ハリエットポッターと一つ上のお兄さん   作:鉄鯨

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文の練習兼趣味で二次創作をはじめてみました。
僕が思ってたこういう二次創作欲しーを書こうと考えています。
僕っ子って良いよね!


賢者の石
一つ上のお兄さん


 ハリエット・ポッター。

 生き残った女の子。

 ブォルデモート卿と名乗る最強最悪の魔法使いを赤子の時に打ち払ったとされている少女の名だ。

 イギリス魔法界に籍を置く者なら誰もが知っている名前だ。

 昨年、魔法界に飛び込むことになったホグワーツ二年生、セスタ・ランパードもたった一年の中で四桁はその名前を聞いただろう。

 セスタはその女の子の話を聞く度に悲しくなってしまう。

 曰く、両親は殺されてしまったらしい。

 曰く、額には稲妻の傷跡が残っているらしい。

 曰く、その行方は誰にもわからないらしい。

 聞けば聞くほど悲しくなってしまう。

 魔法界ではありふれたことらしいが、あちこちから噂話が聞こえてくる。

 曰く曰く曰く、みんな噂する。

 誰も彼女を見たことがないはずなのに。噂によって形が作られていく。

─運命という奴は、ハリエット・ポッターという子が嫌いなのだろう

 セスタはそう思う。

 じゃないとこんなに悲しいことはないだろう。戦争だったということを差し引いても普通の人の苦しみを試練を何十人分位か束ねたようなものを生まれたばかりの赤子が背負うことになってしまっているのだから。

 セスタ自身も孤児だ。

 親の顔は知らない。

 でも、今は家族に迎えてくれた人がいる。

 幸せはある。

 親の愛を知っている。

 あれ程までにこそばゆくて、嬉しくて、あったかいものはないだろう。

ホットミルクが追い縋れるかどうかというぐらいだ。

 そんな素晴らしいものを奪われた。

 まだ、それを知覚できないであろう年頃で奪われたのだ。

 こんなに悲しいことはないだろう。

 こんなに可哀想なことはないだろう。

 レイブンクローの先輩はセスタに、誰かを可哀想だと言うことは相手を下に見てしまってるのだと言った。

「でも、仕方ないじゃないか。悲しいものは、可哀想なものはどうにもならない」

 ぽつり呟いた。

 

 そんなハリエット・ポッターが今年ホグワーツに入学するらしい。

 噂はホグワーツ特急の時点で広がっていた。なんなら駅のホームの時点で広がっていた。

─不憫だ

 入学するというだけでここまで広がるのだから、入学してからは一挙手一投足が噂になってホグワーツを駆け巡ることになるだろう。

 ハッキリ言って一人の少女が受ける仕打ちじゃないだろう。

─ハリエット・ポッターさんのことを勝手に本にした人たちは罰を受けるべきだと思う

 残念ながら魔法界に肖像権なんて発想はない。

「全く。みんなマナーがなってない!」

 ドガっと、セスタの隣に同じグリフィンドールの三つ上の先輩パーシー・ウィズリーが座った。

「久しぶりパーシー」

「久しぶりセスタ」

 と言いながらパーシーはセスタの頭を撫でる。それがくすぐったくて、気持ちいい。

「セスタは素直だね。内の弟たちと交換したいくらいだよ」

「なにさ、それ」

 くすくすと笑いながら、セスタは知っていた。

 口ではそんなことを言うパーシーだが、彼のあらゆる話は彼の家族に繋がる。

 グリフィンドールいや、パーシーの友達は自然と悪戯仕掛け人として有名なブレッドとジョージだけでなく、会ったことのないウィーズリー家のみなさんについて詳しくなってしまう。

 みんな、そんなパーシーが好きなのだ。

「マナーがどうしたんだい?」

 セスタはさっきのパーシーの言葉に対して問いただした。

「ハリエットこ話だよ。みんな、噂してあることないこと言って。そりゃあ、凄いことをしたさ彼女は。誰もできなかったことをした。

でも、僕たちホグワーツの先輩は彼女を他の一年生と一緒で可愛らしいまだ見ぬ可能性を持った後輩として扱ってやるべきなんだ!」

─やっぱりパーシーはちゃんとしてる

 セスタはパーシーの意見にウンウンと縦に首を振った。

 正にその通りだ。パーシーはセスタの言いたかったことを見事に言語化してくれた。

─やっぱり、パーシーはちゃんとしてる。監督生になったのも納得しかないよ

 胸に自慢気につけられた輝く監督生バッチが彼のこれまでの努力と魅力の証明になっている。

「ダンブルドア先生は、耄碌してるとか言う人もいるけどちゃんと人を見てるよね」

 そう笑いかけるとパーシーら少し顔を赤らめて照れ臭そうに笑った。

 こういう、しっかりしてるけど可愛い所もある所がペネロピーが惚れた理由の一つなのかもしれない。

 そうやって、同級生や先輩と駄弁っていると一年生がやって来て、組み分け帽子が歌い出した。

 するとどうだろう。

 あんなにも喧騒に包まれていた大広間がシーンと静寂に包まれたではないか。

 これぞホグワーツの伝統の一つ。組み分けの雰囲気作りである。

 ホグワーツ生はどんな人であろうと卒業生も含めて、組み分け帽子の秘密を守る。

 貧乏で陽気な家も、鼻持ちならない良い性格をした純潔の家も、新入生に組み分けのことは話さない。

『だってその方が楽しいだろう』

 みんな口を揃えてこう言うのだ。

 こういうところがホグワーツの良いところだとセスタは思う。

 陽気なグリフィンドールも、結構ダンブルドアを馬鹿にしている人が多いスリザリンですらこの雰囲気作りには手を抜かない。

 これぞホグワーツ。

 

「アボット・ハンナ!」

 セスタが引き取り親の次に尊敬しているマクゴナガル先生が新入生生の名前を呼び始めた。

 彼女は頑張ったら頑張った分だけ認めてくれるので、グリフィンドールの寮監だが、犬猿の中のスリザリンですら彼女の悪口は滅多に言わない。というか、言ったらマクゴナガル先生の過激派にめったうちにされてしまう。

 彼女が名前を呼んだ何人かはグリフィンドールに来た。嬉しいことに初めての後輩だ。

 セスタとしてはどの寮であろうと親切にしたいと思っているがホグワーツにおいて寮とは家族だ。やっぱり同じ寮の後輩というのは特別だ。

 

 そして、はきっとした声が遂にその名を呼んだ。

「ポッター・ハリエット!」

 呼ばれて出で来た女の子がセスタの瞳に映り込んだ。

 クネクネと癖のある黒髪のショート。

 エメラルドのような瞳とそれを遮る大きな丸眼鏡。

 あまりにも細い体。

─あぁ細すぎる。あれは……ダメなやつだ

 その細さをセスタは見覚えがあった。

 セスタがいた孤児院にも数人いた。

 ご飯をまともに食べさせてもらえなかった子供の特徴だ。

─彼女は英雄のはずだ。

 周りに甘やかされて丸々としても不思議ではないのに。

 痩せている男の子だと言われたら信じてしまう。

 セスタがそうやって思考を回していても、中々ハリエットの寮は宣言されない。

「ハットストールだ」

 パーシーが嬉しそうに叫んだ。

 どこの寮か組み分け帽子が迷っている。つまり、それだけ多くの素質があるのだろう。 

 可能性の塊であって結構結構。

 セスタの時は一瞬だった。

─こんなに穏やかなんだからハッフルパフと悩んでも良かったのに

 本人はこう思っているが、周りはお前はグリフィンドールだと断言する。

 フレッドとジョージすら真顔になって断言する。

 丁度10分経つか経たないかで組み分け帽子は大きな声で宣言した。

「グリフィンドール!!!!!!!」

 地震もかくやというくらい、グリフィンドールのテーブルは震えた。

 フレッジョが腕を組んで「ポッターを取った! ポッターを取った!」

と騒ぎ出す。

 他の皆んなも立ち上がって拍手した。

 パーシーも顔には出さないようにしているが─できてないけど─嬉しそうだ。

 ハリエットはどこかほっとしたようにグリフィンドールのテープまで来た。

 パーシーがよろしくと言いながらセスタとパーシーの間に空間を作って座らせてやる。

 セスタのすぐ隣にあの、ハリエット・ポッターがいる。

 セスタは声を出せなかった。

─やっぱり細い。そして、小さい

 間近で見るとより、ハリエットの細さ、そして小ささがわかった。

 あまり、大きい方ではなかったセスタの一年生の時よりも更に小さい。

 ハーマイオニーたちよりも幾分か小さい。小さすぎる。

 細い体はスリザリンの意地悪な奴らにぶつかられたら、骨が折れてしまいそうだ。

「よろしくハリエット」

 なんとか、絞り出した。

「よろしく。えーっと」

「セスタ・ランパードだよ。一つ上の二年生。」

「わぁ! かっこいい苗字だね」

「ありがとう。正直自分でもそう思ってる」

─頼りになる先輩を装えてるかな

 そんな不安を噛み潰しながら自己紹介をしていると、最後のロナルド・ウィーズリがグリフィンドールと宣言された。

 双子は勿論、パーシーも既に友達になっていたらしいハリエットも喜んでいた。

 

 ダンブルドア校長が一言二言言ったらいよいよ、食事の時間だ。

 ワットたくさんのご馳走が現れる。

 全部、ホグワーツに仕える屋敷しもべ妖精たちが作ってくれたものだ。

 フレッジョに連れられ厨房に忍び込んだときにセスタは知った。

「ありがとう」

 と、告げてから肉を取ろうととして隣を見た。

「わぁぁぁぁ」

 ハリエットがキラキラとした目でご馳走を見ている。が、何も取っていない。一杯ありすぎて何を食べればいいのかわからないのだろう。

─なるほど

 周りにいた先輩方とアイコンタクトをとる。

 ボスは勿論監督生のパーシー。

 指令はこうだ。

 可愛い可愛い新入生にデリシャスアタックを喰らわろ!!

 一番槍は勿論、セスタ・ランパード。

 一切れのローストビーフと野菜を取ってハリエットのお皿に盛り付ける。

「肉は野菜と交互に食べるのが食べ続けるコツだよ!」

 アドバイスも添えて。

「これが美味しいよー」

「食べろ食べろ」

「やっぱスイーツよね。女の子なら!」

「バランスよく食べるんだよ!」

 セスタに続いて上級生が次々にハリエットのお皿にお勧めの食べ物を盛り付ける。

「良いな。あれ」

「あたし達もやりましょ!」

 それを見た他の上級生も面白がって新入生達にご飯を盛り付けてやる。

 それを、ダンブルドアはニッコニッコで眺めてる。

 マクゴナガルも今日ばかりはマナーがどうとか不粋なことは言わずに楽しそうに見つめている。

 ハグリッドなんて「よがっだなぁ゛」と巨大に見合った大粒の涙を流している。

 勿論、フリットウイックもスプラウトも微笑まし気に笑っている。スナイプだけは顰めっ面だが、その内心はダンブルドアかヴォルデモートくらいの開心術師でないとわからないだろう。

 最初はポカンとしていたハリエットだが、次第にみんなが自分の為に色々してくれたのだと理解した。

「あ、ありがとう!」

 ぺこらと、勇気を出してお礼を言った。

「ありがとう」「ありがとう」「ありがとう」

 他の新入生もそれに続いてお礼を言った。 

 こうやって直ぐにありがとうが言えるのは新入生たちも良くも悪くも素直なグリフィンドールの特性をしっかりと持っているという証拠。

 その姿は余りにもかわいらしすぎる。

 毎度のことだが上級生は新入生の可愛さにメロメロだ。

─あぁ。俺はお兄ちゃんになったんだな

 その光景を見てセスタはトチ狂った解釈をしながらも決意した。

─守らなければ。と

 




ハリエット。巷で噂のリリー似じゃなくて黒髪ショートのボーイッシュな感じ。
セスタは女装したら女の子に見えるタイプの少年。
関係ないんですけど鉄鯨は少年がボロボロになっても立ち上がるのが好きです。
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