暗殺教室 もう一度立ち直ろう   作:補強と育成

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ふ、普久間島って何?沖縄じゃないの?




3年E組 夏休み編
島の時間


 

「いきなり!」

 

 

「「「「教えて!くぬど〜ん!!!!」」」」

 

 

「やあ!みんな!くぬどんだよ!」

 

 

「「「「くぬどん様!!!!」」」」

 

 

「椚ヶ丘中学校の成績優秀者達には、素晴らしい権利が理事長様から送られるんだ!」

 

 

「「「「利得権益!!!!」」」」

 

 

「南の島で過ごす、贅沢な夏期講習2泊3日」

 

 

「「「「公用旅券!!!!」」」」

 

 

「ホテルと提携している、サービスは全て学校側が全額負担!思う存分に自主勉強に励めます!」

 

 

「「「「酒池肉林!!!!わーい!!!!」」」」

 

 

「なっ?!E組の連中が行く、だと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピカ〜ン!!!!!!

 

 

「おい、みんな見ろよ!うじゃうじゃいるぜ!」

 

「いや〜!ちょっと無理かも…」

 

「そうね…、私も…」

 

「大丈夫だって、中村に速水。俺が教えるからさ!」

 

「え〜。本当に大丈夫なの?」

 

 

 夏休みも始まり、学校から解き放たれてフリーダム!…と思いきや。

 

 

「それで杉野?なんで僕達、学校に来てんのかな?」

 

「いやぁ…、悪いな渚。いい歳して、皆の前で昆虫採集とか恥ずかしいだろ?実は俺って街育ちだからさ、こういうのにずっと憧れてたんだ。カルマや菅谷が偶然虫が集まる木を見たって言っててさ、それで皆を誘ったのさ」

 

「なるほどね」

 

「けど、それにしても暑いわね…」

 

「あはは…。それはしゃーない」

 

「まっ、夏だしね」

 

「だね」

 

 

 夏休みが始まった次の日、渚達は旧校舎の裏山に集合していた。理由は裏山にいる、カブトムシなどの昆虫を捕まえる為だ。受験生にとって3年の夏休みはとても大事な時期だが、E組は一学期の間にある程度の基礎や知識はマスターしたから、7月の最初はゆっくりしても問題ないだろう。

 

メンバーは渚、杉野、前原、勇人の男性4人と中村、速水の女性2人。合わせて6人で裏山に集合した。

 

 

「しかし、昆虫嫌いの勇人と苦手な前原まで来るとは意外だったな、てっきり来ないと思ってたよ」

 

「ふっふっふ!次の暗殺は沖縄でやるわけじゃん?そうしたら、何か足らないと思わねーか?」

 

「え?何が?」

 

「杉野?前原が言ってる事が分からないのか?」

 

「いや勇人、何が足らないだよ?」

 

 

 なんだろう…、嫌な予感しかしない。きっと勇人と前原君の事だ、碌でもない事を考えているのだろう。

 

 渚は心の中でそう思っていた。

 

 

「「もちろん「金」だ!!」」

 

 

「か、金?!」

 

「やっぱり…」

 

「水着で泳ぐ、綺麗な「ちゃんねー」を落とす為には財力が不可欠!だよな、勇人!」

 

「そうさ!けど、こんな小ちゃいカブトじゃ、ダメだろうけど。オオクワガタ?あれとか「万」行くみたいじゃん!諭吉だ諭吉!」

 

「それ狙いなの?」

 

「当たり前だろ速水!ヤフ◯クに出して、大もうけ!最低でも高級ディナー代と、ご休憩場所の予算までは確保するんだ!行くぞ、勇人!」

 

「おうよ!沖縄の那覇で「ちゃんねー」が待っているぞ!」

 

 

 こうして前原と勇人の2人が裏山の奥深くに走り出してしまった。

 

 

「旅の目的忘れてねーか、あの2人」

 

「うん、15歳の旅行プランとは思えないよね…」

 

「それより凛香?ウチら行く所って沖縄じゃなくて、沖縄離島の「普久間島」だったよね?」

 

「そうよ。多分だけど、あの2人ちゃんと学校のパンフレット読んでなかったんじゃないのかしら?」

 

「え?!沖縄本土で暗殺じゃないの?!」

 

「うん、そうよ」

 

「渚?どうかしたの?」

 

「いや、中村さん何もないよ…」

 

 

 実はE組では全員分の学校パンフレットを貰う事が出来なかった為、一部の人が受け取り「それを他の人に見せるか」あるいは「口頭で内容を伝える」という2択を取っていた為、前原と勇人の2人はパンフレットを持っていた、渚に口頭で教えてもらった。その時に渚の口から「沖縄リゾート2泊3日らしいよ」と聞かされていたのだ。つまり渚は前原と勇人に嘘をついたのだ。パンフレットを見た時に、渚は沖縄離島リゾートの「離島」の文字をちゃんと見ておらず。「沖縄リゾート」と脳内解釈か認知バイアスで間違ってしまったのだろう。そしてパンフレットを見ていない前原と勇人はその事を知らない為、2人は沖縄本土に行くと思っているのだ。

 

 余談だが、中1中2の頃に渚が英文や単語の読み、などでケアレスミスや読み間違いが多かった理由は、恐らくこれらが原因だろう。父親が出て行き、情緒不安定の母親との2人暮らしが渚の脳や身体に相当負担をかけていた可能性がある。

 

 

「杉野、僕やったかも」

 

「え?なにやったんだよ」

 

 

 一方その頃

 

 

「ダメダメ!オオクワはもう古いよ〜」

 

「あれ?倉橋じゃん」

 

「おは~!皆も、おこづかい稼ぎ来たんだね!」

 

 

 なんと倉橋さんが、木の枝の上に乗っていた。さっきから居たのかなな?

 

 

「倉橋、オオクワがもう古いって、どういう事だ?」

 

「んっとね~」

 

 

 倉橋さんは、そう言いながら木の上から降りて来た。それと絶対蚊に刺されてると思うわ。この裏山じゃ、いくら虫除けスプレーかけてたとしても。

 

 

「私達が生まれた頃、つまり90年代後半から2000年代前半ら辺は、すごい値段だったらしいけどね。今は人工繁殖法が確立されちゃって、大量に出回りすぎて値崩れしたんだってさ」

 

「なっ、まさかのクワ大暴落か…」

 

「つまり、オオクワガタは20世紀の終わりと共に総崩れしたのか…」

 

「そう言う事!」

 

 

 俺はこれだけの為にどれだけの準備をした事か…全部水の泡となってしまうのか?それだけは絶対に嫌なんだけど。

 

 

「詳しいな倉橋。好きなのか昆虫?」

 

「うん!生き物は全部好き~!あっ、そうだ。せっかくこんなにも人数いるんだし、皆で捕まえようよ。多人数で数を揃えるのが確実だよ!」

 

「まっ、そうね」

 

「だね!」

 

 

 天真爛漫な倉橋さんは、クラスの中で生物の話題にめっぽう強い。ゲス方向に傾いてた前原君と勇人には心強い助っ人だ。

 

 

「それじゃ、みんなこっちに来て!既に準備してあるからさ!」

 

「…行くか」

 

「…だな」

 

「2人とも、なんかテンション低くない?」

 

 

 前原と勇人の2人が見た一瞬の夢。それは、いとも簡単に崩れ去ってしまったのだ。

 

 

「お、そこそこ引っかかったね」

 

「倉橋さん、何これ?」

 

「トラップ」

 

「いや、それは分かるけど」

 

 

 木に吊るされていたのは、倉橋さんが作ったトラップだ。カブトムシだけでなく、よく分からん昆虫も引っかかっていた。

 

 

「へぇー、これって倉橋が仕掛けておいたのか」

 

「うん。お手製のトラップだよ。昨日の夜に着けといたんだ。あと30ヶ所くらい仕掛けたから上手くすれば1人千円くらい稼げるよ〜!」

 

「おお〜、バイトとしてはまずまずか」

 

「金額が少ないですなぁ〜」

 

「そうですなぁ〜」

 

「2人とも、真面目にやってね?」

 

 

 そして次のトラップ先に皆で向かおうとしたら、また木の上に誰かいた。

 

 

「フッフッフッ、効率の悪いトラップだ。それでもお前らE組か?正直言ってガッカリだぜ」

 

「岡島!」

 

 

 木の上にいる人物は岡島だ。しかも周りを気にせずに、堂々とエロ本を見ている。普通に「家で見ろ」と思ったが、何やら様子がおかしい。これは何かやろうとしている様子だ。

 

 

「せこせこ千円稼いでる場合かよ。俺のトラップで狙うのは当然100億だ」

 

「100億って…、もしかして殺せんせーの事なの?」

 

「その通りだ、速水。沖縄の南国リゾート島で暗殺するって予定だから、あのタコもそれまでは油断するはず。それが俺の狙い目だ!」

 

 

 岡島はカッコつけながら木の上から降りて来ると、まさかの殺せんせー暗殺宣言だ。ただ岡島の言ってる事は正しい。殺せんせーがそれまで油断するかも知れないと言う予想は別に間違っていないだろう。岡島。お前はエロさえ無ければ、完璧の男かも知れない。俺はそう考えながら岡島の後を追い、一緒に草むらを掻き分けた後、その先に見えたモノは…

 

 

「オワン…ルイジ…ツイジ…エイズ…V2ロケット…」

 

 

 なんと殺せんせーがカブトムシのコスプレをしたいた。いや、あれは擬態かな?別にそれは良いのだが、何で擬態しながらエロ本を見てるんだ?しかも先生の足元には大量のエロ本があった。何してんのこの人…

 

 

「クックック、引っかかってる引っかかってる。俺の特製のエロ本トラップに」

 

「すげぇ…。スピード自慢の殺せんせーが微動だにせず見入ってるぞ」

 

「よっぽど好みのエロ本なのかな」

 

「マジサイテ…」

 

「てか、一体なんなんだ、あのカブトムシのコスプレは…」

 

「あれで擬態してるつもりか?嘆かわしい…」

 

「というより、あの顔は何よ」

 

「ピンク色ね」

 

 

 前原と杉野だけでなく中村と速水も怒涛のツッコミを入れた。まあ、言いたくなる気持ちはめちゃくちゃ分かるけど。

 

 

「どの裏山にも必ず存在するんだ。エロ本廃棄スポットがな…」

 

「廃棄って、普通に違法じゃん」

 

「それを言うな、中村。いいか?エロ本という男の夢を拾った子供が、大人になって本を買える齢になり、今度はそこに次の世代に夢を置いて行く…。終わらない夢を見る場所なんだ。山って言うのは!」

 

「岡島君、正直言ってガッカリだわ」

 

「そんな目で俺は見るな、速水。たが丁度いい!お前らも手伝えよ。俺達のエロの力で、殺せんせーに覚めない夢を見せてやろうぜ!」

 

 

 ああ…。パーティが致命的にゲスくなった。

 

 

「随分研究したんだぜ?アイツの好みをよ。俺だって買いたくても、買えないから頑張って拾い集めてな」

 

「ん?殺せんせーって巨乳なら、何でもいいんじゃないの?」

 

「現実ではそうだけどな。けど、エロ本は夢だ。人は誰しもそこに自分の理想を求める。お前もいつか分かるさ、渚」

 

「いや、そんな事分かりたくないよ」

 

「とにかく見てみろよ!写真も漫画も僅かな差で反応が全然違うんだ!」

 

 

 そう言って岡島は写真を見せてくれた。そしてその写真には…

 

 

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6/29

好みだった♥

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7/6

好みじゃなかった

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7/15

絵柄は好みだが

シチュエーションが

肌に合わなかった…

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 まあ、なんということでしょう。殺せんせーが毎日裏山でエロ本を読んでいるではありませんか。これは教育者としてあってはならない行動だ。後で理事長に報告だな。

 

 

「…すごいよ、岡島くん。1ヶ月間毎日、エロ本を入れ替えて、つぶさに反応を観察してる」

 

「ていうか、大の大人が1ヶ月連続で拾い読むなよ。ちゃんと給料貰ってるんだがら普通に買えよ。嘆かわしい…」

 

「ケチったんじゃないの?」

 

「エロ本をケチる奴は男じゃないな」

 

「分かるぜ、前原。俺も同じ気持ちだ」

 

 

 前原と岡島がガッチリ握手した。

 

 

「お前のトラップと同じだよ、倉橋。獲物が長時間夢中になる様に研究するだろ?」

 

「う、うん」

 

「俺はエロいさ。蔑む奴はそれでも結構」

 

「分かった」

 

「勇人…お前はダメだ」

 

「いや、なんで?!」

 

「でもな…。誰よりもエロい俺だから知ってるんだよ。エロは「世界を救える」って」

 

 

 そして岡島はエロ本に挟んであった、対先生用ゴムナイフをそっと取り出した。

 

 

「「「「「な、なんかカッコいい!?」」」」」

 

 

「俺は今日殺るぜ。エロ本の下に対先生弾を繋ぎ合わせたネットを仕込んだ。熱中している今なら「奴」は必ず掛かる。誰かこのロープを切って発動させろ。そしてこの俺が飛び出して止めを刺す!」

 

「じゃあ渚?お願い」

 

「う、うん」

 

 

 どんなものでも研ぎ澄ませば刃になる。岡島君のエロの刃が、殺せんせーを貫くかもしれない。

 

 

「なっ!」

 

「どうした、岡島」

 

 

 岡島が何かの異変に気付いた。そして勇人達も殺せんせーの方に目を向けた瞬間、それは起きた。

 

 

「みょーん!!!!!!」

 

「な、なんだ?」

 

「急に目がみょーんって」

 

「データに無いぞ、あの顔は!一体どんなエロを見た時だ!?」

 

「莉桜!凛香!双眼鏡は?!」

 

 

「「そんなものはない」」

 

 

「ニュルフフフフ!!見つけましたよっ!」

 

 

 モタモタしている間に殺せんせーがシュッと触手を伸ばし、木にいた何かを素早く捕まえた。

 

 

「ミヤマクワガタ。しかもこの目の色…!」

 

「は!」

 

 

 殺せんせーの独り言が俺達が隠れている所まで届くと、倉橋さんが興奮した様子で身を潜めていた茂みから急に飛び出してしまった。

 

 

「白なの、殺せんせー!?」

 

「おや、倉橋さん。ビンゴですよ」

 

「すっごーい!!探してた奴だ!」

 

「ええ。この山にも居たんですねぇ」

 

 

 ミヤマクワガタ。名前は聞いた事あるが実物は見た事がない。それに倉橋さんが、わざわざ目の色で白かどうかを確認しに行ったあたり、相当レアなカブトムシかも知れないな。

 

 

「あぁ…。あとちょっとだったのに〜」

 

「残念だったな、岡島」

 

 

「「わーい!わーい!わーい!」」

 

 

「なんで喜んでるのかさっぱりだが、巨大カブトと女子中学生がエロ本の上で飛び跳ねてるのは、すごい光景だな」

 

「暗殺失敗ね。これは」

 

「確かにそうね。それに今切ったら、倉橋さんも巻き込まれるしね」

 

 

 莉桜や凛香は既に、この暗殺は失敗したと思っている様だ。けど俺は違う考えをしていた。

 

 

「いや、今だ。今切るんだ!」

 

「え?!な、何で?」

 

「いいか渚。今殺せんせーは倉橋さんとエロ本の上で飛び跳ねてる。今切れば殺せんせーを殺れる!」

 

「けど、それだと速水さんが言った通り、倉橋さんも巻き込まれるよ。それに、こんな形で暗殺が成功しても…、僕は嬉しくないよ」

 

「渚…。ここは形に拘る必要がない場面だぞ。ここで切って一気に決めて来い」

 

 

 凛香や渚の言う通り。倉橋さんは100%巻き込まれるが、これは人類、そして地球の為だ。それに倉橋さんも死ぬ訳じゃない。怪我はするかも知れないが、殺せんせーの暗殺に成功すれば賞金100億で治療費ぐらい…、あっ

 

 

「分かった。切るよ」

 

「ごめん。やっぱりやめよう」

 

「え?」

 

 

 一瞬初期の寺坂みたいな考えが浮かんだが、直ぐに勇人はかつて殺せんせーから言われた言葉を思い出した。「他人を犠牲にしての暗殺は絶対にダメ」この言葉を破れば、殺せんせーは酷く悲しむだろう。そう考えていたら殺せんせーの方でも動きがあった。

 

 

「はっ?!チョーハズカシ…。チョーハズカシ…」

 

 

 どうやら殺せんせーは自分の現状に気付いたらしい。教師がエロ本の上で飛び跳ねる異様な光景を自分が作り出していることに。そしてそれを生徒に見られていた事に。

 

 

「いやぁ…実に面目無い。教育者としてあるまじき姿を…。本の下に大量の対先生用BB弾が仕掛けてある事は知ってましたが、どんどん先生好みになる本の誘惑に耐え切れず…!」

 

「普通にバレてた…!?」

 

「これ、どのみち失敗してるやんけ」

 

 

 ロープ切った所で普通に躱されてたな。

 

 

「で、どーゆうことよ倉橋?それってミヤマクワガタだろ?DSやスマホゲームとかじゃ、オオクワガタより全然安いぜ?」

 

「最近はミヤマの方が高い時の方が多いんだよ?まだ繁殖が難しいから。このサイズなら3万はいくかも」

 

「3万!?」

 

「それによーく目を見てください。本来黒いはずの目が白いでしょう」

 

「本当だ」

 

「マジじゃん」

 

 

 いや、目が白いクワガタは初めて見たわ。これ普通に3万超えるんじゃないの?

 

 

「生物の授業で「アルビノ個体」については教えましたね?」

 

「ああ、アルビノって確か、偶に全身真っ白で生まれて来るっていうやつでしょ?」

 

「その通りです。よく覚えてましたね、杉野君。クワガタのアルビノは目だけにでます。「ホワイトアイ」とも呼ばれ、天然ミヤマのホワイトアイはとんでもなく希少です。学術的価値すらある。売れば数十万は下らないでしょう」

 

 

「「「「「すう………!?」」」」」

 

 

「一度は見てみたいって殺せんせーに話したら、ズーム目で探してくれるって言ってたんだぁ〜!」

 

「ズーウ!ズーウ!」

 

 

 また殺せんせーがズーム目を行った。てか、これされたら遠くから狙撃したり軍隊みたいに茂みに擬態しても絶対バレるじゃん。

 

 

「ゲスなみんな〜!これ欲しい人、手ぇ上げて♪」

 

 

「「「「「欲しい!!!!!」」」」」

 

 

「あはは、どうしよっかなぁ〜!」

 

「あっ!捕まえたのは先生なんですから!?」

 

 

 こうして超レアクワガタを持って走り去って行く倉橋さんの後を男性陣は皆で追いかけて行った。

 

 

「全く、これだから男子は」

 

「凛香!私達も行こうよ!」

 

「えっ、ちょっと莉桜!」

 

「良いじゃん。せっかくだし、皆で楽しもうよ!」

 

「…分かった!」

 

 

 殺しに、エロに、いきものに。夏休みの学校も発見がいっぱい。南の島の暗殺旅行まで残り一週間だ。

 

 

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 南の島での暗殺旅行まで後1週間に迫った。僕達はその訓練と計画を詰めの為に旧校舎に集まっていた。

 

 

「まぁまぁ、ガキども。せっかくの夏休みだっていうのに汗水垂らしてご苦労なことね」

 

「ビッチ先生も座ってないで訓練しろよ。射撃やナイフは俺たちと大差ないだろーにさ」

 

「分かってないわね。よく聞くのよ三村。大人はずるいのよ?アンタ達の作戦に乗じてオイシイ所で根こそぎ持っていくわ」

 

 

 まるで峰不◯子じゃん。大体、大の大人が中学生にそんな事言うなよ。

 

 

「そんなんだから、ビッチ先生が生まれ育った、偉大な祖国であるソビエト連邦は崩壊したんだよ」

 

「ちょっと勇人!私はソ連出身じゃないって言ってるでしょ!」

 

「間違えた。ポーランド人民共和国か」

 

「ポーランドも違うわよ!それに私が生まれた頃にはとっくに冷戦時代は終わってるから、ソ連を初め欧州にあった社会主義国家は軒並み崩壊してるわよ!」

 

「冷戦終結後の世界は退屈ですなぁ」

 

「そうですなぁ」

 

 

 前原。お前冷戦時代の歴史には興味なかったろ。

 

 

「喋ってないで、早く射撃の訓練を続けなさい。この私が合格点を出すまでは、ずっと続けてもらうわよ」

 

 

 そんな事を言っていると、背後からビッチ先生に忍び寄る偉大なる影が一つ。

 

 

「ほほぅ。随分と偉くなったもんだな、イリーナ」

 

「ロ、ロヴロ師匠!?」

 

「夏休みの特別講師で来てもらった。皆が考えた作戦にプロの視点から助言をくれる」

 

 

 ビッチ先生の背後から現れた人の正体は、殺し屋ロヴロさんだ。どうやらわざわざ日本に来てくれたようだ。

 

 

「一日休めば指や腕は殺しを忘れる。落第が嫌ならさっさと着替えろ!このバカ弟子が!」

 

「へ、へい!喜んで!!」

 

 

 こうしてビッチ先生が勢いよく旧校舎に走り去っていった。

 

 

「ビッチ先生も、あの師匠には頭上がらねーみたいだなぁ」

 

「ああ、て言うか、あの人いかにも怖そうだしな」

 

 

 分かる。俺も始めてみた時は普通に怖かったわ。しかも職業が殺し屋とか言う、やべー職業だし。

 

 

「協力感謝する」

 

「別に構わないさ。だが、困った事も重なってな」

 

「困った事?」

 

「ああ、有望だった殺し屋達との連絡がつかなくなった」

 

「プロ達が次々と失敗している事を知って、怖じ気付いた?」

 

「かも知れんな」

 

 

 おそらく逃げた殺し屋達も暗殺に失敗したら自分の評価に傷がつく事を恐れたのか。それとも他の誰かに雇われたのか。多分このどっちかな?でも殺し屋になる人達が、そんな弱気な性格なのかな?それに誰かに雇われていた場合だと、一体誰に雇われたんだろ…。

 

 

「今は彼等に託すしかないだろうな」

 

「本当はプロがいてくれた方がよかったが、しょうがないな」

 

「それで、今日「奴」はここに居ないんだな?」

 

「ああ、兼ねてから予告通り、エベレストで避暑中だ」

 

「ならば良し。機密保持こそ暗殺の要だ」

 

 

 殺せんせーって今エベレストに居んの?あの人って、色んな国で好き勝手にやってるな。まあ、殺せんせーは人間じゃないし日本国籍もないから世界中のどの国に行っても不法入国にはならないと思うけど。

 

 

「それで、今回の作戦なんだが、まずは生徒が作成した作戦用紙を見てほしい」

 

「分かった」

 

 

 そして烏間先生はロヴロさんにプリントを手渡した。その後ロヴロさんは作戦用紙を数分間じっと見つめていた。

 

 

「なるほど。先に約束の8体の触手を破壊し、間髪入れずクラス全員で攻撃して奴を仕留める」

 

「どう思う?」

 

「悪くない。だが、この精神攻撃とはなんだ?」

 

 

 どうやらロヴロさんは、一番最初の項目にあった「精神攻撃」に疑問を浮かべたみたいだ。実際人間を殺す際は精神攻撃とか普通無いし、ロヴロさんが疑問に思う事はしょうがないだろう。

 

 

「まず動揺させて動きを鈍らせるです」

 

「動揺?」

 

「この前さ、殺せんせーエロ本拾い読みしてたんすよ。『クラスの皆さんには絶対に内緒ですよ』ってアイス一本配られたけど…、今どきアイス一本で口止め出来るわけねぇだろ!昭和じゃねーんだ!」

 

 

「「「「クラス全員で散々に弄ってやるぜ!」」」」

 

 

 前原の言葉に共鳴する寺坂組。

 

 

「他にも強請るネタはまだまだ沢山ありますから、まずはこれを使って追い込みます」

 

「恐ろしい中学生だ…」

 

 

 ロヴロさんもドン引きだ。だが、何人もの人間を暗殺して来たプロの殺し屋から「恐ろしい」と言わせるって事はそれだけ効果は間違いなくあると言う事だろう。

 

 

「だが、一番重要なのはトドメを刺す最後の射撃。正確なタイミングと精密な射撃が不可欠だが…」

 

「不安か?このクラスの射撃能力は」

 

「いいや、寧ろ逆だ。特にあの3人は素晴らしい」

 

「だろうな。俺もそう思う」

 

 

 ロヴロさんと烏間先生の目線は「ある3人」に向けられた。千葉龍之介、井上勇人、速水凛香の3人だ。

 

 

「千葉龍之介。彼は空間計算に長けている。遠距離射撃で1人並んでいるが、他の者で彼に並ぶものはいない狙撃手だろう。次に井上勇人。彼は空間計算に関しては終わっているが、長距離射撃では彼と上位を争う。おそらく生まれ持った才能としか言いようがないだろう。最後に速水凛香。彼女は手先の正確さと動体視力のバランスが良く。動く標的を仕留めることに優れた兵士だ」

 

「ほう。それは素晴らしいな」

 

「勇人君はあれだが、千葉君と速水さんは主張が強い性格ではなく、結果で語る仕事人タイプだ」

 

「ふーむ。俺の教え子に欲しいくらいだ。他の者も良いレベルに纏っている。短期間でよく見出し、よく育てたものだ。今の彼らなら充分に可能性がある」

 

 

 ロヴロさんはそう言い残して、不破さんや竹林などにアドバイスを送り始め、烏間先生は射撃の空き時間を待つ組や終わった組などを集め、ナイフ術の訓練を始めていた。

 

 

「…」

 

「渚!」

 

「あっ、茅野。どうしたの?」

 

「いや、それはこっちのセリフだよ。渚こそどうしたの?ぼーっとしてたけど」

 

「ああ、ちょっと気になる事があってね」

 

「気になる事?」

 

「うん」

 

 

 一つ聞きたい事がある。殺し屋の世界の事を知り尽くしている、この人に。けど、その前に…

 

 

「千葉君、速水さん。ちょっといい?」

 

「ん?渚か」

 

「どうしたの?」

 

「ちょっと勇人の事借りてもいいかな?」

 

 

「「え??」」

 

 

「渚。俺がどうかしたのか?」

 

「ロヴロさんに聞きたい事があるからさ。ちょっと勇人もついて来てよ」

 

「え?分かった。なら千葉、凛香。続きは、また後で」

 

「お、おう」

 

「うん。分かった」

 

 

 こうして勇人は狙撃組の2人と別れて、渚と一緒にロヴロさんの方に近づいて行った。

 

 

「ロヴロさん」

 

「…!(この少年)」

 

 

 呼び止められた時、ロヴロさんは渚の存在に気付かなかったのか、一瞬驚いたような表情を見せた。

 

 

「何だ?何か射撃の事で聞きたい事があるのか?」

 

「あっ!いえ!そう言うわけじゃ…」

 

「では、何だ?」

 

「その、1番優れた殺し屋ってどんな人ですか?」

 

「…」

 

 

 (よくよく見れば素質がある。フフフ…。それに…)

 

 

「あの?ロヴロさん?」

 

「もしかして興味があるのか?殺し屋の世界に」

 

「あっ、いや…、そういう訳じゃ…」

 

「そうだな…。俺が知ってる中で、最高の殺し屋。そう呼べるのはこの地球上にたった1人だ」

 

 

 ロヴロさんの雰囲気が変わった。それにロヴロさんが言う、地球上の中でたった1人の殺し屋…。

 

 

「この暗殺業界にはよくあることだが…。彼の本名は誰も知らない。ただ一言の仇名で呼ばれている。曰く「死神」と。神出鬼没、冷酷無比。夥しい数の屍を積み上げ「死」そのものと呼ばれるに至った男…。おそらく君達がこのまま奴の事を殺しあぐねているのなら…、いつか奴が姿を現すだろう」

 

「…」

 

 

 そんな人が…、いよいよ南の島のチャンスは逃せない!

 

 

「では、少年達よ。君らには「必殺技」を授けてやろう」

 

「ひ、ひっさつ…!?」

 

「え?自分もですが?」

 

「そうだ。君も十分に素質がある」

 

 

 いや、普通にプロの殺し屋の必殺技とか覚えたくないんだけど。だってここ日本よ?めちゃくちゃ平和で安全な国よ?

 

 

「では、プロの殺し屋が直接教える…。必殺技だ」

 

 

 そして、南の島の暗殺ツアーが幕を上げる。

 

 

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ザアッ〜!!ザアッ〜!!

 

 

 今日は遂に南の島暗殺ツアー当日。今はフェリーで目的地に向かっている最中だ。因みにフェリーの食堂で前原と沖縄に着いたら何して遊ぶかで話し合っていた。後渚と。

 

 

「いや〜!那覇に着いたら、まずどこ行くよ?」

 

「そら、やっぱり海だろ!」

 

「ん〜、海も良いけど、琉球の伝統文化も見たいかな?」

 

「あー。それも良いかもな〜!」

 

「渚!お前どこ行きたい?」

 

「あっ!えーっと…。ぼ、僕は…その…」

 

「?どうした?」

 

「い、いや!その…」

 

 

 渚の様子がめちゃくちゃおかしい。何か隠してない?明らかに行動が怪しいけど。

 

 

「勇人、夜中腹減らない?」

 

「確かに、腹減るなぁ」

 

「なんか、沖縄に美味いラーメン屋、あるらしいよ」

 

「あっ、行きてーな」

 

「だろ?」

 

「おう」

 

「じゃけん夜行きましょうね〜」

 

「おっ、そうだな」

 

 

 そんな「たわいもない」話をしていたら、遠くから誰かが走って来る音か近付いて来ると。

 

 

「お〜い!3人とも!もうすぐ島が見えるよ〜!」

 

「おお、倉橋!分かった!」

 

「それじゃ、そろそろ俺らもデッキに出るか!」

 

「だな!」

 

 

 音の正体は倉橋さんだ。わざわざ報告に来てくれたようだ。こうして俺と前原は席を立ってデッキに向かおうとしたが、何故が渚が席に座ったままだった。

 

 

「ほら渚?早くしろ」

 

「早くしろ〜!」

 

「う、うん(やばい)」

 

 

 そしてデッキに出たら殺せんせーが船酔いしていた。

 

 

「にゅゃぁ…。船はやばい。船はマジでやばい…。先生、頭の中身が全部まとめて飛び出そうです…」

 

 

——————————

殺せんせーの弱点❽

 

乗り物で酔う

——————————

 

 

「あ!起きて起きて!殺せんせー、見えて来たよ!」

 

「どれどれ…。おう…。本当ですね…」

 

 

 倉橋さんの声と共に俺と前原もデッキの外から見える島を見つめていた。夢の沖縄だ!那覇だ!と、思ったが…。な、は?何だあの小さい島は…。

 

 

「東京から6時間!」

 

「先生を殺す場所だぜ!」

 

 

「「「「島だぁぁぁ!!!!」」」」

 

 

 皆は物凄く喜んでいるが、勇人と前原の2人は喜びよりも困惑の方が大きかった。

 

 

「なぁ…。前原?沖縄ってあんな形なの?」

 

「いや…。あんなんだっけ?」

 

 

 勇人と前原の2人が島を見て呆然としていたら、そんな姿を見て不思議に思ったのか、磯貝がやって来た。

 

 

「どうしたんだ、2人とも?」

 

「いや、あの島なに?」

 

「え?何って…。「普久間島」に決まってるだろ」

 

 

「「え?!?!」」

 

 

「?!な、何で、そんなに驚いてるんだよ?!」

 

「ふ、普久間島って何?沖縄じゃないの?」

 

「それって、どう言う事だよ!まさか理事長の奴、俺らを嵌めやがったのか?!」

 

「お、おい!落ち着け2人とも!」

 

 

 勇人と前原が混乱しており、自分の危機を察知した、渚はパンフレットを開き見て見ぬ振りを行った。そして心の中でこう思っていた。

 

 

      (ま、まずい…)

 

 

「2人とも落ち着いて。まず理事長先生は私達の事を嵌めたりしてないわよ?それにちゃんとパンフレット見てないの?」

 

「片岡?パンフレットって?」

 

「やっぱり見てなかったのね…。良い?私達が今から行く場合は沖縄はじゃなくて、沖縄県の「離島」にある島「普久間島」よ?渚からちゃんと聞かなかったの?」

 

 

「「……」」

 

 

「おい渚」

 

「?!あ、はい」

 

「お前さっき、俺らが島を見ている時、チラチラ観てただろ」

 

「いや、見てないよ」

 

「嘘つけ、絶対見てたぞ」

 

「何で見る必要があるんですか?」

 

 

 言い返してくる渚。そんな渚に対して前原が渾身の一撃を喰らわした。

 

 

「あっ、お前さ、渚さ、倉橋から島が見えるって聞いた時にさ、なかなか呼んでも出て来なかったよな?」

 

「そうだよ」

 

「…い、いや、そんな事…」

 

 

「「見たけりゃ見せてやるよ」」

 

 

 こうして勇人と前原の2人は逃げる渚を捕まえた後、渚の手足を椅子にガッチリ結び付けて拘束し、3人で普久間島を無言で見つめていた。そして到着した。

 

 

「ようこそ、普久間島リゾートホテルへ。こちらサービスのトロピカルジュースでございます」

 

 

 ホテルウエイターが俺たち全員にサービスだと言って、トロピカルジュースをくれた。前原は飲んだが、俺は飲まなかった。渚も俺の様子を見て飲むのをやめてしまった。別に俺も前原も怒っていないが、渚の方はまだ責任を感じていたようだ。

 

 

「いや〜、最高!」

 

「ほんと、景色全部が鮮やかで明るいな〜」

 

 

 ご満悦な様子の三村と木村。

 

 

「ホテルから直行でビーチに行けるんですねぇ。様々なレジャーも用意してある様です」

 

「例のアレは夕飯の後にやる予定だからさ。それまでは、とことん遊ぼうぜ!殺せんせー」

 

「修学旅行の時みたいに班別で行動してさ」

 

「ヌルフフフフ、賛成です。よく遊び、よく殺す。それでこそ暗殺教室の夏休みです!」

 

 

 村松と吉田が巧妙に殺せんせーの事を誘い出した。そうだ、この島に来たのは遊びではなく、暗殺だ!

 

 

「それじゃあ、前原。また後で」

 

「おうよ、またな」

 

 

 こうして前原と磯貝がいる1班が殺せんせーを空中に誘い出すようだ。つまり「ハンググライダー」だ。

 

 

シュュウ!!!!

 

 

「ほーらほーら!当たる気配がありませんね!」

 

「ずりーよ、殺せんせー!」

 

「動力の性能が違いすぎ!」

 

「瞬間最大時速150km/hを観測しました」

 

「ヌルフフフフ、結局のところ戦闘機の性能はエンジンの差です」

 

 

 殺せんせーは舐めた表情を浮かべながら1班の攻撃を躱していたが、これはただの陽動だ。

 

 

「そんで誰だよ!そのコスプレ!?」

 

「堀越二郎です」

 

「それ中身の方!?」

 

「分かりずれーよ!」

 

「ご本人も飛ぶ方じゃなくて作る方!」

 

「いろいろ違和感あり過ぎ!」

 

 

 磯貝と前原の声は地上まで聞こえて来る。そんな俺達4班は今から海中に潜り海底調査だ。別に宝とかを発見するのではなく、暗殺の為の準備を行う為だ。

 

 

「うまい事やってんな〜、1班の陽動」

 

「やるもんだね~。ちゃんと暗殺も混ぜて、他の班に目が行かないようにしてる」

 

「次はウチの班に来る番だよ!やる事やってすぐに着替えないと!」

 

「おう!」

 

 

 こうして茅野は上に待機で海に潜るメンバーは勇人を始め渚、カルマ、杉野、そして何故か2班の中村さんの5人だ。てか何でいるんだろう?

 

 

「渚!行こう!」

 

「うん!」

 

 

 遊びに見せかけて、僕等は真剣だ。プラン通り暗殺が出来るかどうか、綿密に現地をチェックして回る。

 

 

「喝!」

 

「何ですか?先生、その模様は」

 

「日焼けしました。グライダーの先端部分だけ影になってて、それで君達4班はイルカを見るそうですねぇ」

 

「はい。船だけど、大丈夫ですか?」

 

「ご安心を…」

 

 

 こうして殺せんせーがとった行動は…

 

 

「オーライ!」

 

 

ドボン!!!

 

 

 何とイルカに擬態して、本物のイルカ達と一緒に泳いでいた。しかも野生のイルカも興奮気味に泳いでいる様子だった。

 

 

「何あれ…」

 

「そっとしときましょう」

 

 

 1つの班が殺せんせーと遊ぶ間に、他の班も着々と準備を進める。

 

 

「速水。殺せんせーの現在位置は?」

 

「確か3班と海底洞窟巡りしてる。こっちの様子は絶対に見えないよ」

 

「じゃあ、今なら射撃スポット選び放題だな」

 

「サクッと決めちゃいますか」

 

 

 千葉と速水の2人は黙々と射撃スポットを探し始めた。しかもスマホや地図を使わずに。

 

 

「シブいな。あの2人」

 

「もはや、仕事人の風格だ」

 

 

 菅谷と竹林の2人は、仕事人の千葉と速水の背中を見て、ある意味尊敬の眼差しで見つめていた。

 

 

「そう言えば、勇人は?」

 

「勇人は2班だから、私達とは別の班よ」

 

「いや、班の事じゃなくて、狙撃の事だよ。2人で狙撃よりも3人で狙撃した方が、正確じゃないか?」

 

「そう言う事ね。けど、勇人は触手を壊す権利を持ってるから、私達3人で狙撃を行うのは難しいと思う」

 

「そっか…。すっかり忘れてたよ」

 

「ただ…。千葉君が言ってる事は良く分かるわよ」

 

 

 どうやら2人は少し緊張しているのか分からないが、ちょっと不安そうな様子だ。一方場所は変わって浜辺のビーチだ。

 

 

「な、なに何よこれ。ビーチから人っ子ひとり、いなくなったわ」

 

「さっき帰ったのが最後の客だ。このホテルと辺り一帯はE組が貸し切った」

 

「余計な事すんじゃないわよ!せっかく着替えてきたのに意味がなくなったじゃない!」

 

「そう怒るな」

 

 

 今までにない大規模な暗殺計画。ここまでは完全に予定通りだ。あと残る心配は…。

 

 

「イリーナ」

 

「何よ」

 

 

ガバッ!

 

 

「え、ちょっ、何よ。随分と積極的じゃない。まさか2人きりだからってこのまま…」

 

「…」

 

 

 烏間先生はビッチ先生の事をお姫様抱っこした後、そのまま浜辺に向かって歩き出した。そしてビッチ先生は烏間先生の方から「来た」と思い、喜んだが…

 

 

ポイ!ドボーン!!!!

 

 

「何すんのよ!」

 

 

 そのまま海に向かって投げ飛ばした。

 

 

「イリーナ。お前に聞いておきたい。プロの殺し屋である、お前は言ったな。「仕事はプラン通り、行く事の方が少ない」と」

 

「ええそうよ。計画書見たけど、こんだけ複雑な計画だったら1つや、2つはどこかズレるわ。この私が遊んでるだけに見える?真剣に「おこぼれ」を狙ってるのよ。ガキ共の計画が破綻したら、この私にチャンスが回ってくる。もしそうなったら決して逃がさないようにね」

 

「…(無事に暗殺が終わると良いが…)」

 

 

 この時、烏間先生は不安と嫌な予感が同時に襲ってきた。おそらく本能的なものだろう。

 

 

「いやぁ、遊んだ遊んだ。お陰で真っ黒に焼けました」

 

 

「「「「「黒過ぎだろ!?」」」」」

 

 

「歯まで黒く焼けやがって…」

 

「もう表情が読み取れないよ…」

 

「もう日焼けっていう、レベルじゃねーぞ!」

 

 

 黒過ぎて何も見えねェ。これもう日焼けじゃなくて、黒く黒化してるじゃん。

 

 

「じゃ、殺せんせー。メシの後、暗殺なんで」

 

「はーい!まずは船上レストラン行きましょう!」

 

 

 磯貝を先頭に殺せんせーも一緒について行った。殺せんせーめちゃ満喫してるやん。

 

 

「どんだけ満喫してるんだ、あのタコ」

 

「こちとら楽しむフリして準備するの大変だったのによぉ」

 

「ま、今日殺せりゃさ、明日は思いっきり楽しめるじゃん」

 

「まーな。その為には今回くらい気合い入れて殺るとすっか。頼むぜ、勇人さんよ」

 

「俺?そっちこそ頼むよ、村松」

 

「任しとけ!」

 

 

 皆も愚痴が止まらない。でも吉田の言う通り、今日暗殺に成功したら明日は思いっきり楽しめそうだ。こうして俺も寺坂組の3人と共に船上レストランの中に入って行った。席は自分の好きな所に座って良いみたいだから、そのまま寺坂組の3人と座ろうと思っていたが。

 

 

「勇人!こっちこっち!」

 

「茅野?」

 

「みんな待ってるよ!」

 

「え?あっ」

 

 

 俺がふと横を見ると既に渚やカルマを始め、4班の皆が俺の席を準備してくれてたみたいだ。めちゃくちゃ嬉しかったので、俺もすぐに席に座った。因みに隣は右側が渚で左側が杉野だった。後カルマが俺の席にブーブークッションを置いていたが、それは海に投げ捨てた。

 

 ※食事が終わった後、2人で回収した。

 

 

「夕飯はこの貸し切り船上レストランで、東シナ海の海を堪能しながら、ゆっくり食べましょう」

 

「なるほど。先生をたっぷり船に酔わせて戦力を削ごうという訳ですか」

 

「当然です。これも暗殺の基本ですから」

 

「実に正しい。ですが、そう上手く行くでしょうか?暗殺を前に気合いの乗った先生にとって船酔いなど恐るるに——」

 

 

「「「「「だから黒いよ!!!!!」」」」」

 

 

「え?そんなに黒いですか?」

 

「表情どころか前も後ろも分からないわ」

 

「ややこしいから、本当なんとかしてよそれ」

 

「ニュルフフフフ!!お忘れですか?皆さん。先生には脱皮があることを…!黒い皮を脱ぎ捨てれば…」

 

 

シュバア!!!

 

 

「ほら、元通り」

 

「あ、月一回の脱皮だ」

 

「え?今したの?」

 

 

 不破さんの声が聞こえてきたので、一旦食べる手を止めて俺は殺せんせーの方を見たら何と「脱皮」をしていた。いや、これから暗殺なのに…。

 

 

「こんな使い方もあるんですよ。本来は「ヤバい時の奥の手」ですが…。あっ…。あぁぁぁ!!!!」

 

 

 殺せんせー!まさかの自滅!

 

 

「バッカでー。暗殺前に自分から戦力減らしてやんの…」

 

「どうしてこんなドジを未だに殺せないんだろう…」

 

 

 この日の為に、夏休みに入って密かに特訓してきた。仕込みも万全。今度こそ、殺せんせーにこの刃を届かせるんだ。

 

 

「勇人君。私のハンバーク食べる?」

 

「え?良いの?!」

 

「うん。私そんなにお腹空いてないから」

 

「ありがとう、神崎さん!」

 

 

 神崎さん。バチくそ優しい。それとハンバークを俺の皿に移してくれた時の神崎さんの顔はめちゃくちゃ天使の顔だった。

 

 

「…」

 

「杉野?欲しいの?」

 

「え、いや〜?まぁ、でも?勇人がそんなに入らないって言うなら別に食べてやっても良いけど?」

 

「いや、俺は食べれるよ」

 

「は?!」

 

「なに?」

 

「いや〜?別に〜?」

 

 

( ( ( ( (杉野…、これ食べたいパターンだ…) ) ) ) )

 

 

「分かったよ。それじゃあ、神崎さんがくれたハンバーク半分やるよ」

 

「マジか?!サンキュー、心の友よ!」

 

 

 そして食べ終わって船上レストランから出たら、普通に殺せんせーが船酔いしていた。おそらく食べ過ぎの原因もあるだろ。

 

 

「ふにゅう…。ふにゅう…」

 

「さぁて、殺せんせー。飯の後は「いよいよ」だ」

 

「会場はこちらですぜ」

 

 

 前原と菅谷の2人が殺せんせーを先導する。その場所とは…。

 

 

「こ、これは…」

 

「このホテルの離れにある、水上チャペルです」

 

 

 そう、水上チャペルだ。このチャペルはE組全員で協力して対殺せんせー用の暗殺スペースに改良を行った。因みに暗殺が終わった後の修理は国が負担してくれるらしい。

 

 

「さ、席に着けよ、殺せんせー!」

 

「ここなら、逃げ場はありません」

 

「それでは楽しい暗殺!」

 

「まずは映画鑑賞から始めようぜ」

 

「殺せんせー。楽しみましょう」

 

 

 皆は準備満タンだ。今日決める。この暗殺が成功すれば地球は助かる。つまり人類を始め、あらゆる生物も助かるのだ。失敗は許されない。たとえどんな事が起きても…。

 

 

「君達の知恵と工夫と本気の努力。それを見るのが先生の何よりの楽しみです。全力の暗殺を期待しています!」

 

 

 こうして南の島での殺せんせーの暗殺が始まった。

 

 

 

 

 

 





次回予告

 外国産のカブトムシやクワガタムシが1999年に輸入が解禁されて以来国内で多く流通するようになりました。これらが野外に放たれると、在来種が絶滅する事があります。実際、2003年に北海道でアトラスオオカブトムシが見つかっていますよ、倉橋さん。


次回・決行の時間

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