アイすべき精霊   作:ヒトノミライ

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一日一話を目標に頑張りたいです。


第一話:変化からの逃走

女になっている。

 

そんなの漫画などの世界だけの話だと思っていたがそれを自分自身で経験するとは思いもよらなかった。

驚愕や混乱が頭を支配しそうになるが、大きく深呼吸をして心を落ち着かせる。

 

それに服装も少しおかしい。

改めて見てみるとシスター服のようなモノを着ている。

しかし、それは普通のシスター服ではなく黄色や白色のフリルがあしらわれた改造服だった。

シスター服なんてもの、男の頃には着たこともないし、こんなにフリルがついたような服も着たことがなく、思わず顔が引き攣ってしまうのがわかる。

 

しかし、だからといって脱いでしまうわけにはいかない。今はこれしか服を持っていないのだ。

後で新調すればいいだけだ。

 

それにしても俺は存外に冷静のようだ。後ろに追ってがいるのに自らの服装を気にする余裕すらある。

何故そんな余裕があるかはわからないが無様に取り乱してしまうよりはマシだ。

 

「…とりあえずこのビルを抜けてあの空飛ぶ機械共を撒くか」

 

このビルを目隠しに抜けて、またビルに入りと繰り返していればいずれ撒けるだろう。

 

慣れない身体を必死に動かし、転ばないように走る。

床には赤い洒落た絨毯、天井にはユラユラとシャンデリアが揺れている。おそらくここはホテルかなにかだったみたいだ。

 

だとしたら少し困ったことになった。

ホテルなんてそう何回も行ったことなど無く、一階の何処に行けば外に出れるなんて分からない。

悠長に探してなんかいたら奴らがこのビルごと俺を殺すかもしれない。

 

 

 

ーーそう、殺されるかもしれない。

さっきの衝撃と聞こえた会話で分かったが、あれは俺を殺しにきている。

 

 

何故、なんで、どうして、俺がなにかしたのか。

 

 

疑問はいくらでも浮かんでくるが、それが分かったとしても奴らは俺を殺す事はやめないだろう。対話しようとしてもおそらく取り合ってなんかもらえないだろう。

対話でどうにかなるならさっきも攻撃して来る前に話し掛けられているはずだ。

それがないということは、そういう事なんだろう。

 

なら、逃げるしかない。

あんなのに勝てる気は全くしない。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、くぅ…! 走りにくいなこの身体は!」

 

何度も転びそうになり、口からは悪態が零れる。

だが、だんだんと躓く回数が減ってきた。慣れてきたんだろう。

いい事だ。

 

「2階への階段は……あった!」

 

階段を見つけて急いで駆け上がる。

一階で悠長に探すくらいなら2階から外に出た方が早い気がしたからだ。

2階くらいなら飛び降りてもそこまで大きな怪我は負わないだろうから。

 

2階に上がり、ホテルに入ってきた方向とは逆方に位置する部屋のドアを開けようとするが、

 

「く、くそっ! 開かない!」

 

ドアノブに手をかけてもガチャガチャと無機質な音がするだけで開く気配はない。

 

「なら、こじ開けしかないけど……出来るか…? こんな貧弱そうな身体で……」

 

しかし、開けないといけない。

そうでないと俺は、死ぬ。

だとしたらやるしか、ない。

 

周りを見る。

すると近くに消化器が置いてある。

あれを使おう。

こんな貧弱そうな身体でぶち破れるとは思っていない。なら、物を使えばいい。

 

「ーーオラッ!!」

 

助走をつけ、大きく振りかぶってドアノブに振り下ろす。

バキィッ!! という音と共にドアノブは完全に壊れた。

 

「よし!」

 

思わずガッツポーズをしてしまう。

ドアを蹴破り、中に入ると随分と荒れていた。

 

「ここから降りるのか……。不安だな、この身体だと」

 

窓から下を覗くと案外高く見えて足が竦んでしまう。

男の頃ならここから飛び降りたとして、上手く着地出来れば足が痺れる程度済んだと思うし、男のガッチリとした身体だから大丈夫だとあまり不安は無かったがこの女の身体だとそんな事は思えない。

上手く着地しても骨折してしまいそうだ。

 

「ど、どうする……! あんまりゆっくりなんてしてられないぞ…!」

 

自然と焦燥に駆られてしまう。

が、自分が焦っていることに気付き大きく深呼吸する。

 

「……待て。こういう時こそ落ち着くべきだ」

 

周りを見渡す。

部屋にはベッドのシーツなどが散乱している。少し汚れてはいるがいい品質の物だとわかる代物だ。

 

「ーーッ。そうだ!」

 

近くに落ちていたシーツとカーテンを全て集める。

それらをまっすぐ伸ばし、端と端とを結んでいく。

 

全て結び追えるとそれを部屋にあったベッドの脚が床と結合されているのかを確認する。

そして、先ほど結んだシーツをベッドの脚に念入りにキツく結び、何度か引っ張り解けない事を確認して窓から落とす。

 

「よし、これをつたってある程度まで降りれば飛び降りても大丈夫だろ」

 

窓から落とした紐状のシーツを見て、早速降りようする。

窓枠に手を掛け、シーツを掴み慎重に降りていく。

 

「案外俺も頭が回るみたいで良かったな」

 

すると、すぐにシーツの先端が近くなってきた。

 

「ここくらいからなら飛び降りても大丈夫だろーーーー」

 

そう思い、意を決して飛び降りようとして、

 

「ーーーえっ?」

 

身体がフワリと浮く感じ。

 

そして、視界に映るのは途中で焼き切れたシーツ。

 

『撃てッ!!』

 

女の号令が辺りに響くと同時に、何かが飛んで来るような音。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、辺りに轟音と閃光が迸った。

 

 

 

 

 




話が進まないなぁ……。
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