筆者です。
始めに、投稿が遅れ申し訳ありません。
体調を崩し画面の前に座る時間が取れなかったため、
投稿が遅れた次第であります。
投稿が遅れた分、本話は若干長尺にしております。
私なりの誠意とさせてください。
以下、物語に戻ります。
※
最近、ラスティ先生は変わった。
……いや、
正確には"変わってない"。
声も立ち姿も、業の進め方も。
全部、前と同じ。
それなのに…
距離だけが、前よりも遠い。
目が合っても、それ以上来ない。
声をかけても、必要な分だけ返ってくる。
(……壁、できた)
自分で言葉にして、胸が少し痛くなる。
きっと、正しい。
教師と生徒としては、
これが正解。
でも。
(……一回、近づいたあとでさ…そんなの…)
その「正しさ」は、
前よりも冷たく感じる。
その日の昼休み。
中庭のベンチ。
いつもラスティ先生が座っていた場所。
今日はいない。
分かってる。
しばらく、ここには来ないって言ってた。
それでも。
「……探す癖、抜けないな」
視線で無意識に探してしまう。落ち着かない。
分かっていても、どうしても抜けない。
私にとっては既に、ラスティ先生との昼食は
欠かすことのできない「日常」の一部と
化してしまったのだから。
周りでは、
ラスティ先生に対して根も葉も無い噂が
飛び交っている。
(……違う)
口に出さない。
出せない。
私が見たのは、噂とは真逆の人。
完璧な人間に見えて、実はそうでは無いところ。
それを、
誰にも言えない。
(……私だけ、見た…見ちゃった…)
その事実が、少しだけ誇らしくて、同時に苦しい。
この感情を表現する言葉を、私はまだ知らない。
それから時間は経ち放課後。
廊下で、ラスティ先生の背中を見かける。
少し先を歩く黒い影。
以前なら追いついて声をかけていたろう。
でも今日は、足が動かない。
(……分かってる…行っちゃだめ…ダメ…)
そう、自分に言い聞かせる。
先生は当然気付いているだろう。
私がいることを承知で振り返らない。
それが、「拒絶」じゃないことも分かってる。
(……守ってる)
たぶん。
でも、守られてる側は待つしかない。
何も知らないまま。
夜。
部屋の明かりを落として、
制服のままベッドに横になる。
目を瞑り、"あの夜"を思い出す。
大きなロボットの視線から見渡した
キヴォトスの夜灯り。
画面いっぱいの夜景。
そして、耳の奥まで響くラスティ先生の声。
「……また見たい…だなんて、ワガママだよね…
ラスティ先生に迷惑かけちゃうだけだ…」
だが、この脳裏に強く張り付いた思い出を消そうとしても、
ソレは余りにも鮮明で強烈すぎた。
私は、天井を見つめたまま考える。
(……でももし…)
もし、ラスティ先生が――
"本当に行かなきゃいけない場所"に
また向かうことになったら。
私には、どうしようもない。
「…そこがたぶん、
ラスティ先生のあるべき場所であり
求められる場所なんだと思う…けど…」
寝転がりながら小声で独り言をしながら、
街の灯りで淡く色付いた夜空を眺める。
「私には…わかんないよ…」
独り言の続きを絞り出そうにも、
夜空が映し出す漆黒が
感情も言葉も飲みこんでしまっていた。
翌日。
授業前の学校の空気がいつもと違った。
騒ぎの元は教員室からのようだった。
私は教員室の階まで急ぎ足で階段を上り、
何が起こったか確認するため背伸びをしながら人混みを
掻き分け進む。
するとようやく見えた職員室の前に、
見慣れない人影が大勢で整列していた。
重そうなボディアーマーを装着しており、
腕章には"連邦生徒会"の文字。
彼女らは全員沈黙を貫いている。
しかし、その身から溢れ出る雰囲気で
空気を張り詰めさせている。
そしてその最奥には我らが生徒会、
ティーパーティのホストである桐藤ナギサの姿と
その側近の姿が見受けられた。
(……なに、あれ)
すると、人混みの視線が1点に集中する。
その先では、ラスティ先生が職員室に入っていくのが見えた。
同時に、ナギサ様とその側近、数名の連邦生徒会メンバーが
教員室へ入っていく。
そして、メンバーが揃ったのだろう。
教員室の扉が閉まる。
(すっごい、嫌な感じ…)
理由はハッキリとは分からない。
でも、胸がざわつく。
授業開始のチャイムが鳴っても、
ラスティ先生は来なかった。
代わりに連絡係の生徒が告げる。
「本日の1限は、担当教師の急用のため自習です」
教室内がざわつき、揺れた。
そんな自習時間…
…実質休み時間中に端末を見ると、
学園内掲示の更新通知が流れていた。
それは、完結に短い文面だった。
【連絡】
本校所属の非常勤教師、
ラスティ先生は連邦生徒会の要請により、
本日以降、校外業務に従事します。
校外業務。
その言葉がやけに胸に落ちる。
(……やっぱり)
理由は書いてない。
行き先も、内容も。
(……行くんだ)
私が見たことのない場所へ。
私が待つことしかできない場所へ。
窓の外を見る。
ざわめき止まぬ教室内と対照的に、
空は嫌になるくらい静かだった。
遠回りを選んだはずだった。
支部を出て人の少ない道を選び、
"今晩"のことで思考を回す必要があったため、
できる距離だけを歩くつもりだった。
というのも、
いつもならコックピット内で思考を巡らせるのだが、
スティールヘイズは現在、連邦生徒会管理下に置かれ、
出撃待機状態に調整され、いつもの場所に無いためだ。
時は約10時間前…
トリニティ総合学園の生徒会長、桐藤ナギサが
学園内各関係者及び連邦生徒会の担当メンバー各位に向け
緊急招集を命じたことから始まる。
「…それで、用とは何かな。我らが生徒会長様?
私だけであればともかく、連邦生徒会まで呼び出した
という事は、余程のことがあったものとお見受けするが」
「ラスティ先生。口を謹んでください」
「いえ、良いのです。連邦生徒会の皆様。
実際問題、ラスティ先生の仰る通りです。
…まずは、こちらをご覧ください」
ナギサの目配せで、側近が持っていたタブレット端末が
連邦生徒会の面々と私の前に差し出される。
そして画面に写っていた画像に気付いた瞬間、
私達の間に電撃が流れる。
それは、トリニティ総合学園の下水道内監視カメラに、
"AC"と思われる機動兵器が
"一機だけ"写ったものだった。
「「………」」
連邦生徒会の面々は驚いた表情で固まり、
私はそれそのものに驚きつつも、
どこかその現象に"違和感"を感じていた。
「トリニティの代表として、両者へ緊急救援を要請します。
トリニティ…いえ、このキヴォトスを、
"外の世界"のようにしてはなりません」
連邦生徒会の代表が、一息飲みこんでから話し始める。
「…ナギサ様。事情は概ね把握致しました。
回答を待っている時間すら無いというのは重々承知
していますが、一度確認させていただきます。
…"コレ"は、本当に"〇△□"なのですか?」
…後に、
この質問がこの世界における重要なヒントになる
ことを、私が知る由は無かった。
そんなこんながあり、
救援要請を受け、私はスティールヘイズの調整を行うため
今日の授業は休講とした訳だ。
私は今日起きたことに整理をつけるため、
しばらく歩き続けた脚を休めるために立ち寄った
公園の外灯が視界に入った瞬間、
身に覚えのある気配を感じる。
(……杏山、か?)
視線を向ける前に分かった。
街灯の下のベンチ。
手に持った端末を膝に置いたまま、空を見上げている。
歩調を緩める。
避けるべきだ。
今の状況で、
彼女と接触する理由はない。
そう判断した…そのはずなのに。
足が、前に踏み出していた。
……最悪。
いや、
最悪じゃない。
(……来た)
気配で分かる。
振り向かなくても、
誰かなんて分かりきってる。
ラスティ先生だ。
ここには元々、散歩で適当に立ち寄っただけだった。
だけどこんな時間に、こんな場所でなんて…
(……偶然、だよね)
立ち上がるべきか、
声をかけるべきか。
でも、
体が動かない。
次の瞬間。
「……座っていいか」
背後からラスティ先生の低い声。
断る理由なんてなかった。
「……どうぞ」
声が、少しだけ硬い。
ベンチが僅かに揺れる。
真後ろにいる。
でも、触れない。
もどかしい距離のまま、
私たちは互いの顔色を疑うかのように
会話を始めるタイミングを見失っていた。
背中越し。
視線は合わせない。
正面も向かない。
この距離が、今の限界だ。
「……遅い時間だ、杏山。
早く帰るんだ」
教師としての言葉。
カズサは、すぐには返事をしなかった。
「……たまたま…なんか来ちゃった…」
短い答え。
嘘じゃない。
だが、全ても言っていない。
(……私も、同じだ)
「…最近さ」
彼女が、ぽつりと続ける。
「ラスティ先生、
これからいないこと多くなるんだよね」
事実だ。
否定はしない。
「業務が…増えただけさ」
それ以上の説明は不要だ。
沈黙が、夜の音に溶ける。
ベンチの背もたれがやけに冷たい。
ラスティ先生の声が、すぐ後ろにあるのに。
(……遠い)
「……噂」
口が勝手に開く。
「いっぱい、聞くよ。
それも良くないヤツ…」
ラスティ先生は、すぐに答えない。
まるで、その沈黙が答えのようだった。
「全部、本当じゃないよね。
私、見てたから分かるよ」
それは
確認というより、願い。
ラスティ先生は小さく息を吐き、
言葉を綴る。
「私の噂もそうだが、そう言った話の中で、
事実というものは、いつも一部だ」
淡々と話し進める。
「残りは、他人が補完する。
それが事実であるかはさして重要ではない」
(……やっぱり)
「……ラスティ先生は、
それでいいの?」
カズサからかけられた問いは、
感情に寄っている。
だが、無視するには重い。
「…良いかどうかは、
判断基準じゃない」
事実を述べる。
「必要かどうかだ」
杏山の気配が、僅かに揺れた。
(……分かっている)
それでも。
「……だがそれでも君には、」
言葉が、少しだけ柔らかくなる。
「余計なものを、背負わせたくない」
それが、今の本音だ。
背中越しに空気が張り詰める。
「……でも…!」
カズサは、ベンチを勢いよく立ち上がり、
背を向けたまま、私に向け震えた声でこう言った。
「理由は…上手く言えない…けど!!!
私は…!
勝手に背負うから…!!」
…どこかで聞いた話だな
「そうか…
それが、君の"選択"か。
…だが、忠告しておこう。
これは、教師としての言葉ではない。
あくまでも私個人の言葉として受け取って欲しい」
私もベンチから立ち上がり、同じようにカズサへ
向け言葉を送る。
「理由無き動機ほど、危うい物はないぞ」
その時。
端末が低く振動した。
一度ではない。
明確な優先通知。
(……来たか)
端末に映っていたのは、
『作戦開始まで30分。各位持ち場に付け』
とのことだった。
「……もう行く」
短い言葉。
カズサは振り返らない。
「……そっか」
それだけ。
互いにそこから立ち去る前、
私は一瞬だけ足を止めた。
背中越し。
「……無事でいろ」
それが教師としてなのか、
果たしてそれ以外なのか。
区別はつけなかった。
意味もまた、深く考え無かった。
足音が、遠ざかる。
私はようやっと振り返った。
そこには、
もう誰もいない。
帰り道。
街の外灯が、私の心境とは対照的に煌びやかに揺れる。
(……行くんだ)
先生は。
私の知らない場所へ。
私の知らない「役割」で。
それでも。
(……待つだけ、じゃない)
その思いが、
まだ形にならないまま、
私は夜に沈んでいく。
続いて来た端末の通知は短かった。
FEDERAL STUDENT COUNCIL
(連邦生徒会)
PRIORITY : CRITICAL
(優先度:緊急)
SUBJECT : UNMANNED ARMORED THREAT
(無人機動兵器の脅威)
私は、歩きながら内容を確認する。
――キヴォトス郊外にて
――正体不明の機動兵器群、ACを確認
――無人操作を想定
――至急、排除要請
(……来たか)
文面の裏に、嫌な予感が張り付いている。
私は足を止めずに返信を送る。
『詳細を確認させて欲しい。
特徴的な光を放つ機体は確認できるか?』
すると即座に返答が来た。
UNKNOWN
(不明)
RED-LUMINOUS PHENOMENON DETECTED
(赤色発光現象を検知)
SOURCE UNIDENTIFIED
(発生源不明)
赤い光。
(……やはり)
私は、
その“正体”を知っている。
だが、
ここでは知らないことにする。
それは口にした瞬間に世界を燃やす情報だ。
私はそれを、身をもって体験している。
(……沈黙をもって、終わらせる)
それが、
唯一の正解だ。
そう、信じている。
出撃指定地点は、キヴォトス郊外。
学園都市の管理が薄くなる場所。
もし“それら”が暴走すれば、
被害は止まらない。
私は管理下に置かれている状態を、
もう一度確認する。
OPERATION APPROVAL : GRANTED
PILOT STATUS : UNDER SUPERVISION
LIMITER : PARTIAL RELEASE
機体性能は大きく変わっていないが、
コアの拡張機能に関しては制限付き。
だが処理には十分だ。
(……短時間で終わらせる)
公園での会話が、
一瞬だけ脳裏をよぎる。
『……無事でいろ』
あれは約束じゃない。
前提条件だ。
私は前進ペダルを踏み込み、
一瞬だけエンジンをフル稼働状態にした。
ガレージ内がオレンジ色の炎に照らされると同時に、
スラスターの轟音が内部に響き渡った。
まるで、
気の迷いをスラスターの炎で吹き飛ばすかのように。
濃紺の装甲が、闇夜の中に立っている。
スティールヘイズは作戦開始位置に移動するため、
昇降足場に搭載され、上へと登る。
私はそのままスティールヘイズへと搭乗する。
その時だった。
整備を担当してくれていた、連邦生徒会メカニックの
1人に話しかけられる。
「あ、あの…!」
「何だ?
ここは今から危険域になる。君たちは早く避難するんだ。」
「えーっと…ですね…
連邦生徒会の…上の子達にキツく当たられて
いるかもしれませんが…みんな、とってもいい子なんです。
あ…何が言いたいかって言うと…」
「…」
少し間が空く。
「えっと…みんなを、守ってください。
お願いします」
「…了解した。
皆の明日を、必ず勝ち取ると約束しよう」
それだけ言い残し、私はコックピットへ降りた。
コックピットに収まった瞬間、
外界の音が切り離される。
(……集中しろ)
起動手順を、最初からやり直す。
【 STEEL HAZE 】
SYSTEM WAKE : AUTHORIZED
CORE STATUS : ACTIVE
POWER FLOW : GREEN
WEAPON SYSTEM : ONLINE (LIMITED)
HUDが展開。
地形。
距離。
熱源。
そして、赤い閃光。
UNKNOWN ENERGY RESPONSE
INTENSITY : IRREGULAR
(……やはり、これだ)
私は、その光を“名前”で呼ばない。
正確には、呼べない。
呼べば、思考が引きずられる。
それは、存在するだけで全てを壊すものだ。
すると早速、
視界に歪な機体が映る。
頭部パーツ:KASUAR/44Z
コアパーツ:DF-BD-08 TIAN-QIANG
腕部パーツ:VP-46D
脚部パーツ:AL-J-121 BASHO
武装に関しては、
両手:IA-C01W6: NB-REDSHIFT
両肩:無し
内部構成は不明だが、
フレームと武器の組み合わせはルビコンにいた頃では
考えられないものだった。
特に武器、あの曲線形状のライフルは要警戒だろう。
一機だけだというのも気になったが、
報告のあった期待群の内、リーダー機が先行したのだろう。
動きは無人のソレ。
操縦の揺れがない。
だが、
内部から漏れ出す赤い光が、
異常な存在感を放っている。
ブースター点火。
アサルトブースト開始。
私は敵機へ急接近を試みた。
BOOSTER IGNITION DETECTED
敵機は私の急接近を悟ったのか、
進行方向を変え、私から逃れるように
横方向へブーストをかけた。
その時、
通信帯域に異音。
AUDIO ANOMALY
WAVEFORM : NON-HUMAN
ヒトの悲鳴のような音。
よく知っている。
(……“そう聞こえる”だけだ)
あれは意思じゃない。
あれは"私達"を守っていたかつての光。
"コーラルよ ルビコンと共にあれ"
灰にまみれた警句を唱える帥夫が、脳裏に浮かぶ。
かつての私は、ルビコン解放戦線の戦士として
ルビコンを守るため企業や傭兵と戦い、
そして最期は…"戦友"と戦った。
その過程で皆、多すぎるモノを失い過ぎた。
焼けた空にも希望はある
…そう心に言い聞かせ、戦い、飛んだ最期だった。
…二度も、"ルビコンの悲劇"を起こしてなるものか。
(……だからこそ、今ここで消す)
「このキヴォトスを、焼かせはしないさ」
無意識に、私はある個人の顔を脳裏に浮かべていた。
敵ACの動きは直線的。
反応は速いが、
判断がないコンピュータのように
淡々と物事を処理している感じだ。
(……無人、か)
私は、相手に距離を詰めすぎられないよう
気を遣いつつ、揺れる照準を抑え込む。
BOOSTER OUTPUT : 65%
TRAJECTORY : WIDE ARC
赤い光が、視界の端で揺らめく。
(……抑え込め)
照準を固定。
LOCK CONFIRMED
TARGET : HOSTILE
引き金を引く。
左手側の中型ライフルの強反動が機体内部を揺らす。
その瞬間…敵機に直撃。
命中した装甲板の隙間から、赤い光が噴き上げる。
それは、一向に止まる様子を見せなかった。
(……中枢だ)
私は即座に狙いを変えた。
AIM ADJUST
TARGET : INTERNAL CORE ZONE
二射目。
「そこだ…!」
直撃。
装甲板が剥がれ落ち、ジェネレーターが露出する。
見た目ほど硬い装甲ではないようだ。
その際、赤い光が一瞬だけ暴れた。
スラスターから断末魔のような音を発する。
まるでスラスターが、声量を表しているかのように
大きく炎を上げる。
(……拡散する前に…仕留める)
三射目。
「…すまない」
ジェネレーターに直撃。
直後爆散。
赤い光は、先ほどまでのような激しい光を
発することはなく、夜空に溶けるように消えていった。
そして、一時的に静寂がコックピット内部を包む。
THREAT LEVEL : CLEARED
RESIDUAL ENERGY : NONE
私は深く息を吐いた。
(……間に合ったか)
あれが、完全に解放されていれば。
想像するだけで思考が凍る。
(……誰にも、知らせるな)
連邦生徒会にも。
シャーレにも。
知らない方がいい世界がある。
私は、スティールヘイズを旋回させ、
後続の敵機を殲滅するため空を翔ける。
夜のキヴォトスが、
視界の端の遠くに広がる。
そのどこかに――
杏山はいる。
(……必ず戻る)
それだけを考え、
私は左手の武器を展開し、接近した敵機を切り刻んだ。