巡る想いの8番出口   作:プラパラート先生

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さぁ私の二作目の作品です!
駄文で拙いですが読んでいただければとても嬉しいです。



the troubled maiden 悩める乙女

〜トリニティ総合学園〜

白か太い支柱が連れ並ぶまるで御伽話に出て来そうな学園の廊下を純白の翼が生えた桃色の髪の少女が軽く、愉快な足取りで進んでいる

 

ミカ

「ふんふんふ〜ん、今日はナギちゃんとおっ茶会♪おっ茶会♪」

 

私は今日という日をとても楽しみにしていた。

何ってたって今日はナギちゃんと久々のお茶会だからね。

最近はボランティアとか、忙しくて中々一緒にいる時間がなかったし、話したり会ったりしてもとしても事務会話だけだったから本当に楽しみ!

 

ミカ

(この日の為に新しい茶葉買ったんだよね、ふっふっふっナギちゃんの喜ぶ顔が目に浮かぶじゃんね〜⭐︎)

 

そう浮かれながら私はナギちゃんがいるであろう、ティーパーティーの個人茶会室の扉の前に立つ。

 

ミカ

(楽しみだなぁ久しぶりにナギちゃんと話すの)

 

明日はシャーレの当番だし、いや〜文字通りここ数週間汗水垂らしながら、頑張った甲斐があるな〜。

 

ミカ

(よしッ。)

 

木製で荘厳な扉をいつものように勢いよく開ける。

 

バンッ!

 

ミカ

「ヤッホー⭐︎ナギちゃん!ミカが来ったよ〜!」

 

ウキウキ気分で部屋に飛び込み挨拶をする。

 

ナギサ

「…ミカさん。」

 

覇気のない声の方向を見てると机に突っ伏している、ナギちゃんの姿が見えた。

 

ミカ

「久しぶり〜ナギちゃん!元気だったかな〜、勿論!私は元気いっぱいだよ!」

 

久しぶりに会えたことの興奮で声が大きく室内に響く。

 

ナギサ

「ミカ、もう少し声を、、、小さく、」

 

ミカ

「あっ、ごめんごめん嬉しくってつい、ナギちゃんお仕事で疲れてるんだよね。」

 

ナギちゃんも私と同じようにティーパーティーの仕事に追われてるらしい。しかも色々あって今のティーパーティーホストはナギちゃん1人だけだから仕事の量は私より多い。

 

ナギサ

「ええ、まぁ」

 

依然として机に突っ伏した状態でこちらを見据えている。

ナギちゃんが伏してる白い円型のテーブルの上にまだ何もないことを見ると準備する気力もないんだろう。

 

ミカ

(仕方ないな〜準備してあげよう。)

 

棚からいつものティーセットとお皿やフォークを取る。

後は冷蔵庫からもケーキも取り出しちゃおうっと♪

取り出したものをテーブルに置いてからナギちゃんと机を挟むようにして椅子に座る。

 

ミカ

「ま、大丈夫大丈夫この茶葉を飲んだら疲れなんて綺麗サッパリなくなるんだから!」

 

そう言い自慢げに私は持って来た茶葉を掲げる。

 

ナギサ

「…そう、ですか。」

 

ミカ

「仕方がないからこのミカさんが淹れてあげましょう~!」

 

少し傲慢そうにちゃらけてみる。が、反応はなし。

この様子だとまともに寝てないな、まったく。

 

ティーポットに茶葉をいれケトルで沸かしておいたお湯を注ぐ、あたりに、リラックスするような香りが漂い始める。蓋をし、水平に円を描くようにティーポットを回して混ぜていく。そしてナギちゃんのティーカップに淹れる瞬間

 

プルルルルプルルルル

 

ミカ「!」

ナギサ「…」

 

着信音が鳴る。…ナギちゃんのスマホからだ。

 

気怠そうにナギサはスマホを手に取り、応答する。

 

ナギサ

「…はい、ティーパーティーの桐藤ナギサです。何のご用でしょうか」

 

部屋には電話の声とティーカップに茶を注ぎ淹れる音だけがする。

 

ナギサ

「はい、はい…わかりました。すぐ対応いたします。」

 

プツッ電話の切れる音がする。同時にティーカップも2人分淹れ終わった

一体何の電話だろうか。

 

ミカ

「じゃーん!ナギちゃん準備できたよ!」

 

私は得意げに胸を張ってみせた。

ミカ

(とうとうお茶会始まっちゃうぞ〜)ワクワク

 

ミカ

「いや〜楽しみだな、ナギちゃんとのお・茶・か・い⭐︎

あっそういえば、さっきの電話何n…」

 

ナギサ

「すみません、ミカさん急な仕事が入ってしまいました。」

 

ミカ

「へ?」

 

ナギサ

「すぐにでも解決しなければならない事案のようなのでこれで」

 

そう言うとナギサはテキパキと荷物や身だしなみの準備に取り掛かった。

 

ミカ

「ちょ、ちょっと待ってよ、私とのお茶会は?!」

 

ナギサ

「それはまた今度ということで、片付いたらまた連絡します。」

 

ミカ

「そ、そんな嫌だよ折角楽しみにしてたのに」

 

ナギサ

「すみません、ミカさん。」

 

ミカ

「ヤダヤダー!この日をずっと、ずーっと楽しみにしてたのに!!」

 

少し子供みたいに駄々をこねてみた。

ナギちゃんと会えてたことで高揚感が増して、ちょっとふざけてみようと思ってしまった。

 

ナギサ

「……すみません」

 

わたしよりももっと、疲れていたはずなのに。

 

ミカ

「酷いよ!ナギちゃんは私と仕事どっちが大切なの!!」

 

私は、()()()気が付けなかった。......大切な友達なのに。

 

ナギサ

「......」

 

ミカ

「聞いてるの!?ナギちy」

ナギサ

「ミカは黙ってください!!」

 

ドンッ!

 

 

ナギサが立ち上がり力強くテーブルをたたいた拍子に机上のティーカップが落ちる。

 

 

ャン!!

 

ナギサ

「私だって仕事なんかしたくないですよ!」

 

()()()()()()()とこの時気が付いた。

 

ナギサ

「来る日も来る日も仕事仕事!一つの仕事を片付けたと思ったらすぐに山のような量の仕事が追加される!」

「ここ最近いろんな行事が立て込んだせいで、書類仕事はもちろん実際に足を運ばないといけないところも増えてるという中、わざわざ時間をとって来ているんですよ!」

「ホストが私一人だけのせいで!ただでさえ多い業務が三倍にもなって!役員も手伝えないものばかりで!どうしていつも私だけこんな辛い思いをしないといけないの!」

 

相当辛かったのだろう、涙目にヒステリックになりながら鬱憤を口から次から次へと吐き出していく。

 

ミカ

「ご、ごめんねナギちゃん、」

 

一刻も早く謝らなければならない。そう聖園ミカは考えたが、桐藤ナギサは既に寝不足で頭が回っておらず、ストレスも溜まっている。

 

ナギサ

「悪いと思うなら今後一切と私に関わらないでください!!」

 

謝罪を受け止める余裕は今のナギサにはない。

 

そのままナギサは足早に立ち去ろうとする。

止めようとミカは思った。しかし、彼女は先のこと(エデン条約編)で物事の前に立ち止まる癖がついた。自分に彼女を止められる資格はあるのかと考え込んでしまう。

 

バタンッ!

 

勢いよく扉が閉められる。

 

 

 

 

部屋には一人ミカだけが残された。

 

ちょっとしたただの喧嘩だ。こんなことは長い付き合いだから何度もあった。

それに、彼女(ナギサ)も今回は余裕が無かっただけいつもの彼女ならただ軽くあしらっただろう。

ただの杞憂。大丈夫。そう言い聞かせても、

()()()()()()をしたミカは心の何処かで今度こそ失望されたのではないかと酷く怯えていた。

 

 

私は結局その日は何もできず、割れたカップの破片を片付けて帰ることにした。

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

『次の日』

 

ガタンッゴトンッ

聖園ミカはシャーレの当番に赴く(おもむく)ため、電車に揺られている。

人の多い路線で席には座れず、つり革に体重を預ける。

 

ミカ

(せっかく先生に会えるのに全然気が乗らないな......)

 

人混み中でミカは昨日の出来事に考えを巡らせていた。

 

ミカ

(ナギちゃん本当に疲れてたんだな。)

 

ミカ

(当たり前か、三人分の仕事をして平気なわけないもん)

 

キキイィィッーーーー

電車が停車し、駅に着く、

 

ミカ

(それなのに私全然気づかずに、)

 

下車し地下鉄構内の階段を上る。

 

ミカ

(ふざけてナギちゃんを怒らせて、)

 

改札にスマホをタッチし進む。

 

ミカ

(十数年一緒に過ごしてきたのに、)

 

角を曲がりタイルの無機質な床を進む。

 

ミカ

(ちゃんとナギちゃんの気持ち考えなくて、)

 

少し進みまた角を曲がり進む。

 

ミカ

(本当に情けない。)

 

案内板を横切り角を曲がって進む。

そこでおもむろにミカは手に持っているスマートフォンを見てみる。

昨日謝罪のメッセージを送っていたのだ。

 

ミカ

(既読、やっぱりついてないか......)

 

また角を曲がり進む。

 

ミカ

(単に忙しいだけなのかそれとも......)

 

横を人が通り過ぎる。進む。

 

ミカ

(……)

 

角を二回曲がる。進む。

 

ミカ

(......ちゃんと会って謝らないとだよね。)

 

進む。

 

ミカ

(でも、やっぱり怖いな。)

 

進む

 

ミカ

(それでも──)

 

進ム

 

ミカ

(……)

 

ススム

 

ミカ

(?)

 

騾イ繧?ムゥムゥゥゥィウウジャウfjヒウレhf9hjr94ウr98r4ウ98qhヌ

 

ミカ

「あれ?」

 

違和感を覚える。

 

ミカ

「ここ、こんなに長かったっけ?」

 

 

 

ピーン──コーン──

 

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────────

駅構内の環境音が不気味に辺りに響き渡る。

 

ミカ

(おかしい。)

 

冷汗が額を流れる。

 

ミカ

(こんなに長くないはず、というかこの道自体に()()()()()()

 

シャーレには何度も行ってる。見間違えはしない。

もしかして道に迷っちゃったのかな?どうしよう......

 

ミカ

「というか、さっきまで沢山人がいたのにここには誰も──」

そのとき向こう側の通路からスーツに身を包んだ壮年の男性が歩いてくる。

 

ミカ

(!あの人に道を聞いてみよう。)

 

ミカ

「あ、あのすみません。シャーレ側の出口に行きたいんですけど、」

 

おじさん

「……」

 

そういって、ミカは男性に話を聞こうとするが呼びかけても反応はない。

 

ミカ

(あれ?聞こえてないのかな)

 

そう思い近づき、先ほどよりも大きい声で言ってみる。

 

ミカ

「あの、すいません!」

 

おじさん

「……」

 

しかし、依然として男性からは反応がない。

数m前に出て視界に入り呼びかけてみる。

 

ミカ

「すいません!」

 

できうる限りの大声を出してみるが、

反応はやはり無い、それどころか───

 

ドンッ!

 

ミカ

「わっ!」

 

男性はまるでこちらを認識して無いかのように、真っ直ぐ歩いて来てぶつかり、よろけてしまう。

 

ミカ

「いったた、ちょっと!」

 

文句を言おうとしたが既に男性は通路の先を曲がって姿を消してしまっていた。

 

ミカ

「もう、なんなのあの人!」

 

服を適当にはらいながら、どうやってここからシャーレに行こうか思案する。

 

ミカ

「とりあえずスマホで調べて……」

 

地図か何かで確認しようとスマホを起動する。が、なんと圏外になっていた。

 

ミカ

「えっ!圏外?地下だから電波悪いのかな?仕方ない駅員さんを探しに行こう。」

 

再び歩を進める。

角を曲がると案内板が見えてきた。

 

ミカ

「あ!案内板だあそこに何か書いてあるかな?」

 

黄色の案内板に近寄り内容を見ると

 

 

出口

Exit

0→

 

南武公園

水瀬中学校

米子寺

成平ビル

八本木交差点

 

 

と書いてある。

 

ミカ

「あれ?明らかにシャーレ周辺の地名じゃないし0()()()()?0っておかしくない?」

 

不思議に思いながらとりあえず進む。

 

ミカ

「にしてもどうしよう、これじゃ当番に間に合わない。連絡もできないし.......」

 

横を人が通る。

 

ミカ

「─あれっ?」

既視感を覚え、振り返る。

 

ミカ

「やっぱり、同じ人だ。でもどうして?」

 

どうして?その疑問が頭をよぎって時、気が付く。

 

ミカ

「っ!……ここさっき通った場所だ。」

 

嫌な空気が肌に纏わりつく(まとわりつく)

先ほどの通路と全く同じ。

ポスターも扉の配置も人も全部。単純に同じ造りなだけかもしれない。(おじさん)も偶然こっちに来ただけかもしれない。それでも恐ろしくなった私は思わず走り出した。

 

タッタッタッ

 

ミカ

「はぁ、はぁ」

 

(どういうこと?何で同じ人が?一方通行のはずなのに。)

 

角を曲がってさらに進もうとする。

 

ミカ

「とにかくここから離れてッ───え」

角をいくつか曲がって進んだ先は、

ミカ

「嘘でしょ」

先ほどと同じ通路だった。

 

ミカ

「くっ!」

 

驚きながらも踵を返し、先ほどの進行方向とは逆に進む。

 

ミカ

「どうして!?何が起きてるの?!」

 

しばらく逆方向に進んでいくが見えるのはずっと一連した同じ景色のみ。

 

ミカ

「ハーッ、ハーッ、」

壁に寄りかかり、冷静になろうとする。

 

ミカ

(一体ここはなんなの?!もう一キロは走ったはずなのに*1通ってきた改札側にもつかない)

 

ミカ

「ん?これって……」

 

その時視界に、『ご案内』と書かれた看板が目に入る。

 

 

ご案内 Guide

異変を見逃さない事

異変を見つけたら、すぐに引き返すこと

異変が見つからなかったら、引き返さないこと

8番出口から外に出ること

 

 

ミカ

(異変?……なるほどねいまいち状況は整理できてないけど」

 

滴る(したたる)汗を拭う。

 

ミカ

「どうやら、凄いことになったみたいじゃんね。」

────────────────────────────────────────────────────────────────

あれから数十分が経過した。

それで先に進んで分かったことがある。

まず、あの看板の内容は本当だったってこと、例えば停電するだとか、物凄い騒音するだとかいくつかの異変があった。

次に看板の内容に従って一つの通路を通り抜けるか戻るかすれば、案内板『0番出口』の数字が一つずつ増えていくみたい多分それを続けて『8番出口』にたどり着けばいいと思うんだけど─

 

ミカ

「そんなぁ!また0番!今の異変あったの?!」

 

そう、間違えると0番出口(振り出し)に戻ってしまう。

今のを含めて4回目。難しいし、出るのはもう少し先になりそう......

 

ミカ

「しょうがない切り替えて頑張ろう……」トホホ

 

まぁ、最初こそ怖かったし不安だったけど案外慣れればゲームみたいで面白いじゃん!

今度こそサササッ~ってクリアしちゃおう!

 

ミカ

「さぁて、次は異変あるかな?」ヒョコッ

 

シーン......

 

ミカ

「え~っとポスター良し!扉良し!おじさん良し!」

 

指をさしながら一つ一つ確認していく。

 

ミカ

「う~ん、見た感じは異変ないけど、また停電とかするのかな?」

 

コツコツと足音を立てながらもう少し詳しく見ていく、すると……

 

バチチィィッッ!! グォーン......

 

蛍光灯の火花が散り、ブレーカーが落ち、そして辺りは暗闇に包まれる。

ミカ

「わぁっ!!、びっくりしたぁ。本当にまた停電しちゃった。」

 

異変と確認した私は、振り返り引き返そうとする。

ヒタッ

すると首筋辺りに鋭く、冷たい感覚が走る。

ミカ

「ひやぁ!!こ、今度は何、水?」

 

うなじに手を伸ばし、正体を確認する。

冷たい......

スマホのライトで(てのひら)を照らす。これは

 

ミカ

「血?……ッ!」

 

唐突な出来事に一瞬思考が止まるが、これの元を辿るため、素早く天井を照らす。

が、何もない。

 

ミカ

「はぁ~、良かった。ただのおどかし───

 

 

 

 

 

ギイィヤァァァアアアアアァ!!!

 

 

 

 

 

そう安心のも束の間(つかのま)、辺りに悲鳴にも聴こえる産声が木霊(こだま)する。

 

ミカ

「うわあぁぁぁッ!!」

 

ガタンッ

急なことであまりに驚き、思わずスマホを落としてしまう。

 

ミカ

(しまった!何も見えない、早く探さないと!)

 

ギイィヤァァァアアアアアァ!!!

 

そうこうしているうちに産声は大きくなっている。

 

ミカ

「ハァッハァッ、」(方向感覚もなくなってきた、早く、早く見つかって!)

 

屈みながら、暗闇の中手探りで探していく。

コツン 手に何かが当たる。……スマホだ。

 

ミカ

「良かった!スマホだ。早く引き返そう!」

 

ギイィヤァァァアアアアアァ!!!

 

ミカ

「くっ!また声が大きくなって─?いや、これは違う。声が、()()()()()()?」

 

屈んだままスマホで前方を照らす。

 

ミカ

「ッ!?」

 

スマホで照らしたすぐ目と鼻の先、僅か(わずか)拳一個分ほどしか離れていない場所に()()は居た。

赤くヌテラヌテラと血で染まった不定形の肉塊に人間の顔のパーツが不規則に、バラバラに、蠢き(うごめき)ながらへばりついている。

あまりのことに叫ぶこともできず、ただ反射的に素早くあとずさる。

 

ミカ

「な、なんなの?!」

 

恐怖で声が震える。

下がって相手の全体を視る。

それはあちら側の通路(自分が来た方向)を塞ぐほどの巨体。その身体を体から無数に生えているカエルやヤモリのような手を天井や壁に貼り付け支えている。

 

......私は自分の強さに自信があった少なくともキヴォトスの殆どの人や存在には負けないと思う程に、それでも本能でわかる。こいつには()()()()()()()

 

キャキャキャキャキャキャキャッキャァァ

 

そんな怯える私をあざ笑うかのように甲高い声を上げる。

 

ミカ

「っ!逃げないと!」

 

残ってる方向は逆方向(異変がないときの方向)だけ、でもそれ以外に選択肢は無い。

その怪物(バケモノ)から背を向け走り出す。

 

ミカ

(停電の時、次の通路に着いたら電気は復旧(ふっきゅう)した。このバケモノも進んだら消えるはず!)

 

一縷の望み(いちるののぞみ)に賭けて次の通路を全速力で目指す。

が、上着が何かに力強く引っ張られる。

 

ミカ

「今度は何!?」

 

キュッ

タイルの地面を踏み締める。

少しでも気を緩めると一気に引きずり込まれそうだ。

上着を照らす。そこには、()()()()()()()()()が上着を引きちぎれんばかりに握りしめている。

 

ミカ

「ヒュッ」

 

浅く息を吸う。

恐怖心が波のように押し寄せ、冷汗が流れるのがわかる。

引っ張る力もドンドン大きくなっていく、このままじゃまずい───

 

ミカ

「このっ!」

 

バチンッ!

 

上着を脱ぎ棄てる(ぬぎすてる)

力の行き場がなくなった腕はゴム紐のようにしなり、弾け、バケモノにぶつかって、大きい音を立てる。

相手の態勢は崩れた。私は一瞬の隙を見逃さず、今度こそ全速力で通路を走り抜ける。

 

ギィヤァアアァアガァアアア!!!!!

 

耳を劈く(つんざく)ような咆哮が背中越しに聴こえ、振動が伝わる。

自分の中の恐怖心がさらにあおられていく。

 

ミカ

「怖い、怖い、怖い。」

 

ほんの数秒間の出来事であったが私にはその時間がとても長く感じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと辺りは明るくなり、バケモノの声も止み(やみ)新たな通路の真ん中に立っていた。

おじさんも歩いていないことから、暫く(しばらく)の間放心していたようだ。

 

フッ ドサッ

 

力が抜けて床に膝をつく。

全身が震える。

ミカ

(こわい、こわい、こわい、こわい、こわい。)

 

更に震えに拍車(はくしゃ)がかかる。

聖園ミカは強がっていた。もう当の昔に限界だったのだ。

ひとりで知らない場所に放り出されて、いつ帰れるかもわからずに、居るだけで精神が擦り減るような空間を彷徨う(さまよう)───

まだ齢17の子供には耐えられなくても仕方がないだろう。

 

ミカ

「怖いよ、どうしてこんなことに。」

 

……

 

ミカ

(そうだナギちゃんに酷いことをしてしまったからだ。)

思考が暗い方に堕ちる(おちる)

ミカ

(ナギちゃんに辛い思いをさせてしまった。だからきっとバチが当たったんだ。)

ミカ

(いつもそうだ私はみんなに迷惑かけばかりで、)

目頭が熱く震えるのが伝わる。

ミカ

(エデン条約の時もそうだ。私が勝手なことそして、ナギちゃんを一人で苦しめさせて、セイアちゃんを危険にさらして、)

しゃがみ腕を組んで顔を埋める(うずめる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミカ

(もういっそ私なんか()()()()()───)

涙が頬を伝う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男の子の声

「あ、あの」

そのとき不意に声がかかる。

涙でぬれた顔を上げる。

 

中学生ぐらいの男の子

「その、大丈夫ですか?」

 

ミカ

「え───」

 

 

 

その顔にはどこか見覚えがあった。

 

 

 

*1
走ってまだ数十秒もたってません。




最後まで読んでくださりありがとうございます!
一体最後の男の子は誰なのか?(すっとぼけ)
ミカは果たして無事に抜け出せるのか?気になりますよね~。
次回を楽しみにしてください!
ちにみに私はナギ&ミカが喧嘩したり、ミカが辛い目に合うのが悲しくて筆がすごい滞りました。泣いていいですか?

※誤字脱字報告してくださると幸いです。
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