パパーッ
神奈川県、それは関東地方の南西部に位置し、東京都に次ぐ全国2位の人口(約920万人)を抱える政令指定都市3市(横浜・川崎・相模原)を持つ都道府県。
横浜・川崎の工業地帯や鎌倉の歴史観光、箱根の温泉など多様な特色を持ち、交通の便が良く温暖な気候の住みやすい県として知られて知られている。
そんな神奈川県でも有数の温泉街として知られ、同時に走り屋の聖地としても知られる箱根の某所。ロータリー使い御用達で主にRX-7やロードスターといったマツダ車を扱うチューニングショップ『松田レーシング』では今日も元気な声が響き渡った。
「ありがとうございましたー!!」
整えた見た目に女性用のスーツといういかにもフロントっぽい格好をした金髪ショートヘヤの少女は、お客さんを外までお見送りし終えると駆け足でチューニングの受付へと戻っていく。
「…よしっ!」
彼女の名前は霧野ユキ(18際)、このチューニングショップ『松田レーシング』でアルバイトとして働く高校3年生の現役女子高生であり、明るい表情が特徴的でもある。
フロントに戻るとこのロータリー御用達のチューニングショップを経営する父親の娘であり、手伝いも兼ねて働いている女子大生松田 沙耶(20歳)がそろそろ休憩に入っていいよと声をかけた。
「あっユキちゃんお疲れ、休憩の時間だから先行ってていいわよ♪」
そう言われてもうそんな時間か…と店内の待合いスペースに設けられた時計を見上げながら、お言葉に甘えてお先に休憩へはいらせてもらいます…!と疲れを感じさせない笑顔で奥へと引っ込む。
相変わらず元気でいいよねー、とその様子を見ていた常連客である中年男性はその様子を見ながら微笑ましい雰囲気を浮かべる。
「っえ?あーもうそんな時間なんだ…、それじゃ!お先に失礼します!」タタタッ
「はーい」
「にしてもユキちゃんは相変わらず元気でいいねー、見てるこっちも微笑ましくなるよ」
確かにあの活発な性格は沙耶も激しく同意であり、アルバイトに来るようになってから自分の負担も少なくなってきたからおお助かりだとも口にしていく。
「…確かにユキちゃんが来るようになってから、自分の負担も減ってきてるからおお助かりなのよね」
そんなやり取りをしていると近くにあった受話器が鳴り響いたため、フロントで話していた中年男性に失礼と答えながら受話器を手に取り、慣れた口調で電話へと出ていくのであった。
プルルル!!
「あっ電話、おじさんちょっと待っててね」
「あいよ…!」
「お世話になります、松田レーシングフロント担当の松田 沙耶です――」
お店のメイン出入り口であるフロント、その後ろ側に広くはないもののそれなりにゆっくりくつろげる休憩スペースに、飲み物片手に手にしていた雑誌を読みあさりながらくつろいでいるユキの姿が…
表示にはロードスター専用雑誌と書かれており、チューニングパーツやカスタムパーツなど、ロードスター使いにとって御用達ともいえる情報が満載されていた。
「……」
すると松田レーシングのメカニック兼お店の店長であり沙耶の実の父親でもある貫禄のある中年男性が、休憩も兼ねて入ってくるや否やお疲れと声をかけながら相変わらずその本が好きだねーとも口にしていく。
「お疲れさん、ユキちゃん。相変わらずその雑誌好きだねー」
「あっ店長、お疲れ様です!」
というのも彼女自身NA型ロードスターに乗っているようで、今でこそ車の維持などでチューニングなどに費やすお金がないものの、いつかは今よりもっとロードスターを速くさせるという目標があるとか…
ちなみにロードスターにした理由は元々兄の影響で走り屋に興味を示しており、このお店で働いていた際ロードスターが安く入ってきたから選んだというシンプルなもの。
もちろんそれ以外にも小さすぎず大きすぎずキビキビ動いてくれる上にリトラクタブルヘッドライトの可愛さや、ロードスターの良さに惚れたからというものもある。
がやはり一番の選択肢理由はロードスターにすることでバイト先のRX-7やロードスター専門のチューニングショップで従業員割引でメンテして貰えるというのが多いだろう。
「まあ今は車の維持で一杯一杯ですし、流石にすぐにってわけにはいきませんが…。ロードスターオーナーとしていつかはしたいなーっていう」
「ははっ、そりゃいい目標だ。もし何かつけたいってもんがありゃ気軽に相談してくれ、これでもRX-7やロードスター専門のチューニングショップだからな」ハハッ
そんなやり取りをしていると、ふと沙耶の父親がユキの乗っているロードスターに触れる形で、まさかあんな良個体が安く売られていたとはなと口にしていく。
いくら元々群馬エリアの解体屋に転がっていたからといって車内やエンジン、足回りはほぼダメージがなく多少の整備で乗れそうな状態を保っていた。
いくら個体が多いロードスターだからと言って中古や新車でなどで買おうとなるとそれなりに値段が張るため、高校生であるユキが普通に買おうとなるとかなりキツいことには変わりない。
「にしてもユキちゃんのロードスター、元が解体屋にいた個体とは思えない良個体だよなー。ほぼ状態がいいから多少の整備だけで乗れちまうし」
「ですね、でも私的にはおお助かりです。普通に買おうってなると新車中古でも金銭的にしんどいですから…」(汗)
「まあまだ女子高生だからなー、車に興味ない同年代の子はほとんど持ってないと思うぞ?仮にあったとしてもお金の面で買えないのがほとんどだ」
なので比較的安く買えることができたのはユキにとってラッキーであり、実際車を手に入れてから場所に問わずあちこちの峠に乗り込んではドラテクを磨き上げるために走り込んでいるとか…
ただあまりにも乗り込み過ぎると他所の走り屋ということもあってどつかれてしまうため、ほどほどにしろよー?と店長は念押ししていく。
「だから私にとってはラッキーみたいなもんですよ♪お陰でロードスター買ってからバイトとか学校終わりにあちこちの峠へ走りにいきまくってますから…!」
「ははっ、元気なのはいいことだがほどほどにしろよー?峠の連中は基本血気盛んな奴らばっかだ、乗り込み過ぎるとどつかれるからな」
「もちろん♪そんなことはわかってるっ」
とまあそんな話をしているうちにあっという間に休憩時間は過ぎ去っていき、それに気づいたユキはそろそろ仕事に戻ります…!と相変わらず元気な雰囲気を見せながら休憩室を駆け足で後にする。
元気なのはいいことだ…駆け足でその場を後にするユキの後ろ姿を見ながら、自分も用事があったことを思い出すと彼女とは違う方向に歩みを進めていくのであった。
「ってもうこんな時間…!それじゃそろそろ戻ります♪」スタタ
「おう、あんまり張り切りすぎてコケるんじゃないぞー。さてと…俺は俺の用事でもするか…」
あたりも日が落ちた頃、何時ものように営業を終えた松田レーシングであるが、お客さんが来なくなったからといって仕事がないわけではない。
多いようで多くないRX-7やロードスター専門の整備工場ということもあってか、預かりでお客さんから受け取った車の車検や整備などが残っているため、整備士はその対応に。
フロントなどでは直近のスケジュールやらなんやらなどの確認や作成に追われており、昼間とは違った忙しさに包まれていた。
そんなユキだけはフロントの仕事服からラフな私服に身を包むと、時刻が夜8時に差し掛かろうとしている中、まだ働いている人たちにお先に失礼しますと挨拶をしながらお店を後にしていく。
というのもこの時代も高校生の残業は固く禁じられており大人(18歳以上)に適用される「36協定」による残業も、18歳未満には適用されず原則として残業が禁止されているのだ。
一応ユキは18歳の誕生日を迎えているため法律上は深夜労働や残業が可能にはなるものの、多くの企業では「高校生一律禁止」という独自の自主規制を敷いており、松田レーシングも当然例外ではない。
ちなみにシフトの時間配分としては学校がある日は夕方5時から8時まで、それ以外の休みなどは朝10時から夕方6時までという感じ
「お疲れ様でーす、お先に失礼します」
「おうお疲れ、気をつけて帰れよー」
「また明日ね」
その後お店の裏、従業員用駐車場へと足を運ぶど赤色のコンパクトなサイズ感で丸みを帯びたフォルムが特徴的な車のもとへと足を運ぶと慣れた手つきで施錠を解除、運転席ドアを開けて乗り込む。
マツダ NAロードスター、1989年に登場した初代マツダ(当時はユーノス)ロードスターの名称であり、エンジンを始動させると特徴的なリトラクタブルヘッドライトが姿を表す。
「よっと」ボムッ
キュルル
ブオン!
人馬一体の走りを何よりも重要視しており、軽量な車体(約940kg〜)に前後重量配分50:50のFRレイアウトを採用、数値上のパワーよりも「操る楽しさ」を追求した設計となっている。
そんなロードスターだが彼女が相棒としているのは1.6L(120馬力)のマイナーチェンジ前の個体。
マイチェン後の1.8L(130馬力)に比べると非力感は否めないがダイレクトな操作フィードバックに加え重心が低く、コーナーでの踏ん張りが効きく車高は、コーナーを抜けるだけでその楽しさが実感できると言ってもいい。
そんなことを言っている間にもシートベルトを身に着けたユキは苦労してロードスターと同時期に買って取り付けたバケットシートに身を委ねながら、クラッチを踏み込みながら1速へとギアを丁寧にいれる。
「いやー苦労してバケットシート買ったの正解だったかも、やっぱエンジンいじるよりこれを変えなきゃ♪」
その後半クラでクラッチを上手く繋ぎながらロードスターを発進させると、昼間や夕方に比べると車の通りが少ない道路に合流。
明かりで照らされた街中へ溶け込むように車をしばらく走らせていく。
ブロロ
松田レーシングを後に二十分ほどの走らせると小田原の市街地が目先に見えてきた、神奈川県小田原市から厚木市を結ぶ、全長約30kmの有料の「小田原厚木道路」が通っていることもあってか、他の地域へのアクセスが非常にいい場所となっているらしい。
そんな幹線道路近く、普通の車が止まっているごくごく普通の一軒家の前に到着すると、ハザードを焚きながら慣れたハンドル捌きでロードスターを駐車スペースへといれる。
「よーし、こんなものかなっ」
ゴクッ
ギアを1速に入れながらサイドブレーキをかけつつエンジンを切り、運転席から外に出るとドアを閉めて施錠すると少し駆け足気味で玄関へと向かい、扉を開けながら元気のいいただいまを口にする。
ガチャ
「ただいまーっ!」
少し遅めの帰宅にはなったものの彼女の両親も遅くまで働いていたらしく、玄関から室内に上がった先に見えるキッチンでは作り置きしていた晩飯を温める母親と、席に腰掛け新聞を読んでいる父親の姿が…
そんな家族と軽くやり取りをしながらも、昼間来ていたバイト服を慣れた手つきで洗濯機へ放り込むと、お湯を沸かしてから少しドタバタ気味にキッチン兼リビングへとやってきた。
「おう、おかえり」
「おかえりなさい〜、ご飯もう少しで出来るわよ〜」
「はーいっ!…えーっと、とりあえず今日きたやつは洗濯機にぶち込んで…」
普通なら家に帰ったら急ぐことはないはずではあるのだが、ユキは相変わらず駆け足気味に温めているおかずが出来るまでの合間に炊飯器から出来立てご飯をよそい、おかずも出来るとこちらもお皿についでいき、テーブル席へと腰掛ける。
「ご飯って出来てるよね?」
「ええっ、できてるわよー。あっおかずも出来たわっ」
「オッケー、なら先にご飯を装って…次におかずを……」
一見すればこのあと急ぐ用事があるようにも思えるが、家族はその理由を知っているようで今日は何処に走りに行くんだ?と父親が代表する形で尋ねる。
…そうユキは表上は普通の女子高校生ながらも裏では走り屋という一面を持ち、毎日…ではないが行ける日があれば学校やバイト終わりに、ロードスターに乗ってあちこちの峠へ走りに行っているのだ。
だがあちこちの峠に乗り込んでいるせいでホームコースらしいホームコースがなく、時間があれば遠くの峠などや気分で変えたりと走り屋にしては珍しい優柔不断なタイプ。
「いただきまーす!」モグモグ
「相変わらずがっつくように食べるなー、今日は何処の峠に行くんだ?」
ちなみに今回はヤビツ峠神奈川県秦野市に存在する正式名称蓑毛峠に行くことにしていたようで、そのことを説明しながらもあっという間に晩御飯を爆速で食べていく。
ここ小田原からは片道1時間ちょいで行ける距離、ただ今からご飯を食べてお風呂に入ってから行くとなると、爆速で済ませても向こうに着くのは9時頃、そこから走って帰るとなると10時を過ぎるのは間違いない。
「今日はヤビツ峠…!最近いけてなかったから行こうかなって」
「となると片道1時間ちょいか、そこから走って帰ってくるとなると…」
「だいたい10時頃かしらねー」
とはいえ彼女は18歳を超えているということもあってか夜な夜な出歩いていても法律的には問題がなく、仮にそうだとしても補導対象は夜11時(午後11時)から翌朝4時または5時となっているため、それまでには帰ってこれる計算だ。
…まあそれ以上に色々とグレーどころかアウトと言ってもいい走り屋というものをユキはやっているのだが、家族は気にした様子を見せることなく、むしろ何時ものことのようにやり取りを交わす。
「まっ気をつけて行って帰ってこいよー?補導対象じゃないが、峠走ってお巡りさんに捕まったら色々と面倒だからなー」
「わーかってるって」
そうこう話しているうちにあっという間に晩御飯を食べ終わったユキは、まだ食べている父親や母親を横目に食べ終わったお皿をシンクに入れていき、お風呂に入るためにキッチンを相変わらずの駆け足で後にしていくのであった。
「ごちそうさま!お風呂入ってくるね!」
「慌てすぎてこけないようにねー」
「はーい!」
登場キャラ
霧野ユキ
年齢:18歳
身長:158cm
体重:??
好きな車:兄が乗っていた車
嫌いなもの:相手を見下すタイプ
モデルキャラ:ユキ(東方project 怪綺談より)
立ち絵:はるか様立ち絵より
小田原近郊に構えるRX-7やロードスターといったマツダ車を扱う専門チューニングショップ『松田レーシング』、そのアルバイトしてフロントで働く高校3年生の女子高生。
金髪ショートヘヤが特徴的で染めているようにも見られ、よくヤンキーと間違えられるが地毛であり本人の性格もヤンキーっぽくは全然ない。
夏ぐらいに免許を取ってすぐ、バイト先に解体屋から流れてきたNA型ロードスターに一目惚れし、その圧倒的な安さから購入を決意。
その後は家族や走り屋だった兄の影響もあってか己のテクニックを鍛えるためにあちこちの峠に乗り込んでは、地元の走り屋に混じって走っているとか…
性格は明るくてフレンドリー、少々ダル絡みすることもあるがどんな相手でも臆することなく話しかけるタフなメンタルの持ち主。
登場車種
マツダ NA6CE型ロードスター(1989年式)
カラーリング:クラシックレッド【SU/A3E】
搭載エンジン:B6-ZE型 1,597cc 直4 DOHC
最大出力:120馬力
内装パーツ:フルバケットシート(ブラック)
外装:マフラー「Jet'sビートサウンドマフラー」、ホイール「VOLK RACING TE37 (14x6j+38)」
NA型ロードスターの販売されたなかの初期型であり、その心臓部であるB6-ZE型 1,597cc 直4 DOHCは最大出力120馬力を発揮。
マイチェン後の1.8L(130馬力)に比べると排気量や馬力の面で不足感は否めないが、ダイレクトな操作フィードバックに加え重心が低く、コーナーでの踏ん張りが効きく車高は思うように曲がれると言ってもいい。
元々は群馬の某解体屋が保有していた個体がたまたま松田レーシングに流れてきて、その際に破格の安さだったということもあってか、ユキが購入を決意することに。
バイトや学校終わりの夜にあちこちの峠に乗り込んでは色んな地元の走り屋に混じって、上手い人のテクニックを盗もうと日々努力している。
基本金銭面では車の維持が精一杯ということもあって、なんとか購入したバケットシート以外は手を付けておらず、基本ドノーマル。
強いて言うなら前オーナーが変えたであろうホイールやマフラーといったぐらい
ナンバー
湘南 580
ゆ 60-00
(ペンギン太郎さまより)
松田 沙耶 まつだ さや
身長:158cm
体重:52kg
好きな車:FD
嫌いなもの:…はないが、FDを反対した父親にいつか見返すこと
得意技:ヒール&トウ ロータリーさながらのコーナリング
モデルキャラ:宇佐見蓮子(東方project はるか様立ち絵 燕石博物誌verより)
20歳。女子大生。
神奈川にある女子大に通う大学生で、ヤビツ峠をホームコースとする走り屋。
元々はカート上がりの走り屋で主にサーキットを中心に走っていたが、カート時代からの付き合いである友達につれられては峠に行き、そこでサーキット以外の場所で走らせることにハマっては峠でも車を走らせるようになった経緯を持つ。
元々は郡千景と同じRX-7に乗ろうと考えていたが、自分に走りを教えてくれた父親からカートを習ってたとはいえ、免許を取ってすぐにRX-7を扱うには難しいとの理由で反対され。パワーを抑えられた8を乗りこなせたのならRX-7をやるとの条件で乗っている。
父親も元々はRX-7乗りで、昔は箱根を走っては最速だった走り屋。今現在はRX-7やロードスターといったマツダ車を主に扱うチューニングショップを経営しており、ロータリー使い御用達の模様。
ちなみにユキの先輩ポジションであり、大学授業終わりや休みの日は、父親のチューニングショップでフロントの業務を担っている。
(車に関しては登場した際にそのつど解説をやります)