術式「百鬼夜行」   作:Virus Miss

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京都姉妹校交流会 〜其の二〜

木々が生い茂る中で、またしても奇妙な友情が結ばれた。ほとんど一方的ではあるが。

ここから葵と戦い、悠仁は成長を遂げるであろう。

 

邪魔が入らなければの話だけどね。

 

上空に西宮さんの気配。恵が落とす役割だったはずだけど、見つけることができなかったのかな?さらに周りにも複数の呪力を感じる。京都校の人たちだな。矢や銃弾が悠仁に向かって飛んでくる。やはり楽巖寺学長から暗殺の指示を受けていたんだね。僕は全ての飛来物を掴み取り、気配のする方へ投げる。

 

「悠仁、近くにいて」

 

周りを囲われたか。悠仁に向けて殺気を感じる。

 

「一応聞くけど・・・どういうつもり?」

 

呪力を解放して威圧をする。あちらが殺しに来るならこちらもそれ相応の対応をする。

 

「おい、邪魔をすれば殺すと言ったよな」

 

葵が憲紀に問いかける。相当怒っているらしく、振り抜いた拳は地面にヒビを入れていた。

 

「違うな、指図すれば殺すと言った。・・・ちゃんと殺せよ」

 

「それは虎杖次第だ」

 

引くようだ。

 

「タダで返すとでも」

 

後輩を殺しに来て無傷で逃がす程、僕は優しくはない。偵察は潰させてもらう。

 

「雷神」

 

重ねた雷神の力で、京都校へ雷撃を開始する。当てる気はない。もうみんなが駆け付けてるからね。

 

「落とせ」

 

恵の指示で鵺が西宮さんを落とす。京都校の人間はすでに離脱している。あとはみんなに任せよう。

 

すでに悠仁と葵の戦闘は再開していた。戦闘の組み立て、地形を生かした攻撃、図体からは考えられないほどの膂力と耐久力。悠仁の肉体はどうなっているのだろう。元の肉体が良いのか、それとも二つ重なっている魂の影響か。空中から葵の後頭部へ拳が入る。鈍い音が二重になる。呪力が遅れて当たっているのか。普通の打撃と織り交ぜてやられたら厄介だろう。

 

しかし

 

「ちっっっがーう!!」

 

葵の声がこだまする。確かに呪力が遅れてくるのは厄介だ。だけど、それだけでは葵には勝てない。

 

「弱いままでいいのか?」

 

「良くねぇよ!!」

 

「そうだろう!!親友(マイフレンド)!!」

 

悠仁の動きが変わった。葵の動きを学び、取り込んで体を動かす。先ほどにはなかった動きを繰り出し、体勢を崩して拳を出す。

 

だがしかし

 

「お前に食って欲しいのはそこじゃない」

 

悠仁の拳が加速し切る前に、葵は額で拳を受ける。

 

親友(ブラザー)は呪力をどのように扱う」

 

「うーん、言語化は難しいけど体の機能として捉えているよ。血液が流れるように呪力を巡らしてる」

 

「???」

 

悠仁が困惑している。突然このようなことを聞かされては当然だろう。

 

「虎杖、お前の『逕庭拳』は悪癖から生まれたものだろう。威力は十分。並の術師では理解できず混乱するだろう。しかし、特級には通じない。どうする?」

 

「俺の全力にドンピシャで呪力を乗っける」

 

「Good。なぜ呪力が遅れるのか。それは呪力を流しているからだ!」

 

「いや、早くしようって話じゃ・・・」

 

「本来の術師は呪力を腹からさまざまな部位へ流す。その部位で分ける意識が遅れを生む」

 

なるほど、先ほどの質問につながっていくのか。

 

「人間は腹で考え事も感情の発露もしない、いいか虎杖」

「俺たちは全身全霊で世界に存在している。当たり前すぎて皆忘れてしまったことだ」

 

「・・・ありがとう東堂。なんとなくわかった」

 

二人が構える。ここからは二人だけの世界だ。拳を、武を通じて導き、導かれて分かり合う。そこに言葉は存在しない。掌がふれあい、対話が始まる。拳をぶつけ合うごとに、悠仁の動きに呪力が追いつき始める。見ていると、その組み手には一種の美しさを感じる。ぶつかる音や、移動することで地面から発生する音が、まるで音楽のように奏でられる。二人の二重奏が最高潮に達し始めた。このまま悠仁の成長を見ていたかった。

 

ーーー不協和音が入る。

 

帳が降り始め、強大な呪力が2つ現れる。二人の演奏も止まった。

 

「葵」

 

「あぁ親友(ブラザー)

 

「僕はあっちの呪霊を祓いにいく。葵と悠仁は他を頼む。」

 

葵たちと別れて呪霊の元へ向かう。間違いなく特級だ。近付くたびに気温が熱くなっていく。

森を抜けると、そこに頭部が火山になっている単眼の特級呪霊が立っていた。

五条先生を襲った呪霊か。あの下手くそな絵でもわかるものだな。

 

「お前が例の『轟鬼』か。・・・面倒な足止め役を任されたものだ」

 

足止め?殺気を隠してから言って欲しいものだ。

 

「喋れるんだな。目的はなんだ?」

 

返答はない。代わりに、どこからか生えた火山から熱線が放たれる。

呪霊なら触れれば勝ちだ。幸い、京都で戦った呪霊より強いとは思わない。

緊急事態だから、術式の使用はいいだろう。

 

「産み落ちて_(みずち)

蛇に似た細長い体を持つ水の怪。鱗に覆われた体はぬらりと光る。

恵の『不知井底』を見て得た発想だ。河童、海坊主、水虎、川赤子、水鬼、龍蛇の6体。

百鬼の中で水に関する全ての百鬼を組み合わせた新たな妖怪。

膨大な水量が発生して蛟に集まり、巨大な龍の形を得る。

 

「お前を祓い、他のやつに目的を聞く」

 

呪い合いが始まる。




【設定資料:百鬼夜行】

・融合百鬼『蛟』
伏黒恵の拡張術式『不知井底』から着想を得て編み出した、複数の百鬼の要素を掛け合わせた新たな妖怪。水に関する百鬼を一つにまとめ上げた、水棲系の集合体。


【構成百鬼】
河童、海坊主、水虎、川赤子、水鬼、龍蛇


【外見】
蛇に似た細長い体と、ぬらりと光る鱗を持つ水の怪。
発生させた膨大な水量を自身に纏わせることで、巨大な水龍の形を成す。


【能力】莫大な水量の生成と操作
呪力によって何もない空間から莫大な質量の水を生成し、自在に操る。
生み出される水には轟鬼の呪力が濃密に纏われており、ただの物理的な水流を超えた破壊力と圧力を誇る。
最大の脅威は「蛟自身を破壊しない限り、水の生成が止まらない」という点。
生成される水の量と速度は、術者の呪力出力に比例して際限なくスケールアップしていく。
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