ハリエットポッターと一つ上のお兄さん   作:鉄鯨

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少し強引な締めな気がします。
まぁ、修行中って事で許して下さい。


ホグワーツサンタクロースモドキは仕事をしない

 セスタ・ランパードは他多数の子供と同じようにクリスマスが大好きだ。

 正確には去年のクリスマスから大好きになった。

 セスタがランパード家に引き取られるまでにお世話になっていた孤児院はとにかく貧乏だった。

 それもこれも、少ない寄付を孤児達に届く前にポッケないないなしてしまう汚い大人のせいだった。

 その汚い大人達はセスタが引き取られる際にランパード家の人が制裁を加えてくれていたから残った孤児達は今は前よりまともな生活を送れている筈だ。

 話を戻すが、セスタ・ランパードはクリスマスか大好きだ。家族と過ごすクリスマスが大好きになってしまったのだ。

 もう碌に支援をしてくれない自称子供好きのあしながおじさんに下の子達を庇って愛想笑いをしなくても良い、金ばかり注がれて心が全く育っていないドラ息子に馬鹿にされなくても良い。

 おかあさんと一緒にディナーの料理をして。

 おとうさんとバードゲームを楽しんで。

 ねえさんとプレゼントを交換しあったり。

 婆さんに箒の乗り方を教えてらうのだ。

 今年のクリスマスもそれはもう楽しみにしていたのに。

 クリスマス休暇一週間前にランパード家の梟であるアキレウスが爆速で届けてくれた手紙を読む。

 そこに書いている事を簡潔にするとこうだ。

 今年のクリスマスは帰ってくるな。

 別にセスタが急にランパード家の人々から嫌われた訳ではないらしい。

─復活するなよ、化け物!

 何でも、ランパード家の先祖が封印したという神代の化け物が復活したらしく現代のランパード家にカチコミかけて来たんだとか。

 ランパード家の人達は何かと戦闘狂なので怪物が千年の封印で弱体化しているのも相まって人死には絶対にないらしいが結界内に篭ってしまうのでクリスマスは間に合わないんだとか。

 後、幾ら弱体化していても相手は神代の怪物。ダンブルドアに増援を求める程ではないがセスタのレベルだと足手纏いなので罷り間違ってと来るなと。

 プレゼントはちゃんと送るからホグワーツにいて欲しいとの事。

─プレゼントは嬉しいけど、違うんだよ

 プレゼントの有無よりもセスタはランパード家の人達とクリスマスを過ごせない事が嫌だった。自分の事を家族と呼んで愛してくれる人達と過ごせない事が嫌だった。

─あの人達が大丈夫って言うんなら本当に大丈夫なんだろうけどさ、心配なんだよ

 やっと手にした家族がいるという幸せをまた失うのが怖い。自分の事を家族と呼んで愛してくれる人達が危ない目に合うのが怖かった。

 本人達は再封印どころかここで斃すと息巻いているらしいがセスタには関係ない。

 怖くて怖くて仕方ない。

「どうしたの? セスタ」

 手紙を読んで青い顔をしながら眉をひそめるセスタにハリエットが声をかけた。

 慌てて、ランパード家の末っ子のセスタからグリフィンドールの一つ上のお兄さんのセスタに変わる。

「いやー、クリスマスはホグワーツで過ごす事になってね──」

 その後に続く言葉にセスタは悩んでしまう。

 ハリエットはセスタと同じ孤児で親戚のダーズリー家に引き取られたらしいがそこでの扱いは酷いものだったらしくクリスマスはホグワーツで過ごすがそれがとても楽しみらしい。

 それを自分がホグワーツで過ごす事になり残念だと言ったらハリエットの気分を落とす事になってしまうだろう。

「なんだ! セスタもホグワーツで過ごすのかい!?」 

 本人は無自覚だろうが救いの手を差し伸べてくれたのはハリエットの親友の一人でセスタがトチ狂って弟の一人だと思っている一年生の一人である愛称ロン、本名ロナルド・ウィーズリだった。

「内も、パパとママがチャーリーのとこに行く事になったからクリスマスはホグワーツで過ごすんだ!」

「チャーリーって言うと、ドラゴンを、研究してるっていうあの?」

「そ。ルーマニアでクリスマスは過ごすんだって。兄貴達だけだったらあんまだったけど、ハリーやセスタがいるんなら楽しくなるね!」

─ありがとな、ロン

 ロンは空気を読めない所があるがこうやって良い意味でその場の空気を変えてくれる時も結構ある。

 本人は優秀すぎる兄達や唯一の女の子という事でみんなから愛されている一つ下の妹と比べて卑屈になる事が多いが本人も充分に多才でムードメーカーだ。

 そんな本人は今の兄貴達といてもと言う発言をバッチリ聞いていたフレッドとジョージによって生意気だと撫でくり回されている。

「初めて、クリスマスが楽しくなりそう」

「……」

 それを見ながらハリエットが呟いた。

 セスタ、ロンに助けられて少し自分の中で言葉を整理する余裕ができた。

 ハリエットの前では寂しいとは言わない。

 それより大事な事がある。

 楽しいクリスマス初心者のハリエットに楽しいクリスマス歴一年の自分が色々教えてやらなければならない。

 クリスマスは寂しかったと後で愚痴るより、そっちの方がカッコいいだろう。

「クリスマスの流儀を教えてやるよ」

 一年前、姉がセスタに言った言葉をハリエットにかける。

 ハリエットはクィディッチの練習の時のようにポカンとしたが、今度は花が咲くように笑った。

 

 

「メリークリッスマス」

「メリックリスマス」

「メリークリスマス」

「メーリークリスマス」

「メーリークーリースーマースー」

 クリスマスの当日、一人女子寮から談話室に出て来たハリエットを迎えたのはメリクリのコーラス。

 悪戯なんかで人を楽しませる事が好きなフレッドとジョージは勿論、真面目なパーシーまでも参加している。

 最後にセスタが一番ロングなメリークリスマスを歌いコーラスは終了した。

 パチパチパチパチ。

「あはははは! すごーい!」 

 ハリエットはグリフィンドール男子ズのクリスマスサプライズがお気に召したらしい。

 これには男子達もホッとする。

 セスタが考案、真っ先に双子が乗ったと飛び乗り、ロンが良いねと参加、最後にパーシーが眼鏡をくいっとして、やるぞとゴーサイン。

 彼らは今日、徹底的にハリエットにクリスマスというものをわからせるつもりなのだ。

「ハリー! 君にもいっぱいプレゼントが来てるぜ!」 

 ロンが母から送られた茶色のセーターを着ながらクリスマスツリーの下を指差す。

「君の分もあるよ」

 パーシーも自分に送られたセーターを着ながらハリエットに送られた、ウィーズリーの男連中のセーターより明らかに気合の入っているおしゃれな赤い毛色のセーターを渡す。

─……あったかい

 ウィーズリー家の母君から送られたセーターはポカポカとハリエットの身体のみならず心も温めてくれる。

 ロンはお気に入りの魔法使いカードをくれたしハーマイオニーは歯医者の娘らしく歯に良いお菓子セット、ハグリッドのロックケーキはマクゴナガル先生の紅茶セットと一緒に食べたら美味しいだろう。ラベンダーとパーバディはアクセサリーをくれたし、ウッドは空級箒磨きセット。

 他にも沢山のクリスマスカードが来ていて、びっくりした。

「わーお、僕こんなにプレゼントを貰ったの初めてだよ」

「そりゃあきみはハリエット・ポッターグリフィンドールのヒーローだからね!」

「そ、クィディッチのシーカー何だからこれくらい当然さ!」

 双子が笑う。

 生き残った女の子たからとは言わなかった。

 今日来たプレゼントはハリエットが好きだから届いた物ばかりだ。生き残った女の子宛に送られたプレゼントは何処にもない。

 ハリエット自身が好かれているから送られたプレゼント達なのだ。

「これ何だろ?」

 ハリエットが手に取ったのは小さな結晶を繋げて作られたブレスレットだった。

 隣を見るとロンも色違いで同じ物をプレゼントされていた。

「お、それ俺からのプレゼント」

 後ろから二人の間に覗き込むようにセスタが来た。

「トロールの件と言い、スリザリン戦の箒の暴走と言い、お前三人組は何かとトラブルに会いがちだからな! 盾の呪文が込めたんだ。デザインは自作したから荒削りだが、付けてくれたら嬉しい」

─トロールはセスタもじゃない?

─何なら僕らのよりヤバい奴だったらしいけ

 と相変わらず噂が瞬く間に広がるホグワーツでセスタもトロールに襲われていた事を知っている二人はどっちもどっちだと思ったが、素直にありがとうと言っておく事にした。

「ありがとう」

「ありがとう」

 また、下の子二人が思った事をランパード家の人達も考えていたようでセスタも彼らに送られたのであろう結構な数のお守りを身に付けている。

「さ、そろそろ朝食の時間だ! みんなお腹がぺこぺこだろう急げ!」

 仕切り屋のパーシーが時計を確認してそう言った。

 朝食を逃したくないグリフィンドールの成長期達はパーシーの手前走れず、早足で大広場に向かう。

 

「わぁ!」

 ハリエットはもう何度目かわからないがホグワーツのご馳走に目を輝かせた。

 それに今朝はクリスマス仕様の朝ごはんだ。

─こんな豪華なクリスマス、ダーズリー家の人達も探さないよ

 入学式の時のように何から食べるか悩むハリエットにセスタ達はケーキやプディング、チキン、ローストビーフなどを盛っていく。

「朝からこんなに良いの?」

「「それがクリスマスだ」」

「「あれを見ろ!」」

 フレッジョが教員のテーブルを指差す。

 スネイプは相変わらずクリスマスだというのに仏頂面をしているが他の先生方は違う。

 ハグリッドはもう何本もワインのボトルを飲み干して顔が真っ赤だ。酔っ払って隣のマクゴナガルにキスを何回もしているが彼女も嬉しそうに笑っている。

 マクゴナガルもこんなに楽しんでいるのだから超えてはならない一線を超えなければ今日は羽目を外しても許されるだろう。

 ハリエットがケーキを一口パクリ。

「罪深い味がする」

「そうだろう、そうだろう。朝から食べるケーキは深夜に食べるヌードルと同じくらい罪な味がする」

 一年で最も聖なる日に食べるその味は最も罪深い味だ。

 

 朝食を済ませたグリフィンドール一行は膨れた腹を虐めるために外に出て雪合戦をする事にした。

 チームはセスタ、ハリエット、ロンのチームとパーシー、フレッド、ジョージのチームに分けられた。

 厳正なグーパーの結果である。

 普段面倒見が良い上級生チームも勝負事では手なんか抜かず、容赦なくボコボコにしてくる。

 だが下級生チームが一方的にボコボコにされたかというとそれも違った。

 下級生チームの要はロンだっだ。

 彼は魔法使いのチェスがグリフィンドールで一番強い。駒が意思を持っている魔法使いのチェスでだ。

 その技能を今回も活かして身体能力の高いセスタとハリエットのスペックを充分に生かす支持をだす。

 その姿はさながら戦場の指揮官であり、親友のハリエットは勿論セスタもその指示に従って動くと必一瞬とはいえ一体ニ構図に持ち込めるのだ。

 最後はチーム分けなんて意味がなくなりみんな一番近くにいる人に雪玉をぶつける混戦になったがそれも楽しくてみんな腹の底から笑った。

 

 午後からは談話室でまったり過ごした。

 真面目なパーシーは梟試験があるからと勉強に戻ったが他の五人は室内遊戯を楽しんだ。

 セスタとロンが魔法使いのチェスで対戦して犠牲を出さないようにするセスタの思いに呼応してキングの駒が黄金に輝いたり。

 ロンはそれを無常にも破壊したが。

 ハリエットのクイーンがキングを倒してキングに成り替わりハリエットを口説いてきたり。

 フレッドとジョージがゴブストーンゲームを暴走させて談話室中に臭い匂いを撒き散らかして結局パーシーが切れたり。

「あははははははっ! 楽しいっ」

 とにかく笑った。

 ハリエットはこんなに笑ったのは人生で初めてかもしれない。

 セスタとパーシーがグータッチをする。

 彼らハリエットにクリスマスというものをわからせる事に成功したらしい。

 

 

 

 

「セスタ、セスタ!」

 クリスマス当日から二、三日経ったくらいの夜、セスタはロンに起こされた。

「どうしたんだよロン? 楽しい夢見てたのに」

─アーサー王が女の子になって十人以に増殖して合唱してた

「そんなのどうでもいいよ! ハリーが何かおかしいんだ」

 ロンの様子がかなり不安気だったので夢の事は忘れて真面目に聞く事にする。

「ハリーのプレゼントに透明マントがあったんだ。それで、僕達……夜のホグワーツを探検してたんだけど人によって見えるものが違う鏡を見つけたんだ。その鏡にハリーが魅入られちゃったみたいなんだ! 今も多分鏡を見に行ってる」

 ロンは早口で捲し立てた。

─なるほど、パーシーじゃなく俺の方に来たのは夜間外出したからか……

 確かにセスタは夜間外出位ならわざわざ先生に告げ口するような事はしない。何なら自分も夜の冒険くらいはする。

 普段ならフレッドとジョージでも良さそうなところを自分を頼ってくれた事に「弟よ!」と実兄を差し置いて喜んだだろうがそうもいかない。

─鏡かぁ

─姉さん曰く、鏡の魔道具は面倒だったんだよな

 鏡の魔道具は距離を無視するものだったり、異空間に繋がるものだったり、敵の姿を見せるものだったり、見たものを変身させるものだったり、人を食うものだったり──本当に色々なのだ。

─しかし、人によって見せるものが違う鏡、か

─明らかに疑似餌じゃないか 

 事は一刻を争う可能性が見えてきた。最悪ハリエットが喰われてるかもしれない。

─パーシーを起こす暇も無いな

 正直、最年長者かつ、監督生であるパーシーに、なんなら先生の誰かを呼ばなければいけない案件かもしれない。

 が、今は一刻も早くハリエットを見つけ出すのが先だろう。

 セスタはすぐさま上着を着て、杖を持つ。

「ロン、俺はハリエットを探しに行く。お前はパーシーを起こしておいてくれ」

「場所は⁉︎」

「ホグワーツが教えてくれる」

 そう答えてくれたロンの一つ上の先輩はいつも俺はお兄ちゃんだとか言ってる時より頼もしかった。

 いつもセスタにちょっかいをかけて迷わせるホグワーツもハロウィンのように本当にやばい時はセスタが最短最速の道を通れるようにしてくれる。

「坊や⁉︎ 今は就寝時間ですよ!」

─ごめん。レディ

 太ったレディの絵画が寮の外へ出たセスタに注意をするが事情を説明する間も惜しいセスタは無視して走り出し心の中で謝る。

 

 やはりホグワーツに身を任せて走っていると、自然と導いてくれているらしい。

 遠目からかなりの大きさの鏡と横たわるハリエットが見えた。

─手遅れだったか

 魂を食われたのかもしれない。自分は間に合わなかったのかという恐怖がセスタを襲うがきっとまだ何とかなると信じて走った。

 鏡の元へ辿り着き倒れているハリエットの様子を確認する。

 ハリエットはすうすうと息をしていて、胸に手を当てるとどくどくと心臓の鼓動が感じられる。

「ハリーは泣き疲れて眠っているだけじゃよ。セスタ」

 セスタの背後から声がかけられる。その優し気だがどこか力がある声をセスタは知っている。

 セスタが背後を振り向くと、そこにいるのはダンブルドア校長。

─全然、気づかなかった

 校内は姿現しができないようになっているので、ダンブルドア校長はずっと近くにいた事になる。普通透明化はどうしても空間に違和感が生じるものだが人がいる気配すら感じさせなかった。透明化一つもってしても格が違う。

「動くな」

 セスタはダンブルドアに杖を向ける。

「あんたが本物のダンブルドア先生だという証拠は?」

 本物が相手ならかなり失礼な事をしている。

 だが、この場には魔法道具の鏡があるのだ。鏡が出した疑似餌の可能性は充分ある。

「どうしたもんかのぉ……そうじゃ。これならどうかな?」

 ダンブルドアがピュッと口笛を吹くと黄金の炎と共に彼の不死鳥、フォークスが現れる。

 不死鳥。

 この世で最も気高き生き物の一つ。遥かな空を我がものだと抱く赤き鳥。雉程の身体にドラゴン以上の生命力を持つ者。

 確かに、口笛一つでこのような存在を呼べるのなら偽物などと言えない。

─それも、鏡が作り出したものだったら?

 不死鳥など魔法界において麒麟と同レベルでその魂が善良である事を示す存在なのだが、セスタの後ろにはハリエットがいる。

─俺の判断一つで、ハリエットが死ぬ

 そう思うと向けた杖を下ろす事ができなかった。

「アラスターが好きそうな子じゃのぉ」

 ダンブルドアは教え子でもあり、友でもある常に油断対敵! と騒ぐ闇祓いが脳裏に浮かび微笑んだ。

「しかし、夜も遅い。そろそろ話をすすめたいの」

─少し辛いが我慢しておくれ

 そう言ってダンブルドアはセスタに杖を向ける。セスタが反応する間もなく事は終わった。

「あがっ」

 ダンブルドアがセスタに行ったのは強制自己開心。ダンブルドア自身の心をセスタに強制的に読み取らせたのだ。勿論、セスタが知ると運命に絡め取られるような事柄は伏せているが。

「ごめんなさい。ダンブルドア先生」

 強制的に与えられた情報から、目の前にいるのは本物のダンブルドアだと判断したセスタは今までの無礼を謝る。

「良い良い、きちんと闇の魔術に対する防衛術を学んでいるようで何より」

「先生、ハリエットは、この鏡は─」

─鏡の正体よりハリエットの事を心配してくれるのか、この子は

「そうじゃな、順を追って話そう。

まずこの鏡はみぞの鏡と言って、覗き込んだ者の心の底から望むものを見せるのじゃ。」

 魂も食わない。肉も食わない。ただ、見せるだけ。

 だからこそ、酷いものだ。

 心の底から望むものが見えるのに、手にする事ができない。

 手に入らないと分かっているのにどうしても、釘付けになってしまう。

 見えるだけとは、見えないよりも残酷なのだ。

「ハリーは父と母を見てしまい囚われてしまった。だが、強い子じゃ。きちんと幻と決別し、泣き疲れて眠ってしまったのじゃ」

─それを、あんたは見てただけか?

─グリフィンドールの談話室に連れて来いよ

─そもそもそんなものこんなとこに置いとくなよ

 ダンブルドアへの不満が溢れてくるが、何とか口には出さない。

「勿論、直ぐに別の場所に移すとも。ハリエットもキチンと談話室に送る」

 セスタの心を見透かしたようにダンブルドアは語りかけ、ホークスがここに来た時のように黄金の炎を、纏いハリエットと共に消えた。恐らく、ハリエットをグリフィンドールの談話室まで運んでくれたのだろう。

「君には何が見えるのかの?」

 この好好爺は言外にお前の心のそこを見せろと言っているような事を平然とセスタに聞いてきた。

─まあ、減るもんじゃないか

 今までなにが起こるかわからなかったから見ないようにしていた鏡を見つめる。

「ははっ」

 鏡に写った光景にセスタは思わず笑ってしまう。

「何が見えたのかの?」

 ダンブルドアは冷静に見えて、結構焦っていた。セスタなら鏡に囚われる事はないだろうと思い、希少な魔法道具を経験させてやろうとしたら、急に笑い出したのだ。

─もしかして、笑うしか無い程のトラウマがあったのかの……

─アルバス。貴様はまた、軽い気持ちで人の人生を狂わせたのか

 珍しくオロオロとするダンブルドアを見て、セスタの笑いはさらに増す。

 

─思ってたより、俺はダンブルドアの職務怠慢に切れてて

─思ってたより、俺は単純で何だな

 ダンブルドアが心配していた事などない事は、すまぬと開心術でセスタの思考の表層を読み取る事でわかった。

 ダンブルドアはホッとした。

 そして疑問に思う。みぞの鏡を見て愉快になる事なんて殆どない。この子は何を見たのか? と。

「何が、見えたのかの?」

 再びダンブルドアがセスタに聞いた。

 セスタは少し息を整えて答えた。

「まず、ハリエットがキチンと寮のベットで寝てた」

「そらから見えるものが変わって貴方が百味ビーンズの四川麻婆味を引いてのたうちまわってた」

 

「…………なんと」

 みぞの鏡は心の奥底の望みを移す。

 セスタは確かに心の底からハリエットがしっかりと寮のベットで眠りにつく事を望んでいて。

 セスタは確かに心の底からダンブルドアが、百味ビーンズで四川麻婆味を引いてのたうち回る事を望んでいるのだ。

「びっくらぽんじゃ」

 ダンブルドアは少し真面目に英雄としてではなく、教師としてもキチンと背を正さねばと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ダンブルドアは結構おいたわしい人だと思います。
僕は極力ハリポタ世界の人の可能性を無理矢理引き出したい。
話は変わりますが、結城友奈は勇者であるがアマプラで見れるようになるらしいです。
ルシエドさんの時に拳を時には花を。を読んでめっちゃ気になってたから楽しみ。
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