伏黒恵の調和 (タイトル変更)   作:ゲダツ

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私の作品がどんどん評価されていく 感想も増える私の承認欲求がどんどん満たされるぅぅー


12 京都姉妹校交流会 1

 

 

――交流会当日。

 

 

 東京校の面々が、校門前に集合していた。

 

 

 各々が軽装で立っている中――

 

 

 ひとりだけ、大量の荷物を抱えている人物がいた。

 

 

「……何で皆手ぶらなのよー!!」

 

 

 釘崎野薔薇が叫ぶ。

 

 

 キャリーケースに、紙袋、土産ガイドブック。 完全に旅行仕様だった。

 

 

 パンダが眉をひそめる。

 

 

「お前こそ何だその荷物は」

 

 

「何って……これから京都でしょ? 京都で姉妹校交流会……」

 

 

「違う」

 

 

「京都の姉妹校“と”交流会だ。東京で」

 

 

「……は?」

 

 

 数秒の沈黙。

 

 

「嘘でしょおおおおおお!!」

 

 

 釘崎、絶叫。

 

 

 真希が呆れ顔でため息を吐いた。

 

 

「……どおりで最近会話が噛み合わないわけだ」

 

 

 伏黒が口を開く。

 

 

「ですね」

 

 

(……言うの忘れてた)

 

 

 内心でだけ反省した。

 

 

 パンダが続ける。

 

 

「去年勝った方の学校でやんだよ」

 

 

「勝ってんじゃねーよ!!バカ!!」

 

 

「俺ら去年出てねえよ」

 

 

 即ツッコミ。

 

 

「去年は人数合わせで優太が参加したんだ」

 

 

 真希が肩をすくめる。

 

 

「『里香』の解呪前だったからな。圧勝だったらしいぞ。去年は京都でやったから見てねえけど」

 

 

 釘崎が拳を握る。

 

 

「許さんぞ乙骨優太ァ!! 会ったことねーけどよぉ!!」

 

 

 その時。

 

 

「……おい、来たぜ」

 

 

 真希の視線の先。

 

 

 京都校の一団が姿を現した

 

 

 真依が鼻で笑う。

 

「あら、お出迎え?気色悪い」

 

 

 東堂が周囲を見渡す。

 

「乙骨いねえじゃん」

 

 

「うるせぇ 早く菓子折り出せコラ  八ツ橋くずきり そばぼうろ」

 

 

「しゃけ」

 

 

 狗巻が同意した。

 

 

 東堂が困惑する。

 

 

「腹減ってんのか……?」

 

 

 西宮桃が小声で呟く。

 

 

「怖……」

 

 

 ほうきを握る手がわずかに強くなる。

 

 

 メカ丸が低い機械音声で言う。

 

 

「乙骨がいないのはいいとしテ 京都校1年2人はハンデが過ぎないカ?」

 

 

「ロボだ!! ロボがいる!!」

 

 

 釘崎、別方向にテンションが上がる。

 

 

 加茂憲倫が静かに口を開いた。

 

 

「呪術師に歳は関係ないよ。 特に伏黒くん――」

 

 

 視線が向けられる。

 

 

「彼は禪院家の血筋だが、 宗家よりよほど出来がいい 次期当主を狙えるくらいにはね」

 

 

 真依が舌打ちした。

 

 

「……チッ」

 

 

「何か?」

 

 

「別に」

 

 

 三輪霞が慌てて間に入る。

 

 

「まぁまぁ」

 

 

 伏黒は――

 

 

(……推しがいる!!)

 

 

 内心ちょっと興奮していた。

 

 

 

「はーい、内輪で喧嘩しない まったくこの子らは」

 

 

 京都校引率、庵歌姫が手を叩く。

 

 

「で あのあの馬鹿は?」

 

 

 パンダが即答。

 

 

「悟は遅刻だ。」

 

 

真希は続けて言う

 

 

 「バカが時間通りに来るわけねーだろ」

 

 

 伏黒が冷静に言う。

 

 

「誰もバカが五条先生とは言ってませんよ」

 

 

(……辛辣だな。 本人の自業自得だけど)

 

 

 その瞬間。

 

 

「おまたー!!」

 

 

 陽気な声と共に、 箱を乗せたワゴンを押しながら五条悟が現れた。

 

 歌姫、即座に舌打ち。

 

 

「五条悟!!」

 

 

「やぁやぁ皆さんお揃いで。 私、出張で海外に行ってましてね――」

 

 

「急に語り始めだしたぞ」

 

 

 パンダが小声で言う。

 

 

 五条は京都側へ向き直る。

 

 

「はい、お土産。 京都の皆には、とある部族のお守りを」

 

 

「歌姫のはないよ」

 

 

「いらねぇよ!!」

 

 

 即答だった。

 

 

 そして五条は、東京校へ振り返る。

 

 

「そして東京都の皆には――コチラ!!」

 

 

 箱が、開かれる。

 

 

 

 

 

 

「故人の虎杖悠仁くんでぇーっす!!」

 

 

 

 

 

「はい!!おっぱっぴー!!」

 

 

 虎杖、箱の中から元気よく登場。

 

 

 東京校――沈黙。

 

 

 虎杖、内心。

 

 

(えっ……えーーーーーー!? 全っ然!!嬉しそうじゃない!!)

 

 

(京都の人らは…お土産に夢中ーー!!)

 

 

 

 

 

 

 

 楽巌寺嘉伸が虎杖を見据える。

 

 

「……宿儺の器!?どういうことだ……」

 

 

 五条が顔の位置までしゃがみ込む。

 

 

「楽巌寺学長ー!いやー良かった良かった。びっくりして死んじゃったらどうしようかと」

 

 

「糞餓鬼が…」

 

 

 

 

 

 ――ドン!!

 

 

 釘崎が箱を蹴飛ばした。

 

 

 

「おい何か言うことあんだろ」

 

 

 涙目だった。

 

 

 虎杖が頭を下げる。

 

 

「生きてること黙っててすんませんでした……」

 

 

 伏黒が内心思う

 

 

(俺も生きていること黙ってたんだけど、……まあいいか)

 

 

こうして――

 

 虎杖悠仁、正式合流。

 

 東京校と京都校の交流会は、 開幕前からすでに騒がしかった。

 

 

 

 

 

 

騒がしい再会劇が一段落したところで――

 

 

 突然。

 

 

 五条の首根っこが、後ろからがっちり掴まれた。

 

 

「ぐえっ」

 

 

 そのまま地面へ引き倒される。

 

 

 押さえつけていたのは――

 

 

 東京校学長、夜蛾正道だった。

 

 

「……いい加減にしろ、五条」

 

 

「ちょ、ちょっと学長!?生徒の前ですよ!?」

 

 

「だからだ」

 

 

 そのまま五条を締め上げながら、 夜蛾は前へ出た。

 

 

「では――」

 

 

 低く、よく通る声が響く。

 

 

「これより、京都姉妹校交流会 団体戦のルール説明を行う」

 

「1日目、団体戦 “チキチキ呪霊討伐猛レース”!!」

 

 

 東京校、微妙な沈黙。

 

 

 京都校、微妙な沈黙。

 

 

 五条だけが地面で笑いを堪えていたが、 さらに締められた。

 

 

「ぐぇ」

 

 

「指定された区画内に放たれた2級呪霊を――」

 

 

「先に祓ったチームの勝利となる」

 

 

「区画内には3級以下の呪霊も複数放たれており 日没までに決着がつかなかった場合――」

 

 

「討伐数の多いチームに軍配が上がる」

 

 

 夜蛾は一度全員を見渡した。

 

 

「それ以外のルールは――」

 

 

「一切なし!!」

 

 

 ざわり、と空気が動く。

 

 

「もちろん妨害行為もアリなわけだが」

 

 

「あくまで君たちは、共に呪いに立ち向かう仲間だ」

 

 

「交流会は、競い合いの中で仲間を知り、己を知るためのもの」

 

 

「相手を殺したり、再起不能の怪我を負わせることのないように」

 

 

 静かな圧が、その場を包んだ。

 

 

「……以上 開始時刻は正午まで解散」

 

 

 説明が終わった瞬間。

 

 

 歌姫が、くすくすと笑っていた。 

 

 

 理由はただ一つ。

 

 

 夜蛾に締められ続けて、 未だに解放されていない五条の姿だった。

 

 

 

「……まだ締められてるぞ」

 

 

 

 パンダが呟く。

 

 

「いやぁ、これ愛ですよ愛」

 

 

「黙れ」

 

 

 夜蛾、さらに力を込める。

 

 

「ぎゃっ」

 

 

 交流会開始まで、あとわずか。

 

 

 戦いの前の静かな準備時間が、 それぞれに与えられた。

 

 

 

 

 

 

 

東京校サイドミーティング

 

 

 

 場面は変わり――東京校控えエリア。

 

 

 

 虎杖悠仁は、なぜか自分の遺影の額縁を顔のすぐ前まで持ち上げていた。

 

 

 

「……あの〜」

 

 

 おそるおそる口を開く。

 

 

「これ、見方によってはとてもハードないじめなのでは……」

 

 

「うるせぇ」

 

 

 即答したのは釘崎野薔薇。

 

 

「しばらくそうしてろ」

 

 

「理不尽!!」

 

 

 

 

「まぁまぁ」

 

 

 パンダが間に入る。

 

 

「事情は説明されたろ。許してやれって」

 

 

「しゃ、喋った!!」

 

 

 虎杖が目を見開く。

 

 

「パンダが喋った!!」

 

 

「しゃけしゃけ」

 

 

 狗巻棘が頷く。

 

 

 

「……なんて?」

 

 

 虎杖が伏黒を見る。

 

 

 

「狗巻先輩は呪言師だ」

 

 

 伏黒が淡々と説明した。

 

 

「言霊の増幅・強制の術式だからな 安全を考慮して語彙を絞ってるんだよ」

 

 

 

「へぇ……」

 

 

 虎杖は少し考えてから言った。

 

 

「じゃあ『死ね』っつったら相手死ぬってこと? 最強じゃん」

 

 

 

「そんな便利なもんじゃないさ」

 

 

 パンダが肩をすくめる。

 

 

「実力差や状況でケースバイケースだけどな 強い言葉を使えばデカい反動が来るし、最悪自分に返ってくる」

 

 

「語彙を絞るのは棘自身を守るためでもあるのさ」

 

 

 

 

「他人の術式をペラペラと……」

 

 

 釘崎が呆れたように言うと、

 

 

 

 

「いいんだよ」

 

 

 禪院真希が遮った。

 

 

「棘のはそういう次元じゃねぇから」

 

 

 そしてすぐ虎杖を睨む。

 

 

「んなことより悠仁。屠坐魔、返せよ。悟に借りたろ」

 

 

 

「ああ、はいはい」

 

 

 虎杖が額縁を持ったまま答える。

 

 

「今は持ってないから後で返しに行きます」

 

 

「早めに返せよ」

 

 

「はーい」

 

 

 

 伏黒はそのやり取りを見ながら、内心で思う。

 

 

 

(原作では壊された武器だ……)

 

 

(壊れなかったことになってる)

 

 

(未来が変わってることも、あるんだな)

 

 

 

 

「で」

 

 

 真希が本題に戻した。

 

「団体戦形式はまぁ予想通りとして――メンバーが増えちまった」

 

 

「作戦変更か? 時間ねぇぞ」

 

 

「おかか」

 

 

 狗巻が短く同意する。

 

 

 

「そりゃ悠仁次第だろ」

 

 

 パンダが虎杖を見る。

 

 

「何ができるんだ?」

 

 

 

「殴る、蹴る」

 

 

「そういうの間に合ってんだよな……」

 

 

 

 

 微妙な空気が流れた、その時。

 

 

 

「……コイツが死んでる間、何してたかは知りませんが」

 

 

 伏黒が静かに口を開いた。

 

 

 

「東京校・京都校、全員。呪力なしでやり合ったら――虎杖が勝ちます」

 

 

 

 二年生が一斉に虎杖を見る。

 

 

 

「……へぇ」

 

 

 真希がわずかに目を細める。

 

 

(東堂と引き分けに持って行った恵が言うんだ。信憑性はある)

 

 

「面白ぇ」

 

 

 

 

 伏黒は虎杖に向き直る。

 

 

「じゃあ作戦伝えるから聞けよ」

 

 

 

 そして内心で別のことを考えていた。

 

 

 

(今頃、京都校では――)

 

 

 

 

(虎杖を殺す命令が出されてるんだろうな)

 

 

 

 

「東堂は確実に直で私達を潰しに来る」

 

 

 真希が言う。

 

 

「真依も私狙いで便乗してくるかもな」

 

 

「東堂は化け物だ。全員で相手して全滅するのが最悪のパターン」

 

 

「本来は足止めとして一人、パンダか恵を置くつもりだったが――」

 

 

 

 

 真希は虎杖を指差した。

 

 

 

「悠仁。お前に任せる」

 

 

「索敵できるやつ減らしたくねぇしな」

 

 

「勝たなくていい。できるだけ粘って時間を潰せ」

 

 

 

 

「でも大胆に行けよ!」

 

 

 パンダが笑う。

 

 

「ぶっちゃけお前は予定外の戦力だから、リタイアしてもあんまり困らん」

 

 

 

「ひっでぇ!!」

 

 

 

 

「……悪ィな恵」

 

 

 パンダが伏黒を見る。

 

 

「お前、東堂とやりたかったろ」

 

 

 

「いや、別にどっちでも……」

 

 

 

(あの人とはあまり関わりたくねぇ)

 

 

 

「スーパードライだな」

 

 パンダが言った。

 

 

 

 虎杖は額縁を置き、立ち上がる。

 

 

 

「出番っスね、先輩」

 

 

「やるからには勝つよ、俺」

 

 

 

 

 伏黒が頷いた。

 

「じゃあ――その“勝つため”の作戦を今から伝える」

 

 

 

 交流会、開始まで残りわずか。

 

 

 

 東京校は、静かに牙を研いでいた。

 

 

 

 

団体戦開始直前

 

 

 

 開始数分前――

 

 

 東京校メンバーは、指定されたスタート地点へと移動していた。

 

 

 

 森の入口付近。

 

 

 広く開けたその場所で、伏黒が静かに影へ手をかざす。

 

 

 

 

「――出ろ」

 

 

 

 影が波打つ。

 

 

 

 次の瞬間。

 

 

 

 ずるり、と影の中から式神が現れた。

 

 

 

 蝦蟇犬さん白と黒

 

 ――そして。

 

 

 

 それらが、次々と“変形”していく。

 

 伏黒は影操作で式神の姿を変化させていた。

 

 姿は自分たちのもあるが京都校側の姿もあり別の式神にも変化させている 

 

 そして伏黒は別の式神を顕現の分裂し、変化し、増殖し――

 

 

 

 うさぎ。

 

 うさぎ。

 

 うさぎ。

 

 うさぎ。

 

 

 

 

 だが、ただの脱兎ではない。

 

 

 犬の要素を残したような、異様な存在感を持つ式神

 

 

 

 ――うさぎ犬。

 

 

 

 それが莫大な数、スタート地点一帯に溢れ出した。

 

 

 

「うお……」

 

 

 虎杖が思わず声を漏らす。

 

 

「なにこれ……めっちゃいる……」

 

 

 

 地面も、木の上も、岩の影も。

 

 全部、式神でぎゅうぎゅうだった。

 

 

 

 さらに。

 

 

 

 何匹かがぴょんと跳ね――

 

 

 東京校メンバーの頭へ乗り。

 

 

 

 

 帽子になった。

 

 

 

「……」

 

 

 

「……」

 

 

 

「……」

 

 

 

 全員、帽子になったうさぎ犬を被った状態になった。

 

 

 

 異様な光景だった。

 

 

 

「この式神たち……もう出していいんじゃないの?」

 

 虎杖が素直に言う。

 

 

 

「あんまりそういうのしたくないから」

 

 伏黒は即答した。

 

 

 

「いや、だからってこんな多かったら」 

 

 

 釘崎が周囲を見回す。

 

 

「普通にぎゅうぎゅうなんだけど!?」

 

 

 

 伏黒はそれを無視して虎杖を見る。

 

 

 

「……虎杖、大丈夫か?」

 

 

 

「おー?」

 

 

 虎杖は軽く首を回す。

 

 

「なんか大役っぽいけど、なんとかなんべ」

 

 

 

「そうじゃねぇ」

 

 

 伏黒は少しだけ間を置いた。

 

 

「……なんか、あったろ」

 

 

 

 

 虎杖は、

 

「なんもねーよ」

 

 と答え――

 

 

 

 すぐに、沈黙した。

 

 

 

 数秒。

 

 

 

「あった」

 

 ぽつりと訂正する。

 

 

 

「けど、大丈夫なのは本当だよ」

 

 前を向いたまま、続けた。

 

 

 

「むしろ――そのおかげで」

 

 

「誰にも負けたくねーんだわ」

 

 

伏黒は思った

 

(俺が見捨てた  そしてあの悲劇を避ける術を持っていたいたのに)

 

伏黒は罪悪感を抱いた

 

 

 伏黒は短く息を吐いた。

 

 

 

「……ならいい」

 

 

「俺も、割と負けたくない」

 

 

 

「私なんか一回負けたからね!」

 

 

 釘崎が拳を握る。

 

 

「圧勝!!コテンパンにしてやんのよ!!」

 

 

「真希さんのためにも!!」

 

 

 

「そーいうのやめろ」

 

 真希が即止める。

 

 

 

「明太子!!」

 

 

 狗巻が力強く同意。

 

 

 

 

「そう!!真希のためにもな!!」

 

 

 パンダまで乗っかった。

 

 

 

「……いやお前ら」

 

 

 真希が本気で嫌そうな顔をした。

 

 

 

 虎杖が笑って言う。

 

 

 

「へへっ」

 

「そんじゃまぁ――勝つぞ」

 

 

 

「何仕切ってんだよ」

 

 真希が虎杖を蹴飛ばした。

 

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

 

 

 交流会団体戦――様々な思惑の中もうすぐ始まる

 

 

 

 

 

団体戦開始数分前

 

 

 

 取り付けられた拡声器から、間延びした声が響いた。

 

 

 

『開始1分前でーす』

 

 

 

 森全体に五条の声が反響する。

 

 

 

『ではここで、歌姫先生にありがたーいお言葉を頂きましょう』

 

 

 

「はぁ!?」

 

 

 

 突然振られた歌姫が素っ頓狂な声を出す。

 

 

 

「え……えーっと……」

 

「ある程度の怪我は仕方ないですが……そのぉ……」

 

「時々助け合い的なアレが……」

 

 

 

『時間でーす』

 

 

 

「ちょっ……五条!!アンタねぇ!!」

 

 

 

 その抗議を完全に無視して、

 

 

 

『それでは姉妹校交流会――スタァートォ!!!』

 

 

 

 直後、

 

 

 

「先輩を敬えぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 歌姫の怒声と同時に、拡声器が

 

 ピーガガガガッ!!

 

 と激しくハウリングを起こした。

 

 

 

 

 

 ――開戦。

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け!」

 

 

 

 伏黒が影に沈めた式神たちへ命令を出す。

 

 

 

 次の瞬間、

 

 

 

 スタート地点から式神が溢れ出した。

 

 

 

 うさぎ犬、蝦蟇犬 白黒――影分身 変化したものもいる

 

 森の中へ一斉に散開する。

 

 

 

「俺達も出るぞ!」

 

 

 

 伏黒達も同時に飛び出した。

 

 

 

 虎杖が走りながら聞く。

 

 

 

「ボス呪霊どの辺にいるかな?」

 

 

 

「放たれたのは両校の中間地点だろうけど――」

 

 パンダが前方を見据える。

 

「まぁ、じっとはしていないわな」

 

 

 

「例のタイミングで分かれるぞ」

 

 真希が短く指示する。

 

 

 

「索敵に長けたパンダ班と、恵班」

 

「予定通り二手だ」

 

 

 

 真希が虎杖を見る。

 

 

 

「――あとは頼んだぞ、悠仁」

 

 

 

「オッス!!」

 

 

 

 返事と同時に、

 

 

 

 目の前に3級呪霊が現れた。

 

 

 

「雑魚だな」

 

 パンダが拳を鳴らす。

 

 

 

「先輩ストップ!!」

 

 伏黒が止めた、その瞬間。

 

 

 

 ――ドゴォッ!!!

 

 

 

 木々が内側から吹き飛んだ。

 

 

 

 巨大な影が、突っ込んでくる。

 

 

 

「よぉーし!!」

 

「全員いるな!!」

 

「まとめてかかってこい!!」

 

 

 

 東堂葵。

 

 

 

 現れた瞬間、戦場の空気が変わった。

 

 

 

 しかし次の瞬間――

 

 

 

 虎杖の膝が、

 

 東堂の頭に直撃していた。

 

 

 

 ゴッ!!

 

 

 

 

「散れ!!」

 

 真希が即断する。

 

 

 

 伏黒と真希。

 

 

 

 パンダ・釘崎・狗巻。

 

 

 

 二手に分かれて一斉に離脱した。

 

 

 

 

 

 

 

 走りながら、伏黒が振り返る。

 

 

 

「東堂1人でしたね」

 

 

 

「やっぱ悠仁に変えて正解だったな」

 

 真希が笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 別方向へ離脱した釘崎が舌打ちする。

 

 

 

「分かっちゃいたけど……化物ね」

 

 

 

 

「そ。だから無視無視」

 

 パンダが軽く言う。

 

 

 

 

「ツナ」

 

 狗巻が同意した。

 

 

 

 

 

 

 一方。

 

 

 

 虎杖と東堂の周囲には、

 

 蝦蟇犬・白が多数展開していた。

 

 

 

 蝦蟇犬が、近くにいた3級呪霊を一瞬で祓う。

 

 

 

「いいスピードだ」

 

 東堂が感心したように言う。

 

 

 

(マジか?)

 

(結構いいの入ったろ……)

 

 

 

 虎杖が内心で驚いた、その時。

 

 

 

「お返しだ。1年」

 

「死ぬ気で守れ」

 

 

 

 東堂が拳に呪力を集中させる。

 

 

 

 振り抜かれた拳。

 

 

 

 蝦蟇犬たちが即座に盾になるが――

 

 

 

 まとめて殴り飛ばされ、

 

 

 

 後方の木々を複数まとめて粉砕した。

 

 

 

(腕……あるな?)

 

(ぶっ飛んだかと思った……)

 

 

 

(式神が盾になってなきゃ――ヤバかった)

 

 

 

 次の瞬間、蹴りが飛んでくる。

 

 

 

 蝦蟇犬たちが妨害するが、構わず突破。

 

 

 

 虎杖へ直撃。

 

 

 

 さらに、もう一撃。

 

 

 

 何度も、何度も蹴り込まれる。

 

 

 

 虎杖が木へ叩きつけられ、倒れ込んだところで――

 

 

 

 東堂は、攻撃を止めた。

 

 

 

「終わりか……」

 

「さて、どっちを追うかな」

 

 

 

 そう呟いた、その直後。

 

 

 

「くっくっ……マジかよ、お前」

 

 

 

 虎杖が立ち上がる。

 

 

 

「人の頭バカスカ殴りやがって」

 

「これ以上バカになったらどうすんだよ」

 

 

 

「心配するな」

 

 東堂は真顔で言った。

 

 

 

「“男の子はバカな位がちょうどいい”と」

 

「高田ちゃんが言っていた」

 

 

 

「誰だよ」

 

 虎杖は即答する。

 

「アイドル興味ねーよ俺」

 

 

 

「じゃあ何でアイドルって分かるんだよ」

 

「知ってんじゃねーか」

 

 

 

 東堂が一歩近づく。

 

 

 

「1年。名前は?」

 

 

 

「虎杖悠仁」

 

 

 

「そうか」

 

 

 

 東堂葵は、静かに言った。

 

 

 

「虎杖悠仁」

 

「お前に1つ聞きたいことがある」

 

 

 

 間。

 

 

 

「――どんな女がタイプだ?」

 

 

 

 戦場の空気が、

 

 妙な方向へと歪んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




2次創作に主人公をできるだけ活躍させたいけど、原作が絡めばなかなか原作が勝っちゃう時があるジレンマ
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