私はハイペースになっていきますよ
この作品を面白く評価が高くしてやりたいからね
伏黒は虎杖を見た。
「今のお前がどうなってるか知ってるか?」
虎杖が首を傾げる。
「どういうことだ?」
伏黒は少し言いにくそうに視線を逸らした。
「……宿儺のせいでな」
「お前の体、大きく変わってる」
虎杖の顔が引きつる。
「どんな感じ?」
伏黒は言葉を選んだ。
「腕は4本のまま」
「腹に口がある」
虎杖が固まる。
「……は?」
数秒。
「は?」
もう一回言った。
「腕が4本?」
「腹に口?」
「本当に俺?」
「ああ」
伏黒は頷く。
虎杖は頭を抱えた。
「うわぁぁぁぁ……」
「マジかよ……」
「人前出られねぇじゃん……」
伏黒は少し苦笑する。
「先生たちも何とかしようとしてる」
「でも今のところ元に戻す方法は見つかってない」
虎杖は肩を落とした。
「そんなぁ……」
伏黒は続ける。
「探してやるよ」
「元に戻す方法」
虎杖が顔を上げる。
「マジ?」
「ああ」
伏黒は平然と言う。
「それまでは姿を隠し誤魔化せ」
そう言いながら思う。
(摩虎羅なら何とかなるかもしれない)
だが口には出さない。
「あと」
「まだ続きがある」
虎杖がげんなりした。
「まだあるの?」
「もう腹いっぱいなんだけど」
「俺も話したくない」
伏黒はため息を吐く。
「お前」
「今、死んだことになってる」
虎杖が固まる。
「え?」
「え?」
「死んでる?」
「ああ」
「俺が?」
「お前が」
虎杖が頭を抱えた。
「情報量多すぎるだろ今日!!」
伏黒は構わず続ける。
「理由は宿儺だ」
「体の主導権を奪われた」
「上層部から見れば最悪の事態だ」
虎杖は視線を落とした。
「……ごめん」
「その件に関しては本当に」
「俺が悪い」
伏黒は首を振る。
「話を戻すぞ」
「本来なら秘匿死刑だ」
虎杖が苦笑する。
「まぁ……そうなるよな」
「受け入れるよ」
伏黒は即座に否定した。
「そういう問題じゃない」
「総監部だけじゃない」
「御三家」
「フリーの術師」
「補助監督」
「お前を危険視する人間は山ほどいる」
「一度目を付けられたら終わりだ」
虎杖の顔が引きつる。
「やべぇな」
「やべぇ」
伏黒は頷く。
「だから五条先生に頼んだ」
「海外へ行ってもらう」
「しばらく身を隠せ」
虎杖が首を傾げる。
「なんで海外?」
「日本でもよくないか?」
伏黒は即答した。
「よくない」
「日本は呪術社会が完成してる」
「窓に見つかった密告され終わる」
「海外ならまだ誤魔化せる」
「姿さえ隠せばお前のような
体格の奴も普通にいるしな」
虎杖は納得した。
「なるほど」
「で」
「いつまで?」
伏黒は少しだけ笑う。
「十二月二十四日」
「クリスマス?」
「ああ」
「なんで?」
伏黒は肩を竦めた。
「仲間全員」
「お前が死んだと思ってる」
「だったら再会する日は」
「少しくらいめでたい方がいいだろ」
虎杖が吹き出した。
「それいいじゃん」
「サプライズじゃん」
「だろ」
少しだけ空気が軽くなる。
虎杖が聞く。
「じゃあ伏黒は?」
「お前はどうするんだ?」
伏黒が答えようとした瞬間。
『興味深い話をしているな』
空気が凍った。
伏黒の表情が変わる。
虎杖も反射的に身構える。
『伏黒恵』
聞き慣れた。
だが最悪の声だった。
宿儺が笑っていた。
伏黒は宿儺を睨んだ。
「……いつから聞いていた」
宿儺が笑う。
『未来の話を始めた辺りからだ』
伏黒の表情が固まる。
(まずい)
(かなりまずい)
背中に嫌な汗が流れる。
虎杖が宿儺へ向かって叫んだ。
「お前!!」
「なんで俺の体をあんな姿にしたんだよ!!」
宿儺は鼻で笑う。
『小僧』
『それは貴様の自業自得だ』
虎杖が言葉に詰まる。
伏黒は一歩前へ出た。
「体の主導権を取り戻すのを邪魔するつもりか」
宿儺が伏黒を見る。
『いや』
伏黒が眉をひそめる。
虎杖も固まった。
「……は?」
『邪魔はせん』
伏黒の警戒はむしろ強くなる。
(嘘だろ)
(何を企んでる)
宿儺は肩を竦めた。
『勘違いするな』
『情けをかけるつもりはない』
『ただ』
『一度勝負はついた』
『俺は貴様に敗れた』
伏黒の瞳が細くなる。
宿儺は続けた。
『今さら小僧を押さえ込む意味もない』
『面白くもない』
『それに』
口元が歪む。
『伏黒恵』
『貴様にはまだ利用価値がある』
伏黒は無言。
宿儺も説明しない。
ただ笑うだけだ。
嫌な笑みだった。
『だから今回は何もしない』
『それだけだ』
虎杖が困惑する。
「……本当にか?」
『信じるも信じないも好きにしろ』
宿儺は退屈そうに言った。
『感謝しろよ小僧』
『今回は伏黒恵のおかげで助かった』
虎杖が何か言い返そうとした瞬間。
宿儺の姿が薄れ始める。
『ではな』
『次に会う時までせいぜい足掻け』
そして。
宿儺は消えた。
静寂。
虎杖がぽつりと呟く。
「……なんなんだよアイツ」
伏黒は答えない。
(信用できるわけがない)
(絶対に何かある)
だが今は追及できない。
虎杖の姿が薄くなり始めていた。
「虎杖」
「体の主導権」
「取り戻せそうか」
虎杖は自分の手を見る。
輪郭が崩れ始めている。
「分かんねぇ」
「でも」
「やってみる」
虎杖は歯を食いしばる。
姿がさらに薄くなる。
「お前もさ」
「無茶すんなよ」
伏黒が苦笑した。
「お前にだけは言われたくない」
虎杖が少し笑う。
「違いねぇ」
その姿が消えていく。
最後に。
「ありがとな」
声だけが残った。
そして。
虎杖悠仁は消えた。
伏黒は静かに空を見上げる。
(起きたか)
現実世界へ戻ったのだろう。
伏黒も息を吐く。
「……俺も戻るか」
自分が崩れ始める。
意識が浮上していく。
だが最後まで。
伏黒の頭からは離れなかった。
『伏黒恵には利用価値がある』
宿儺の言葉だけが、
妙に引っかかっていた
式神武器
武器は式神の自立意思をなくす代わり
武器にするという縛りで変化させたもの
10種の式神の武器が今後出てくる
サポートか? 攻撃か? あるいは防御か?