ハリエットポッターと一つ上のお兄さん   作:鉄鯨

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二次創作って書きやすい


二年目のホグワーツ

 セスタもホグワーツ二年生となった。

 ホグワーツの階段は動く。

 床も動く。

 部屋も動く。

 絵画も動く。

 鎧も動く。

 ホグワーツという千年の歴史を持つ神秘の城は実に、落ち着きのないやつなのである。

 マクゴナガル先生にもっと年相応の落ち着きを持てと叱られても良いのではないかとセスタは思っている。

 そんな、ホグワーツでも一年住めば慣れるもの。

 一年生の時は迷いまくった。

 だが、今は二年生。昨年度とは一味も二味も違うのだ。

「今年は迷うわけないね!!」

 

「ここ、どこー⁉︎」

 なんてことはなかった。

 見たことのない廊下だ。

─初っ端から遅刻はまずい!

 慌てて駆け出すもどうにも、見知った廊下に出ることができない。

「坊や」

 流石に平静を保てないセスタに声がかかる。

 振り返ると、そこにいるのはレイブンクローの寮付きゴーストである灰色のレディ。

「ごきげんよう」

「ええ、ごきげんよう。今日も、迷ってしまったの?」

 今日も。

 そう、今日もなのだ。セスタがホグワーツを一人で歩く時、大抵迷ってしまう。夜の探検だって、先生に告げ口しない親切なゴースト達のおかげで寮に帰れる。

「でも、仕方ないことよ。ホグワーツが貴方のことを好きなんだもの。悪戯したくなってしまうのね」

 知識の寮の令嬢はそう言ってセスタの頬を撫でる。

 ゾクっと体が反応するが別に嫌ではなかった。

 レディは仕方ないと言ってくれる。

 でも思うのだ。セスタはもう一年生ではない。このまま、迷子の迷子のセスタちゃんのままで良いのだろうかと。

─これは、頼れる先輩とは言えない

「良いのよ」

 レディはセスタの心を見透かしたように断言する。

「貴方は落ちる雫の音を聞き逃さない。ならば、それで良いのよ」

 優しくそう諭すレディの瞳に移るセスタは、果たして頼りない二年生だっただろうか。

 

 

「セーフ?」

 はぁはぁと息を漏らしながら呟いたその声は一人言のようなものだった。

「ギリギリセーフ!」

 それに応えたのは今年からレギュラーのチェイサーとしてグリフィンドールのグディッチの代表選手となることが決まったケイティ。

 その後ろではサリエリがオーマイガーと頭を抱え、リチャードがガッツポーズ。

 セスタが遅刻するかしないかで賭けをしていたのだ。

─こいつらっ!

「ランパード!」

「はいっ!」

 楽し気だった雰囲気は一人の魔女の鶴の一声により引き締められる。

 その声の主はマクゴナガル先生。

 公平オブザ公平。

 グディッチのこと以外なら大抵この人に相談すべきと言われる人だ。

「貴方ももう二年生なのです。10分前行動5分前完結を心掛けなさい! 一年生の手本とならなければならないのですよ!」

「はいっ、」

 その説教はセスタに刺さってしまう。レディに慰められたがやはりちゃんとしなければならないのは事実だろう。

─頑張らなければ!

 と、思っていても城自体がセスタにちょっかいをかけているのだから中々難しい話だ。

「今日は一年生の復習から始めますよ」

 その一言から始まった授業は明らかに一年生の授業を難しくてした応用であり復習と言いつつも簡単にこなせる訳ではなかった。

 理論が終わり実技だ。

「今から配る黄金虫をぼたんに変えて見せなさい。変えることができたら一人5点差し上げます。初めなさい」

 変身術の実技の時間は周りへの警戒を怠ってはならない。

 マクゴナガルは実技の課題を出す時、クラスの平均より少し難しい位の課題を出すため失敗して変なものに変化させてしまうことが多々あるのだ。

「セスタ避けろ!」

 リチャードがマサラタウン出身の少年が相棒にするような指示を叫んだ。

 セスタはそれを聞いて間髪入れずに頭を引っ込める。

 すると、セスタの頭があった位置を物凄い勢いで通過するものがあった。

 あれは何だ?

 そう、あれはカブトムシだ!!

 ただのカブトムシじゃーない。

 コーサスオオカブトがドリルのように回転しながらバチバチと羽音を発しながら恐ろしい速度で教室中を飛び回る。

「おぉ!」

「かっけー」

「抱きしめたいな、コーカサス!」

「リチャードお前すげーよ!」

 男子はみんなその格好良さに見惚れ、はしゃぐ。

 女子はそれを見てこれだから男子はと溜息をつく。

「集中して自分の課題をこなしなさい」

 マクゴナガルが杖を一振りするとそろそろ音速を超えそうだったコーカサスオオカブトがぼたんに変っ身! し、コロリと床に落ち、転がる。

 男子はブーブーと唸るが、キッとマクゴナガルに睨まれると。黙り自分の黄金虫に直った。

 リチャードにら新しい黄金虫が与えられた。

 セスタは今さっきのマクゴナガルの杖の動きを脳内でシミュレーションしていた。

 イメージは充分。後は実行するだけ。

「シュアッ!」

 掛け声と共に杖を振る。

 するとどうだろう。

 さっきまでカサカサ動いていた黄金虫が真っ赤なグリフィンドールの色のボタンに変化している。

─ヘラクレスオオカブトじゃなかったか……

 本人はなにかがおかしくなってヘラクレスオオカブトにならないかなとほんの少し思っていたが、真っ当にぼたんに変っ身! した。

「「よしっ!」」

 成功を喜び声を上げたセスタだが、同じ言葉が重なった。

 ん? と思い、横を見るとケイティも黄金虫をぼたんに変っ身! させることに成功したようだ。

 セスタと全く同じ動作をしていたケイティと二人でニヤっと笑いぐーたっち。

「よくやりました。ランパード、ベル。きちんとした杖使いでしたよ。二人にそれぞれ5点。グリフィンドールに10点です」

─やった!

─嬉しい!

 マクゴナガルは公平なので、点を与えたということはその点に相応しいことを成したということを認められたということ。

 公平に厳しいマクゴナガルから点を貰えたというのは、はかーなーり、嬉しいことなのだ。

 もう一回、二人でグータッチ。

 それと、同時に授業時間が終わり、マクゴナガルが宿題を告げて解散となった。

 

 マクゴナガルの言葉を胸に、早速次の授業へ向かおうとするセスタ。

「ちょっ! 何するんだよ!」

 右腕をリチャードが、左腕をサリエリが掴む。

「セスタ。お前が良いやつで、迷子になるのもわざとじゃないってのはみんなわかってる」

「そして、お前が迷い癖を何とかしようとしてるのも知ってる。」

「でもね」

 セスタの鞄を持ちながらケイティが二人に続いた。

「「「次の時間は魔法薬学だから流石に遅刻はまずい」」」

 異口同音。三人揃って同じことを同時に言った。

 

 連行されながら着いた魔法薬学の教室は素材を保管しておくために地下にあるのも相まってかなり寒い。

「今学年最初の授業だが、諸君たちの腐った脳みそが長い休みを経て、更に腐食が進んでいないかを試すために去年の復習から始めるとしよう」

 マクゴナガルと言っていることは基本的に一緒なのに大層嫌味に言ってくるのは魔法薬学のスナイプ教授だ。

 彼は先生として、マクゴナガルと真反対の在り方をしている男だ。

 差別万歳。スリザリン百点ほーら持ってけ、グリフィンドールはマイナス100点。ついでにレイブンクローとハッフルパフもマイナス50点。

 差別? 区別だ馬鹿者。しょうもないこと言わせんなよマイナス100点だワハハハハハ。

 でも、穢れた血って言葉許さんよ。

 という感じの男だ。

 魔法薬学師としての腕はイギリス最高峰であり、教科書を見るよりスネイプの独自の調合の方がローコストでハイクオリティなものができる故、実力は間違い。

 が、何で教師になったんだと言いたくなるほど子供が好きそうには見えない。

 それに魔法薬学はニ寮合同の授業でありグリフィンドールはスリザリンと合同なことが多くこっちの点はゴリゴリ減るがあっちの点はどんどん増える。

 スリザリン生はそれをニヤニヤと煽ってくるものだから頭にくる。

 結構な要因でグリフィンドールが好きになれない授業No.1である。

 でも悲しいかな、グリフィンドール男子が一回は憧れる闇祓いになるには魔法薬学は必須なのだ。

「諸君らには元気爆発薬を作ってもらう。なに、昨年の授業が身になっているのなら余裕のはずだ。初め」

 セスタたちはてきぱきとペアを作り作業を始める。

 きちんと予習してをしていた者は「それ、一年生の復習じゃなくて二年生の内容では⁉︎」と叫びたかったが、それをしたら減点が確実なので口をモゴモゴとさせながら作業を始めた。

 勿論、スリザリンは夏休みの宿題にスナイプから特別課題を挟まれており余裕で作れる。グリフィンドールに、そんな物も作れないのかい? と煽る気満々だ。

 セスタはペアのシャルロットと黙々と役割分担をしながら進めていく。

 セスタはそこそこ魔法薬学ができるし、シャルロットは学年主席スリザリンのマーラ・ログテスターやレイブンクローのテッド・ジャックスと競う秀才。

 二人の思いは一つ。

「よろしく!」

「頑張ろうな」

─一番早く一番質が高い物を作る! あいつらより早く!

「馬鹿者! ハッカを入れるのはもっと後だ! グリフィンドール3点減点」

 後ろで何かが爆発して、スナイプにグリフィンドールが減点されているのを尻目に作業を進める。

 隣からスリザリンが妨害してくるのをプロテゴで防ぎつつ、最後の仕上げをする。

「「できたぜ」」

 スリザリンよりも早く、完成。

 すぐさま、スネイプに出来を仰ぐ。

「ふーむ」

 試験紙をセスタとシャルロットが作った元気爆発薬に浸すスネイプ。

 悪戯にもったいぶっているが、二人にはわかっている。試験紙の色は黄色に変わっておりそれは元気爆発薬が完璧な状態であることを示している。

─さっさと良い出来だと言いなさい。スネイプ

─言え、言え

 グリフィンドールらしく気が強いシャルロットはキッとスネイプを睨みつけ、セスタもそこまでまではせずともジーッと見つめる。

「ふん、乱暴者で繊細な作業ができないグリフィンドールにしては、マシな出来だ。グリフィンドールに15点」

 自制して心に出さないがグリフィンドール生はワッと騒ぎたかった。心の中では騒ぎ倒してた。

 スネイプが15点もつけるなんて、よっぽどの出来だったのだ。恐らく、売って世に出しても良いくらいは良い出来だったのだろう。

 それを理解しているスリザリン生は悔しいやら何やらを顔には出さないが滲み出して、作業を進めた。

「しかし、態度が適正でない。グリフィンドール五点減点」

─クソッ!

─スネイプこの野郎。じょあ、さっき邪魔してきたハドレーンの野郎からも点引けよあ゛ぁ゛!

 上げて落とすのもスネイプのお家芸。

 それでも10点。

 さっき失った3点引いても7点。

 スネイプの魔法薬学の授業でグリフィンドールがプラスなのは奇跡だ。

「残りの時間は元気爆発薬のレポートを書いておれ」

 スネイプは二人にそう告げて、席は戻れる促す。

 

 こんな感じで、セスタたちのホグワーツ二年生は始まった。

 ドカン!!!

 大きな爆発が起こる。

「グリフィンドール10点減点!」

 マイナスになってしまった。

「「おい!」」

 セスタとシャルロットの怒声が2度目の爆発を起こしたラクスターとガリューに向けられる。

 爆発落ちなんてサイテー。




ケイティ以外みんなオリジナル二年生。
二年生本編に出てくる数少ない?
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