伏黒恵の調和 (タイトル変更)    作:ゲダツ

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入院していました 精神疾患です 私事ながら申し訳ないです

 ですが、その期間のアイデアを溜め込んでいるので それをできるだけ吐き出してこの作品をできるだけ昇華させたいです 

学校行きながらの投稿になるので、投稿頻度は前より落ちます ご容赦をお願いします 


18 京都姉妹校 交流会  個人戦? (修正)

 

伏黒恵は現在――

土下座していた。

「申し訳ありませんでした」

額を床につけたまま動かない。

 

既に十分以上。

その状態が続いている。

 

「なぁ……もうよくね?」

最初に口を開いたのは虎杖だった。

流石に見ていられなかった。

 

「長くね?」

「長い」

パンダも頷く。

「十分超えてるぞ」

「まだよ」

即答だった。

 

釘崎が腕を組んだまま睨む。

「私はまだ気が済んでない」

「同感だな」

真希も続いた。

 

「恵」

「はい」

「お前、自分が何したか分かってるか?」

「はい」

「言ってみろ」

「交流会中に勝手な行動を取りました」

「違う」

 

真希が即座に切り捨てる。

「私達を手のひらで転がしてたんだよ」

伏黒の肩が僅かに震えた。

 

反論できない。

全部事実だった。

 

「団体戦」

「はい」

「天元様」

「はい」

「白狼」

「はい」

「認識阻害」

「はい」

「全部事後報告」

「はい……」

「アウト」

伏黒は黙った。

 

その横で虎杖が苦笑する。

 

「いやでもさぁ」

「結果的には助かったじゃん」

「結果論よ」

釘崎が即座に返す。

 

「今回は上手くいっただけ」

「それはそうだけど」

「それに」

真希が言う。

「こいつが死んでたらどうすんだ」

伏黒は何も言えなかった。

 

少しだけ。

本当に少しだけ。

申し訳なさが増した。

 

「もう十分じゃないか」

加茂が口を開く。

「説明は受けた」

「謝罪も受けた」

「これ以上続けても意味はないだろう」

 

「私もそう思う」

西宮が続く。

「反省してるのは分かるし」

「でしょ!?」

虎杖が乗っかる。

 

「解放してやれって!」

「うるさい」

釘崎。

「はい」

虎杖。

即沈黙。

 

そこで東堂が腕を組んだ。

「もういいだろう」

東堂は続ける。

「謝罪も受けた」

「説明も聞いた」

「ならば終わりだ」

「これ以上続けても得はない」

 

真衣が思わず笑う。

「珍しくまともね」

「何だその評価は」

「褒めてる」

「そうか」

東堂は真面目に頷いた。

 

「よかったぁ……」

三輪が胸を撫で下ろす。

「これ以上伏黒君が土下座してたらどうしようかと」

 

伏黒は心の底から思った。

助かった。

本当に助かった。

 

「では」

東堂が言う。

「解放だ」

 

「異議なし」

パンダ。

 

「異議なし」

加茂。

 

「異議なし」

西宮。

 

「異議なし」

三輪。

 

「しゃけ」

狗巻。

完全に多数決だった。

 

釘崎が盛大に舌打ちする。

真希も舌打ちした。

伏黒は立ち上がる。

 

「ありがとうございます」

「感謝しろよ」

真希。

「二度とやるな」

釘崎。

 

「善処します」

「善処じゃねぇ」

即座に返された。

その時だった。

 

体育館の扉が開く。

「みんなおまたせー!」

聞き慣れた声。

五条悟だった。

 

「お、終わった?」

「終わった」

真希が即答する。

 

「恵解放された?」

「された」

「よかったね」

五条はケラケラ笑った。

伏黒は少しだけ嫌な予感がした。

 

「さてさて」

五条が手を叩く。

「色々あったけど」

「交流会どうする?」

「続ける?」

その言葉で全員が顔を上げる。

伏黒は思った。

 

来た。

原作なら――ここから野球だ。

 

「さてさて」

 

 五条が手を叩く。

「色々あったけど」

「交流会どうする?」

「続ける?」

 

 その言葉で全員が顔を上げる。

 

 伏黒は思った。

(来た)

 

 原作通りならここから野球。

 ようやく一息つける。

 

 そう思った。

 だが他の生徒達は違った。

 

「うーん」

 虎杖が頭を掻く。

「どうするって言われてもなぁ」

 

 そこで東堂が前へ出た。

「当然だ」

 腕を組む。

「続けるに決まっている」

 迷いはなかった。

 

 五条が面白そうに笑う。

「その心は?」

 

 東堂は即答した。

「一つ」

 指を立てる。

「故人を悼むのは当人と縁のある者の権利だ」

 静かな声だった。

「俺達が立ち入る問題ではない」

 

 誰も口を挟まない。

 

 東堂は続ける。

「二つ」

「人死にが出たのなら尚更だ」

 その目が鋭くなる。

「俺達に求められるのは強くなること」

「術師として生き残ること」

 空気が変わる。

「後天的強さとは結果の積み重ねだ」

「敗北を噛み締める」

「勝利を味わう」

「その全てが糧になる」

「結果は結果として存在することが重要だ」

 

 虎杖も思わず黙る。

 加茂も反論しない。

 

 三輪が真衣へ小声で話しかけた。

「東堂先輩って意外としっかりしてるんですね……」

 真衣は即答した。

「しっかりイカれてんのよ」

「ですよね」

 三輪も納得した。

 

 東堂は聞こえていたが無視した。

 

「三つ」

 さらに指を立てる。

 

「学生時代の不完全燃焼感は死ぬまで尾を引く」

 

 五条が吹き出した。

「お前いくつだよ」

「魂は熟成されている」

「意味分かんない」

 五条は笑う。

 

 だが空気は悪くない。

 むしろ少し和らいでいた。

 

「俺は構いませんよ」

 伏黒が言った。

 皆が見る。

 伏黒は肩を竦める。

 

「元々続行予定だったんでしょう」

「今更です」

「どーせ勝つしね」

 釘崎が笑う。

 

「屁理屈だが一理ある」

 加茂も頷いた。

 

「休むべき人もいるんじゃない?」

 西宮が言う。

 

「異議なーし」

 パンダ。

 

「しゃけ」

 狗巻。

 

「個人戦の組み合わせは?」

 真希が聞く。

「くじ引きか?」

 

 五条がニヤッと笑った。

「それはまだお楽しみ」

「だってまだ引いてないもーん」

 そう言いながら木箱を取り出した。

 

 虎杖へ投げる。

「毎年この箱に勝負方法入れて当日開けるんだよ」

「へぇ」

 虎杖が手を突っ込む。

 紙を引く。

 開く。

 

 そして固まった。

「……ん?」

「どうした?」

 

 釘崎が覗き込む。

 次の瞬間。

 

「個人戦」

 全員頷く。

 

「+α」

 

 全員沈黙した。

 

「は?」

 真希。 

 

「は?」

 釘崎。

 

「は?」

 虎杖。

 

「は?」

 伏黒。

 

 五条が爆笑した。

 

「いい反応!」

 

 伏黒は嫌な予感がした。

 ものすごく嫌な予感がした。

 

 野球じゃない。

 その時点でおかしい。

 

(いや待て)

(なんで野球じゃないんだ)

(原作どこ行った)

(待て待て待て)

(嫌な予感しかしない)

 

「僕ルーティン嫌いなんだよね」

 五条が言う。

「だから今回は特別」

 

 歌姫が前へ出る。

 咳払い。

 

「今回の交流会ですが」

「団体戦の結果を踏まえ」

 

 嫌な予感がさらに増す。

 

「特別ルールを設けます」

 

 伏黒は悟った。

(俺だ)

 確信した。

 絶対俺だ。

 

「団体戦は東京校の勝利でした」

「ですが」

 歌姫が続ける。

「個人の戦績を見ると」

「ある一名の功績が突出しています」

 全員が同時に伏黒を見る。

 

 伏黒も同時に天井を見た。

 見なかったことにした。

 

「そして」

「その一名の戦力が」

「両校生徒の平均戦力を大幅に上回っています」

 

 伏黒は内心叫ぶ。

(やめろ)

(その話やめろ)

(嫌な予感しかしない)

 

 五条が満面の笑みで前へ出た。

「そしてぇ!!」

 

 嫌な笑顔だった。

 絶対ろくでもない。

 

「今回のMVP!」

 

 伏黒が後ずさる。

 

「我が愛弟子!」

 

 逃げたい。

 

「伏黒恵くんには!」

 

 逃げられない。

 

「ほとんど全員と戦ってもらいまーす!」

 

 沈黙。

 数秒後。

 

「は?」

 

 伏黒だった。

 

「当然じゃない」

 釘崎。

 

「MVPだし」

 真希。

 

「名誉なことだぞ俺でも

休憩なしではさすがにきつい」

 

 

加茂が腕を組む。

「君は取得している技術が多すぎる」

「術式」

「結界術」

「式神運用」

「合成」

「縛り」

「次期当主候補としては良い経験だ」

「まだ立候補してませんが?」

 

 

「頑張って」

 三輪。

 

「伏黒くんならやってくれるでしょ」

 真衣。

 

「同意ね」

 西宮。

 

 伏黒は固まった。

 

「いや」

「待ってください」

「え?」

「いや」

「え?」

 

 言葉が出てこない。

 虎杖が肩を叩く。

 

「まぁ伏黒なら何とかなるだろ」

「何とか?」

 伏黒は振り向く。

「何とかって何だ」

「何とかは何とかだろ」

「説明になってねぇ」

 

 伏黒の声がどんどん小さくなる。

「あっ」

「あっ」

「あの」

「その」

 

「えっ」

 

「人の心とかないんか?」

 

 五条が吹き出した。

 

「なんで関西弁になってんの」

 

 周囲は笑う。

 

 伏黒だけ笑えなかった。

 

 彼だけが知っていた。

 

 この交流会。

 

 既に原作から大きく逸れている。

 

 天元と会った。

 

 自然呪霊を倒した。

 

 団体戦も勝った。

 

 そして今。

 

 野球まで消えた。

 

(終わった)

 

 伏黒は思った。

 

 本当に終わった。

 

 俺の平穏な交流会は死んだ。

 

 そう確信したのだった。

 

 

 

 ★ 

 

交流会初日終了後。

 

 高専第一体育館。

 

 生徒たちが解散した後、広い館内には教師陣だけが残っていた。

 

 京都校学長・楽巌寺嘉伸。

 

 東京校学長・夜蛾正道。

 

 京都校教師・庵歌姫。

 

 そして。

 

 現代最強の呪術師、五条悟。

 

 静かな空間の中、夜蛾が口を開く。

「全員揃ったな」

 低い声が響く。

 

「これより個人戦に関する最終会議を行う」

 楽巌寺が杖を鳴らした。

「議題は一つ」

「伏黒恵と他生徒の戦力差についてじゃ」

 

 歌姫が腕を組む。

「強いのはいいことです」

 そう前置きしてから、

 隣の男を睨みつけた。

「でも、今回のルールはやり過ぎよ」

「どう考えても一人だけ無茶苦茶じゃない」  

 

 五条は肩を竦める。

「はいはい」

「調子乗って悪ぅござんした」

「その態度が腹立つのよ!」

 歌姫の額に青筋が浮かぶ。

 

 夜蛾は咳払いをした。

「今回の追加ルールは五条から提出された案だ」

「なぜあそこまでの負担を伏黒に背負わせた」

 

 歌姫も続く。

「他の生徒との実力差を埋めるためって理由は理解できるわ」

「でも明らかに重すぎる」

「五条、何を考えているの」

 

 五条は珍しく即答しなかった。

 数秒考え。

 

 そして言う。

「正直ね」

「僕にも最近の恵はよく分からない」

 三人が眉を動かした。

 

「分からない?」

 歌姫が聞き返す。

 

「うん」

 五条は天井を見上げる。

「強くなることに貪欲なんだよ」

「それ自体は悪くない」

「むしろ術師としては優秀だ」 

 

 そこで言葉を切る。

「でもね」

「行き急いでる」

 空気が少し変わる。

 夜蛾も黙って聞いていた。

 

「最近の恵は目的のためなら何でもやりそうなんだよ」

「縛りも作る」

「自分を傷つける」

「危険も承知で踏み込む」

「必要なら敵地にも行く」

「結果だけ見れば正しい」

「でも、その正しさが怖い」

 

 歌姫が目を細めた。

「……傲慢になってると?」

「そう」

 五条は頷く。

 

「アイツは今、自分なら何とかできると思い始めてる」

「実際かなり何とかしちゃってるしね」

 

 楽巌寺が静かに言う。

「それが事実なら」

「いずれ呪詛師に堕ちる可能性もある」

 五条は否定しなかった。

 

 代わりに夜蛾が答える。

「それだけは二度と御免だ」

 重い声だった。

「私の生徒が呪詛師になるのはな」

 

 五条も小さく頷く。

「だから今回だよ」

 

 三人が見る。

「恵には理不尽を受けてもらう」

「自分一人で全部抱え込めるほど

世界は甘くないってことを知ってもらう」

「負けてもいい」

「苦しんでもいい」

「でも知るべきなんだ」

「限界を」

 

 歌姫は腕を組み直した。

「じゃあ他の生徒たちは?」

 

「そっちは逆」

 五条が即答する。

 

「無茶をしなさ過ぎる」

「安全圏で考え過ぎる」

「慎重なのは良いことだよ」

「でもね」

 

「卑劣な呪詛師は待ってくれない」

「強い呪霊も待ってくれない」

「いつか絶対理不尽にぶつかる」

「だから今見せる」

 

 楽巌寺は静かに目を閉じる。

「なるほどのう」

「術師を長生きさせるためか」

 

 夜蛾も頷いた。

「俺も全てではないが理解はできる」

 歌姫は不満そうな顔をしながらも、

 

 最後にはため息を吐いた。

「……しゃくだけど」

「教育としては間違ってないわ」

「今回だけは賛成してあげる」

 

 五条が笑う。

「歌姫優しい」

「うるさい」

 即答だった。

 

 夜蛾が立ち上がる。

「だが五条」

「理不尽を見せるだけで終わるな」

 

 その声は教師としてのものだった。

「生徒は道具じゃない」

「理不尽を見せた後は必ずフォローしろ」

「それが意図的に理不尽を与えた者の責任だ」

 

 五条の表情から笑みが消える。

「……分かってる」

 

 歌姫も席を立った。

「京都校の生徒は私が見る」

「だから東京校はあんたが責任持ちなさい」

「特に伏黒」

 

 

「了解了解」

 

 会議は終わった。

 楽巌寺が去る。

 歌姫も出ていく。

 夜蛾も最後に体育館を後にした。

 

 やがて。

 

 広い高専の一室に五条だけが残る。

 

 静寂。

 照明だけが床を照らしていた。

 五条は一人、交流会で使われた会場を見渡す。

 

「恵……」

 軽い口調。

 

 だが誰もいない今、それは独り言だった。

 天元との接触。

 

 自然呪霊の撃破。

 異常な速度で増えていく技術。

 自分すら把握しきれない成長。

 教師として嬉しくないわけがない。

 

 だが。

 どこか危うい。

 強くなろうとしている。

 その先だけを見ている。

 まるで何かに追われるように。

 

 まるで未来を知っているかのように。

 五条は目を閉じる。

 そして小さく呟いた。

 

「恵」

「お前はどこを目指してるんだ?」

 

 答える者はいない。

 ただ沈黙だけが残った。

 個人戦開始まで、あと数日。

 




ようやくかけた そして久しぶりに夜更かした最高だぁー

メカ丸ごめんね
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