空向剣伝説外伝: RTA Any%怪異譚~勇者は十五回(くらい)4ぬ   作:nocomimi

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リンク、溶岩にもう一度自ら突っ込んで4ぬ

リンクは、気が付くとスカイロフトに降り立っていた。

 

これで何度目だろう。彼は平行世界のスカイロフトに出現したのだ。

 

彼は走り始めた。

 

今度は、川を跨ぐ橋を渡り、商人の家に駆けこんだ。

 

商人というのは、モールで各種の物品を売っている、裏表の激しいあの男だ。

 

精いっぱいの愛想笑いを浮かべているが、リンクが立ち去ろうとすると露骨に不機嫌な顔になる、あの男。

 

とはいえ、リンクは、彼と話をするために来たのではない。

 

何と彼は、その家のベッドにゴロンと寝ころんだのだ。

 

これまでも常識に照らして疑問符のつきそうな行動の多かった彼だが、

 

とうとう羞恥心というものを捨て去ったらしい。

 

そして、彼は日が暮れるまでそこで寝ていた。

 

余談だが、昼に寝床に入って目が覚めたら日が暮れていたときの罪悪感といったらない。

 

だが、このリンクにとってはそれさえもどうでもよいことのようだ。

 

リンクはムクッと起き上がると扉を開けて住人に礼も言わず出ていった。

 

そして彼は裏手の墓地に走り込むと、そこにあった墓石に剣で斬りつけたうえ、それを押してずらした。

 

まったく、墓を荒すことまでするとは、どこまで常識がないのだろう、この少年は。

 

* * * * * * * * * * * * 

 

ところが次の瞬間、リンクは『大地の神殿』の入り口にいた。

 

実は彼は、上記のような非常識な行動をしながらも『大地の神殿の前で冒険を再開したい』と念じたのだ。

 

念じたとおり、神殿の前に現れた少年。

 

この神殿は溶岩の川が流れ、手強い魔物たちが巣くうと噂されるダンジョンだ。

 

しかも、その扉は固く鎖を掛けられ、錠前で封じられており、

 

その鍵は、どこに埋められているかもわからない..........はずだった。

 

しかも、噂によれば鍵そのものが5つに分割され、バラバラの場所に埋められているという..............はずだった。

 

だが、このリンクにはそんなことは一切関係がなかった。

 

彼は当たり前のように正面扉を開け、ダンジョンに足を踏み入れた。

 

侵入者を拒むダンジョンのギミックがまるで『なかったこと』にされてしまったかのように。

 

* * * * * * * * * * * * * * * * 

 

階段を降りてダンジョンに侵入したリンク。

 

彼は、通路を疾走した。

 

最初に差し掛かった溶岩の川を、飛び石を伝って素早く飛び越える。

 

すると、その先には溶岩で隔てられた間隙があり、向こう岸にはそれを渡るための跳ね橋が跳ね上げられていた。

 

跳ね橋を固定する仕組みを解くためには、2か所のロープを切断しなければならない。

 

リンクは剣を天に向け掲げ、次にそれを振り下ろした。光の筋が飛ぶ。いわゆる「スカイウォードストライク」だ。

 

彼はそれを使って手際よくロープを切断していき、橋を解放して渡り、その向こうにあった戸口の手前に立った。

 

戸口の先を覗くと、フロアの先はまたしても溶岩の川。幅は広く、跳躍して渡ることはできなさそうだ。

 

しかも、そこには待ち受けていた者がいた。

 

「マスター、前方に魔物の気配を感じます。かなり身体能力の高い敵だと推測」

 

ファイがわざわざ警告してきた。

 

そう。そこに潜んでいたのはリザルフォス。蜥蜴系の人型魔物。

 

片腕につけた籠手を利用した防御が堅く、敏捷で、攻撃力も強い。

 

「大丈夫。戦わないから」

 

「えっ...............」

 

リンクの答えにファイは驚いた。

 

「戦わないって....でも、マスターは勇者ですよね?」

 

「そうだっけ?ま、どっちでもいいけど」

 

「いえ、マスターは選ばれし勇者です。勇者は魔物と戦うものです」

 

「面倒くさいのはスキップでいいじゃないか」

 

「良くありません。それに、勇者が戦うのは民が魔物に怯えて暮らさず済むように、という意味もあります」

 

「民なんて平行世界に行ったらいなくなるんだし、関係ないとおもうけどな」

 

「平行世界を持ち出さないでください、マスター」

 

口論は決着しない。

 

.......だが戸口を抜けたリンクは魔物の前を素早く素通りすると、

 

溶岩の流れの向こう岸に向けてスカイウォードストライクを放った。

 

すると、それはそこらに生えていた爆弾花に当たり爆発を引き起こした。すると、ちょうど溶岩流に半分沈んでいた石像から巨大な目玉の部分が外れてこちらに転がってきた。

 

リザルフォスは、いつ攻撃してやろうかと中腰になって待ち構えていたが、

 

リンクは転がってきた石の球に飛び乗ると、器用に玉乗りしながら行ってしまった。

 

後に残されたのは可哀そうなリザルフォスだ。彼は思った。

 

―オ......オレ、何のためにここで待ってたんだろ?勇者を倒すためだよな?―

 

リザルフォスは、決して雑魚ではない。*1

 

それなのに、戦うことすら許されず、素通りされたのである。

 

勇者を倒すどころか、討ち死にする名誉すら許されず、

 

単なる『背景』として扱われたのである。

 

彼は、その後自分の存在価値について1週間くらいは問い直すことになったに違いない。*2

 

ところが.......である。

 

こうしてリザルフォスを素通りし向こう岸に着いたリンクは、

 

そこにあった鳥の彫像の前で祈りを捧げると、

 

なんと溶岩の川に飛び込んだのである。

 

「アチャチャチャチャチャッ!」

 

叫びながらも彼の意識は薄れていった。

 

だが、彼は意識を失う寸前に唱えた。

 

「リ........リセット.....」と。

 

* * * * * * * * * * * * * * * * 

 

リンクは、気が付くとスカイロフトに降り立っていた。

 

本当にこれで何度目だろう。平行世界のスカイロフトに出現したのは。

 

彼は走り、川を跨ぐ橋を渡って商人の家に駆けこんだ。

 

リンクは、その家のベッドにゴロンと寝ころんだ。靴も脱がずにである。

 

もはや「勝手知ったる他人の家」とはこのことだ。

 

そして、彼は日が暮れるまでそこで寝ていた。

 

やがてリンクはムクッと起き上がると扉を開けて住人に礼も言わず出ていった。

 

そして彼は裏手の墓地に走り込むと、そこにあった墓石に剣で斬りつけたうえ、それを押してずらした。

 

墓で遊ぶのが気に入ったのだろうか。くれぐれも良い子は真似しないように。

 

* * * * * * * * * * * * * * 

 

ところがである。

 

その瞬間、再び彼はダンジョン内部に戻っていた。リザルフォスをスルーして渡った先のフロアの上だ。

 

やはり、平行世界のスカイロフトで狼藉を働きつつも、『ダンジョンの冒険を再開したい』と念じたのだ。

 

彼の前方には、ダンジョン最奥部に続く戸口に至る通路がある。

 

だが、それは高い段差によって阻まれていた。

 

するとリンクは、何を思ったか近くを流れる溶岩の川に飛び込んだのである。

 

「アチャチャチャッ!」

 

叫びながらも彼の意識は薄れていった。

 

だが、彼が唱えたのはいつもの「リセット」ではなく「コンティニュー」だった。

 

* * * * * * * * * * * * * * * * 

 

するとどうだろう。彼が再び意識を取り戻し、顔を上げたとき、

 

通路の先にあった段差が、綺麗に階段状になっていた。

 

そう、平行世界のスカイロフトで取った彼の行動が、思わぬ場所に影響を与えたのである。

 

リンクは階段を駆け上り、戸口を抜け、突き当りの扉を開けて向こう側に出た。

 

その先の坂道を駆け登り、時として上から転がってくる岩のトラップを避けると、

 

とうとう最奥部の部屋の扉の前に出た。重厚な扉には鍵がかかっている。

 

彼は最奥部の部屋にはまだ入らず、左手の階段を登った。そして長い坂道を登り詰め、そこにあった箱から鍵を回収すると、坂を下り始めた。

 

ここでお決まりのゴロゴロ転がる巨石のトラップが発動するが、リンクは慣れたもの。

 

素早く走って退避し、重々しい扉を解錠して中に入った。

 

こうして、彼は『大地の神殿』の最奥部に入っていった。

 

果たしてこの少年の次なる犠牲者....

 

じゃなかった、敵は誰なのか。

 

皆さまには、刮目してお待ちいただきたい。

 

(次回に続く)




*1 筆者の個人的な感想です。ちょこちょこ動き回るし、なんかやりにくい相手という記憶が............。
*2 だが、もはや彼が日の目を見ることは二度となかった。ていうか、このままこの冒険譚(怪異譚)が終わるまで、彼は登場することはないのである。ま、天望の神殿のスタルフォスよりかはマシか.....。
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