鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる。   作:書仙凡人

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lv.29 騒々しいドン

   [Ⅰ]

 

 

【どこにいやがる! 出てきやがれ! コジローとかいうやつ! ぶっ殺してやる!】

 

 シグルード内には尚も怒号が響き渡っていた。

 盛大にコジローを呼んでいる。

 さて、ではどんな奴等か、拝ませてもらうとしよう。

 俺はブースの外へ向かおうとした。

 だがそこで、シムが行く手を阻むように、俺の前に来たのである。

 

「コジロー様……奴等のところに行くのですか? それは危険だと思います。ダヴィードリアンの首領にザンブロッタというのがいるんですが、そいつはキエーザの従兄弟だった筈ですから」

「そうですよ、コジローさん。シム様の言う通りだと思います。私もそれを思い出しました」

 

 どうやら、キエーザの親戚が仕切る反社グループのようだ。

 

「へぇ、そうなの。でもどんな奴等か見てみたいし、ここには裏の出口ないから、どの道、行くしかないんじゃね」

 

 俺の軽い言い分に、4人はポカンとしていた。

 

「コジローさんは本当に動じないなぁ……」

「流石は私の師匠ね。そういうところが、キュンときちゃうのよね」

 

 ランドとユミルはしみじみと頷いた。

 

「本当にコジロー様は、全然、委縮してないですね。こんなに図太い性格になられてたとは……」

「でも、危なくなったら逃げてくださいね。わ、私も道を作りますから」

 

 レティアはそう言うと、息を飲みつつ、剣の束に手を掛けた。

 気持ちはありがたいが、自分で対処するとしよう。

 まぁ場合によっては手を借るかもしれないが。

 

「気持ちは受け取っておくよ。だが、ここは俺だけで行く。皆は俺の事を知らないふりしておけばいい。そうすりゃ、被害は受けないし、俺もその方がやりやすいから」

 

 俺は軽い口調でそう告げた。

 

「そうですか。というか、なんでそんなに気楽なんです?」

「なんでって……奴等がわざわざシグルードに乗り込んできたからだよ」

「あの……どういう意味ですか、コジロー様。ちょっと何言ってるのか、分からないです」

「ま、その内わかるさ」

 

 シムはわけがわからないのか、首を捻っていた。

 

「でも、本当に無理はしないでくださいよ、コジローさん。私もすぐに動けるように待機してますので」

 

 レティアも念押ししてくる。

 

「そんな意気込まなくていいよ。つーわけで、レッツゴー」

 

 と言って、俺は堂々とブースを出たのであった。

 するとシグルード内は、やや騒然とした感じになっていた。

 冒険者の人だかりの中心に、十数人ほどの厳つい武装をしまくった集団がいた。

 全員、人相が悪く、獣人らしき者達も混じっている。狼男みたいな奴までいた。中には見た事ある奴も。

 その集団の1人に、ハルバードのような厳つい槍を持って、周囲に吠えている人間の輩がいた。

 身体は大きく、ムキムキの筋骨隆々で、身長は180cmくらいあるだろう。

 顔つきは欧米系だが、アラブ人のようなモジャモジャの長い髭を生やしていた。

 全身を悪趣味な赤黒い魚鱗の鎧で覆い、左手には魚鱗の丸い盾、そして頭部にはバイキングヘルムのような兜を被っていた。

 今から合戦にでも行くのかのような、フル装備の姿であった。

 因みにシュレンの記憶によると、この赤黒い魚鱗の鎧は、ラルカンスと呼ばれる巨大魚の鱗でできているようだ。軽くて頑丈な為、結構な高級品みたいである。

 以前、水族館でピラルクーという南米の巨大淡水魚を見た事があるが、あれを大きくしたような感じの鱗だ。

 青海波文様(せいがいはもんよう)のように鱗が張り付いてるが、ところどころに歪な斑点もあり、見た目的にちょいとゲテモノ感のある鎧であった。つか、キモイ。

 

(ふむ……態度のデカさ的に、コイツが首領か。騒々しい首領(ドン)だねぇ。しかし、獣人と人が入り混じる反社集団だな。あの狼男風のはシュレンの記憶だと、ドルガンという種族のようだ。ヴァザンもいる。すげえファンタジーな反社グループだわ。まぁいい……さて、行くか)

 

 俺は奴等へと無造作に近づいた。

 するとそこで、取り巻きにいる見覚えのある輩が、俺を見るや大きな声を上げたのである。

 多分、キエーザの腰巾着だろう。

 

「ザンブロッタの旦那! アイツですよ! 間違いないっス! キエーザさんをあんな目に合わせたのは!」

「なに、どいつだ!」

 

 ザンブロッタはキョロキョロ見回した。

 腰巾着野郎は俺を指差した。

 

「あそこにいる白い衣を着た黒髪のアシェンです。背中の妙な剣に見覚えがあるんで」

「アイツか!」

 

 ザンブロッタという輩は、眉を吊り上げ、俺を睨んだ。

 憤怒の形相である。

 全員の視線が俺に注がれていた。

 まさに注目の的というやつだ。

 さて、お呼びのようなので行くとしよう。

 俺はスタスタと奴等の所へと向かった。

 そして至近距離まで近づき、奴等と対峙したのである。

 

「さっきから俺と同じ名前を呼んでるが、どのコジローに用かな? そっちの奴は俺を指さしてたが」

「ココ、コイツです……たぶん」

「お、おう……テメェか! キエーザをあんな風にしたのは?」

 

 俺が堂々と奴等の前に出たので、若干、戸惑っている感じであった。

 この戸惑いと装備品から、なんとなくこの男の性質が見て取れる。

 加えて、シグルードにわざわざ来たというのも、内面が透けて見えるところだ。

 ある意味、やり易い相手かもしれない。

 それはともかく、答えるとしよう。

 

「キエーザがどんな風になってるのか知らんが、奴と一悶着あったのは事実だね。で、どこの誰か知らないが、アンタは俺に何の用なんだ?」

「俺はキエーザの従兄弟でザンブロッタという者だ。俺が可愛がってたキエーザをあんな風にしやがって! ただで済むと思うなよ!」

 

 要するに、仲間がやられたから、ヤキ入れに来たんだろう。

 

「へぇ……仕返しってわけね。いいだろう。で、ここでやるのかい? ぞろぞろお仲間連れてきてるが」

「ふん、良い度胸じゃねぇか。ついてこい。外でぶっ飛ばしてやる!」

 

 俺はそこで、ザンブロッタとかいう男の隣にスッと移動した。

 これでとりあえず、チェックメイトである。

 後は様子を見よう。

 

「では案内してくれたまえ、ダヴィードリアンの首領さん」

「チッ……イケすかねぇ野郎だ。良いだろう、ついてこい!」

 

 そして俺達は移動を開始した。

 シグルード内は静まり返っていた。

 シムやレティア、それとランドやユミルは固唾を飲んで、成り行きを見守っている。

 するとそこで1人の老剣士が現れたのである。

 ソレスさんであった。

 

「止まれ、ザンブロッタ……キエーザの件の復讐か。させんぞ」

「なんだと、ジジイ! お前は引っ込んでろ!」

 

 2人は無言で暫し睨みあう。

 重苦しい沈黙が漂いだした。

 というわけで、俺が茶々を入れることにした。

 

「まぁまぁソレスさん、良いですよ。ちょっと話をしてくるだけですから」

「は? ちょっと話って……こいつ等は、そういう奴等ではないぞ、コジロー殿」

「てめぇ……何言ってやがる。な、舐めんじゃねぇぞ!」

 

 ザンブロッタはイキり返してきた。

 俺は構わず続けた。

 

「とりあえず、外に出ようか。俺やアンタ達がココにいると、周りの者達が迷惑だからさ」

「グッ……てめぇ!」

「行かないのかい?」

「あ、あたりまえだろ、行くに決まってんだろが! 行くぞ!」

 

 ザンブロッタはそう言って、玄関に向かい歩を進めた。

 俺もそれに続く。

 ソレスさんがそこで、引き気味に声をかけてきた。

 

「お、おい、コジロー殿……いいのかね? コイツ等はならず者だ。何をしてくるかわからんぞ」

「まぁとりあえず、行ってきますよ。自分で蒔いた種なんでね。では」

「では、って……」

 

 俺はドン引きしてるソレスさんに軽く手を振り、このシグルードを後にしたのである。

 

 

   [Ⅱ]

 

 

 シグルードの外に出ると、中の様子を窺う冒険者達が、建物の前に何人もいた。

 それらの冒険者達は、俺達を見るや慌てて、ササッと道を開ける。

 するとその冒険者達の中に、エルファナの神官服を纏う美しい女性の姿があったのだ。それはニーサさんであった。

 ニーサさんは目を大きくしながら、こちらを見ていた。

 多分、只ならぬ雰囲気を感じ取ったのだろう。

 そして何を思ったのか、俺達に近づいてきたのである。

 

「コジローさん……どこに行かれるのですか? それとその方々達は……」

 

 俺は適当に返しておいた。

 

「彼等は俺に用があるみたいなので、ついて行くだけですよ」

「チッ……エルファナの神官か。めんどくせぇ」

 

 それを見たザンブロッタは鼻をフンと鳴らし、小さく悪態を吐いた。

 俺はニーサさんに軽く微笑み、手を振っておいた。

 

「まぁそういうわけなので、では」

「え? ですが……」

 

 ニーサさんは何か言いたそうだったが、俺はザンブロッタ一味に囲われながら、そのまま移動を始めた。

 

(さて……どこに連れてくのかな、首領さん。アジトがあるなら見てみたいが……)

 

 その後、俺はザンブロッタ達と共に、無言で街の大通りを進んだ。

 俺の隣には、ザンブロッタが見張るようにして並び歩いている。

 また、俺とザンブロッタの周りには、距離を取りながら囲むようにして、奴のゴロツキ手下達が控えていた。数にして20人ほどだ。

 その為、俺達は周囲からかなり浮いた集団であった。

 すれ違う者達は皆、俺達を見るや、避けるようにして道を譲っていた。

 見るからに野蛮な集団なので無理もないところである。

 まぁとはいえ、後ろを見ると、俺達を尾行してはいる者が何人かいた。正体は、いわずもがなだが。

 さて、それはさておき、今の問題は、こいつ等がどこに向かっているのかだが、なんとなく、目的地が見えないような感じであった。

 なぜなら、街の中心に向かってるのかと思ったら、また来た道を戻ったりしているからである。

 そんなわけで俺は今、シグルードの付近に、また帰ってきたところであった。

 もしかすると、ザンブロッタ自身もこの展開は考えていなかったんだろう。

 その証拠に、奴の表情は時折、顰め面になっていたからだ。

 

(むぅ……俺はシグルードで、余計な事をしちまったのかもな。ふむ、仕方ない。ここは孫子の兵法……戦わずして勝つに誘導するか)

 

 俺は周囲の手下達に聞こえないよう、小声で奴に語り掛けた。

 

「なぁザンブロッタさんよ……どこに向かってるのか知らんが、本当に俺と戦う気はあるのかい?」

「ああん、なんだと。あ、あるに決まってんだろが!」

 

 ザンブロッタは中途半端にイキり返してきた。

 多分、本音は違うんだろう。

 恐らくコイツは、反社としてのメンツで、俺を脅しに来ただけに違いない。

 キエーザがコテンパンにやられたので、従兄弟である手前、立ち上がらないと示しがつかないと考えたんだろう。

 装備と兵隊の数で、俺をビビらせるつもりだったんだろうが、アテが外れて困っているというのが現状に違いない。

 わざわざ横槍が入るシグルードで絡んできたのが、何よりの証拠だ。

 本当は、ソレスさん辺りに止めてほしかったのかもしれない。

 

「へぇ……そうかい。だが、本気で俺と戦うつもりなら、覚悟はしておいてもらおう。これだけの人数だと、キエーザの時のように俺も手加減はできない。修羅にならざるを得ないから」

「はぁ? ……しゅら? 何を言ってやがる」

「命を容赦なく奪うという事だよ」

「グッ……なんだと。これだけ囲まれてるのに、勝てるとでも思ってんのか」

 

 俺は前を向いたまま、淡々と小声で答えた。

 

「勝てるよ。悪いが……アンタは既に、俺が殺傷出来る間合いに入ってる。だから……ここで親玉であるアンタを倒せば、(いくさ)としては俺の勝ちが確定だ」

「な、何ィ……ふざけた事抜かすな。このラルカンスの鎧や盾に、剣が通じるとでも思ってんのか」

「ふざけてなんぞいないよ。俺が言いたいのは……そこではない。キエーザの仕返しの為に、命をかけるつもりがあるのかという事だ。どうなんだい?」

 

 するとザンブロッタは黙りこくった。

 俺は構わずに続けた。

 

「幾らダヴィードリアンとしてのメンツの為とはいえ、割に合わない行動だと思うがね。本当にやるつもりかい? 俺も無益な殺生はしたくないんだが」

「フン……俺達は舐められたらお仕舞いなんだよ。それが掃き溜めに生きる者の心得だ。俺達にとっちゃ、エルファナへの祈りと同じくらい、大事な心得なんだよ。ここまで来たら……もうタダでは引き下がれねぇんだ」

「ふぅん……面倒な心得だね。じゃあ、仕方がない」

 

 俺はそこで立ち止まった。

 

「チッ、ここでやるつもりか……」

 

 ザンブロッタは盾と槍を構え、手下達に目で合図を送る。

 手下達も身構え、武器に手をかけた。

 俺はそこで後ろを振り向き、腰の丈くらいの植え込みに隠れている、間抜けな尾行者に視線を向けたのである。

 

「ニーサさん……そこにいるんだろ? 木の枝を持って隠れても、白い服の裾が見えてるんで、モロバレですよ。というか、ずっと尾けてましたね?」

 

 その直後、バツの悪そうな表情で、ニーサさんが姿を現した。

 意外とドジっ子なのかもしれない。

 

「バ、バレてたんですね……だったら、もっと早く言ってください」

 

 ニーサさんは苦笑いを浮かべながら、俺とザンブロッタの前にやって来た。

 ザンブロッタ達は全員、ポカンとしている。

 予想外の人物が現れたからだろう。

 

「ええ、バレてましたよ。さて、そこでなのですが、我々はここで一戦交えようと思っております。エルファナの神官としてはどうなんですかね?」

「いけないに決まってます。させませんわよ」

 

 俺はそこでザンブロッタに視線を向けた。

 

「だ、そうです」

「な!? 俺達にも意地がある!」

「ニーサさん、彼はこう言ってますが?」

「エルファナは慈愛の神にして戦の神でもありますが、不純な動機の諍いや争いは好みません。どなたか存じませんが、おやめなさい」

 

 ニーサさんは毅然と言い放った。

 なかなかの貫禄である。

 さすがはエルファナの高位神官だ。

 

「ザンブロッタさん、ニーサ神官はこう言ってるんだが、それでも続けんのかい? 俺はエルファナの教えを信仰してるから、無益な争いはしたくないんだがね」

 

 俺はそこでザンブロッタに近づき、小さく囁いた。

 

「踏みとどまるなら、今だよ。今ならアンタのメンツも保たれる。さぁどうする?」

 

 ザンブロッタはそこで溜息を吐き、武器を下した。

 

「フン……まんまとお前に嵌められちまったな。いいだろう。掃き溜めの俺達でも、エルファナに祈りは捧げるからな。だが……これだけは言っておく」

「なんだい?」

「キエーザのあんな姿は見てらんねぇ。お前がアイツをあんな風にしたんだ。だから……お前がアイツを何とかしろ!」

「はぁ? あんな風って……どういう意味だ?」

「見りゃわかるよ。奴は今、家にいるはずだ。行ってみろ……以前のアイツとは思えねぇような状態だから。俺からはそれだけだ」

 

 どうやら、かなりの変貌を遂げているようだ。

 

「私も噂で聞きました。キエーザさんは家に引き籠ってるという話です。コジローさんの所為でもあるので、一度、お伺いしたらどうでしょう。私、家を知ってますから、一緒に行きましょうか?」

 

 と、ニーサさん。

 ふむ、ならば行ってみるとするか。

 どうなってるのか、ちょっと興味あるし。

 

「ふぅん……ま、俺が蒔いた種だ。じゃあ、後で様子を見てくるよ」

「ああ、そうしてくれ。ったく……高い金出して、ラルカンスの鎧や盾を用意してきたのによ。結局、使わず仕舞いか」

 

 と言って、ザンブロッタは自分の装備品を見た。

 どうやらこのラルカンスの魚鱗防具は、俺を警戒して用意してきたようだ。

 今までの言動から察するに、根は用心深い奴なんだろう。

 

「へぇ……その鎧はそんなに丈夫なのかい?」

「お前知らねぇのか。この鎧はな、どんな剣も弾き返すくらいに、硬く弾力があるんだぜ。炎にも耐性あるしな。まぁ斧のようにゴツイのだったら、金属製の鎧の方が少し分があるが、軽さは雲泥の差だ。幾ら、キエーザを倒したという凄腕剣士のお前でも、コイツを斬るのは無理だぜ、へっへっへ」

 

 奴は自信満々にそう言った。

 となると、武芸者としての血が騒ぐというモノである。

 斬れぬなら斬って見せよう、なんとやらだ。

 というか、金属ではないので、なんとなくイケそうな気がした。

 

「へぇ、じゃあ斬らせてもらってもいいか?」

「た、試すつもりか。フン……良いだろう。この盾でやってみな」

 

 ザンブロッタはそう言って、ぎこちなく盾を前に出して構えた。

 ちょっとビビってるみたいだ。

 もしかすると、言うほどには信用してないのかもしれない。

 

「アンタ腰引けてないか? それと動くなよ。というか、既にプルプル震えてるし」

「ま、間違えて、俺を斬るなよ」

 

 図体はデカいのに意外とビビりな奴である。

 

「アンタのその体勢の方が不安だよ。しゃあないな……」

 

 俺はそこで足元の小石を広い、真上に高く放り投げた。

 この場にいる者達は皆、石に気を取られている。

 それはザンブロッタも同様だ。

 また、ザンブロッタもその時ばかりは震えが止まっていたのである。

 

(では参る!)

 

 次の瞬間、俺は背中の刀を素早く抜き、丸い盾に向かい、鋭く袈裟に刀を振るった。

 そして、俺は背中の鞘に刀を納めたのである。

 それと同時に、石がコツンと可愛い音を立てて地面に落ちてきた。

 手応えありだ。

 

「おい、お前、何の真似だ。石なんか投げて……ン?」

 

 と、その直後。

 カランという音を立てて、丸い盾の上の部分が、斜めにずり落ちたのであった。

 それを見たザンブロッタは息を飲みこんだ。

 

「た、たた、盾が……斬られてる。いつの間に……」

 

 ザンブロッタの手下達もそれを見るや、目を見開いたまま固まっていた。

 そんな中、ニーサさんだけが空気を読まず、嬉しそうに拍手してくれたのだ。

 

「お見事です。流石、コジローさんですね。エンドラの首を斬り落とせる程の腕ですもの。このような盾など、造作もないですね」

「エ、エンドラの首を斬り落としただと……何者だよ、お前……」

 

 そして、この場はシーンと静まり返ったのであった。 

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