伏黒恵の調和 (タイトル変更)    作:ゲダツ

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だれてきてるのでハイスペースに行きます


25 個人戦 2回戦

 

 控室。

 伏黒恵は椅子に腰掛け、静かに目を閉じていた。

 

 特別戦。

 加茂憲紀と禪院真依を相手にした二対一。

 勝ちはした。

 

 だが消耗がなかったわけではない。

 影操術。

 影分身。

 

 万象

 複数の術式運用。

 負担は確実に積み重なっていた。

 

「……」

 静かに息を吐く。

 次の試合。

 

 準決勝。

 相手はまだ決まっていない。

 

 だからこそ今は休む。

 そう判断していた。

 その時。

 

 控室の扉が開く。

 補助監督が入ってきた。

「伏黒さん」

「結果が出ました」

 

 伏黒が目を開く。

「そうですか」

 

 補助監督は資料を見ながら続ける。

「釘崎野薔薇さん」

「狗巻棘さん」

「両名リタイアです」

「……」

 伏黒は短く頷いた。

 予想通り。とは言えない。

 釘崎は勝つ可能性もあった。

 だが結果は結果だ。

「詳細を聞いても?」

「ええ」

 

 補助監督は説明を始めた。

 第2体育館。

 

 広いフロアの中央。

 向かい合うのは禪院真希と禪院真依。

 

 姉妹。

 だが、その空気は家族のものではなかった。

 

「来ないでよ、お姉ちゃん」

 

 真依が拳銃を構える。

 真希は肩に巻き付いている武器庫呪霊を軽く叩いた。

 

「嫌だね」

 

「試合開始ィィー!」

 

 開始の合図。

 同時に銃声が響いた。

 

 ダンッ!!

 

 真依の初弾。

 真希は半歩横へずれて回避する。

 

 さらに二発。

 三発。

 連続射撃。

 

 だが真希は止まらない。

 

 避ける。

 弾く。

 走る。

 

 一直線に距離を詰める。

 

「相変わらず化け物かよ!!」

 真依が舌打ちした。

 

「そっちこそ相変わらず口悪いな」

 真希が笑う。

 

 真依は後方へ飛ぶ。

 射線確保。

 連射。

 

 だが。

 

 真希は肩の呪霊へ声をかけた。

「アモリィー」

 

 武器庫呪霊が口を開く。

 

 ずるり。

 長い鎖付き鉤爪が吐き出された。

 

「またそれ!?」

 

 真依の顔が引きつる。

 

 真希は鉤爪を体育館の天井付近へ投げた。

 

 ガキィン!!

 

 鉄骨へ突き刺さる。

 そのまま鎖を引き、身体を射出。

 

 一気に距離を縮める。

 

「速っ――!?」

 

 真依が慌てて照準を修正する。

 だがもう遅い。

 

 真希は目前まで迫っていた。

 

「近づくな!!」

 真依が叫ぶ。

 

「嫌だって言ってんだろ」

 真希が拳を振るう。

 

 真依は咄嗟に腕で防御。

 衝撃。

 

 吹き飛ばされる。

 体育館の床を滑る。

 

「っ……!」

 

 立ち上がる。

 

 即座に発砲。

 真希は呪具で弾く。

 

 火花が散った。

 

「なんで戻ってくるのよ!!」

 

 真依が叫ぶ。

 

「禪院家なんか出てけばよかったじゃん!!」

 

 真希は少しだけ眉を動かした。

 

「また出たぞ」

「その話」

 

「答えろよ!!」

 

 真依がさらに撃つ。

 撃つ。

 撃つ。

 

 体育館中に銃声が響く。

 

「アンタは才能も!」

 撃つ

 

「強さも!」

 撃つ

 

「自由も持ってるくせに!!」

 撃つ

 

 真希は弾丸を避けながら言った。

 

「自由?」

 

 鼻で笑う。

「誰がくれたんだよそんなもん」

 

 真依の動きが一瞬止まる。

「は?」

 

 その隙。

 真希は再び距離を詰めた。

 

「私は自分で掴んだんだ」

 蹴り。

 真依が飛ぶ。

 だが倒れない。

 

 歯を食いしばる。

「うるさい!!」

 真依が術式を発動する。

 

 構築術式。

 呪力を大量消費する切り札。

 

 一日一発。

 

 特別な弾丸。

 

 生成。

 装填。

 照準。

 

 真希。

 

「今度こそこれで終わりだ!!」

 

 発砲。

 ダァンッ!!

 

 空気を裂く弾丸。

 だが。

 

 真希は動かなかった。

 

 いや。

 動いていた。

 

 最小限。

 呪具を振るう。

 

 ジィィィンッ!!

 

 高い金属音が体育館へ響いた。

 特殊弾は軌道を変え、

 

 壁へ突き刺さる。

 

 轟音。

 

 コンクリートが砕けた。

 真依が固まる。

「……は?」

 

 真希は静かに言う。

「さすがに2度目は読めるんだよ」

 

 一歩。

 前へ出る。

 

「お前が最後に何を撃つかくらいな」

 

 真依の顔から血の気が引いた。

 真希はもう目の前にいた。

 

 武器が首元へ突き付けられる。

 完全な敗北。

 

 真依は悔しそうに唇を噛んだ。

 拳が震える。

「……大嫌い」

 

 絞り出すような声。

 真希は少しだけ笑った。

 

「知ってる…2度目だぞこれ」

 

 沈黙。

 そして。

 

 壇上から声が響いた。

 

「試合終了」

 

 勝者――禪院真希。

 

 体育館に静かに結果が告げられた。

 

 

伏黒は静かに聞いていた。

(まぁ……そうなるか)

 あの二人の実力差は大きい。

 真依も強い。

 

 だが真希はもっと強い。

「そして」

 補助監督が続ける。

「東堂葵さん対狗巻棘さんです」

 伏黒の眉がわずかに動く。

 

 東堂。そして狗巻。

 気にならないはずがない。

 

「結果は東堂さんの勝利です」

「やはり」

 伏黒は小さく呟く。

 

「試合開始直後」

「狗巻さんは呪言によって距離を維持しようとしました」

 

 

「止まれ」「潰れろ」

「近づくな」

 だが。

 東堂は止まらない。

 強引に突破。

 

 喉への負荷が蓄積。

 狗巻の出力が落ちる。

 そこを突かれた。

 

「最終的には」

「近距離へ持ち込まれました」

 補助監督が少し苦笑する。

 

「東堂さんは試合後」

「いい男だった」

「と言っていました」

 

 伏黒は思わず目を閉じた。

「……そうですか」

(それは褒めてるのか?)

(褒めてるんだろうな)

 

 補助監督が去っていく。

 控室が再び静かになる。

「……」

 伏黒は天井を見上げた。

 

 真希は勝った。

 東堂も勝った。

 そして。

 自分はまだ残っている。

(真希さんは順当)

(東堂さんも順当)

 つまり。

 次にぶつかる可能性が高いのは。

(虎杖か)

 

 少しだけ頭が痛くなった。

「……めんどくさいな」

 正直な感想だった。

 

 だが。それ以上に。

 別のことが気になっていた。

 

(真希さんは今頃何してるんだろうな)




なかなかうまくいかず悪戦苦闘の毎日
うまくいかないことがたくさんあるので、ストレスがいっぱい 頭が潰れるよ!
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