偽。【チ。現パロ二次創作小説】   作:すう

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偽。2〜放課後教会活劇 1

 朝。

 まだ日の登り切らないうちにシュミットは窓を開ける。

 低い位置から差し込む朝の光を、真正面から受け止める。

 理由は分からない。ただ、こうしなければ一日が始まらない気がするのだ。

 隣でドゥラカが眠そうな顔をしながら、同じように光を浴びている。

「毎日よくやりますね」

「日課だからな」

「記憶はなくても、この習慣は同じなんだ」

 ドゥラカの独り言に、首を傾げる。

 この子は時々、不思議なことを言う。

 多感な時期というのは、こういうものなのか。

 シュミットは、一人納得した。

 

 朝食は必ず三人揃って摂る。

 ここは、以前住んでいた家よりもひとまわり小さな家。

 以前の家は任務のための仮住まいだったため、新たに探して引っ越した。

 南向きの大きな窓が、気に入った。

 三人で住むにはちょうど良い広さの家だ。

「おはようございます。では、今日の予定は?」

 朝食の席で、ヨレンタがこう聞くのが日課だ。

「ちなみに私は、午前中職場に出て、午後からは在宅勤務です」

「先日の事件の後処理と、調査に向かう。定時に必ず帰る」

 シュミットが、簡潔に報告する。

「よろしい」

 ヨレンタが頷く。

 なんか、会社の朝礼みたいだな。

 ドゥラカが密かに思う。

 シュミットとヨレンタの薬指には、新しい指輪がはめられていた。

 しかし、式は挙げていない。

「では、ドゥラカさん」

 指名され、思わず片手を挙げる。

「ええと、今日は学校のあと、調べ学習の課題が出るので、家に友達を呼んでもいいですか?」

「いいじゃないか、どんな子らなんだ?」

「ええと、レヴァンドロフスキはうるさいやつで、フライは暗いやつです」

「……」

 雑な上に酷い紹介だった。

 しかし、シュミットが黙った理由はそちらではなかったらしい。

「待て、男の子……なのか?」

「はい」

 シュミットが何やら逡巡している。考えた末に、もう一度口を開く。

「……それは、男の子が来る、と言うことか?」

「だからそう言ってるじゃないですか……」

 それ以降、シュミットが黙り込んでしまった。ドゥラカはヨレンタと目を合わせ、肩をすくめた。

 彼らは、まだ家族初心者である。

 

 放課後。

 四人が家に集まった。

「てか、なんでいんだよラファウ!」

 レヴァンドロフスキが声を荒げる。

「いやだな、友達じゃないか」

 ラファウは隣の一組の生徒だ。

 頬杖をついたラファウを横目に、フライがドゥラカに耳打ちする。

「……グループになる時、誰も組みたがらなかったらしい」

「ぼっちなんだ可哀想」

「可哀想じゃない。フベルト先生も僕は一人で出来るって言ってくださった!」

「じゃあ一人でやれよ」

「寂しいじゃないかぁ」

 わちゃわちゃし出したドゥラカの部屋のドアがノックされる。

「勉強はすすんでる?」

 顔を出したのはヨレンタだ。手にはジュースの入った盆を持っている。

「あざす、組織長《ボス》!」

「お邪魔してます、組織長《ボス》」

 レヴァンドロフスキとフライの言葉に、ラファウが首を傾げる。

「なんで、ボス?」

 ヨレンタもよくわからない顔で微笑んでいる。

「面白いお友達ね」

 ドゥラカは曖昧に笑いながら、ジュースを受け取る。

 そこでドゥラカは今回出された課題について、ヨレンタが何か知らないかに思い至る。

 街に残る古いものを探して、その歴史を調べよう。

 グループで協力し、レポートにまとめるのが今回の課題である。

 レヴァンドロフスキが「どうせなら俺たちは一番古いものを調べようぜ」などと縛りをつけたせいで、課題の難易度が上がってしまったのだ。

「ヨレンタさん、この町で一番古いところって、どこですか?」

 ドゥラカの問いに、ヨレンタは思いつく場所の心当たりを挙げていく。

「そうね……病院、図書館、あと、教会はずっと昔からあるって聞いたことがあるわね」

「教会?」

「ああ、街の外れにある、小さな教会ですね。寂れててもう使われてないのかと思ってました」

 フライに心当たりがあるようだった。

「最近、新しい神父さんが来られているそうよ。お話聞けるんじゃないかしら」

「詳しいですね。ボス」

 ラファウがレヴァンドロフスキたちの口調を真似る。

「まあ……仕事柄ね」

 ふふ、と意味ありげに微笑むヨレンタに、ドゥラカの背筋に寒いものが走る。

「よっしゃ!じゃあゼンは急げってばあちゃんも言ってた。話聞きにいこうぜ」

 レヴァンドロフスキがジュースを飲み干し、勢いよく立ち上がる。

「ええ、今から?」

「俺たちの足ならすぐだって。逃げないうちに急ごうぜ」

「逃げないでしょ……」

 ドゥラカたちは机に広げられた筆記用具を鞄に押し込み、慌てて立ち上がる。

「行ってらっしゃい」

「行って来ます。夕方には帰りますから」

「お邪魔しました!」

 レヴァンドロフスキが嵐のように走って出ていくのを、追いかける。

 ヨレンタはニコニコしながら後ろ姿を見送った。

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