の意志としてもね、いいかな?トウジ?"
「もちろんだ、もとよりそのつもりだったしな」
先生は優しく微笑みながらそう言い、トウジは『当たり前だ』とでも言いたげな顔をしている
「そ、それって…!」
"私たちシャーレも、一緒に頑張らせてくれないかな?"
「!!本当に…!ありがとうございます…!」
「先生も変わってるね~、こんな面倒ごとに自ら突っ込んでいくなんて」
「どうもこれが私の性でね、それにさっきも言った通り私は『先生』だ、困った子供を見捨てておくことなんてできないよ」
「…そっか」
ホシノは先生が気付かない程度にーー少し悲しいほほえみを浮かべた
「本当に良かった……シャーレが力になってくれるなんて、これで私達も希望を少しは持てますよね?」
「そうだね、希望が見えてくるかもしれない、少なくともシャーレが、先生が味方してくれるなら」
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「ーーーッ!」
隣の部屋から聞き耳を立てていたセリカ、先生の言葉を聞き、それと自らのプライドとの板挟みになって苦しんでいた、そして静かに、誰にも気づかれないように、彼女は教室を出る
そしてそれを見守っていたノノミも、何もすることはできなかった
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