うるさい…
この話は俺がE組行きになる前の話…
俺は幼稚園の頃からの幼馴染が1人この学校に在籍している。ただ彼女は昔から感情表現が苦手なのか分からないが、常にポーカーフェイスみたいな感じだ。
「あ!速水さん!これお願いね!」
「うん…」
「それが終わったらこっちもお願いね!」
「分かった…」
速水は相変わらず、他の生徒から雑用を押し付けられていた。しかも本人は全く断る素振りも見せていない。
「速水?手伝おうか?」
「勇人、なら少しお願い」
「OK!」
俺はそのまま速水から段ボール箱を2つを受け取り、一緒に図書室に向けて歩いていった。
「俺が手伝わなかったら1人で運んでいたのか?」
「うん。多分ね」
「そう…でもこれって速水の担当じゃなくない?」
「本当は私じゃないけど、頼まれたから…」
「速水って小学生の頃からずっとこんな感じじゃない?」
「…」
「嫌なら嫌って言わないと」
「勇人だって言えてないくせに」
「えーっと…」
「私だって好きでやってるわけじゃないよ」
「え?ならどうして?」
「ただ…その…」
速水は無口で大人しい。だから本当は嫌でもそれを顔に出したり、口に出したりする事はあんまりない。俺も幼稚園からの付き合いだが、本音で話してくれるようになったのは小学校高学年になってからだ。
「断ったら嫌われるかなって思って…」
「え?いっつもそんな風に考えていたの?」
「うん…」
「クラスが違うから、速水がいっつもどんな感じで過ごしているのかは分からないけど、最近はずっとこんな感じなの?」
「そうよ。最近は事あるごとに全部私に押し付けてくることが多いの、だから成績がちょっと…」
「うん!俺も最近成績がヤバい!」
「ドヤ顔で言う事じゃないわよ…」
「いや、実際かなりまずい。このままだと俺E…」
「それ以上は言わないで!」
「ごめん…」
この時速水から強い口調で言われてしまった。おそらく速水もこのままだとE組に落ちる可能性があるのだろう。後、久し振りに強い口調で言われた気がする。
「私だってこのままじゃまずい事だって理解してる。ただ…」
「ただ…断れないって事だろ?」
「…」
「速水、俺から言われてもイラッとするだけかも知れないけど、そのままの性格をずっと続けていたら、もっと酷い事されなるかも知れないぞ?」
「もう…されてるわよ」
「…」
この後はお互いに口を開く事は無く、ただ2人の足音だけが廊下に響いていた。
「あ、図書室ってここよね?」
「そうよ、ありがとね。勇人」
「良いって!」
ガラガラ…
そのまま俺が図書室の扉を開けると中に居たのは…
「おや?君らは確か…D組の井上君とC組の速水さんだよね?」
「え?もしかして浅野君?」
「私達のクラスと名前知ってるんですね」
「当然じゃないか!僕は来年からこの学校の生徒会長を務める事になっているのだからね」
俺と速水の目の前にいる人物は学校1の秀才…その名は「浅野学秀」頭脳明晰であり、とても同い年とは思えない人物だ。
「それで2人は何しに図書室に来たのかな?」
「えーっとこの…」
「新しい本が送られて来たので、それを持って来ただけです」
俺が答える前に速水が先に答えてしまった。それもはっきりと
「ほう、それは立派な事だ。それじゃあその段ボール箱はそこの机に置いといて構わない、もう時間も遅いし君達も早く帰宅する事だな」
「は…分かりました」
「はい」
「何か気になる事でも?」
「いや、浅野君はなんで1人で図書室に居るのかなって思って」
「ただの点検さ…」
「なるほど。それじゃあこの段ボール箱はここに置いときますね!」
「あぁ構わない、さっきも言ったがもう時間も遅いから、早く帰宅する事だな」
「それじゃあ失礼します」
「失礼します」
俺と速水は浅野君に指定された机に段ボール箱を置くと、そのまま図書室を出たのだが、扉を閉める時に、浅野君が段ボール箱を速攻に開けている所が見えた。
「多分、浅野君本が来るの待っていたかもね」
「え?どうしてそう思うの?」
「いや…さっき扉閉める時、浅野君が段ボール箱開けているの見えたから」
「そうなんだ、気になる本でもあったのかな?」
「多分」
この後はお互いたわいもない話を続けながら駅まで向かって行った。
「勇人、今日はありがとね」
「良いよ別に」
「私も少しは変われるように努力するよ」
「おう!頑張れ速水。俺も勉強頑張るからさ」
「うん…それじゃあまた明日」
「また明日!」
俺と速水はそのままお互いにの帰る道に別れた。そしてそのまま学校ですれ違う事も殆どなく、あの場所で再開した。
時は3月…
E組に落ちた生徒には春休みと言うものはない。
「E組って、こんな山奥にあるのかよ…」
「あ…」
「え…速水?」
「勇人…その…これからよろしく」
速水もE組に落ちていた…