転生リィンのやり直し   作:影後

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学生会館にある生徒会室へ、
Ⅶ組用の学生手帳を回収しにいったリィン・シュバルツァー。
戦友にして親友クロウ・アームブラストとの再会をへて、
予想外の人物。占い師ベリルとも邂逅を果たす。


2

ベリルの後に続き、学生会館を進む。

Ⅶ組の制服はやはり奇怪な目で見られている。

平民、貴族、共に生活するクラスと言うのは、

はたから見ればおかしなものだろう。

 

「さて、貴方は私を知っているようだけれど、

私は貴方を知らないから自己紹介させてもらうわ。

私は1年Ⅲ組のベリル。このオカルト部の部長よ」

 

「はじめまして…Ⅶ組リィン・シュバルツァーだ」

 

「……貴方は珍しいわ。

心を閉ざして居ないのに、そこにあるのは深淵。

でも、確かな光も存在する。

まるで逆の存在なのに」

 

「読心術、やはり君は読めるのか」

 

「読める…とは違うわね。見える…が、正しいかしら。

貴方の歩んだ道も、これからも歩まんとする道も」

 

「……何がある。俺の…俺の歩む先に」

 

「聞けば、後戻りは出来ないわ。

この話を聞いた瞬間、貴方の未来はそこに収束する。

どんなに細部が変化しようと、どんなに貴方が足掻こうと、

…それでも、本当に良いの?」

 

「構わない、俺は俺の選択を恨みやしない。

ましてや、誰かを恨むなんて二度とするものか」

 

「そう、いいわ。

…帝国を2つに分ける戦いの終焉。そこで―――」

 

「?!」

 

ベリルの言葉に驚愕するが、納得してしまう。

これで未来は確定した。

逆に言えば、そこにたどり着くまでには何をしようと

道筋は関係ないという事だ。

 

「…貴方のその考え方は止すべきよ。

貴方の周りの人を傷つける結果に」

 

「ならないさ、そのために強くなる。

何よりも、誰よりも、俺が守る」

 

「それは傲慢よ」

 

「なら、手助けしてほしい。

俺の未来を見たのなら、ベリル。

君の力を貸してくれ」

 

俺はベリルの手を優しく握り、その瞳をじっと覗き込んだ。

 

「…え……あ……」

 

「ベリル?」

 

「いっ…良いわよ、えぇ……手伝いましょう。

でも、女性の手を許可も無しに握るのは頂けないわよ」

 

何処か頬を赤らめているベリルにそう言われ、

自信が行った行動を考えてみた。

完全に無意識でベリルの手を握り、瞳を覗き込んだのだ。

 

「…済まない、その……」

 

「気をつけてね…今は別件の仕事もあるのではなくて?」

 

「…忘れてた。ベリル、ありがとう。

その、俺も心細かった。過去に戻って、

これから自分らしくどうするか。

時折、相談に乗ってくれたら嬉しい」

 

「…オカルト部の部長としてなら、相談にも乗るわよ」

 

「…ありがと。また来るよ。

その時は…そうだな、カフェテリアで

ケーキとか食べながらでも」

 

「貴方って無自覚なわけ?!」

 

「うおっ?!」

 

何故かベリルに怒られた挙句、

本を投げつけられた。

帝国の歴史と言う本だが、

危なくキャッチしたがそのまま扉を勢いよく閉められた。

 

「えぇ……俺何か……あ……したなぁ…

ケーキとかって、デートの誘いか?

俺こんな事する奴だっけ?」

 

投げられた本は後で返すとして、

今は生徒会室に向かう必要がある。

 

(…寝てる)

 

何回かノックしても返事がなく、

仕方が無いから無許可で入った生徒会室。

そこではトワ先輩が机で腕を枕にして眠っている。

 

「……すぅ…すぅ……」

 

このままにしておくのも忍びないが、

脇にある書類関係は可哀想だ。

 

「迷惑かけたし、その謝罪だな」

 

前回では生徒会活動の支援もしていた。

書類の捌き方や、優先度のつけ方は理解している。

 

「……あれ……君は……?」

 

「トワ会長、此方が優先度が高い者であり

此方が会長の署名が必要ない書類になります。

どうやら、教官方に対応して頂いた方が多い物もある様子。

あと、コーヒーです。ブラックですが……

良かったらどうぞ」

 

「え…その……ありがとうね」

 

トワ先輩は頭にハテナマークを浮かべていたが、

コーヒーで目が冴えてきたのか叫び声をあげた。

 

「え?!誰?!」

 

「Ⅶ組所属、リィン・シュバルツァーです。

初日にご迷惑をかけたことを、お詫びするため書類仕事と

コーヒーを淹れた次第です」

 

「え?いや、駄目だよ!生徒会の書類は……え?

できてる?なんで……」

 

トワ先輩の混乱顔も初めて見た気がするが、 

やはり可愛い。先輩と言うか、歳上とは思えない人だ。

護りたい等といった庇護欲を駆り立てる。

 

「え…その…ありがとうね?リィン君」

 

困惑顔でありながらも感謝を言ってくれるのは嬉しい。

 

「えと、サラ教官から」

 

「あっ…うん!これだよ!リィン君のは一番上で」

 

「生徒手帳ですか……っと、はいⅦ組所属人員分。

確認しました」

 

「え?早いね」

 

「トワ先輩も、一人で抱え込まないでくださいね。

もっと周りを頼ってください」

 

「え?」

 

「ありがとうございました」

 

トワ先輩との会話をきり上げ、

学生手帳と共に生徒会館を出た。

そう言えば、サラ教官から出た遊撃士紛いの仕事の件。

今回、話に上がらなければARCUSからの連絡もない。

 

(まぁ、仕方ないか。Ⅶ組の不和の原因だからな)

 

 

俺は諦めて、第三学生寮に向かった。

時間的にもう皆が帰ってきているだろう。

土などを払い、比較的整った制服で皆の部屋を回る。

エリオットの部屋の前に立ち、ノックをする。

 

「は~い」

 

「エリオット、俺だ。リィンだ」

 

「リィン?どうしたの?」

 

不和の原因と言うが、俺は普通に話す程度なら皆問題ない。

ただ、一歩踏み出した友人という関係ではなく、

クラスメイトという程度だ。

 

「生徒会長から学生手帳を預かってきた。

エリオットの分はこれだよ」

 

「あ、ありがとう。リィン」

 

「気にするな…何かしていたんだろ?邪魔したな」

 

「え?あっ…」

 

何か言いたげだったが、

今の関係で居てくれた方が皆後々傷付かなくて良いだろう。

俺はエリオットの部屋を出るとマキアスの部屋の扉を

ノックした。

 

「はい、どちら様で」

 

「レーグニッツ、俺だ。シュバルツァーだ」

 

「っ?!何か用でも」

 

「学生手帳を渡しにきた。開けてくれないか?」

 

「すっ…すまない、今開ける」

 

防犯の観点からも部屋に鍵をかけているのは良い。

だが、ここまで俺を警戒して言葉を詰まらせる必要あるか?

カチャリという音と共にマキアスの姿が見える。

のだが、若干扉に隠れている。

 

「…あのなぁ、俺は別に取って食ったりなんてしないぞ?

そこまで怖がらなくても」

 

「こ、怖がってない!その、生徒手帳を」

 

「これだよ」

 

「あぁ…ありがとう」

 

「じゃあな」

 

マキアスの好感度は最低ライン。

ユーシスに対する対抗心とは違い、俺への物は完璧に警戒。

どうにかしないとなぁ……まぁ、いっか。

エリオットにしても同じだ。どうせ俺は……まぁいい。

苦しまないのなら良い。

次にガイウスの部屋に向かったのだが、

ノックしても返事がない。

だが、気配はあるし扉が開いている。

 

「ガイウス?入るぞ?」

 

「ん?あぁ、リィンか……。よく来てくれたな」

 

「あぁ、少し渡すものがあってな」

 

そう言ってガイウスの分の生徒手帳を手渡す。

何というか、ガイウスは変わらないな。

俺を必要以上に警戒もしなければ、恐れもしない。

 

「学生手帳、ありがたく受け取らせてもらう。

しかし、手間を取らせてしまったな」

 

「気にするな。それにしても…ノルド民族の壁掛けか。

帝国風と違った良さがある」

 

「そう思うのか?」

 

「人は誰しも故郷を感じられる物を必要とする。

ガイウスの故郷も見てみたいな」

 

「その時は俺が案内しよう。

そのかわり、リィンの故郷も見せてくれ」

 

「あぁ、アイゼンガルドの霊峰。

きっとそこに招待するさ」

 

前回とは違った会話になったが、

ガイウスとの関係は変わらず友人だ。

また明日と挨拶し、ユーシスの部屋に向かう。

 

「アルバレア、俺だ」

 

「―俺とは誰だ」

 

「入るぞ?」

 

「…シュバルツァー、貴様はデリカシーが無いのか」

 

ユーシスは座学を復習していたのか、机に座っていた。

 

「いや、何というか今気楽に話せる相手が貴重でな。

ガイウスは良いんだが、その…他の生徒には警戒されている」

 

「爆弾を破裂させておいて何を言うか。

自業自得と言う言葉が東方にはあるようだが?」

 

「知っているのか?っと、先にこれを」

 

ユーシスとは前回気楽に喋れなかったせいか、

今は何処となく楽しい。会話が弾む。

だが、本題を忘れてはならないのだ。

俺はユーシスの部屋に入り、扉を閉める。

 

「学生手帳か」

 

「恐らくだが、俺達のクラスの特異性が問題だ。

そのため、若干遅れたんだろう」

 

「…ふむ、確かにな。シュバルツァー、貴様は」

 

「言ったろう。

俺の実力を伝えるだけでバランスが崩壊する。

それに………人はいないな」

 

「なんだ」

 

「実の父親が革新派のトップだったら?」

 

「止めろ、分かった。何も言うな」

 

「ありがとう、アルバレア。

多分、色々と手伝って貰うことになるだろう。

どうしても、貴族方面で友人と言えるのはアルバレアしか」

 

「友人?友人…俺とお前が…」

 

「友人…戦友か?共に戦ったろ?」

 

「…悪い気はせん。だが、わかった。

何かあれば、俺個人で手伝おう」

 

「ありがとう、アルバレアいや、ユーシス」

 

「あぁ、リィン」

 

対等な存在としてあろうとすれば、ユーシスは認めてくれる。

それを理解しているからこそ、俺はユーシスと握手を交わした。

 

「ところで、これから女子生徒の部屋に」

 

「お前の仕事だ、自分でやれ」

 

「…夜に女子生徒の部屋を巡り一人ずつ声をかけるのをか?」

 

「言い方だな、だがそう言われると俺も嫌だ」

 

「わかった、聞いてみただけだ。

楽しい夜を」

 

「あぁ、良き夜を」

 

ユーシスと挨拶を交わしそのまま上の階へ行く。

3階は女子生徒の部屋だ。正直、気後れする。

前回もそうだったし、やはり慣れない。

 

「次は女性の方か……」

 

ユーシスには冗談で話したが、

ああ言ってみると物怖じしてしまう。

 

「まぁ、やるさ。前回はできたんだ」

 

俺は気分をなんとかしてあげ、3階へと進んだ。




閑話休題
トワ・ハーシェルのリィン・シュバルツァーに対する印象。

それは私が生徒会室で眠ってしまった時だった。
カタカタと揺れる机に違和感を覚えたのか、
目が覚めてしまった。
誰か帰ってきてるのかな、とか思っていたけれど
頭をあげて見えたのは赤い制服。
サラ教官の特科クラスⅦ組の制服だ。
この時、そこに居たのがリィン・シュバルツァー君。
私の後輩なのに、私よりもお兄さんに見える人。
一つ一つの所作が貴族ぜんとした態度だけど、
出場が色々と大変なんだとサラ教官に聞いていた。
頼み事も、本当はリィン君にやらせたかったと言っていたけど、
私はリィン君に任せて大丈夫だと思った。
生徒会役員でもないのに、書類仕事をしたことは駄目だけど、
あの後私がチェックしたら問題なかった。
駄目だね、リィン君に他の人を頼る様に言われたのに、
結局自分で……
兎に角、リィン君は確かに問題行動を起こしてるし、
問題児とか言われているけど、私は大丈夫だと思います。
あれ?でも私って自己紹介した記憶ないのに、
なんで………?
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