ハリエットポッターと一つ上のお兄さん   作:鉄鯨

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文が拙いっっ〜!


クィディッチだ!!

「クィディッチだ!!」

 ウッドが飛行場に着くなり、叫んだ。

 いつもの事なのでグリフィンドールの代表選手は無視する。ハリエットもこれまでの練習で慣れてしまった。

「みんな、聞いてくれ」

 かと思えば真面目な、チームのキャプテンとしての声色でそう言って来たのでみんなウッドの方を向き話を聞く姿勢を見せる。

「アンジェリーナ、アシリア、ケイティ。君達の連携はホグワーツ一だ。君たちのクワッフル回しは誰も真似できない!」

「それほどでもあるわ」

「わかってるじゃない」

「やだてやるわ!」

「フレッド、ジョージ。お前達はうちのチームの守護神かつ、攻撃神だ。お前達のダブルブラッチヤーは味方を守りながら敵を伐つ、最高のビーターだ」

「まあね!」

「どうしたんだよウッド? 当たり前の事言ってさ」

「そしてハリー。君は天才だ。空に愛されていと言っても過言じゃない」

「っ〜! うんっ、」

 グディッチ狂いの純粋な褒め言葉は褒め慣れていないハリエットには強火すぎた。

 ウッドはひとしきりチームの仲間を褒めた後、こう続けた。

「今日がスリザリンとの試合前最後の練習だ! 僕達は絶対に勝たなければいけない。気合入れてくぞ!!」

「「「「「「おおっ!」」」」」」

 気合は充分。決意表明を済ませたグリフィンドールのクィディッチ代表先進達は各々の突貫メニューを始める。

「ハリー少し待ってくれ」

「なに?」

 ウッドがハリエットを呼び止める。

「君の才能は間違いない、それは断言する。でも圧倒的に実践経験が足りない」

 ハリエットはスニッチを探す練習も捕まえる練習もした。フレッジョに妨害されながらの練習もした。

 でも、圧倒的に同じシーカーとスニッチを奪い合う経験に欠けていた。

「でも、それはどうしようもないじゃないか」

 そう、したかない事だ。グディッチの試合は寮杯の得点にも大きく影響する事もあって4寮それぞれ、手の内を明かしたがらない。

 だから練習試合なんてものはホグワーツのクィディッチにはない。ぶっつけ本番なのだ。

「他の寮のシーカーじゃない。だが、練習相手を連れて来た」

「出番だ!」

 ウッドが用意していたという練習相手を呼ぶ。

「おう!」

 呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! 

「セスタ⁉︎」

 練習相手だと呼ばれて空から箒に乗って現れたのはセスタだ。

 ハリエットからシーカーの座を奪われた一つ上の少年。

 ハリエットにシーカーの座を託してくれた一つ上の少年。

 何かとハリエット達一年生の世話を焼いてくれる一学年上の頼れる先輩だ。意地悪なスリザリン生から守ってくれる時俺はお兄ちゃんだと叫ぶのは意味がわからないがホグワーツの中ではまともな感性をしている方だ。

「ハリーにはセスタとスニッチの奪い合いをしてもらう。セスタ、遠慮はいらない。ハリーは経験こそないが、それを補って余りある才能の持ち主だ。全力かつ、本気でないと練習にならない」

「おーけー! 覚悟してろよハリエット」

「僕の相手になるかみものだね」

 二人はいつかのような煽り合いを早速始める。ハリエットはセスタとの遠慮が必要ないこのやり取りが好きだ。ロンやハーマイオニーとはまた違う遠慮の要らなさがある。

 その二人の様子は側から見るとセスタが望む、兄と妹のようだ。

「そう言えば、セスタの箒の穂先ってなんか変な形してるね」

 セスタの箒の穂先はダドリーの飛行機の模型で見たバーニアの様な形をしている。幾ら魔法族にとって箒は空を飛ぶものだからと言っても明らかに箒としておかしい形だ。

「ああ、これは婆さんがくれたものでな、バードストライクってシリーズの箒の特徴なんだ」

─なんか、あんま縁起の良い名前しまゃないね

「バードストライク? ウッドがくれたカタログにはなかったよ?」

「あ〜、まぁそうだろうな」

─ウッドが渡したって事はグディッチ向きの箒のカタログだろうからな

 セスタが引き取り家のお婆さんから譲り受けたバードストライクというシリーズの箒はハッキリ言ってグディッチ向けじゃない。

 もっと言えば移動用としても正直使えたものじゃない。

 バードストライクは乗り手が魔力を注ぎ、それを穂先から吹き出し飛び上がるブースタースタイル。

 ハリエットのニンバス2000とは対極で、小回りが効かないなんてレベルでは無く小回りなんてものは存在しない。

 その分他の箒の三倍の速さで直線移動ができるが、明らかにグディッチ向きではないだろう。

 だが、その速さに恋焦がれる物好きはどの時代も一定数いるらしく、積み重ねた歴史はニンバスシリーズと同等の積み重ねを持つ。

 それを説明するとハリエットは怪訝な顔で聞いてきた。

「そんな箒でシーカーをするつもりだったの?」

 ハリエットに相手を馬鹿にする意図はない。

 単純に、クィディッチという競技場内を縦横無尽に飛ばなければいけないスポーツにおいてセスタが持ち出したバードストライクは向いていないだろう。という考えだった。

「この箒、初めて貰ったプレゼントの一つなんだ。どうせなら、この箒で活躍したかった。ハリエットもマクゴナガル先生がくれたその箒以外考えられないだろう」

「うんっ!」

 そういう理由ならば納得だ。

 ハリエットにとってマクゴナガルがくれたニンバス2000は初めて貰ったプレゼントの一つだ。

 後から、幾らこれを超える箒が出てこようとハリエットはこのニンバス2000になら続けるだろう。

 セスタにとってそれが婆さんがくれたバードストライクなのだ。例え色物であろうとそれに乗っていたのだという気持ちはハリエットにもわかった。

「じゃあ、始めるか」

 そう言ってセスタがウッドから預かっていたスニッチを解き放つ。するとスニッチは黄金の残像を残して瞬く間に空に飛び上がる。

 始まりの合図はいらない。スニッチが放たれているのならもう始まっているのだから。

 ハリエットが素早くニンバス2000に乗り空へ上がった。

─流石、100年に一つの才能!

 マクゴナガルの期待は嘘じゃない。

 ウッドの評価は過激ではない。

 ハリエットは天才だ。

 ハリエットがスニッチを捕獲できる射程圏内に入った時、セスタはまだ地に足を付けていた。

─終わっちゃうよ?

「焦んなよ」

 普通の箒ならここからまくる事などできない。セスタは情けない先輩の

角印を押される事になってしまうだろう。

 だがセスタの箒はバードストライクだ。

 セスタから魔力を受け取り、箒の内部機構が躍動する。

 込められた魔力が青いラインとして箒の中を走り、それが穂先まで辿り着くと青い炎が灯る。

 爆ぜた。

「はぁっ⁉︎」

 他の箒の三倍の速さは伊達じゃない。

 セスタは一瞬でハリエットの目の前までやって来た。

 そんなセスタに反応してか、スニッチが急転換し、今度は逆に下の方へ逃げる。

 ハリエットもそれを追う。

 が、そう易々とそれを許すセスタではない。箒をハリエットの前に突き出して妨害。

 これにより、ハリエットは最短の動きでスニッチを追えなくなり、少し大回りをしなければならない。

 箒から飛び降りての妨害だった為、セスタは当然ながら宙に放り出されそのまま落下していく。

「死んじゃうよ!」

 ハリエットは目を向いてセスタを助けようと動くが必要はない。

 箒から飛び降りる前に予め込めておいた魔力が爆ぜ、地面に向かって直進。セスタはタイミング良く、そのまま箒に掴み、見事再び箒に乗ってしまった。

 そして、勢いのままにスニッチを取る。

「こんなものか! シーカー!!」

 初めはポカンと呆気に取られていたハリエットだが何が起こったのかを把握するとみるみる顔を赤く染めていく。 

 怒りの赤だ。

 まず、セスタがとても危ないまねをした事に切れた。落下し死ししてしまうと本気で心配したのだ。

 そして、今の一連の流れで終始圧倒された自分に切れた。今、自分を圧倒した者からシーカーの座を託されたのだ。

 自分が圧倒するくらいでないと意味が無いのに、あろう事か先にスニッチを取られてしまった。

 自分が情けなくて堪らないし、悔しくて堪らない。

 

 その様子を他の代表選手達も見ていた。

「いや、あれはセスタが色物すぎない?」

 ケイティの言葉がみんなの思いを表していた。

 再度言うがバードストライクはクィディッチで使うような箒でないのだ。

「公式には一人の選手がバードストライクでシーカーをしていた選手の記録がある」

 ウッドが震え声で言った。震えているのはアンジェリーナ達の最初から色物を連れてくるなという視線に対しての言い訳ではなく、そんな伝説と言っていい光景を見れるなんてという感動からだ。

「セスタがハリー以外で一番シーカーが上手いんだ。仕方ないだろ」

 アンジェリーナ達にはそう言ってのけた。

 うん、其方こそ真のクィディッチ狂い。

 ちなむと、ただ一人公式に記録が残っているという選手の現在の名前はハーバレー・ランパード。

 セスタの引き取り家の婆さんである。もっと言えばセスタにプレゼントしたバードストライクは現役時代に使っていたものである。

「もう一回!!」

 ハリエットが出せる限りの声で叫ぶ。

 そう、これは本番でなく練習。まだ太陽は一番高い位置に登ってすらいないのだ。何度でもやり合える。

「そうこなくちゃな!」

 セスタは右手に握っていたスニッチをぶんと投げる。

 また二人はスニッチを追いかけて速度を上げた。

 

 

 太陽が沈み月が顔を出し、星が輝き出した。

「今日の練習は終了だ!」

 ウッドの号令が競技場に響く。

 ウッドはクィディッチ狂いだが、試合前に無駄に厳しい練習はしない。そこら辺の冷静な判断をできるキャプテンなのだ。

「は゛ぁ゛」

 ウッドの号令を聞いた瞬間ハリエットの体から力が抜けて地面に倒れ伏す──前にアンジェリーナが支えて横抱き、つまりお姫様抱っこをする。

「お疲れ様、ハリエット」

「ニンバスは私が持っていくわよ」

「寝る前にお風呂に入りましょ。泥だらけだもの」

 流石はそこら辺の男よりイケメンだと噂されるグリフィンドールのチェイサー三人娘。

「きゃー!お姉さまー!」

「あたしも抱きしめて!」

「ウッド! 先行ってるからね!」

「わかった。片付けはしとく!」

 フレッドとジョージが囃し立てるのを尻目に糸が切れてうとうとしているハリエットをエスコートしていった。

 

「う゛あ゛」

 女子達が見えなくなった辺りでセスタも、ハリエットと同じような呻き声を出しながら倒れた。

 セスタは誰も支えてくれなかったから、地面に倒れ伏した。

「支えてよ〜」

「悪いな、セスタ」

「男を抱きしめる趣味はないんだ」

 双子は無常に言い放った。

 ウッドは片付けをしに行ってそもそも見てすらいない。

「どうだ。ハリエットやばいだろ」

「やばいなんてもんじゃないだろあれ」

 セスタが圧倒できたのは最初だけで、ハリエットは二回目からはもうセスタの色物プレイに対応してきたのだ。

 ハッキリ言って化け物である。

 ハリエットにとってかっこよくて、強い先輩でい続けたかったために虚勢を張り続けていた。

「いや、お前も結構バケモンみたいなトリック決めてたけどな」

「ああ、俺達でもあそこまでぶっ飛んだトラックはしない」

 そう言ってなんだかんだで面倒見が良い二人はセスタを運んでくれる。

フレッドが両腕を掴み、ジョージが、両足を掴むハンモックスタイルだがもう一歩も動けないセスタからしたらそれでもありがたかった。

「ちゃんと見ててくれよセスタ」

「俺たちは勝つぜ」

「おう!」

 爆速かつ丁寧に片付けを終わらせたウッドも合流して城に帰って行った。

 

 

 

 

 本番、グリフィンドールはスリザリンに勝った。

 ハリエット・ポッターはホグワーツ校内新聞部のインタビューにこう答えた。

「みんなにスリザリンは危険なラフプレーをするって言ってたけど思ったより上品に飛ぶんだね」

 と言ったらしい。




秘密の部屋まで見た。
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