暗殺教室 もう一度立ち直ろう   作:補強と育成

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第二の刃




テストの時間

 

キーンコーンカーコーン!

 

 

「さて皆さん…」

 

 

「「「「始めましょうか!」」」」

 

 

「「「「いや、何を………」」」」

 

 

「学校の中間テストが迫って来ました!」

 

「そうそう!」

 

「そんなわけでこの時間は…」

 

 

「「高速強化がテスト勉強をおこないます!!」」

 

 

 そう言うと殺せんせーがそれぞれの机に向かって移動し始めた。俺の元には「理」の鉢巻きを巻いた殺せんせーがやって来た。

 

 

「先生の分身が1人ずつマンツーマンで」

 

「それぞれの苦手科目を徹底して復習します!」

 

「下らね…。ご丁寧に教科別にハチマキとか…」

 

 

 そして寺坂の前には…

 

 

「ん?つーか!何で俺だけ「日章旗」なんだよ!」

 

 

 殺せんせーはどんどん速くなってると思う。国語7人・数学9人・社会4人・理科5人・英語5人・日章旗1人…クラス全員分の分身なんてちょっと前まで3人ぐらいが限界だったのに。

 

 

「ぐにゅう!!!」

 

「うわ?!」

 

「急に暗殺しないで下さいカルマ君!それ避けると残像が全部乱れるんです!」

 

「意外と繊細なんだこの分身…」

 

「でもこれって結構体力使うんじゃ無いの?」

 

「先生、勇人の言う通りだよ。こんなに分身して体力もつの?」

 

「ご心配無くお二人とも!1体外で休憩させていますから!」

 

 

「「それむしろ疲れない!?」」

 

 

 この加速度的なパワーアップは、1 年後に地球を滅ぼす準備なのかな?なんにしても。殺し屋にはやっかいなターゲットで…

 

 

「…と、ここまで分かりましたか渚君?」

 

「…はい!」

 

 

 テストを控えた生徒には、心強い先生だ!

 

 

 渚は調子良さそうだな。対して俺はどうなんだろう。理解力は少しずつ上がってるような気がするけど、何だろう…ちゃんと理解出来てるか分からないな…。

 

 

「おや?勇人君?どうしましたか?」

 

「殺せんせー…。ちょっと悩みがあって…」

 

「にゅや?!も、も、もしかして!は、速水さんとの関係でも拗れたのですか?!」

 

「違うわ!」

 

 

 てか隣に速水いるし!普通に気付かれるわ!

 

 

「なに?」

 

「いや大丈夫!それより、アイスティーいる?」

 

「要らない」

 

「そう…。じゃソ連国旗いる?」

 

「もっと要らない」

 

 

 そして速水は分身の殺せんせーと授業を再開した。

 

 

「殺せんせー!ただ勉強の事ですよ」

 

「そうでしたか、ですか勇人君は最近の小テストでも点数は上がってますし、何より壊滅的だった英語と数学の理解力は間違いなく上がってますよ?」

 

「いや、なんて言えばいいか分かりませんが…ちゃんと理解出来てるかどうか分からなくて」

 

「…」

 

「殺せんせー?」

 

「なるほど…勇人君?君の成績低下の理由はそこにありまね」

 

「え?」

 

「勇人君に1番足りないものは「自信」です!」

 

「自信…」

 

「先生的には勇人君はかなりのポジティブ思考かと思っていましたが、意外とそうでも無いんですね」

 

「意外と自分って根暗な所ありますよ…」

 

「それでは!先生から勇人君に1番のアドバイスを贈って差し上げます!」

 

「アドバイス?」

 

「ええ!放課後先生と一緒に職員室に来て下さい」

 

「え?分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよなら!殺せんせー!」

 

「じゃーね!殺せんせー!」

 

「ヌルフフフ!明日は殺せると良いですね!」

 

「渚!茅野!じゃーな!」

 

「また明日!」

 

「じゃーね!勇人!」

 

 

 俺は放課後に殺せんせーのアドバイスをもらう為に掃除登板の渚と茅野と別れた後、殺せんせーと共に職員室の中に入ろうとした。しかし今日の放課後の職員室はいつもとは違った。

 

 

「この六面体の色を揃えたい、素早くたくさん、しかも誰でも出来るやり方で、あなた方ならどうしますか?先生方、そう答えは簡単、分解して並べ直す、実に合理的です」

 

 

ガラガラ…

 

 

「え?」

 

「にゅう?!」

 

「ん?始めまして、殺せんせー。そして久しぶりだね、井上君」

 

「にゅう…?」

 

「浅野先生…」

 

 

 何で旧校舎に浅野先生が…。しかもルービックキューブを粉々にしたんだが、何してんだろう?

 

 

「この学校の理事長様ですってよ」

 

「俺達の教師としての雇い主だ」

 

「にゅや!」

 

 

 殺せんせーはすぐに浅野理事長の元にいって肩を揉みながらお茶などを分身しながら出し始めた。

 

 

「こ、これはこれは出の上まで!もみもみ!それはそうと私の給料もうちょいプラスになりませんかねぇ!私少々分身を嗜んでおりまして理事長のお役にきっと立ち…」

 

 

 そしてその様子を渚は扉の隙間から見た…

 

 

「ん?あ…」

 

 

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殺せんせーの弱点❻

 

上司には下手に出る

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「こちらこそすみません。いずれご挨拶に伺おうかと思っていたのですが、あなたの説明は日本政府や防衛省の鳥間さんから聞いていますよ。まぁ、私には全てを理解出来る程の学は無いのですが…。何とも悲しいお方ですね。世界を救う救世主となるつもりが、世界を滅ぼす巨悪となり果ててしまうとは…」

 

 

 救う?滅ぼす?何の話?

 

 

「いや、ここでそれをどうこう言うつもりはありません。私如きがどう足掻こうが地球の危機は救えませんし。余程のことが無い限り、私はこの問題にはノータッチです。充分な口止め料も頂いてますし…」

 

「助かってます」

 

「随分と割り切っているわね。でも嫌いじゃ無いわよ。そう言う男性」

 

「光栄です。しかしな、この学園の長である私が考えなくてはならないのは、地球が来年以降も生き延びる場合。つまり仮に誰かが貴方を殺せた場合の学校の未来です。率直に言えば、ここE組はこのままでなくては困ます…」

 

「え?」

 

 

 今…この人は何って言った?E組がこのままでいないと困る?意味が分からない。この人やっぱり頭おかしんじゃないの?

 

 

「このままと言いますと。成績も待遇も最底辺という今の状態を?」

 

「はい。働きアリの法則を知っていますか?どんな集団でも20%は怠け、20%は働き、残りの60%は平均的になる法則を。私が目指すのは、5%の怠け者と95%の働き者がいる集団です。E組の様にはなりたくない。E組には行きたくない。95%の生徒がそう強く思う事でこの理想的な比率は達成出来る」

 

「なるほど、それは合理的です。それで5%のE組は弱く惨めでなくては困ると…」

 

「今日D組の担任から苦情が来まして、うちの生徒がE組の生徒からすごい目で睨まれた『殺すぞ』と脅されたと…」

 

 

(渚だわ、これ)

 

 

「暗殺をしているのだから、そんな目つきも身につくでしょう。それはそれで結構、問題は…」

 

 

 次の言葉が理事会の本心だ。

 

 

「成績底辺のE組が一般の生徒に逆らう事。それは私の方針では許されない。以後、慎むよう厳しく伝えといて下さい」

 

「…」

 

「そうだ殺せんせー、1秒以内に解いて下さい」

 

「え?!いきなり?!」

 

 

1秒経過…

 

 

「ちょ!ま!おお!絡まった!」

 

 

「「(何てザマだ!!)」」

 

 

 この瞬間、勇人と渚の気持ちは一体化していた。

 

 

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殺せんせーの弱点❼

 

知恵の輪でテンパる

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「噂通りスピードはすごいですね。確かにこれなら、どんな暗殺だってかわせそうだ。でもね殺せんせー?この世の中には、スピードでは解決出来ない事もあるんですよ」

 

「…」

 

「では、私はこの辺で…、そうだ井上君?」

 

「はい?」

 

「中間テスト期待しているよ!」

 

「はぁ…」

 

 

 浅野先生…いや、浅野理事長はそう言い残して教員室から出ていった。そして渚とも出会した。

 

 

「あっ…」

 

「やぁ!中間テスト期待しているよ!頑張りなさい」

 

「え…」

 

 

 とても乾いた「頑張りなさい」は一瞬で僕を暗殺者からエンドのE組へと引き戻した。

 

 

 ターゲットとしてのこいつはほぼ無敵だ。暗殺を完全にコントロールして支配している。だが教師としては、この学校にはあの強力な支配者がいる。

 

 

「椚ヶ丘学園理事長「浅野學峯」創立十年でこの学園を全国指折りの優秀校にした敏腕経営者だ。この学校で彼の作った仕組みからは絶対に逃げられない。たとえお前でもな」

 

「…」

 

 

 殺せんせーは触手に絡まってる知恵の輪を力尽くで破壊した。その瞬間俺耳に「バキイイ!!!」と金属が砕ける音だけが入った。

 

 

————————————————————————

 

 

 殺せんせーがテンパった翌日

 

 

「おはようございます。みなさん」

 

 

「「先生今日は頑張って更に増えてみました!!」」

 

 

「(いや…増え過ぎだろ…)」

 

 

「「「「「さぁ!授業開始です!!!!!」」」」」

 

 

「残像もかなり雑になってるし…」

 

「雑すぎて別キャラになってねーか?」

 

「謎のキャラクターもいるぞ…」

 

「日章旗5人に増えてるやん」

 

 

 殺せんせーの分身の数は…ダメだ分からん。多すぎ!

 

 

「どうしたの殺せんせー?なんか気合入りすぎじゃない?」

 

「んん?そんな事はないですよ!ほら茅野さんも手を動かして!」

 

「う、うん」

 

 

 殺せんせーの勢いにクラスの皆は困惑気味だ。ただ昨日の浅野理事長の言葉が原因だろう。

 

 

「殺せんせー!英文解いたんですけど、この解答で合ってますか?」

 

「どれどれ…正解です!」

 

「よっしゃ!」

 

 

 殺せんせーの顔に赤丸が出来た!昨日の放課後にアドバイスをもらってから、勉強に対して「自信」を持てるようになった!

 

 

「ん?速水どうかしたの?」

 

「…勇人さぁ?」

 

「え?」

 

 

 英語の鉢巻きを巻いた殺せんせーと猛勉強していたら、隣から視線を感じたので横を見ると、速水と目が合った。しかもなんか目を細めてる。

 

 

「筆箱になんかシール貼ってない?」

 

「あ、気付いた?これ実は「鎌と槌」なんだよ」

 

「ソ連じゃない!後で剥がす!」

 

「え〜。速水は資本主義者かよ」

 

「勇人君!そのシールは先生が剥がしてゴミ箱に捨てときます!」

 

「殺せんせー?!」

 

 

キーンコーンカーコーン!!!

 

 

「はぁはぁ…」

 

 

 殺せんせーが尋常じゃくらい増えてくれたお陰で勉強は捗ったが、殺せんせーはかなりのお疲れのようだ。うちわでパサパサしてる。

 

 

「流石に相当疲れたみたいだな…」

 

「今なら殺れるかな!」

 

「なんでここまで一所懸命先生をすんのかね~」

 

「でも俺らからしたら、ありがたい事じゃん!」

 

「そうか?」

 

「前原は違うの?俺等の学力上げるチャンスだぞ?勉強の目標ぐらいは自分でやらないと」

 

「俺は勇人と違ってもっといい目標があるからな!」

 

「そうなんだ…」

 

 

 まさか…100億円の事なのかな?

 

 

「ヌルフフフ!全ては君達全員のテストの点数を上げるためです。そうなれば!」

 

 

 殺せんせーの妄想…

 

 

「殺せんせ~!」

 

「殺せんせーのおかげで良い点取れたよ!」

 

 

・生徒達の尊敬の眼差し…

 

 

「もう殺せんせーの授業無しじゃいられない!殺すなんて出来ないよ!」

 

「殺せんせー!もっと勉強教えてよ!」

 

「殺せんせーのお陰で本校舎に戻れたよ!」

 

 

・評判を聞いた近所の巨乳大学生…

 

 

「先生!私達にも勉強を教えて」

 

「よく見ると凄くイケメンの方ですね!」

 

「私…貴方に恋しちゃいました!」

 

 

 殺せんせーの妄想終了…

 

 

「…となって殺される危険も無くなり先生には良い事ずくめ!」

 

 

「「「「「………」」」」」

 

 

「いや、勉強の方はそれなりでいいよな?」

 

「うん。なんたって暗殺すれば賞金100億出し」

 

「100憶あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だしね!」

 

「にゅや!そう言う考えをしますか?!」

 

「俺達エンドのE組だぜ?殺せんせー」

 

「テストなんかより?暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」

 

「…」

 

 

 この時の殺せんせーの顔には少し紫色の何かが出ていた…

 

 

「なるほど。よく分かりました…」

 

「え?何が?」

 

「今の君達には、暗殺者の資格がありませんねぇ。全員校庭に出なさい、それと片岡さん?」

 

「はい…」

 

「烏間先生とイリーナ先生も呼んできて下さい…」

 

「わ、分かりました」

 

 

 殺せんせーの顔に紫色で❌マークが出ていた…これは相応お怒りの様だ…

 

 

「急に校庭に出ろってどうしたんだ殺せんせー?」

 

「さあ…いきなり不機嫌になったよね」

 

 

 しかも校庭の真ん中に1人でポツンとっ立てるし、本当にどうしたんだろう?

 

「勇人?ちょっといい?」

 

「…中村さん?どうかしたの?」

 

「いや、さっき殺せんせーが言ってた言葉なんだけど」

 

「あ〜なんか『暗殺者の資格がない』って言ったやつ?」

 

「そうそう!その件なんだけど、なんか分かる?」

 

「いや、特には…。ぶっちゃけ俺も分かってないんだよね…」

 

「そっか…。じゃあ殺せんせーが急に不機嫌になった理由は謎って事ね」

 

「まぁ…そうなるかな?」

 

 

 中村は、そのまま勇人の隣に立ったままで動こうとはしなかった。しかも身体は少し勇人に寄せていた。

 

 

(中村さん、近いなぁ…)

 

 

 俺は中村さんの金髪の髪をジーッと見ていたら片岡さんがビッチ先生を急いで連れて来た様だ。

 

 

「なんなのよ!急に来いって!」

 

「殺せんせーがイリーナ先生も呼んでこいて!」

 

「イリーナ先生…。プロの殺し屋として伺いますが…」

 

「何よ、いきなり」

 

「あなたはいつも仕事をする時、用意するプランは1つだけですか?」

 

「…いいえ、本命のプランなんて思った通り行く事の方が少ないわ。不測の事態や緊急事態に備えて、予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。じゃないと死ぬわ」

 

「確かにその通りです。では次に烏間先生。ナイフ術を生徒に教える時、重要なのは第一撃だけですか?」

 

「…第一撃はもちろん最重要だが、次の動きも大切だ。強敵相手では第一撃は高確率でかわされる。その後の第二撃、第三撃をいかに高精度で繰り出すかが勝敗を分ける。イリーナの言った通り、暗殺の基本を身に付けない者は、その場で返り討ちを食い死ぬ事になる」

 

 

「「「「「………」」」」」

 

 

「結局何が言いたいんだよ?」

 

 

 前原が聞くと殺せんせーは急に回転し始めた。しかもめちゃくちゃ早く素早く。

 

 

「先生方のおっしゃるように!自信を持てる次の手があるから自信に満ちた暗殺者になれる!対して君達はどうでしょう?『俺等には暗殺があるからそれでいいや』と考えて勉強の目標を低くしている…。それは、劣等感の原因から目を背けているだけです!もし先生がこの教室から逃げ去ったら?もし他の殺し屋が先に先生を殺したら?」

 

 

 強風が強すぎて殺せんせーの声が聞き取れん!なんか言ってるけど、マジで聞こえん!

 

 

「ちょ、ごめん!勇人!」

 

「?!中村さん!大丈夫?」

 

 

 中村さんが俺の体にくっ付いて来た。ヤバい!骨が溶けて体が縮みそうだ。小学1年生になってしまう!

 

 

「暗殺という拠り所を失った君達にはE組の劣等感しか残らない!そんな危うい君達に先生からのアドバイスです!第二の刃を持たざる者は暗殺者の資格なし!」

 

 

 そして殺せんせーの回転が終わった後…

 

 

「校庭に雑草や凸凹が多かったのでね…。手入れをしました…」

 

 

 校庭が一瞬にして綺麗になった…。しかもサッカーゴールやホームベースなども設置されており、あの回転中に全てやったのだろう。改めて殺せんせーが優しい先生という一面だけでなく、地球を滅ぼす怪物でもある事に気付かされる。

 

 

「先生は地球を消せる超生物…この一帯を平らにするなどたやすい事です」

 

「…」

 

「まじか…」

 

「もしも君達が自信を持てる第二の刃を示せなければ、先生の相手に価する暗殺者はこの教室にはいないと見なし。校舎ごと平らにして先生は去ります…」

 

「第二の刃…いつまでに…」

 

「決まっています。明日です!明日の中間テスト、クラス全員50位以内を取りなさい」

 

 

「「「「「え?!?!?!」」」」」

 

 

「君達の第二の刃は先生が既に育てています。本校舎の教師達に劣るほど、先生はトロい教え方をしていません。自信を持ってその刃を振るって来なさい。ミッションを成功させ恥じる事なく笑顔で胸を張るのです自分達がアサシンであり。E組である事に!」

 

 

————————————————————————

 

 

 そして中間テスト当日

 

 

 テストは全校生徒が本校舎で受ける決まり。つまり僕らE組だけアウェーでの戦いとになる。

 

 

「…」

 

 

 1時間目は数学だ。はっきり言って苦手過ぎて4問目で手が止まった。けど、急に周りからシャーペンで回答用紙に何か書いてる音が聞こえて来た。しかも上下左右全ての方向から。

 

 

(あれ?置いて行かれてる?)

 

 

 俺は一旦ペンを置いて時計で時間を確認した後にちょっと周りをチラ見した。

 

 

「い、井上?隣をジロジロ見るな。カンニングと見なすぞ?」

 

「すいません」

 

 

 大野先生と目が合ってしまった。ただ…何故か大野先生は冷や汗をかきながら困惑した表情を浮かべていた。

 

 

(マズいな…完全に皆から置いていかれるな。これは)

 

 

 俺はもう一度シャーペンを手に持って再び問4を解いた。そして問題文をよく見ると分かってきた。分かる。分かるぞ!問題文の重要な部分。解き方のコツ。全部殺せんせーが教えてくれた通りだ!

 

 俺はそのまま問題を解き続けていたら、問11まで到達したが問題を見て疑問に思った。

 

 

(え?こんな問題…テスト範囲にあったっけ?)

 

 

 そしてそのまま俺は背後から見えない問題に殴り殺された…。5教科全てだ。

 

 

 英語・数学・理科・社会・国語全ての教科で途中で問題が解けなくなった。途中までは全然良かったのに…。なんで…。そう思っていたら烏間先生が本校舎に連絡した事で全ての元凶が判明した。

 

 

「これは一体どういう事でしょうか?」

 

「何がですか?」

 

「テストの公正さを著しく欠くと感じましたが」

 

「おっかしいですねぇ~。ちゃんと通達したはずですよ?アナタ方の伝達ミスじゃないですか?なんせおたくら、本校舎に来ないからハハハハ!」

 

「伝達ミスなど覚えは無いし、そもそもどう考えても普通じゃない。テスト2日前に出題範囲を全教科で大幅に変えるなんて」

 

「分かってませんねぇ!えーと…烏間先生?うちは進学校ですよ?直前の詰め込みにもついていけるか試すのも方針の一つ。なんと本校舎のクラスでは、理事長自ら教壇に立たれ、見事な授業で変更部分を教え上げてしまわれましたよ!」

 

「くっ…」

 

 

(あの理事長…自分の主義の為にそこまでやるか。はっきり言って余計な事をしてくれた。コイツにこのE組から去られたら、人類は破滅の時まで何も出来ない)

 

 

 俺は中間テストで完膚なきまでに叩き潰されてしまった。学年187人中98位…完敗だ。殺せんせーにも顔向けが出来ない…。

 

 

————————

井上勇人

合計点数326点

187人中98位

————————

国語74点

数学52点

理科73点

社会72点

英語55点

————————

 

 

「先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです…。君達に顔向けできません…」

 

 

 クラスの雰囲気は最悪だった。恐らく殆どの者があのテストにやられたのだから、俺も殺せんせーと一緒に英語と数学をあれ程勉強したのに、俺は少し泣きそうになった。テスト期間の時は寝る時間を削ってまで勉強したのに、その結果がこの惨敗だったのだから…

 

 

 暗い雰囲気の中…誰かが殺せんせーに向かってナイフを投げた。

 

 

「にゅや?!」

 

「いいの~?顔向けできなかったら、俺が殺しに来んのも見えないよ?」

 

 

 カルマが殺せんせーに向かってナイフを投げた?!ただカルマの表情を見るに恐らくテスト結果が良かったのだろう…俺もやってみたいなぁ

 

 

「カルマ君!今先生は落ちこんで…」

 

 

 そしてカルマは5教科のテスト用紙を教卓上に置いた。

 

 

「にゅう?」

 

「俺問題変わっても関係無いし!」

 

 

————————

赤羽業

各計点数 494点

186人中4位

————————

国語98点

数学100点

理科99点

社会99点

英語98点

————————

 

 

「うお…すげぇ…」

 

「数学100点かよ…」

 

「ヤバすぎ!」

 

 

 でも、これで4位って他の3人はどうなってんだよ。やっぱりこの中学頭おかしいわ。入る学校普通に間違えたかも。一位は浅野君だけど、他の2人は誰なんだろ?

 

 

「渚何点?」

 

「え?65点だけど…」

 

「すご…。俺は52点…」

 

「勇人!気にするなって!」

 

「磯貝…(お前は70点以上取ってるじゃねえか!)」

 

 

 磯貝…その笑顔は今はやめてほしい。

 

 

「俺の成績に合わせてさ。あんたが余計な範囲まで教えたからだよ。けど、俺はここ出る気無いよ?前のクラス戻るより、暗殺の方が全然楽しいし!で、どーすんのそっちは?全員50位に入んなかったって言い訳つけてここからシッポ巻いて逃げちゃうの?」

 

「…」

 

「それって結局さぁ…殺されんのが怖いだけなんじゃないの?」

 

「…うふ」

 

 

 殺せんせーの顔が少し赤色になった!

 

 

 片岡さんが前原の肩を叩いて、まるで「言ってやれ!」という表情を浮かべていた。

 

 

「なーんだ!殺せんせー怖かったのかぁ!」

 

「それなら正直に言えば良かったのに!」

 

「ね!「怖いから逃げたい」って!」

 

「そうそう!怖いって!」

 

 

 ボロクソに言われる殺せんせー。普通に可哀想だ。しかも顔がどんどん真っ赤になって『ムキムキ!』とか言ってるし。

 

 

「にゅやーーッ!逃げるわけありません!」

 

「へ〜。じゃあどうすんの?」

 

「決まってます!期末テストでアイツらに倍返しでリベンジです!」

 

 

「「「「「「あっははは!!!!」」」」」

 

 

「にゅや?!笑う所じゃないでしょう!全く!」

 

 

 中間テストで僕等はE組は壁にブチ当たった。E組を取り囲む分厚い壁に、それでも僕は心の中で胸を張った。自分がこのE組である事に!

 

 

「ところでさあ…勇人君?」

 

「何だよカルマ…」

 

「いつまで泣いてるの?」

 

「まず泣いてねえよ!俺も期末でリベンジだ!!」

 

「あはは!やっぱり勇人はそうじゃないと!」

 

「その顔腹立つは…」

 

 

 でも…ありがとう。カルマ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次回予告

 誰にでも共通する数学のテストの心得。それはケアレスミスなど、ないと言う事です。やり方は分かっていたけど、ケアレスミスで、なんて暗殺では通用しませんよ。カルマ君


次回・修学旅行の時間 1時間目

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