暗殺教室 もう一度立ち直ろう   作:補強と育成

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単刀直入に言おう…君達でこの怪物を殺してほしい!




3年E組・1学期編
暗殺の時間


 俺がエンドのE組に落ちてから約3週間が経過した。俺は再び本校舎に戻れるように努力をする事を決意していたのだが、ある日栄に急変した。

 

 

そして今は4月…

 

 

 クラスには暗黙の空気が流れており、誰も一言も喋らない。

 

 

その時…

 

 

ズドン!!!!!!

 

 

 学校の外から何かが、落ちて来た音が聞こえて来て教室の窓は激しく揺れていた。

 

 

グチョ…グチョ…

 

 

 廊下から聞こえてくる足音。その音は段々と教室に近づいてくる。

この時、俺を含めて何人かが固唾を呑んでいた。

 

 

そして…

 

 

ガラガラ…

 

 

 古びた木製の扉を開けて、入って来たのは黄色いタコみたいなモンスター。

 

 

「えー。それでは、HRホームルームを始めます。日直の人は号令を」

 

「…き、起立!」

 

 

ガシャ!ガシャ!ガシャ!ガシャ!

 

 

 日直である渚の号令により、一斉にみんなは席から立ち上がり、黄色いタコみたいなモンスターに向かって銃を向けた。

 

そして…

 

 

「気をつけ…礼!」

 

 

バババババババ!!!!!!!

 

 

 その掛け声と共に一斉にみんなは銃を発砲した。

 

 

「おはようございます。発砲したままで結構ですので、出欠を取ります。磯貝君」

 

「はい…」

 

「すいませんが銃声の中なので、大きな声で!」

 

「はい!」

 

「井上君」

 

「はい」

 

「聞こえませんね…もっと大きな声で!」

 

「はい!!!」

 

「良い声ですね♪では次に岡島君」

 

「はい!」

 

「岡野さん」

 

「はい!」

 

「奥田さん」

 

「はい!」

 

「片岡さん」

 

「はい!」

 

「茅野さん」

 

「はい!」

 

「神崎さん」

 

「はい!」

 

etc…

 

 

 みんなはずっと銃を撃ち続けているが、一向に当たる気配がない。ヤバい手が疲れて来た…そう考えながら銃を撃っていたらあっという間に出欠確認が終わった。

 

 

「はい…遅刻無し…と。素晴らしい!先生とても嬉しいです!」

 

 

 出欠確認が終わったら、黄色いタコみたいなモンスターは顔に赤丸を出していた。

 

 

「早すぎ…」

 

「クラス一斉射撃でもダメなのかよ…」

 

「これもう…無理じゃん…」

 

 

 僕等は殺し屋。僕等のターゲットは先生。

 

 

「残念ですねぇ…今日も命中弾ゼロです。数に頼る戦術は個々の思考を疎かにする。目線、銃口の向き、指の動き、一人一人が単純過ぎます。もっと工夫しましょう。でないと…最高時速「マッハ20」の先生は殺せませんよ」

 

「いや…って言うかさぁ…本当に全部避けてんのかよ先生!」

 

「どう見てもこれただのBB弾だろ?当たってるのにガマンしてるだけじゃないの?」

 

 

 クラスメイトの前原と杉野が文句を言うと、他の生徒からも不満の声が噴出した。俺は渚の後ろの席に座ってる為、渚の肩を掴みながら先生に文句を言った…

 

 

「そうだそうだ!」

 

「勇人…肩痛い…」

 

 

 渚はそう言っているが、顔は嫌そうではなかった。

 

 

「ふーん…では、弾をこめて渡しなさい」

 

 

 そう言って岡野さんから銃を受け取った。

 

 

「言ったでしょう。この弾は君達にとっては無害ですが…」

 

 

ドン!

 

 

「「「「「「「あ!!!!」」」」」」」

 

 

 その音と共に先生の触手は吹き飛んだ、俺も含めてクラス全員が驚いていた。

 

 

「国連が開発した対先生用特殊弾です。当たれば先生の細胞を豆腐のように破壊出来る。ああ、勿論数秒あれば再生しますが」

 

 

ドシュ!!

 

 

 そう言うとあっという間に、再び触手が生えて来た。

 

 

「だが、君達も目に入ると危ない。先生を殺す以外の目的で室内での発砲はしないように!殺せるといいですねぇ…卒業までに」

 

 

 そう言うと先生の顔に緑色が出現した。確かこの黄色の顔に緑が出た時は舐めている証拠だったはず。

 

 

 舐められているな…

 

 

「さぁ!銃と弾を片付けましょう。授業を始めます」

 

 

「「「「「「は〜い……」」」」」」

 

 

 そう言われたので、俺を初めてクラスメイト全員で散らばったBB弾の回収作業を行なった。

 

 

 椚ヶ丘中学校3ーEは暗殺教室。始業のベルが今日も鳴る。

 

 

 

       「ヌルフフフ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい!ここで問題です。磯貝君?」

 

「は、はい」

 

「この4本の触手の内、仲間外れは?」

 

「えーっと…青い触手」

 

「正解!」

 

 

 磯貝が問題に正解したら、先生は触手を上に挙げて顔に赤丸をつけていた。

 

 

「青の例文のwhoだけが、関係詞です!関係代名詞は…」

 

「ねぇ渚、勇人」

 

「うん?」

 

「茅野?どうかしたの?」

 

「昼間だけど、出てるね。三日月」

 

「本当だ…綺麗だなぁ」

 

 

 俺は教室の窓から見える三日月を見て取り敢えずそう答えたが…

 

 

「勇人…絶対そんな事思ってないでしょ…」

 

「速水!?聞こえてたの?」

 

「当たり前じゃない。席が隣なんだから…」

 

 

「「あはは…」」

 

 

 渚と茅野の2人は苦笑いを浮かべていた…

 

 

 何で僕らがこんな状態になったのか、3年生の初め僕らは2つの事件に同時にあった。一つ目はその日突然月が爆発して三日月型になってしまった事、そして二つ目の事件がこれ…

 

 

「初めまして。私が月を爆った犯人です」

 

 

「「「「「「は??????」」」」」」

 

 

「来年には地球も爆る予定です。君達の担任になったのでどうぞよろしく」

 

 

( ( ( ( ( ( (まず5、6箇所突っ込ませろ!) ) ) ) ) ) )

 

 

 クラス全員そう思った…

 

 

「あぁ…防衛省の烏間と言う者だ。まずは此処からの話は国家機密だと言う事を理解していただきたい」

 

 

 防衛省?!まじかよ…俺は黄色いタコみたいなモンスターも驚いたが、隣に立ってる人が防衛省の人間である事にも驚きを隠せなかった!

 

 

「単刀直入に言う…この怪物を君達に殺して欲しい!」

 

 

 烏間さんがそう言うとクラス全員が困惑した…

 

 

「えっと…なんすかぁ…そいつ攻めて来た宇宙人か何かですか?」

 

「なぁ!失礼な!生まれも育ちも地球ですよ!」

 

 

 クラスメイトの三村が確認したら黄色いタコみたいなモンスターはその場で地団駄していた。

 

 

「地球?」

 

「あれで?」

 

「詳しい事は話せないのは申し訳ないが、こいつが言った事は真実だ。月を壊したこの生物は来年の3月…地球を破壊する」

 

 

 え…月の軌道が変わらなかった事に喜んでいたのに、今度は地球を破壊するのね。俺は顔から冷や汗が出てきた。

 

 

「この事を知っているのは各国の首脳だけ。こいつの存在が公になれば世界はパニックに陥るだろう。そうなる前に秘密裏にこいつを殺さねばならない。つまり…「暗殺」だ!だがコイツはとにかく早い!殺すどころが眉毛の手入れをされている始末だ…丁寧にな!」

 

 

 烏間さんは喋りながらナイフを振っているが、黄色いタコみたいなモンスターの動きが早すぎて、こっちにまでかなりの強風が襲ってくる…

 

 

「満月を三日月に変えてしまう程のパワーを持つ超生物だ。最高速度は「マッハ20」つまりコイツが本気で逃げれば、我々は滅亡の時まで手も足も出ない」

 

 

 烏間さんがそう言うと、今度は黄色いタコみたいなモンスターが喋り出した。

 

 

「まぁ…それでは面白くないのでね。私から国連に提案したんです。殺されるのはゴメンですが、椚ヶ丘中学校3年E組の担任ならやっても良いと」

 

 

(いや何で?!)

 

 

「こいつの狙いは分からん。しかし我々政府は君達生徒に危害を加えない事を条件に、薮なく承諾した。理由は二つある。一つは教師として毎日この教室に来るのなら監視が出来る。そして二つ目は、30人者人間が至近距離でこいつを殺すチャンスが巡って来る!」

 

 

ドン!

 

パキュウ!

 

 

「中村さん?暗殺は勉強の妨げにならない時にと言ったはずです!」

 

「すみません…」

 

「罰として後ろに立って受講しなさい!」

 

 

 中村さんは不意を突いて銃を撃ったのだが、チョークで止められてしまった。

 

 

「なら…井上と一緒にでも大丈夫ですか?」

 

「え?」

 

「何故井上君なのですか?」

 

「実は…井上からの命令なんです」

 

「?!」

 

「にゅや!井上君!罰として君も立って受講しなさい!」

 

「中村さん…」

 

「井上!気にしない!気にしない!」

 

 

 俺は中村さんから道連れにされてしまい、大人しく2人で後ろに立って受講した。

 

 

 何でこんな怪物がウチの担任に?どうして僕等が暗殺なんか…そんな声はこの条件で掻き消えた。

 

 

「成功報酬は「100億円」」

 

 

「「「「「「なぁ!!!!」」」」」

 

 

 この時クラス全員が目を大きく開けて困惑した…

 

 

「当然の額だ。暗殺の成功は冗談抜きで地球を救う事なのだから、幸いの事にこいつは君達の事を舐めている。見ろ!緑の縞々になった時は舐めている顔だ!」

 

 

(どんな皮膚だ…)

 

 

「同然でしょう。世界中の「軍隊」が殺れない私を、君達中学生が殺れる訳がない」

 

 

(え?!世界中の軍隊?!)

 

 

「イギリス軍の戦闘機に襲われた時も…」

 

 

ピピ!

 

ダダダ!!!!

 

 

シュバアア!!!!

 

 

キュウ!!キュウ!!

 

 

「逆に空中でワックスをかけてやりましたよ!」

 

 

(だからなぜ手入れする!?)

 

 

「イギリス軍だけではなく、ドイツ軍やフランス軍、そしてロシア軍やイタリア軍などの戦闘機にも襲われましたが、これも「全て」空中でワックスをかけてやりましたよ」

 

 

(だからなぜ手入れをする!?)

 

 

 どうやらヨーロッパの各国が協力して襲い掛かったそうだが、全て返り討ちにされてしまったようだ。

 

 

「君達には、舐めているコイツのスキをあわよくば突いてもらいたい。我々人間には無害で、コイツには効果がある武器と弾を支給する。君達の家族や友人には絶対に秘密だ。とにかく時間がない!地球が破壊されたら、逃げる場所など何処にもない」

 

 

 確かに…地球が消えたら、この太陽系で他に人間が生身で住める惑星は一つもないしね…

 

 

「そう言う事です。さぁ!みなさん。残された1年を有意義に過ごしましょう!」

 

 

キーンコーンカーンコーン!

 

 

「お?昼休みですね。先生ちょっと中国行って麻婆豆腐食べて来ます。あぁ!暗殺希望者がもしいれば、携帯で呼んでください」

 

 

シュバアア!!!!!

 

 

 そう言ってあっという間に空の彼方へと飛んでいってしまった…

 

 

「えーっとマッハ20だから…」

 

「麻婆の本場四川省まで10分くらい」

 

「確かにあんなもんミサイルでも落とせんわな」

 

「どんな軍隊でも無理でしょうね…」

 

 

 クラスメイトはもう慣れてしまった…

 

 

「しかもあのタコ。音速飛行中にテストの採点までしてるんだぜ?」

 

「マジで!?」

 

「俺なんかイラスト付きで返ってきた…」

 

「まじか!磯貝、俺も一緒!」

 

「勇人もか…」

 

「てかあいつ何気に教えるの上手くない?」

 

「わかる〜!放課後に数学教わって、次のテストの点良かったもん!」

 

 

 なお、倉橋さんは暗殺には失敗した模様…

 

 

「ま、でもさぁ…所詮俺らE組だしな」

 

「頑張っても仕方ないけど」

 

 

 三村がそう言った瞬間、岡島もそれに追随するような感じで言った為、クラスの雰囲気がめちゃくちゃ暗くなった…

 

 三村!岡島!何やってんだよ!

 

 

「勇人?」

 

「速水?どうかしたの?」

 

「いや…お昼ご飯食べないの?」

 

「食べようと思ったけど、クラスの雰囲気がちょっと暗かったから…」

 

「しょうがないよ…私達「エンドのE組」なんだし」

 

「え?」

 

 

 俺は速水の口から出てきた言葉に驚いてしまった。まさか速水みたいな性格の人でもそんな言葉が出て来るなんて…

 

 

「勇人?」

 

「いや大丈夫…ちょっと速水の弁当が美味しそうに見えたから…」

 

「…」

 

「速水?」

 

「その…食べたい物があるんだったら…ちょっとぐらい大丈夫だけど…」

 

「え?良いの?」

 

「ただ、勇人の弁当の中と交換だけどね」

 

「はい…」

 

 

 俺はそのまま速水の弁当の中に入っているハンバーグをとって、代わりに卵焼きを3つ速水の弁当に移した。

 

 

「ねぇ…」

 

「ん?」

 

「ハンバーグをまとめて持って行くのは流石に酷くない?」

 

「でもその代わりに卵焼き3つ!」

 

「いや、そもそも勇人の弁当にハンバーグ1つ入っているじゃない!」

 

「いや!これでダブルハンバーグ」

 

「分かったわよ。今回はそれで良いわ」

 

「ありがとう!速水!」

 

 

 俺はそのまま速水と喋りながら弁当を食べていると。

 

 

「おい渚!」

 

「ん?」

 

「ちょっと付き合えよ。暗殺の計画進めようぜ!」

 

「うん…」

 

 

 渚が寺坂達に絡まれていた。

 

 

「寺坂?この後暗殺でもするの?」

 

「あぁ?見りゃわかるだろ」

 

「え?」

 

「まぁ!5時間目楽しみにしとけよ!」

 

「勇人お前驚くなよ!」

 

「成功したら勇人にも分けてやるよ!」

 

「そんなに自信あるの?」

 

 

 俺は寺坂以外にも吉田と村松の2人も顔に自信の表情を浮かべていたから少し驚いてしまった。

 

 

「あぁ…俺達が考えた中で1番成功する確率が高い奴だよ!」

 

「まじか!なら期待してるよ!」

 

「おう!とにかく5時間楽しみにしとけよ!」

 

 

 寺坂はそう言い残して吉田や村松、更に渚を連れて教室から出て行った。

 

 

「速水はどう思う?」

 

「…」

 

「速水?」

 

「さぁ、多分失敗するんじゃない?」

 

「お前…真顔で言うなよ…」

 

 

 速水は相変わらずポーカーフェイスだ。その後は杉野とプロ野球の話で盛り上がっていたら、渚が帰って来た。

 

 

「渚!お帰り!」

 

「勇人…」

 

「うん?どうかしたの?」

 

「今日…あの先生を殺せるかもしれない…」

 

「え?それってどう言う…」

 

「だってこの先生にも、僕の姿は見えてないから…」

 

「…」

 

 

 渚の目が怖い…何かあったのかな?俺は深く考える事をやめて午後の授業の準備を始めた。

 

 

数十分前…

 

 

 渚は寺坂達に連れられて旧校舎の裏側にいた。つまり校庭がある方だ。

 

 

「あのタコ。機嫌によって顔の色が変わるだろ?観索しとけって言ったやつ、ちゃんとできてるか?」

 

「一応出来てるけど」

 

「分かった。なら言ってみろ」

 

「うん、余裕な時は緑の縞々なのは覚えてるよね?生徒の解答が間違ってたら「暗い紫」が出て、正解だったら「明るい朱色」が出る」

 

 

 単純に❌か⭕️と言う事だ。

 

 

「面白いのは昼休みの後で…」

 

「俺は知らなくて、いーんだよ」

 

「え?」

 

 

 寺坂はそう言うと渚の元まで詰め寄り、渚の顔に対先生用ナイフを向けて、こう言い放った。

 

 

「作戦がある。あのタコが一番「油断」してる時に、お前が殺りに行け」

 

「ぼ、僕が…でも…」

 

「いい子ぶってんじゃねーよ!俺等はE組だ。進学校で有名な椚ヶ丘中学のレベルに、ついてけなかった脱落組…通称「エンドのE組」毎日山の上の隔離校舎まで通わされて、あらゆる面でカスみたいに差別される。いいか渚。落ちこぼれの俺等が百億円稼ぐチャンスなんて、この先、一生回ってこねぇぞ。その為には脱け出すんだよ。このクソみてえな状況から、たとえ…どんな手を使ってもな!」

 

 

 寺坂はそう言いながら、自分のポケットから取り出した、小さい袋に入っている「ある物」を渚に渡した。

 

 

「しくじんなよ!渚君」

 

「…」

 

 

 寺坂は渚に「ある物を」渡した後「しくじるな」と警告を出して、そのまま吉田と村松の2人を連れて、旧校舎の中へと戻っていった。

 

 

「…」

 

 

 残された渚は袋を見つめながら、自分がE組行きのプリントをもらった時の事を思い出していた。

 

 

 渚のE組行きが決まった時。クラスの皆んなは…

 

 

「渚の奴、E組行きだってよ」

 

「聞いた!聞いた!」

 

「うっわ…終わったな、アイツ」

 

「俺、あいつのアドレス消すわ」

 

「俺も!同じレベルと思われたくないし」

 

 

 心無い言葉だ。とても中学生が言う言葉とは思えないほどだ。

 

 

「…」

 

 

 渚が気を落としていた時…

 

 

プワアアアアアアア!!!

 

 

「?」

 

 

 猛スピードこちらに「何かが」向かってくる音が聞こえてきた。渚が気づく頃には、その正体が到着した。

 

 

ドサアアアアアアア!!!!!!

 

 

「うわ?!」

 

「只今帰りました」

 

「お、お帰り…先生。い、一体どうしたの?その大量のミサイル…」

 

「これですか?お土産ですよ。日本海で自衛隊だけでなく、アメリカ軍や中国軍、更に韓国軍やモンゴル軍までもが、待ち伏せしていましたので」

 

 

 殺せんせーの触手には、5カ国の戦闘機から発射されたミサイルを持っていた。全部で10発だ!

 

 

「た、大変ですね。ターゲットだと」

 

「いえいえ!皆から狙われるのは、力を持つ者の証ですから!」

 

「!」

 

「さ、5時間目を始めますよ」

 

「はい…」

 

 

 先生には分からないよね。皆んなから暗殺のターゲットにされるって事は、裏返せば皆に力を認められているって事だ。分からないよね…そんな化け物に。期待も警戒もされなくなった、認識さえ、されない人間の気持ちなんて…

 

 

ドクン!

 

 

「お前のお陰で俺の評価まで落とされたよ」

 

 

ドクン!

 

 

「唯一良かったのは、もう…お前の顔を二度と見ずに済むことだ」

 

 

ドクン!

 

 

「…」

 

 

 渚は寺坂に渡された袋の紐を強く握り閉まると、こう思った。

 

 

 殺せるかもしれない…だって、この先生にも僕の姿は見えてないから…

 

 

 そして5時間目の国語の授業が始まった。

 

 

「はい!それでは、お題に添って短歌を作ってみましょう。ラスト七文字を「触手なりけり」で締めてください。」

 

 

「「「「「「「は????」」」」」」」

 

 

 俺を含めてクラス全員の頭の上には「?」が浮かんだ。

 

 

「触手なりけりですか?」

 

「そうです神崎さん!書けた人は先生のところへ持って来なさい。チェックするのは文法の正しさと、触手を美しく表現出来たか。

 

 

例文です!

 

花さそふ、嵐の庭の雪ならで、

 

はえゆくものは、触手なりけり」

 

 

意味

鮮やかに映え、力強く生きていく生命とは、

 

庭の桜を散らす花吹雪などではなく、

 

触手だったのだなぁ。

 

 

「触手だったのだなぁ…」

 

「出来た者から今日は帰ってよし!」

 

 

「「「「「え〜!!!!!」」」」」

 

 

「そんなの思い付かないよ!」

 

 

 クラスからは軽い文句が出ていた。勿論俺も「え〜」っと叫んだ。

 

 

「ほーらほーら!ヌルヌルと思い付きませんか?ほら、ヌルヌルヌルヌルヌルヌルヌルヌル!!!!」

 

「ヌルヌルうるせ!」

 

「先生しつもーん」

 

「…? 何ですか茅野さん?」

 

「今更だけどさあ、先生の名前なんて言うの?」

 

「にゅう?」

 

「他の先生と区別する時不便だよ」

 

「名前…ですか?」

 

「そう言えば…」

 

「名乗ってないね」

 

「う〜ん…名乗るような名前はありませんねぇ。なんなら皆さんでつけてください」

 

「付けていいんだ…」

 

「なら!「大量破壊兵器先生」はどうでしょう!」

 

 

「「「「勇人/井上…それはない…」」」」

 

 

 俺は普通にクラスのみんなから支持を得られなかった…

 

 

「にゅや!井上君!その名前は酷いですよ!」

 

「じゃあ…ブッ◯ュ大統領」

 

「おい勇人!お前のネーミングセンス悪すぎるだろ!」

 

 

「「「「「「あははは!!!!」」」」」」

 

 

 磯貝がそう突っ込むと、クラス中から笑い声が上がっており、隣を見たら速水も笑顔で笑っていた。速水…お前も笑うんだな…この時俺は密かにそう思った。

 

 

「みなさん!今は課題に集中ですよ!」

 

 

「「「「「はーい」」」」」

 

 

「では、その間は先生ちょっと一休みを…」

 

 

 先生はそう言うと、顔が薄いピンク色になってぐっすりしていた。

 

 

「…」

 

 

ガタン…

 

 

「え?」

 

「お?もう出来ましたか、渚君」

 

「渚?もう出来たの?」

 

「…うん」

 

「マジか!ならちょっと見ても…」

 

「勇人、危ないから僕の後ろに居て…」

 

「え?」

 

 

 渚…どうしたん?俺はそう思っていたが、ふと見えたのは対先生用ゴムナイフだった。そして

 

 

シュウ!ガシ!

 

 

「言ったでしょう。もっと工夫を…」

 

 

ガバ!

 

 

「にゅう?」

 

「え…」

 

 

渚がそのまま殺せんせーに抱きついた。

 

 

(認めさせなきゃ…どんな手を使っても…)

 

 

「にゅや?!」

 

「手榴弾?!」

 

 

バアン!!!!

 

 

 その音と共に大量の対先生用BB弾が勢いよくクラス全体に飛び散った。

 

 

「しゃあ!」

 

「やったぜ!」

 

「100億頂!」

 

 

 寺坂を始め吉田や村松がガッツポーズをしながら教卓に向かって走って行った、

 

 

「渚…」

 

「勇人…」

 

「寺坂!」

 

「何やったんだ!」

 

 

 茅野と速水は余りの衝撃で困惑しており、磯貝と前原は怪訝な顔を浮かべながら寺坂達に言葉を浴びせた。

 

 

「こいつも自爆テロは予想してなかったろ!!」

 

「ちょっと!渚に何持たせたのよ!」

 

「あ?オモチャの手榴弾だよ。ただし、火薬を使って威力を上げてる。三百発の対先生弾がすげぇ速さで飛び散るように」

 

「なっ…」

 

「おい寺坂!渚と勇人も巻き込まれたぞ!」

 

「お前ら!渚と勇人に何かあったらどうするんだよ!」

 

「ごちゃごちゃうるせいよ!人間が死ぬ威力じゃねいから。俺の百億で2人分の治療費ぐらい…あん?」

 

 

 そう言って渚と勇人の事を確認しようとしたが…

 

 

「無傷?火傷ひとつもおってねぇのか?それに何だこれ?タコの死体から…」

 

「実は先生…月に一度程、脱皮をします。脱いだ皮を渚君と勇人君に被せて2人を守りました…月イチで使える先生の奥の手です」

 

 

 先生は教室の天井に張り付いており、その顔は黒く…まるでスター◯ォーズに出てくるモンスターみたいだった…

 

 

「寺坂、吉田、村松、首謀者は…君ら3人だな…」

 

「えっ、いっ、いや…」

 

「渚が勝手に…」

 

 

シュバアアア!!!!!!

 

 

 寺坂達がそう言った瞬間、先生は「マッハ20」で教室から出て行くとあっという間に白い袋に「何か」を入れて戻って来た。

 

 

コロンコロン…

 

 

「あ…」

 

「ひぃ…」

 

「俺らん家の表札…」

 

「政府との契約ですから。先生は決して君達に危害は加えない…が、次また同じ様な方法で暗殺をして来たら、君達以外には何をするかわかりませんよ…家族や友人…いや、君達以外を地球ごと消しますかねぇ」

 

 

 5秒間で皆悟った。地球の裏でも逃げれないと。どうしても逃げたければ、この先生を殺すしかないと。

 

 

「何なんだよねめぇ…迷惑なんだよぉ!いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか…迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだよぉ!」

 

 

 寺坂を始めクラスみんなが恐怖で体が震えて震えていた…俺も余りの恐怖で体が動かなかった…

 

 

「迷惑?とんでもない。君達のアイディア自体はすごく良かった。特に渚君?君の肉迫までの自然な体運びは百点です!先生は見事に隙を突かれました」

 

 

 渚の頭と何故か俺の頭にも先生が触手で撫でてくれた。

 

 

「ただし!寺坂君達は渚君を、渚君は自分を大切にしなかった。それにすぐ近くに勇人君が居たにも関わらず渚君は行動を起こし、寺坂君は爆弾のスイッチを押した。そんな生徒に暗殺する資格はありません!人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君達全員それが出来る力を秘めた有能なアサシンだ。ターゲットである先生からのアドバイスです」

 

 

 マッハ20で怒られて、畝る触手で褒められた。この異常な教育が僕は普通に嬉しかった。この異常な先生は僕らの事を正面から見てくれたから。

 

 

「…」

 

「ん?」

 

 

 黄色いタコのモンスターは教卓から出ている焦げ跡を見つめていた。恐らく先程の手榴弾から出て火薬かな?

 

 

「…」

 

 

 

 

 

「あなたの…あなたの時間をくれるのなら…あの子達を教えてあげて…」

 

「…」

 

「なんて素敵な触手…この手なら…きっとあなたは…素敵な教師に…」

 

 

 

 

 

「…」

 

 

プシュ…

 

 

 黄色いタコは焦げ跡を触手で潰すと渚と勇人に語りかけて来た。

 

 

「…さて、問題です。渚君に勇人君。先生は殺される気など微塵もない。皆さんと来年3月までエンジョイしてから地球を爆破です。それが嫌なら君達はどうしますか?」

 

「…」

 

「え…」

 

 

 暗殺なんてした事ないし、僕らには他にすべき事がたくさんある。けど思った。この先生なら殺意すら受け止めてくれると。

 

 

「地球が滅ぼされるその前に、先生を殺します」

 

「自分も渚と同じ答えです」

 

 

 渚と俺がそう言うと、先生の顔には緑の縞々模様が出来ていた。

 

 

「ヌルフフフ!ならば今殺ってみなさい!殺せた者から今日は帰って良し!」

 

 

「「「「「えーー?!?!?!?!」」」」」」

 

 

「簡単に?!」

 

「殺せる訳ねぇだろ!」

 

「無理に決まってるだろ!」

 

 

 先生がそう言った瞬間クラス中から不満の声は噴出した。

 

 

「勇人…ごめんね?」

 

「良いって渚!早く席に着こうぜ!」

 

「うん!」

 

 

 僕らは殺し屋。ターゲットは先生。

 

 

「殺せない先生…か、殺せない…殺せない…ころ…あ!「殺・せ・ん・せー」は?」

 

「殺せんせー?」

 

「良いんじゃない?」

 

「にゅや?」

 

 

 この瞬間黄色い先生の名前は「殺せんせー」に決定した。

 

 

 殺せんせーと僕等の暗殺教室。始業のベルは明日もなる!

 

 

 

 

 

 





次回予告

 日本文化を代表する定型紙といえば俳句と短歌ですね。俳句は「575」の17文字。短歌は「57577」の合計31文字です。渚君。季語を入れる決まりがあるのは俳句の方ですよ。


次回・野球の時間


席順         教卓

    片岡 前原 岡野 磯貝 倉橋 木村
    茅野 潮田 中村 三村 矢田 竹林
    不破 井上 速水 岡島 神崎 吉田
    原  杉野 奥田 千葉 狭間 村松
       菅谷          寺坂


今作の主人公の席は渚の後ろ


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