焼けた空の英雄、教師になる(非常勤)   作:ラス夢

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お手に取って頂き、誠にありがとうございます。
筆者です。

こちらの作品、どういったものかと言いますと…

自己満で今まで書き溜めていた、『AC6のラスティがブルアカ世界に転生したらどうなるか』を自己解釈モリモリにした小説

になります。
多少、解釈が公式様と違ったり勘違いしていることもあるでしょうが、お手柔らかにお願い致します。

長くなりましたが、以下本編でございます。
お楽しみください。


プロローグ『鋼鉄の終端 赤い意志』

それは…止めるための戦闘だった。

 

私は理解していた。

この戦いに、勝利条件はない。

 

あるのは、

「止められるか」

「止められずに終わるか」

その二つだけだ。

 

警告音が、断続的に鳴り続ける。

装甲破損。

推進系応答低下。

冷却限界。

 

スティールヘイズ・オルトゥスは、すでに設計上の限界を超えていた。

 

だがそれでも、私は前に出る。

 

視界の中央に映るのは戦友の機体。

 

かつては同じ空を飛び、同じ任務をこなし、背中を預け合った存在。

 

だが今そこにいるのは、

止まらない選択をした存在だった。

 

「……ここで止まるんだ、戦友」

 

通信は返らない。

それでも言葉にする。

それが、最後まで“友である”ための行為だと知っているからだ。

 

ブースター点火。

スティールヘイズが咆哮を上げ、

無理やり距離を詰める。

 

回避。

迎撃。

弾幕。

 

一瞬の判断遅れが即死に繋がる領域。

私は、それを理解したまま突っ込んだ。

 

止めるために。

破壊するためではない。

 

だが――

決定的な一撃。

 

衝撃がコックピットを貫く。

警告音が、“致命”を告げる色に変わる。

 

「……そうか」

 

短く息を吐く。

 

敗北。

否定する余地は、なかった。

 

機体が崩れていく。

装甲が剥がれ、内部構造が露出し、

スティールヘイズは自分の空を駆け回ることさえ叶わなくなる。

 

それでも、操縦桿を離さない。

 

「……届かなかったか、戦友…

……あとは…」

 

頼む

 

それが戦友に向けた最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間。

赤い光が、視界を満たした。

 

機体のジェネレータによる爆発ではない。

炎でもない。

 

この赤い輝きは何か、私はよく知っていた。

コーラル特有の、粒子とも霧ともつかない赤い輝き。

 

それが機体の外側から――

いや、内側から溢れ出す。

 

警告音が一斉に沈黙した。

時間が引き延ばされる。

 

音が消え、

重さが消え、

世界が“待っている”ような感覚。

 

その赤い光の中で、何者かの意志が

確かに存在していた。

 

声ではない。

言葉でもない。

 

だが、意味だけが直接流れ込んでくる。

 

――まだ、終わらせるべきではない。

 

――止める役目は、別の場所にある。

 

私は抵抗しなかった。

理解できなかったが、拒絶もしなかった。

 

(……そうか)

 

赤い光がさらに濃くなる。

機体の感触が変わっていく。

 

重心が違う。

反応が違う。

 

(……オルトゥス、ではない…これは…)

 

その認識だけを残して意識が落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に目を覚ました時。

そこは静寂だった。

 

警告音はない。

敵影もない。

どこかの格納庫に私は大の字で寝転んでいた。

 

目の前に立つ機体。

濃い青の装甲。

無駄のないフレーム。

 

――スティールヘイズ

 

オルトゥスではない。

アーキバスへ潜入活動中の相棒であり、

身体の一部のように扱っていた機体。

 

「……」

 

理由は、分からない。

だが、選ばれたのだという感覚だけが残る。

 

格納庫の外。

空は高く、戦場の匂いがしない。

代わりに遠くに見えるのは、巨大な壁。

 

理由の分からない境界。

守るためなのか、

閉じ込めるためなのか。

 

(……境界、か)

 

この世界は静かすぎる。

 

だが、完全に安全でもない。

 

何かが、意図的に隠されている。

それだけは確信できた。

 

この時の私はまだ知らなかった。

 

なぜ、この世界なのか。

なぜ、あの赤い光が自分をここへ送ったのか。

 

そんな中ただ一つ、

はっきりしていることがある。

 

止めるために戦う世界は、終わった。

 

ここは、壊さないために立つ世界だ。

 

私はゆっくりと立ち上がり、静かに息を整え、

かつての相棒と共に新しい世界へ足を踏み出した。

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